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ホリスティック企業レポート
シンプロメンテ
6086 東証マザーズ
アップデート・レポート
2015年5月1日 発行
一般社団法人 証券リサーチセンター
証券リサーチセンター
審査委員会審査済 20150428
Copyright© 2012 Stock Research Center. All Rights Reserved.
利用を禁じます
本レポートの権利は一般社団法人 証券リサーチセンターに属します。いかなる形でも無断での複写・転載・
ホリスティック企業レポート(一般社団法人 証券リサーチセンター 発行)
シンプロメンテ (6086 東証マザーズ)
発行日:2015/5/1
全国の修理業者を組織化しチェーン店の設備等のメンテナンスを一括受託
新規顧客開拓や業務委託先の再整備等により 16 年 2 月期は増収増益へ
>
要 旨
◆ 事業内容
・シンプロメンテ(以下、同社)は、多店舗展開する顧客の店舗に備わる設
備及び機器や内外装等の不具合について 24 時間 365 日体制で修理依
アナリスト:高坂 茂樹
+81(0)3-6858-3216
レポートについてのお問い合わせはこちら
[email protected]
頼を受け付け、迅速に対処するサービスを全国で展開している。
・コールセンターで受け付けた修理依頼は 4,742 社にのぼる協力業者の
中から対応可能な業者に委託してサービスを提供している。15 年 2 月末
のサービス提供先は外食チェーン約 18,404 店をはじめ 24,997 店に及ぶ。
◆ 15 年 2 月期決算
・15/2 期決算は、前期比 17.2%増収、43.4%営業減益であった。同社の
期初予想に対する達成率は、売上高 102.5%、営業利益 47.3%である。
・増収ながら大幅減益となった要因は、新規顧客に対する導入初期の割
引サービス、内外装工事など一部アイテムにおける原価上昇、業容拡大
に備えた先行投資的な人員拡充による販管費の増加などである。
◆ 16 年 2 月期予想
・16/2 期業績について同社は前期比 5.7%増収、51.8%営業増益と予想し
ている。売上高営業利益率改善の要因は、協力業者組織の再整備によ
る稼働率向上、コールセンターのオペレータのスキル向上などである。
・証券リサーチセンター(以下、当センター)は、同社の予想はやや保守的
と判断し、前期比 10.3%増収、92.3%営業増益を予想する。
◆ 中期業績見通し
・当センターは 18/2 期までの 3 年間の年平均成長率を売上高 10.4%、営
業利益 46.9%と予想する。同社及び競合企業の上場によるメンテナンス
アウトソーシングサービスの認知度上昇に期待する一方で、人材確保が
難航する可能がある点を懸念している。
【 6086
シンプロメンテ
業種:サービス業 】
(注) CE:会社予想、E:証券リサ―チセンター予想
アップデート・レポート
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本レポートに掲載された内容は作成日における情報に基づくものであり、予告なしに変更される場合があります。本レポートに掲載された情報の正確性・信頼性・完全性・妥
当性・適合性について、いかなる表明・保証をするものではなく、一切の責任又は義務を負わないものとします。
一般社団法人 証券リサーチセンターは、本レポートの配信に関して閲覧し投資家が本レポートを利用したこと又は本レポートに依拠したことによる直接・間接の損失や逸失
利益及び損害を含むいかなる結果についても責任を負いません。最終投資判断は投資家個人においてなされなければならず、投資に対する一切の責任は閲覧した投資家にあり
ます。また、本件に関する知的所有権は一般社団法人 証券リサーチセンターに帰属し、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。
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トライステージ (2178 東証マザーズ)
シンプロメンテ(6086 東証マザーズ)
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◆ チェーン店のメンテナンスニーズにワンストップで対応
シンプロメンテ(以下、同社)は、多店舗展開する顧客の店舗に備わ
> 事業内容
る設備及び機器や内外装等(以下、店舗設備)の不具合について 24
時間 365 日体制で修理依頼を受け付け、迅速に対処するサービスを全
店舗の設備及び機器等の
緊急修繕サービスを全国
展開。
国で展開している。
基本的なサービスの仕組みは、同社が修理受付、業者手配等の業務を
行うオペレーションセンターを構築すると共に、全国の設備修理業者
等を協力業者として組織化し、顧客からの修理依頼に対して適切な業
者を迅速に手配し、進捗を管理し、完了報告を行うものである。
メンテナンスサービス委託基本契約を結んだ顧客に対する料金は、標
固定料金なし、修理作業
準的な料金表に基づき修理作業発生の都度、作業完了後に請求される。
の都度、請求する従量料
修理を依頼せずとも費用が発生する月額会費制ではなく、初期登録料
金制を採用。
等も徴収していない。同時に、チェーン店の一部で試験的に利用を開
始し、導入後段階的に利用店舗数を拡大する運用も取り入れるなどし
て、顧客の契約締結の決断を容易にしている。
15 年 2 月末におけるサービスの提供先は外食チェーン約 18,404 店の
他、多店舗展開する物品小売 5,839 店、介護施設及びエステティック
外食、物販など約 2 万 5
千店の店舗が利用。協力
業者数は 4,700 社余り。
サロン等 728 店、その他 26 店となっており、顧客店舗数は関東地方
の 12,156 店を筆頭に 24,997 店に及ぶ(図表 1)
。
修理対象の店舗設備は厨房機器、給排水及び衛生設備、空調及び給排
気設備、電気及びガス設備、内外装及び外構、鍵及びガラス、看板な
ど多彩である(図表 2)。実際に作業するメンテキーパーと称する協
力業者数は 4,742 社に上る(15 年 2 月末、図表 1 注参照)
。
【 図表 1 】地域別にみた顧客数及び
協力業者数 (15/2 期末、単位:店、社)
(注)協力業者数は延べ企業数で、地域をまたぎ
事業所を複数展開する業者は重複計上されている
(出所)シンプロメンテ決算説明会資料に基づき証券
リサーチセンター作成
アップデート・レポート
【 図表 2 】修理依頼案件の内訳
(注)15/2 期約 9.7 万件の内訳
(出所)シンプロメンテ決算説明会資料
に基づき証券リサーチセンター作成
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本レポートに掲載された内容は作成日における情報に基づくものであり、予告なしに変更される場合があります。本レポートに掲載された情報の正確性・信頼性・完全性・妥
当性・適合性について、いかなる表明・保証をするものではなく、一切の責任又は義務を負わないものとします。
一般社団法人 証券リサーチセンターは、本レポートの配信に関して閲覧し投資家が本レポートを利用したこと又は本レポートに依拠したことによる直接・間接の損失や逸失
利益及び損害を含むいかなる結果についても責任を負いません。最終投資判断は投資家個人においてなされなければならず、投資に対する一切の責任は閲覧した投資家にあり
ます。また、本件に関する知的所有権は一般社団法人 証券リサーチセンターに帰属し、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。
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同社は東京都品川区東大井の本社をはじめ、仙台市、名古屋市、大阪
市、福岡市の 4 営業所で、顧客に対する営業活動や協力業者の指導、
オペレーションセンター運営(本社)等の業務を行っている(図表 3)。
15 年 2 月末の従業員数は 71 名(うち約 40 名がオペレータ)、契約社
員等を含めると約 100 名である。関係会社はない。
◆ 緊急メンテナンスが主体の売上構成
同社の事業はメンテナンスサービス事業のみで、事業セグメント別開
示はなされていない。売上高は、以下の 3 つのサービス群に分けて開
示されている。
緊急サービスに加え、予
(1)緊急メンテナンスサービス(15/2 期売上構成比 89.3%)
:突発的なト
防メンテナンスでトータル
コスト削減も提案。
ラブルに見舞われた顧客に対し、ワンストップで迅速にトラブルを解
決し機会損失を最小限に抑える、同社の基本的なサービスである。主
に外食チェーンで利用されているが、利用業種の拡大にも努めている。
(注 1)本社や営業所に併
設された研修センターに顧
客を招き、座学及び実技形
式で頻発する店舗設備のト
ラブル予防及び軽度なトラ
ブルへの対処法に関する研
修を行う。
顧客向けにメンテナンス道場注 1 という研修サービスも行っている。
(2)予防メンテナンスサービス(15/2 期売上構成比 8.1%):突発的なト
ラブルを未然に防ぐ、あるいは故障発生頻度を低減させることで総合
的なコストを削減することを目的として、空調機器や冷凍及び冷蔵庫
について定期的に点検、洗浄等を行う、緊急メンテナンスのオプショ
ン的なサービスである。
店舗設備メーカー向けに
同社の仕組みを提供する
サービスも展開。
(3)メンテナンスアウトソーシングサービス(15/2 期売上構成比 2.6%)
:
厨房機器メーカーをはじめ、店舗向けに各種機器の販売及びサービス
を提供している企業に対して同社のメンテナンス体制を提供し、当該
企業のメンテナンス対応力を強化するサービスである。
【 図表 3 】
緊急メンテナンスサービスの業務フロー
(出所)シンプロメンテ決算説明会資料に基づき証券リサーチセンター作成
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> 事業環境と競合
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◆ メンテナンスサービスの市場規模
外食産業や物品小売業などの店舗設備のメンテナンスに係る経費を
公式に推計した資料はない。同社は自らの経験と実績から、100 店舗
以上の多店舗展開を行っている企業は、売上高の 1%前後をメンテナ
ンスに投じていると推計している。
店舗売上高の 1%前後が
メンテナンス費用に充てら
れると推定。
この経験値と、日本フードサービス協会(食の安全・安心財団)がま
とめている外食産業の販売統計から試算したメンテナンス業務の市
場規模は、13 年の外食産業の市場規模 23.9 兆円×1%で約 2,400 億円、
与信の観点から対象を多店舗展開企業に限定する同社の方針を考慮
し、その比率を 4 割と仮定しても約 1,000 億円となる。さらに物品販
売業やサービス業に範囲を広げれば、数千億円の市場が存在すると考
えられる。
◆ 内製、設計ないし施工管理会社、アウトソーシングの 3 形態
外食業界や小売業などの店舗設備のメンテナンスの主体は、自社若し
くはグループ企業による内製、店舗の設計及び施工管理会社等を営む
企業のグループ会社への外注、同社のようなメンテナンス専門業者へ
ワンストップでメンテナン
のアウトソーシング等に 3 分類できよう。
ス サービ スを 提供 できる
企業は少ないとみられる。
自社ないしグループ会社から外部に委託するのは、保守部門の人件費
が固定されること、夜間や休日対応など労務対策が必要なこと、店舗
数の増加に合わせて非中核業務である保守部門の人員を逓増させる
のは困難なこと等のためである。
同社のように、全国展開するチェーン店に対しワンストップでメンテ
ナンスサービスを手掛ける専門企業は少ない。地域、あるいは店舗設
備のアイテムを限定すれば、新規参入は容易であろう。しかし大手チ
ェーン店を顧客化するには、全国規模の協力業者ネットワークが必要
であり、このネットワーク構築は容易ではないと考えられる。同社は
幅広い設備機器の修繕に全国で対応できる組織を築き上げるまでに
10 年を要したといい、この点が参入障壁になっていると考えられる。
競合企業が新規上場。自
社でメンテナンス技術者を
抱える等の相違点も。
15 年 4 月に上場した三機サービス(6044 東証 JQS)は、数少ない競
合企業である(次頁図表 4)
。三機サービスの特徴は空調メーカー(パ
ナソニック ES 産機システム)との業務委託契約に基づく大規模施設
向け空調設備メンテナンスサービスを併営すること、札幌、東京、静
岡、浜松、名古屋、大阪、神戸、姫路に事業拠点を設け、これらの地
域では自社のメンテナンスエンジニアがメンテナンスを提供し、それ
以外の地域では協力業者に業務を委託することで全国サービス網を
構築していることである。
なお、14/5 期における三機サービスの競合事業(トータルメンテナン
ス事業)の売上高は 3,439 百万円、セグメント利益は 107 百万円、売
上高セグメント利益率は 3.1%であった。
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【 図表 4 】競合企業との比較
(単位:百万円、人)
(注)三機サービスの業績は上場前、同社の業績は決算月の近い 14/2 期とした
(出所)シンプロメンテ決算短信、三機サービス新株式発行並びに株式売出届
出目論書に基づき証券リサーチセンター作成
空調工事業務を起源とし、自社でのメンテナンス提供にこだわりを見
せる三機サービスと、コールセンター業務を柱に、チェーン店に対し
メンテナンスサービス購買機能を、全国の協力業者に営業機能をそれ
ぞれ代行する BPO(Business Process Outsourcing)受託業者に徹する
同社とは好対照である。固定費を抱え込まずに業務の繁閑に対応でき
る体制が強みになると同社は考えている。
この他、設計会社系列のメンテナンス業務受託会社は、乃村工藝社
(9716 東証一部)の 100%子会社テスコで、すかいらーく(3197 東
証一部)をはじめ複数の大手チェーンを顧客としている。店舗設計に
より店舗の仕様を熟知していることが強みである。また、イオンディ
ライト(9787 東証一部)もイオングループの施設メンテナンスを手
掛けており、広い意味で競合先となる。
> 業績動向
◆ 15 年 2 月期決算
15/2 期決算は、前期比 17.2%増収、43.4%営業減益であった。同社の
期初予想上回る増収達成
期初予想に対する達成率は、売上高 102.5%、営業利益 47.3%である
も、利益率が低下し大幅
(図表 5)。なお、同社は 15 年 2 月に 15/2 期業績予想の下方修正を公
営業減益となった。
表している。
【 図表 5 】15 年 2 月期決算の概要
(単位:百万円)
(注)証券リサーチセンター予想は 14 年 12 月作成
(出所)シンプロメンテ決算短信に基づき、証券リサーチセンター作成
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当性・適合性について、いかなる表明・保証をするものではなく、一切の責任又は義務を負わないものとします。
一般社団法人 証券リサーチセンターは、本レポートの配信に関して閲覧し投資家が本レポートを利用したこと又は本レポートに依拠したことによる直接・間接の損失や逸失
利益及び損害を含むいかなる結果についても責任を負いません。最終投資判断は投資家個人においてなされなければならず、投資に対する一切の責任は閲覧した投資家にあり
ます。また、本件に関する知的所有権は一般社団法人 証券リサーチセンターに帰属し、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。
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【 図表 6 】サービス形態別売上高の推移
(単位:百万円)
(出所)シンプロメンテ決算短信に基づき、証券リサーチセンター作成
(注 2)同社はこれまで累積登
録店舗数を開示してきたが、
15/2 期本決算より 2 期連続で
依頼のなかった店舗を除い
た実稼働店舗数を開示する
ことになった。
サービス形態別の売上高は、主力の緊急メンテナンスサービスは前期
比 22.1%増と大きく伸長した。開示方針の変更により、顧客店舗数の
前期比較ができないが注 2、大口の新規顧客の獲得に加え、既存顧客に
おけるメンテナンスアイテムやサービス利用店舗の増加等により、サ
ービス依頼件数は 14/2 期の 1 日平均 240 件~250 件から 15/2 期は同
270 件~280 件へと順調に増加した。
予防メンテナンスサービスは新規顧客の獲得に難航した。メンテナン
スアウトソーシングは、大口顧客である厨房機器メーカーのメンテナ
ンスサービス内製化により大幅に減少した。
新規顧客への初期の割
期初予想を上回る増収を達成しながら、売上総利益は前期比 7.8%増
引、一部アイテ ムの原価
上昇で粗利率が低下。
にとどまり、売上総利益率は 14/2 期の 22.7%から 20.9%へ低下した。
利益率低下の要因は、ア)新規顧客(本部及びチェーン店管理者)に
対し早期に同社サービスの有効性を認知してもらえるよう導入初期
にディスカウントサービスを行ったこと、イ)内外装工事など一部ア
イテムにおける協力業者の手配難航に伴う原価上昇などである。
将来に備えたコールセン
タ ーの オ ペ レ ータ 増 員で
人件費も増加した。
一方、販売費及び一般管理費(以下、販管費)は、将来の業容拡大に
備え先行投資的に人員を拡充したため(15/2 期末従業員数は前期末比
16 名増の 71 名)、同 22.4%増と大幅に増加した。以上の結果、大幅
な営業減益となった。
なお、同社の依頼に優先的に対応可能な協力業者の確保など協力業者
網の再整備を進めた結果、15/2 期第 3 四半期以降の原価率は改善傾向
にある。15/2 期第 2 四半期累計期間(以下、上期)の売上原価率は
79.0%で前年同期比 0.5%ポイント上昇したが、15/2 期下期は 75.3%で
前年同期比 0.7%ポイント低下している。
営業外収支は 14/2 期の株式公開費用がなくなったため、収支均衡し
た。経常利益、当期純利益は営業減益の結果ともに大幅減益となった。
図表 7 に、貸借対照表の要約とキャッシュフロー、主な財務指標の
14/2 期との比較を示した。総資産は売上債権の増加等により前期末に
比べ 27 百万円増加した。この他資産の部では、流動資産の現預金が
減少する一方、固定資産の長期預金が増加している(投資キャッシュ
フローの支出増加要因である)
。
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【 図表 7 】要約貸借対照表及び関連指標
(単位:百万円)
(出所)シンプロメンテ決算短信に基づき、証券リサーチセンター作成
負債の減少は主に未払い法人税の減少(53 百万円)によるものであ
る。純資産は当期純利益の計上により、45 百万円増加した。
キャッシュフローの状況をみると、現金及び現金同等物は前期末に比
べ 56 百万円減少している。これは税引前当期純利益が 14/2 期に比べ
大きく減少したこと、定期預金の預け入れ、配当金の支払いによるも
のである。なお 14/2 期は株式発行による収入が 236 百万円あった。
同社は上場資金を元手に、16/2 期までに 50 百万円の予算でシステム
投資を進めているが、15/2 期は要件定義及び概要設計の段階であり、
大きな支出はなかった。
利益計上により自己資本が 45 百万円増加する一方、当期純利益が前
期比減益となった結果、ROE は 8.1%ポイント低下した。
◆ シンプロメンテによる 16 年 2 月期業績予想
16/2 期業績について同社は、売上高 4,553 百万円(前期比 5.7%増)、
同 社 の 16/2 期 業 績 を
営業利益 158 百万円(同 51.8%増)
、経常利益 159 百万円(同 51.0%
5.7%増収、51.8%営業増
益と予想。
増)
、当期純利益 93 百万円(同 32.1%増)と予想している(図表 8)
。
(注 3)正式名称は「フロン類
の使用の合理化及び管理
の適正化に関する法律」 。
従来の「フロン回収・破壊
法」(機器廃棄時のフロンの
回収及び破壊を規制)に代
わり、新法ではフロンメーカ
ーや機器メーカーにノンフロ
ン冷媒等への転換を促すだ
けでなく、業務用エアコン等
のユーザーにも規制対象と
して、設備の定期点検や整
備内容の記録等を義務付け
た。
等について定量的な開示を行っていない。
アップデート・レポート
同社はサービス形態別の売上高予想や 16/2 期末利用店舗数の見通し
売上高の拡大は、ア)新規顧客の獲得に向けた継続的な営業活動、イ)
サービス利用アイテムが限定的な既存顧客への更なるアウトソーシ
ング化による業務効率化の利点訴求、ウ)修理ないし修繕と機器入れ
替えを組み合わせた提案による受注率の向上により達成されるとし
ている。なお、機器入れ替えの提案は 15 年 4 月に施行された「フロ
ン排出抑制法」注 3 を契機とする活動である。
増収率を大幅に上回る営業増益率(売上高営業利益率は 1.1%ポイン
ト改善)を想定しているが、以下の施策が有効と同社は考えている。
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【 図表 8 】
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16 年 2 月期業績予想
(出所)証券リサーチセンター
1) 協力業者の再編及び再整備により、協力業者の稼働率の向上と作
業品質の改善が見込まれる。その結果が顧客店舗に評価され、利
協力業者の見直し、従業
員の業務習熟、システム
刷新が増益要因に。
用アイテム数の増加等につながると考えている。
2) 継続的な人材教育により、従業員のスキル向上と業務効率の改善
が見込まれる。15/2 期はコールセンターの中堅オペレータが退職
し、複数の新人オペレータを採用したことで、業務効率が低下し
た側面があったが、現在は当該オペレータのスキルも向上したた
め、修理依頼件数が 15/2 期比 3 割増加しても対応できる体制にな
ったとしている。
3) 電話及びファクシミリによる緊急対応を行うアナログ的な運営
システムを IT 投資により刷新し、顧客及び協力業者との折衝の
効率化や社内業務の効率改善が見込まれる。
◆ 証券リサーチセンターの 16 年 2 月期予想
証券リサーチセンター(以下、当センター)は 16/2 期業績について、
図表 8 に示したように、同社の予想を上回る前期比 10.3%増収、92.3%
営業増益を予想する。
同社予想は保守的とみて
13 年 12 月に株式上場した同社は、14/2 期、15/2 期と 2 期連続で事前
二 桁増収と し た 。粗 利率
は同社と同水準を想定。
の利益予想を達成することが出来なかった。このため、同社の 16/2
期業績予想は保守的に策定されたものと当センターはみている。
当センターは同社の適切な施策により、新規開拓や既存顧客の同社サ
ービス利用頻度の上昇が見込まれると考え、緊急メンテナンスサービ
スを主体に二桁増収の継続を予想した。
利益面では、ア)協力業者の再整備により売上総利益率が改善する(同
社予想と同水準の 22.1%とした)、イ)15/2 期にコールセンター要員
を既に増員しており、欠員がでなければ販管費の大幅な増加はないと
の想定から、15/2 期に悪化した売上高営業利益率の大幅な改善は可能
であると判断した。
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本レポートに掲載された内容は作成日における情報に基づくものであり、予告なしに変更される場合があります。本レポートに掲載された情報の正確性・信頼性・完全性・妥
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シンプロメンテ(6086 東証マザーズ)
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なお、当センターの前回予想(14 年 12 月策定)との比較では、15/2
期実績を踏まえ、売上高予想、利益予想ともに減額し、売上総利益率
及び売上高営業利益率予想を引き下げた。
◆ シンプロメンテの成長戦略
同社は数値目標を伴う中期経営計画などを公表していない。定性的な
成長戦略として、1)新規顧客開拓、利用アイテム数や店舗数の拡大、
新たな業界へビジネスモデルを適用するという 3 次元の成長ベクト
ルを基本に、2)顧客企業がプラットフォームとして利用するような
仕組みの構築を進める、3)将来は海外展開も模索するとしている。
新規顧客開拓、既存顧客
深耕、業種の横展開が基
このほか、将来的な収益基盤の拡大に向けた取り組みとして、ア)既
本戦略。
存サービスの提供方法の多様化、イ)他社との協業等による新サービ
スの開発、ウ)メンテナンス道場を軸とした顧客サポートメニューの
強化の 3 点を挙げている。
それぞれについて具体的な方策は開示されていないが、ア)について
は、顧客の業態によって月額制導入などを視野に入れている可能性が
ある。イ)については協力業者の全国組織の新たな活用法を模索して
いると推察される。
◆ 証券リサーチセンターの中期業績見通し
当センターは、17/2 期の業績については前期比 9.5%増収、25.0%営業
増益を、18/2 期は 11.5%増収、32.0%営業増益を予想する(図表 9)
。
18/2 期までの 3 年間の年平均成長率は売上高 10.4%、営業利益 46.9%
メンテナンスアウトソーシ
に達する。予想の前提は以下の通りである。
ングの認知が進み、増収
基調を維持できると予想。
1)株式上場による同社の知名度及び信用力の上昇により、新規顧客
の開拓は従来よりも円滑に進むものと考えている。さらに三機サービ
スの上場により、メンテナンスアウトソーシングサービスという事業
に対する認知度が高まることで、競争はあるものの潜在顧客の掘り起
こしができるものと考えた。なお 15/2 期は、目標に掲げた新規顧客
(注 4)社数とチェーン店の増
加数はリンクしないため、何
パーセントの増加に該当する
のかは開示されていない。
50 社注 4 の獲得を達成している。16/2 期及び中期的な新規開拓の目標
は定められていない。
2)景気回復に伴い、飲食業界の既存顧客企業の出店拡大やリニュー
アル、総合的なコスト削減を目指す予防メンテナンスの導入拡大が
徐々に進むと見込んだ。顧客店舗数の増加に加え、顧客店舗 1 店当た
り売上高も上昇すると想定した。
3)今後の人件費や部材価格の上昇は軽微で、業務平準化に繋がる予
防メンテナンスの導入拡大等により、売上総利益率は改善する余地が
あると考えた。特に人件費については、協力業者の教育及び再編活動
による業務効率化、稼働率上昇により抑制可能と判断した。
アップデート・レポート
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本レポートに掲載された内容は作成日における情報に基づくものであり、予告なしに変更される場合があります。本レポートに掲載された情報の正確性・信頼性・完全性・妥
当性・適合性について、いかなる表明・保証をするものではなく、一切の責任又は義務を負わないものとします。
一般社団法人 証券リサーチセンターは、本レポートの配信に関して閲覧し投資家が本レポートを利用したこと又は本レポートに依拠したことによる直接・間接の損失や逸失
利益及び損害を含むいかなる結果についても責任を負いません。最終投資判断は投資家個人においてなされなければならず、投資に対する一切の責任は閲覧した投資家にあり
ます。また、本件に関する知的所有権は一般社団法人 証券リサーチセンターに帰属し、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。
ホリスティック企業レポート(一般社団法人 証券リサーチセンター 発行)
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シンプロメンテ(6086 東証マザーズ)
【 図表 9 】
発行日2015/5/1
シンプロメンテの収益モデル
(単位:百万円)
(出所)証券リサーチセンター
4)販管費については、人材拡充やシステム関連投資等の経費増が見
込まれるものの、業務効率の改善や増収効果で管理部門等の負担が軽
減され、営業利益率は僅かずつ上昇すると想定した。
> 投資に際しての留意点
◆ 人材確保の成否が業績変動のリスク要因
当センターの収益モデルにおける最大のリスク要因は、優秀な協力業
者や実際に現場作業に当たる職人等の外注業者、それに同社のコール
センター要員が業務量の増加に応じて円滑に確保できるか否かとい
う点にある。建築系業務の人手不足の常態化やコールセンターのオペ
コールセンター要員や外
レータの人材難に留意しておきたい。
注作業員等の安定確保が
業績を左右する。
この他、天候不順による依頼の殺到とそれによる業務効率の低下、シ
ステムダウン、メーカーによるメンテナンス業務内製化(ストック収
益源の確保)の進展等が、業績変動要因と当センターは考えている。
◆ 株主への利益還元方針
同社は、長期的かつ総合的に株主利益の拡大を図り、持続的に配当を
行うことを基本方針としている。14/2 期の 1 株当たり配当金は普通配
当 10 円に株式上場の記念配 5 円を加えた年 15 円であった。
同社は 15/2 期の配当金について、記念配を落としたうえで普通配当
を年 15 円に引き上げる予定である。これにより、配当性向は 36.7%
に上昇する。
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利益及び損害を含むいかなる結果についても責任を負いません。最終投資判断は投資家個人においてなされなければならず、投資に対する一切の責任は閲覧した投資家にあり
ます。また、本件に関する知的所有権は一般社団法人 証券リサーチセンターに帰属し、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。
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16/2 期の配当金について同社は、普通配当で年 15 円を予想している。
当センターは 16/2 期については同社に倣い 15 円配当を予想する。17/2
期及び 18/2 期については上場来の配当性向の下限である約 20%を目
安に増配を予想する。
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「ホリスティック企業レポートとは」
ホリスティック企業レポートとは、証券リサーチセンターが発行する企業調査レポートのことを指します。
ホリスティック企業レポートは、企業側の開示資料及び企業への取材等を通じて収集した情報に基づき、
企業価値創造活動の中長期の持続可能性及び株価評価などの統合的分析結果を提供するものです
本レポートの特徴
 魅力ある上場企業を発掘
新興市場を中心に、アナリスト・カバーがなく、独自の製品・技術を保有している特徴的な企業を発掘し
ます
 企業の隠れた強み・成長性を評価
本レポートは、財務分析に加え、知的資本の分析手法を用いて、企業の強みを評価し、企業の潜在的な成
長性を伝えます。さらに、今後の成長を測る上で重要な KPI(業績指標)を掲載することで、広く投資判
断の材料を提供します
 第三者が中立的・客観的に分析
中立的な立場にあるアナリストが、企業調査及びレポートの作成を行い、質の高い客観的な企業情報を提
供します
本レポートの構成
本レポートは、企業価値を「財務資本」と「非財務資本」の両側面から包括的に分析・評価しております
企業の価値は、
「財務資本」と「非財務資本」から成ります。
「財務資本」とは、これまでに企業活動を通じて生み出したパフォーマンス、つまり財務諸表で表され
る過去の財務成果であり、目に見える企業の価値を指します。
それに対して、
「非財務資本」とは、企業活動の幹となる「経営戦略/ビジネスモデル」
、経営基盤や IT
システムなどの業務プロセスや知的財産を含む「組織資本」、組織の文化や意欲ある人材や経営陣などの
「人的資本」
、顧客との関係性やブランドなどの「関係資本」
、社会との共生としての環境対応や社会的責
任などの「ESG 活動」を指し、いわば目に見えない企業の価値のことを言います。
本レポートは、目に見える価値である「財務資本」と目に見えない価値である「非財務資本」の両面に
着目し、企業の真の成長性を包括的に分析・評価したものです。
1.会社概要
1.会社概要
企業価値
企業価値
2.財務資本
2.財務資本
••
••
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3.非財務資本
3.非財務資本
企業業績
企業業績
収益性
収益性
安定性
安定性
効率性
効率性
4.経営戦略/
4.経営戦略/
ビジネスモデル
ビジネスモデル
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事業戦略
事業戦略
中期経営計画
中期経営計画
ビジネスサイクル
ビジネスサイクル
知的資本
知的資本
関係資本
•• 関係資本
(顧客、ブランドなど)
(顧客、ブランドなど)
組織資本
•• 組織資本
(知的財産、ノウハウなど)
(知的財産、ノウハウなど)
人的資本
•• 人的資本
(経営陣、従業員など)
(経営陣、従業員など)
ESG活動
ESG活動
••
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環境対応
環境対応
社会的責任
社会的責任
企業統治
企業統治
5.アナリストの評価
5.アナリストの評価
アップデート・レポート
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指標・分析用語の説明
 PER(Price Earnings Ratio)
 ESG
株価を 1 株当たり当期純利益で除し
Environment:環境、Society:社会、 顧客関係や業務の仕組みや人材力な
たもので、株価が 1 株当たり当期純
Governance:企業統治、に関する情
どの、財務諸表には表れないが、財務
利益の何倍まで買われているのかを
報を指します。近年、環境問題への関
業績を生み出す源泉となる「隠れた経
示すものです
心や企業の社会的責任の重要性の高
営資源」を指します
 PBR(Price Book Value)
まりを受けて、海外の年金基金を中心
株価を 1 株当たり純資産で除したも
に、企業への投資判断材料として使わ
ので、株価が 1 株当たり純資産の何
れています
倍まで買われているのかを示すもの
 SWOT 分析
です
企 業 の 強 み ( Strength )、 弱 み
 配当利回り
1 株当たりの年間配当金を、株価で除
(Weakness)
、機会(Opportunity)、
脅 威 ( Threat ) の 全 体 的 な 評 価 を
したもので、投資金額に対して、どれ
SWOT 分析と言います
だけ配当を受け取ることができるか
 KPI (Key Performance Indicator)
を示すものです
企業の戦略目標の達成度を計るため
 知的資本
 関係資本
顧客や取引先との関係、ブランド力な
ど外部との関係性を示します
 組織資本
組織に内在する知財やノウハウ、業務
プロセス、組織・風土などを示します
 人的資本
経営陣と従業員の人材力を示します
の評価指標(ものさし)のことです
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