ASK23 係の仕事

ASK23 係の仕事
大阪大学航空部
2002 年 3 月 更新
第 1 章 はじめに
このマニュアルは、増田さんと白鳥さんが ASK21 用に作成したものを元に、佐藤さんと野津さん
が作成したものです。引き継いでいく中で、改良点や問題点があった場合は、その都度マニュアル
を改訂していってください。
• 2002 年 3 月 改訂
不満のあったところを改訂しました。結局、大半を書き直しました。
1.1
機体係とは
機体係とは、なんでしょう? 普通、航空機の管理は有資格整備士が行なっています。でも、学生
が普段飛ぶときは、整備士はいません1 。ですので、機体の管理は整備士に代わって「機体係」が
やらねばなりません。機体係は、「整備士の代わり」をしなければならないので、機体係には整備
士に必要な知識や技能の一部が求められます。
さて、機体の管理とはどんなことがあるのでしょう? たとえば、航空日誌を書いたりといった、
法的な書類の管理。また、掃除や給油などの保守作業。それから、繋留グッズやシートなどの付属
品の管理。こういったことが機体係の仕事です。
それから、機体係は、「なぜ」そうなっているのか、を考えて作業をしなければいけません。作
業をするときは、その理由を考えて、理屈にあったことをしてください。理屈にあわないことをす
るのは、単に無駄なだけでなくて、悪です。
では、がんばってください。
1.2
機体係の仕事
機体係の仕事は、大まかに分類すると、以下の様な仕事があります。
• 合宿前準備
合宿前に、必要なものがあるかチェックしたりします。
• 合宿中の仕事
合宿中は、機体の組み立て・分解や、機体の点検、航空日誌を書いたりします。
• 合宿後の片付け
合宿中についた汚れを掃除したり、なくしたものや壊したものを直します。
• 積み込み
機体係は、機体をトラックに積むときのリーダーです。
1 いることもありますが。
1
• 機体の組み立て、分解
合宿中など、機体の組み立て、分解をします。
• 整備士の手伝い
定時点検や、年 1 回の耐空検査の準備作業などの手伝いをします。
• 啓蒙活動
部員に、正しいグライダーの扱い方を教えるのも機体係の仕事です。
2
第 2 章 合宿前の準備
合宿に必要な準備は合宿 1 週間前までには終わらせましょう。
まず、合宿に必要なものを確認をします。以下のものがあるか確認してください。
• 機体
胴体、主翼、水平尾翼、ピンケース、ネル、シートがあるか確認。無くなっていたら一大事
ですが。
• 機体バッグ 2 つ
最低限、航空日誌、登録書、耐空証明書、運用限界等指定書、飛行規定の 5 点セットが無い
と飛べません。朝点表と定時点検表が十分な枚数残っているか確認します。
• 繋留かご
アンカー 9 本、ロープ 4 本、上げ翼用ロープ 1 本、タイヤチョーク、まくら 1 つ、繋留用ハ
ンマー 1 つが必要です。
• 陸送グッズ
陸送用の胴受け、テール受け、翼受けがあるか確認。
• その他
セーム、パラシュートも機体係の管轄です。
それから、以下のことをチェックしてください。
• タイヤの空気圧
空気圧をチェックして、足りない場合は空気を入れます。格納庫にはコンプレッサがあるの
でらくちんです。
空気圧は ASK23 は、ノーズ 2.0atm、メイン 3.0atm、テール 2.5atm です。
• 翼端のテープ
翼端スキッドに布テープを 3 枚ほど重ねてはって、翼端スキッドが削れないように保護しま
しょう。
機体係は合宿前後 1∼2 日は積み込み、積み下ろし、整備などがあるので予定をあけておくべき
です。
3
第 3 章 合宿中の仕事
3.1
朝出発する前に
朝ランウェイに出る前に以下のものを忘れずに機材車に積み込まれているか確認します。
• 機体バッグ
• バッテリー
• パラシュート
• セーム・水ポリ
時間に余裕があれば、その他の機材やお茶などの積み込みなどを手伝いましょう。
3.2
R/W に着いたら
R/W ついたら、朝点表、バッテリー、繋留かごを機体のところに持っていき、係留を外します。
動かせる準備ができたら、ピストに言われた位置 (木曾川なら川側) に運びます。その際、忘れず
にブレーキチェックをしましょう。
もし、複座機の人手が足りないようなら複座機を優先してください。単座機は朝から飛ぶことは
稀なので、後回しです。
3.3
朝点
所定の位置に運んだら、朝点を行います。
まず、朝点を始める前に、機体を飛行可能な状態にします。具体的には、ストッパー類、静圧孔、
動圧孔カバーを外し、ベンチュリー管とバッテリーを取りつけ、無線機のスイッチを入れます。
そうしたら、朝点表に従い、朝点を行います。機体係が朝点をしている間、暇人にはセームアッ
プでもやらせておきましょう。
朝点が終わったら、ピストに報告して教官チェックを受けます。教官チェックが終わったら、点
検口の蓋を閉めておきます。単座機は、朝点が終わり次第飛ぶことはあまりないので、適切に繋留
しておきます。
なお、朝点の途中で索点検などがある場合は、索点検を優先してください。
3.4
繋留について
繋留時は、風が幾らか吹いているときは、機体の横∼斜め後方から当たるような向きに機体を向
け、R/W 側の翼を下げるようします。R/W 側を上げると、着陸機のパイロットが圧迫感を受ける
4
かららしいです。
機体をセットしたら、タイヤチョークとラダーストッパーを入れ、キャノピーネルをかけます。
キャノピーネルをかけないと、太陽光でコックピット内が焦げることがあります。特に夏場や快晴
の日などは要注意です。
あとは、翼端を繋留すれば OK ですが、繋留方法は風に応じて機体係が判断します。訓練基準内
の風であれば、たいていバラスト繋留で済むでしょう。ただし、訓練基準内の風であっても、ガス
ティックなときは紐で縛るべきでしょう。
3.5
R/W チェンジ
R/W チェンジのときに機体を反対側の R/W エンドまで地上牽引もしくは空輸で運びます。
3.5.1
空輸の場合
繋留に必要そうなものを機材車に載っけるだけです。
3.5.2
地上牽引の場合
地上牽引の場合1 は、ちょっとやっかいです。
まず、ピストから R/W チェンジの指示をされたら、牽引ロープを用意して AT レリーズにつけ
て、繋留に必要なものは機体の前にまとめておきます。テールドーリーを用意してある場合は、つ
けておきます。
牽引車が来たら、牽引ロープを牽引車につけて、集めておいた繋留グッズなどの荷物を牽引車に
載せます。
あとは、牽引してもらうだけですが、この時余分な人2 は牽引車に乗せましょう。こんなところ
で無駄に体力を浪費する必要はありません。
反対側の R/W エンドについたら、牽引車に載せてあった荷物を降ろして、適当に繋留して R/W
チェンジは終りです。ただし、R/W チェンジ時は大抵無風に近い風なので、ひとまず繋留などは
後回しにして、なるべく早く R/W チェンジ後 1 発目を飛ばすことを優先しましょう。
3.6
撤収
単座機の場合、撤収ギリギリまで飛ばすことはめったになく、訓練の途中でピストから機体の撤
収を指示されます。
機体係としてやらなければならない撤収作業は、
• コックピット内
バラストやクッション、ラジオのバッテリー、地図などの個人物を降ろします。
• 機外
ベンチュリー管を外して、動圧孔と静圧孔、ベンチュリーの孔を塞ぎます。
1 単座は大抵、地上牽引です。
2 具体的には
2 人以上のブレーキングやドーリーがついているのにテールにつく人
5
• 声だし
撤収が早く終わるかどうかは機体係がいかに周りの人間を上手に使えるかにかかっています。
人がいっぱいいれば、シートをかけながらアンカーを打ったりと同時進行させればちょっと
早くなります。
• 繋留状態のチェック
撤収時に一番重要3 な仕事です。
3.6.1
繋留チェックについて
繋留の目的は機体が風で飛んでいかないようにすることです。ですので、重要なポイントは、ア
ンカーが抜けないかどうか、紐が緩まないかどうかです。
まず、アンカーについて。繋留がちゃんとできるかどうかは、アンカー選びにかかっています。
長くて太いものを選びましょう。アンカーを打ちこむときは、地面に対して 10 度∼30 度ぐらい、
紐に対して 45 度程度になるように、最後までしっかり打ち込みます。あまり斜めに打ち込まれて
いるのは、抜けてきます。打ち込んだあと、ぐらぐらしているような繋留ではダメです。
それから、紐の張り具合いですが、多くの者が間違った考え方をしています。翼端は軽く張る程
度で強く締めてはいけません。翼端を強く縛ると主翼がねじれてしまいます。一方、テールについ
てはある程度強い力で締めます。これは、風見鶏効果で機体が横を向こうとするのを、テールギア
を地面に押し付けることで防ぐためです。
最後に、上げ翼の繋留ですが、基本的に気休めなので、なければなくてもよいでしょう。ただし、
上がっている主翼が地面に落ちても当たらない位置にアンカーが打たれているかだけはチェックし
ましょう。でないと、次の日の朝に主翼に穴を開けることになるかもしれません。
3.6.2
セームアップについて
セームアップとは言いますが、セームでごしごしはダメです。機体が傷だらけになります4 。
機体を水洗いして、そのあと水をセームで拭き取るのが正解です。ですので、セームアップ用に
十分な水を持っていかないといけません。1機 2` は必要です。
3.6.3
R/W チェンジがあった場合
撤収の翼端とりに、係留グッズとセームを持って行かせないと、機体が着陸しても撤収作業がで
きないので要注意です。
3.7
宿舎に帰ってから
まず、航空日誌の時間計算をします。間違えていると後々大変なことになるので間違えたり、サ
インをもらい忘れたりしないように気をつけてください。また、航空日誌は公式書類なので、サイ
ンをもらった後、ちゃんと清書しておきましょう。それから、時間計算をするついでに、定時点検
3 たぶん・
・
・
4 毎合宿ごとに機体を研ぎ直すなら別にいいけど
6
までの残り時間をおおざっぱ5 に把握しておます。
その他、機体係の仕事としては、セームを洗ったりなどなどです。
5 分単位まで計算しても、よいことはありません。残り 10 時間を切るまでは、5 時間単位ぐらいで把握しておけば OK
です。10 時間を切ってきたら、30 分∼1 時間程度の精度で把握しておきましょう。
7
第 4 章 合宿後
合宿後の主な仕事は、機体の掃除、給油、壊れたものの修理などです。
• 結合金具の類
合宿から帰ってくるときは、大抵グリースアップがいい加減なので、状態を診て、よくなけ
ればグリースアップをしなおしておきます。もし、結合金具の類が錆びてしまうと、大修理
になってしまいますので、腐食しないように気を使ってください。また、機体を組んでしま
うと点検できない場所ですので、分解されているときによく診ておいてください。
• 機外
セームアップでとれない汚れは、薬品を使います。マニュアルで指示されているように、ガ
ソリンでゲルコートを拭いてはダメです。アルコールかラッカーシンナー、アセトンを染み
込ませた布で拭いてください。
掃除をしたあと、たまには1 ワックスをかけてあげましょう。若干機体が痛みにくくなりま
す。ちなみに、ワックスでも、結構汚れが落ちます。有機溶媒で拭く前に2 ワックスで拭いて
みるとよいかもしれません。
• コックピット内
シートをはずして、掃除機で砂や大きなごみをとり、ウエスで水拭します。ラダーペダルの
軸については、きれいに汚れを取ったあと、給油します。シートを外したついでに操縦系統
など点検できるところを点検しておきます。
毎合宿ごとシートを外す必要はないと思いますので、2 合宿毎に 1 回などと決めてやったら
よいでしょう。
• 足周り
ほとんど手が届きませんが、タイヤ周りをできる範囲できれいにしておきます。
機体の下についた泥は、洗車用スポンジに水をたっぷり含ませてこすらないようにして洗う
と、簡単に落ちます。
• キャノピー
キャノピーが汚れていたら、シャワーでほこりを落としてから中性洗剤で洗います。決
して有機溶媒などは使ってはいけません。洗い終わったら、金属部分はちゃんと水分をとっ
ておかないと錆びます。また、可動部については、給油しておきます。
キャノピーを洗うときは、2 人で持ちながら洗うか、洗剤まみれにしても良さそうなラバー
の上において洗うかします。キャノピーを落とすかもしれないリスクと、ラバーが汚れるこ
とを秤にかけてください。
1 これも
2∼3 合宿に 1 回ぐらいはやってあげましょう。
2 ワックスも有機溶媒といえば有機溶媒だが
8
• シート/ネル
汚れてきたら洗います。2 合宿に 1 回程度のペースで洗ったらよいかと思います。シートは、
洗濯用洗剤を使って、デッキブラシでごしごし洗います。ネルは洗濯機で洗えばよいでしょ
う。ネルは穴が開いたりしているところをちゃんと修繕しておきます。
• 陸送グッズ/繋留グッズ
壊れたり、なくなったものがあれば直します。アンカーは、ウインチマンとかに言うと溶接
してくれます。
繋留グッズは他の機体と混じってなくなることが多いので、ペンキで色を塗ったりしておく
とよいかと思います。
基本的には、清掃と防食処置などが中心になります。修理が必要なときは、別途相談しましょう。
合宿後整備は、合宿が終わったらなるべく早いうちにやりましょう。特に、グリスアップやワッ
クスがけなどについては、サボってもすぐには影響は出てこないかもしれませんが、機体の寿命を
削っていくことになるので、サボらずちゃんとやってください。
9
第 5 章 積み込み
機体運搬用トラックに、機体を積み込む作業です。
安全には、十分に配慮してください。合宿前にけがをして飛べなかったなんてことにならないよ
うに気をつけてください。そのためには、注意すべきところは声をかけて注意を促したり、はっき
りと指示を出したりすることが必要です。
その上で、さっさと終わるように、効率よくできるようにしましょう。昼休みに積んだり、降ろ
したりということが多く、のんびりやっていると、時間内に終わらなくなります。
5.1
準備
まず最初に、部会のときなどにちゃんと人を集めましょう。人が足りないとどうしようもありま
せん。急用や寝坊などで来ない人の分も見越して、ちょっと多めに集めておきます。
機体係は、集合時間までには、以下のことをやっておきましょう。
• 機体の準備陸送できるように、機体の準備をしておきます。まず、ストッパーの類いはすべ
て入れておきます。それから、コックピット内にものが落ちていないか確認します。コック
ピット内にものが入っていると、陸送中はねたときなどにキャノピーを突き破るかもしれま
せん。同様の理由で、縛帯もちゃんと固定しておきます。要するに、陸送中にバタバタ動く
ものは全部固定しなさいということです。
• 受けの準備
積み込みなら、陸送用の翼根/翼端受け、胴受け、テール受けが壊れていないか確認して、所
定の位置にセットしておきます。
逆に、降ろすのであれば、地上用の受けの類いがすぐに出せるところにあるか確認します。
• 格納庫の準備
格納庫の入り口付近にある障害物になりそうなものを片付けておきます。
5.2
機体の積み込み
手順は普段やっているとおりですので、機体係として知っておかなければならないところだけ書
いておきます。
• 持ち上げる前に
ストッパーが入っていることを確認します。主翼であれば、エルロンストッパーと、翼根部
分のロッドを固定するスポンジの 2 つです。
人が正しく配置されていることを確認します。たまに上面側から、後縁を持っていたりしま
す。どうやって翼を寝かすんでしょうか?
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• 持ち上げるとき
ちゃんと声を出してください。翼端の人と翼根の人がバラバラに動くと危なっかしいです。
• 移動させるとき
機体係は周りの障害物と当たらないか常に監視してください。持ち上げている人たちは、そ
んなに周りを見てはいません。
• 降ろすとき
受けの位置と向きがあっているか、それから受けにものが挟まっていないか必ず確認します。
でないと、ベコっとへこみます。修理大変です。気をつけましょう。
たまに、翼根を降ろしたらすぐ後縁から手を離す者がいますが、翼端が翼を降ろすまでちゃ
んと持たせるように声をかけてください。
• トラック内では
翼端受けなどに足を引っかけないように注意してください。それから、翼端やテールを交代
するときには、翼根を持っている人を止めてください。
先に水平尾翼を積んだときは、主翼を積む際に水平尾翼と主翼が当たらないか気をつけてく
ださい。
• 機トラの翼根受け
機トラの翼根受けに、翼を固定するときは、翼根と受けとの隙間が 1∼2cm ぐらい (指 1 本
分ぐらい) になるようにしてください。ギリギリまで攻めると、陸送中に翼が動いたときに
受けに当たります。
それから、ナットの締込みですが、桁を固定するバーを手で下に押さえ付けた状態で、締ま
るところまでナットを締めてやればだいたいいい感じになります。それ以上レンチで回して
いくと、桁が悲鳴をあげます。
• その他
機トラの場合、ASK21 は左側、Astir は右側、ASK23 は左右どちらにでも積めます。
阪大の ASK23 の陸送受けは、主翼は上面合せです。翼を積む順番を間違えると、やり直し
になるので、気をつけましょう。
5.3
その他
機体をトラックに積み込んだら、翼端とノーズを紐で縛って固定します。それから、ネルをかけ
て、ラバーを隙間にはさんでおきます。ラバーを入れなければならないところは、翼端受けと胴受
けの隙間です。翼端受けは固定されていないので、動きます。他は、気休め程度にラバーを入れて
おいてください。
あと、機体以外に、以下のものを積みます。
• シート
• 繋留グッズ
• 機体バッグ
11
• ピンケース
• スペアタイヤセット
• パラシュート
• 自記高度計
• テールドーリ (持って行きたいなら)
5.4
繋留チェック
積み込んだ後と、陸送途中のサービスエリアごとに繋留チェックをします。
積み込み後にチェックする点は、
• 工具等の置き忘れ
• ボルトがしまっているか
• ストッパー類が入っているか
• 縛帯の固定、キャノピーロック
それから、毎回確認しなければならないのはしっかり固定されていない部分で、具体的には
• 胴体が回っていないか
• 主翼が翼根受けから抜けてきていないか
• 翼端受けが動いていないか
5.5
格納庫に機体を降ろすときの注意点
格納庫に機体をおろす場合は、どんな整備をするか考えて整備しやすいように、また、格納庫が
広く使えるように降ろしましょう。
上手に格納庫を使うポイントは、胴体や主翼を互い違いにして、無駄な隙間を作らないことと、
格納庫の奥行き方向を上手に使うことです。作業がないものについては、隙間はギリギリまで詰め
てしまって構いません。
12
第 6 章 組みたて/分解
6.1
必要な物
ASK23 の組み立てには、以下のものが必要です。
• 胴体、主翼、水平尾翼
• ピンケース
• 胴受け
• グリース
6.2
必要な人数
もし、3 分程度で組み立てる自信があるのなら、必要な人数は自分を含めて 4 人です。しかし、
組み立てに慣れていない場合は、7 人以上で行なってください。あとは、技量に応じて必要な人数
を決めていったください。
注意すべきこととして、学連ルールでは機体の組み立ては整備士か自家用操縦士がみていること
となっています。ですので、組み立てるメンバーの中に、有資格者を入れるか、教官に見ててもら
うかしなければなりません。
6.3
準備
まず、組み立てる場所を選びます。傾いているところや、機体が横風を受ける向きは、組み立て
にくいのでさけたほうが無難でしょう。
場所を決めたら、胴体、主翼を持っていきます。主翼は、翼根についているロッド固定用のスポ
ンジを忘れずに取り外します。また、スポイラーはロック、エルロンストッパーも入れておきます。
6.4
グリースアップ
グリースアップは、グリースを塗るだけですが、機体を組む者は必ずグリースアップの状態を確
認してください。それと同時に、結合金具の状態や、桁の状態を確認します。この辺りは、組んで
しまうと診れません。
なお、主翼のグリースアップは、トラックに載せた状態で済ませてしまった方が楽です。あわて
て翼を降ろしても、グリースアップが終わるまで持っていなければならないのはしんどいだけです。
13
6.5
主翼の組み付け
左翼 (桁がフォークの方)、右翼 (桁が I の方) の順番に胴体にさして、ピンを 2 本入れるだけで
す。慣れれば簡単なので、その場で先輩に教わりながらがんばってください。
組み立ての際は、声をしっかり出して意思疏通をはかりながらやってください。そうしないと、
ケガをしたり機体を壊すことになります。特に、翼端の人に指示を出すときは左翼なのか右翼なの
かはっきり言うようにしましょう。
そのほか、注意点としては、主翼を入れるときにエルロンのロッドが胴体に当たることがあるこ
とがありますが、この時不用意に手を入れると手が胴体と主翼に挟まれます。
それから、極端に上反角がついた状態で主翼を無理に胴体に入れると、胴体にクラックが入りま
す。実際、何度もクラックが入っています。
操縦系統を組み付けるときに、他の人がスティックを動かしたりすると、痛い目にあいます。注
意しましょう。
6.6
水平尾翼の組み付け
これも、慣れてください。
注意すべき点は、水平尾翼を持つときにエレベーターをしっかり保持させるようにしてくださ
い。水平安定板はストッパーではありません。バタバタさせるとそのうち壊れます。
ちなみに、コツは垂直尾翼の上に水平尾翼が乗ったら、水平尾翼を持っている人に力を抜かせま
す。そうすると、簡単に組めます。
6.7
残りの作業
組み立てが終わったら、胴受けから機体を降ろして、組み立て後の点検を行います。組み立て後
点検は、朝点表にしたがって、点検しますが、普段の朝点のときより組み付け状態や、動作確認は
念入りに1 やりましょう。
1 朝点で手を抜いてよいということではありません。
14
第 7 章 定時点検
ASK23 は、マニュアルで 100 時間ごとの点検が定められています。また、学連ルールで1 50 時間
ごとに点検を行っています。ですので、前回の点検から 50 時間以内に点検しなければなりません。
定時点検は、整備士の仕事なので、機体係は指示されたことを手伝えば OK です。ただ、必要な
ものの準備などは、機体係でやってください。
7.1
定時点検でやること
本来は、メンテナンスマニュアルで指示されたことをやれば OK です。ですが、学連の定時点検
表があるので、それにしたがって必要なことをやります。
具体的にやることは、以下のようなことです。
• 掃除
• 給油
• ギアばらし
• 点検
7.2
準備するもの
やることを考えれば、おのずと必要なものはわかります。
• 工具
最低限、シートパンを外すためのマイナスドライバーと、ギアばらしに必要な 17 番のソケッ
トレンチ 2 本と 13 番のオープンエンドレンチ、それから空気圧ゲージが必要です。不具合が
あれば、修理しなければならないので、ツールセット一式を用意しておきます。それから、
点検のために点検鏡とライトを用意しておいてください。
• 油脂など
洗浄/給油などを行いますので、必要な油脂類などを用意しておきます。
洗浄には、ガソリン、アルコール、ベンジン、それからブレークリーンがあればよいでしょ
う。給油には、グリースと、エンジンオイルもしくはミシン油を用意してください。
そのほか、スリップマークをつけ直すためにタッチペンなども必要です。
1 よく読んでみると、50
時間点検は不要だと読めるのだが。
15
• そのほか
洗浄などを行うので、ウエスがたくさん必要です。ウエスは、色つきのものは不可です。白
いやつを用意してください。
ガソリンを入れたり、ネジを入れておいたりするために、紙コップも何個か使います。
ギアをばらすためには胴受けが必要です。それから、ギアを分解するときに、下に敷くもの
がほしいです。機材係に言って、ブルーシートなどを借りてください。
エルロンやエレベータの隙間に張ってあるシーリングテープもはがしてしまうので、貼り替
えるのに必要な分を用意してください。
もちろん、掃除グッズは必要です。
機体のマニュアルや、航空日誌もすぐに見れる場所に置いておいてください。たまに、必要
になることがあります。
• 整備士
いないと、定時点検ができません。ピストに早めに言って、用意してもらってください。直
前2 だと、整備士が捕まらないでしょう。
7.3
作業
定時点検の作業は、整備士と打ち合わせてやってください。大抵、機体係はギアばらしとか、給
油作業をやります。
7.4
作業後
定時点検は、整備士の確認が必要ですので、作業が終わったら航空日誌をもっていってはんこを
押してもらいましょう。
2 前日に「明日来てください」とか言われても困るのだ。
16
第 8 章 耐空検査
8.1
耐空検査とは
耐空検査は、よく自動車の車検に例えられます。おおかた、それで正しいのですが、車検では自
動車がちゃんと走るかどうかを主に検査します。それに対して、航空機の整備は基本的に整備士が
確認して、耐空検査では機体の状態だけでなく普段からその機体がちゃんと整備されているかどう
かもみられます。
8.2
耐空検査の流れ
耐空検査のおおまかな流れを以下に示します。
1. 整備士の手配
耐空検査員に申請書類を出す前に、整備士に機体の状態をみてもらって、耐空検査を受ける
までにどんな作業を行なうか決めます。ですので、申請書類を出す半月前までには整備士を
見つけて、一度機体をみてもらってください。
2. 申請書類の提出
耐空検査員に耐空検査の申請をします。法的には耐空検査の当日に出しても OK ですが、1ヶ
月前には出しましょう。ちなみに、学連 (の耐空検査員) に耐空検査を依頼する場合、受検希
望日の前月 20 日が期限です。この辺りは、グライダースポーツ手帳を読みましょう。
書類は、まず最初に先輩にチェックしてもらって、次に整備士にチェックしてもらってから、
提出してください。
3. 耐空検査準備作業
サーキュラーの、「TCM-23-013-76 自家用航空機の整備について」に、耐空検査前にすべき
作業が書かれています。基本的には、ここにある作業内容と、修理などが必要であればそれ
らの作業を行ないます。
4. 耐空検査書類の作成
めんどくさいです。必要な書類は、サーキュラーの 1-001 に書かれていてるので、それに合
わせて作成します。書類は、日本航空協会滑空機検査事務局に 1 部、航空局に 1 部、手元に
1 部の合計 3 部必要です。
5. 耐空検査受検
機体の整備と書類ができて、初めて耐空検査受検になります。受検のときは、基本的に担当
整備士の立ち会いが必要です。
17
8.3
耐空検査申請書類について
申請に必要な書類と、書き方は以下にリストアップしておきます。
• 耐空検査申請書
航空法施行規則にあります。耐空検査員に申請する場合は、収入印紙を貼る必要はありま
せん。
手数料区分は、耐空検査員に依頼する場合関係ないので空欄にしておきます。
10 条 4 項は、第 1 号だけ該当するので、「第 1 号」とだけ書いておきます。ちなみに、第 2
号は騒音、第3号は排出物の基準です。
連絡先は、機体係の連絡先を書いておきます。
• 様式 I-1 航空機現況表
様式 I-1∼様式 I-5 までは、サーキュラーの 1-001 にあり、書き方も載っています。様式 I-1
は、航空日誌をみながら埋めていけばいいだけです。
– 1 登録
航空日誌の最初のページにある、登録記号、登録番号、登録年月日を書き込みます。
– 2∼4 耐空証明/運用限界
耐空証明書や運用限界等指定書を見て書き込みます。
– 5 定置場・検査実施検査官室等
定置場は、登録証明書に書いてあります。検査実施検査官室の欄は、グライダーの場合
は航空局の検査官ではなく、耐空検査員が検査するので空欄にしておきます。それから、
検査希望場所は、「木曾川滑空場」など検査を受けたい場所を書き込みます。
– 6 検査・事業区分
検査区分は、通常「定期」でしょう。事業区分は、グライダーの場合「自家」(自家用の
こと) です。
– 7 作業内容
「年次点検」とか適当に書いておきます。
– 8 使用者等
「大阪大学体育会航空部」など。
– 9 作業者
耐空検査の担当整備士のライセンス No. と名前を書き込んでください。
– 10∼14 機体
航空日誌を見て、適宜書き込んでください。
– 15∼27 発動機/騒音/プロペラ/排出物
エンジンはついていないので、全部空欄です。
– 28 申請者氏名または名称・作成年月日
申請者は、
「大阪大学体育会航空部」など。耐空証明申請書の申請者と合わせましょう。
作成年月日は書類を書いた日。
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• 様式 I-2 航空機経歴表
過去の耐空検査や修理改造検査の実施記録です。航空日誌の整備の記録をみれば、受験日、
総飛行時間、耐空検査準備作業の内容などは書いてあります。
• 様式 I-3 耐空性改善通報実施状況
TCD の実施状況について書きます。ここに書くのは、その機体に該当する TCD だけで、送
られてきた TCD をすべて書く必要はありません。
• 様式 I-4 飛行規定の状況
飛行規定の状態を書きます。飛行規定の表紙にある承認日を書き込んでください。
飛行規定が、型式証明飛行規定か原飛行規定管理のものであれば、TC または原飛行規定に
チェックを入れます。なんのことかわからなければ、わかりそうな人に相談してください。
それから、追加飛行規定についてですが、グライダーで追加飛行規定のある機体はめったに
ありません。もし追加飛行規定があるのなら書かなければなりませんが、たいてい空欄にな
ると思います。
• 様式 I-5 運用様式限界及び無線航法機器等装備状況表
運用様式は、飛行規定に書かれている運用様式にチェックを入れます。グライダーの場合は、
普通「有視界飛行」「昼間」にチェックを入れます。酸素ボンベを積めば、「高高度飛行」に
もチェックを入れることになるでしょう。
無線機器の方は、搭載している無線機器の数を記入します。「HF」は、グライダー無線のこ
とではなく、海上を飛行する旅客機などに積まれているものです。注意してください。
• 作業計画書
耐空検査準備作業で行なう予定の作業をリストアップして書類にしてください。
• 整備経歴
前回の耐空検査後に実施した整備作業をリストアップします。航空日誌の整備欄にあるもの
をそのまま写して書類にするだけです。
8.4
耐空検査準備作業
耐空検査前にやらなければならない作業は、サーキュラーの TCM-23-013-76「自家用航空機の
整備について」で定められているものと、機体のマニュアルで定められているものを最低限行ない
ます。それに加えて、念のための作業が幾らかあります。
具体的には、
• 掃除
合宿後整備でやっているような掃除作業をします。100 時間点検で脚まわりを分解したりす
るので、普段できないところまで掃除できます。きれいにしてやってください。
• 100 時間点検相当の点検
脚まわりを分解して点検したり、給油の必要な個所に油を入れたりする作業があります。作
業が済んだら、整備士の点検を受けます。
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• 染色浸透探傷検査
金属部品の表面の傷などを確認する方法で、100 時間点検の一部としてやっています。作業
自体は、スプレーでインクを吹き付けるだけで簡単ですが、スプレーが無いと話にならない
ので、洗浄液、染色液、現像液の3本ともスプレーが残っているかみておいてください。
なお、やり方はグリーンブックなどに載っています。
• 主翼の固有振動数の測定
マニュアルにやれと記載があるので、重心位置を測るときについでに測定します。主翼をパ
タパタ振るだけです。
• 重心位置/寸度/舵角の測定 (念のため)
通称「計測」などと言われているヤツです。毎年測定する必要はないのですが、やっていな
いと部員がやり方を忘れるとかなんとかで、毎年やっています。
もし実施する場合は、整備士と場所と秤を確保しないといけません。整備士の都合のよい日
を聞いて、それに合わせて体育館を確保してください。阪大の体育館は、体育会の集まりの
ときに取り合いをしているので、主務の人に言っておけば取ってくれるでしょう。秤は普段、
南海工機 (0722-33-2635 堺市砂道 2217) で借りていますが、工学部とかでも借りられるので
はないでしょうか? 南海工機から借りる場合は、早めに予約しておくようにしてください。
いるものリスト
– 秤× 2 台 (重量及び重心位置の測定用)
– 水準器/1000:40 の板/コンクリートのブロック (レベリング用)
– 下振/布テープ/マジック (アーム測定用)
– メジャー (10m 以上の長さが必要。寸度測定用)
– 物差し/中立指示器 (舵角測定用)
– 電卓もしくはパソコン
暗算が得意な人は不要かもしれません。
• コンパススイング (念のため)
コンパスの自差を修正する作業です。組んだ状態で機体を動かさなければならないので、耐
空検査受検日に、滑空場でやることが多いです。標定コンパスを借りないといけないので、
当日使えるように手配しておいてください。
コンパスの誤差の許容範囲は耐空性審査要領で定められていて、無線機が載っている状態で
± 15 度までです。誤差の修正方法は AC43 や整備士ハンドブックなどに載っています。
また、時間管理部品の交換も耐空検査準備作業中に行なうことが多いので、これについてもリス
トアップしておきます。
• 高度計/静圧系統
2 年ごとに点検。TCL-120A-77 / TCI-6-013-70 参照。
普段、高度計の検査は、八尾空港内にあるユニオン電業 (0729-91-6777 八尾空港 2 丁目 12 番
地) に依頼しています。
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• レリーズ
4 年ごともしくは 2000 曳航ごとに交換。TOST Safty Release のマニュアル参照。
Aero Vison や JMGC 大利根に電話するとオーバーホール品を送ってくれます。外したレリー
ズを送り返すのを忘れずに。
• シートベルト
12 年ごとに交換。ベルトのマニュアル参照。
8.5
耐空検査書類の作成
耐空検査の際に必要な書類は、サーキュラーの 1-001 に載っているので、その表にしたがって必
要な書類を作成します。ほとんどの書類は前年のものを手直しするだけで使えるはずです。
書類を作成するときは、書類同士や航空日誌と矛盾がないようにちゃんと作ってください。たま
に航空日誌の記載と書類の中身が違ったりすることがあります。
8.6
耐空検査受検
耐空検査受検日の流れをおおざっぱに書いておきます。
1. 地上検査
まず最初に、耐空検査員に地上で機体をみてもらいます。ばらした状態でみたがる方もいる
ので、組み立てるときは、耐空検査員に組んでいいか聞いてからにしてください。
2. 飛行検査
次に、飛ばしてみます。普通、1 回もしくは 2 回の飛行を行ないます。あらかじめ合宿のピ
ストと話をつけておいてください。
3. 書類提出
本来、最初に書類を提出するのですが、書類の処理は最後になることが多いように思います。
書類がちゃんとできていれば書類を提出して、耐空証明書を受け取るだけですが、書類不備
があると・
・
・。
耐空検査当日に必要なもの
• 耐空検査員
いないと話になりません。都合がつくように日取りを決めてください。もし予定日が雨で検
査ができないこともあるので、耐空検査員の都合に合わせて予備日も設定しておくようにし
てください。
• 整備士
担当整備士の立ち会いが必要です。
• 曳航に必要なもの
WT するなら、ウインチやウインチオペレーター、索端セットなど。AT するなら、曳航機
とタグパイ。合宿するなら普通は揃っているが。
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• 標定コンパス
もし、コンパススイングを行なうのであれば、標定コンパスも用意します。
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第 9 章 書類の保管などについて
まず、航空機に載せなければならない (グライダーは搭載を免除されている) 書類として、
• 航空機登録証明書
• 耐空証明書
• 運用限界等指定書
• 航空日誌
• 飛行規定
の 5 つがあります。これらの書類は飛ぶ上で必須の書類です。それから、保険の写しも必要です。
法的には保険をかける必要はないのですが、かけてないと怖くて飛べません。
これ以外の書類には、
• 機体のマニュアル
製造者がだしているマニュアルで、Flight Manual と Maintenance/Repair Manual の英語と
ドイツ語版があります。
• 装備品のマニュアル
レリーズやシートベルト、計器類のマニュアルです。使用方法や、使用期限などが書かれて
います。その装備品を外すまで保管する必要があります。
• 装備品のタグ類
装備品の耐空性を証明するものです。その装備品を外すまで保管する必要があります。
• TCD/SB ファイル
過去に発効された TCD(耐空性改善通報) や SB などのファイルです。該当する TCD や SB
は取っておかなければなりません。
• 過去の耐空検査書類
少なくとも前回の分は取っておきましょう。
• それ以外
引き継ぎノートとか、法的な根拠がない書類はなくしちゃったら、ごめんなさいで済みます。
でも、無くさないように。
書類の管理については、TCM-23-013-76 「自家用航空機の整備について」に書類の保管の基準
があるので、それにしたがって必要な書類を保管するようにしてください。
23
第 10 章 TCD の取り扱いについて
10.1
TCD とは
TCD(耐空性改善通報) は、航空局から航空機の所有者に送られてくるもので、航空機の安全性
に問題が見つかったときなどに発効されます。普通、「危ないからこれこれの処置をやってから飛
んでね」という内容で、TCD が発効された場合には、基本的に処置を済ませなければ飛んではい
けません。また、処置を行なわない場合、航空局の立入検査があったり、耐空証明の取り消しなど
の処分になることもあります。
TCD については、サーキュラーの 3-001 にあります。
10.2
TCD の報告制度
所有者が本当にちゃんと実施しているのか確認するため、TCD を実施したかどうかを航空局に
報告をするように義務づけられています。
そのため、TCD が届いたら報告を出さねばなりません。以前は報告は整備士が書くようになっ
ていましたが、最近は航空機の所有者か使用者、整備士のいずれかが書けばよいことになっていま
す。ですので、現在では TCD が届いたら機体係が報告の処理をすることができます。
※報告は 1 週間以内に出さねばなりません。
10.3
該当/非該当について
送られてくる TCD の中には、シリアル No. が違うであるとか、そんな装備品は積んでないの
に、といった自分のところの機体とは関係のない TCD も送られてきます。航空局も忙しいので、
個別の機体のシリアル No. や装備している装備品などまでは調べずに、引っ掛かりそうな航空機
をもっている人全員に TCD をばらまいています。そのために、上記のように TCD が来たけどう
ちの航空機は関係ないよ、という事はよくあります。
ただし、このように非該当の TCD であっても、非該当であるという主旨の報告をする必要があ
ります。
10.4
TCD の報告の流れ
まず、TCD は航空局から航空局の所有者に送られてくるので、阪大なら学生部に届き、その後、
航空部に回送されてきます。
そうして TCD が届いたら、まずその TCD が該当するものかどうか判断します。明らかに非該
当であることがわかれば、その趣旨の報告書を書きます。
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もし、該当する場合は、報告までに TCD の処置の予定を立てねばなりませんので、整備士に相
談の上、報告書を書きます。報告の期限が 1 週間ですので、早めに相談するようにしましょう。ま
た、該当か非該当かよくわからない場合についても、わかる人に相談するようにしてください。
報告書を書いたら、まずコピーを 2 部とり、1 部を学生部に持っていきます。もう 1 部は機体バッ
グの TCD ファイルに送られてきた TCD と報告書のコピーを綴じておきます。
コピーを取ったら、報告書を、(財) 日本航空協会 滑空機検査事務局 (〒 105-0004 東京都港区新
橋 1-18-2 TEL 03-3502-1201) まで郵送します。
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