競泳:松田 丈志 選手 トレーナー帯同報告 第 91 回 日本選手権水泳競技大会 競泳競技 兼 第 16 回 世界水泳選手権 代表選手選考会 期 日:2015 年 4 月 7 日(火) 〜 12 日(日) 会 場:東京辰巳国際水泳場 理学療法士 副部長 樋口 暢寛 健康運動指導士 野中 岳 【日本選手権水泳競技大会 競泳競技】 本大会は、平成 27 年 8 月 2 日から 9 日にかけてロシアにて行われる第 16 回世界水泳 選手権の代表選考会も兼ねる大会であり、各年代の代表クラスの選手の集う日本トップ クラスの競技大会です。 【松田選手 出場種目】WR:世界記録 NR:日本記録 ・200m バタフライ WR:1’51”51 M.フェルプス(2009) NR:1’52”97 松田丈志 (2008) ・100m バタフライ WR:49”82 M.フェルプス(2009 ) NR:51”00 川本耕平 (2009) 【帯同初日】 帯同初日は昼過ぎにクリニックを出発し、夕方今回開催されるある東京へ入りました。 当初、松田選手はこの日行われる 200m 自由形へ出場予定でしたが、翌日行われる専門 種目である 200m バタフライに集中するため出場されませんでした。 そのため、松田選手、久世コーチらの宿泊先にて合流した際には、既にコンディショニ ングを終えてあり、松田選手らに挨拶をした後、翌日のミーティングを行い、初日を終 えました。 【帯同 2 日目】 帯同 2 日目は、出場する 200m バタフライ予選が 10 時より行われる 為、松田選手らとは 7 時 30 分に合流し、開場と同時に入場しました。 松田選手はプールサイドに到着するとすぐにストレッチを開始され ました。ストレッチでは、アクティブなクイックストレッチが中心 でストレッチ後には、セラチューブやバランスボールを用いての補 強運動が行われ、その後プールに入水しレース開始1時間前までは 泳いで調整されていました。この一連の流れは松田選手の中でルー チンとなっているそうです。この際、トレーナーの動きとしまして は、ストレッチや補強運動の際に補助として入り左右差についてフォームチェクする程 度であり、その日のアップメニューについては、その日に松田選手が決めているとのこ とでした。 〜 200m バタフライ予選結果 : 1’56”74 〜 予選は全体の 3 位で準決勝へ進出されました。予選後はサブプールにて 約 20〜30 分程度ゆっくり泳ぐクールダウンを行われました。以前の帯 同でも話がありましたが、松田選手、久世コーチはこのクールダウンを 非常に重要視されており、行うか行わないかでは疲労の蓄積、故障の危 険性が大きく違うと話して頂きました。クールダウン後には、予選の泳 ぎをビデオでチェックし、準決勝に向けてミーティング、昼食、プールサイドにてトレ ーナーよりコンディショニング、仮眠という流れで午前の日程を終えました。 午後は仮眠を取り終えた後、午前同様に一連のウォーミングアップが行われ、準決勝に のぞみました。 〜 200m バタフライ準決勝結果 : 1’56”23 〜 向かえた準決勝では、予選より 0.5 秒速いタイムで全体2位 で決勝進出となりました。 クールダウンなどを終え、松田選手らが宿泊先のホテルに移 動すると、夕飯を取りながらミーティングが行われました。 ミーティングでは、本日のスイムの反省点や明日の決勝にむけたスケジュールの調整な どを、松田選手の意見とコーチの意見を今までの経験なども踏まえながら気持ちと身体 が一番良い状態で決勝に挑めるよう話し合われていました。 夕食後のコンディショニングにおいては、昼食後のコンディショニングと同様に施行さ れました。昼食後と違った点としましては、予選と準決勝で酷使したことによる筋肉の 張りをほぐす為により時間をかけてコンディショニングが行われていました。 【帯同 3 日目】 帯同 3 日目は、松田選手が出場される 200m バタフライ決勝は 18 時と午後からの日程でしたが、私たちは午前より会場入りし、 プールサイドにて他のトレーナーの動きなどを学ばせていただ きました。プールサイドにはストレッチマットやマッサージベ ッドがずらりと並び、トレーナーの手技もさまざまであること から、数多くのコンディショニング方法を見ることができました。トレーニングに関し ましては、腹圧を意識したトレーニングが多く行われていたように思えます。 松田選手と久世コーチらは2時過ぎに会場入りし、まず昨日の泳ぎをビ デオでチェックされ、チェックを終えると通常通りの流れでストレッチ や補強運動を行われました。本日もセラバンドやバラ ンスボールを用いてウォーミングアップが行われてい ましたが、本日は昨日に比べより体幹を意識したメニューが取り入れ られ、補強運動後は決勝1時間前まで水中で調整されてありました。 その後は音楽を聴いたり、バランスボールを使用して決勝本番まで心 身ともに最終調整を行われていました。 〜 200m バタフライ決勝結果 : 1’56”02 〜 決勝は、途中 150m のターンまでトップで泳ぎ、ここ最近では一番良いタイムで 3 位と いう結果でした。 3 位ということ、1 位・2 位の選手が派遣標準記 録を突破したことから、代表入りは逃してしまい ましたが、泳ぎは決して悪くなく、むしろ良い方 向に進んでおり、今後のトレーニングプランに関 して松田選手と久世コーチで前向きに話されて ありました。 宿舎に戻り夕飯の際のミーティングでは、明日からの 100m バタフライに関して話され、 今大会前に行われたフランス遠征より調子は上向きであり、スピードも出せていること から、手応えを感じてあるようでした。 【帯同 4 日目】 帯同 4 日目は、午前より 100m バタフライ予選が行われました。 200m バタフライ予選の時と同様、施設開場と同時に会場入りし、プールサイドにて松 田選手はストレッチや補強運動を開始されました。その後はレース1時間前まで水中で 調整するという、ルーチンワークを行いました。 〜 100m バタフライ予選結果 : 53”62 〜 予選は全体の 14 位で午後からの準決勝へ進出されました。 予選後はクールダウン、昼食、コンディショニング、仮眠 の流れで過ごされ、準決勝2時間前より再度ストレッチや 補強運動で調整が行われました。午後からのウォーミング アップに関しては、午前中に予選を行っている際は、午前ほど時間はかけずにウォーミ ングアップが行われます。 予選から準決勝まで決して長い休憩時間ではない為、いかに短時間で疲労回復させるか が重要であり、マッサージに関してもあまりにも時間をかけてしまうと不安視させる場 合もあるので、限られた時間でチェック、コンディショニングする能力が必要であると 久世コーチよりお話しして頂きました。 〜 100m バタフライ準決勝結果 : 53”38 〜 準決勝では、予選より 0.24 秒速い記録でしたが、全体 で 13 位と残念ながら準決勝敗退、そして代表入りも逃 してしまいました。 バタフライに集中してのぞんだ今大会に関して、松田選手は「悔いは無い」と話されて ありました。 【体幹トレーニングについて】 今大会期間中、久世コーチにお話し頂いた事として体幹 トレーニングの重要性を強調されていました。 水中での体幹の安定は水の抵抗を受けない為に重要で あり、体幹の弱い選手は疲労と共にフォームが乱れタイ ムロスに繋がると教えて頂きました。そのため、水泳連 盟としては水泳選手に対して体幹トレーニングを重点 的に指導しており、今回大会期間中プールサイドなど多 くの場所で、学生から松田選手らトップアスリートまですべてのカテゴリーの選手らが 実施しているのが見受けられました。そのトレーニングを指導しているのが、トレーナ ー達です。以前は指圧師や柔道整復師が中心となってトレーナーとして活動されてあり ましたが、最近は理学療法士も増えてきていると話されていました。そのトレーニング は、どの理学療法士が行っても同じ結果となることが理想であるというコンセプトのも と活動されているとのことでした。 このような大変貴重な経験をさせて頂いた、松田選手、久世コーチ、堀内トレーナー そしてこのような大会に帯同に派遣して頂いた院長、ありがとうございました。
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