HHT JAPAN 2015 脳・脊髄とHHT 小宮山雅樹(こみやま まさき) 大阪市立総合医療センター 脳血管内治療科 HHTにおける脳症状は、1、脳自身の病変と2.他の部位の病変による脳への影響に分けること ができる.1は、脳・脊髄の動静脈奇形からの出血や局所脳症状、痙攣が主症状であり、2は、 肺動静脈ろうからの一過性脳虚血発作・脳梗塞や脳膿瘍、多血症による一過性脳虚血発作・脳梗 塞、肝臓の機能不全による肝性昏睡が挙げられる.脳動静脈奇形は、多発性・表在性で、a. 動静 脈ろう、b. 3 cmより小さなnidusを持つ脳動静脈奇形、c. 1cm以下のmicro-AVMに分けられる. 脳MRのT1強調画像で、基底核(淡蒼球)に両側対称に高信号を呈するマンガン沈着は無症状で あるが肝の門脈-静脈シャントの存在を示す.HHTと直接の関連は証明されていないが、脳皮質形 成不全やdevelopmental venous anomaly、脳動脈瘤の合併の報告がある. 自験139例(男性73名、女性66名、年齢2-78歳)のHHTの確診症例における脳及びその関連疾 患は以下であった. 脳動静脈奇形は、136人中27人に認められた (19.9%, HHT1の21人、HHT2の1人、多発例1 2例、単発例15例)、肺動静脈瘻は、137人中73人に認められた (53.3%, HHT1の43 人、 HHT2の6人).肺動静脈瘻を持つ患者のうち17人に脳梗塞が、3人に脳膿瘍が認められた.脳MRI のT1強調画像上の基底核の高信号が136人中51人に認められた (37.5%, HHT1の9人とHHT2 の28人).肝臓の動静脈奇形を、136人中61人に認めた (44.9%, HHT1の15人とHHT2の29人). 脳動静脈奇形と肺動静脈瘻は、HHT2よりもHHT1に多く、肝臓の動静脈奇形は、逆にHHT1より もHHT2に多かった.すべてp < 0.01の有意差があった. 脳皮質形成不全(1例)やdevelopmental venous anomaly(2例)、脳動脈瘤(3例)も認め られた. Key word: brain abscess, brain AVM, brain infarction, spinal AVM, paradoxical embolism, 参考文献 小宮山雅樹:遺伝性出血性毛細血管拡張症.循環器内科 77:327-330, 2015 小宮山雅樹:遺伝性出血性毛細血管拡張症.脳卒中の外科(in press) Komiyama M, et al: Neuroradiological manifestations of hereditary hemorrhagic telangiectasia in 139 Japanese patients. Neurol Med Chir (Tokyo) (in press) Komiyama M
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