第132回講演会(2015年 5月28日, 5月29日) 日本航海学会講演予稿集 3巻1号 2015年4月30日 コンテナターミナルにおけるリーファー・コンテナの 蔵置時のルーフ・シェードの省エネ効果に関する研究 正会員 篠田 岳思(九州大学大学院) 学生会員 ○ M. Arif Budiyanto (九州大学大学院工学府) 要旨 2005 年の京都議定書が発効し温室効果ガス削減目標が課され、温暖化防止に対する対策への取組が求めら れている。このうち、港湾からは、本船の停泊時や荷役オペレーションや港湾を経てなされる物流活動によ り温室効果ガスの排出がある。温室効果ガスの排出削減への取組として、博多港ふ頭の香椎およびアイラン ドシティ・コンテナターミナルでは、RTG の電動化の設備への推進や、ハイブリッド型ストラドルキャリア の試験的導入、リーファー・コンセントでの日除けのためのルーフ・シェードの試験的設置等が行われており、 温室効果ガスの排出削減技術への期待が高まっている。 本研究では、リーファー・コンテナの蔵置場所にルー フ・シェードを設置した際に期待される電力削減効果について検討した。 キーワード:物流・海運、温室効果ガス、リーファー・コンテナ、省エネ、ルーフ・シェード 1.緒言 3.温熱シミュレーションによるリーフ リーファー・コンテナは冷媒であるフロンを圧縮、 ァー・コンテナの温熱環境の性能評価 リーファー・コンテナの熱影響要因には、主に日 凝縮、膨張、蒸発させてリーファー・コンテナ内の 冷蔵・冷凍を行っている。このときの消費電力は、 射による輻射熱伝達、暖められた空気による熱伝達、 主に冷媒の圧縮を行うコンプレッサーによるものが リーファー・コンテナの断熱材の熱伝導、コンテナ 大きい。冷凍コンテナの省エネ化には、冷凍機の改 庫内の熱伝達が主にある。また、ルーフ・シェード 良、運転方法の効率化、コンテナ外部から内部への を検討する際にはルーフ・シェードからの再輻射に 熱侵入を抑制する必要がある。ここでは、コンテナ る熱影響を考慮する必要もある。ここでは、これら ターミナルでの蔵置場所での省エネ性向上の見地か の熱影響要因を考慮した流体固体熱連成モデルとし ら、主に内部への熱侵入の抑制対策の検討として、 てリーファー・コンテナの温熱シミュレーションモ デルを構築して、リーファー・コンテナの温熱環境 ルーフ・シェードによる効果の検証を行う。 についてシミュレーションを実施した。なお、温熱 シミュレーションには熱影響要因を主に検討するた 2.環境要因によるリーファー・コンテナ への温熱影響調査 めに、リーファーコンテナの代表面として中央断面 リーファー・コンテナの暑熱環境下での蔵置には、 をとり2次元モデルとして検討した。また、先に述 日射や気温上昇、路面輻射、排熱部周りの温度上昇 べたリーファー・コンテナへの温熱影響調査の結果 からリーファー・コンテナに大きな省エネ阻害要因 とシミュレーション計算の比較を行い、シミュレー が起こりうる。このため、コンテナへの電力計の設 ションの有効性を確認した。 置と、環境要因として各方位の日射計測計の設置、 リーファー・コンテナの内外の代表温度 19 点の温 4.結言 熱モニタリングから、暑熱環境下での冷凍機の作動 コンテナターミナルでのリーファー・コンテナの 状況について計測調査を行う。ここでは6本の製造 日射下での蔵置について、リーファー・シェードの 年月の似たリーファー・コンテナを用いて、2組の 遮熱効果について計測調査により検討したところ、 3段積みの組合せを作り、一方にはルーフ・シェー 12% 程度の省エネ効果があることを確認した。また、 ドを施した状態、一方には通常の使用状態として屋 温熱シミュレーションによるリーファー・コンテナ 外の環境に曝された状態として蔵置を行い、これら の温熱環境の性能評価の有効性を確認した。 の 2 組みのリーファー・コンテナの作動状態の比較 から計測により省エネ効果を把握した。今回の省エ 謝辞 ネ効果の比較方法の検討によると、12% 程度の省エ 本研究は九州大学と博多港ふ頭株式会社の共同研 ネ効果があるものと推定した。 究により実施された。 26
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