紋別市水道ビジョン(素案) ~オホーツクの恵みとともに 平成 笑顔を届ける 年 月 紋 別 市 水 道 部 紋別の水~ 目 次 1. 策定の経緯と背景 ......................................................................................................... 1 1.1 経緯 ............................................................................................................................. 1 1.2 背景 ............................................................................................................................. 2 2. 水道ビジョンの位置づけ ............................................................................................. 5 3. 紋別市水道事業の概要 ................................................................................................. 6 3.1 紋別市水道事業 ......................................................................................................... 6 3.2 給水区域図 ................................................................................................................. 7 3.3 紋別市水道事業の沿革 ............................................................................................. 8 3.4 紋別市上水道事業の施設概要 ................................................................................. 9 4. 水道事業の現状分析・評価 ....................................................................................... 10 4.1 水需要の動向 ........................................................................................................... 10 4.2 施設の現状 ............................................................................................................... 12 4.3 業務指標(PI) ........................................................................................................ 14 4.4 主要施設の耐震性評価 ........................................................................................... 17 4.5 経営状況 ................................................................................................................... 18 4.6 課題・評価のまとめ ............................................................................................... 20 5. 水道事業の将来像 ....................................................................................................... 21 5.1 基本理念 ................................................................................................................... 21 5.2 基本目標と基本方針 ............................................................................................... 21 5.3 目標年度 ................................................................................................................... 22 6. 基本方針と主要施策 ................................................................................................... 24 6.1 水道水の安全の確保 ............................................................................................... 24 6.1.1 危機管理対策 ................................................................................................................ 24 6.1.2 水質管理体制の強化 .................................................................................................... 26 6.1.3 小規模水道対策 ............................................................................................................ 28 6.2 確実な給水の確保 ................................................................................................... 30 6.2.1 水道施設のレベルアップ ............................................................................................ 30 6.2.2 人材育成・組織力強化 ................................................................................................ 31 6.2.3 危機管理対策 ................................................................................................................ 32 6.3 供給体制の持続性の確保 ....................................................................................... 34 6.3.1 水道サービスの向上 .................................................................................................... 34 6.3.2 経営の健全化 ................................................................................................................ 36 6.3.3 料金の最適化 ................................................................................................................ 37 7. 主要施策のロードマップ ........................................................................................... 39 7.1 水道水の安全の確保 ............................................................................................... 39 7.2 確実な給水の確保 ................................................................................................... 41 7.3 供給体制の持続性の確保 ....................................................................................... 42 8. 水道ビジョンの実現化に向けて ............................................................................... 44 第1章 策定の経緯と背景 1.策定の経緯と背景 第1章 策定の経緯と背景 1.1 経緯 紋別市水道部では、「第5次紋別市総合計画」に掲げた“豊かで良質な水資源の確 保”、“安全で良質な水の提供”、“水道事業の経営健全化”を基本方針として水道事業 の経営に努力して参りました。 水道事業は安全、安心、快適な水の持続的な供給を可能にするために、直面する課 題を解決し、水道サービスを一層向上させる取り組みが求められています。しかしな がら、水道をとりまく状況は大きく変化してきており、人口の減少等に伴う水需要の 変化、施設の経年使用による老朽化への対応、大地震やゲリラ豪雨などの自然災害へ の備え、水道事業を支える技術の継承、きびしい財政状況による健全経営の対応など、 外部環境や内部環境の変化により取り組むべき課題が生じています。 このような環境の変化による様々な課題を認識し、的確に対応する新たな水道事業 経営方針の策定が必要になっています。紋別市の水道は求められる課題に挑戦し、住 民の皆様に信頼されるライフラインとして、地域の関係者と連携し積極的に取り組ま なければなりません。 新たな水道事業経営 方針の策定 課題への挑戦 給水人口減少 水需要減少 水質管理 施設の老朽化 水質管理状況 水道事業経営に おける課題 自然災害 の現状 図 1-1 料金収入減少 経営基盤強化 サービスの向上 水道事業をとりまく環境変化への挑戦 1 第1章 策定の経緯と背景 1.2 背景 1) 外部環境の変化 ■水需要の減少 紋別市の人口の推移は少子化傾向から減少に方向を辿っており、また利用者の節水 意識の向上、節水機器の普及、産業構造の変化などにより水需要は減少傾向を示して おり、これらに伴う料金収入の減収は直接的に経営に影響を及ぼします。 安定した給水サービスを確保する維持管理、安全な給水を持続するための老朽施設 の更新に対応していくことは、財政状況を思慮すると厳しい経営環境にあります。 水道供給量と給水人口 単位 万㎥ 600 人 29,000 有収水量 ※1 配水量 ※2 給水人口 行政人口 550 500 28,000 27,000 450 26,000 400 25,000 350 24,000 300 23,000 250 22,000 200 ※1)有収水量 料金徴収の対象となっ た水量 ※2)配水量 飲料水を一時的に貯え る池(配水池)から配水 管に送り出された水量 21,000 1996年 2001年 2006年 2011年 ■水質管理 水道水源である渚滑川は気象変動により河川状況が大きく変化し、冬季のアイスジ ャムによる取水障害や豪雨時の濁度上昇により浄水処理へ影響を与えています。 これらの水源環境の変化や水質事故に対応し、市民に安全な水の供給に努めるた め、水源監視の強化を図り、原水から給水までの一貫した水質管理体制を整備するこ とが必要になります。 2) 内部環境の変化 ■施設の老朽化 紋別市の水道事業は昭和 6 年に創設され、水需要の増加に伴い 6 期にわたる拡張事 業を進めてきております。現在の施設の多くは昭和 40 年代に建設されたものであり、 給水の安定面から更新時期を迎えており老朽施設の更新が求められています。 老朽施設の事故による給水の停止や断水は、利用者の生活や経済活動に大きな支障 を及ぼすばかりでなく、人的被害が発生するおそれがありますので、老朽施設の更新 は計画的に進めていくことが求められています。 2 第1章 策定の経緯と背景 資産の健全度(構造物及び設備) 資産額 百万円 7,000 6,000 5,000 2,719 3,000 3,238 3,520 4,000 3,238 3,276 3,276 3,559 1,953 1,915 1,915 1,719 3,559 6,057 321 2,000 3,338 2,536 1,000 2,498 866 866 866 779 2033年 2038年 2043年 2048年 0 2013年 2018年 2023年 2028年 健全資産 経年化資産 2,344 154 2053年 老朽化資産 管路の健全度 160 140 管 路 延 長 ( k m ) 25.8 120 14.8 38.1 38.1 62.0 100 85.9 71.1 80 60 25.8 62.0 103.9 78.1 117.7 80.1 105.4 40 66.7 81.5 53.0 57.6 20 39.6 39.6 25.4 14.8 0 2013年 2018年 2023年 2028年 健全管路 図 1-2 2033年 経年化管路 2038年 2043年 4.6 2048年 2053年 老朽化管路 資産及び管路の健全度 ■自然災害への備え 水道は被災時において、ライフラインとしての機能を備えることが求められていま す。地震災害への対応は脆弱な面があり、基幹的な施設や主要な管路において十分な 耐震性能を保持するために、耐震化に向けた整備を図ることが必要となっています。 また、被災時の応急給水の準備対応や、様々な危機管理に対応する体制を充実させる 取り組みをしなければなりません。 ■経営基盤の強化 老朽施設の更新、耐震性能の向上を進めていくには多大な費用を要しますが、人口 減少などの外部環境の変化により財政が厳しい状況にあります。 紋別市の水道事業は健全経営を持続していくために、様々な経費削減を行ってきま した。今以上に長期計画に立脚した経営効率が求められ、将来の財政負担を抑制する ために適切な水道料金を設定し、健全経営を推進していかなければなりません。 3 第1章 策定の経緯と背景 ■技術の継承 水道施設は熟練した技術職員により適切に運転・管理されることで、利用者へ安全 で良質な水を提供しています。これまで培ってきた技術・ノウハウが喪失することは 大きな課題です。技術力を継承する人材育成とともに技術職員の減少を踏まえた対応 策の取り組みを行っていくことが必要です。 ■お客様サービスの向上 水道事業は安全な水を安定的に供給することにより、市民の公共の福祉の増進を図 るとともに、将来にわたり水道サービスを提供していくことが求められます。 そのためには、お客様との連携により相互理解を深め、ニーズを把握し、利便性を 向上させるなどのサービスの充実に努める必要があります。 4 第2章 水道ビジョンの位置づけ 2.水道ビジョンの位置づけ 第2章 水道ビジョンの位置づけ 「紋別市水道ビジョン」は、安全で安心な水を利用者の皆様に安定して供給すると ともに、中長期の視点から水道事業の将来を見据え、新たな水道事業経営の理想像を 明示し、今後、当面の間に取り組むべき主要施策を提示し、目指すべき方向を位置づ けるものです。 水道を取り巻く環境の変化による様々な課題を認識し、的確に対応するために、 「紋別市水道ビジョン」に掲げた目標・方針の実現化にあたっては、経営の健全化、 水道施設のレベルアップ、水道サービスの向上を具体的主要施策として盛り込んだ計 画を立案し実行するものです。 【基 本 理 念】 ~オホーツクの恵みとともに笑顔を届ける紋別の水~ 新水道ビジョン ~厚生労働省~ 推奨 報告 第 5 次紋別市 総合計画 ~紋別市~ 紋別市水道ビジョン 関連・反映 ~安全・強靭・持続~ 公表 関連・反映 ニーズ 公表 利 図 2-1 用 者 紋別市水道ビジョンの位置づけ 5 水道ビジョン 水道整備構想 ~北海道~ 第3章 紋別市水道事業の概要 3.紋別市水道事業の概要 第3章 紋別市水道事業の概要 3.1 紋別市水道事業 紋別市の水道事業は 98.9%の市民に対して給水を行っています。また、水道事 業のうち上水道事業は約 93%の市民に対して給水を行っています。 紋別市では、4つの水道事業(上水道事業:1事業、簡易水道事業:3事業)及び 4つの組合運営の事業があります。各水道事業の平成 24 年度の給水人口及び行政区 域内人口に占める給水人口の割合を表 3.1に示します。紋別市の水道事業は 98.9%の 市民に対して給水を行っています。また、水道事業のうち上水道事業は約 93%の市民 に対して給水を行っています。 表 3.1 紋別市水道事業一覧 事業区分 ※1 紋別市上水道事業 運営主体 紋別市上水道事業 大山営農飲雑用水 水谷営農飲雑用水 上渚滑簡易水道事業 上渚滑営農飲雑用水 宇津津営農飲雑用水 上渚滑簡易水道事業 小向簡易水道事業 沼の上簡易水道事業 沼の上簡易水道事業 東部営農飲雑用水 元西地区営農飲雑用水 藻別地区営農飲雑用水 元紋別地区営農飲雑用水 小向地区営農飲雑用水 その他 行政区域内人口に占 給水人口(H24) める給水人口の割合 紋別市 92.9% 22,455 紋別市 4.7% 1,148 紋別市 0.7% 179 紋別市 0.6% 155 組合 組合 組合 組合 - 1.1% 233 100.0% 24,170 合 計 ※平成 24 年度 行政区域内人口 24,170 人 簡易水道, 6.0% その他, 1.1% 上水道, 92.9% 図 3-1 事業区分別給水人口割合 ※1)水道事業の区分 上水道事業:水道事業のうち簡易水道事業以外の、計画給水人口が 5,000 人を超える事業。 簡易水道事業:計画給水人口が 5,000 人以下である水道によって水を供給する水道事業。 営農飲雑用水:農業生産と農村生活の両面にわたる多目的用水を供給。 50.0% 60.0% 70.0% 80.0% 6 90.0% 100.0% 110.0% 第3章 3.2 給水区域図 給水区域図を図 3-2に示します。 図 3-2 給水区域図 7 紋別市水道事業の概要 第3章 紋別市水道事業の概要 3.3 紋別市水道事業の沿革 紋別市の上水道事業は、昭和 6 年に給水を開始し、随時拡張を重ねてきました。 現在の計画給水人口は、23,000 人、計画一日最大給水量は 20,250 ㎥/日となっ ています。 紋別市上水道事業の沿革を表 3.2に示します。本事業は、昭和 6 年 12 月に給水人口 800 人として創設され給水を開始しました。その後、人口の増加、生活水準の向上に 伴う使用水量の増加、市街地の外延的拡大等に対処するため、随時拡張を重ねてきま した。近年では、平成 18 年度に給水区域の拡張(水谷地区)に伴い第 6 期拡張事業 (変更)を行い、現在に至っています。 また、簡易水道事業の沿革を表 3.3に示します。 表 3.2 名 称 創設 上水道事業の沿革 認可年月日 目標年次 計画給水人口 (人) 計画一人一日 最大給水量 (L/人・日) 計画一日 最大給水量 (m3/日) 備考 S6.12.14 - 800 - - 第1期拡張 S9.3.15 - 6,000 165 990 第2期拡張 S22.5.28 - 8,000 180 1,440 第3期拡張 S26.1.31 S35 25,000 240 9,525 第4期拡張 S43.3.30 S57 45,000 450 20,250 第4期拡張(変更) S48.12.24 S63 45,000 450 20,250 第5期拡張 S55.5.1 S63 37,200 544 20,250 第6期拡張 H10.3.31 H19 28,000 723 20,250 第6期拡張(変更) H19.3.23 H28 23,000 736 20,250 届出 (16,930) ※第 6 期拡張(変更)の( )内の数値は、需要予測で得られた計画一日最大給水量。 表 3.3 事業区分 上渚滑簡易水道事業 小向簡易水道事業 沼の上簡易水道事業 事業名 簡易水道事業の沿革 認可年月日 目標年次 創設 S42.3 変更認可 H19.4.20 創設 S37.5.28 変更認可 S54.10.9 創設 S31.1 変更認可 H8.2.9 8 S40 H28 S46 S63 S40 H17 計画一日 計画 給水人口 最大給水量 (人) (m3/日) 2,200 330 1,210 1,500 600 105 256 136 872 150 425 595 第3章 紋別市水道事業の概要 3.4 紋別市上水道事業の施設概要 水道施設は、大きく分けると取水施設、導水施設、浄水施設、送水施設、配水施 設から成り立っています。 紋別市上水道事業の施設フロー及び施設概要を図 3-3に示します。渚滑川から表流 水※1 を取水し、渚滑ポンプ場から導水ポンプにて花園浄水場へ送っています。浄水場 で浄水処理された水道水を配水池へ送り、配水池から各家庭に給水されています。 ※1)表流水 河川、湖沼など地表に存在する水 図 3-3 紋別市上水道事業施設フロー 9 第4章 水道事業の現状分析・評価 4.水道事業の現状分析・評価 第4章 水道事業の現状分析・評価 4.1 水需要の動向 紋別市の人口及び水需要の実績は、少子化傾向、利用者の節水意識の向上、節水機 器の普及、産業構造の変化などにより減少しております。水需要は水道事業経営の根 幹となりますので、実績を踏まえて現状を分析し将来の動向を推計しました。 表 4.1 項 目 行政区域内人口 計画給水区域内人口 計画一日平均給水量 計画一日最大給水量 人口及び給水量 平成 24 年度(実績) 24,170 人 22,455 人 9,528 ㎥/日 11,209 ㎥/日 平成 35 年度(推計) 20,190 人 19,090 人 12,290 ㎥/日 15,480 ㎥/日 1) 給水人口 紋別市の人口は次図に示すように年々減少してきており、将来的にも減少の方向を 辿る傾向にあります。市の将来人口推計を行った結果、計画目標年度の平成 35 年に は 20,190 人と算定され、これに伴い給水人口も同様に推移し平成 35 年には 19,090 人 となる見込みです。 25,000 100.0 99.8 実績値 推計値 24,170 (行政区域内人口) 22,455 (給水人口) 計 99.8 画 目 標 年 度 98.0 96.0 20,190 (行政区域内人口) 19,090(給水人口) 20,000 94.0 15,000 90.0 88.0 10,000 86.0 行政区域内人口(実績値) 行政区域内人口(推計値) 給水人口(実績値) 給水人口(推計値) 給水普及率 5,000 84.0 82.0 図 4-1 行政区域内人口及び給水人口の実績値及び推計値 10 H 40 H 39 H 38 H 37 H 36 H 35 H 34 H 33 H 32 H 31 H 30 H 29 H 28 H 27 H 26 H 25 H 24 H 23 H 22 H 21 H 20 H 19 H 18 H 17 80.0 H 16 0 H 15 人口(人) 92.0 普及率(%) 30,000 第4章 水道事業の現状分析・評価 2) 給水量の動向 給水量は、一人当りの使用水量の減少や経済状況の低迷が水需要変動として実績に 現れています。今後の水需要はバイオマス発電所への供給により増加しますが、バイ オマス需要以外は使用形態に大きな増加要因は見込めないことから、全体水需要は将 来的に減少傾向となり、計画目標年度の平成 35 年の一日最大給水量は 15,480 ㎥/日、 計画期間内(H25~H35)の一日最大給水量は 16,710 ㎥/日と推計されます。 18,000 計 画 目 標 年 度 16,000 14,000 計画目標年度 16,710 推計値 実績値 15,480 一日最大給水量 13,260 一日平均給水量 12,290 11,209 10,000 9,528 8,000 6,000 4,000 一日最大給水量(実績値) 一日最大給水量(推計値) 一日平均給水量(実績値) 一日平均給水量(推計値) 2,000 図 4-2 一日平均給水量及び一日最大給水量の実績値及び推計値 11 H 40 H 39 H 38 H 37 H 36 H 35 H 34 H 33 H 32 H 31 H 30 H 29 H 28 H 27 H 26 H 25 H 24 H 23 H 22 H 21 H 20 H 19 H 18 H 17 H 16 0 H 15 給水量(m3/日) 12,000 第4章 水道事業の現状分析・評価 4.2 施設の現状 水道施設は老朽化しているものの、適切な維持管理が行われており、維持管理面、 水質管理面で高い評価となっています。一方、耐震性、被災時対応面の評価は低くな っています。 施設評価は現状施設の機能・性能を把握するために、健全性を定量的かつ客観的に 評価しています。各施設の現況分析を行うために職員へのヒアリング、現地調査等を 実施し、各施設において評価指標を設定して機能診断を実施しました。施設区分ごと の診断評価のとりまとめは下記のとおりです。 1) 施設評価 ① 取水施設 ・取水施設は、河床変動や冬期のアイスジャムにより、渇水期には取水が困難な状 況が発生することがあります。 ・適切な維持管理が行われているため、取水事故・故障リスクは低いです。 ② 導水施設 ・導水管路は経年使用による老朽化に加え、導水管路の二重化等のバックアップ機 能が備わっていません。 ③ 浄水施設 ・凝集沈澱池と急速ろ過池は、需要水量に対する供給能力が確保されています。 ・集中豪雨等による高濁度時においても、水質面に問題が生じないよう状況に応じ た適切な運用が行われています。 ・施設は老朽化していますが、適切な維持管理を行っているため、適切な水質が確 保されています。 ④ 送水施設 ・管路は経年使用による老朽化や予備力が確保されていないことからハード面は比 較的評価が低いですが、適切な維持管理により維持管理面の評価は高いです。 ⑤ 配水施設 ・ 水質の安全性を示す「総トリハロメタン濃度水質基準比」※1 や「消毒副生成物 濃度基準比」※2 等に対する評価は高いです。一方、「緊急時利用可能容量」、「緊 急遮断弁設置割合」など被災時対応に関する項目の評価は低くなっています。 ※1) 総トリハロメタン濃度水質基準比 給水栓水で、水質基準の値である 0.1mg/L に対する総トリハロメタン濃度最大値の割合(%)を示す。トリハロメ タンは有害物質であり、この値は低い方がよい。 ※2) 消毒副生成物濃度水質基準比 給水栓で、水質基準に定める 5 種類の消毒副生成物の基準値に対するそれぞれの消毒副生成物最大濃度の割合(%) を平均値で示す。この値は低い方がよい。 ・配水池の全体貯留量は、一般的に貯留が必要とされている計画給水量の 12 時間 12 第4章 水道事業の現状分析・評価 分が確保されています。 ・市の経済発展に伴う水需要が増加した昭和 40 年代後半から 50 年代に布設した管 路が、今後、耐用年数を迎え更新時期になります。 2) 水道施設機能診断手法による評価 水道施設をトータルシステムとして捉え、多角的な視点から定量的に診断・評価す ることにより、現状施設の課題点を抽出することを目的とした水道施設の機能診断を 実施しました。 a) 診断方法 ■使用文献 「(財)水道技術研究センター:水道施設機能診断マニュアル(平成 23 年 3 月)」 ■機能診断対象 上水道事業、簡易水道事業の取水,導水,浄水、送水及び配水施設 b) 機能診断評価 水道施設の全体機能評価としては、導水施設にバックアップ機能が備わっていない こと、浄水施設及び配水施設の耐震化対応が不十分であること、緊急時配水対応力が 低いことが現れています。水道施設は取水から配水までバランスの取れたトータルシ ステムとして機能しなければならないため、健全な機能を発揮するには計画的な機能 改善を図り、維持向上に向けた取り組みが求められています 【上水道事業】 【上渚滑簡易水道事業】 上水道 取水 上渚滑簡易水道 取水 100 100 80 80 60 60 40 配水 導水 20 40 配水 導水 20 0 0 送水施設なし 送水 浄水 送水 【沼の上簡易水道事業】 【小向簡易水道事業】 沼の上簡易水道 取水 小向簡易水道 取水 100 100 80 80 60 60 40 配水 浄水 40 配水 導水 20 導水 20 0 0 送水施設なし 送水 送水 浄水 図 4-3 水道施設の全体機能評価結果 13 浄水 第4章 水道事業の現状分析・評価 4.3 業務指標(PI) 他の事業体と比較して職員数が多いことが伺えますが、これらの経験豊富な技術職 員の運営・維持管理により、適切な水質管理が行われ安心できる水質基準を確保して います。浄水施設、配水施設の耐震化率はともに低いです。また、管路については、 漏水率が年々増加傾向にあり、配水管が老朽化していると考えられます。 業務指標(PI)は、水道サービスの目的を達成し、サービス水準を向上させるため に、水道事業を多面的に定量化(数値化)するものです。業務指標を適正かつ公正に 表すため、各業務指標については目標との関連性や計算方法などが「水道事業ガイド ライン(日本水道協会)」で定義されています。 業務指標を活用することにより、水道事業の実態の断続的な変化や、他の水道事業 体との違いを客観的に把握することが可能となり、サービス水準の向上、事業の効率 化、運営基盤の強化といった事業改善の方向性を見定めることが容易となります。業 務指標は全部で 137 項目ありますが、ここでは着目すべき内容について記述します。 1) 安心 ■水質管理 ・「No.1104 水質基準不適合率」、「No.1105 カビ臭からみたおいしい水達成率」 水質管理の項目に対しては、よい値が得られています。技術職員の適切な維持管理 により、水質基準を満足させるべく水質管理が行われています。 No.1104水質基準不適合率(%) 【業務指標(PI)の推移】 No.1105カビ臭から見たおいしい水達成率(%) 【業務指標(PI)の推移】 (%) 1.0 120.0 0.8 100.0 (%) 100.0 100.0 100.0 H22 H23 H24 80.0 0.6 60.0 0.4 40.0 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 H22 H23 H24 20.0 0.0 全 国 0.0 全 国 北海道 水源・人口 紋別市 0.0 0.0 0.0 北海道 水源・人口 紋別市 0.0 0.0 0.0 100.0 100.0 0.0 0.0 100.0 ○1104 水質基準不適合率 給水栓の水質が、国で定めている水質基準に違反した率で、1 項目でも違反している場合は違反 とみなす。これは 0 でなければならないが、まれに違反がある。 ○1105 カビ臭から見たおいしい水達成率 給水栓水で、2 種類のカビ臭物質最大濃度の水質基準値に対する割合(%)をいう。水質基準値 ぎりぎりであると 0%、全くカビ臭物質が含まれないと 100%になる。 2) 安定 ■連続した水道水の確保 14 第4章 水道事業の現状分析・評価 ・「No.2004 配水池貯留能力」 水道水を貯留しておく配水池の総容量は約 0.9 日分の容量を確保しています。 No.2004配水池貯留能力(日) 【業務指標(PI)の推移】 (日) 1.20 0.91 0.93 0.92 H22 H23 H24 全 国 0.89 0.88 北海道 水源・人口 紋別市 0.92 1.0 0.91 0.92 1.1 0.93 1.00 0.80 0.60 0.40 0.20 0.00 0.0 0.92 ○2004 配水池貯留能力 水道水をためておく配水池の総容量が平均配水量の 何日分あるかを示す。需要と供給の調整及び突発事故 のため 0.5 日分以上は必要とされる。 ■リスクの管理 ・「No.2207 浄水施設耐震率」 耐震対策が施されている浄水施設は 0%であり耐震化率は低いです。 ・「No.2209 配水池耐震施設率」 耐震対策が施されている配水池は 1.7%と耐震化率は低いです。 No.2207浄水施設耐震率(%) 【業務指標(PI)の推移】 No.2209配水池耐震施設率(%) 【業務指標(PI)の推移】 (%) 20.0 (%) 50.0 40.0 15.0 30.0 10.0 20.0 5.0 0.0 0.0 0.0 10.0 0.0 0.0 1.7 1.7 1.7 H22 H23 H24 H22 H23 H24 全 国 11.2 11.2 0.0 全 国 35.6 39.1 0.0 北海道 水源・人口 紋別市 12.4 11.5 0.0 13.0 16.2 0.0 0.0 0.0 0.0 北海道 水源・人口 紋別市 32.4 13.5 1.7 35.2 17.6 1.7 0.0 0.0 1.7 ○2207 浄水施設耐震率 浄水施設のうち高度な耐震化がなされている施設能力の全浄水施設能力に対する割合(%)を示 す。通常は、浄水施設は耐震対策がなされているが、ここでいうのは高度な耐震対策を意味して いる。この値は高い方がよい。 ○2209 配水池耐震施設率 配水池のうち高度な耐震化がなされている施設容量の全配水池容量に対する割合(%)を示す。 通常は、配水池は耐震対策がなされているが、ここでいうのは高度な耐震対策を意味している。 この値は高い方がよい。 3) 持続 ■技術の継承と発展 ・「No.3105 技術職員率」 技術者の確保により、業務や施設全般の維持管理や浄水施設の適切な運転が保たれ 15 第4章 水道事業の現状分析・評価 ています。 ・「No.3109 職員一人当たり配水量」 経験豊富な技術職員により業務が遂行されており、民間委託に頼っていません。 他の事業体と比較して職員数が多いことが伺えますが、これらの技術職員の運営・ 維持管理により、適切な水質管理が行われ安心できる水質基準が確保されていま す。 No.3105技術職員率(%) 【業務指標(PI)の推移】 80.0 64.7 No.3109職員一人当り配水量(㎥/人) 【業務指標(PI)の推移】 (%) 400,000 66.7 55.6 60.0 300,000 206,630 40.0 200,000 20.0 100,000 0.0 (m3/人) 0 191,336 193,213 H22 H23 H24 H22 H23 H24 全 国 47.8 48.6 0.0 全 国 347,128 349,711 0 北海道 水源・人口 紋別市 52.7 46.9 64.7 53.0 46.6 66.7 0.0 0.0 55.6 北海道 水源・人口 紋別市 295,910 310,279 206,630 298,678 321,136 191,336 0 0 193,213 ○3105 技術職員率 技術職員総数の全職員数に対する割合(%)を示す。この指標は、技術的業務の直営維持が難し くなってきている現状と関係が深い。 ○3109 職員一人当たり配水量 年間で職員一人当たり何㎥配水したことになるかを示す。この指標は一般的には職員が多いと低 くなり、外部委託が多いと高くなる。 4) 管理 ■適切な維持管理 ・「No.5107 漏水率」 漏水率は過去3年に渡り 10.8%から 13.2%と年々増加傾向にあります。これは適正 な管路更新がなされていないため、配水管が老朽化していることに起因していると 考えられます。 No.5107漏水率(%) 【業務指標(PI)の推移】 (%) 20.0 13.2 15.0 10.8 11.1 H22 H23 H24 全 国 4.5 4.9 0.0 北海道 水源・人口 紋別市 5.0 5.3 10.8 5.2 5.7 11.1 0.0 0.0 13.2 10.0 5.0 0.0 ○5107 漏水率 年間の漏水量の配水量に対する割合(%)を示す。 この値は低い方がよい。 16 第4章 水道事業の現状分析・評価 4.4 主要施設の耐震性評価 主要施設の耐震性評価は、現地調査や資料整理によって調査した設計年度・建設年 度、地盤条件、構造形式などをもとに、重要度と耐震性の2項目について評価しまし た。この結果より、耐震診断調査や耐震化対策が必要な施設を抽出し、大まかな耐震 化の優先を決定しています。 表 4.2 区分 施設名 設計年度 土木・建築 築造年度 の区分 耐震性評価 評価点 評価点 総合評価 耐震化の 優先 S45 土木 3 2 6 高 沈砂池 S45 土木 3 2 6 高 H15 複合構造物 不要 (建築) ・ポンプ井 (土木) 旧ポンプ棟 S45 建築 2 2 4 中 管理棟 H10 建築 3 0 0 不要 水質試験棟 S45 建築 3 2 6 高 浄水棟 S45 複合構造物 3 2 6 高 ・上屋 (建築) 浄水施設 ・着水井 (土木) ・薬品混和池 (土木) ・フロック形成池 (土木) ・急速ろ過池 (土木) ・浄水井 (土木) 花園配水池(1系) S45 土木 3 2 6 高 花園配水池(2系) S47 土木 3 2 6 高 花園ポンプ室 H15 土木 3 0 0 不要 潮見配水池(既設) S27 複合構造物 3 2 6 高 3 1 3 中 ・上屋 (建築) ・配水池 (土木) 潮見配水池(増設) 送・配水 ・上屋 施設 ・配水池 H2 複合構造物 (建築) (土木) 高区配水池 S45 土木 3 2 6 高 大山受水槽 S63 複合構造物 2 1 2 低 大山配水池No.1 S63 土木 2 1 2 低 大山配水池No.2 S63 土木 2 1 2 低 水谷受水槽 H20 複合構造物 2 0 0 不要 水谷配水池 H20 土木 2 0 0 不要 表 4.3 高 中 低 不要 重要度 取水口 導水ポンプ棟 取水・ 導水施設 ・電気室/ポンプ室 優先 耐震性評価結果一覧 耐震性評価の考え方 内 容 早期に耐震診断・耐震化を実施した方がよい施設 耐震診断・耐震化を実施した方がよい施設 耐震診断・耐震化の優先順位の低い施設 耐震診断・耐震化の実施の必要がない施設 17 得点 5・6 点 3・4 点 1・2 点 0点 第4章 水道事業の現状分析・評価 4.5 経営状況 給水収益が年々減少しており、平成 23 年度からは赤字経営となっています。また、 継続的に更新を行うための投資が行われておらず、施設の老朽化が進んでいることが 伺えます。 1) 損益計算書の経年比較 平成 19 年度以降、人口減少に伴う有収水量の減少により、給水収益※1 は減少の傾 向です。それに伴い、当期純利益※2 も減少し現在は赤字になっています。 平成 28 年度のバイオマス発電所の供用に伴い、有収水量が増加する影響で、給水 収益及び当期純利益は増加することが想定されます。しかし、人口減少(平成 40 年 度の給水区域内人口は平成 28 年度比で△17%)による有収水量の減少により、給水 収益の減収傾向は変わりません。 施設整備に必要となる財源として、不足する資金を借金である起債で賄うこととし て損益を計算していますが、これにより、後年度に償還額が増えてその分将来の負担 も重くなります。後年度の負担を少しでも軽減するためには、利益を源泉とする更新 資金を確保して、起債を抑える必要があります。 680 60 実績 計画 651 640 634 40 641 20 627 613 620 618 608 607 0 607 603 596 589 592 586 592 579 580 -20 -40 572 560 -60 540 -80 520 当該純損益 給水収益 600 645 633 624 620 給水収益(百万円) 当期純損益(百万円) 659 660 -100 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31 H32 H33 H34 H35 H36 H37 H38 H39 H40 図 4-4 給水収益と当年度純損益の推移 ※1)給水収益:水道事業会計における営業収益の一つで、公の施設としての水道施設の使用について徴収する使用料をいう。 水道事業収益のうち、最も重要な位置を占める収益である。通常、水道料金として収入となる収益がこれに当たる。 ※2)純利益・純損失:一定の期間の収益とそれに対応する費用の差額(純利益、純損失)であり、企業の経営成績を明らか にする。 18 第4章 水道事業の現状分析・評価 2) 資産状況 資産状況を把握する指標である当年度減価償却率 ※1 と有形固定資産減価償却率の 推移は次図のとおりです。有形固定資産減価償却率が高いことは、新たな建設投資が 行われず固定資産(施設、設備、水道管)の老朽化が進んでいることを表しています。 60 % 55 当年度減価償却率 50 45 40 45.0 42.8 40.7 38.7 36.4 47.4 有形固定資産減価償却率 41.1 36.9 35.1 35 30 25 20 15 10 5 4.7 4.6 4.8 4.7 4.9 5.1 3.5 3.3 2.9 0 平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度 図 4-5 全国 周辺団体 類似団体 資産状況の推移 ※1)減価償却:固定資産(建物、設備)の減価(目減り)を費用として、その利用各年度に合理的かつ計画的に負担させる 会計上の処理または手続きを減価償却といい、この処理または手続きによって、特定の年度の費用とされた固定資産の 減価額を減価償却費という。 3) 更新投資の状況 更新投資の状況を表す指標である減価償却費対建設改良費率の推移は、次図に示す とおりです。減価償却費対建設改良費比率は、同等程度(減価償却費と同額の建設改 良費が計上されること)になることが望ましいですが、現状では約 47%となっていま す。つまり、減価償却による減価分と同程度以上の更新投資が継続的に行われていな い状況にあります。 % 160 143.8 140 減価償却費対建設改良費率 % 120 107.1 103.2 100 82.7 80 60 51.6 53.0 58.2 56.0 47.5 40 20 0 平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度 図 4-6 全国 周辺団体 減価償却費対建設改良費率推移 19 類似団体 第4章 水道事業の現状分析・評価 4.6 課題・評価のまとめ 現状施設の機能・性能分析、ヒアリング調査による課題・評価、及び業務指標(PI) を活用した水道事業の業務評価のとりまとめは以下のとおりです。 ■現状分析からのまとめ ・水道職員の適切な維持管理により、水質基準を満足させるべく運用されています。 ・水源では、河川水位低下、冬季のアイスジャム等による取水障害、家畜糞尿等の 異物混入などが懸念されます。 ・施設、管路の老朽化が進んでいます。(適正に施設が更新されていない) ・耐震診断が未実施であることから、耐震性は不明ですが、建設年度から判断する と現在の耐震基準を満足していない可能性が高いです。 ・人口減少や大口需要者の減少により、給水収益が減少しており、平成 23 年度か らは、赤字経営となっています。 1) 抽出された課題点 項 目 取水・導水施設 浄水施設 送・配水施設 管路施設 事業運営 環境 課 題 点 ・河川水位の変動に伴う取水不良。 ・冬季のアイスジャムによる取水障害。 ・油、家畜糞尿の混入の懸念。 ・建設後、40 年以上が経過した施設があり、経年化している。 ・耐震化対策が行われていない。 ・薬品の高注入率、高濁度時の対応 ・建設後、40 年以上が経過した施設があり、経年化している。 ・耐震化対策が行われていない。 ・建設後、40 年以上が経過した施設があり、経年化している。 ・耐震化対策が行われていない。 ・漏水率が年々上昇している。 ・需要水量の減少に伴い収益が減収し、平成 23 年度より赤字経営となっている。 ・PI 値において、技術職員率が高い。 →経験豊富な技術職員により適切な維持管理がなされている。 →3つの簡易水道の維持管理も担っており、一概に評価できない。 ・PI 値において、配水量 1m3 当たり電力消費量及び二酸化炭素排出量が多い。 2) 評価点 項 目 施設の維持管理 評 価 点 ・経年劣化した設備の更新を行っている。 ・原水水質に応じた適切な浄水処理(維持管理)を行っている。そのため、水質 面において、PI 値、機能診断における評価が高い。 20 第5章 水道事業の将来像 5.水道事業の将来像 第5章 水道事業の将来像 5.1 基本理念 水道は、市民生活に欠くことのできない大切なライフラインであり、必要な量を、 いつでも、どこでも、誰にでもおいしい水を持続して供給することが求められていま す。水道を取り巻く環境の変化に対応し、水道水質の一層の向上や、災害や事故等の 被災時の給水体制の確立、多様化・高度化する住民ニーズ等の水道サービスを的確に 確保するため、健全で安定した水道事業経営を進めていかなければなりません。 紋別市水道ビジョンは、 「オホーツクの恵みとともに笑顔を届ける紋別の水」 を目指すべき将来像の基本理念とし、地域とともに水道事業を推進します。 5.2 基本目標と基本方針 紋別市水道事業の基本理念を目指して、3つの基本目標と9つの基本方針を設定し て水道事業を推進します。また、基本方針ごとに主要施策を設定しその実現化に取り 組みます。 基 基本目標 本 理 念 基本方針 主要施策 図 5-1水道ビジョン体系の概念 1) 基本目標 水道事業が目指す基本目標として“安全”、“強靭”、“持続”を掲げ、基本理念の達 成に努めます。 ~ 安 全 紋別市水道事業の基本目標(目指すべき方向性) ~ :水道水の安全の確保 いつでも、どこでも、おいしい水を飲める水道 強 靭 :確実な給水の確保 災害、事故等による被災を最小限にとどめ、迅速に復旧できる水道 持 続 :供給体制の持続性の確保 健全かつ安定的な事業運営が可能な水道 21 第5章 水道事業の将来像 2) 基本方針 3つの基本目標に9つの基本方針を設定して、主要施策の実現化に取り組みます。 ~基本方針~ ①危機管理対策 ◆水道水の安全確保 ②水質管理対策 主 ③小規模水道対策 ①水道施設レベルアップ 要 ②人材育成・組織力強化 ◆確実な給水の確保 施 ③危機管理対策 ①水道サービスの向上 ◆供給体制の持続 策 ②経営の健全化 ③料金の最適化 5.3 目標年度 1) 計画期間 紋別市水道ビジョンの目標を達成するための計画期間は、平成 26 年度から平成 35 年度までの 10 年間です。 2) 計画のフォローアップ 紋別市水道ビジョンは進捗状況を確認するために、適切な期間を定めてフォローア ップを行なうことにより、計画の見直し、または改善を検討していきます。 水道ビジョンで掲げる実現化方策の見直しは、施設計画や経営計画など、ハード・ ソフト両面からのアプローチを行うとともに、関係者の意見を聴取しつつその計画が 妥当であるかを判断したうえで、必要に応じて実施します。 最終的な 水 道 事 業 の レ ベ ル 将来像 想 定 課 題 目標年次 の将来像 見直された 実現方策 抽 出 さ れ た 課 題 想 定 課 題 当初の 実現方策 実現方策 現 況 課 題 フォローアップ 目標年度 図 5-2 最終将来目標 水道ビジョンのフォローアップ 22 第5章 【基本理念】 【基本目標】 水道事業の将来像 【主要施策】 【基本方針】 1)水源事故対策 2)水道事業における危機管理マ ニュアルの整備 オ ホ ー ツ ク の 恵 み と と も に 笑 顔 を 届 け る 紋 別 の 水 1 . 危 機 管 理 対 策 ~安全~ 水道水の安全 の確保 2 . 水 質 管 理 対 策 3)停電を想定したエネルギーの 確保対策 1)水質管理体制の強化 2)貯水槽水道への対応 3.小規模水道対策 1)簡易水道事業対策 2)営農飲雑用水との連携 1)施設更新時の再構築 1.水道施設レベルアップ ~強靭~ 2)施設の適正な維持管理 1)技術職員の育成(人材確保) 確実な給水 の確保 2.人材育成・組織力強化 3 . 危 機 管 理 対 策 2)他の水道関係者との連携 1)施設の耐震化対策 2)資機材等の確保及び応急給水 1)情報提供の促進 2)社会見学等の場の提供 1.水道サービスの向上 ~持続~ 3)住民ニーズの把握・対応 1)組織・業務の効率化 供給体制の 持続性の確保 2 . 経 営 の 健 全 化 2)アセットマネジメントの導入 3)有収率の向上 3 . 料 金 の 最 適 化 1)事業規模等に応じた料金収入 の確保 2)料金制度の検証 図 5-3 紋別市水道ビジョン体系図 23 第6章 基本方針と主要施策 6.基本方針と主要施策 第6章 基本方針と主要施策 6.1 水道水の安全の確保 6 .1 水道水の安全の確保 【基本目標】 ~安全~ 【基本方針】 1)水源事故対策 2)水道事業における危機管理マ ニュアルの整備 3)停電を想定したエネルギーの 確保対策 1.危機管理対策 ~安全~ 水道水の安全 の確保 【主要施策】 2.水質管理対策 1)水質管理体制の強化 2)貯水槽水道への対応 3.小規模水道対策 1)簡易水道事業対策 2)営農飲雑用水との連携 6.1.1 危機管理対策 1) 水源事故対策 【現状と課題】 上水道の水源である渚滑川は、流域面積 1,240k ㎡、流路延長 84km を有し、滝上町 と紋別市にまたがる一級河川です。表流水は、気象の変化により河川状況はその影響 を大きく受け、融雪時や豪雨の際の河川流量増に伴う濁度上昇等の水質悪化、夏期の 水温上昇時における藻臭の発生、冬期にはアイスジャムによる取水障害等の問題が生 じ、安定取水に影響を及ぼしております。 平成 22 年度には渚滑川源流部付近の局地的豪雨により、過去最高濁度 7,700 度まで 上昇したことから一時取水停止を行い、地下水の第 2 水源を使用し対応いたしました。 また、取水口上流域は酪農地帯であり、アンモニアの影響に対しても現状の水源監視 体制では迅速な対応が難しい状態にあります。今後は、さまざまな事象へ迅速に対応 できるように、適切な維持管理及び原水水質監視体制の強化を行い、水源の安定確保 に向けた方策が必要となってきます。 【目指すべき方向】 【目指すべき方向性】 異常気象や水源環境の変化に的確に対応するためには、安全・安心な水道シス テムを構築し、良質な水源を安定的に確保することが、水道事業者としての重要 課題であり、関係機関との連携を図りながら、水源水域の環境保全の取り組みを 推進します。 24 第6章 基本方針と主要施策 【具体的方策】 ◇水源水質監視体制の継続・強化 ●水源河川である渚滑川において取水口より上流域の河川水質調査を行い、継続的 に河川の水質状況を把握していきます。 ●渚滑川に設置された国土交通省の雨量計・水位計及び気象庁の解析雨量等のデー タを利用し、高濁度水発生の状況を蓄積・分析・予測することで、適切な浄水処理 を行います。 ●河川水質変動に迅速に対応するため、水質の連続監視機器の整備を行います。 ◇環境保全に係る各種協議会等への積極的な参画 ●現在「北海道一級河川環境保全連絡協議会」をとおして関連機関と協力し、渚滑 川水系の環境保全対策を行っていますが、良質で豊富な水源の確保のため、今後と も継続的に取り組んで行きます。 2) 水道事業における危機管理マニュアル等の整備 【現状と課題】 市民のライフラインである水道施設は、自然災害、水質事故、テロ等の危機の状況 下においても、生命や生活のための水道水の確保が求められています。このため、基 幹的な水道施設の安全性の確保や重要施設等への給水の確保、さらに危機管理につい ても迅速に対応できる体制が必要です。危機管理については、各対策マニュアルを策 定していますが、緊急時を想定した訓練が不十分な状況にあります。 水道施設の老朽化に伴う事故なども含め、安定的に安全な水道水を供給するため に、様々なリスクの想定と対応策を検討することで、異常発生時には速やかに対応で きる体制を整備することが課題です。 【目指すべき方向】 【目指すべき方向性】 水道事業は、市民に安全な水道水を供給することを目的とした重要なライフライ ンを運営・管理する事業であることから、多岐にわたる危機を未然に防止し、危機 発生時には迅速かつ効率的な対応ができる体制及び関連機関や他市町村の水道事 業者との相互支援連携体制を構築いたします。 【具体的方策】 ◇危機管理マニュアルの整備 ●現在整備している危機管理マニュアルは多様にわたるため、各マニュアルを精査 し、危機発生時には迅速かつ効率的に活用できるよう実施していきます。 25 第6章 基本方針と主要施策 ◇災害時を想定した訓練 ●北海道開発局及び日本水道協会北海道支部道東協議会などの災害訓練に積極的に 参加し、危機発生時の対応能力の向上を目指します。また、市内の河川管理部局や 近隣水道事業者と合同訓練を実施し連携強化に努めます。 3) 停電を想定したエネルギーの確保対策 【現状と課題】 紋別市の水道施設は、渚滑ポンプ場から花園浄水場、花園浄水場から高区配水池の 2区間をポンプで圧送しており、この2区間については停電等を想定したバックアッ プとして自家発電設備を常設し、いつでも対応可能な状況にあります。 実際の停電や災害に備え、迅速かつ円滑に対応できるよう危機管理マニュアルに則 した想定訓練や日常の施設管理が必要です。 【目指すべき方向】 【目指すべき方向性】 東日本大震災による原発事故を受け、計画停電が実施された経緯を踏まえ、送水 施設の省電力化や配水池貯留量の増強など、停電時を想定した施設の稼働体制の構 築を目指します。 【具体的方策】 ◇停電時対応の確認 ●停電及び災害等の被災時における断水の発生を防ぐため、自家用発電設備の稼働 点検を実施するとともに、危機管理マニュアルに沿って迅速に対応できるよう定期 的な確認及び訓練を行います。また、施設の省電力化や電力依存の少ない設備の更 新・導入を検討します。 6.1.2 水質管理体制の強化 1) 水質監視体制 【現状と課題】 紋別市の水道水は良質で安全に供給できるよう水道法に基づき、原水から給水まで 一貫した水質管理体制を整備しています。また、紋別市では水質検査計画や水質検査 結果をホームページで公開し、住民へ安全な水質管理対応の情報を公開しています。 しかしながら、近年は様々な化学薬品、農薬等の開発により、水源水質の汚染が懸 念され、毎年のように水質基準の強化や新たな検査項目の追加等され、水質検査対応 に追われる状況にあります。 26 第6章 基本方針と主要施策 【目指すべき方向】 【目指すべき方向】 原水水質や浄水方法の特徴を踏まえた「水質検査計画」の策定により、適切な水 質管理を行える体制の向上を図ります。 【具体的方策】 ◇「水質検査計画」の策定 ●毎年度「水質検査計画」の策定を行い、水道水質の維持向上を目指します。 ◇水質検査機器の更新・導入 ●花園浄水場では表 6.1に示す水質検査機器により、水質基準に定められた 50 項目 の水質検査を実施しており、紋別市簡易水道事業及び近隣町村の水質検査について も受託しています。安全な水を住民に供給していくための水質検査機器の更新や導 入については、老朽度を勘案し計画的に整備を図ります。 表 6.1 水質検査機器 No 水質検査機器 台数 検 査 項 目 1 イオンクロマトグラフ(陰・陽イオン) 1 硝酸・亜硝酸性窒素、フッ素、ナトリウム等 2 イオンクロマトグラフ(シアン) 1 シアン化物イオン及び塩化シアン 3 イオンクロマトグラフ(臭素酸) 1 臭素酸 4 高速液体クロマトグラフ 1 陰イオン界面活性剤 5 誘導結合プラズマ質量分析装置 1 ヒ素、クロム、セレン等の金属成分 6 ガスクロマトグラフ質量分析計 2 揮発性有機化学物質、かび臭、農薬等 7 パージ&トラップ濃縮装置 2 揮発性有機化学物質、かび臭の濃縮用 8 9 10 原子吸光光度計 固相抽出装置(4 連) TOC 計 1 1 1 鉄、マンガン、アルミニウム 濃縮用 全有機炭素(有機物) 11 濁度・色度計(WA6000 等) 2 濁度、色度 12 分光光度計 1 非イオン界面活性剤、E260 等 13 水銀測定装置 1 総水銀 14 PH メーター 2 PH 計 15 ジャーテスター 1 凝集剤(PAC)の注入率設定用 16 理化学機器一式 ― 滅菌器、純水製造装置、乾燥器等 2) 貯水槽水道の対応 【現状と課題】 現在、紋別市内には約 120 箇所の貯水槽水道が設置されています。水道法では、貯 水槽水道※1 の維持管理は設置者が自ら行うこととなっており、水道事業者としては、 簡易専用水道(有効容量が 10 ㎥を超えるもの)の設置者に、指導・助言等の適正な 管理を促すこととなっています。 27 第6章 基本方針と主要施策 また、平成 14 年度の改正水道法施行に伴い、簡易専用水道以外(有効容量が 10 ㎥ を超えないもの)の設置者に対しても同様の対応が求められておりますが、法改正以 前の設置者情報に乏しく、実態の把握が遅れている状況にあります。 ※1)貯水槽水道:水道事業から受水した水を原水として貯水槽から居住者、利用者の特定需要者に給水するもの。貯水 槽水道のうち、受水槽の有効容量が 10 ㎥を越えるものを簡易専用水道といい、管理や検査が義務づけられている。 【目指すべき方向】 【目指すべき方向】 簡易専用水道及び簡易専用水道以外(有効容量が 10 ㎥を超えないもの)の設置 者について、実態把握を進め、適切な維持管理を促す指導のあり方を検討します。 【具体的方策】 ◇貯水槽水道の把握と指導体制の構築 ●積極的な情報提供(広報誌、ホームページ)により、適正な管理の重要性等を啓 発します。また、指導・助言等を行う体制の構築に努めます。 6.1.3 小規模水道対策 1) 簡易水道事業対策 【現状と課題】 紋別市の簡易水道事業(給水人口が 5,000 人以下)は、地域の水道水確保のため水 源の保全や水質管理に努めていますが、一般会計のもとでの小規模運営による財政難 や人材難に加え施設の老朽化等、厳しい運営・管理状況にあります。 【目指すべき方向】 【目指すべき方向】 将来にわたり、地域の利用者に対し安全な水を確実に供給するため、上水道事業 との経営統合や事業間連携を念頭に置いた方策を検討します。 【具体的方策】 ◇水道事業への経営統合 ●簡易水道事業の適切な資産管理と財政収支の見通しを踏まえた経営方針を示し、 他の水道事業と連携しつつ、水道サービスの公平性や水道事業全体の効率化を図る ため、簡易水道事業の統合に向けた取り組みを進めます。 28 第6章 基本方針と主要施策 2) 営農飲雑用水との連携 【現状と課題】 紋別市の営農飲雑用水(農業生産と農村生活の両面にわたる多目的用水)は、運営 主体により紋別市と組合に分かれます。どちらも水質については、市水道部で管理・ 指導を行い安全な水の供給を確保していますが、事業が小規模なため人口減少による 影響を受けやすい環境にあります。 【目指すべき方向】 【目指すべき方向】 将来的にわたり、地域の利用者に対し安全な水を確実に供給するため、事業間連 携を念頭に置いた方策を検討します。 【具体的方策】 ◇水道事業・簡易水道事業との連携 ●営農飲雑用水の将来的な維持管理を見据え、水道管の共有・接続や浄水の供給な ど他事業(上水道事業、簡易水道事業)と連携し、事業の効率化を図ります。 29 第6章 基本方針と主要施策 6.2 確実な給水の確保 6 .2 確実な給水の確保 【基本目標】 ~強靭~ 確実な給水 の確保 ~強靭~ 【基本方針】 【主要施策】 1.水道施設レベルアップ 1)施設更新時の再構築 2)施設の適正な維持管理 2.人材育成・組織力強化 1)技術職員の育成(人材確保) 2)他の水道関係者との連携 1)施設の耐震化対策 2)資機材等の確保及び応急給水 3.危機管理対策 6.2.1 水道施設のレベルアップ 1) 施設更新時の再構築 【現状と課題】 紋別市の水道施設は供用開始から 43 年経過しており、特に電気設備・機械設備に ついては耐用年数を超過したことから、平成 10 年度から 6 年間かけて水道施設の改 修を行っております。また、水道施設のコンクリート構造物は昭和 45 年当時の設計 のため、現行の耐震基準に適合していないことや、導水管路・浄水処理システム等は 異常時のバックアップ機能が備えられていないことなどから、地震・災害・事故等に 対する安定性確保が懸念される施設となっております。 【目指すべき方向】 【目指すべき方向性】 水源から給水に至るまでの様々な問題点とリスクを抽出・分析し、安心・安全な 水を持続的に供給するため、資産の運営管理手法であるアセットマネジメントの導 入を視野にいれながら、ライフサイクルコストの最小化が可能な水道施設を計画的 に更新します。 【具体的方策】 ◇アセットマネジメント(資産管理)を活用した計画的な更新 ●アセットマネジメントの策定に向けたデータ収集、整理、精査を進めます。 ●水道事業は、少子化に起因する人口減少や節水機器の普及による需要水量および 給水収益の減収により、財政状況が逼迫しつつある中においても改修・更新をして いく必要があります。このため、中長期的な視点で技術的基盤に基づく計画的・効 率的な水道施設の更新や、維持管理・事業運営等の資金確保などを含めてアセット マネジメント手法に基づく方策を進めていきます。 30 第6章 基本方針と主要施策 2) 施設の適正な維持管理 【現状と課題】 施設の老朽化に対しては、再構築のみならず、適切な維持管理により施設の延命化 が図られることで、事故防止に繋がります。人口減少や事業の広域化など予測される 経営状況を考慮した施設管理が求められています。 【目指すべき方向】 【目指すべき方向】 水需要が減少する中、ダウンサイジングを踏まえた施設の再構築を検討し、取 水・配水系統の見直しや浄水処理の高度化を進め、効率的で持続可能な維持管理を 目指します。 【具体的方策】 ◇維持管理情報の電子化 ●施設の維持管理情報を電子化して整理し、老朽化判定などの多角的分析を行うと ともに、アセットマネジメント等を活用し施設の再構築と合わせた維持管理を目指 します。 6.2.2 人材育成・組織力強化 1) 技術職員の育成(人材確保) 【現状と課題】 水道施設の整備や維持管理を安定的に継続するためには、職員の技術やノウハウが 必要不可欠です。しかし、最少人数での施設管理のため、限られた職員数では、経験 や知識、技術の継承など様々な課題が表面化しています。 【目指すべき方向】 【目指すべき方向】 将来的な水道の安定供給のため、職員の技術力保持を図る研修の充実に努め、職 員の個人レベル及び組織力の向上を目指します。 【具体的方策】 ◇職員教育の充実及び適切な職員配置 ●水道関連の事務及び技術研修に積極的に参加し、技術力の向上・確保に努めると ともに、専門性に富んだ業務に対応するため、中長期的な視点で適切な人材を配置 し、人的資源確保に努めます。 31 第6章 基本方針と主要施策 2) 他の水道関係者との連携 【現状と課題】 水道事業は、業務内容の専門性から職員の経験・知識・技術が必要であり、人材確 保が安全な水の安定供給に欠かせない要素となっております。しかし、公営企業の面 から事業経営を考えると、将来的に人口減少による給水収益の減収は避けられない状 況にあり、経営の効率化が求められています。 【目指すべき方向】 【目指すべき方向】 水道事業の経営効率化、技術レベルの維持・向上、技術の継承、危機管理体制の 強化を図るため、他の水道事業体との連携や民間企業の豊富な人的資源・ノウハウ や技術力を活用するなど、将来を見据えた水道事業のあり方を検討します。 【具体的方策】 ◇他の水道事業体との連携 ●水道施設の維持管理、水質管理における技術力の向上や非常時における対応のた め、他の水道事業体との連携を強化していきます。 ◇地元民間企業との連携 ●管路の修繕業務や給水装置の取替業務など、すでに協業体制が構築されている業 務以外についても協業できる分野については積極的に検討し、漏水事故などの突発 的に発生するリスクへの対処もスムーズに対応できる体制を強化していきます。 ●賦課徴収における窓口業務のあり方を検討し、事務の効率化を目指します。 6.2.3 危機管理対策 1) 施設の耐震化対策 【現状と課題】 紋別市は地震の少ない地域ですが、近年では、大規模地震の可能性が低い地域で直 下型地震が発生するなど、ライフライン確保の観点からも不測の事態を想定した対策 は必要不可欠です。 平成 17 年度以降は耐震性に対応した配水管路を布設しておりますが、それ以前は 未対応のため、耐震管路への更新が求められています。浄水場等の施設については、 現行の耐震基準に満たない施設が大半を占めており、耐震化が急務となっています。 32 第6章 基本方針と主要施策 【目指すべき方向】 【目指すべき方向】 主要な構造物(施設・管路)については計画的に耐震診断を行い、布設・更新時 期を含めて検討し、効率的な耐震化を目指します。 【具体的方策】 ◇耐震化方針の検討 ●主要施設と基幹管路及び優先すべき重要な給水施設(病院、避難場所)を設定し、 効率的な耐震化整備を図るとともに、今後の更新時期や更新費用を考慮しながら、 耐震化方針の検討を進めます。 2) 資機材等の確保及び応急給水 【現状と課題】 紋別市では、地震等の災害や事故等による断水に備え、給水車や給水袋など飲料水 の供給に必要な資機材を備蓄・確保し、応急給水に対応しています。 【目指すべき方向】 【目指すべき方向】 東日本大震災のような広域的な災害を想定し、必要な対策として、自ら被災した 場合に限らず、近隣自治体の災害等に対しても支援可能な体制整備を図ります。 【具体的方策】 ◇応急給水の体制整備 ●業務遂行能力が低下する非常時では、資機材、人材、情報など通常時確保できて いるものが確保困難に陥ることが想定されるため、市役所全体での対応や、住民、 水道関連事業者、近隣自治体など広域的な連携が図られるよう危機管理マニュアル を検証し、応急給水を円滑に行うための必要な体制整備の充実を進めます。 33 第6章 基本方針と主要施策 6.3 供給体制の持続性の確保 6 .3 供給体制の持続性の確保 【基本目標】 ~持続~ 【基本方針】 1水道サービスの向上 ~持続~ 供給体制の 持続性の確保 【実現化方策】 1)情報提供の促進 2)社会見学等の場の提供 3)住民ニーズの把握・対応 1)組織・業務の効率化 2)アセットマネジメントの導入 3)有収率の向上 2.経営の健全化 3料金制度の最適化 1)事業規模等に応じた料金収入 の確保 2)料金制度の検証 6.3.1 水道サービスの向上 1) 情報提供の促進 【現状と課題】 水道事業では、予算・決算をはじめ水質の検査結果等を広報やホームページ上で情 報提供してきました。しかしながら、それらの情報は単に数値上の公表である場合が 多く、今後は水道事業が直面する課題等について、わかりやすく情報提供することが 求められています。 【目指すべき方向】 【目指すべき方向】 住民の皆様に信頼される水道事業を目指すため、事業内容や施設概要などの重要 性を積極的に情報提供し、水道事業の透明性確保を目指します。 【具体的方策】 ◇広報、ホームページの活用 ●広報は基本的に全ての住民が入手できる媒体のため、予算・決算に限らず特に重 要な情報について掲載する等、積極的な活用を進めるとともに、ホームページの充 実に努めます。 ●地震等、災害や事故等における断水情報や応急給水情報の提供のあり方を検討し ます。 34 第6章 基本方針と主要施策 2) 社会見学等の場の提供 【現状と課題】 紋別市では、住民の皆様や将来を担う子どもたちに、水道事業を正しく知って理解 してもらうための社会見学の場を提供しています。 【目指すべき方向】 【目指すべき方向】 社会見学や施設見学を水道事業の情報提供の場として捉え、取水から家庭まで水 道が届けられる仕組みをわかりやすく説明し、水道への理解を深めてもらう取り組 みを進めます。 【具体的方策】 ◇教育委員会及び市内企業との連携 ●教育委員会に働きかけ小学生社会科のカリキュラム化を継続するとともに、市内 企業にも広く施設見学の場を提供する取り組みを進めます。 3) 住民ニーズの把握・対応 【現状と課題】 水道は公衆衛生や生活水準の向上のため整備され、暮らしに欠かせない社会資本と して普及してきました。現在では、住民ニーズは多様化・高度化しており、水量から 水質、蛇口からペットボトルというように変遷し、時代にあった対応が求められてい ます。 平成 25 年に実施した市民アンケート調査(有効回収件数 422、回収率 42%)では、 水道への興味など主な調査内容については、以下のとおりの回答となっています。 表 6.2 市民アンケート調査結果 上位3位の回答(複数回答) 1位 2位 3位 ・水道のどのようなこと(情報) 水道水の水質など、 災害対策への取り 水道料金の仕組みと に興味がありますか。 安全性 組み 料金の使われ方 ・今後の水道事業の経営に関し 水質基準に適合し 老朽化した配水・給 可能な限り安い料金 て重要であると思われること。 た安全な水道水の 水管の更新による の設定 供給 漏水事故や断水等 の防止 アンケートの質問 【目指すべき方向】 【目指すべき方向】 住民ニーズに対応した水道サービスの提供や、住民の声を事業運営に反映できる 仕組み作り確立を検討します。 35 第6章 基本方針と主要施策 【具体的方策】 ◇住民アンケート ●住民ニーズを的確に捉えるため、定期的にアンケートを実施し、水道利用者の幅 広い意見を集約・反映する取り組みを検討します。 6.3.2 経営の健全化 1) 組織・業務の効率化 【現状と課題】 水道事業は独立採算を求められる地方公営企業法による会計が適用されており、こ れまでも業務内容の見直しや職員数削減などスリム化を行ってきました。しかしなが ら、人口減少や節水機器の普及などに伴う料金収入の減少に加え、更新時期を迎える 老朽施設が多く、今後は更に経営の効率化・健全化を図る必要があります。 【目指すべき方向】 【目指すべき方向】 組織や業務内容を見直し検証するとともに、民間企業との連携など効率的な経営 手法を検討し、水道事業経営の更なる健全化を進めます。 【具体的方策】 ◇組織の見直し ●組織、職員配置の効率化を目指し、組織編成の見直しを検討します。 ◇施設規模、施設配置の見直し ●さらなる維持管理の効率化、コスト縮減を目指し、老朽化施設を更新する際には、 人口減少を考慮するなど、長期的視野に立った適切な施設規模や施設の統廃合につ いても検討します。 ◇地元民間企業との連携 ●安全性を最優先した上で、地元民間企業との連携により技術やノウハウの活用を 図り、業務の効率化を検討します。 2) アセットマネジメントの導入 【現状と課題】 水道事業の浄水施設、機械・電気設備、水道管等は資産であり、これまでも多くの 建設投資を行ってきました。今後必要となる老朽化施設の更新と減収による財政状況 の悪化が懸念される中、財政収支見通しを正しく把握するため、適切な資産管理を行 う必要があります。 36 第6章 基本方針と主要施策 【目指すべき方向】 【目指すべき方向】 施設のライフサイクルコストなどを考慮した中長期的なアプローチで、財源の裏 付けのある更新計画を策定し、適切な経営マネジメントの実践を目指します。 【具体的方策】 ◇アセットマネジメント簡易ツールの活用 ●厚生労働省提供のアセットマネジメント簡易ツールを用いて現状を把握、適切な 資産管理及び事業経営に取り組みます。 3) 有収率の向上 【現状と課題】 有収率は給水した水量に対する料金徴収の対象になった水量割合で、数値が大きい ほど効率的な水道水の提供を示しています。紋別市の有収率は、79%(平成 24 年度 実績)となっており、経営全体の効率化を図るためにも、有収率の更なる改善が必要 となっています。 【目指すべき方向】 【目指すべき方向】 漏水調査により管路からの漏水の早期発見と老朽管の更新・布設替えを実施し、 有収率向上の改善に努めます。 【具体的方策】 ◇漏水調査 ●計画的に管路の漏水調査を実施し、漏水箇所の早期発見に努めます。 ◇老朽管の更新及び布設替え ●老朽管の更新計画を策定し、計画的で効率的な更新・布設替えに取り組みます。 6.3.3 料金の最適化 1) 事業規模に応じた料金収入の確保 【現状と課題】 地方公営企業法に基づく会計の独立採算性を確保するためには、事業の健全経営が 必要不可欠であり、安全な水道水の安定供給を持続させるためにも、適正な水道料金 収入の確保が求められます。 37 第6章 基本方針と主要施策 【目指すべき方向】 【目指すべき方向】 経営状況を住民の皆様にご理解いただくため、中長期的な施設更新・財政収支な ど経営計画を策定し公表するとともに、水道料金の未収金の早期回収及び収納率の 向上に努めます。 【具体的方策】 ◇経営状況の公表 ●水道事業の経営状況をわかりやすく公表するため、利用者への情報提供の手法を 検討します。 ◇料金の見直し ●水需要が減少する中、将来にわたり、安全な水道水の安定供給を確保し持続する ためには、適切な料金収入の確保が必要ですが、将来的に市民負担の急激な増加と ならないよう、計画的な水道料金の見直しを検討していきます。 ◇収納率の向上対策 ●水道料金の未収金の早期回収を目指し、個別相談の他、悪質滞納者の対応強化に 努めます。 2) 水需要の確保と料金体系の見直し 【現状と課題】 紋別市の水需要は、減少傾向にあるため給水収益が減収しており、安全な水道水の 安定供給を持続するうえで、厳しい経営状況にあります。このように社会環境の変化 に伴い、経営の安定に向けた料金体系の見直しを検討する必要があります。 【目指すべき方向】 【目指すべき方向】 従来の逓増型料金体系を検証し、利用者の影響を抑制しつつ、事業実態にも応じ た料金体系の見直しを検討します。 【具体的方策】 ◇水需要の確保と料金体系の見直し ●住民サービスの水準維持・向上に必要な収入を確保するため、基本水量の見直し を行うなど、給水量の減少への対応を検討していきます。 ●現行の逓増型料金体系は、使用するに従い負担が大きくなるため、逓減型料金や 大口料金などについても検討し、水需要の確保に努めます。 38 第7章 主要施策のロードマップ 7.主要施策のロードマップ 第 7 章 主要施策のロードマップ 「紋別市水道ビジョン」に掲げた目標・方針の実現化に向けた行程表を作成し、目 指すべき基本理念の達成に向けて積極的に施策の推進を図ります。 水道水の安全の確保 7.1 水道水の安全の確保 目 方 標 針 主要施策 具体的方策 水源事故 対策 ◇水源水質監視体制の継続・強化 ●渚滑川の河川水質調査を継続的 に把握していきます。 ●河川データを蓄積・分析し適切な 浄水処理を行います。 ●水質変動に迅速に対応するため 連続監視機器の整備を行います。 ◇環境保全に係る各種協議会等への 積極的な参画 ●関連機関と協力し、渚滑川水系の 環境保全対策を今後とも継続的に 取り組んで行きます。 ◇危機管理マニュアルの整備 ●危機管理マニュアルを精査し、迅 速かつ効率的に活用できるよう実 施していきます。 ◇災害時を想定した訓練 ●関連機関と連携強化して災害訓 練を積極的に実施し、危機発生時 の対応能力の向上を目指します。 ◇停電時対応の確認 ●停電時における断水の発生を防 ぐため、迅速に対応できるよう定 期的な確認及び訓練を行います。 ●省電力化や電力依存の少ない設 備の更新・導入を検討します。 ◇「水質検査計画」の策定 ●毎年「水質検査計画」を策定し水 道水質の向上を目指します。 ◇水質検査機器の更新・導入 ●水質検査機器の更新や導入につ いては計画的に整備を図ります。 簡易水道事業及び近隣町村の水質 検査については継続して受託して いきます。 水 道 水 の 危 機 管 理 対 策 安 全 水道事業 における 危機管理 マニュア ル等の整 備 停電を想 定したエ ネルギー の確保対 策 の 確 保 水 質 管 理 体 制 の 強 化 ~安全~ 水質監視 体制 26 39 27 計画期間の目標 28 29 30 31 32 (年度) 33 34 35 継続 継続 検討 整備 継続 運用 精査 継続 継続 更新時検討・導入 継続 継続 第7章 主要施策のロードマップ 目 方 標 針 小 規 模 水 道 対 策 主要施策 具体的方策 貯水槽水 道への対 応 ◇貯水槽水道の把握と指導体制の構 築 ●積極的な情報提供(広報誌、ホー ムページ)により管理の重要性等 を啓発し、指導・助言等を行う体 制の構築に努めます。 ◇水道事業への経営統合 ●簡易水道事業の適切な経営方針 を示し、水道サービスの公平性や 水道事業全体の効率化を図るた め、簡易水道事業の統合に向けた 取り組みを進めます。 ◇水道事業・簡易水道事業との連携 ●営農飲雑用水の将来的な維持管 理を見据え、上水道事業、簡易水 道事業と連携し、事業の効率化を 図ります。 簡易水道 事業対策 営農飲雑 用水との 連携 26 40 27 28 計画期間の目標 29 30 31 32 把握・運用 検討 統合 中長期観点より検討 33 (年度) 34 35 第7章 7.2確実な給水の確保 確実な給水の確保 7.2 目 方 標 針 水 道 施 設 レ ベ ル ア ッ プ 確 具体的方策 施設更新 時の再構 築 ◇アセットマネジメント(資産管理) を活用した計画的な更新 ● アセットマネジメントの策定に 向けたデータ収集、整理、精査を 進めます。 ●中長期的な視点で計画的・効率的 に更新し、事業運営等の資金確保 などアセットマネジメント手法に 基づいて進めていきます。 ◇維持管理情報の電子化 ●維持管理情報を電子化し、アセッ トマネジメント等を活用し施設の 再構築と併せた維持管理を目指し ます。 ◇職員教育の充実及び適切な職員配 置 ● 水道関連の事務及び技術研修に 積極的に参加し、中長期的な視点 で適切な人材を配置し、人的資源 確保に努めます。 ◇他の水道事業体との連携 ●水道施設の維持管理、水質管理に おける技術力の向上や非常時にお ける対応のため、他の水道事業体 との連携を強化していきます。 ◇地元民間企業との連携 ● 協業できる分野については積極 的に検討し、突発的に発生するリ スクへの対処もスムーズに対応で きる体制を強化します。 ● 賦課徴収における窓口業務のあ り方を検討し、事務の効率化を目 指します。 ◇耐震化方針の検討 ●主要施設、基幹管路及び優先すべ き重要な給水施設を設定し、効率 的な耐震化整備を図るとともに、 耐震化方針の検討を進めます。 ◇応急給水の体制整備 ●市役所全体での対応や、住民、水 道関連事業者、近隣自治体など広 域的な連携が図られるよう危機管 理マニュアルを検証し、応急給水 を円滑に行うための必要な体制整 備の充実を進めます。 技術職員 の育成(人 材確保) 実 な 給 水 の 人 材 育 成 ・ 組 織 力 強 化 他の水道 関係者と の連携 確 保 施設の耐 震化対策 危 機 管 理 対 策 ~強靭~ 主要施策 施設の適 正な維持 管理 機器資材 等の確保 及び応急 給水 主要施策のロードマップ 26 41 27 28 計画期間の目標 29 30 31 32 整備 33 運用 中長期観点より検討 検討 運用 中長期観点より検討 検討・導入 運用(拡充) 検討・導入 段階的整備 段階的整備 (年度) 34 35 第7章 主要施策のロードマップ 7.3 7.3供給体制の持続性の確保 供給体制の持続性の確保 目 方 標 針 供 給 水 道 サ ー ビ ス の 向 上 主要施策 具体的方策 情報提供 の促進 ◇広報・ホームページの活用 ● 広報は全ての市民が入手できる 媒体のため、積極的な活用を進め るとともに、ホームページの充実 に努めます。 ●地震等、災害や事故等における断 水情報や応急給水情報の提供の在 り方を検討します。 ◇教育委員会及び市内企業との連携 ● 小学生社会科のカリキュラム化 を継続するとともに、市内企業に も広く施設見学の場を提供する取 り組みを進めます。 ◇住民アンケート ●住民ニーズを的確に捉えるため、 定期的にアンケートを実施し、水 道利用者の幅広い意見を集約・反 映する取り組みを検討します。 ◇組織の見直し ● 組織、職員配置の効率化を目指 し、組織編成を検討します。 ◇施設規模、施設配置の見直し ●さらなる維持管理の効率化、コス ト縮減を目指し、老朽化施設を更 新する際には、人口減少を考慮す るなど、長期的視野に立った適切 な施設規模や施設の統廃合につい ても検討します。 ◇地元民間企業との連携 ●安全性を最優先した上で、地元民 間企業との連携により技術やノウ ハウの活用を図り、業務の効率化 を検討します。 ◇アセットマネジメント簡易ツール の活用 ● アセットマネジメント簡易ツー ルを用いて現状を把握、適切な資 産管理・事業経営に取り組みます。 ◇漏水調査 ●計画的に漏水調査を実施し、漏水 箇所の早期発見に努めます。 ◇老朽管の更新及び布設替え ●管路の更新計画を策定し、効率的 な更新・布設替えに取り組みます。 社会見学 等の場の 提供 住民ニー ズ の 把 握・対応 体 制 組織・業務 の効率化 の 持 続 性 の 確 保 経 営 の 健 全 化 ~持続~ アセット マネジメ ントの導 入 有収率の 向上 26 42 27 28 計画期間の目標 29 30 31 32 33 検討 運用 検討 運用 継続 検討 運用 検討 運用 検討・導入 運用(拡充) 中長期観点で導入し継続 継続 段階的整備 (年度) 34 35 第7章 目 方 標 針 主要施策 事業規模 に応じた 料金収入 の確保 料 金 の 最 適 化 水需要の 確保と料 金体系の 見直し 具体的方策 26 27 28 ◇経営状況の公表 ● 水道事業の経営状況をわかりや すく公表するため、利用者への情 検討 報提供の手法を検討します。 ◇料金の見直し ● 安全な水道水の安定供給を確保 し、持続するためには適切な料金 検討・見直し 収入の確保が必要ですが、将来的 に市民負担の急激な増加とならな いよう、計画的な水道料金の見直 しを検討していきます。 ◇収納率の向上対策 ● 水道料金の未収金の早期回収を 目指し、個別相談の他、悪質滞納 者の対応強化に努めます。 ◇水需要の確保と料金体系の見直し ●住民サービスの水準維持・向上に 必要な収入を確保するため、基本 検討・見直し 水量の見直しを行うなど、給水量 の減少への対応を検討していきま す。 ●現行の逓増型料金体系は、使用す るに従い負担が大きくなるため、 検討・見直し 逓減型料金や大口料金などについ ても検討し、水需要の確保に努め ます。 43 主要施策のロードマップ 計画期間の目標 29 30 31 32 33 (年度) 34 35 運用 検討・見直し 検討・見直し 強化・継続 検討・見直し 検討・見直し 検討・見直し 検討・見直し 第8章 水道ビジョンの実現化に向けて 8.水道ビジョンの実現化に向けて 第 8 章 水道ビジョンの実現化に向けて 「紋別市水道ビジョン」の基本理念の達成は、主要施策の推進において計画性を持 って取り組み、可能な限りその達成状況を把握・評価し、目標達成につなげなければ なりません。目標・方針の達成に向け、水道事業者として関係者との連携、意見交換、 推進方策の検討の場を持ち、積極的に施策の推進を図ります。 1) 進捗状況の管理 「紋別市水道ビジョン」に掲げた主要施策を実現化するにあたっては、計画性を持 って取り組み、目標達成につなげる努力を積み重ねていきますが、適切な期間を定め て進捗状況を確認して評価を行うことが必要になります。目標と実現化の実践に差が 生じている場合には、その原因・理由を把握することが重要になります。 また、水道事業単独で進めることが出来ない事業については、「紋別市総合計画」、 「紋別市まちづくりビジョン」、「紋別市都市計画マスタープラン」など他の計画との 関連性を把握して遂行する必要があります。 2) 目標管理 施策をより具体的に示すためには、指標を設定することが必要です。指標を設定す ることにより、容易に施策の実施効果が計れるとともに、達成度が向上しない目標を 迅速に抽出し次の施策に生かすことができるためです。本ビジョンでは、業務指標 (PI)により目標値を設定できる施策に対しては、業務指標(PI)を用いて目標値を設 定し、業務指標(PI)を用いることが難しい施策に対しては独自に指標を設定しまし た。 設定した指標に対して、目標に対する進捗度及び到達度を確認するために3~5年 毎にデータを収集し、再検証を行います。再検証の結果、到達度の低い施策に対して は、改善方法を検討し、水道サービスの目的を達成させるために努力し、到達度の高 い施策については、更なるサービス水準を向上させるべく努力します。 次表に設定した指標及び目標値を示します。 44 第8章 表 8.1 主要施策 安 全 強 靭 持 続 危機管理対策 水源事故対策 水道事業における危機管理マ ニュアル等の整備 停電を想定したエネルギーの 確保対策 水質管理体制の強化 水質監視体制 貯水槽水道の対応 小規模水道対策 簡易水道事業対策 営農飲雑用水との連携 水道施設のレベルアップ 施設更新時の再構築 施設の適正な維持管理 人材育成・組織力強化 他の水道関係者との連携 危機管理対策 施設の耐震化対策 資機材等の確保及び応急給水 水道サービスの向上 情報提供の促進 社会見学等の場の提供 住民ニーズの把握・対応 経営の健全化 組織・業務の効率化 アセットマネジメントの導入 有収率の向上 料金制度の最適化 事業規模等に応じた料金収入 の確保 料金制度の検証 水道ビジョンの実現化に向けて 計画の目標設定 指標 (No.は業務指標 PI) 現況 H24 目標 H35 望まし い方向 無 有 - 無 有 - 100 以上 100 以上 ↑ 0 - 0 50 ↓ ↑ 簡易水道の統合の有無 営農飲雑用水との交流数(回/年) 無 - 有 4 - ↑ 施設再構築計画策定の有無 設備台帳システム導入の有無 無 無 有 有 - - 近隣水道事業との交流数(回/年) - 1 ↑ 耐震化計画の策定の有無 No.2207 浄水施設耐震率(%) 防災訓練の実施(回/年) 無 0 1 有 100 1 - ↑ ↑ 広報に水道事業情報を掲載(回/年) No.3204 水道施設見学者割合 (人/1000 人) 定期的にアンケート実施(1 回/5 年) 3 6 - 8.0 16.0 ↑ - 実施 - 36,981 40,679 ↑ - 79.0 実践 86.3 - ↑ 水安全計画策定の有無 危機管理マニュアル策定の有無 No.2216 自家用発電設備容量率(%) No.1104 No.5115 水質基準不適合率(%) 貯水槽水道指導率(%) No.3007 職員一人当たり給水収益 (千円/人) アセットマネジメントの実践 No.3018 有収率(%) No.3003 総収支比率(%) 従来の料金体制の見直し 45 97.8 - 100 以上 実施 ↑ - 第8章 水道ビジョンの実現化に向けて 3) フォローアップ 「紋別市水道ビジョン」は、中間段階において取り組みの進捗管理、目標達成状況 の確認、重点的施策の追加・見直し等のフォローアップを実践します。 主要施策の取り組み・推進は、PDCA サイクルと呼ばれる“Plan(計画の策定)”→ “Do(実施・実行)”→“Check(点検・評価)”→“Action(処置・改善)”といった 一連の過程を実践することで事業を効果的・効率的に運営していきます。これら4つ の段階を順次行うことにより継続的に改善が図られることになります。 ~PLAN~ ~DO~ 計画策定 計画策定 目標設定 目標設定 管理と運営 管理と運営 施設整備 施設整備 ~PDCA サイクル~ Plan :従来の実績や将来の予測等をもとにし て計画を策定する。 Do :計画にしたがって業務を実行する。 Check :実施が計画に沿っているかどうかを 確認し評価する。 Action :実施が計画に沿っていない部分を調 べて処置を行い、改善を図る。 持続可能な サイクル ~ACTION~ ~CHECK~ 改善計画 改善計画 対応方法の検討 対応方法の検討 効果検証 効果検証 事業評価 事業評価 図 8-1 PDCA サイクル概念図 46 付 紋別市水道ビジョンは、下記委員の皆様により「紋別市水道ビジョン策定委員会」 を設置して、専門的見地からの意見を伺いました。 ○委員長 国立大学法人北見工業大学 ○副委員長 紋別市町内会連絡協議会 教授 ○委 員 会長 南 尚嗣 村上 信一 紋別商工会議所 事務局長 加賀 博之 〃 紋別消費者協会 会長 熊谷 リヨ子 〃 Rose hips 桒原 務緒 舘岡 久幸 谷津 良美 山田 和英 代表 (市内在住女性の任意団体) 〃 〃 紋別市上下水道維持管理事業協同組合 (一社)紋別青年会議所 〃 紋別漁業協同組合 総務室長 参事 ○検討経緯 第 1 回委員会 平成 25 年 11 月 1 日 第 2 回委員会 平成 25 年 12 月 20 日 第 3 回委員会 平成 26 年 3 月 7 日 47 理事長 紋別市水道ビジョン 平成 紋 〒094-8707 別 年 市 水 月 道 部 紋別市幸町2丁目1番18号 TEL0158-24-2111 http://mombetsu.jp/suidou/index.html
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