1.需給動向 1-1.世界の需給動向 ケイ素(シリコン)は酸素に次いで2番目に多い元素で、資源量・埋蔵量は非常に多い。ケイ素はその多くが 酸化物(SiO2)の形で存在し、古くから研磨剤や耐火材、ガラスの原料として使用されてきた。また、鋼材の添 加剤としても使用される。製鉄の工程では電気炉において鉄1tあたり約4㎏前後のケイ素が添加される。ケイ 素合金として製鉄の脱酸素剤にも用いられるほか、ケイ素を混ぜた鋼板(ケイ素鋼板)は、うず電流による損 失が少なくなるため変圧器などに使われている。また、鉛レス黄銅にも添加される。 現在では、金属シリコン(単体金属)としての需要が多い。この金属シリコンは半導体、電子部品、太陽電池 部材、シリコーン、アルミニウム添加剤、機械部品などの用途で幅広く使用されている。これらの金属シリコン の原料となる珪石には、カルシウムやアルミニウムなどの不純物の少ないものが求められており、限られた 地域でのみ採掘されている。 珪石からの金属シリコン製錬は電気炉で行うため大量の電力を使用し、発生する不純物の処理なども必要 である。日本はエネルギーコストや環境コストが高く、珪石から製錬するよりも金属シリコン(純度4N以下)や フェロシリコン(以下FeSi)などの加工素材として輸入する方がコスト的に有利であり、供給は全て輸入に頼っ ている。 世界のシリコン(FeSi・金属シリコン(純度4N以下))生産量を表1-1、図1-1に示す。2013年は前年比ほぼ横 ばいの7,700千tであった。主要生産国は、中国、ロシア、米国、ブラジルなどであるが、トップの中国が全体の 66%、2位のロシアは9%と、中国への集中が進んでいる。国別の生産量増減の状況を見ると、主要国の中で は中国とブラジルが前年比微増、ロシアと米国が前年比微減であり、特に大きな変化はない。ただ、生産量5 位のノルウェーが2012年比で52%と半減近い減少率を示している。 トップの中国ではエネルギーコスト、環境コストの低さやスケールメリットを武器とした価格競争力を打ち出 しており、2位以下の国では価格競争力が低くなり中国に売り負けた結果、シリコン市場でのシェアが低下す るケースもある。ノルウェーの生産量激減の背景には業界再編の他に中国との価格競争も影響しているもの と考えられる。 シリコンの原料である珪石の鉱山資源は現時点で十分な埋蔵量があり、当面は資源枯渇の問題は発生しな いものと考えられる。 表 1-1 世界のシリコン(FeSi・低純度金属シリコン(4N 以下))生産量 2005 2,360 526 270 226 278 139 131 78 161 36 60 66 55 68 289 4,720 2006 2,900 541 146 226 150 124 144 74 84 38 60 66 55 68 297 4,970 2007 3,300 635 155 265 221 164 149 74 109 39 61 66 78 68 39 180 5,590 2008 4,000 605 164 259 235 112 154 73 99 40 61 72 288 6,160 2009 4,310 537 139 224 301 66 116 81 98 59 54 53 266 6,310 2010 4,920 643 176 224 303 127 137 74 127 66 50 52 394 7,290 2011 4,780 647 326 225 297 164 142 78 98 68 61 46 50 383 7,370 2012 5,050 733 383 225 339 174 132 75 78 70 61 53 55 349 7,770 単位:純分千t 2013 13/12比 構成比 5,100 101% 66% 700 95% 9% 360 94% 5% 230 102% 3% 175 52% 2% 170 98% 2% 130 98% 2% 80 107% 1% 78 100% 1% 70 100% 1% 61 100% 1% 60 113% 1% 35 64% 0% 430 123% 6% 7,700 99% 100% ケイ素(Si) 中国 ロシア 米国 ブラジル ノルウェー フランス 南ア アイスランド ウクライナ インド ブータン ベネズエラ カナダ スペイン カザフスタン マケドニア その他 合計 2004 2,490 513 275 225 298 139 149 78 161 36 60 66 55 67 255 4,900 出典:United States Geological Survey「Mineral Commodity Summaries SILICON」 World Production 319 鉱物資源マテリアルフロー2014.indb 319 鉱物資源マテリアルフロー 2014 2015/03/18 13:32:15 その他 フランス ノルウェー ブラジル 米国 ロシア 中国 (純分千t) 8,000 7,200 6,400 5,600 4,800 4,000 3,200 2,400 1,600 800 0 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 図 1-1 世界のシリコン(FeSi・低純度金属シリコン(4N 以下))生産量 ケイ素(Si) 1-2.国内の需給動向 ケイ素の国内需給を表 1-2 に示す。2013 年の国内供給量は前年比 97%の 673,051t、需要量は前年比 114%の 84,094t であった。 国内で消費されるケイ素は、合金鉄、炭化ケイ素など一部の例を除き、ほとんどが鉱石ではなく加工された 素材(金属シリコン、シリカ、フェロシリコンシリコマンガンなど)の形で輸入されている。特に、半導体やシリコ ーン、アルミ添加剤に用いられる金属シリコン(低純度、4N 以下)は、その全量が海外から輸入されたもので ある。 金属シリコンは、カーボン電極を使用したアーク炉を用いて二酸化ケイ素を還元し得られるケイ素の単体で、 国内に持ち込まれた金属シリコンの大半は、まず多結晶シリコン(純度 99.99%)に加工され、その後単結晶シ リコン(または多結晶シリコン)のインゴットとなり、半導体及び太陽電池用のシリコンウエハの製造に用いら れる。なかでも半導体用シリコンウエハは高純度であることが求められているため、その原料になる多結晶 シリコンは主に純度約 11N と高純度のものが使われている。 新金属協会によると 2013 年の多結晶シリコンの国内生産量は 8,000t、単結晶シリコンの国内生産量は 6,538t であった。これらは半導体用のシリコンウエハ(製品)になるが、このシリコンウエハはその製品形態や 使われ方からウエハになった段階で重量ではなく数量(面積)で集計されている。そのため、ウエハの生産量 に対して重量ベースでどのくらいのケイ素が使用されているかを算出することは極めて難しい。 金属シリコンは半導体・太陽電池部材に用いられる高純度金属シリコンと、化学品・アルミ添加剤などに用 いられる低純度金属シリコンに分類される。高純度シリコンには、多結晶シリコンと単結晶シリコンがあり、多 結晶シリコンは、主に、低純度金属シリコンと塩素を反応させトリクロロシラン(ガス化)とし、これを蒸留して高 純化する製法で生産されている。単結晶シリコンは、高純度の多結晶シリコンを原料として FZ(フローティング ゾーン)法などのゾーンメルティングや CZ(チョクラルスキー)法などの単結晶成長法によって製造され、主に 集積回路などの半導体素子の材料として用いられる。現在は半導体の高集積化により、更に高純度化が進ん でいる。 一方、太陽電池用には 6N~9N 程度の多結晶シリコンが使用されている。日本ではソーラーグレードシリコ ンとして主に 9N のものを推奨している。このソーラーグレードシリコンの市場規模は太陽電池の補助金制度 やメガソーラ発電システムへの投資が進み、数年前から需要が増加している。しかし、近年では中国や韓国 などから安価なシリコンが多量に供給されるようになり、国内外で国産多結晶シリコンの価格競争力が失われ、 その生産量も減少傾向にある。 金属シリコン(低純度)はアルミニウム合金を製造する時の添加剤としても使用されている。ケイ素は鋳造 性と流動性を良くすることから特に鋳造用やダイカスト用のアルミニウム合金の製造に用いられている。国内 鉱物資源マテリアルフロー 2014 鉱物資源マテリアルフロー2014.indb 320 320 2015/03/18 13:32:15 のアルミニウム合金用として使われる金属シリコン(低純度)は主に中国から輸入されるものが多い。 一方、鋼材や鋳物製品用途で消費されるケイ素は、珪石の状態でFeSi やシリコマンガンの製造に使われて いる。FeSi は 15%~90%のシリコンを含む鉄合金で、高い比率の鉄ケイ化物(FeSi2)を含んでいるため、ケイ 素は溶融した鉄からの炭素損失を防止するための脱酸材として鉄鋼、ステンレス鋼、その他の合金鋼の製鉄 に使われている。現在では国内で使用される FeSi は全量が海外から輸入されたものである。 シリコマンガンはマンガンとケイ素を含んだ合金である。主にマンガン成分が多く、ケイ素の含有率が 10~ 20%程度のものが一般的とされている。日本では JIS1 号(マンガン:65%以上、ケイ素:15%前後)や JIS3 号 (マンガン:60%以上、ケイ素 15%前後)の鉄鋼を製造する際の脱酸素材用途として用いられている。2013 年、 国内の FeSi 需要量は前年比 107%の 23,819t で、シリコマンガン需要は前年比 91%の 7,493t であった。 表 1-2 ケイ素の国内需給 単位:純分t 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 13/12比 824,038 749,432 813,634 858,442 909,060 494,948 823,896 801,744 693,086 673,051 97% 供 輸入1) 給 合計 824,038 749,432 813,634 858,442 909,060 494,948 823,896 801,744 693,086 673,051 97% 金属シリコン※ 2) 25,658 26,084 26,571 23,095 24,185 15,894 22,480 21,909 22,181 23,819 107% FeSi 内 4,709 5,314 5,274 5,243 5,972 5,808 7,317 8,544 8,227 7,493 91% シリコマンガン2) 需 需 炭化ケイ素※ 要 小計 30,367 31,397 31,845 28,338 30,157 21,702 29,796 30,453 30,408 31,313 103% 37,267 37,822 40,175 46,778 47,724 42,184 55,454 52,963 43,659 52,782 121% 輸出1) 合計 67,634 69,219 72,020 75,116 77,881 63,886 85,251 83,416 74,067 84,094 114% 供給-需要 756,404 680,213 741,614 783,327 831,179 431,062 738,646 718,328 619,019 588,956 95% 出典:1)財務省貿易統計(暦年)、2)経済産業省鉄鋼・非鉄金属・金属製品統計 純分換算率:金属シリコン100%、FeSi75%、シリコマンガン15%、炭化ケイ素80% ※内需には、上記の表に示されたFeSiやシリコマンガンなど鉄鋼向けの合金鉄需要以外にも、金属シリコンとしての半導体・太陽 電池、樹脂、アルミ添加剤としての需要と、炭化ケイ素としての耐火・研削剤としての需要がある。しかし、金属シリコン及び炭化ケ イ素における国内需要に関しては公式的な統計がないため、上記の内需にはその分が計上されていない。 2.輸出入動向 321 鉱物資源マテリアルフロー2014.indb 321 ケイ素(Si) 2-1.輸出入動向 ケイ素の輸出入数量を表 2-1、図 2-1、図 2-2 に示す。2013 年の輸入量は前年比 97%の 673,051t、輸出量 は前年比 121%の 52,782t であった。 輸入は単結晶シリコンが前年比 148%、シリコマンガンが前年比 114%と大幅な伸びを示したが、多結晶シ リコンが前年比 90%、低純度シリコンが前年比 93%とマイナスとなり、全体では前年比微減で推移した。輸出 ではシリカ(二酸化ケイ素)が前年比 86%、炭化ケイ素が前年比 82%と下げ幅が大きかったものの、単結晶 シリコンが前年比 118%と成長した他、低純度シリコンが国内大手メーカーの海外工場立ち上げに伴って前年 比 10 倍以上の伸びを示し、全体量も増加する結果となった。 国内に輸入されるケイ素素材は、シリカ(二酸化ケイ素)、金属シリコン(多結晶、単結晶など)、合金鉄系シ リコン(FeSi、シリコマンガン)、炭化ケイ素などに大別できる。 2013 年の輸出入量の変動が最も激しかったのが金属シリコンの輸出量であり、前年比 196%と倍増近い伸 びを示した。金属シリコンには 4N 以上の高純度シリコン、4N 以下の低純度シリコンがあるが、輸出が急増し たのは低純度シリコンで、2012 年には 753t であったのが 2013 年には 11,490 まで拡大している。これは国内 大手メーカーがマレーシアに建設した工場向けに、原料となる低純度シリコンを日本から輸出したためである。 2013 年の低純度シリコンの輸入量は前年比 93%の 169,925t であった。 金属シリコンの中でも高純度シリコンについては、2013 年の輸入量は前年比 98%の 20,614t、輸出量は前 年比 118%の 15,024t となった。高純度シリコンには多結晶シリコンと単結晶シリコンがあるが、輸出に関して は、財務省貿易統計上ではこれらは区別されていない。新金属協会によると 2013 年の多結晶シリコンの輸入 鉱物資源マテリアルフロー 2014 2015/03/18 13:32:16 量は前年比 90%の 16,192t と減少した。単結晶シリコンの 2013 年の輸入量は前年比 148%の 4,423t と拡大し た。また、新金属協会の統計によると、単結晶シリコンの輸出量は前年比 118%の 15,024t と拡大した。 金属シリコン以外の状況を見ると、ファインセラミックス原料や、ガラス、食品添加剤、化粧品、医薬品など に幅広く用いられているシリカ(二酸化ケイ素)の 2013 年の輸入量は前年比 103%の 43,896t で、輸出量は前 年比86%の14,349tであった。シリカは多結晶シリコンの副産物として精製されるため、多結晶シリコンの生産 量にリンクして増減する。シリカ(二酸化ケイ素)には湿式シリカと乾式シリカがあり、湿式シリカは珪酸ソーダ の水溶液を中和してシリカを析出したもので、ゴム補強やインクの増粘などで使用される。乾式シリカは四塩 化ケイ素を高温の窯の中で反応させたもので、シリコーンゴムの充填剤や半導体ウエハ研磨、医薬品添加剤 などとして使用される。 合金鉄であるFeSiの輸入量及び輸出量はいずれも前年比で減少しており、2013年の輸入量は前年比97% の 349,232t、輸出量は前年比 95%の 6,276t であった。シリコマンガンは 2013 年、輸入量、輸出量ともに前年 比プラスとなっており、輸入量は前年比 114%の 42,491t、輸出量は前年比 132%の 10t となっている。 2013 年の炭化ケイ素の輸入量は前年比 98%の 46,891t、輸出量は前年比 82%の 5,633t であった。主に耐 火物である炭化ケイ素煉瓦として使用され、需要の大部分は焼却炉や製鉄炉であるため、これらが建設され るタイミングで多く出荷されるが、建設需要が無ければ販売量も少ないなど、需要には大きな波がある。 表 2-1 ケイ素の輸出入数量 シリカ (二酸化ケイ素) 高純度 (4N以上) 金 多結晶 属 シ 単結晶 リ コ 素 低純度 材 ン (4N以下) 小計 合 FeSi 金 鉄 シリコマンガ ン ケイ素(Si) 炭化ケイ素 合計 2004 輸入 34,507 輸出 18,226 輸入 10,981 輸出 5,273 輸入 8,364 輸出 - 輸入 2,617 1) 5,273 輸出 輸入 242,439 輸出 902 輸入 253,420 輸出 6,175 輸入 422,130 輸出 5,544 輸入 45,068 輸出 25.2 輸入 68,913 輸出 7,298 輸入 824,038 輸出 37,267 輸入-輸出 786,771 2005 37,775 17,533 13,003 5,742 8,494 - 4,509 5,742 222,851 1,052 235,854 6,793 365,017 5,070 35,160 1.8 75,626 8,424 749,432 37,822 711,610 2006 40,650 21,368 13,395 5,923 8,641 - 4,755 5,923 238,276 899 251,671 6,822 407,569 3,913 41,093 4.7 72,650 8,067 813,634 40,175 773,459 2007 44,667 24,254 15,092 6,778 9,501 - 5,591 6,778 252,025 1,665 267,118 8,442 418,358 5,762 52,595 3.6 75,705 8,316 858,442 46,778 811,665 2008 45,382 22,407 17,520 8,364 11,553 - 5,967 8,364 240,683 1,177 258,203 9,540 459,225 6,881 52,994 61.7 93,256 8,834 909,060 47,724 861,336 2009 30,145 17,988 17,985 8,496 12,123 - 5,863 8,496 146,980 874 164,965 9,370 239,578 5,186 22,135 6.5 38,125 9,634 494,948 42,184 452,764 2010 45,819 19,995 19,914 12,169 15,048 - 4,866 12,169 214,993 646 234,907 12,815 417,252 8,488 40,088 8.1 85,830 14,147 823,896 55,454 768,442 2011 46,846 18,672 25,175 11,825 19,666 - 5,509 11,825 228,711 527 253,886 12,351 379,657 7,269 38,011 12.0 83,344 14,659 801,744 52,963 748,782 2012 42,757 16,672 20,976 12,782 17,996 - 2,980 12,782 182,805 753 203,781 13,535 361,400 6,611 37,249 7.5 47,900 6,833 693,086 43,659 649,427 単位:純分t 2013 13/12比 43,896 103% 14,349 86% 20,614 98% 15,024 118% 16,192 90% - 4,423 148% 15,024 118% 169,925 93% 11,490 1526% 190,539 94% 26,514 196% 349,232 97% 6,276 95% 42,492 114% 9.9 132% 46,891 98% 5,633 82% 673,051 97% 52,782 121% 620,269 96% 出典:財務省貿易統計、1)新金属協会シリコン部会 純分換算率:シリカ(二酸化ケイ素)47%、金属シリコン100%、FeSi75%、シリコマンガン15%、炭化ケイ素80% ※素材はシリカ(二酸化ケイ素)、金属シリコン(多結晶シリコン、単結晶シリコン、低純度4N以下シリコン)、FeSi、シリコマンガン、炭化ケイ素による。 鉱物資源マテリアルフロー 2014 鉱物資源マテリアルフロー2014.indb 322 322 2015/03/18 13:32:16 (純分t) 金属シリコン 高純度(4N以上) 合金鉄 シリコマンガン シリカ(二酸化ケイ素) 炭化ケイ素 金属シリコン 低純度(4N以下) 合金鉄 FeSi 1,200,000 1,100,000 1,000,000 900,000 800,000 700,000 600,000 500,000 400,000 300,000 200,000 100,000 0 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2011 2012 2013 図 2-1 ケイ素の輸入数量 (純分t) 80,000 70,000 60,000 50,000 シリカ(二酸化ケイ素) 金属シリコン 高純度(4N以上) 炭化ケイ素 合金鉄 FeSi 金属シリコン 低純度(4N以下) 合金鉄 シリコマンガン 40,000 30,000 20,000 10,000 0 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 図 2-2 ケイ素の輸出数量 2-2.輸出入相手国 ケイ素(Si) 2-2-1.シリカ(二酸化ケイ素) シリカ(二酸化ケイ素)の輸出入相手国を表2-2、図2-3、図2-4 に示す。2013 年の主要輸入相手国は、中国、 台湾、タイで、この上位 3 ヶ国で全体の 86%を占め、中でも最大の輸入相手国である中国からの輸入量は全 体の 63%に達している。2013 年の輸入量の増減をみると、中国が前年比 114%、台湾が前年比 117%といず れも 2 ケタ増で推移する一方で、3 位以下の国は全て前年比マイナスとなり、特に韓国が前年比35%と突出し て減少している。もともと中国及び台湾はシリカ価格が安かったことに加え、2010 年~2011 年にかけて太陽 電池市場が拡大した時期に中国、台湾の多結晶シリコンメーカーが増強した設備が 2012 年~2013 年に相次 いで立ち上がり、この分の稼働率を確保するため多結晶シリコンを増産。その結果、副産物であるシリカの生 産量も拡大し、この分の需要を確保するため価格攻勢をかけたことが影響している。さらに、中国産の品質が 従来に比べ上昇したことで他国産との品質差がなくなり、競争力が高まった。その結果、特に中国勢、台湾勢 と市場で競合していた韓国勢が売り負ける形で日本への輸入量を減少させた。 輸出相手国は中国、韓国、台湾、米国が中心。日本から輸出するのはコロイダルシリカなど特殊な高付加 価値品であり、相手国が自国内での調達が難しいものが中心となる。中国向けには湿式シリカを供給すると いうケースも増えていると推定される。 323 鉱物資源マテリアルフロー2014.indb 323 鉱物資源マテリアルフロー 2014 2015/03/18 13:32:16 表 2-2 シリカ(二酸化ケイ素)の輸入相手国 2004 8,826 7,711 3,191 3,279 6,277 5,223 34,507 3,379 3,780 2,949 835 3,351 1,445 1,164 1,323 18,226 2005 10,562 8,146 4,376 3,456 6,719 4,516 37,775 3,668 3,555 2,792 640 2,971 1,664 859 1,384 17,533 中国 台湾 タイ 輸 入 米国 韓国 その他 合計 中国 韓国 台湾 米国 輸 出 マレーシア シンガポール タイ その他 合計 出典:財務省貿易統計 純分換算率:シリカ(二酸化ケイ素)47% 2006 13,056 6,854 4,706 3,200 7,597 5,238 40,650 4,677 4,504 3,020 796 3,640 1,982 872 1,877 21,368 2007 19,105 4,873 5,607 3,084 8,152 3,845 44,667 7,012 5,463 2,842 793 2,365 2,000 1,504 2,276 24,254 2008 20,988 4,254 5,444 817 7,655 6,224 45,382 6,167 6,323 2,151 817 1,953 1,433 1,571 1,993 22,407 2009 12,669 3,077 4,070 1,867 5,449 3,013 30,145 6,026 4,664 1,913 798 1,638 839 570 1,540 17,988 2010 21,273 4,598 4,741 2,353 7,660 5,193 45,819 6,366 4,693 2,378 1,101 2,073 980 630 1,774 19,995 2011 23,915 5,190 4,873 2,123 6,765 3,980 46,846 6,008 3,472 2,973 1,038 1,476 858 691 2,156 18,672 2012 24,224 4,803 4,857 1,946 3,998 2,928 42,757 5,348 3,017 2,422 1,111 1,272 817 783 1,903 16,672 2009 2010 2011 2012 単位:純分t 2013 13/12比 構成比 27,644 114% 63% 5,600 117% 13% 4,502 93% 10% 1,908 98% 4% 1,390 35% 3% 2,853 97% 6% 43,896 103% 100% 4,620 86% 32% 2,664 88% 19% 2,201 91% 15% 1,101 99% 8% 864 68% 6% 737 90% 5% 636 81% 4% 1,526 80% 11% 14,349 86% 100% その他 韓国 米国 タイ 台湾 中国 (純分t) 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0 2004 2005 2006 2007 2008 2013 図 2-3 シリカ(二酸化ケイ素)の輸入相手国 その他 タイ シンガポール マレーシア 米国 台湾 韓国 中国 ケイ素(Si) (純分t) 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 図 2-4 シリカ(二酸化ケイ素)の輸出相手国 鉱物資源マテリアルフロー 2014 鉱物資源マテリアルフロー2014.indb 324 324 2015/03/18 13:32:16 2-2-2.多結晶シリコン 多結晶シリコンの輸入相手国を表2-3、図2-5 に示す。2013 年の主要相手国は、米国、ドイツ、台湾、英国、 中国などである。全体の 67%を米国、19%をドイツが占める。2013 年の国別の増減状況を見ると、米国が前 年比 87%、ドイツが前年比 93%、英国が前年比 66%と欧米勢がマイナス傾向で推移しているのに対し、台湾 が前年比 4,901%、中国は前年比 5,840%と急激に拡大。欧米から中国・台湾へのシフトが見て取れる。 特に台湾は 2012 年の輸入量が 30t であったが 2013 年には 1,469t となった。もともと台湾の多結晶シリコン は太陽電池向けが中心で価格競争力が高く、日本国内の太陽電池市場拡大の恩恵を受けた影響が大きい。 中国からの輸入量は 2011 年が 232t、2012 年が 4t、2013 年が 242t と年によって増減が激しい。ほぼ全量が 太陽電池向けであり、2012 年~2013 年にかけての日本国内の太陽電池市場の乱高下にリンクした動きとな っている。 輸入相手国の中でも 2013 年の減少幅が大きかった英国は多結晶太陽電池用が中心である。 表 2-3 多結晶シリコンの輸入相手国 2004 2005 米国 5,248 4,764 ドイツ 1,292 1,649 台湾 17 48 輸 1,678 1,873 入 英国 中国 52.85 54.40 その他 76 106 合計 8,364 8,494 出典:財務省貿易統計 純分換算率:金属シリコン100% 2006 4,825 1,735 257 1,457 160.37 206 8,641 2007 5,108 2,098 506 1,284 173.06 332 9,501 2008 6,869 2,518 325 1,502 35.02 304 11,553 2009 6,961 2,933 564 1,384 14.94 266 12,123 2008 2009 2010 9,360 2,716 688 1,726 142.84 415 15,048 2011 12,131 3,076 244 1,992 231.82 1,991 19,666 2012 12,515 3,361 30 682 4.15 1,404 17,996 単位:純分t 2013 13/12比 構成比 10,891 87% 67% 3,121 93% 19% 1,469 4897% 9% 449 66% 3% 242.25 5840% 1% 20 1% 0% 16,192 90% 100% (純分t) 20,000 15,000 その他 中国 英国 台湾 ドイツ 米国 10,000 5,000 ケイ素(Si) 0 2004 2005 2006 2007 2010 2011 2012 2013 図 2-5 多結晶シリコンの輸入相手国 2-2-3.単結晶シリコン 単結晶シリコンの輸出入相手国を表2-4、図2-6、図2-7 に示す。2013 年は輸入、輸出とも順調に拡大した。 輸入の主要相手国は、米国、中国、ドイツ、台湾などであり、国別の構成比は最も輸入量が多い米国が全 体の38%、中国が21%、ドイツが17%、台湾が15%となった。シリカ(二酸化ケイ素)や多結晶シリコンに加え、 特定国への集中度合いは少ない。2013 年の国別輸入量増減をみると、米国が前年比 186%、中国が前年比 116%、ドイツが前年比 637%と大きく成長、一方で韓国は前年比 64%、フィンランドが前年比 37%と激減して いる。台湾はほぼ横ばいであった。米国については国内の大手シリコンメーカーが米国の関連会社からの原 料調達を増やした分が増加し、中国及びドイツは太陽電池向けの輸入が拡大した。一方で、フィンランドは従 来自前の水力発電を利用しエネルギーコストを抑えることで価格競争力を発揮してきたが、環境コストをかけ ない中国の価格攻勢により競争力を失った。 輸出の主要相手国は、台湾、中国、韓国、香港などであるが、2013年の国別構成比は台湾が51%、中国が 325 鉱物資源マテリアルフロー2014.indb 325 鉱物資源マテリアルフロー 2014 2015/03/18 13:32:17 23%と、ここでも台湾、中国向けが多い。2013 年の増減の状況を見ると、中国向けが前年比 216%、シンガポ ール向けが前年比 227%、米国向けが前年比 192%と大きく伸びているが、ほぼ全量が半導体向けと推定さ れ、半導体産業が盛んな国・地域向けに供給されている。 表 2-4 単結晶シリコンの輸出入相手国 2004 1,085 944 50 86 175 1 275 2,617 492 619 675 0 6 754 448 2,277 5,273 2005 2,867 1,106 39 124 64 27 281 4,509 603 878 756 0 7 704 487 2,306 5,742 米国 中国 ドイツ 輸 台湾 入 韓国 フィンランド その他 合計 台湾 中国 韓国 香港 輸 出 シンガポール マレーシア 米国 その他 合計 出典:財務省貿易統計 純分換算率:金属シリコン100% (純分t) 7,000 6,000 5,000 2006 3,092 906 52 262 59 35 349 4,755 717 1,221 725 55 25 729 323 2,128 5,923 2007 3,858 828 76 434 103 36 256 5,591 1,044 1,701 805 115 49 621 548 1,895 6,778 2008 3,887 620 87 612 448 34 279 5,967 1,548 2,337 1,286 337 72 409 391 1,984 8,364 2009 3,878 317 184 228 664 136 456 5,863 2,361 2,142 1,268 416 141 222 270 1,675 8,496 2010 2,437 489 37 529 766 169 438 4,866 3,476 3,365 1,634 670 192 387 398 2,047 12,169 2011 2,546 1,046 31 448 1,146 98 194 5,509 3,174 2,554 2,091 1,125 362 574 341 1,603 11,825 2012 899 819 120 667 286 108 82 2,980 6,804 1,632 1,532 945 273 363 118 1,116 12,782 単位:純分t 2013 13/12比 構成比 1,668 186% 38% 946 116% 21% 763 637% 17% 666 100% 15% 182 64% 4% 40 37% 1% 157 192% 4% 4,423 148% 100% 7,725 114% 51% 3,525 216% 23% 1,271 83% 8% 717 76% 5% 620 227% 4% 293 81% 2% 227 192% 2% 645 58% 4% 15,024 118% 100% その他 フィンランド 韓国 台湾 ドイツ 中国 米国 4,000 3,000 2,000 1,000 0 ケイ素(Si) 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 図 2-6 単結晶シリコンの輸入相手国 (純分t) 16,000 その他 米国 マレーシア シンガポール 香港 韓国 中国 台湾 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 図 2-7 単結晶シリコンの輸出相手国 鉱物資源マテリアルフロー 2014 鉱物資源マテリアルフロー2014.indb 326 326 2015/03/18 13:32:17 2-2-4.低純度金属シリコン 低純度金属シリコンの輸出入相手国を表2-5、図2-8、図2-9 に示す。輸入は中国への依存度が非常に高く、 2013 年には中国からの輸入が全体の 89%を占めた。一方で 2 位ノルウェーの 2013 年の輸入量は前年比 54%、3 位のブラジルからの輸入量は前年比 43%と、それぞれ約半減となったが、これは価格競争力に勝る 中国にシェアを奪われた結果と考えられる。この他、目立った動きとしてはカザフスタンの輸入量拡大(2012 年に 40t であったのが 2013 年には 1,000t に急増)がある。旧ソ連地域はシリコン、タンタル、レアアースなど の埋蔵量が多く、ソ連時代の大規模製錬工場が残っている。これらは旧ソ連から独立した際に国有化を外れ 操業を停止していたが、最近になってカザフスタン政府が新たな国の基幹産業育成のため、これまで放置さ れていた鉱山や製錬所を再開するという動きが始まった。 豪州からの輸入は 2012 年に 1,794t であったのが、2013 年には前年比 34%の 612t まで縮小した。 2013 年の輸出を見るとマレーシア向けが急激に増加しているが、これは国内大手メーカーの現地工場向け の原料輸出としての一時的増加であり、継続的な動きではない。 表 2-5 低純度金属シリコンの輸出入相手国 ケイ素(Si) 単位:純分t 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 13/12比 構成比 中国 201,796 191,223 212,506 230,614 216,149 122,659 196,444 196,470 147,857 151,294 102% 89% ノルウェー 17,312 13,513 13,514 9,855 10,280 7,825 10,354 9,392 5,061 54% 3% ブラジル 7,230 5,225 4,575 6,479 9,870 10,218 6,729 10,567 11,476 4,940 43% 3% 南アフリカ 3,820 3,900 1,402 1,900 2,800 2,162 1,720 4,440 4,504 3,360 75% 2% タイ 44 521 3,241 2,300 71% 1% カザフスタン 132 40 1,000 2,500% 1% 輸 フランス 1,360 620 580 480 320 341 600 760 800 881 110% 1% 入 豪州 7,412 6,744 4,363 1,301 211 1,757 340 1,719 1,794 612 34% 0% ラオス 160 120 120 260 140 54% 0% 台湾 27 22 0 354 90 0 0 1 61 100 164% 0% ドイツ 250 40 40 41 40 30 54 75 98 88 90% 0% ベトナム 20 0 860 620 60 10% 0% その他 3,211 1,564 1,297 1,003 763 9,814 1,117 2,692 2,663 89 3% 0% 合計 242,439 222,851 238,276 252,025 240,683 146,980 214,993 228,711 182,805 169,925 93% 100% マレーシア 2 0 0 3 3 0 20 2 20 10,238 50,037% 89% 中国 336 641 338 281 585 366 117 184 197 417 212% 4% イタリア 0 1 158 281 177% 2% 輸 米国 34 7 3 57 46 10 34 60 174 148 85% 1% 出 ポーランド 0 0 0 0 0 0 16 0 2 144 6,270% 1% 台湾 164 116 234 944 145 173 133 15 90 91 101% 1% その他 366 287 324 380 397 324 326 265 111 170 154% 1% 合計 902 1,052 899 1,665 1,177 874 646 527 753 11,490 1,526% 100% 出典:財務省貿易統計 純分換算率:金属シリコン100% その他 ブラジル ノルウェー 中国 (純分t) 280,000 240,000 200,000 160,000 120,000 80,000 40,000 0 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 図 2-8 低純度金属シリコンの輸入相手国 327 鉱物資源マテリアルフロー2014.indb 327 鉱物資源マテリアルフロー 2014 2015/03/18 13:32:17 (純分t) 12,000 その他 台湾 ポーランド 米国 イタリア 中国 マレーシア 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 図 2-9 低純度金属シリコンの輸出相手国 2-2-5.炭化ケイ素 2013 年の炭化ケイ素の輸出入相手国を表 2-6、図 2-10、図 2-11 に示す。輸入については中国が全体の 96%を占め、2 位以下にスペイン、ブラジル、ドイツ、ノルウェー等があるが、いずれも構成比は 1%以下であ る。中国は日本と近く物流期間も一週間程度であるが、欧州、南米などの相手国は距離が遠く、例えばブラジ ルから輸入する場合は物流期間が 2 か月かかるといった地理的な問題がある。また、急な注文に対する対応 力という点でも中国は優位性があり、現時点では中国からの輸入に頼らざるを得ない。 2013 年の主な輸出相手国はハンガリー、ポーランド、韓国などで、輸出量に占める構成比はハンガリー向 けが 31%、ポーランド向けが 22%、韓国向けが 17%と、上位3 ヶ国で全体の 70%を占めるが、輸入ほどの一 国集中は見られない。 表 2-6 炭化ケイ素の輸出入相手国 ケイ素(Si) 2004 65,901 336 1,035 698 768 18 2 4 16 135 68,913 1 4 2,719 1,000 479 560 1,407 115 35 29 81 868 7,298 中国 スペイン ブラジル ドイツ ノルウェー 米国 輸 チェコ 入 インド 台湾 韓国 オランダ ウクライナ その他 合計 ハンガリー ポーランド 韓国 米国 中国 マレーシア 輸 出 台湾 イタリア ドイツ 英国 インドネシア その他 合計 出典:財務省貿易統計 純分換算率:炭化ケイ素80% 鉱物資源マテリアルフロー 2014 鉱物資源マテリアルフロー2014.indb 328 2005 71,153 448 1,338 577 1,580 205 1 192 132 75,626 639 188 2,393 1,106 378 771 1,370 125 224 26 106 1,098 8,424 2006 67,973 608 1,148 663 1,591 191 0 432 44 72,650 814 250 1,030 1,572 526 629 1,258 136 41 29 81 1,700 8,067 2007 72,514 272 998 517 1,097 280 16 1 1 9 75,705 954 243 1,165 1,482 469 609 1,854 141 281 48 51 1,018 8,316 2008 89,798 272 1,194 557 980 352 64 13 26 93,256 784 383 1,623 1,336 375 652 1,634 86 411 9 49 1,493 8,834 2009 37,187 144 228 251 31 102 149 6 16 11 38,125 269 1,310 2,671 879 287 384 901 53 1,043 9 27 1,801 9,634 2010 83,710 336 562 336 133 200 65 228 1 170 16 72 85,830 1,137 1,416 3,021 1,472 253 777 1,126 111 1,966 36 60 2,775 14,147 2011 79,557 433 399 456 553 199 512 187 368 0 230 451 83,344 1,672 1,549 4,013 1,626 152 960 724 135 1,467 110 71 2,180 14,659 2012 45,295 397 377 243 162 206 368 116 122 96 32 487 47,900 1,595 1,063 1,913 767 210 414 229 89 42 82 57 372 6,833 単位:純分t 2013 13/12比 構成比 45,153 100% 96% 405 102% 1% 318 84% 1% 269 111% 1% 225 139% 0% 138 67% 0% 128 35% 0% 67 58% 0% 52 43% 0% 48 0% 32 33% 0% 32 100% 0% 25 5% 0% 46,891 98% 100% 1,732 109% 31% 1,220 115% 22% 966 50% 17% 457 60% 8% 282 134% 5% 246 59% 4% 240 104% 4% 105 118% 2% 86 205% 2% 66 80% 1% 60 106% 1% 173 47% 3% 5,633 82% 100% 328 2015/03/18 13:32:18 (純分t) 100,000 その他 ブラジル スペイン 中国 90,000 80,000 70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2011 2012 2013 図 2-10 炭化ケイ素の輸入相手国 その他 台湾 マレーシア 中国 米国 韓国 ポーランド ハンガリー (純分t) 16,000 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 図 2-11 炭化ケイ素の輸出相手国 329 鉱物資源マテリアルフロー2014.indb 329 ケイ素(Si) 2-2-6 フェロシリコン(FeSi) フェロシリコンの輸出入相手国を表 2-7、図 2-12、図 2-13 に示す。2013 年の主要輸入相手国は、中国、ロ シア、ブラジルで、構成比は中国が 57%、ロシアが 24%、ブラジルが 11%と、上位 3 ヶ国で全体の 82%を占 める。中国の依存度が高いが、2 位のロシアでは 2013 年の出荷量が 2012 年比で 121%と大きく伸びている 他、4 位にあるアイルランドも 2013 年の輸入量は 2012 年比で 156%となっており、中国以外に輸入ソースを求 める動きが見て取れる。2013 年の主要輸出相手国は、タイ、インドネシア、韓国、台湾など、アジア地域向け が中心である。主要国の構成比は、タイが 56%、インドネシアが 13%、韓国が 12%、台湾が 9%、シンガポー ルが 7%となっている。 鉱物資源マテリアルフロー 2014 2015/03/18 13:32:18 表 2-7 フェロシリコンの輸出入相手国 単位:純分t 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 13/12比 構成比 中国 300,913 274,602 323,430 330,784 366,547 138,089 288,237 233,029 212,478 200,144 94% 57% ロシア 52,363 23,944 17,237 24,780 36,482 41,664 65,916 65,007 68,818 83,142 121% 24% ブラジル 48,300 48,745 55,825 53,768 44,078 46,895 41,997 47,062 46,884 37,778 81% 11% アイスランド 989 1,467 2,925 3,655 3,231 2,417 5,919 8,041 4,821 7,531 156% 2% 輸 0 0 0 0 0 0 180 3,246 7,886 7,524 95% 2% 入 ベトナム ノルウェー 8,306 5,481 2,181 1,818 4,061 5,299 4,200 8,095 4,955 3,951 80% 1% 韓国 1,093 811 45 30 515 0 179 748 1,488 1,871 126% 1% その他 10,166 9,966 5,926 3,523 4,312 5,213 10,625 14,429 14,070 7,290 52% 2% 合計 422,130 365,017 407,569 418,358 459,225 239,578 417,252 379,657 361,400 349,232 97% 100% タイ 724 587 410 967 1,483 1,815 3,270 3,540 3,604 3,512 97% 56% インドネシア 1,443 1,563 1,173 1,767 2,271 1,499 2,003 1,107 1,157 844 73% 13% 韓国 1,874 1,458 1,394 1,530 1,649 903 1,508 1,187 619 731 118% 12% 台湾 825 437 99 222 388 394 799 462 430 558 130% 9% 輸 206 339 380 430 439 375 420 450 390 450 115% 7% 出 シンガポール 中国 10 260 283 383 287 106 296 315 244 49 20% 1% マレーシア 95 105 108 101 71 57 45 60 15 45 300% 1% その他 367 320 68 361 294 38 147 149 151 87 58% 1% 合計 5,544 5,070 3,913 5,762 6,881 5,186 8,488 7,269 6,611 6,276 95% 100% 出典:財務省貿易統計 純分換算率:フェロシリコン75% ※四捨五入により、各数値と合計値、前年比、構成比が合致しない場合がある。 (純分t) 600,000 その他 ベトナム アイスランド ブラジル ロシア 中国 500,000 400,000 300,000 200,000 100,000 0 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 図 2-12 フェロシリコンの輸入相手国 ケイ素(Si) (純分t) 10,000 9,000 8,000 7,000 その他 台湾 韓国 インドネシア タイ 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 図 2-13 フェロシリコンの輸出相手国 鉱物資源マテリアルフロー 2014 鉱物資源マテリアルフロー2014.indb 330 330 2015/03/18 13:32:18 2-2-7.シリコマンガン(SiMn) シリコマンガンの輸出入相手国を表 2-8、図 2-14 に示す。2003 年~2008 年までは中国からの輸入が最も 多く、輸入量全体の約 60~80%を占めていた。中国での自国消費の増加や、輸出関税引き上げにより、中国 からの輸入が 2009 年以降激減している。中国に代わり、2010 年以降インドからの輸入量が急増しており、 2013 年の全輸入量に占めるインドの比率は 59%である。 表 2-8 シリコマンガンの輸出入相手国 2004 3,824 1,728 625 0 4,956 0 227 0 49 1,985 1,441 152 0 30,082 45,068 1 24 25 2005 1,431 1,675 1,922 0 6,223 0 0 0 125 1,862 1,189 35 0 20,697 35,160 1 0 2 インド カザフスタン ベトナム 韓国 ウクライナ インドネシア ブラジル 輸 入 フランス ノルウェー 豪州 南アフリカ スペイン スロバキア その他 合計 台湾 輸 タイ 出 その他 合計 出典:財務省貿易統計 純分換算率:シリコンマンガン15% 2006 1,014 2,980 878 0 4,197 0 0 0 103 1,749 126 6 0 30,040 41,093 4 0 0 5 2007 2,415 3,668 198 0 1,941 0 0 0 219 0 108 3 0 44,043 52,595 3 0 0 4 2008 4,335 2,851 575 0 4,548 0 9 0 481 0 331 36 0 39,828 52,994 8 3 51 62 2009 5,824 1,557 2,620 0 1,980 0 0 0 249 220 674 24 238 8,749 22,135 6 0 6 2010 18,265 5,364 2,509 2,145 3,857 303 0 105 409 290 944 51 75 5,773 40,088 8 0 8 (純分t) 2011 19,309 6,474 1,722 3,225 3,198 438 46 332 236 532 629 60 0 1,811 38,011 11 1 12 2012 21,265 6,283 2,394 3,194 1,236 807 16 302 162 292 83 57 141 1,016 37,249 7 0 8 単位:純分t 2013 13/12比 構成比 24,893 117% 59% 6,711 107% 16% 4,520 189% 11% 1,919 60% 5% 1,587 128% 4% 1,558 193% 4% 531 3,288% 1% 227 75% 1% 193 119% 0% 123 42% 0% 66 80% 0% 66 116% 0% 63 45% 0% 36 4% 0% 42,492 114% 100% 9 125% 91% 1 300% 9% 10 132% 100% その他 韓国 ベトナム カザフスタン インド 60,000 50,000 40,000 30,000 ケイ素(Si) 20,000 10,000 0 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 図 2-14 シリコマンガンの輸入相手国 2-3.輸出入価格 ケイ素の輸出入価格を表 2-9、図 2-15、図 2-16 に示す。2013 年に前年に比べ変動が大きかったのは低純 度シリコンの平均輸出価格で、2012 年に 57.5$/㎏であったのが 2013 年には 5$/㎏と大幅に下落した。また、 単結晶シリコンも輸入価格が前年比 73%、輸出価格が前年比 78%と、輸出価格、輸入価格ともに大幅な落ち 込みを見せている。単結晶シリコンの主要用途は半導体ウエハや太陽電池であるが、特に半導体ウエハ向 けでユーザーであるデバイスメーカーの発言権が強いため、材料メーカーが価格を下げざるを得ず、輸出価 格、輸入価格ともに下がってきているという状況である。 331 鉱物資源マテリアルフロー2014.indb 331 鉱物資源マテリアルフロー 2014 2015/03/18 13:32:19 表 2-9 ケイ素の平均輸出入価格 輸入 輸出 輸入 金 多結晶 輸出 属 シ 輸入 単結晶 リ 輸出 素 コ 低純度 輸入 材 ン (4N以下) 輸出 輸入 合 FeSi 輸出 金 鉄 シリコマンガン 輸入 輸出 輸入 炭化ケイ素 輸出 シリカ (二酸化ケイ素) 単位:$/kg 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 13/12比 1.66 1.75 1.72 98% 1.37 1.30 1.36 1.31 1.46 1.56 1.60 6.8 7.5 95% 4.9 5.1 4.9 4.2 4.9 5.2 5.8 7.1 103% 35.5 42.3 56.1 75.2 80.2 73.4 63.2 59.5 48.2 49.4 - - - - - - - - - - - 92.4 105.5 130.0 158.8 151.8 108.0 115.4 111.1 115.4 83.9 73% 50.9 56.6 75.2 94.9 156.2 82.6 70.1 72.0 48.4 37.9 78% 1.2 1.2 1.2 1.6 2.6 2.2 2.5 3.0 2.7 81% 2.2 43.8 42.9 39.5 23.8 87.8 64.4 47.3 52.2 57.5 9% 5.0 0.82 0.74 0.79 0.96 1.65 1.44 1.51 1.74 1.59 93% 1.48 1.2 1.4 1.4 1.4 2.2 2.2 2.3 3.1 3.0 83% 2.5 1.3 1.2 91% 1.0 0.8 0.7 1.0 2.1 1.2 1.4 1.1 1.5 2.8 2.2 2.5 1.6 3.0 3.1 3.3 3.1 82% 2.5 2.6 2.0 86% 1.0 1.2 1.3 1.4 2.1 2.1 2.3 1.7 2.8 3.5 4.9 4.9 4.9 5.1 5.5 5.5 6.1 6.5 85% 出典:財務省貿易統計 ※輸出入価格は貿易統計の貿易額を財務省による年間平均為替レートにより米ドルベースに換算し、年間平均価格を示した。 ($/kg) 180 多結晶(輸入) 単結晶(輸入) 低純度(4N以下)(輸入) 低純度(4N以下)(輸出) 単結晶(輸出) 160 140 120 100 80 60 40 20 0 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 図 2-15 ケイ素(金属シリコン)の平均輸出入価格 FeSi(輸入) シリコマンガン(輸入) 炭化ケイ素(輸入) シリカ(二酸化ケイ素)(輸入) FeSi(輸出) 炭化ケイ素(輸出) シリカ(二酸化ケイ素)(輸出) シリコマンガン(輸出) ($/kg) ケイ素(Si) 8.0 6.0 4.0 2.0 0.0 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 図 2-16 ケイ素(シリカ、合金鉄、炭化ケイ素)の平均輸出入価格 鉱物資源マテリアルフロー 2014 鉱物資源マテリアルフロー2014.indb 332 332 2015/03/18 13:32:19 3.生産者及び生産品目 日本におけるケイ素の主要生産者は表 3 の通りである。 表 3 主要生産者及び生産品目 企業名 トクヤマ 三菱マテリアル 大阪チタニウムテクノロジーズ エムセテック 信越化学工業 SUMCO グローバルウエハースジャパン 新日本電工 神戸製鋼所 多結晶 ○ ○ ○ ○ - 高純度シリコン FZ単結晶 ○ - CZ結晶 ○ ○ ○ - シリコ マンガン ○ ○ フェロ シリコン - 出典:矢野経済研究所 リサイクル率 =(使用済み製品からのリサイクル量)/(見掛消費) 見掛消費 =(国内生産)+(素材の輸入)-(素材の輸出) ケイ素(Si) 4.リサイクル ケイ素のリサイクル率を以下のように定義し、表 4 に示す。2013 年のケイ素のリサイクル率は 0%であった。 国内のケイ素のリサイクル量は限定的であり、そのほとんどが工程内リサイクルである。例えば、太陽電池シ リコンウエハの場合、加工工程で発生したスクラップは基本的に全量シリコンウエハの製造工程で再利用され ている。また、半導体メーカーの製造工程で発生するシリコンウエハのスクラップは、太陽光発電用の原料ま たはアルミ合金添加剤としてごく少量がリサイクルされている。 一方、ケイ素は最終製品からケイ素成分を回収し再利用するシステムはまだ確立されていない。例えば、 半導体や太陽電池、シリコン樹脂などにおいては、技術的な問題ではなく、コスト的に合わないため最終製品 からのリサイクルは行われていない。アルミ地金、鉄鋼用に使われたケイ素は基本的に屑(鉄、アルミスクラ ップ)として回収されているが、この回収スクラップに含まれるケイ素成分は普通鋼材の製造では不純物とし てみなされるため、リサイクルには至っていない。さらに、炭化ケイ素から作られる炉材・機械部品等の使用 済製品からの回収も、その効率性の問題からリサイクルはほとんど行われていない。 例外的に回収・リサイクルが行われているのが、半導体ウエハを生産する際の位置決めに使用されるダミ ーウエハである。ダミーウエハの生産量・回収量は統計数字などがなく、詳細は不明である。半導体工場では ウエハサイズを変更するタイミングで全てのラインで位置決めをやり直すため、大量のダミーウエハが使用さ れるが、サイズ変更が無ければダミーウエハの使用は少量である。ダミーウエハの需要はウエハサイズの 変化に合わせて波がある。 ※素材はシリカ(二酸化ケイ素)、金属シリコン(単結晶シリコン、多結晶シリコン、低純度4N以下シリコン)、フェロシリコン、 シリコマンガン、炭化ケイ素の合計値 ※国内生産には使用済製品のリサイクル(マテリアルリサイクル)を含む 表 4 ケイ素のリサイクル率 単位:純分t 2013 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 452,764 768,442 748,782 649,427 620,269 452,764 768,442 748,782 649,427 620,269 0 0 0 0 0 0% 0% 0% 0% 0% 2009 生産 回収 輸入(素材)-輸出(素材) 合計① リサイクル量 回収② リサイクル率 ②/① 出典:財務省貿易統計、触媒資源化協会 国内生産 見掛消費 333 鉱物資源マテリアルフロー2014.indb 333 2010 2011 2012 鉱物資源マテリアルフロー 2014 2015/03/18 13:32:19 鉱物資源マテリアルフロー2014.indb 334 - 直接の輸出入なし 国内生産あり 金属シリコン 輸出入のみ 国内生産量 輸入量 輸出量 43,896 14,349 シリカ (二酸化ケイ素) 製造フロー (国内製造あり) t t ※電気消費が多く、珪砂の原 料が海外にあるため100%加 工された状態で輸入 アーク炉を用いて高温還元して生産 ※珪砂をカーボン電極を使用した 190,539 t 輸入量 輸出量 26,514 t ※metallurgical grade Si ※ケイ石を木炭などと一緒に 電気炉で融解、還元 多結晶シリコン 349,232 t 6,276 t 中央電気工業 - 製造フロー (国内製造なし) リサイクルのフロー 炭化ケイ素 国内生産量 35,242 千t 輸入量 46,891 t 輸出量 5,633 t 新日本電工 神戸製鋼所 シリコマンガン 3,711 t 国内生産量 輸入量 42,492 t 輸出量 10 t 主要生産企業 輸入量 輸出量 フェロシリコン 国内生産量 輸入量 輸出量 主要生産企業 信越化学工業 東レ・ダウコーニング 旭化成ワッカーシリコーン モメンティブ・パフォーマンス・ マテリアルズ・ジャパン JNC(旧チッソ) シリコーン 鉄鋼石、珪石などを投入し製造 電気炉にコークス、マンガン鉱石(FMンH1スラグ)、 ※シリコンマンガンはマンガン系合金鉄の一種で、 単結晶・多結晶シリコン (インゴット) 単結晶シリコン 国内生産量 6,358 t 4,423 t 輸入量 15,024 t 輸入量 主要生産企業 SUMCO 信越化学工業 グローバルウエハーズジャパン - ケイ素のマテリアルフロー(2013) 国内生産量 8,000 t 輸入量 16,192 t 輸出量 主要生産企業 トクヤマ 三菱マテリアル 大阪チタニウムテクノロジーズ 素材 ※国内生産量は新金属協会、耐火物協会統計より 鋳物製品 - 鋼材 23,819 t 石英ガラス - - るつぼ 化粧品添加剤・ コーティング剤(医薬品)など 需要量 - 需要量 乾燥剤・ろ過助剤 需要量 - 需要量 耐火・研削剤 需要量 ファインセラミックス 需要量 - 含マンガン鋼材 7,493 t 需要量 需要量 需要量 アルミ添加剤 需要量 - 太陽電池用単・多結晶 シリコンウェハ 需要量 ※SOG-Si:純度6N~ シリコン樹脂 需要量 - 製品・主要用途 ※SEG-Si:11N~ シリコンウェハ 国内生産量 輸入量 輸入量 主要生産企業 SUMCO 信越化学工業 グローバルウエハーズジャパン MEMC ※純分換算率:シリカ(二酸化ケイ素)47%、金属シリコン(単結晶シリコン、多結晶シリコン)100%、フェロシリコン75%、シリコンマンガン15%、炭化ケイ素80% ※SiO2が主体の鉱石・砂=珪石・珪砂 国内生産量 輸入量 輸出量 珪石・珪砂 原料 5.マテリアルフロー ケイ素(Si) 鉱物資源マテリアルフロー 2014 334 2015/03/18 13:32:20 化粧品・医薬品 単結晶シリコン 引き上げ用など 食品添加剤 ガラス 鉄鋼など路剤・ 機械部品など 構造材 普通鋼、特殊鋼 自動車用部品、 鉄道車両、 産業機械など 鉄鋼製品 アルミ地金 (母合金):再生地 シリコーンゴム、 潤滑材、接着材、 シーラント、 コーティング材 太陽電池 半導体
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