北海道大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野 後期研修プログラム Department of Otolaryngology, Head and Neck Surgery, Hokkaido University Graduate School of Medicine 教授からのメッセージ 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学は、1)大変幅広い、2) 重要な感覚器または五感(五官)を取り扱う、3)繊細な 外科手技(耳・鼻・音声など)からダイナミックな外科手 技(頭頸部癌)を駆使する、4)外科のみならず内科的 な領域もある等々非常に多彩な分野です。 この領域のほぼすべてを私ども北大耳鼻咽喉科・頭 頸部外科は網羅しつつ臨床・教育・研究の全てに全 力で取り組み、大変すばらしい成果を出しています。 また当耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野は大正11年に 開講して以来90年にも及ぶ歴史があります。 北海道大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野 教授 福田 諭 是非、これを読んでいる皆さんと共に、歴史と伝統に 裏打ちされつつも自由で活発な明るい教室を作って いきたいと思っています。どうぞ北大耳鼻咽喉科・頭 頸部外科へ!! 北大耳鼻咽喉科・頭頸部外科の特色 1 特色① 充実の研修・教育体制 特色② 学内・学外で高い評価 特色③ 多分野にわたる高度の専門性 特色④ 豊富な関連病院 特色⑤ 国内、海外との学術交流がさかん 特色⑥ 多数の競争的研究費獲得 特色⑦ 女性医師の支援に熱心 特色⑧ 医局員の仲が良く、医局の雰囲気が良い 特色① 充実の研修・教育体制 初期研修終了後の最初の1年間は大学病院にて研修を開始します。 問診、診察法や手術手技の基本はもとより学会発表や論文作成に至るまで指導致します。 大学病院研修後は複数の関連病院にて研修を重ね、耳鼻咽喉科専門医を取得します。 専門医取得後は希望に応じて大学院に進学するか、大学病院や関連病院にて研修を行 います。 頭頸部がん専門医などの高度専門領域の専門医取得や国内・海外留学などを経て、専 門領域を具有した耳鼻咽喉科医として大学教員、関連病院医長や開業医など、社会に貢 献できる耳鼻咽喉科・頭頸部外科医になれるよう責任をもって育成します。 特色② 学内・学外で高い評価 北大耳鼻咽喉科・頭頸部外科の研修システムは確立されており、若手医師を中心に学内・ 学外で高く評価されています。2014年度における当科医師の主な受賞は以下の通りです。 学内 ・フラテ奨励賞(北大医学部同窓会) ・高桑榮松基金奨励賞(北大医学部) 学外 ・日本頭頸部癌学会優秀論文賞 ・日本口腔・咽頭科学会奨励賞 ・日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会奨励賞 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会 奨励賞授賞式 (鈴木正宣先生) 2 特色③ 多分野にわたる高度の専門性 北大耳鼻咽喉科・頭頸部外科には6つの診療グループがあり、手術治療や専門外来に て外来診療を行うとともに若手医師への教育や臨床研究、基礎研究を行っています。 よみがえる聴力 人工内耳埋め込み術 鼻内内視鏡手術における ナビゲーション手術 臓器温存を可能にする超選択的動注治療 当科での治療が読売新聞に紹介されました 難治性疾患への外科的挑戦 痙攣性発生障害に対する 甲状軟骨形成術Ⅱ型 3 特色④ 豊富な関連病院 北大耳鼻咽喉科・頭頸部外科には札幌市内を中心に北海道内各地に地域の基幹病院 としての役割を担う関連病院が豊富にあります。急性期疾患、救急、手術、複数の科に またがる全身性疾患など幅広い疾患と年齢層を対象とした耳鼻咽喉科・頭頸部外科の 最前線の診療を学ぶことができます。また、病院同士の連携も非常に密で地域、病院に より偏りのない診療が実施されています。研修期間中に複数の関連病院をローテーショ ンすることにより、充実した臨床研修を行うことができます。 札幌市内の関連病院 病院名 耳鼻咽喉科 常勤医師数 総病床数 (耳鼻咽喉科病床数) 市立札幌病院 5 752(21) 手稲渓仁会病院 4 562(15-20) 北海道がんセンター 3 516(18) JCHO札幌北辰病院 3 276(12) 天使病院 3 260(15) 札幌厚生病院 2 519(8) 北海道医療センター 2 500(8) NTT東日本札幌病院 2 301(7) 北海道医療大学病院 2 24 札幌逓信病院 1 98 病院名 耳鼻咽喉科 常勤医師数 総病床数 (耳鼻咽喉科病床数) 市立旭川病院 3 502(8) 市立釧路総合病院 3 643(35) 函館中央病院 3 527(15) 砂川市立病院 2 498(10) 岩見沢市立病院 2 501(5) 苫小牧市立病院 2 382(12) 網走厚生病院 1 366(10) 倶知安厚生病院 1 392(9) 製鉄記念室蘭病院 0 (外来出張) 347 町立中標津病院 0 (外来出張) 199 浦河赤十字病院 0 (外来出張) 246 札幌市外の関連病院 4 特色⑤ 国内、海外との学術交流がさかん 北大耳鼻咽喉科・頭頸部外科は学内はもとより、国内、海外の施設への留学を積極的 に行っています。基礎研究留学、臨床留学ともに行っており、得られた知見を医局員に 還元してレベルアップにつながっています。これまでの留学先は以下の通りです(短期 研修を除く)。また、海外からの留学も受け入れております。 国内留学先 ・国立がん研究センター ・東京医療センター感覚器センター ・国立感染症研究所 ・熊本大学腫瘍医学 ・癌研究会病院(現:がん研有明病院) ・国際医療福祉大学三田病院 ・一色クリニック(音声外科) 海外留学先 ・University of California, San Diego(米国) ・The University of Melbourne(オーストラリア) ・University of Frankfurt(ドイツ) ・The University of Gothenburg(スウェーデン) ・MD Anderson Cancer Center(米国) ・Toronto General Hospital(カナダ) ・University of Pittsburg Cancer Institute(米国) ・University of Washington(米国) ・University of Arkansas for Medical Sciences(米国) ・National Heart and Lung Institute(英国) ・Vanderbilt University(米国) 海外からの留学受け入れ ・Dr. Aries Hariadi Putra Yudha(インドネシア) ・Dr. Derinuru Aniwaru(ウイグル自治区) ・Dr. Milabelle B. Lingan(フィリピン) 5 先輩医師からのメッセージ 坂下 智博 先生 国際医療福祉大学三田病院 にて2年間臨床留学 留学のきっかけ 頭頸部癌治療の中でも手術治療について広く知識・技 術を身につけたいと思い東京の癌専門病院での研修を 希望しました。人員に余裕が無いなか、福田教授はじめ 上司の先生に快く背中を押して頂けたことで、期待と共 に北大に還元しなければという責任感を胸にわたしの東 京研修はスタートすることができました。 留学先について 癌研究会附属病院頭頸科部長を長年にわたって務めら れた鎌田信悦先生が、2005年に国際医療福祉大学三 田病院に移られ開局した頭頸部腫瘍センターに2008年 から2年間研修をしてきました。頭頸部腫瘍センターは一 般の耳鼻咽喉科とは独立していますので、まさに癌治療 に専念できる環境でした。手術の際は癌の切除、皮弁の 採取、血管吻合、再建を一貫して頭頸科医師が行ってお り大変貴重な経験になりました。 毎週3件ほど長時間手術を行っており、体力的にはきつ いなと思うこともありましたが充実した毎日で経験値アッ プになりました。 留学を志す後輩へのメッセージ 北大に戻り、多くの症例を任せて頂き東京での経験が生 きていると実感します。全国から自分の腕を試そうと多く の医師が研修に来ていますので、そのような環境に居る だけでも大変良い刺激をうけますし、広い視野をもつこと が可能になると思います。全国に医師仲間ができるチャ ンスにも恵まれます。頭頸部外科医を目指す若手医師 のみなさん、癌専門病院での研修は臨床経験において 必ず大きなプラスになると思います。まだ進路が決まっ ていない研修医のみなさん、北大の当教室はこのように 本人のやる気次第で国内外の留学を快く認めてくれる 環境にありますので自分のスタイルにあったスキルアッ プが可能です。 特色⑥ 多数の競争的研究費獲得 北大耳鼻咽喉科・頭頸部外科は臨床研究、基礎研究ともに高い評価を得ており、多くの 競争的研究費を獲得しています。2014年度に当科医師が研究代表者として獲得した主 な競争的研究費は以下の通りです。 厚生労働科学研究委託費 がん対策推進総合研究事業 ・進行上顎洞癌に対する超選択的動注化学療法を併用した放射線治療による新規治療法開発に関 する研究(本間明宏) 文部科学省科学研究費助成事業 ・基盤研究C:頭頸部癌におけるEGFRパスウェイ分子の遺伝子変異とタンパク質立体構造変化 (本間明宏) ・基盤研究C:SIRT1活性化剤によるアレルギー性鼻炎根治に向けた基礎的研究(中丸裕爾) ・基盤研究C:好酸球性副鼻腔炎におけるNKT細胞の役割と新しい治療戦略(髙木大) ・基盤研究C:バイオインフォマティクスアプローチによる頭頸部癌のシグナル伝達ネットワークの解明 (畠山博充) ・基盤研究C:高悪性度唾液腺癌に対するオーダーメイド治療の開発(加納里志) ・若手研究B:ミトコンドリアDNAの解析による頭頸部癌の癌化、予後因子の解明(水町貴諭) ・若手研究B:頭頸部癌におけるcyclinD1標的sgRNAによる新規遺伝子標的治療の開発 (坂下智博) 先輩医師からのメッセージ 松浦 真理 先生 耳鼻科医を志望したきっかけ 手術に興味があったことが一番でした。悪性腫瘍や気道緊急に関わることはも ちろん、アレルギーや音声、聴覚、前庭などQOLに関わる分野は患者さんに結 果をより厳しく評価される印象があり、やりがいがあると思いました。 入局後の印象 私は他大学出身ですが、同期も4人中3人が他大学出身ですぐに溶け込むこと ができました。先生方は穏やかな方が多く、専門家としてそれぞれ自信を持っ て輝いている印象です。向上心をもった指導熱心な先生方と一緒に働けて毎 日充実しています。 日々の生活 大学病院では病棟・外来の当番を割り当てられ、上級医の先生に指導を受けながら研修しています。大 学ならではの症例を経験でき、日々刺激を受けております。月に数回、関連病院で外来をさせてもらいま すが、大学とは違った症例を経験することができ、症例のかたよりなく勉強できます。週1回朝のレジデント 向け講義のほか、週2回朝にカンファレンアスがあり、そこでのプレゼンもかなり勉強になります。指導して いただける機会は多く、後期研修1年目としてはかなり恵まれた環境で研修させていただいています。 将来の夢 医療には診断する楽しみもありますが、耳鼻科は手術や処置など治療の楽しみがひとつ特徴かと思うの で、できることをひとつひとつ増やして、患者さんの期待にこたえられる医師になりたいと考えています。 6 特色⑦ 女性医師の支援に熱心 北大耳鼻咽喉科・頭頸部外科は耳鼻咽喉科・頭頸部外科医であると共に、女性としての ライフスタイルをできるだけ確立できるように支援しています。北大病院の施設である、病 後児保育室「ぶらん」、保育園「ポプラ」や、短時間勤務医員枠である「すくすく育児支援 プラン」を利用しながら、良い耳鼻咽喉科・頭頸部外科医を目指しながらも働きやすい環 境作りに努めています。 (北大病院ホームページより) 先輩医師からのメッセージ 櫻田 理佳 先生 出産の時期 医局で働き始めて2回目の出向病院での任期を終えて専門医をとったタイミングで出 産を考え始めて、耳鼻科医として働き始めて7年目で出産しました。年齢、仕事のバ ランスを考えると自分にとってはそこがベストタイミングでした。 出産後の苦労 耳鼻科の場合長時間のオペなどもあり妊娠中は自分の体調管理と上司や同僚の理 解が不可欠でした。 出産前後での変化 子供中心の生活となりました。保育園に行き始めは熱を出してばかりで夫や実家の 手助けが不可欠となりました。うちは夫以外の手助けがない状況なので子供の病気 のフォローなどを考えて現在は仕事量をかなりセーブして働かせていただいています。 女性医師へのアドバイス 出産を機にやめてしまう、もしくは辞めざるを得ない状況となってしまう同僚や先輩をたくさん見てきました。 以前に上司より「仕事ってマラソンみたいなものだから止まったら終わり。細々とでも続けいくのが大切」と 言われたのが印象に残っており、子育て中もなんとか 続けていこうと思いました。そんな状況の中で耳鼻 咽喉科という科は様々な働き方を選ぶことができますし、たとえフルタイムであったとしても周囲の協力が あれば他科よりは働きやすいのではないかと思います。又、今の職場は育児支援制度や保育園などの施 設も整っておりこれから結婚出産を考える女医さんにとってとても働きやすい環境だと思います。 7 特色⑧ 医局員の仲が良く、医局の雰囲気が良い 北大耳鼻咽喉科・頭頸部外科は北大以外の大学卒業の医師も多く在籍しております。初 期研修先も多様で、様々なバックグラウンドを持った医師が切磋琢磨しております。看護 師などメディカルスタッフとの関係も良好で、お互いにサポートしながらチーム医療を行っ ております。歓送迎会、忘年会のほか、初夏には伝統行事である「えびとり」、夏のビール パーティなどもあり親睦を深めています。 えびとり 医局対抗野球大会(札幌ドームにて) 病棟にて 医局対抗サッカー大会 送別会 8 本間 明宏 診療教授からのメッセージ 耳鼻咽喉科・頭頸部外科は、感覚器というQOLに直結する臓 器の内科的治療から外科的治療までをカバーする魅力ある分 野です。 北海道大学は雄大な北海道の大都市・札幌の中心にあり、 北海道という土地柄のためか、私たちの教室にはおおらかで 優秀な魅力ある医師が多く、耳鼻咽喉科・頭頸部外科のすべ ての領域にわたり良質の医療を提供するべく各分野のスペ シャリストがいます。また、耳鼻咽喉科専門医試験の高い合格 率を誇っており、それは高い診療レベル、充実した研修システ ムによるものです。 やさしく優秀で魅力的なたくさんの先輩がいて、楽しくのびの びと研修できる北大に是非来てください。一緒に頑張りましょう! 見学のご案内 北大耳鼻咽喉科・頭頸部外科では随時、教室見学を受け付けております。「教室の雰 囲気を見ておきたい」「先生方から直接話を聞いてみたい」など北大耳鼻咽喉科・頭頸部 外科についてもっと知りたいと思っている方がいらっしゃいましたら気軽に連絡を下さい。 これまでも国内外を問わず多くの教室見学希望者を受け入れてきました。「手術を見た い」「外来を見たい」などの要望にもお応え致します。迷っていたらまず連絡、メールお待 ちしております! 連絡先:水町 貴諭 (医局長) 北海道大学大学院医学研究科・頭頸部外科学分野 〒060-8638 札幌市北区北15条西7丁目 TEL : 011-706-5958 FAX : 011-717-7566 E-mail: [email protected] http://oto.med.hokudai.ac.jp/ 9
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