岡山医 誌 (1993) 105, 681∼693 肥大 型心 筋症 にお ける肥大様 式 と ベ ク トル心電 図の対 比検 討 岡 山 大 学 医 学 部 第 一 内科 学 教 室(指 白 木 照 (平 成5年5月7日 Key words:ベ ク トル 心 電 図,肥 緒 大 型 心 筋 症,心 夫 受 稿) 臓 超 音 波 ,magnetic 異 常Q波 に よ り心 室 中 隔 resonance imaging な ど様 々 な 所 見 が 認 め られ て い る.さ らに 肥 厚 形 態 に 関 連 し て胸 部 誘 導 の 巨大 陰 性T の 非 対 称 性 肥 大 を有 す る こ とが そ の 形 態 的 特 徴 で あ る と さ れ て き た が,近 孝 夫 教 授) 心 電 図 の 変 化 に 関 す る報 告 は 多 く,左 室 肥 大 や 言 肥 大 型 心 筋 症 で は,Henry1)ら 導:辻 波 は,心 年 諸 家 に よ り心 尖 部 尖 部 肥 大 の特 徴 的 所 見 で あ る と さ れ て き た2)4).し か し標 準12誘 導 法 は 心 起 電 力 を歪 ん 肥 大2)や左 室 後 壁 肥 大3)な どの 亜 型 が 報 告 さ れ る だ 形 で 捕 ら え る た め,定 よ うに な り,多 彩 な 肥 厚 形 態 を と る こ とが 明 ら 考 え られ る.心 起 電 力 の 変 化 を正 確 に 分 析 す る か と な って き た.し た め に は,体 か し従 来 の 報 告 の 多 くは そ 量 的 な解 析 に 不 向 き と 表 面 か ら心 起 電 力 を歪 み な く捉 え の 肥 厚 形 態 の 評 価 に 心 臓 超 音 波 を 用 い て い るが, る こ とが 必 要 で あ り,こ の た め に はFrank法 骨 や 空 気 を含 ん だ 肺 内 で は 減 衰 が 大 き い.そ ク トル 心 電 図 が 最 も適 し て い る.そ の ベ の ためベ ク 結 果 症 例 に よ っ て は左 室 の 側 壁 や 心 尖 部 の 情 報 トル 心 電 図 上 の 特 徴 に つ い て も多 くの 報 告 が な を得 る こ とが 困 難 で,実 さ れ て き た が,肥 際 に は こ れ らの 部 位 に 肥 厚 を有 し て い て もそ の 評 価 が 不 十 分 と な り, 大 部 位 別 に そ の 特 徴 を検 討 し た報 告 は 少 な く,5)6)7)現 在 までの ところそれぞれ 結 論 を 間 違 っ た 方 向 に 修 飾 す る場 合 が あ る と考 の 指 標 に 関 す る定 量 的 な検 討 もほ とん ど行 な わ え られ る.一 方,近 年 心 臓 領 域 にお け るmagnetic れ て い な い.そ resonance え,MRIを imaging(以 下MRI)は 心 電 図同期 こ で 今 回 著 者 は心 臓 超 音 波 に 加 用 いて肥大 型心 筋症 にお け る肥厚 形 法 の 導 入 に よ り,心 内 腔 と心 室 壁 が 明 瞭 に 区 別 態 をで き る だ け 正 確 に 評 価 す る と と もに,肥 大 し て 抽 出 で き る よ うに な り,任 意 の 傾 斜 断 面 を 部 位 別 に ベ ク トル 心 電 図 の特 徴 を検 討 し,さ ら 設 定 し て 像 を得 る こ とが で き る点 や,骨 に 心 電 図 に よ り肥 大 部 位 の推 定 が 可 能 か 否 か を や 気体 に よ る ア ー チ フ ァ ク トが な い 点 等 と相 ま っ て, 検 討 し た. 超 音 波 に よ り抽 出 困 難 な 症 例 に お け る 肥 大 部 位 の 評 価 に 有 用 で あ る と考 え ら れ る.ま た,肥 対 大 型 心 筋 症 に お け る こ う した 形 態 学 的 な変 化 は 当 対 象 は,岡 象 山大 学 医 学 部 第 一 内 科 お よ び 関 連 然 電 気 生 理 学 的 な 変 化 を生 じ,こ れ が 心 機 能 の 病 院 に て 肥 大 型 心 筋 症 と診 断 さ れ た43例(男36 異 常 や 不 整 脈 の 発 生 と も 関 連 して 病 態 や 予 後 に 例,女7例,平 重 要 な 影 響 を 与 え る こ と が 考 え ら れ る.従 って 型心 筋症 の診 断は 厚生 省特定 疾 患特発 性心 筋症 肥 大 型 心 筋 症 の 肥 大 部 位 と心 臓 電 気 生 理 学 的 変 調 査 研 究 班 に よ る 診 断 の 手 引8)を参 考 と して行 な 化 と の 関 係 を 明 ら か に す る こ とは,単 有 無 や 程 度 の み な らず,肥 っ た.即 に肥大 の 位,異 大 型 心 筋 症 の病 態 を 把 握 す る上 で きわ め て 重 要 と考 え られ る.こ 均 年 齢53±10歳)で ち,心 電 図 上ST-T変 常Q波 化,左 室側 高電 な ど の 所 見 を有 し,心 臓 超 音 波 で 心 筋 の 肥 厚 を 認 め,病 の た め 従 来 か ら肥 大 型 心 筋 症 に お け る 標 準12誘 導 あ る.肥 大 歴 や 心 臓 超 音 波,心 臓カ テ ー テ ル,冠 動 脈 造 影 な ど に よ り二 次 性 心 筋 疾 681 682 白 木 照 夫 患や リウマ チ性 心疾 患,心 奇形,高 血圧 性心 疾 も13mm以 上 の もの と し た.尚,標 患 等 の左室 肥 大 を来 たす 可能性 の あ る疾 患 を除 いた もの と した.心 臓超 音波 に よ る左室 肥大 の 図 の 所 見 か ら,脚 ブ ロ ッ ク,心 房 細 動,房 ロ ッ ク,WPW症 候 群 を 有 す る例 は 除 外 し た. 基 準 は,厚 生 省特 定疾 患特 発性 心 筋症 調査研 究 方 班 の超音 波検 査 法に よる特 発性 心筋 症の診 断9)を 参 考 と し,左 室壁 の いず れか の部分 が少 な くと 準12誘 導 心 電 室ブ 法 43例 全 例に,同 一 日に心臓 超音 波検 査 及 びべ 図1 左 室 壁分 割 法 Feigenbaumら の方 法 をmodifyし,左 室 心 基部 か ら心 尖 部 まで を,3つ に区 分 し,さ らに心 基部 側 の 2断 面 を 中隔,前 壁,後 壁,側 壁 の4つ に 区分 し左 室 全体 を計9つ に分 割 した. 表1 対 象 (mean±SD) ※ p<0.01 ※ ※ p<0.001 LVH:左 室 高 電 位(SV1+RV5ま abnormalQ:異 常Q波(Q/R≧1/4か たはRV6≧3.5mV) つQ≧40msec) 肥大 型 心筋 症 にお け る肥大様 式 とベ ク トル心 電 図の対 比検 討 Frontal 図2 Sagittal 683 Horizontal 初 期 ベ ク トル の 方 向 S: Septal type, A: Anterior type, PL: Posterolateral type, AP: Apical type 表2 初期 ベ ク トル の大 き さ Frontal 単 位: plane mV mean±SD ※ p<0.05 ク トル 心 電 図 検 査 を施 行 し た.心 に は 東 芝 社 製SSH65Aを 左 室 長 軸 像,短 ※ ※ p<0.01 臓超 音波検 査 用 い,傍 胸 骨 部 か ら の 軸 像 お よび心 尖部 か らの 四腔 断 層 像 を記 録 した.次 に,Feigenbaumら10)の 波 法 に よ る壁 分 割 法 をmodifyし て,図1の 超音 ご と く,左 室 心 基 部 か ら心 尖 部 まで を3つ の 断 面 に わ け た.心 中 隔,前 基 部 側 の2断 壁,側 全 体 を 計9つ 壁,後 面 につ いて は さ らに 壁 の4つ に 分 割 し,左 室 の 部 分 に 分 割 した.心 尖部 以外 は Bモ ー ド左 室 短 軸 像 に よ り そ れ ぞ れ の 壁 厚 を計 684 白 木 照 夫 測 し,心 尖 部 につ いて は短 軸像 の みか らは正 確 に 超 音 波 に よ る評 価 に 限 界 の あ る例 につ い て は, な像 を得 る こ とが 困難 なため,長 軸 像 お よび 四 MRIに 腔 断層像 に よ る計 測 を加 味 して評価 した.さ ら 河 メ デ ィ カ ル シ ス テ ム 社 製RESONA(超 よ る壁 厚 の 評 価 を用 い た.MRIは,横 型0.5テ 表3 QRS環 ス ラ)を 用 い,43例 つ い て,心 の 回転 方 向 電導 中14例(33%)に 臓 超 音 波 検 査 な ら び に ベ ク トル 心 電 図 検 査 施 行 後 少 な く と も一 ヶ 月 以 内 に 行 っ た. 撮 像 条 件 は,ス ピ ン エ コー 法 に よ りエ コ ー 時 間 を35∼45msec,繰 り返 し 時 間 は 各 症 例 毎 に 600∼1000msecと 10msec後 し,計 測 に はR波 の頂 点か ら に 撮 像 し た左 室 長 軸 像 及 び 左 室 短 軸 像 を用 い た.そ れ ぞ れ の 軸 の 決 定 は,胸 部横 断 断 層 像 に よ り僧 帽 弁 中 央 と心 尖 部 を結 ぶ 直 線 を 設 定 して 平 面 を決 定 し,こ の 平 面 で の 断 層 像 を 撮 像 し,こ れ を左 室 長 軸 像 と し た.次 長 軸 像 に 直 交 し,最 い でこの も著 しい 肥 大 を認 め る と思 わ れ る部 位 を通 る断 面 を左 室 短 軸 像 と し た.こ れ らの 計 測 の 結 果 に 基 づ き,前 述 の9つ CW:時 計 回 転,CCW:反 Frontal planeで 時 計 回 転,F8: typeで 8の 字 型 回転. は 反 時 計 回 転 を 呈 す る 比 率 がapical 最 も 少 な く,Posterolateral typeで Anterior typeで 最 も 多 か っ た.一 方,Septal は8の 字 型 や その 他 に 含 まれ るBizzare type, typeの4型 configurationを Posterolateral Sagittal type, type, Apical に 分 類 し た.ベ ク トル 心 電 図 は フ ク ダ電 子 社 製Vectorcardiograph 示 す 例 が 多 か っ た. Frontal の部 分 の う ち最 も 肥 厚 が 強 い 部 分 に よ りSeptal VA-3Gを 用 い, Horizontal mean±SD * p<0.05 p<0.01 p<0.001 ** *** 図3 最 大Tベ ク トル の大 き さ 略語:図2参 照 肥大 型心 筋症 に おけ る肥大 様 式 とベ ク トル心 電図 の対 比検 討 た 独 立 性 の 検 討 に はChi-2乗 Frontal 率 が5%以 685 検 定 を用 い,危 険 下 を有 意 と判 定 し た. 結 果 1. 左 室 の 肥 厚 形 態 超 音 波 及 びMRIを は,Septal 用 いた肥 厚形 態 の評価 で typeが43例 Apical type, typeの 順 で,中 中16例 Posterolateral に あ っ た.標 type, 準12誘 Anterior 導 心 電 図 の 所 見 で は,ST-T で 左 室 高 電 位,異 中39例 常Q波 と最 も 多 く,次 い の 順 で あ っ た.そ れ ぞ れ の 所 見 を 各 群 に つ い て み る と,ST-T変 Anterior type及 びApical 高 電 位 はApical terolateral typeに typeに typeに 化 は 多 く,異 多 く,左 常Q波 肥 厚 が 強 く,Apical type及 室 はPos 多 い 傾 向 に あ っ た.各 左 室 最 大 壁 厚 を 比 較 す る とSeptal typeの 下 隔 を 中 心 と し た肥 大 が 多 い傾 向 変 化 を 示 す も の が43例 Sagittal と最 も 多 く,以 群 で の typeで 最 も びPosterolateral 間 に 有 意 差 を 認 め た(表1). 2. 初 期 ベ ク トル の 方 向 と 大 き さ Horizontal 心 室 中 隔 の 最 初 の 興 奮 は,QRSの 24±4msecで 終 了 す る と さ れ て い る11).そ こ の 間 を 検 討 す る た め,各 10msecか QRSベ ら30msecま 群 のQRS環 で は,一 た 後,右 で の 間 で の5msec毎 planeで はApical typeを 厚 に対 す る心 尖部 壁 厚 の 比 との関 係 Apex/IVS:心 基 部 心 室 中 隔壁 厚 に 対す る心 尖部壁厚の比 typeで は 既 に15msecベ は20msecま typeで は,最 向 か っ た 後 に 左 下 方 へ 向 か っ て い た.Sagittal は 多 少 の バ ラ ツ キ は あ る も の の,4群 と も に 前 方 に 向 か っ て い た.Horizontal フ ク ダ 電 子 社 製Vectoranalyzer で は 初 期 ベ ク トル の 前 半 部 分 は,Apical VAC-3を ク トル 心 電 図 はQRS環 期 ベ ク トル の 大 き さ と方 向,最 ル の 大 き さ と方 向,QRS環 間 を,T環 用い に つ い て は,初 除 く3群 大QRSベ に 向 か う が,後 ク ト の 回転 方向 お よび に つ い て は最 大Tベ ク トル の は 右 前 方 に,Apical 異 な りAnterior lateral type, type, Apical typeの 前 方 に 分 布 し て い た.ま さ ち にQRS/T比 及 びQRST夾 ル の 方 向 で はAnterior 計 処 理 に は 一 元 配 置 分 散 分 析 を,ま か う 傾 向 に あ り,次 い でSeptal は左前 方 type, postero 順 に 右 前 方 か ら左 と め る と,初 typeで plane typeを 群 で 方 向が大 き く Septal び 長 径 と短 径 の 比 を 計 測 し, 角 につ いて検 typeで 半 部 分 は,各 大 き さ と方 向,及 討 した.統 typeで 初右 下方 に フ ラ ン ク誘 導 法 に よ り記 録 し,定 量 的 解 析 に は QRS時 で ク トル は 右 下 方 に 向 か っ て い た. こ れ に 対 し,Apical planeで た.ベ 除 く 旦 右 方 な い し右 や や 上 方 に 向 か っ ほ ぼ 右 方 に 向 い 続 け る の に 対 し,Septal ク トル の大 き さ と心 基部 心 室 中 隔壁 の 下 方 な い し左 下 方 に 向 か っ た がAnterior typeとPosterolateral 図4 最 大Tベ こ で の開始 ク トル の 方 向 と 大 き さ を検 討 し た(図2, 表2).Frontal 3群 開始 か ら 期 ベ ク ト 最 も右 前 方 に 向 type, Postero 686 白 木 照 夫 Sagittal Frontal Horizontal mean±SD * ** 図5 QRS/T比 の大 き さ 略 語:図2参 lateral type, Apical typeの p<0.05 p<0.01 照 順 に左 方 向に 向か Horizontal う 傾 向 に あ っ た.初 期 ベ ク トル の 大 き さ に つ い て み る と,Frontal planeで typeが 意 差 を 認 め た が,Sagittal planeで は,Septal でApical で,さ はPosterolateral 最 も 大 き く,30msecで plane及 typeが typeと 各群 との問 に有 びHorizontal 最 も 小 さ く,30msec の 問 に 有 意 差 を 認 め た.そ ら にSeptal typeに の 方 向 と 大 き さ を,心 こ つ い て 初 期 ベ ク トル 室 中 隔 の 厚 さ及 び 左 室 拡 張 末 期 径 に 対 す る 心 室 中 隔 厚 の 比 と対 比 し た が, い ず れ も 一 定 の 関 係 は 得 ら れ な か っ た. 3. QRS環 図6 水 平 面 に於 け るQRS/T比 と心基 部 心 室 中隔 壁 厚 に 対 す る心 尖部 壁 厚 の 比 との関係 の 回転 方向 Horizontalお よ びSagittal planeで 常 回 転 の 反 時 計 回 転 が 殆 ど で あ っ た.こ し,Frontal planeで も 少 な く,Septal lateral typeの れ に 対 し8の type, Anterior typeで type, は最 postero 順 に 多 く な る 傾 向 に あ っ た.こ 字 型 や,回 い わ ゆ るBizzare 呈 す る 例 が,Septal 転 方 向 の 表 現 の 困 難 な, configuration(以 typeで50%と 照 れに対 は 肥 大 部 位 に よ り反 時 計 回 転 を 呈 す る 比 率 は 異 な り,Apical 略 語:図4参 は,正 typeで19%,自 2群 に は1例 いで ク トル の 大 き さ 各 平 面 で4群 がFrontal及 さ く,森 由 壁 肥 大 を 呈 す る残 り も 認 め な か っ た(表3), 4. 最 大QRSベ もSeptal 下BC)を 多 く,次 Apical 間に特 に有意差 は認め なか った びHorizontal typeは planeで 他 群 に 比 しvoltageが は いずれ や や小 らの ベ ク トル 心 電 図 に よ る左 室 肥 大 の 肥 大 型心 筋症 に おけ る肥大 様 式 とベ ク トル心電 図 の対 比検討 ** *** 図7 最 大QRSベ NS: 表4 水 平 面最 大QRSベ 687 p<0.01 p<0.001 ク トル の 方 向 ク トル の方 向 と肥大 部 位 not significant か っ た が,最 大Tベ ク トル の 大 き さ と心 基 部 心 室 中 隔 壁 厚 に 対 す る心 尖 部 壁 厚 の 比 の 間 に は, 各 平 面 と も に 有 意 な正 相 関 を認 め た(図4). 6. QRS/T比 Frontal planeで は,ば らつ きが 大 き く,各 群 と もに 一 定 の傾 向 を認 め なか っ たが,Horizon S: Septal A+AP: type, PL: Anterior Posterolateral type及 type, びApical tal plane及 type. びSagittal planeで で 小 さ く,Septal typeと (図5).そ 診 断 基 準12)で あ る水 平 面 最 大QRSベ 2.0mVを ク トル ≧ 満 足 し な い 例 が16例 中9例(56%)と 多 か っ た.一 方,逆 にPosterolateral typeは T比 こ で,Apical は,Apical type の 問 に有 意 差 を 認 め た typeに つ い て,QRS/ と心 尖 部 の 壁 厚 及 びQRS/T比 と心 基 部 心 室 中 隔 壁 厚 に 対 す る 心 尖 部 壁 厚 の 比 との 関 係 を 検 討 し た.QRS/T比 と心 尖 部 壁 厚 との 間 で は 有 他 群 よ り も大 き い傾 向 に あ っ た. 意 な相 関 は 得 られ な か っ たが,QRS/T比 5. 最 大Tベ 部 心室 中隔壁厚 に対 す る心尖部 壁厚 の比 につ い Septal ク トル の 大 き さ typeは 各 平 面 共 に 最 大Tベ も小 さ く,逆 にApical typeは ク トルが 最 各平 面共 に最 も 大 き く,両 群 間 に は い ず れ の 平 面 で も有 意 差 を 認 め た(図3).さ 最 大Tベ ら にApical typeに つ いて ク トル の 大 き さ と心 尖 部 の 壁 肥 厚 の 程 度 との 関 係,及 び 最 大Tベ ク トル の 大 き さ と, て はHorizontal planeに と心 基 お いて 有意 な逆相 関 関 係 を 認 め た(図6). 7. 最 大QRSベ Frontal 向 は,平 planeで ク トル の 方 向 は最 大QRSベ ク トル の 方 均 値 では各 群 間に有 意 な差が 認め られ な か っ た.し か し,Septal typeで は16例 中 の 半 心 尖 部 と心 基 部 心 室 中 隔 の 壁 厚 の 比 との 関 係 に 数,8例 が 上 方 へ 向 か うの に 対 し,他 の 群 で は つ い て 検 討 し た.最 Anterior typeとPosterolateral 大Tベ ク トル の 大 き さ と心 尖 部 壁 厚 との 間 に は 有 意 な相 関 関 係 は得 られ な typeで 各1例 が 上 方 に 向 か っ て い る に す ぎ な か っ た.Sagittal 688 白 木 照 夫 * p<0.05 図8 最 大Tベ NS: planeで はSeptal Apical typeは typeは や は り最 も 後 方 へ, 最 も 前 方 へ む か い,残 そ の 中 間 に 位 置 し,Septal は type との 間 に 有 意 差 を 認 め た.各 群 の 違 い はHorizon tal planeで 最 も 明 ち か で,Septal 左 後 方 へ,ま たAnterior typeは は 逆 に 左 前 方 に 向 い,Posterolateral こ の 両 群 の 中 間 に 位 置 し た.そ typeとPosterolateral 及 びApical 7).そ typeと こ で,全 最 大QRSベ typeは, の 結 果,Septal type の 間 に 有 意 差 を 認 め た(図 ∼0°をtypeⅡ,0° の タ イ プ に わ け,肥 布 を 検 討 し た.Apical はAnterior lateral typeで planeとHorizontal planeで 下Posterolateral type, 平 均118° と 小 さ く,以 Anterior type, Apical にApical 環 が お よ そQRS環 10. T環 type typeで typeと い て そ の3平 Anterior+Apical な り 最 大QRSベ に, は86%がtypeⅡ typeで に は80%がtypeⅢ と ク トル の 方 向 に よ り,あ る程 Frontal ク トル の 方 向 planeとSagittal に有 意 差 を 認 め な の 開 始 か ら終 了 ま で 間 と し 各 群 毎 に 比 較 し た が,特 考 planeで れ を 間 各 平 面 に つ い て,QRS環 をQRS時 の 長 径 と幅 につ に有 意 差 を 認 め な か っ た. 度 肥 大 部 位 の 推 定 が 可 能 で あ っ た(表4). 8. 最 大Tベ 11. QRS時 比 面 中 の 最 大 値 の 比 を と り,こ る と,Septal は63%がtypeⅠ は 平 均173° と,T 方 法 に よ り,T環 か っ た. typeで 順 に大 き の 間 に 有 意 差 を 認 め た. のlength/widthの Chouら13)の typeの はSeptal の 対 側 へ 向 か っ て お り,Septal 各 群 に つ い て 検 討 し た が,特 typeで は有 意 typeで をtype 大部 位別 にその分 planeで 差 を 認 め な か っ た が,Frontal の 各群 間 には有 意差 を認め なか っ たため 一括 す Posterolateral typeは typeとPostero 角 Sagittal typeとApical typeとAnterior びApical は 左 前 方 へ 向 か う 例 が 多 く,各 9. QRST夾 ∼-60° ∼+90° type及 左 後 方 に 向 っ て い た が,Septal く な り,特 症 例 の ベ ク トル 心 電 図 を 水 平 面 ク トル の 方 向 に よ り-180° をtypeⅠ,-60° Ⅲ の3つ type typeはAnterior significant 群 間 に 有 意 差 を 認 め た(図8). 最 も typeとApical ク トル の 方 向 planeで り2群 typeはApical not 案 は各 群 間 に 特 に 有 意 差 を 認 め な か っ た が,Horizontal 心 室 に 肥 大 を 有 す る 肥 大 型 心 筋 症 で は,肥 大 肥大 型 心筋 症 に おけ る肥大 様 式 とベ ク トル心電 図の 対 比検 討 689 部 位 に 応 じて 起 電 力 の 増 加 や 伝 導 障 害 が お こ り 体 像 を俯 瞰 す る こ と が 可 能 な 点 で 超 音 波 よ り も そ の 結 果 当 然 ベ ク トル 環 に も何 ら か の 影 響 を 与 優 れ た 手 段 と考 え ら れ,少 え る こ と が 考 え ら れ る.従 強 い 部 位 を判 定 す る 目的 で 用 い る場 合 に は 最 も って 肥大 型心 筋症 の な く と も最 も肥 厚 の ベ ク トル 心 電 図 を解 析 す る こ と に よ り,肥 大 の 適 切 な 方 法 と考 え ら れ る.今 様 式 や 電 気 生 理 学 的 な 病 態 を 把 握 し う る こ とが 音 波 に よ り描 出 が 比 較 的 容 易 な 中 隔 肥 大 に つ い 期 待 され るが,ベ て はMRIに ク トル 心 電 図 と肥 大 型 心 筋 症 回 の 検 討 で も,超 よ る 評 価 と 同様 で あ り超 音 波 の み の 病 態 の 関 係 に つ い て は ほ とん ど明 らか に さ れ で も十 分 評 価 が 可 能 と思 わ れ た.し て い な い.肥 大 型 心 筋 症 の 診 断 基 準 に つ い て は, ま た は 後 側 壁 に 肥 大 を 有 す る もの で は,MRIに 本邦 では厚生 省 特定 疾 患特発 性 心筋 症調 査研 究 よ りは じめ て 肥 大 の 有 無 が 描 出 可 能 な症 例 が 少 班 に よ る診 断 の 手 引8)が汎 用 され て い る ため,本 な くな く,著 者 の 対 象 の う ち,心 尖 部 や 後 側 壁 研 究 で は そ の 定 義 に 従 い,原 に 肥 大 の 中 心 が あ る もの の 頻 度 が,他 の 報 告17)よ 因不 明の心 筋疾 患 か し心 尖 部 で か つ 除 外 疾 患 を 除 い た もの を対 象 と し て選 択 り も,比 較 的 多 く な っ た の は こ の た め と も考 え した.対 象 症例 の 平均 年齢 が 中高年 であ るこ と ら れ る. か ら,高 血圧性 心 疾 患の合 併 や異 同が 問題 とな る た め,今 外 した.心 これ らの 形 態 評 価 法 を用 い,肥 大 型心 筋症例 回の検 討 で は高血圧 症 の合 併例 は 除 を そ の 最 も 肥 大 の 強 い 部 位 に よ り,4つ 臓 超 音 波 を 用 い た 壁 厚 の 評 価 で,何 プ に 分 類 した.Feigenbaumら のタイ の 壁 分 割 法 は, mm以 上 の も の を肥 大 型 心 筋 症 と考 え る か に つ い 本 来虚 血性心 疾 患の 局所 壁運動 の表 示 に用 い ら て は 未 だ 統 一 見 解 が な い が,こ れ,こ れに つ いて も同 研 究 班 に よ る全 国 ア ン ケ ー トの 集 計 中 最 も 多数 れ を 肥 大 型 心 筋 症 に 適 応 した 場 合,複 数 の 区 域 に ま た が っ て 肥 大 して い る例 が ほ とん ど 意 見 で あ る壁 厚13mm以 上 が,現 時 点 で は最 も 妥 で あ り,4つ 当 で あ る と考 え ら れ る た め,こ れ を採 用 し た. Septal typeに の タ イ プ に わ け た も の の,例 えば お い て も 当 然 側 壁 や 後 壁 に も肥 大 肥 大 型 心 筋 症 に お け る超 音 波 を 用 い た 形 態 評 価 を有 す る例 が 含 ま れ る.し か し,ベ の 報 告 は 多 く,Marronら14)15)に よ る形 態 分 類 が 図 に表 示 さ れ る起 電 力 は 心 筋 の 各 部 の あ る 時 間 か し彼 ら 自 身 が 述 べ て い に お け る起 電 力 の 総 和 で あ り,後 述 す る よ う に 室 心 尖部や 側 壁 は肺 内の含 気 に よ 壁 厚 の 絶 対 値 よ り もむ し ろ相 対 的 な差 の 方 が 重 広 く知 ら れ て い る.し る よ うに,左 る 影 響 に よ り明 瞭 な 像 を描 出 す る こ とが 困 難 な 音 波 に よ る描 出 が 困 難 る こ と は,妥 併 用 す る事 に よ り,超 音 波 検 査 の 盲 点 を補 い な 1. QRSベ が ら形 態 学 的 評 価 を行 な っ た.心 Septal い て は,Higginsら16)に つ よ り1985年 に は じめ て 肥 大 型 心 筋 症 例 に お い て 心 電 図 同 期 法 を用 い て 心 臓 超 音 波 と比 較 し た 検 討 が 行 な わ れ,超 当 で あ る と考 え た.今 回の検 討 で 明 らか とな っ た 点 は 以 下 の ご と くで あ る. な 心 尖 部 や 自由 壁 に 肥 大 を有 す る例 に はMRIを 臓MRIに 回の検 討 の ご と く最 も肥 厚 の 強 い 部 分 で 代 表 す る分 割 法 を 用 い 例 が 少 な く な く,そ の 評 価 に は 限 界 が あ る.そ こ で 今 回 の 検 討 で は,超 要 で あ る と考 え ら れ る た め,今 ク トル心 電 音波 に 劣 らぬ 解 像 力 が 得 られ る こ とが 報 告 され て 以 来,各 種 の 心 疾 患 に つ い て 形 態 評 価 の み な らず, ク トル に つ い て typeで は 最 大QRSベ ク トル の 大 き さ が 他 群 よ り小 さ い傾 向 に あ り,8の 字型 等の奇 異 な 回 転 方 向 を呈 す る例 が 多 く,さ らにQRS環 自体 が 最 も左 後 方 へ 偏 位 し,そ の 結 果 最 大QRS ベ ク トル の 方 向 も最 も左 後 方 へ 向 か っ て い た. 一方 ,Anterior typeで は,最 大QRSベ ク ト 病 理 学 的 検 討 に も広 く用 い ら れ る よ う に な っ て ル は 左 前 下 方 す な わ ち 前 壁 方 向へ,ま たApical き た.し typeは か し,現 在 な お 心 電 図 同期 に よ り撮 像 す る 際 に1ス ラ イ ス に つ き長 時 間 を要 し,多 の 像 を得 る に は 時 間 的 制 約 が あ る た め,今 検 討 で は,計 く 回の 測 用 の 左 室 長 軸 像 お よび 左 室 短 軸 心 尖 部 に 相 当 す る左 下 方 に 向 い,い ず れ も肥 大 の 顕 著 な方 向 に 向 か っ て い た 。 自由 壁 に 肥 大 を有 す るPosterolateral QRSベ ク トル はSeptal typeで typeとAnterior は,最 大 type ラ イ ス ず つ を撮 像 の 中 間 の 方 向 を と る傾 向 に あ り,そ の 回 転 方 向 す る に と どめ た.本 法 は,非 観 血 的 に 心 室 の 全 も高 血 圧 な ど圧 負 荷 疾 患 に 伴 う左 室 肥 大18)と 同 像 は払 張 末 期 に 最 も近 い1ス 690 白 様 の 傾 向 を示 した。した が ってHorizontal に お け る 最 大QRSベ 木 plane ク トル の 方 向 を検 討 す る こ とに よ り肥 大 部 位 が 中 隔,心 尖 部,前 壁,後 照 夫 の 比 と初 期 ベ ク トル の 方 向 及 び 大 き さ と を 比 較 検 討 し た が,有 意 な相 関 は 得 られ なか っ た 。 す なわ ち中隔 肥大群 では他 の群 が それ ぞれ解 剖 学 側 壁 の どの 部 位 に 存 在 す る か を か な り の程 度 推 的 な 肥 大 部 位 の 方 向 に ベ ク トル 環 が 偏 位 し て い 定 で き る こ と が 明 らか と な っ た。久 能6)の 報 告 で る と考 え ら れ る の に 対 し,中 隔 厚 の 絶 対 値 そ の は,著 者 と超 音 波 に よ る壁 の 分 割 方 法 が 若 干 異 な る た め,そ の結 果 を直接 比較 す るこ とはで き な い が,最 大QRSベ planeで はSeptal Posterolateral た 。 そ の 理 由 と し て は,1)形 ク トルの 方 向 はHorizontal typeで typeが 最 も後 方 に 偏 位 し, こ れ に 次 ぐ傾 向 は著 者 と 同 様 で あ っ た 。 ベ ク トル 心 電 図 に お い て,高 もの や 相 対 的 な 肥 厚 の 程 度 とベ ク トル 環 の 大 き さ や 方 向 の 間 に は 一 定 の 関 係 が 成 り立 た な か っ 血 厚 して い る も の の,従 うに,中 来 よ り報 告 さ れ て い る よ 隔 の 線 維 化 が 進 行 して 起 電 力 を 失 う こ とに よ り,相 対 的 に 自 由 壁 等 他 の 部 位 に む か う 圧 や 弁 膜 疾 患 に起 因 す る左 室 肥 大 で はFrontal ベ ク トル が 増 大 し た結 果,中 planeで ン セ ル を うけ,QRS環 最 大QRSベ ク トル は 水 平 位 と な り, 態 的 には最 も肥 隔 の起電 力 が キャ が 偏 位 し た こ とや,2) そ れ に つ れ て 回 転 も反 時 計 回 転 と な る こ とが 特 中 隔 の伝 導 障 害 に よ りむ し ろ 中隔 の 興 奮 が他 の 徴 と さ れ て い る 。 肥 大 部 位 別 のQRS環 部 位 の 興 奮 よ り も遅 延 し,時 間 的 な キ ャ ン セ ル の 回転 方 向 に つ い て 報 告 し た もの は 少 な く,沼 ら5)は, を 受 け た こ と も考 え られ る。 今 回 の 検 討 で,中 Apical 隔 肥 大 群 で は,他 typeで はFrontal planeで 反 時 計 回転 群 に 比 し て 最 大QRSベ ク ト を 呈 す る者 が 多 く,こ の 形 態 の特 徴 で は な い か ル の 大 き さ が 小 さ い傾 向 に あ り,伝 導 障 害 を表 と述 べ て い る 。し か し,今 回 の 検 討 で はApical わ す8の 字 型 や 奇 異 な 回 転 が 多 い こ とは,上 記 typeで は 逆 に 反 時 計 回 転 は 少 な い 傾 向 を示 し, の 理 由 を示 唆 す る所 見 と考 え ら れ る。 ま た今 回 Septal typeで 検 討 し た 中 隔 肥 大 群 の う ち,標 準12誘 導 心 電 図 は,8字 型 や 複 雑 な形 態 を 示 す も の が 多 く,高 血 圧 な ど に よ る一 般 的 な 左 室 肥 大 で 異 常Q波 を 認 め る症 例 は16例 中6例 と は 異 な っ た 回 転 様 式 を示 して い た 。 従 来,8 う ち左 側 胸 部 誘 導 す な わ ちV5V6誘 字 型 や 複 雑 な 形 のQRS環 常Q波 は 心 室 内伝 導 障 害 を を認 め る 症 例 は1例 伴 う例 に よ く見 られ る11)ことが 報 告 され て い る こ に 異 常Q波 と を考 慮 す る と,Septal み で4例 typeに お け るQRS環 の 導 に お い て異 の み と少 な く,さ を 認 め な い 症 例 の う ち6例 で はq波 で,こ はq波 ら の も消 失 し て い た 。Burchら19) の 形 態 は 心 室 中 隔 の 線 維 化 等 に よ る局 所 的 な 刺 は 中 隔 肥 大 に お け る異 常Q波 の 成 因 は,中 隔の 激 伝 導 障 害 を示 唆 し て い る可 能 性 が あ る。一 方, 肥 大 が 左 右 方 向 に 向 か う中 隔 ベ ク トル の 増 大 を 初 期 ベ ク トル は 心 室 の 中 で 最 初 に 興 奮 を開 始 す 起 こ す こ と に よ る が,病 る心 室 中 隔 の 起 電 力 を反 映 す る と され て い る。 隔 の 線 維 化 に よ り消 失 す る と し て い る 。 さ ら に し た が っ て,心 今 回 の 検 討 で は,QRS時 有 す るSeptal 室 の 中 で 中 隔 に 最 も強 い 肥 厚 を typeに お い て,当 然右 前方へ の の 各 平 面 と もにSeptal 勢 の 進 行,す なわ ち中 間 は有 意差 は ない もの typeで 最 も大 き く,中 張 り出 しが 最 も 大 き い こ とが 予 想 され る。 沼 ら 隔 を 中 心 と した 興 奮 伝 導 が 遅 延 し て い る こ と を も7例 示 唆 す る所 見 と思 わ れ る。 これ らの こ と よ り中 の 中 隔 肥 大 例 に つ い てQRS開 msecを 始 よ り15 初 期 ベ ク トル と定 義 し て 検 討 し,5例 で 隔 肥 大 群 で は,中 隔 の 肥 大 の 進 行 に加 え て,線 初 期 ベ ク トル は 右 前 方 に は りだ し,こ れ は 中 隔 維 化 の 進 展 の 程 度 に よ り,初 期QRSベ ベ ク トル の 増 大 の 反 映 で あ る と して い る。 と こ や,最 ろ が 今 回 の 検 討 で は,Septal に 修 飾 され 症 例 毎 に 異 な っ た もの と考 え られ る。 typeの 初期 ベ ク ト 大QRSベ ル は 大 き さ,方 向 と も極 め てバ ラ ツ キ が 大 き く, こ れ に 対 し,自 15msecで で は,そ の 初 期 ベ ク トル の 方 向 に つ い て も, 右 前 方 へ 向 か う もの は16例 中7例 と半 数 以 下 で, 沼 ら の 報 告 の 様 な 一 定 の傾 向 は 認 め な か っ た 。 また中 隔厚 及び左 室拡 張末 期径 に対す る中隔厚 ク トル ク トル の 大 き さや 方 向 が 様 々 由 壁 や 心 尖 部 に 肥 大 を有 す る群 れ ぞ れ の 肥 大 部 位 の 方 向 へQRS環 も 偏 位 して お り,各 肥 大 部 位 の 起 電 力 の 増 大 の 反 映 と考 え ら れ た 。 肥大 型心 筋症 に おけ る肥 大様 式 とベ ク トル心 電 図の対 比検 討 2. Tベ ク トル に つ い て 最 大Tベ 基 部 方 向 に 向 か う た め で あ る と推 測 して い る。 ク トル の 大 き さ は お お よ そQRSベ ク トル の 対 側 に 向 か っ て い た 。Tベ き さ 及 びQRST夾 角 はApical き く,QRS/T比 この再分 極 の遅 れ は心尖 部の相 対 的肥厚 が 強 い ク トル の 大 typeで ほ ど大 き い と考 え ら れ,今 最 も大 回 の 結 果 は吉 賀 らの 説 を支 持 す る も の と考 え られ た 。 は 最 も小 さ く,こ れ ら は胸 部 誘 導 の い わ ゆ る 巨大 陰 性T波 結 に 相 当 す る所 見 と考 え られ る 。坂 本 ら2)や,山 口 ら4)は胸 部 誘 導 に 見 られ る 巨 大 陰 性T波 はApical 加 え 肥 大 部 位 別 にベ ク トル 心 電 図 の 各 指 標 を比 較 検 討 し,以 下 の 点 が 明 ら か とな っ た 。 の大 き さにつ いて心 尖部 肥 大型 と 1) 他 の 肥 大 型 心 筋 症 との 間 に 特 に 有 意 差 を 認 め な の 大 き さ はApical typeで 大Tベ 肥 大 型 心 筋 症 に お け る 肥 厚 形 態 は,中 2) ク トル QRS環 で は,心 尖 部 肥 大 や 自 由 壁 肥 大 で は それ ぞれの肥 大相 当部位 の方 向に ひかれ てお 最 も大 き く,坂 本, り,中 隔 肥 大 群 で は 逆 に 肥 大 部 位 よ り遠 ざ か る 山 口 らの 見 解 を支 持 す る 結 果 と な っ た 。 さ ら に 傾 向 に あ り,最 大QRSベ 心 尖 部 の 壁 厚 自体 とTベ あ る程 度 肥 大 部 位 の 推 定 が 可 能 で あ っ た 。 ク トル の 大 き さ の 検 討 で は 有 意 な 相 関 は 得 られ な か っ た が,心 隔 を 中 心 と した もの が 多か っ た 。 い こ と を 報 告 し て お り,未 だ 一 定 の 見 解 は 得 ら れ て い な い 。 今 回 の 検 討 で は,最 語 形 態 評 価 の 方 法 と して 心 臓 超 音 波 にMRIを hypertrophyの 特 徴 で あ る とのべ,逆 に 古 谷 ら20)はTベ ク トル で の 検 討 で,そ 691 尖部 と 3) ク トル の 方 向 に よ り 中 隔 肥 大 群 の ベ ク トル 環 の 偏 位 の 成 因 と 心 基 部 心 室 中 隔 の 壁 厚 の 比 を と っ て 検 討 した と して,病 こ ろ,Tベ ク トル の 大 き さ と の 間 に は正 相 関 が, 変 化 や 伝 導 障 害 が 進 行 す る ため と考 え ら れ た。 QRS/T比 と の 間 に は 逆 相 関 の 関 係 が 得 られ た。 つ ま り巨大 陰 性T波 4) は心 尖部 の相 対的 肥大 が強 勢 の進行 に伴 い肥 大部位 での起 電力 の T環 は,心 尖 部 肥 大 が 最 も細 長 い 形 態 を と り,そ の 成 因 に 心 尖 部 の相 対 的 な 肥 大 の 程 度 い 程 も し くは 肥 大 が 心 尖 部 に 限 局 す る程 大 き く が 関 与 して い る と考 え られ た 。 な る こ とが 示 さ れ た 。吉 賀 ら21)は,巨 大 陰 性T波 の 成 因 を 空 間 速 度 心 電 図 に よ る検 討 に よ り,心 尖 部 肥 大 型 心 筋 症 で は,心 が 遅 れ,他 稿 を終 え るに 臨み,御 指 導 と御校 閲 を頂 い た辻 尖部 心外 膜 の再分 極 孝 夫教 授 に 深甚 な る謝 意 を表 わ します 。 の 部 位 で の 再 分 極 が 終 了 した 時 点 で 本 論 文 の要 旨 は,平 成2年10月 も な お 再 分 極 過 程 が 進 行 して い る た め キ ャ ン セ ル を受 け ず,大 き なTベ ク トル が 心 尖 部 か ら心 文 献 1) Henry WL, Clark CE and Ebstein SE: Asymmetric septal hypertrophy: cation of the pathognomonic 2) Sakamoto inversion anatomic abnormality T, Tei C, Murayama as a manifestation Echocardiographic 3) Sakamoto 第7回 日本 心 電 学 会(名 古 屋)に お い て発 表 した。 Echocardiographic of IHSS. 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Tsuji) (VCG) findings cardiomyopathy Medicine, with the distribution (HCM). Distribution of hypertrophy of left ventricular in hypertro phy was determined by both echocardiogram (UCG) and magnetic resonance imaging (MRI). According to the specific hypertrophic site evaluated by UCG and MRI, 43 patients with HCM were classified classified hypertrophic contrast, 4 types: site. conduction study indicates that septal, posterolateral site because in patients hypertrophic and/or into as anterior, of increased classified disturbance other sites. types, direction in patients degree the suggests or apical force in the In patients due to altered away the site. In from the electromotive site as the disease progressed. the location toward hypertrophic QRS loop was directed force The present of hypertrophy. with apical hypertrophy of hypertrophy type. the QRS loop was directed was probably in the hypertrophic QRS loop direction with the relative posterolateral electromotive as septal This opposite The T loop was most slender associated anterior, and apical types, and the slenderness in the apex compared with hypertrophy was in
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