産業現場に適応していくイーサネット ■ フエニックス・コンタクト株式会社 はじめに 産業現場のネットワーク構築 近年、オフィス内の通信ネットワークとしてデファク IAONAは、産業用ネットワークの構築を「イーサネ トスタンダードになりつつあるイーサネット通信技術が、 ットの接続形態から検討を始める」と示し、また「オフ 産業現場というステージでも浸透し、一般的なイーサ ィス用」と「産業用」とで配線技術を区別している。 ネットと産 業 用イー サ ネット( 例:E t h e r N e t / I P, オフィスビルに用いられている接続形態は、国際規格 ModbusTCP, Fl-netなど)という形で導入され、それ ISO/IEC11801とEN50173の内容に ぞれの有効性を発揮している。 沿っているスター型ネットワークが一般的であるが、工 しかしイーサネット通信技術を産業現場に導入する 場の場合は、各ネットワーク層の要求事項(冗長性の には、オフィス環境に導入する以上に細心の注意が求 要求度、 リアルタイム能力、ネットワーク規模)によって、 められる。現状では明確な規格がないため、ユーザー 接続形態(スター型、バス型またはリング型ネットワー やベンダーの独自の判断基準で、システムを構築し、 ク)を適切に選定する必要がある。 設計や施工、運用と大きな設計負担が発生している。 高い信頼性を求められる生産ラインなどでは、冗長 そこで弊社が参加している国際的産業用イーサネット 性が保たれるリング型とメッシュ型が最適と考えられ 標準化団体 IAONAの活動と弊社の産業用イーサネッ ている。冗長化の構築は、 イーサネットスイッチのスパ ト商品について紹介する。 ニングツリー機能(IEEE802.1D)やベンダ独自の商 品機能によって実現できる。 産業用イーサネットの規格化 IAONA IAONAは独立した国際的業界団体で、産業現場で オフィスビル 構内配線盤 MDF インターネット網 ビル内中継盤 IDF のEthernet技術の普及推進を目的に活動している。 IAONAは活動のなかで「産業用Ethernetの設計と 導入の手引き」というガイドブックをつくり、産業用イ 工場 工場内中継盤 IDF フロア間 中継盤 フロア間 中継盤 ターミナル・ ターミナル・ ターミナル・ アウトレット アウトレット アウトレット ーサネットシステムの機器設計、配線仕様、設置方法、 運用維持、産業用イーサネットの種類などについて情 報を提供している。 またODVA(Dev i ceNet)やModbus−IDA(Mo dbus)といった各フィールドバス協会もIAONAに参 フロア間 中継盤 機械用 配線盤 ターミナル・ ターミナル・ アウトレット アウトレット 機械用 配線盤 ターミナル・ ターミナル・ アウトレット アウトレット 産業現場 ターミナル・ アウトレット 機械用 配線盤 冗長化 図1. オフィスと工場の ネットワーク 加し、 IAONAの技術情報を各フィールドバスに反映し 始めている。 IAONAはIEC標準化団体の産業用配線 グループに人材と情報提供していることから、 ガイドブ 産業用イーサネットコネクタの規格化 ックの内容がIEC規格として反映されると考えられる。 産業現場では、機器の設置位置の制限やコスト面か ら、ケーブル引き回しに自由度が少ないケースが多く、 イーサネットケーブルは電源・制御ケーブルと同じよう に配線される。汎用のLANケーブルやRJ45コネクタ では、環境の厳しい現場に耐えることが出来ないため、 株式会社 IAONA イーサネットプラグコネクタの規定 ツイストペアケーブル推奨基準 Class I 1 Class I 2 Class I 3 事務所向け IP 20クラス IP 67クラス 光ファイバケーブル 策定中 防水 イーサネットコネクタ VARIOSUB-RJ45/IP67 悪環境用 イーサネットコネクタ VARIOSUB-RJ45/IP67 0∼+70℃ シールド加工可 IP67対応 −30∼+80℃ 二重シールド IP67対応(屋内用) 動作温度範囲 ノイズ 対 策 防 水 性 (2)産業用イーサネットスイッチHUB 産業現場では、イーサネットスイッチHUB (以下. ス M12センタコネクタタイプ IEC 61076-2-101-A1 RJ45タイプ 極数4 D-coding IEC 61076-3-106 イッチ)は制御盤内に設置されることが多い。しかしオ フィス用スイッチは工業用途として設計されていない Version 1∼10 D-coding 例 Version 6 ため、制御盤の温度上昇で通信エラーや故障するケー スがある。このようなトラブルの場合、弊社の産業用 保護用に特殊な加工や板金設計が必要とされる。 スイッチはトラブルを解消できる。 IAONAは産業用イーサネットコネクタに保護等級 などの工業基準を設け、利便性の高い製品の開発を ベンダに促している。 産業現場用イーサネット機器 ユーザはイーサネットの接続形態決定後、現場での ダメージリスク(ノイズ、振動、周囲温度、浸水、汚染な 動作温度範囲 ノイズ対策 設置方法 供給電源 電源異常時 各種ケーブル接続方向 オフィス用スイッチ 0∼+45℃ 対策が無いものが多い 平面に設置する AC100V、電源別置き 機能なし 機器正面にLANケーブル 背面に電源ケーブル SFスイッチシリーズ 0∼+55℃ 各EMC、EMI規格準拠 DINレールに搭載 DC24V *二重化可能 接点出力 LANケーブルは正面方向 電源、警報端子はコネクタ式 * 二重化:スイッチング電源の故障よるネットワークの停止を防ぐため、 2個のスイッチング電源から供給電源(DC24V) を並列供給できる。 ど)を算出する必要がある。各産業用イーサネットには 規定されたデータ通信速度があり、周囲のダメージに よって通信エラーなどの障害をおこさないようにネッ トワーク構築しなければならない。ユーザは算出され たダメージリスクとネットワークの重要度、 また産業用 イーサネットの仕様から、現場に適応した機器を選定 することが重要である。下記にフエニックス・コンタク トの産業用イーサネット機器を紹介する。 (1)防水用イーサネットコネクタと悪環境用イーサネ ットケーブル 産業用防水イーサネットコネクタとケーブルは、厳し 今後の展開 い環境に耐えられる為、最小限の保護対策を可能にす 現在 多くの産業現場にイーサネット技術が採用さ る。 れ、また産業用の規格・商品が準備され始めています。 ますますネットワークの重要性はとても高くなり、強固 なネットワークづくりが必要です。紹介した商品のほ かに多様な産業用ネットワーク機器を展開しておりま すので、 ご相談戴ければ幸いです。 IAONA公式ホームページ (英語) http://www.iaona.org/ フエニックス・コンタクト株式会社 http://www.phoenixcontact.co.jp/ 資料請求番号 43A-016
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