コムギ赤かび病に対する防除手法の比較と地上防除におけ る減量散布の可能性 誌名 北日本病害虫研究会報 ISSN 0368623X 著者 大場, 淳司 齋藤, 泰彦 中塩, 修 竪石, 秀明 巻/号 62号 掲載ページ p. 30-36 発行年月 2011年12月 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波事務所 Tsukuba Office, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat 北日本病虫研報 6 2:3 03 6( 2 0 1 1 ) An n .Rep . tP l a n tPro . tNorthJ a p a n コムギ赤かび病に対する防除手法の比較と 地上防除における減量散布の可能性 大場淳司*・粛藤泰彦村・中塩 修**・竪石秀明*** Comparisono fControlTechniquesf o rFusariumHeadBlighto fWheatandP o s s i b i l i t yo f Decreased AtsushiOHBA, * Y asuhikoSAITO*, * OsamuNAKASHIO** andHideakiTATEISHI*** コムギ赤かび病では予防防除が中心であり 感染小穂、からの病勢伸展が顕著であるコムギ品種では,感 染小穂の抑制,すなわち開花期前除の効果を最大限に得ることが特に重要で、ある.そこで¥本病に対する 抵抗性が弱い品種 f ゆきちから Jを用い,無人ヘリ i 坊除と比較してlOaあたりの使用薬液量がより多い地 上防除では,すべての穏に薬剤が付着する確率が高く,安定して高い訪除効果が得られるとの仮説を立て, 紡除効果と薬剤付着量に関する試験を行ったまた,薬剤散布のコスト低減を目的に,地上防除における 薬剤散布量削減の可能性について検討した供試薬剤はメトコナゾール水和剤とした.その結果,無人へ リ防除と池上防除の効果に差は認められず, ともに高い防除効果を示した.また,地上防除では,単位面 積あたりの散布量を同一濃度のままで現行(宮城県)の 2 / 3に削減できることが示唆された Keyw o r d s :c o n t r o lt e c h n i q u e s,FusariumHeadB l i g h , t whea . td e c r e s e d v o l u m ep e s t i c i d ea p p l i c a t i o n ムギ類赤かび病は,ムギ類の穂、が痕接侵される病害で¥ 収量や品質へ大きな影響を及ぼす重要病害である 本病 を引き起こす F usarium属菌は複数存在することが知ら ),一部は人畜に有害なかび、議(マイコト れており(1, 4 キシン)であるデオキシニパレノール(以下, DONと略) は,コムギのリスクがより高く,早急に防除体系の再確 立が求められている.現在の本県における主要コムギ品 種は「シラネコムギjおよび f ゆきちから jであり, ゆ きちから」については,パン用や中華麹用として非常に r を産生することから,食品衛生上からも大きな問題とな っている ( 3 ) .我が屈では, 2 0 0 2年,コムギにおいて,食 需要の高い品種である しかし本品麓は赤かび病の感 染に対する抵抗性が弱いだけでなく,感染小穏からの病 勢伸展も顕著で、あることが明らかとなっている ( 9,1 1 ) . 品衛生法の規絡基準が設定されるまでの DONに関する 暫定基準値(1.lppm)が設定されるとともに, 2 0 0 3年産 ムギからは,赤かびび、粒の限界混入率が O さらには,栽培現地でも本病の多発事例がしばしば認め られてきた ( 8 ) そのため守本県では,コムギ品種ごと に本病に対するリスクを評価し総合的な防徐対策を確 に引き下げられた.このため,ムギ類栽培現地(以下,栽 立するため一連の試験を行ってきたそして,現在の基 準を満たすための薬剤防除由数は, シラネコムギ」では 培現地と略)において赤かび病防除は必須になるととも に,新たに DON汚染低減も視野に入れた防除体系の再 確立が緊急課題となった 宮城県では,オオムギおよびコムギが広く作付けされ ているが,オオムギに比べコムギは梅雨期と生育期が重 複する期間が長いこと,そして赤かび病抵抗性の弱いコ ムギ品種が作付けされていること等から,本病に対して r 2回 , r ゆきちから J では 3回であることを明らかにし現 在ではそれらを慣行防除体系として指導している r しか しそのことで, ゆきちから」では生産費に占める薬剤 防除費の割合が高くなり,栽培現地では,関等の効果を 保ちながら,さらに効率的で低コスト化された防除手法 の確立が強く求められている. *宮城県古 J I I農業試験場 M i y a g iP r e f e c t u r a lFurukawaA g r i c u l u t u r a lExperimentS t a t i o n,Fukoku8 8,F u r u k a w a O s a k i,O s a k i,M i y a g i,9 8 9 6 2 2 7 J a p a n *ホ北輿化学工業株式会社 ***株式会社クレハ -30 一方,赤かび病に対する防除手法としては,主に,無 人ヘリコプターを用いた航空防除(以下,無人ヘリ紡除 と略)とブームスプレーヤを用いた地上防除(以下,地 上防除と略)が広く行われている.無人ヘリ防除につい ては,外部業者への委託が多いことから,早い時賠から 散布計践を決定する必要があるため,スケジ、ュール訪 i 訟 となり,訪除適期を失する場合がある. し か し そ の 一 方で,大関積を短時間で、助除で、きるというメリットがあ る 一方の地上訪日余については,無人ヘリよりも単位面 たりの作業効率は劣るが,生産組織あるいは偶人が f 弱々に乗用管理機等を所持していることから,ムギ類の 生育にあわせた適期間除が可能である. この両手法をよヒ した場合,前者は高濃度液の少量散布手法,後者は低 濃度液の多量散布手法といえる.両手法による防除効果 については過去にも多くの知見があり,ともに高い間除 効果を示すことは立証されているが,同条件下で両手法 の効果をよじ較した事例は少ない.本県でも,大部分の栽 培現地で、はそれぞれの実鵠に合わせてどちらかの手法が r 用いられているが, 2 0 0 7年 , ゆきちから jを広域で栽壊 している地域において, 地上防除を行った置場よりも無 人へ J )訪除を行った臨場で赤かぴ病の発生が多い傾向に ある Jとの声が複数寄せられた.そこで,防除手法別に 現地調査を行ったところ,同様の傾向が認められた(未 r .要閣としては複数が考えられたが,そのーっとし て,前述のとおか本品種は感染小穏からの病勢伸展が 顕著であるものの,現在のところ,病勢伸展の抑制,つ まり本病に対し治療効果を明確に示す薬剤はない.その ため,本品種では,開花期感染の抑制,すなわち開花期 の感染穂率をいかに抑制するかが特に重要となる.そこ で,本品種の赤かび病防徐に,より適した助除手法があ るのかを確かめるべく試験を行った.すなわち,穂への 感染を効率よく抑制するには,すべての穏に確実に薬剤 が散布される必要があることから, 1 単位菌積あたりの使 用液量が多い地上防除での効果が{憂る Jという仮説を立 て,両手法による防除効果の比較を行った また,地上防 l 徐において, さらに効率的で低コスト化 きる場合にはどの程度までの減量が可能であるかについ てf 食言すした 材料および方法 1.防除手法と赤かび病発生の関係 赤かび病抵抗性の弱いコムギ品種を対象に,無人ヘリ 防除と地上防除の効果の比較を行った ( 1 ) 試験年次および試験圃場 試験は,宮城県古 J I I農業試験場内臨場において, 2 0 0 9 年および 2 0 1 0年の 2か年実施した それぞれの面積は, 2 0 0 9年は無人ヘリ防除皮(以下,ヘリ誌と略)が 3 7 5ぱ , 地上紡除区(以下,地上芭と略)が 60m ,2 0 1 0年はヘリ 区が 2 2 5ぱ,地上区が 6 0ばとした.両年ともに,それぞ れに同面積の無処理区を設けた.また,すべての区を 3区 1 m ) を設け,調 に分け, 3区すべてにそれぞ、れ接麓区 ( 3反援).なお, 2 0 1 0年はヘリ毘,地上区と 査匿とした ( も同一 l 調場としたが, 2 0 0 9年については,ヘリ匿と地上 誌の闘場は近接している掴場とした. ( 2 ) 耕種概要 やや弱 j とさ 供試コムギ品積は,赤かび病抵抗性が f れる f ゆきちから j とした議麓は, 2 0 0 9年は,ヘリ区 は1 0月 2 4日,地上霞は 1 0丹 1 6日 , 2 0 1 0年はへ J )底お よび池上区ともに 1 0月 四 日 に 行 っ た 播 種 方 式 は 条 問 2 5 c m,6条のドリル播とした.施肥はいずれも硫安で行 い,基肥として 1 0 aあたり窒素成分でlOkg,追把として 幼穏形成期に開 2 . 5 k gを施尽した ( 3 ) 薬剤散布 供試薬剤はメトコナゾール水和剤とした希釈濃度お 6f 菅波 よびlOaあたり散布量は,それぞれ,ヘリ庄では 1 を0 . 8 L,地上区では 2 , 0 0 0f 音波を 1 0 0 Lとした薬離散布 時期および間数は慣行に従い,開花始期,開花始期の約 1 0日後および約 2 0日後の 3回訪除としたなお,本剤の 使用回数は 2回以内とされているが,本試験では,本邦] の連用試験とした なお, 2 0 1 0年 3月末日現在,本剤は コムギに対して無人ヘリ散布による農薬登録を有さない. 無人ヘリ訪除は東北スカイテック株式会社に委託し が可能な防除体系を確立するため,池上防除における減 量散布についても検討した.現在,栽培現地における赤 かぴ病の地上防除には水和離が広く用いられているが, ムギ類に用いられる水和剤の多くについては,それらの パンフレットに, r lOa あたりの散布量は 60~150LJ と記 されている.加えて, 1 散布量は作物の生育段階や栽培 形態、および、散布手法に合わせ調整するもの Jとされてい る.しかし本県の栽培現地では,本病に対する防除の 重要性を考慮し,1Oaあたりの散布量を最大の 1 5 0 Lとし ている事部が多く,行政指導上も同様の指導を行ってい る.しかしその妥当性,そして減量の可能性等につい て試験した事例はない.そこで,現行の農薬希釈倍数の ままで,単位直積あたりの使用液量を減量できるのか,で -31- 機麓はヤマハ R-MAX ,飛行高度は 3~4m ,飛行速度は 15~20m/s,飛行間隔は 7.5m で、行った地上防除では,殺 虫殺菌ノズル(ヤマホ S R -l . l ) を , 7 5 c m間障で、計 111 図装 したブームスプレ…ヤ(ブームの全長を 3mに調整)を 乗用管理機に取り付け,散布を行った. なお,各試験区に計爾どおりの薬剤が散布されたかを 確認するため,試験区ごとの薬剤散布量を調査しそれ らをlOaあたりの散布量に換算することで,言十爾どおり の薬剤が散布されたか否かを確認した ( 4 ) 赤かび病麗の接種 赤かび病の発生を促すため,各調査匿に赤かび病菌胞 子懸濁液を接種した.供試菌株には, DON産生型赤かび 病菌 ( F u s a r i u mgraminearum,DON5) ( 6,1 2 ) を用い たイ共試菌株をマングビーン液体培地(マングピーン 1 . 0 gを蒸留水 1000mLで煮沸した上清を 1000mLにメスア ップし.y e a s te x t r a c t1gをi f . i 1 J o ,その f 妥:オートクレーブ ( 1 ) 試験年次,試験圏場および耕種概要 試験 lの地上区と同様とした ( 3反復)• 5C,5日間振とう培養し分生胞子を形成させ 殺菌)で 2 査区とした 5 た後,培養液をガーゼで櫨過し胞子濃度が 2x1 0 /mL ( 2 ) 薬剤散布 0 となるよう諦製した希釈液には展着斉J Iとして T ween20 を0 . 0 2 %添加し背負い式の動力噴霧器を用い,第 1回目 すなわち,それぞれの 区を 3区に分け, 3尽それぞれに接種区(1ぱ)を設け,調 試験 lの地上区と時様,供試薬剤はメトコナゾール水 I の2 , 0 0 0倍液を用いたlOaあたりの散布量は,本県 和斉J と第 2回自の薬剤散布の間および第 2回目と第 3回目の における現在の指導散布量である 1 5 0 Lのほか, 1 0 0 L, 薬剤散布の問に, 1 0 aあたり 1 0 0 L換算で噴霧接種した 75LおよびらOLとした 布手法等はいずれも試験 1の地上区と同様とした ( 5 ) 薬剤付着量調査 0穂をランダム 第 1回目の薬剤散布直後に各区より 5 に採取し冷蔵庫で保管した 薬剤の散布回数や散布時期,散 その後,抽出溶媒(メタ ノール/水 = 80/20,v/v)50mLを加え,振とう抽出した ( 3 ) 赤かび病菌の接種 試験 lと同様に行った ( 4 ) 薬剤付着震調査,発病調査および DON濃度調査 いずれも試験 lの地上区と同様に行った 後 , HPLCでメトコナゾール量(有効成分量)を測定した ( 6 ) 発病調査 ( 5 ) 切り穂検定法による防除効果試験 試験 lの地上区と同様に行った. 開花期 21~23 日後に各調査区の主茎 50 穏について, Bana n dS u e n a g a( 2 )の手法に従い,発病穂率および 8段 階の発病指数 ( 5,1 0,2 0,3 0,5 0,6 0,8 0,1 0 0 )を 調 査 し 発 病度:ヱ(発病穂、率×発病指数)を求めた. ( 7 ) DON濃度調査 DON濃度の分析は以下の手順で、行った.開花期から 結 果 1.防除手法と赤かび病発生の関係 ヘリ区および地上区におけるそれぞれの実散布最は, いずれもほぼ計画通りの散布量であった(第 1表)• を刈り取り, ビニールハウス内で約 1週間自然乾燥した i 坊除手法別の発病度および DON濃度の関係を,それ ぞれ第 l図および第 2図 に 示 し た 年 次 加 の 最 終 的 な 赤 後,脱穀機にかけ,風選機で爽雑物やしいな等を除いたー かび病発生量は両年ともにやや少なく,無処理二匿の発病 また,脱穀機で脱穀されなかったものについては,手作 0 0 9年はヘリ区で 8 . 6,地上区で 1 0 . 5,2 0 1 0年は 8 . 5 度は, 2 およそ 4 0日後に調査区の中央部(長さ約 2m) のコムギ 業により脱穀し両者をあわせて子実とした.得られた (間区共通)であった(第 l国).同様に,無処理区の DON 子実を良く混合した後,穀粒均分器(不ニ金属工業株式 濃度は, 2 0 0 9年のへリ区で1.49ppm,地上区で1.96ppm, 会社製)で l試料あたり 1 0 0gに調整し粉砕器(ラボ、ミ ルサー, LM-2,大阪ケミカル株式会社製)で粉砕した.そ 2 0 1 0年は 0 . 9 8 p p m(両区共通)であった(第 2図).防除 区では,発病度および DON濃度ともに,ヘリ包より地上 の後, N eogen社製の ELISAキット ( V e r a t o x 5 / 5,最低 区でやや高い効果が認められたが,発病度では両区とも . lppm)を用い,マニュアルに従って ELISA反 検出濃度 O に防除価 8 5以上, DON濃度も約 8 0kJ、上と,いずれも高 応を行った発色の測定は, N eogen社製のマイクロプレ い防除価を示した ートリーダー( Aw a r e n e s sM i c l o w e l lr e a d 巴r , Ca . tN O . 9 3 0 2 ) 同様の領向は,切り穂接種法でも認められた(第 3園)• を用い, 650nmで吸光度を測定した ただし本手法は,薬剤による紡除が開花始期の l回の ( 8 ) 切り穏検定法による防除効果試験 みの穏を用いており,かつ病原菌の接種後は感染や発病 抵抗性検定法として広く用いられている切り穂接種法 に好適な条件下としていることから,いずれの区でも踊 ( 1 3 ) を用い,両手法の防除効果について試験を行った 試験は 2 0 1 0年のみとしたすなわち,前述のように,悶 場において第 l回自の薬剤散布を行った直後に,各区よ 0穏をランダムに採集しそれぞれを水を入れた試験 り5 場の発病度より高く,無処理区の発病度は 2 9 . 4であっ 管に穂首部分を挿し静置した そして,前述と同様に調 整した赤かび病菌を噴霧接種し, 2 5C,湿度 100%の接種 0 第 1表各区における単位面積あたり実散布:;立 年度 箱に 4 8時間静置した.その後 2 0Cの'恒温室に移し, 1 0日 防 │ 徐 手法 a) 計画 0 後に発病度調査を行った発病訴査は,前述と問様, Ban 2 0 0 9 a n dS u e n a g a( 2 ) の手法に従い,発病度を求めた. 2 0 1 0 i 地上防除における減量散布の検討 赤かび病抵抗性の弱いコムギ品種を対象に,地上防除 における減量散布の可能性について検討した ヘリ区 地上区 ヘリ区 地上区 0 . 8 1 0 0 0 . 8 1 0 0 i t X ; { l l ' l u :( L l l Oa )b) 災! i J I ! l回目 2問El 0 . 8 1 .0 1 0 0 l O 8 0 . 9 0 . 8 1 0 0 1 0 0 3回目 1 .0 1 0 8 0 . 8 1 0 0 a ) ヘリ区・無人ヘリ防│徐!三地上区.地上防除区 b ) 供試薬剤 メトコナゾール水利斉Jj (ヘリ区 1 6倍,地上 , 0 0 0倍液をそれぞれ使用)。 区2 -32- O 防¥ 1 余 価i f 組発病度 1 5 1 2 交 発 手 ! 内 O O O 1 0 0 3 01 80 2 5 9 6 0 防 6 4 0 除 価 i l 3 O 2 0 由踊 盛 盟 しず O 防除価 濁発病度 u 1 ー ー エ ム ー ¥ノ 人J 田園 1 0 0 180 2 0 60 妨 添 ! 40 価 1 5 発 病 度 ' 10 1 0 20 一 ー エ ー - 5 Ol j 地上区 2 0 1 0 2 0 0 9 l ヘリ i 玄 O C o n t 第 3図 !坊除手法と赤かび病発病度の関係(切り穏接種法) 第 1図防除手法と赤かび病発病疫の関係 a ) 地上区,池上防!徐区 ( 1 0 0 LllO a ) ヘリ区,無人ヘリ防│徐区 ( 0 . 8L 1lOa )ー b ) 縦バーは標準誤差を示す c ) 試験は 2 0 1 0年に実施. a ) 地上 l 玄,地と i 坊!徐区(lO O LllOa ) ヘリ区,無人へリ防徐区 ( 0 . 8L 1 l Oa ) b ) 地上区 C o n t :地上│坊徐区の無処理区 o n t :ヘリ│坊徐!Rの無処理区. ヘリ区 C c ) 縦バーは標準誤差を示す d ) 2009年は地上区とヘリ l 支の無防除広が異なる 1 0 0 掴 D O N i l 1 ' k 度 2 . 5 2 !2O O ‘ O 8 0 01 幼徐価 O O 1 0 0 費 付 剤 薬 8 0 I I I 6 0 の 6 0 I l } j J , i .1 .5 j 1 t 交 2 lO 日 中 対 値 4 0 俗 徐 2 0 0 . 5 。 。 4 0 2 0 O O 第 4図 2 0 1 0 2 0 0 9 第 2図 l 切除手法と薬剤付着手長の関係 a ) へ1 )1 豆のイ寸議長 (μg/g秘)を 1 0 0とした時の値, b ) 地上区,池上防除区(lO O LllOa ) ヘリ底無人ヘリ防除区 ( 0 . 8L11 0 a ). c ) 有効成分の付着翠.. l 坊除手法と DON濃度の{主1 係 a ) 地上区地上防除区 ( 1 0 0Ll1 0 a ) ヘリ区無人ヘリ紡除区 ( 08 L11 0 a ). b ) 地上区 C o n t 地上初除区の無処理I!!R o n t ヘリ紡除区の無処理区 ヘリ区 C c ) 縦パーは標準誤差を示す d ) 2 0 0 9年 l 土地上区とへリ区の無防徐区が異なる, 司 2 . 地上肪除における減量散布の可能性 ブームスプレーヤに殺虫殺菌ノズルを装若して行った 地上防除試験では,単位面積あたりの使用液量が異なる 区を設け,再年,そしていず、れの区でも,ほほ計画通り の散布量であった(第 2表)• た.しかしへ 1 )区の発病度は 5 . 3 . 地上区では 4 . 9と,い ずれも高い防除効果を示した 各 誌 に お け る 発 病 度 お よ び DON濃 度 の 結 果 を そ れ ぞ すなわち,切り穏接種試 験でも,掴場試験と開様,両手法の効果に差はなく,と れ第 5閤および第 6図に示した .2009年は,発病度では, もに高い防除効果を示すことが明らかとなった .4 ) に対し,効 現行の 10aあたり 150L散布区(防除価 91 次に,ヘリ区における薬剤(有効成分)付着量を 100と Rで は 防 徐 髄 85.4. 向 果は若干劣るものの,問 100L散 布 I した時の地上区での薬剤付着率を年次期に第 4国に示し 75L散 布 毘 で は 防 除 価 8 0 . 3と,ともに 80以 上 の 高 い 防 たー地上区ではヘリ震の約 35%~65% 軽度の付着率であ 除 価 を 示 し た し か し 問 50L散布区では,防除備が 54 . 1 り,両年ともにヘリ区での付着量(有効成分)が高い傾 と,他区に比べ効果が著しく劣った(第ら国).一方の 舟が認められた DON濃 度 で は , 防 除 価 が 約 80を 上 回 っ た の は 冊 目OL 33 O防¥ 1 余価 I I I I D O N濃度 第 2表各区における単位関積あたり実散布量 1 0 0 2 . 5 区名 a) 年度 2 0 0 9 2 0 1 0 言 十 間 1回目 2回日 3問自 150L区 1 5 0 1 5 0 1 4 2 1 5 0 100L区 1 0 0 1 0 8 1 0 0 1 0 8 75L区 7 5 7 5 8 3 6 7 50L区 5 0 5 0 5 0 5 0 150L区 1 5 0 1 5 0 1 5 0 1 5 0 100L区 1 0 0 1 0 0 1 0 0 1 0 0 75L区 7 5 7 5 7 5 7 5 50L1 . 8 : 5 0 5 0 5 0 5 0 D O 1 2ト O - 0 0 0 0 0 1 1 1 160 防 第 6図 楽 i W .散布f i : :と DON波皮の関係 a ) いずれも地上防除, l Oa 当たりの散布長(ブームスプレ ーヤに殺虫殺菌ノズルを装着). b ) 縦パーは標準誤差を示す. ol;j51~主価 阻発病皮 3 0l O ~W 0 r 1 1 1 1 1 0 0 o0 v ~:: i1 1 11 1 薗!蕗;鹿 l 自 JJ~O 0 1 ; 1 5除伝i J 1 5 ~ 0 長1.5~ a ) いずれも池上防除区, マホ S R-l . l を使用)。 b ) 供試薬剤 メトコナゾール水和剤 ( 2, 000倍液)。 聞発病皮 W~O T 2 5 9 Y ブ 下 じ ヒ f 皮 f A ) 1 0 0 8 0 6 0 防 O i 8 0 6 4 0 除 価 i l 3 2 0 2 0 3 さ 5 度 病 1 6 0 防 4 0 似i 1 0 O O 2 0 5 O 第 5図 楽 1 時 ! t .; ( I J J ! l :と赤かび病発病度の関係 a ) いずれも地上初除, l Oa当たりの散布設(ブームスブレ ーヤに殺虫殺菌ノズルを装着) b ) 縦パーは標準誤差を示す 150L 100L 75L 50L Cont O 第 7図 薬 i 夜散布 f t tと赤かび病発病度の関係(切り穂接種 ) t ; ) a ) いずれも地上防除, lOa 当たりの散布 ~}fl: (ブームスプレ ーヤに殺虫殺菌ノズルを装着). b ) 縦バーは標準誤差を示す c ) 試験は 2 0 1 0年に実施 散 布 区 お よ び 同 100L散;ft区のみであり,同 75L散 布 以 1 0 0 下では防除効果が劣る傾向が認められた(第 6図). 2010 年についても,伺様に単位面積あたり散布量の減少とと もに発病度および DON濃 度 に 対 す る 防 捨 効 果 が 低 下 し たが,発病度では, l Oaあたり 50L散 布 区 で も 防 絵 部 80 を示し(第 5図 ) , DON濃度で、も同 75L散 布 以 上 で 防 徐 伯 剤 薬 イ E d I ξ r 8 0 6 0 ト の 4 0 4 相 対 宣 2 0 価 80以 上 と 高 い 効 果 を 示 し た ( 第 6図)• 切 り 穂 接 種j 去の結果を第 7図に示した本試験でも,い J[ 上を示した区は,同 100L散;fJi以上であったー J C的 ずれの散布量でも防除効果が認められたが,防除価 80、 ) ; j 。 薬剤(有効成分)付着量については,両年ともにほぼ 夜散布量の減少 同 様 の 傾 向 が 認 め ら れ た す な わ ち , 薬i とともに薬剤J(有効成分)付着量が低下したが, 10aあ たり 100L散 布 区 で は , 同 150L散 布 区 の 約 70%の 薬 剤 (有効成分)が付着していた しかしその他の区ではい ず れ も 約 半 量 以 下 の 付 着 量 で あ っ た ( 第 8図)• -34- 第 8図 薬江主散布 J l1:と楽部付器量の関係 a ) 1 0 aあたり 150L区の付着長 (μg/g穂)を 1 0 0とした 持の{直 b ) いずれも地上防除, l Oa当たりの散布長(ブームスプレ ーヤに殺虫殺菌ノズルを装着) c ) 有効成分の付着長 考 祭 赤かび、病抵抗性が弱く,栽培現地での本病多発生事例 が多いコムギ品種「ゆきちから」を対象に,コスト削減 れも同等の高い赤かび病発病および DON汚染抑制効果 が認められる薬剤であることから ( 1 0 ),薬剤の違いも本 結果には影響していないと推察された を白指したより効率的な防徐体系を確立するための一連 また,本試験では,理論上,単位面積あたりの薬剤投 50m l)であったにも関わらず,有 下量は両手法で問量 ( の試験を行った まず,栽培現地における調査結果等を受け,無人ヘリ 効成分の付着量については地上防除よりも無人へリ訪除 妨除と地上防除の効果について比較を行ったが,試験を で多い傾向が認められたこのことから,単位面積あた 行った同年ともに,薬剤(有効成分)の付着量は地上院 りの薬剤(希釈したもの)散布量の多い地上防除では,コ よりもヘリ区で、多かったものの,防除効果については両 ムギの穂、以外の部分,すなわち葉等にも散布薬剤が付藩 手法に大きな差は認められず,ともに高い訪除効果を示 しその結果,穂における薬剤付着量が少ないものと考 した.また,同様の傾向は,切り穏接種試験でも確認さ えられた. しかし結果的に両手法の防除効果は同等で れた すなわち,両手法ともに優れた防除効果を示すこ あったことを考慮すれば,地上防除でも穏には十分量の とが再確認されたが,この結果は栽培現地での傾向とは 薬剤(有効成分)が付着していると考えられたただし 巽なり,要閣としては以下のことが考えられた.すなわ 本試験に用いた薬剤は浸透移行性を有する剤であること 弘前述のとおり,地上訪徐については,コムギの生育 ;こ合わせ臨機応変な妨除が可能で、あることから,妨除適 から,同移行性を有していない剤については,別途検討 が必要であると考えられた. 盛期防除が可能で、あるの 期が比較的短い本病に対しでも i 次に,より低コストの薬部散布体系を確立するため,地 に対し無人ヘリ訪除では,外部業者への委託が多く,事 上初除における減量散布の可能性について検討した.そ 前に散布計闘が決定されているため,防除適期を失して の結果,試験を行った 2か年とも,現在指導しているlOa しまうことがある.加えて 無人ヘリでは広域を一斉に あたり 1 5 0 L散 布 に 対 し 発 病 度 . DON濃度ともに,開 紡除するため,各間場の生育ステージが揃っていない場 合には必ずしも適期防除ではない圏場も存在することと 1 0 0 L散布までは安定して高い防徐効果が得られたその ため,本試験では,同 1 0 0 L散布までの散布量の削減が可 なる.特に後者の部分については,栽培上からも,適期 能であると結論づけた.このことで, 一斉播種を呼びかけているが 地域には複数の農家圃場 かび病防除に使用する薬剤の量は,これまでのlOaあた が混在し個々の事情により播種時期が必ずしも同時期 ではなく,播種時期が大きく異なる圃場が混在する事例 5 0 Lから 1 0 0 L . すなわち 2 / 3に低減されたこととな り1 5L散 り,防除コストの削減が司ー能となった.一方,同 7 が確認されている(未発表).そのことが,各個場の生育 布以下の場合には,効果が安定せず,防除効果が低い事 I ゆきちから」の赤 が統一されず開花期のばらつきに結びつき,結果,適期 例も見受けられたしかし少発生条件下ではあるが,向 徐とはなりえない園場が散在することとなる. 防l 75L散布以下でも高い効果が得られた事例も認められた 2 0 0 7年の事例でも,栽培現地への聞き取り前査の結 ことから,使用するノズル等も含め,今後吏なる検討が 播種期あるいは開花期の踊場開のばらつきが大きか 必要であると考えられた.また,本試験で用いたメトコ ったことを確認したことから,無人ヘリ防除の効果がや ナゾール水和斉I J.現地で使用されていたテブコナゾール や劣ったことについては,本要因が深く関与していると 水和剤およびチオファネートメチル水和剤は,いずれも 推察されたよって,無人ヘリの防除効果を最大棋に発 浸透移行性を有する薬剤である.防除体系を確立する上 揮するためには,地域の一斉播種が重要であることが示 では,用いる薬剤の種類,あるいはそれらの組み合わせ 唆された なお,本試験では, 2 0 0 9年はヘリ底と地上区で播種目 が若干異なったが,出穂期および開花期はほぼ伺時期で により効果が異なる可能性も考えられることから,特に 浸透移行性のない,あるいは間移行性の低い薬剤を用い る場合については,今後更なる検討が必要と考えられた あり,防除適期も同様であったことから,本試験におけ る播韓期の違いは試験には影響しなかったと考えられ 引用文献 る.また,本試験で使用されていた薬剤と現地で用いた 1)青木孝之 ( 2 0 0 4 ) ムギ類赤かび病の分類.植物防疫 は異なり,本試験で用いた薬剤は,中島 ( 5 ),N a k a 薬剤l j i m a( 7 ) により赤かび病発病および DON汚染に対して いことから,現地では用いられておらず,現地では,テ 5 8:1 9 3 1 9 8 . .andSuenaga,K .( 2 0 0 0 )G e n e t i ca n a l y s i so f 2) Ban,T r e s i s t a n c et oFusariumh e a db r i g h tc a u s e dby FusaTIumgramInearumi nC h i n e s ewheatc u l t i v a r 6 5 .E u p h y t i c a Sumai3a n d] a p a n e s ec u l t i v a rS a i k a i1 1 1 3 :8 79 9 . ブコナゾー l レ水和剤およびチオファネートメチル水和剤 3 ) 一戸正勝 (1978)FusaTIum属菌の生産するマイコト 高い肪除効果が認められたとされるメトコナゾール水和 0 1 0年 3月末日 剤である.しかし本剤は,前述のように 2 現在,コムギの無人ヘリによる散布に農薬登録を有さな 司 が用いられていたしかしこれら薬剤については,いず キシン.植物防疫 35- 3 2:4 1 7 4 21 . 4) L i d d e l l,C .M. ( 2 0 0 3 ) .S y s t e m a t i c so fFusarium s p e c i e sanda l l i e sa s s o c i a t e dw i t hFusariumHead nFusariumHeadB l i g h to fWheata n dB a r l e y B l i g h tI K .] .andB u s h n e l l , W.R .e d s . ) .p p .3 5 4 3 , ( L e o n a r d, APSP r e s s,St .Pau . l 5) 中鳥 騒 ( 2 0 0 4 )ムギ類赤かび病とマイコトキシン汚 8 4 :1 6 7 17 l . 染の薬剤防除.植物防疫 5 2 0 0 7 ).西日本におけるムギ 6) 中島 隆・吉田めぐみ ( usa r I umgramInearum種援合体のか 類赤かび病菌 F ぴ毒産生能と病原力 日槌病報 7 3:1 0 6 1 11 . 7) N a k a j i m a,T .( 2 0 0 7 )P r o g r e s sando u t l o o kf o rt h e c o n t r o lo fn i v a l e n o la n dd e o x y n i v a l e n o lc o n t a m i n a t i o n t .M y c o t o x i n s d u et oFusariumh e a db l i g h ti nwhea 5 7( 2 ) :1 2 9 1 3 4 . 2 0 0 6 )2 0 0 5年の宮城県におけるコムギ 8) 大場淳司ら ( 7:2 1 8 赤かぴ病の発生と防除.北日本病虫研報 5 び病発生とデオキシニパレノール蓄積に及ぼす感染 5:9 31 01 . 時期の影響 日植病報 7 1 0 ) 大場淳司 ( 2 0 0 9 ) 宮城県におけるコムギ品種「ゆき 司 ちから Jの赤かび病の薬剤防徐体系の構築と薬剤の 60:285 (構要)• 1 1 ) 笹原剛志・大場淳司・畑谷みどり ( 2 0 0 5 ) コムギ品 評{肱北区本病虫研報 種「シラネコムギ」および「ゆきちから Jでの赤か び病の病勢進展と赤かび粒の混入率 1 . 日植病報 7 44(講要)• 1 2 ) Suga , H . ,K a r u g i a , G. w . , Ward, T . ,G a l e, L . R . , Tomimura , K . , Nakajima, T ., Miyasaka , A . , K o i z u m i , S ., Kageyama , K .andHyakumachi, M. ( 2 0 0 8 )M o l e c u l a rc h a r a c t e r i z a t i o no ft h e r I umgraminearums p e c i e scomplexi n] a p a n . Fusa 5 9 1 6 6 P h y t o p a t h o l o g y9 8・1 8 9 ) オオムギにおける赤か 1 3 ) 武田和義・部田英雄(19 び病検定法の開発と耐病性品種の検索 (講要) 9) 大場淳司・吉田重信・針馬誠也・生井恒雄 ( 2 0 0 9 ) 赤かび、病抵抗性の異なるコムギ 2品撞における赤か -36- 3 9 .2 0 3 2 1 6 . 育種学雑誌
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