肝臓は1200~1400gの大きな臓器。 画面には収まらないので、区域ごとに分けて観 察しなければならない。 死角も多いので多方向から観察する。 初歩から始める超音波検査室から引用 肝臓の端にプローブを置いて「あおり」「扇」「水 平」走査をおこなう。 プローブ1個分をずらして繰り返す。 肋間走査は「扇」走査をおこなう。 初歩から始める超音波検査室から引用 1 びまん性肝疾患 脂肪肝、急性・慢性肝炎、肝硬変... 2 腫瘤性病変 血管腫、腺腫、限局性結節性過形成、 肝細胞癌、転移性肝癌... 肝の大きさ 肝の輪郭 内部エコーの変化 肝内脈管の変化 腫瘤性病変の有無 視野深度15㎝で肝がはみ出てしまう時 尾状葉がIVCを圧迫している時 表面 肝縁 裏面 高周波プローブで脾と比べる 強く押す やさしくあてる 同じ患者の肝臓でも、押し方ひとつで こんなに見た目が変わる 肝腫大がみられることがある。 肝実質エコーレベルが低下することがある。 胆嚢内腔の虚脱および胆嚢壁の肥厚がみられるこ とがある。 肝門部リンパ節の腫大を伴うこともある。 脾腫を伴うことが多い。 腹水がみられることもある。 伝染性単核症(主にEBウイルスやサイトメガロウイルスの初 感染が原因でおこる感染症)は肝機能障害が高率に認めら れ、急性肝炎を併発することがある。超音波検査では肝腫 大、脾腫、肝門部リンパ節の腫大を認めることが多い。胆嚢 内腔の虚脱や壁肥厚はみられないことが多い。 エコーレベル低下? リンパ節腫大 胆嚢内腔狭小化 肝実質エコーレベルの上昇 肝腎コントラストの上昇 深部減衰 肝内脈管の不明瞭化 fatty bandless sign(masking sign) (肝と胆嚢と、肝と右腎との境界が不明瞭になること) 脂肪沈着が高度になるにつれ全ての所見を満たす 実質エコーレベルの上昇(+) 肝腎コントラストの上昇(±) 深部減衰(±) 肝内脈管の不明瞭化(-) fatty bandless sign(-) 5項目中、該当2 実質エコーレベルの上昇(+) 肝腎コントラストの上昇(+) 深部減衰(+) 肝内脈管の不明瞭化(±) fatty bandless sign(±) 5項目中、該当4 1 びまん性肝疾患 脂肪肝、急性・慢性肝炎、肝硬変... 2 腫瘤性病変 血管腫、腺腫、限局性結節性過形成、 肝細胞癌、転移性肝癌... 肝血管腫 肝細胞癌 限局性結節性過形成 転移性肝腫瘍 肝膿瘍 肝内胆管癌 部位 形状(サイズ) 円形・類円形・不整形・・・ 境界(境界部) 低エコー帯・高エコー帯 内部エコー 均一・不均一 血流 分布・波形(動脈性・静脈性・RI) 境界部または輪郭 辺縁 側方陰影・後方エコー 境界 周辺 腫瘤 69歳男性、CTにて肝S5にLDAを指摘。精査目的 にUSが依頼された。(CTでは血管腫の診断) 肝炎ウイルス陰性、肝機能正常。 A5から腫瘤辺縁と腫瘤中心に向かう血流信号 + 腫瘤内から肝静脈に合流する血流信号 間違いなく動脈波形 ・肝S5に形状やや不整形、23×23×25㎜の充実性腫瘤。 ・境界明瞭でやや不整、辺縁高エコー帯を認める。 ・腫瘤の内部は不均一でやや高エコー。 ・側方陰影(-)、後方エコー不変。 ・腫瘤の辺縁に流入する動脈血流を認める。また一方 の動脈血流は、腫瘤の中心から辺縁へ放射状に伸び る分布を呈する。 ・背景肝に肝硬変をはじめびまん性肝疾患を疑う所見 は指摘できない。 考えられる疾患:AVシャントを伴った血管腫、限局性結 節性過形成(FNH)、肝細胞癌(HCC) 動脈相 辺縁部を中心に早期濃染 肝細胞造影相 肝実質より明瞭な低信号 肝細胞特異性Gd(ガドリニウム)造影剤 経静脈的な投与後、当初は血管内腔から細胞外液腔に分布するが、数分後から肝細胞に 特異的に集積し、胆汁内に排泄される。このため肝細胞造影相では肝実質の信号が強く上 昇し、胆汁排泄能のない腫瘤性病変は低信号に描出される。 9MHzの高周波コンベックスプローブ使用 サイズ・性状・血流分布ともに変化なし ①海綿状血管腫 ②毛細血管腫 ③動静脈型血管 腫 ④静脈型血管腫があり、多くは①である。 組織学的には内皮細胞に囲まれた血管腔から 形成され、大小様々な腔に血液を貯蔵している。 各血管腔の周囲には線維性隔壁がみられ、特徴 的な海綿状の形態を示す。 肝内血管短絡路には、APシャント、AVシャントお よびVPシャントがある。APシャントは血管腫を含 む良性腫瘍で20%に認められる。 血管腫に特徴的な糸ミミズサイン:内部にモゾモゾ動く部位を認める 無エコー、充実性と様々である 混濁があれば出血か膿瘍を疑う 巨大嚢胞はアーチファクトに注意 総胆管とは上部胆管(総 肝管)と胆嚢管と合流し て総胆管となる。 細かく言えば、胆管の拡 張基準は総肝管が4㎜ 以下、下部胆管が7㎜以 下とされている。 胆嚢は西洋梨のような形。 胆嚢の1/3は胆嚢窩に結合織によって付着してい て、残りの2/3は漿膜で覆われている。 胆嚢の大きさは長径60~80㎜、短径20~30㎜。 胆嚢壁は粘膜層、粘膜下層、筋層からなり、厚み は3㎜以下。 通常、エコーでは層構造として 描出できない。 一般的に頸部は肋間走査で底部は肋弓下走査 で描出能が良いとされている。 短軸断面での丁寧な走査が見逃しをなくす。 結石か腫瘤かを区別できること。 体位変換をして移動性を確認。 隆起性腫瘤の形状評価。 壁肥厚の評価。 近医より紹介の50歳代女性。 数年前から胆嚢ポリープをフォローしていたが、 最近サイズが大きくなったので精査依頼。 CT、MRI等での精査を希望。 情報提供書にエコー画像の添付なし。 まずはエコーで状況把握。 音響陰影(-) ポリープ??? PDI ADF SMI 70歳代の女性。 9月中旬頃から心窩部痛が持続。 近医でCT施行し胆嚢腫大の所見あり、当院消 化器内科紹介。(胆石は指摘できず) まずはエコーで状況把握。 ただし朝食は抜いてこなかった。 少し形が変わったような? 35秒後・・・底部にベタっと張り付く 底部側にゆっくり移動 これで胆石確定! 肝外胆管結石:食後の腹痛精査 左側臥位で膵内にゆっくり移動 一般的に頸部は肋間走査で底部は肋弓下走査 で描出能が良いとされている。 短軸断面での丁寧な走査が見逃しをなくす。 結石か腫瘤かを区別できること。 体位変換をして移動性を確認。 隆起性腫瘤の形状評価。 壁肥厚の評価。 形状 有茎性隆起型・広基性隆起型・壁肥厚型。 エコーレベル 高エコー・点状高エコー集合・等~低エコー。 付着の仕方 遊離型・遊離~接触・有茎型・広基型。 ※サイズ 10㎜を超えると約3割に癌がみつかる。 2ヶ月後に胆摘:底部型腺筋腫症(ADM)と診断された 大きなRASを伴った限局型胆嚢腺筋腫症(底部型) 胆嚢癌 胆嚢腺筋腫症(ADM) 表面平滑で層構造明瞭 表面やや不整、内部不均一エコー、外層高エコー帯不明瞭 癌ができると収縮能が低下 ↓ 結果的に結石やdebrisができやすくなる 壁の3層構造とRASあり 胆嚢腫大と結石+debris⇒急性胆嚢炎 内腔は狭小化⇒急性肝炎 肝内胆管は1㎜以下 で門脈と並走。 左右肝管は3㎜以下。 左右肝管が合流して総肝管となる。 総肝管は門脈の右腹側を走行しているが、総 胆管においては徐々に門脈から右外側かつ背 側に離れ、膵頭部の背側を走行するようになる。 「逆くの字」をイメージして走査する。 肝外胆管は7㎜以下とされるが、加齢や胆摘で 径が増す傾向がある。 初歩から始める超音波検査室から引用 治療困難な患者さんに減黄目的に留置 ステント内部には充実部分が充満 高齢者で痩せ形、腰が曲がっている 入院10日目(入院翌日から絶食) 急激な胆道系酵素の上昇 原因疾患ありますか? ポータブルでお願いします なるべく午前中にお願いします 入院が長引くとガスエコーで 描出不良なことが多い 結石キター! 通常呼吸時 息止め時 後腹膜に存在し、長さ15㎝くらいで重量が75g。 膵の発生は、腹側膵と背側膵から生じて、その発育 途中で融合がみられ、最終的に腹側背側膵、そして 背側に腹側膵(鉤部)が位置する。 膵の区分は頭部、体部、尾部に3区分される。 頭部30㎜未満、体部20㎜未満、尾部15㎜未満。 膵管2.5㎜以下 初歩から始める超音波検査室から引用 腹側膵:低エコーに描出されることがある 胎生5週の早い時期に腹側膵が腸管となる原基を軸にして180°回転して 背側膵と癒合し、生まれる時には一つの膵臓として認識される。 長軸面で「へ」の字様に描出され、短軸面では 扁平状を呈するが、尾部はやや丸みを帯びる。 膵の腫大は、頭部30㎜以上、体部20㎜以上、 尾部15㎜以上。(個人差大) 全体腫大、限局性腫大、萎縮に分類。 エコーレベルは高、低、無エコーに分類。 膵実質のエコーパターンは正常では比較的均 一な構造を呈している。エコーパターンの変化 は点状エコー(微細な高エコー)、斑状エコー (高低混在のまだら状)、限局低エコーに分類。 主膵管と副膵管があるが、対象は主膵管。 比較的描出が容易な膵体部の膵管を描出し、 膵管径と膵管形態を評価する。膵管に対して超 音波を垂直に当てて内腔を計測する。正常値 は2.5㎜未満。 拡張膵管の形態は平滑拡張、不整拡張、数珠 状拡張に分類。 平滑 膵管がちょっと目立つと思ったら計測してみる 不整 数珠状 急性膵炎 慢性膵炎 膵嚢胞 日本超音波医学会 膵癌超音波診断基準より抜粋 1.直接所見 ①膵のびまん性および限局性腫大 ②膵輪郭の不明瞭化 ③膵実質のエコーレベル低下(軽症例) ④膵実質エコーの混合パターン(重症例) ⑤主膵管は正常あるいは軽度の拡張に留まる 2.間接所見 ①膵周囲の低エコー域または液体貯留 ②膵仮性嚢胞 ③胸水、腹水 ④胃や腸管の麻痺性変化(十二指腸の浮腫性肥厚) ⑤門脈の圧排や血栓 体尾部の実質が不均一 尾部は腫大? 液体貯留 確診所見 ①膵石:音響陰影を伴う高エコー 準確診所見 ①膵の腫大と萎縮:腫大するが、線維化が進むと 萎縮する ②膵管の不整な拡張:膵体部の内腔径で3㎜以上 ③輪郭の不規則な凹凸 ④仮性嚢胞 膵実質の萎縮とエコーレベル上昇 拡張した膵管内に結石 表面凹凸不整 膵実質の萎縮と点状高エコー 境界部に反射エコー(+) 内部無エコー 後方エコー増強 脾門部からのみ描出可能 境界部に反射エコー(-) 5月29日 11月27日 血流信号は検出できず? Metastasis of renal cell carcinoma to pancreas 1.直接所見 ①低エコーを呈する腫瘤 ②膵実質との境界部(輪郭)が不明瞭 ③腫瘤の辺縁は不整 ④腫瘤の内部は不均一 ⑤後方エコーの減衰 2.間接所見 ①腫瘤の尾側膵管の拡張 ②拡張した膵管は数珠状あるいは平滑拡張 ③胆管の拡張 ④随伴性膵炎による腫瘤より尾側の膵萎縮 ⑤周囲の血管への浸潤 境界部やや不明瞭で不整 脾動脈と接し、上腸間膜静脈の血流を遮断 尾側膵管の拡張 胃浸潤とリンパ節転移 十二指腸水平部に浸潤を疑う 脾動静脈に接している ①小さな腫瘍では境界明瞭で辺縁平滑 ②小さな腫瘍では内部均一で低エコー ③非機能性腫瘍では大きな場合が多いので、出 血、壊死などにより内部不均一エコー ④大きな腫瘍では、内部に石灰化や嚢状変化を伴う ⑤腫瘍血管に富むことが多いため、血流が豊富に 検出されることが多い ⑥尾側膵管の拡張はみられないか、軽度の平滑 拡張に留まる ⑦膵管は圧排性の変化を受ける ①膵のびまん性あるいは限局性腫大 ②病変部のエコーレベル低下 ③膵表面の凹凸 ④病変部の点状エコー ⑤膵管の狭細像 ⑥膵周囲の脂肪織の変化 USをはじめ画像診断では膵管癌との鑑別は困難 IPMN:男性の膵頭部に好発 MCN:女性の体尾部に好発 SCN:中年女性の頭体部に好発 悪性は稀 それぞれ特徴的な画像を呈するので、画像のパターンを覚える 単房性か多房性か 壁肥厚の有無 充実部分の有無 膵管拡張の有無および膵管の形態 血流信号 経過観察であれば増大の有無 角度を変えて形状を確認 多房性嚢胞 嚢胞内部に充実部分(-) 長軸面 短軸面 ブドウの房状の多房性嚢胞 嚢胞内部に充実部分 動脈性血流 単房性嚢胞内部に充実部分 血流信号(-) 膵管平滑拡張 大小さまざまな嚢胞成分 膵管は平滑拡張 豊富な動脈性血流 どこを描出しているか意識しながら検査する。 特に肝臓は大きな臓器なので門脈や肝静脈の 目印を利用して見逃しのないように。 体位変換(側臥位・立位)を面倒がらない。 呼吸調整。 病変の診断は、まずは画像パターンを覚えて、 それが描出できるよう訓練する。 エコーはセンスが必要か?
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