皮膚科外来患者由来 MRSA 株に見られる新規 MRSA

皮 膚 科 外 来 患 者 由 来 MRSA 株 に 見 ら れ る 新 規 MRSA ク ロ ー ン の 出 現 状
況
MRS A clones identified in outpatients’ clinics of dermatology
細 谷 志 乃 1 、 伊 藤 輝 代 1,2 、 三 澤 成 毅 3 、 吉 池 高 志 4 、 小 栗 豊 子 5 、 平 松
啓 一 1,2
Shino Hosoya, Teruyo Ito, Shigeki Misawa, Takashi Yoshiike,
Kunimitsu Yamada, Toyoko Oguri, Keiichi Hiramatsu
1
順天堂大学大学院感染制御科学
2
順天堂大学医学部細菌学教室
3
順天堂大学医学部附属順天堂医院
4
順天堂静岡病院皮膚科
5
亀田総合病院
臨床検査部
臨床検査部
所属英文
1. Department of I nfection Control Science, Graduate School of
Medicine, Juntendo University
2. Department of Bacteriology, School of Medicine, Juntendo
University
3. Department of Clinical Laboratory, Juntendo University
Hospital
5. Department of C linical Laboratory, Kameda General Hospital.
Key Word
community-acquried MRSA,MRSA clones,Staphylococcal cassette
chromosome mec ( SCC mec ) , pathogenicity island,Phage open
reading frame typing (POT)
ラ ン ニ ン グ タ イ ト ル : TSST-1 保 有 新 規 MRSA ク ロ ー ン の 増 加
別 冊 希 望 部 数 : 30
別冊請求先:順天堂大学大学院感染制御科学
郵 便 番 号 113-8421
東 京 都 文 京 区 本 郷 2-1-1
ペ ー ジ 数 : 20ペ ー ジ
図表の数:6
署名
印
要旨
我が国の市中に拡がるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の特徴を明ら
か に す る 目 的 で ,2009年 2月 か ら 2012年 9月 に 順 天 堂 大 学 付 属 4 病 院
の皮膚科外来患者の検査材料から分離された
methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) 54株 の
Staphylococcal cassette chromosome mec ( SCC mec ) の タ イ プ と
Multi Locus Sequence Typing( MLST) を 決 定 し た .加 え て 4 種 の 毒
素遺伝子の保有を検討した.
1 0 の 染 色 体 タ イ プ( Clonal Complex )と 1 2 の SCC mec タ イ プ が 存
在 し ,こ の 二 つ の 組 み 合 わ せ で 定 義 さ れ る MRSAク ロ ー ン は 15種 類 以
上 あ っ た .最 も 多 く 検 出 さ れ た の は Clonal Complex (CC)5-typeIIa
SCC mec 株 ( 16株 ) で あ っ た . 我 が 国 の 院 内 感 染 事 例 か ら 分 離 さ れ る
株 の 多 く が 毒 素 性 シ ョ ッ ク 症 候 群 毒 素 遺 伝 子( toxic shock syndrome
toxin gene; tst ) 陽 性 の CC5-typeIIa SCC mec 株 で あ る の に 比 べ ,今 回
の 供 試 菌 株 中 で は tst 陽 性 の CC5-typeIIa SCC mec 株 は わ ず か 2 株 で ,
他 は tst 陰 性 で あ っ た .CC5株 以 外 が 38株( 70.4%)あ っ た .そ の 中 で は
CC8株 が 12株 と 多 か っ た が , tst 陽 性 CC8-typeIVl SCC mec 株 9
株 ,Panton-Valentine Leukocidin(PVL)遺 伝 子 ( lukS,F-PV ) を 保 有
す る CC8-typeIVa SCC mec 株 1 株 な ど ,既 知 の 毒 素 遺 伝 子 保 有 株 が 10
株 を 占 め た .続 い て 多 か っ た の は と び ひ と 関 連 す る ク ロ ー ン で
1
CC89-typeV SCC mec 株 お よ び CC89-typeIIb SCC mec 株 で は ,6 株 中 5 株
お よ び 5 株 中 2 株 が b型 表 皮 剥 奪 性 毒 素 遺 伝 子( exofoliative toxin
b; etb ) を 保 有 し て い た . CC121-typeV SCC mec 株 は ,2株 中 2株 が a型
表 皮 剥 奪 性 毒 素 遺 伝 子 ( exofoliative toxin a; eta ) を 保 有 し て い
た .他 に CC1-type IVa SCC mec 株 , CC8-typeI SCC mec 株 , CC81-type IVg
SCC mec 株 , CC97-type IVc SCC mec 株 , CC89-type IVa SCC mec 株 ,
CC91-type IVa SCC mec 株 , CC45-typeIIn SCC mec 株 ( サ ブ タ イ プ の 決
まらない株),
CC59-type IVg SCC mec 株 ,及 び 本 研 究 で 見 い だ さ れ
た 新 規 サ ブ タ イ プ の CC8-typeIVm SCC mec, CC89-SCC mec 未 同 定 株 が 存
在 し ,多 様 な MRSAク ロ ー ン が 出 現 し て い る 状 況 が 本 検 討 で 明 ら か に
された.
To know the characteristics of methicillin-resistant
Staphylococcus aureus (MRSA) strains disseminating at the
Japanese community, we have determined types of Staphylococcal
cassette chromosome mec (SCC me c) elements, Multi-Locus Sequence
Typing (MLST), and carriages of four exotoxin genes (toxic-shock
syndrome toxin, P anton-Valentine Leukocidine, and exfoliative
toxins a and b) u s ing 54 MRSA strains isolated from outpatients
of clinics of der matology at the four university hospitals of
Juntendo University. Ten clonal complexes and 12 SCC mec types
2
have been identif ied. As results, more than 15 MRSA clones that
were defined by th e combination of genotype and SCC mec type, were
identified. Among them, Clonal Complex (CC)5-typeIIa SCC mec
strains were the most major (16 strains). In contrast that
CC5-typeIIa SCC mec strains known as hospital-associated MRSA
clone in Japan carried toxic-shock syndrome toxin gene ( tst ) ,
only 2 of 16 strains carried tst. Thirty-eight (70.4 %) of
isolates belonged to the clones distinct from CC5-typeIIa SCC mec
strains. Among th em, CC8 strains were major(12 strains), which
contained 9 tst -positive CC8-typeIVl SCC mec clone and
CC8-typeIVa SCC mec strain carrying Panton Valentine Leukocidin
gene ( luk S,F-PV). Clones related to impetigo were also
identified:7 exfoliative toxin b ( etb )-positive clones,
CC89-typeIIa SCC mec and CC89-typeV SCC mec strains; and 2
exfoliative toxin a ( eta ) -positive CC121-typeV SCC mec strains.
Other clones were as follows: CC1-typeIVa SCC mec , CC8-typeI
SCC mec , CC81-type IVg SCC mec , CC97-typeIVc SCC mec , CC91-typeIVa
SCC mec , CC59-type IVg SCC mec , CC45- typeIIn SCC mec , CC89-SCC mec
nontypeable, and CC8-type IVm, novel subtype of type IV SCC mec
3
identified in this study.
Our data showed that many novel MRSA
clones have emerged at the community.
序文
メ チ シ リ ン 耐 性 黄 色 ブ ド ウ 球 菌 ( methicillin-resistant
Staphylococcus aureus ;MRSA)は 出 現 以 来 ,院 内 感 染 の 原 因 菌 と し て
問 題 と さ れ て き た .し か し 近 年 で は MRSAは 市 中 感 染 症 か ら 多 く 分 離
さ れ ,健 康 人 が 保 菌 し て い る こ と も 報 告 さ れ る よ う に な っ た 1 ) .と り
わ け 2000年 代 に は い る と 全 世 界 で そ の 分 離 率 は 増 大 し ,深 刻 な 問 題
と な っ て い る . 市 中 感 染 症 か ら 分 離 さ れ る MRSAの う ち ,外 来 患 者 あ
る い は 入 院 後 48時 間 以 内 の 入 院 患 者 か ら 分 離 さ れ ,か つ 各 種 医 療 関
連 の 危 険 因 子( 人 工 装 置 の 装 着 ,MRSA感 染 の 履 歴 ,12ヶ 月 以 内 の 手 術 ,
入 院 ,人 工 透 析 な ど の 経 歴 ) を 持 た な い 株 を Community-associated
MRSA( CA-MRSA) 2 ) と 呼 び ,医 療 関 連 施 設 か ら 分 離 さ れ る
Healthcare-associated MRSA(HA-MRSA)と 区 別 さ れ る よ う に な っ た .
MRSAは メ チ シ リ ン 耐 性 を 担 う 遺 伝 因 子 で あ る staphylococcal
cassette chromosome mec ( SCC mec ) が メ チ リ ン 感 受 性 黄 色 ブ ド ウ
球 菌 (methicillin-susceptible Staphylococcus aureus ; MSSA)株
に 挿 入 さ れ た も の で あ る ,そ し て SCC mec に は 構 造 の 異 な る 多 く の 種
類 が あ る こ と か ら 3 ) 現 在 で は ,MRSAク ロ ー ン を SCC mec タ イ プ と MSSA
4
染色体の違いの組み合わせで定義するという方法が全世界で使用さ
れ て い る .MSSA染 色 体 の 分 類 に は 染 色 体 上 の 7つ の housekeeping遺
伝 子 の 塩 基 配 列 を 決 定 し ,遺 伝 子 配 列 の 差 異 (alleles)を コ ン ピ ュ ー
タ ー 解 析 す る こ と に よ っ て 菌 株 の 識 別 を 行 う Multi Locus Sequence
Typing( MLST) 4 ) が 用 い ら れ る .
MRSAク ロ ー ン の 決 定 が 世 界 各 地 で 行 わ れ る と ,そ れ ぞ れ の 国 に 特 徴
的 な CA-MRSAク ロ ー ン が 出 現 し て い る こ と が 明 ら か に な っ た .ま た
CC1-typeIV SCC mec 株 ,CC8-typeIV SCC mec 株 ( 米 国 ) ,CC30-typeIV
SCC mec 株 ,CC59-typeV SCC mec 株 ( 台 湾 ,中 国 ) ,CC80-typeIV SCC mec
株 ( ヨ ー ロ ッ パ ) な ど 海 外 で の 特 徴 的 な MRSAク ロ ー ン の 多 く は
Panton-Valentine Leukocidin(PVL)と 呼 ば れ る 強 力 な 白 血 球 溶 解 毒
素産生株であった.
我 が 国 の CA-MRSA に つ い て は , と び ひ 患 者 由 来 株 の 中 で MRSA の 割 合
が 増 大 し て い る こ と が い ち 早 く 報 告 さ れ ,ま た 健 康 な 小 児 や 成 人 か
らも分離されることが報告されている
5)
. ま た 海 外 の MRSA の 日 本 へ
の 持 ち 込 み も 報 告 さ れ て い る 6 ) 7 ) .本 研 究 で は 我 が 国 の 市 中 に 拡 が り
つ つ あ る MRSA の 特 徴 を 明 ら か に す る こ と を 目 的 と し て , 順 天 堂 医 院
の 皮 膚 科 外 来 患 者 由 来 株 の MRSA ク ロ ー ン を 決 定 し た . 同 時 に 近 年 院
内 感 染 MRSA の 解 析 に 用 い ら れ て い る Phage ORF Polymorphism
Typing(POT) 8 ) を 実 施 し ,POT で 検 出 す る 23 遺 伝 子 の 保 有 の 有 無 と
5
MLSTと の 対 応 を 比 較 し た .
材料および方法
1. 供 試 菌 株
順 天 堂 大 学 医 学 部 附 属 4 病 院 よ り 分 与 さ れ た 2009 年 2 月 か ら 2012
年 9 月 に 皮 膚 科 外 来 患 者( 入 院 後 48 時 間 以 内 を 含 む )の 表 皮 病 巣 部
及 び 膿 瘍 部 位 ( 皮 下 、 頸 部 な ど ) か ら 分 離 さ れ た MRSA 54 株 : 14 株
( 順 天 堂 医 院 ) ,17 株 ( 練 馬 病 院 ) ,7 株 ( 浦 安 病 院 ) ,16 株 ( 静 岡
病院)を実験に供した.
2. 分 子 疫 学 的 解 析
1)染 色 体 DNA の 抽 出
染 色 体 DNA は QIAamp DNA Mini Kit( Quiagen, MD, USA) 及 び シ カ
ジ ー ニ ア ス DNA 抽 出 試 薬 ( 関 東 化 学 , 東 京 ) を 用 い た 簡 便 法 に て 抽
出した.
2)SCC mec タ イ プ の 決 定
Kondo ら の 開 発 し た Multiplex PCR を 使 用 し た 9 ) .TypeIV SCC mec の サ
ブ タ イ プ の 決 定 に 用 い た primer setは Table 1 に 示 す 9 ) 1 0 ) .
3)MLST
Enright ら の 方 法
11)
に 従 っ て 行 い , MLST.net に ア ク セ ス し て
Sequence type (ST ) を 決 定 し , さ ら に eBURSTv3 で Clonal complex
(CC)及 び Founder Group(FG)を 決 定 し た .
6
4)毒 素 遺 伝 子 保 有 の 検 討
PVL遺 伝 子( lukS,F-PV ),毒 素 性 シ ョ ッ ク 症 候 群 毒 素 遺 伝 子 ( tst ) 表
皮 剥 奪 性 毒 素 遺 伝 子 ( et )の 有 無 を PCRに て 判 定 し た .使 用 し た primer
setは Table 1
12)13)
に示す.
Table1 挿 入
3 . Typ eI V S CC mec の 全 塩 基 配 列 の 決 定
DNA は QIAamp DNA Mini Kit( Quiagen, MD, USA) で 抽 出 し た も の を
使 用 し た . Expand High Fidelity PCR System (Roche,IN,USA) の キ
ッ ト を 用 い ,Long-range PCR に て 2 株 ( JCSC8843, JCSC8975) の 持
つ typeIV SCC mec の 全 領 域 を 増 幅 し ,そ の 塩 基 配 列 を primer walking
に て 決 定 し た .Long-range PCR に 使 用 し た primer 及 び そ の 位 置 は
Fig. 1 に 示 す . 決 定 し た 塩 基 配 列 は イ ン シ リ コ バ イ オ ロ ジ ー 社 の
imc_ge を 用 い て 解 析 し た .
4 . P OT 法 に よ る 菌 株 の 比 較
シ カ ジ ー ニ ア ス 分 子 疫 学 解 析 POTキ ッ ト ( 黄 色 ブ ド ウ 球 菌 用 )( 関 東
化 学 , 東 京 ) を 用 い 添 付 の 説 明 書 に 従 っ て 2 組 の PCR を 実 施 し た
後 ,PCR産 物 を 3 % Metaphor agarose( Lonza, ME USA) を 用 い て 1
xTBE bufferに て 電 気 泳 動 を 行 っ た . 2 組 の PCRに よ り SCC mec 上 の 5
つ の 遺 伝 子 ,黄 色 ブ ド ウ 球 菌 の femA 及 び 他 の 2 つ の 染 色 体 上 の ORFに
加 え て , バ ク テ リ オ フ ァ ー ジ に 代 表 さ れ る 動 く 遺 伝 因 子 上 の 15 の
7
ORFの 検 出 で き ,こ れ ら の PCR産 物 の 有 無 に よ り 菌 株 を 比 較 す る 8 ) .
成績
1.
S CC mec タ イ プ の 決 定
最 も 多 か っ た の は typeII SCC mec 株 で 22株 ( 40% ) で あ り ,次 い で 多
か っ た の は typeIV SCC mec 株 で 21株 ( 39% ) で あ っ た ( Table2 ) .
そ の 他 は typeV SCC mec 株 は 9株 , typeI SCC mec 株 は 1株 で ,1 株 は mec
遺 伝 子 複 合 体 の ク ラ ス は 決 定 で き た が , ccr 遺 伝 子 が 検 出 で き な か っ
た た め SCC mec タ イ プ が 決 定 で き な か っ た .
次 に typeII SCC mec 及 び typeIV SCC mec に つ い て Kondoら の 方 法 9 ) に 基
づ き J1 領 域 の サ ブ タ イ プ を 調 べ た と こ ろ ,typeII SCC mec 株 は IIa
( 16株 ) , IIb( 5株 ) ,IIn ( サ ブ タ イ プ の 決 ま ら な い 株 ,1株 ) で あ
り ,typeIV SCC mec 株 は IVa( 7株 ) , IVc( 1株 ) ,IVn(サ ブ タ イ プ の 決
ま ら な い 株 , 13株 )で あ っ た .更 に typeIVn SCC mec 株 13株 を 用 い
て ,typeIVgを 検 出 す る primer 1 0 ) を 使 用 し て 調 べ た 結 果 ,IVg株 が 3株
見いだされた.
2 . T ype I V SC C mec の 塩 基 配 列 の 決 定
そ こ で ,サ ブ タ イ プ の 決 ま ら な い 10株 の 中 か ら JCSC8975株 と
JCSC8843株 を 選 び ,こ れ ら の 株 の 持 つ SCC mec の 全 塩 基 配 列 を 決 定 し
た .JCSC8975株 の typeIV SCC mec は ,2012年 に 報 告 さ れ た typeIVl
SCC mec と 同 じ で あ る こ と が 判 明 し た 1 4 ) .次 に typeIVl SCC mec の サ ブ
8
タ イ プ を 検 出 す る primer(table 1)を 用 い た PCRを 実 施 し た 結 果 ,10
株 中 の 9株 は typeIVl SCC mec で あ っ た .
他 の 一 株 ,JCSC88 43 の 持 つ typeIV SCC mec の 構 造 を Fig. 1 に 示
す .SCC mec J C S C 8 8 4 3 の サ イ ズ は 28.4kb で , orfX の 下 流 か ら mec 遺 伝 子 複
合 体 , ccr 遺 伝 子 複 合 体 ま で の 約 17kbの 領 域 は こ れ ま で に 報 告 さ れ た
typeIV SCC mec と ほ ぼ 同 じ で あ っ た .し か し , ccr 遺 伝 子 複 合 体 の 下 流
か ら SCC mec の 右 端 末 端 ま で の 領 域 ( J1 領 域 ) は ,こ れ ま で に 報 告 さ
れたものとは全く異なっていたので
SCC mec J C S C 8 8 4 3 を typeIVm
SCC mec と 命 名 し た .J1 領 域 に は 9 個 の ORF が 存 在 し た . 特 徴 的 な ORF と
し て LPXTGモ チ ー フ を 持 つ ORF( 3288bp )が 存 在 し た .Type IVlSCC mec
上 に も 同 様 な 蛋 白 が 存 在 す る . こ れ ら の ORF の C 末 端 を 代 表 的 な 表 層
蛋 白 と 比 較 し た と こ ろ ( Figure 2) ,共 通 し て C末 端 側 に ,LPXTGモ チ
ー フ ,疎 水 性 ア ミ ノ 酸 領 域 ,陽 性 に 荷 電 し た ア ミ ノ 酸 が 存 在 し た の で ,
こ れ ら の ORFは Staphylococcus aureus surface protein( sas )の 一 種
で あ る と 判 断 さ れ た 1 5 ) 1 6 ) . そ し て ,typeIVl SCC mec 上 に 存 在 す る sas
を sasL , typeIVm SCC mec 上 に 存 在 す る sas を sasM と 命 名 す る こ と を 提
案する.
3 .皮 膚 科 外 来 患 者 由 来 M RSAク ロ ー ン の 特 徴
54株 の MLSTを す べ て 決 定 し た ( Table3 ) .現 在 MLSTの Websiteで は
,旧 来 の Clonal com plex( CC)を 新 し く 包 括 す る グ ル ー プ 分 け と し て
9
Founder group( FG) を 用 い て い る の で ,そ れ に 従 っ た が ,特 に FG1に
属 す る 場 合 は ,従 来 の CCを 使 用 し た ほ う が よ り 明 確 に ク ロ ー ン の 違
い を 表 わ す こ と が で き る と 考 え ,両 者 を 併 記 す る と と も に ,MRSAク ロ
ー ン 記 載 と し て は CCを 用 い た .既 知 の STに 属 さ ず ,今 回 新 た に ST番 号
を 登 録 し た 株 が 7 株 存 在 し た が ,こ れ ら は FG10( 2 株 ) ,FG4( 1 株 )
,FG1( 3 株 ),FG7( 1 株 )と FG3以 外 の す べ て の グ ル ー プ に 分 布 し て
い た .54株 の 外 来 患 者 由 来 株 は 5 つ の FG,10の CCに 属 し た .MRSAク ロ
ー ン を 保 持 す る SCC mec の タ イ プ と 染 色 体 タ イ プ を CCで 表 示 し た 場 合
,FG1に 属 す る CC1-typeIVa SCC mec , CC5-typeIIa SCC mec ,CC8-typeI
SCC mec , CC8-typeIVa SCC mec , CC8-typeIVl SCC mec , CC8-typeIVm
SCC mec , CC81-typeIVg SCC mec , CC97-typeIVsSCC mec ,FG10に 属 す る
CC89-typeIIb SCC mec ,CC89-typeIVaSCC mec , CC89-typeV SCC mec ,
CC89-untypabel SC C mec , CC91-typeIVa SCC mec を 始 め ,CC45-typeIIn
SCC mec( FG 3,CC121-typeV SCC mec (FG4), CC59-typeIVg SCC mec (FG7)
と 16種 類 の MRSAク ロ ー ン が 存 在 し て い た .Table3に 示 す よ う に
,CC5-typeIIa SCC mec 株 が 最 も 多 く ,CC8-typeIVl SCC mec 株 が こ れ に
続 い た . 毒 素 遺 伝 子 の 保 有 を PCRに て 検 討 し た 結 果 は . tst 陽 性 株 は
12株 , lukS,F- PV陽 性 株 は 1 株 , eta 陽 性 株 は 2株 , etb 陽 性 株 は 7株 で
あ っ た . tst は ,CC5-typeIIa SCC mec 株( 2/16), CC98-typeIVc SCC mec
株( 1),CC8-typeI Vl SCC mec 株( 9/9)に 保 持 さ れ て い た . lukS,F- PV
10
は CC8-typeIVa SCC mec 株 に 保 持 さ れ て い た .米 国 で 蔓 延 す る USA300
の 可 能 性 を 検 討 す る た め arginine catabolic mobile element の 存
在 を PCRで 調 べ た が ,陰 性 で あ っ た . eta は CC121-typeV SCC mec 株 に 保
持 さ れ , etb は CC89-tyepIIb SCC mec 株 ,CC89-typeV SCC mec 株 に 保 持 さ
れていた.
Table 2挿 入
4 . P OT法 の 検 討
POT法 を 用 い て 54株 を 解 析 し た . POT法 で は 2 組 の multiplex PCRを 実
施 し 黄 色 ブ ド ウ 球 菌 の マ ー カ ー と し て の femA 遺 伝 子 の 検 出 に 加 え
( 1 ) SCC mec 上 の 5 つ の 遺 伝 子 ( mecA ,type 2 ccrA , IS 1272の ト ラ
ン ス ポ ゼ ー ス , mecI ,type II SCC mec の J1領 域 に 存 在 す る kdpC),( 2 )
N315株 及 び MW2株 の 染 色 体 上 の ORF(SA2259及 び MW0919), ( 3 ) 染 色
体 上 に 挿 入 さ れ た ト ラ ン ス ポ ゾ ン Tn 554 ,バ ク テ リ オ フ ァ ー ジ な ど の
動 く 遺 伝 因 子 上 の 15 の ORF の 保 持 を 検 出 で き る .Table 3 に SCC mec 上
の 5 つ の 遺 伝 子 及 び 染 色 体 上 の 2 つ の ORF の 検 出 結 果 及 び こ れ ら の
結 果 を 基 に POT値 と し て 数 値 化 さ れ た 結 果 を 示 す ( Table 3) .
先 に 決 定 し た MRSA ク ロ ー ン と 対 比 し た 場 合 ,CC5-typeIIa SCC mec 株
で は , mecA , mecI ,classA type2 ccr 遺 伝 子 の 保 持 及 び typeIIa SCC mec
の 特 徴 的 OR F で あ る kdpC が 検 出 さ れ , か つ N315 株 の 染 色 体 上 の ORF を
11
保 持 し て い る こ と が 確 認 さ れ た .し か し POT1 値 が 106示 す 株 ( mecA ,
IS 1272 , type 2 ccr ,MW0919陽 性 ) に は CC1-typeIVa SCC mec ,CC8に 属
し typeIVa, IVl,IVnew SCC mec を 持 つ 株 , CC81-typeIVg SCC mec ,
CC97-typeIVc SCC mec 株 が 含 ま れ た . ま た POT 1 値 が 104 を 示 す 株
( mecA , IS 1272 , type 2 ccr 陽 性 ) に は CC59-typeIVg SCC mec ,
CC89-IVa SCC mec ,CC91-typeIVa SCC mec が 含 ま れ た .
CC8-tyepI
SCC mec の 場 合 は mecA と IS 1272 の み が 検 出 さ れ ,CC121-StypeVCC mec 及
び CC89-typeV SCC mec の 場 合 は 検 出 さ れ た の は mecA の み で あ っ た .
Table3挿 入
考察
こ れ ま で の 我 が 国 の 病 院 分 離 株 で は ST5-typeIIa SCC mec 株 が 主 要 で
あ る と さ れ て い る .今 回 の 解 析 で は ,検 査 室 か ら 分 与 さ れ た 株 は 63株
で あ っ た .こ の 中 に は 後 に 入 院 患 者 由 来 株 と 判 明 し た た め 集 計 か ら
除 外 さ れ た 株 が 9 株 存 在 し た .こ の 9株 中 で は ST5株 が 5 株 と 大 半 を
占 め て お り , 依 然 と し て ST5-typeIIa SCC mec ク ロ ー ン が 病 院 感 染 の
起 因 菌 と し て 主 要 な 位 置 を 占 め て い る と 判 断 さ れ た .今 回 の 解 析 に
お い て わ ず か 54 株 中 に 16 種 類 の ク ロ ー ン が 存 在 し た .CC5-typeIIa
SCC mec ク ロ ー ン の う ち で も ST5に 属 す る 株 は 9株 で ,ま た 他 の 7株 は そ
れ 以 外 の STで あ っ た .こ の 点 を 考 慮 に い れ た 場 合 ,病 院 に 主 に 蔓 延 し
12
て い る ST5-typeIIa SCC mec 以 外 の ク ロ ー ン は 54株 中 45株 ( 83% ) で
あ っ た . 今 回 分 離 さ れ た ク ロ ー ン は eta , etb 保 有 株 は と び ひ 由 来 株
と し て 報 告 さ れ た ク ロ ー ン と 同 じ で あ っ た .今 回 の 検 討 し た 株 の 中
に は 海 外 の MRSA の 持 ち 込 み と 推 定 さ れ た 株 は 存 在 し な か っ た . し か
し ,我 々 の 以 前 の 検 討 で は 順 天 堂 病 院 の 皮 膚 科 外 来 患 者 由 来 株 よ り
米 国 で 蔓 延 し て い る USA300 と 判 定 さ れ た 株 が 1 株 , 台 湾 で 蔓 延 し て
い る ST5 9 と 判 定 さ れ た 株 が 分 離 さ れ た .USA300 は 我 が 国 で は 2008 年
に 最 初 に 報 告 さ れ て い る が ,そ の 後 ,報 告 例 は 増 加 し 爆 発 的 に で は な
い が 徐 々 に そ の 分 離 株 が 増 加 し て い る と 思 わ れ る 6)7) .
毒 素 性 シ ョ ッ ク 症 候 群 毒 素 toxic shock syndrome toxin(TSST-1)
は 1981 年 に 米 国 で 初 め て 報 告 さ れ た 毒 素 性 シ ョ ッ ク 症 候 群 toxic
shock syndromeの 原 因 毒 素 で あ る . tst は 黄 色 ブ ド ウ 球 菌 染 色 体 上 の
pathogenicity isl and( PI)上 に コ ー ド さ れ て い る .最 初 に 報 告 さ れ
た RN4282株 の も つ SaPIは integraseの 相 同 性 か ら ゲ ノ ム 上 の 3時 の 位
置 に 挿 入 さ れ て い る と 推 定 さ れ る . こ れ に 対 し て 我 が 国 の typeII
SCC mec 株 の 多 く が も つ tst は 10時 の 位 置 に 存 在 す る 別 の integraseを
持 つ PI( νSa4)上 に コ ー ド さ れ て い る .ST8-type IVl 株 の 多 く は tst
遺 伝 子 を 保 持 し て い た が , こ れ は Iwao ら に よ り 既 に 報 告 さ れ て い る
よ う に SaPImと 同 様 に 3 時 の 位 置 に 挿 入 さ れ て い る と 推 定 さ れ る 1 4 ) .
本 研 究 で 見 出 さ れ た も う 1 株 の tst 保 有 株 で あ る CC97株 の 場 合 も ,同
13
じ く 3 時 の 位 置 に 挿 入 さ れ て い る 別 の PI を 保 持 し て い る と 思 わ れ る
( Uehara,未 発 表 デ ー タ ) .
今回検討した菌株は外来患者あるいは
入 院 後 48 時 間 以 内 の 入 院 患 者 か ら 分 離 さ れ た 株 で は あ る が , 各 種 医
療関連の危険因子に関する情報は得ることができなかったので
community-onset
MRSA に 分 類 さ れ る 可 能 性 は 否 定 で き ず
community-onset MRSAと community-associated MRSAの 混 合 し た も の
と み な す の が 妥 当 で あ る と 考 え て い る が , 今 回 の デ ー タ は , tst を
コ ー ド す る 新 し い PI が 出 現 し , 市 中 に 広 ま っ て い る こ と を 示 し て い
る と 考 え ら れ た .ま た typeIVl SCC mec 上 に 存 在 す る は LPXTGモ チ ー フ
を も つ ORF( 5046bp)及 び 本 研 究 で 明 ら か に し た typeIVm SCC mec 上 の
LPXTGモ チ ー フ を も つ ORF( sasM,3288bp)な ど , Sas タ ン パ ク 質 を 持 つ
TypeIVSCC mec を 持 つ 株 が 10株 存 在 し た の も 一 つ の 特 徴 で あ っ た .
黄色ブドウ球菌は宿主組織との結合や宿主の免疫を回避するため
に 働 く 各 種 の 表 層 タ ン パ ク を 産 生 す る こ と で 知 ら れ る .免 疫 グ ロ ブ
リ ン IgGと 結 合 す る protein A,フ ィ ブ リ ノ ー ゲ ン 結 合 蛋 白 な ど が 代
表 的 な も の と し て 古 く か ら 知 ら れ て い る が ,こ れ ら の タ ン パ ク 質 は
共 通 し て C末 端 側 に( 1 )sortaseの 働 き に よ り 切 断 さ れ る LPXTGモ チ
ー フ ,( 2 ) 疎 水 性 ア ミ ノ 酸 領 域 ,( 3 ) 陽 性 に 荷 電 し た ア ミ ノ 酸 を
持 っ て い る 1 5 ) 1 6 ) .報 告 さ れ た ゲ ノ ム 配 列 を コ ン ピ ュ ー タ ー 解 析 し た
結 果 ,先 に 報 告 さ れ た 11の LPXTGモ チ ー フ を も つ タ ン パ ク 質 に 加 え て
14
更 に 10の 新 規 タ ン パ ク 質 が 見 出 さ れ た 1 6 ) 1 7 ) .こ れ ら の タ ン パ ク 質 は
先 の 報 告 1 5 ~ 1 7 ) に 基 づ き Staphylococcus aureus surface (Sas)
proteinと 命 名 さ れ て い る .SCC mec 上 で 見 出 さ れ た 最 初 の sas蛋 白 は
typeI SCC mec の コ ー ド す る plasmin sensitive protein ( pls )で あ る .
今 回 検 討 し た typeIVl SCC mec 上 の ORF 及 び 新 規 typeIV SCC mec 上 の
ORFも sas蛋 白 に 分 類 す る の が 妥 当 と 考 え た .こ れ ら の ORFの 機 能 は ま
だ 特 定 さ れ て い な い が ,何 ら か の 宿 主 へ の 定 着 ,宿 主 免 疫 か ら の 回 避
に働いていることが推測される.
Figure2挿 入
POT法 は 2 組 の multiplex PCRを 実 施 し ,生 成 さ れ た DNA断 片 か ら 菌 株
の 特 徴 を 推 定 す る 方 法 で Suzuki 等 に よ り 開 発 さ れ た 方 法
8)
を基に,
改 良 さ れ た も の が 市 販 さ れ て い る .菌 株 か ら 簡 便 法 で 抽 出 し た DNAを
用 い て 菌 株 間 の 相 同 性 を 簡 便 に 比 較 す る 事 が で き る の で ,院 内 感 染
の 解 明 な ど に 役 立 つ と さ れ て い る . し か し , 特 定 の ORF を 検 出 し て
MRSA ク ロ ー ン を 推 定 す る の は , 原 理 的 に も 非 常 に 難 し い と 推 定 さ れ
る . 今 回 の 我 々 の 検 討 で は , 設 計 さ れ た primer か ら 予 想 さ れ た 通 り
CC5 − typeIIa SCC mec 株 の 検 出 は 確 実 に で き , 菌 株 相 互 の 比 較 も で き
る こ と が 示 さ れ た . ま た typeIV SCC mec 株 の 同 定 も で き る . し か し ,
複 数 の MRSA ク ロ ー ン が 同 じ POT 値 を 示 す 事 か ら 他 の ゲ ノ タ イ プ の
MRSA, 他 の SCC mec タ イ プ 株 は 特 定 の ク ロ ー ン を 同 定 で き る と い う 段
15
階 に は 至 っ て い な い と 判 断 さ れ た . Nakao ら は 入 院 小 児 患 者 の 糞 便
分 離 株 と 鼻 腔 由 来 株 を POT法 に て 比 較 し ,同 一 の 菌 株 が 鼻 腔 及 び 糞 便
から分離されたことを推定している
18)
.POT 値 か ら MRSA ク ロ ー ン を
推 定 す る 作 業 は , MRSAク ロ ー ン を 推 定 す る 原 理 に 基 づ い た も の で は
な い た め ,POT 値 か ら MRSA ク ロ ー ン を 推 定 す る こ と せ ず , 簡 便 法 と し
て 利 用 し , 我 が 国 の 病 院 に 蔓 延 す る 代 表 的 な CC5-typeIIa SCC mec 株
の 同 定 あ る い は そ れ と の 識 別 ,及 び 増 幅 さ れ た DNA断 片 の パ タ ー ン の
比較により菌株間の相同性を見ることに留めるべきであると考え
る.
謝辞
菌株の収集に御協力いただいた順天堂大学附属静岡病院検査部 山
田 邦 光 氏 ,順 天 堂 大 学 附 属 浦 安 病 院 検 査 部 中 澤 武 司 氏 ,順 天 堂 大 学
附 属 練 馬 病 院 検 査 部 立 花 勇 一 氏 に 感 謝 申 し 上 げ ま す .ま た 研 究 を 御
指 導 ,御 協 力 頂 い た 順 天 堂 大 学 感 染 制 御 科 学 韓 笑 博 士 ,張 萌 博 士 ,呂
宇 傑 氏 に 感 謝 申 し 上 げ ま す .本 研 究 は 文 部 科 学 省 基 盤 研 究
(C19590456) 及 び 私 立 大 学 戦 略 的 基 盤 形 成 支 援 事 業( 2012 – 2017)
の支援を受けた.
利益相反自己申告:申告すべきものなし
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20
Fig. 1. Structure of two type IV SCCmec elements.
Structures of type IV SCCmec of a new subtype and type IVl SCCmec are
illustrated
based
on
the
nucleotide
sequences
deposited
in
the
DDBJ/EMBL/Genbank databases under the accession nos.AB872254 and AB872255
respectively. The black triangles (▲) indicated the positions of direct
repeat sequences located at the both ends of the elements. The arrows
indicted locations of the primer’s pairs used for amplifying DNA fragments
used for nucleotide sequencing. Nucleotide sequences of primers are as
follows:
cR2(5'-AAACGACATGAAAATCACCAT-3'),
mA1(5'-TGCTATCCACCCTCAAACAGG-3'),
mA2(5'-AACGTTGTAACCACCCCAAGA-3'),
pSJ21-3(5’-TATCTCTTAAGGCGTTGACAACAT-3'),
com13(5’-AGCTGTATCAGTCGCTGGTAA-3'),
LO2-N
(5'-CAGTCGCATCAAATGTCTCTAATG-3').
ORFs encoded by SCCmecJCSC8975 (21 ORFs) and SCCmecJCSC8843 (28 ORFs) are
indicated by thick arrows.
Fig. 2
Comparison of C-terminus amino acids of LPXTG-motif proteins.
Amino acid sequences of C-terminus of two Staphylococcus aureus surface
proteins (Sas) are compared to 3 representative LPXTG-motif proteins.
LPXTG-motif (five amino acids sequence), which are composed of L(Leucine),
P(Proline), X (Aspartic acid or Glutamic acid), T(Threonine), and
G(Glycine), are marked with underlines.
Three representative LPXTG motif
proteins are S. aureus protein A (Spa), fibronectin-binding protein (FbpA),
plasmin sensitive protein (Pls). All of them are cell-wall anchor
proteins.Spa bind immunoglobulins through the Fc part of several kinds of
IgG antibodies.FbpA influences host tissue adherence by binding to host
fibronectin. Pls, which is associated with poor bacterial adherence to
fibronectin and immunoglobulin G, are suggested to be a virulence factor
for septic arthritis and sepsis.
Asterisks indicate common sequences between five proteins. H(Histidine),
K(Lysine), and R(Arginine) are positively-charged residues; D(Aspartic)
and E(Glutamine) are negatively-charged residues.
Table 2 Characteristics of 54 MRSA clones
Founder groups
FG1
Clonal complexes
CC1 (n=2)
CC5 (n=16)
CC8 (n=12)
SCCmec types
IVa(n=2)
IIa(n=16)
I(n=1)
IVa(n=1)
IVl(n=9)
IVm(n=1)
CC81 (n=2)
IVg(n=2)
CC97 (n=1)
IVc(n=1)
FG3
CC45 (n=1)
IIn(n=1)
FG4
CC121 (n=2)
V(n=2)
FG7
CC59 (n=1)
IVg(n=1)
FG10
CC89 (n=16)
IIb(n=5)
IVa(n=4)
V(n=6)
ND*(n=1)
CC91 (n=1)
IVa(n=1)
1) Abbreviations:tst , toxic shock syndorome toxin; lukS, F-PV ; genes for Sa: etb , exfoliative toxin b.
*ND :Not determined
tst
+ (2/16)
+ (9/9)
+ (1/1)
-
carriage of exotoxin genes1)
lukS,F-PV
eta
+ (1/1)
+ (2/2)
-
etb
+ (2/5)
+ (5/6)
-
fragment and F-fragment for Panton Valentine Leucokidin; eta , exfoliative toxin
SCCmecJCSC8843
classB
J1 region
10,000bp
5,000bp
IS431 ugpQ mecA △mecR1 IS1272
orfX
15,000bp
ccrB ccrA
com13
psj21-3
mA2
LO-2N
28.4kbp
SCCmecJCSC8975 classB
orfX
IS431 ugpQ mecA △mecR1 IS1272
J1 region
ccrB
ccrA
mA1
intA
mA2
30,000bp
sasM
mA1
intA
25,000bp
20,000bp
sasL
com13
psj21-3
25.6kbp
LO-2N
Structures of C‐terminus of LPXTG proteins
Spa
FbpA
Pls
Sasl
SasM
KQPANHADANKAQA
EENPF
SNKNEAKDSKEP
QSKNVNHSTINKDH
S
SEDEANTS
RDHNDKTDKPNNKESNNTHKQNNSEAKA-
TT F
EL
S
NDAQNN
EN D
N NNEE
S
ETDGKQ T
DNSKSN
** **
S
S
S
S
*
S
*
‐X (D or E)‐
N NEE
N DNSE
*