海外旅行者下痢症由来組織侵入性大腸菌029: H

228
海 外 旅 行者 下痢 症 由来 組織 侵 入性 大 腸菌029:
H-に
つ いて
東京都立衛生研究所微生物部
Key
words:
松下
秀
山田
澄夫
工藤
泰雄
大橋
誠
Enteroinvasive
(昭和63年8月11日
受 付)
(昭和63年10月4日
受 理)
E. coli, E. coli
要
1985年 と1987年 に,そ
ME472株
は,生
029:
H-,
Travellers'
diarrheal
cases
旨
れ ぞ れ 南 米 お よ び タ イ へ 旅 行 した 下 痢 症 患 者 よ り分 離 さ れ た 大 腸 菌ME160と
化 学 的 性 状 試 験,血
清 学 的 性 状 試 験 お よ び病 原 性 試 験 の 結 果,血
清 型029:
H-の
組織
侵 入 性 大 腸 菌 と 同 定 さ れ た.
この 両029:H-株
は 典 型 的 な 組 織 侵 入 性 大 腸 菌 の 性 状(リ
ジ ン 脱 炭 酸 と運 動 性 が 共 に 陰 性)を 有 し,
細 胞 侵 入 性 に 関 与 す る プ ラ ス ミ ド由 来 の 菌 体 外 膜 タ ンパ ク を 検 出 す るELISA法,モ
い たSereny試
験 お よ び 培 養HeLa細
ル モ ッ トの 眼 を 用
胞 へ の 侵 入 性 い ず れ も 陽 性 で あ った.
本 血 清 型 の 組 織 侵 入 性 大 腸 菌 は,こ
れ ま で ブ ラ ジ ル と タ イで 下 痢 症 よ り分 離 報 告 が あ る が,本
邦では
初 の 分 離 例 と思 わ れ る.
序
文
性 状 お よ び病 原 性 に つ い て報 告 す る.
材 料 と方 法
腸 管 病 原 性 大 腸 菌 の一 つ で あ る組 織 侵 入 性 大 腸
菌(Enteroinvasive
と略)は,赤
Escherichia
coli, 以 下EIEC
痢 菌 と同様 大 腸 粘 膜 上 皮 に侵 入,増
1.供 試 菌 株
Table
1に 示 した2症 例 の 海 外 旅 行 者 下 痢 症 患
殖 し て細 菌 性 赤 痢 に酷 似 す る疾 病 を 引 き起 こす も
者 糞 便 よ りの 分 離 株ME160(症
例1)お
の で あ り,そ の0血
ME472(症
たDr.φrskov
O112ac,
の8種
O124,
清 型 と して これ ま でO28ac,
O136,
O143,
O144,
O152,
O164
が よ く知 られ て い る1).
我 々 は1977年 以来 海 外 旅 行 者 下 痢 症 に お け る細
ぞ れ1例
いEIECを
の 旅 行 者 か ら上 記O血
centre
Denmark)よ
H-のEIECと
と1987年 に そ れ
に 用 いた.
清 型 に該 当 しな
2.EIECの
認 め た.そ して,こ の2症 例 の 分 離 株 の
代 表 株 に つ い て抗 原 分 析 を 行 った 結 果,そ
れ らは
用 い た.ま
for Escherichia
and
と米 国CDCよ
り血 清 型029:
同定
生 化 学 的 性 状 試 験 に よ り大 腸 菌 と確 認 さ れ た 菌
株 につ き我 々の 開 発 した 酵 素 抗 体 法(ELISA)2)を
行 い,陽 性 反 応 を 示 した もの をEIECと
H-を
こ のELISA法
これ らの 株 に つ い て 検 討 した 生 化 学 的,血 清 学 的
別 刷 請 求先:(〒169)新
秀
細 胞 侵入
性 プ ラス ミ ド由来 の 外 膜 タ ンパ クを 検 出 す る も の
2に 示 した と お りで あ る.
抗 原 と して は,普 通 寒 天 培 地 で37℃,一
東 京都 立 衛 生 研究 所,微 生物 部
松下
同 定 した.
は 赤 痢 菌 お よ びEIECの
で,そ の手 順 はTable
宿 区百 人 町3-24-1
標準株 で
し て 分 与 さ れ た1885-77株 を 対 照
我 が 国 で は ま だ 分 離 報 告 例 の な い 血 清 型029:
もつ 菌 株 で あ る こ とが 判 明 した.本 報 で は,
Klebsiella,
り分 与 さ れ た 大 腸 菌029の
あ るSu4338/41株
つ いて
菌 学 的 病 原 検 索 の一 環 と して このEIECに
も調 査 を 実 施 して きた が,1985年
(WHO
例2)を
よび
夜培養 し
た 生 菌 を 用 い,外 膜 タ ン パ クに 対 す る特 異 抗 血 清
感 染 症学 雑 誌
第63巻
第3号
229
組 織 侵 入性 大 腸 菌O29:HTable
Table
Suspend
2
Procedure
cultures
of ELISA
in carbonate
NaHCO3, pH9.6)
containing
1
Source
応 を 行 な った.凝 集 した もの につ い て は さ らに試
for EIEC
buffer (0.1M
of strains
Na2CO3-
験 管 内 定 量 凝 集 反 応 に よ りそ の 凝 集 価 を 測 定 し
た.
0.2% NaN3
ME160お
Dispense
0.1ml
of culture
suspension
into
microtiter-
よ びME472株
の 抗 原 分 析:両
菌株 お
よ び1885-77株 の ホ ル マ リン処 理 菌 と100℃2時
plate
間
の 加 熱 死 菌 を 抗 原 と して ウサ ギ に 免 疫 し て抗 血 清
Wash with 0.05% Tween20-PBS
Add
0.1ml
and
incubate
of
specific
at
30•Ž
monkey's
for
(pH7.2)
antibody
for 4times
(1:
を 作 製 した.交 叉 凝 集 反 応 性 の検 討 に は,ホ ル マ
リン処 理 菌 免 疫 血 清 と生 菌,お
1,000)
血 清 と100℃1時
lhour
Wash with 0.05% Tween20-PBS
(pH7.2)
for 3times
Add
anti-monkey
IgG
よび 加 熱 死 菌 免 疫
間 加 熱 菌 の 組 み 合 せ に つ い て,試
験 管 内 定 量 凝 集 反 応 で 行 な った.吸
収 試 験 は,被
検 菌 に 対 す る加 熱 死 菌 血 清 をME160,ME472お
0.1ml
1,000)
and
of peroxidase-labeled
incubate
at
30•Ž
for
(1:
よ び大 腸 菌029の
100℃1時
Wash with 0.05% Tween20-PBS
標 準 株Su4338/41株
それぞ れの
2hours
(pH7.2)
間 の加 熱 菌 を 用 い て 行 な い,吸 収 後 の 抗
体 価 を 試 験 管 内 定 量 凝集 反 応 に よ り測 定 した.
for 3times
5.病 原 性 試 験
Add 0.1ml of 0.03% H2O2-0.05% ABTS
and incubate at room temp. for 30min.
as substrate
モル モ ッ トの 眼 を用 い たSereny試
HeLa細
Add 0.05m1 of 0.32% NaF
Read
た.ま
験4)と,培 養
胞 へ の 侵 入 性 試 験5)を常 法 に よ り行 な っ
た,プ
ラ ス ミ ドDNAはKado
and Liu6)の
方 法 に準 じて 分 離 し,そ の 分 子 量 を 分 子 量 既 知 の
results
プ ラ ス ミ ドとの ア ガ ロ ー ス電 気 泳 動 に お け る移 動
差 に よ り測 定 した7).
は サ ル に赤 痢 菌 を 径 口感 染 させ て 得 た 免 疫 血 清 を
6.薬 剤 感 受 性試 験
用 い た.
日本 化 学 療 法 学 会 標 準 法8)に準 拠 して 寒 天 平 板
3.生 化 学 的 性 状 試 験
糖 分 解 試 験 は 各 糖 を1%に
加 えた ア ン ドレ イ ド
ペ プ トン水 を 用 い14日 間 観 察 した .他 の 各 種 生 化
て,100℃1時
原 性 大 腸 菌 診 断 用 血 清(デ
血 清(01∼0169)を
ンカ
用い
間 の 加 熱 死 菌 に つ き ス ラ イ ド凝 集 反
平 成 元年3月20日
ナ マ イ シ ン(KM),ア
ン
よび ス ル フ ァ メ トキ サ ゾ ー
ル ・ ト リメ トプ リム合 剤(ST)の6種
4.血 清 学 的 性 状 試 験
生 研)と 自家 調 製 の0抗
プ トマ イ シ ン(SM),カ
ピ シ リン(ABPC)お
学 的 性 状 試 験 は 常 法 に よ り実 施 した3).
O血 清 型 別:病
希 釈 法 に よ り実 施 した.供 試 薬 剤 は,ク ロ ラ ム フ ェ
ニ コー ル(CP),テ
トラサ イ ク リン(TC),ス
トレ
成
で あ る.
績
1.生 化 学 的 性 状
ME160とME472の
両 菌 株 と も リジ ン脱 炭 酸 陰
松下
230
性,非 運 動 性 お よ び 乳糖 非 分 解 で あ り,TSI寒
培 地 とLIM培
天
地 を用 いた一 次鑑別試 験 で は赤痢
菌 様 の 性 状 を示 した.し
か し,平 行 して 実 施 した
秀 他
加 熱 菌 を用 い た ス ライ ド凝 集 反 応 に お い て,供 試
した 抗 血 清 の うちSu4338/41株
したO29抗
を 用 い て 自家 調 製
血 清 との み 強 い凝 集 を 示 し,そ の 試 験
他 の 性 状 は,い ず れ も大 腸 菌 の そ れ に完 全 に 一 致
管 内 定 量 凝集 反 応 に お け る凝 集 価 も標 準 株(Su
す る もの で あ った.た だ し,酢 酸 塩
4338/41)の
脱 炭 酸,ブ
オル ニチン
ドウ糖 か らの ガ ス 産 生 性 に お い て 両 菌
株 は 異 な る成 績 を 示 した(Table
3).
次 にME160,ME472お
株 間 の0抗
2.血 清 学 的 性 状
ME160とME472の
そ れ と 同等 で あ った(Table
原 の異 同 につ いて 交叉 吸収 試験 に よ
1時 間 の
ME160お
3
ME160
Biochemical
reaction
and ME472 strains
of E. coli
全 な 交 叉 吸 収 が 成 立 し,
よびME472両
Su4338/41の
Table
よ びSu4338/41の3菌
り検 討 し た 結 果,完
両 菌 株 と も,100℃
4).
菌 株 の0血
そ れ(O29)と
清型 は標 準株
同 じ もの と結 論 され た
(Table 4).
一 方 ,ME160,ME472お
よ び1885-77株 の 易 熱 性
表 在 性 抗 原 につ い て 生 菌 を用 い た 交 叉 定 量 凝 集 反
応 に よ り検 討 した 結 果 で は,ME160と1885-77株
は互 い に 同 じ抗 原 を もつ の に 対 してME472株
Table
4O
ME160,
Heated-cell
antigenic
ME472
relationships
and O29
suspensions
between
の
E. coli
strains
(100•Ž, 1hour)
were
used
as
antigens.
*
Type strain (Su4338/41)
Table
5
between
Relationship
E.
coli
of
ME160,
heat-labile
ME472
antigen
and
1885-77
strains
Live
cell suspensions
were
used
as antigens.
感染症学雑誌
第63巻 第3号
231
組 織侵 入 性 大 腸菌O29:HTable
6
Pathogenicity
ME472
る.こ の種 の 病 原 性試 験 と して は,赤 痢 菌 で 応 用
of E. coli ME160 and
strains
さ れ て い るSereny試
験4)やHeLa細
胞 な ど培 養
細 胞 系 を 用 いた 試 験5)が一 般 的 で あ る.し か し,こ
れ らの試 験 は経 費,設
備,簡 便 性,迅 速 性 な どの
面 で ル ー チ ン検 査 に 応 用 し難 い た め,我 々 は最 近,
病 原 株 で あ る侵 入 性 プ ラ ス ミ ド保 有 株 に特 有 に認
Table
7
Drug sensitivity
め られ る菌 体 外 膜 タ ン パ ク10)を検 出 す るELISA
of E. coli ME160
and ME472 strains
法 を 考 案 し2),本 菌 の 診 断 に応 用 し て き た.そ
て,過 去5年
し
間 に わ た り海 外 旅 行 者 下 痢 症 患 者 を
主 対 象 に このELISA法
を 導 入 して 調 査 を 実 施 し
て きた.そ の 結 果,既 知 血 清 型 に一 致 し な いEIEC
O121:H-11)とShigella dysenteriaeの
新 血 清
型12),ま た 本 報 に 記 載 した 我 が 国 で ま だ 分 離 例 の
抗 原 は そ れ とは 異 な る もの で あ っ た(Table
5).
3.病 原 性
ME160お
Table
な い と思 わ れ るEIEC
O29:
H-が
原 因 と考 え ら
れ る下 痢 症 例 に 遭 遇 した.
よ びME472株
の病 原 性 試 験 の 結 果 を
6に 示 す.Sereny試
験 に お い て は,菌 接 種
24時 間 後 に 典 型 的 な角 結 膜 炎 を起 し,培 養 細 胞 に
本 報 で はEIEC
O29:H-に
つ い て 検 討 した 生
化 学 的,血 清 学 的,病 原 学 的 成 績 に つ い て 述 べ た
が,既 述 の よ うに2例
の海 外 旅 行 者 下 痢 症 患 者 か
お け る細 胞 侵 入 性 も陽 性 で あ っ た.ま た 両 株 と も
ら分 離 し た 菌 株 の0血
140メ ガ ダ ル トン(Md)の
全 に 一 致 す る もの で あ り,ま た そ れ らはELISA
侵 入 性 関 与 プ ラス ミ ド
を 保 有 し て お り,さ
ME472株
ら にME160株
は50Md,5.0Mdお
は4.5Md,
よび4.0Mdの
法,Sereny試
プ ラス
よ びME472両
7に 示
は供 試 い ず れ の薬 剤 に対 して も感
受 性 で あ った が,ME472株
考
れ て い る13).今 回 分 離 したO29:H-の2菌
これ ま で知 られ て い る3)ようにShigella
察
これ ま で の 疫 学 調 査 や 血 清 学 的 研 究 に
よ りあ る特 定 の0血
績 か らみ て 互 い に異 な る こ とが示 唆 され た.
一 方 ,EIECは
生 化 学 的 性 状 だ け で な く血 清 学
的 に も赤 痢 菌 と類 似 して い る点 が 多 い こ とが 知 ら
はCP,SM,ABPCに
対 して 耐 性 で あ った.
清 型 を もつ と され1),そ れ ら
の 同 定 に は 血 清 型 別 が 広 く利 用 され て きた.し
し,近 年EIECの
集反応 を
が,こ れ らの 抗 原 は少 な く と も交 叉 凝 集 反 応 の 成
菌 株 に 対 す る供 試6種
薬 剤 の最 小 発 育 阻 止 濃 度(MIC)をTable
EIECは
侵 入 性 プ ラス ミ ド保 有 性 の 面 か ら病 原 性 を もつ こ
阻害 す るあ る種 の表 在 性 の易 熱性 抗 原 を有 す る
4.薬 剤 感 受 性
した.ME160株
験,培 養 細 胞 で の細 胞 侵 入 性 試 験,
とが 確 認 さ れ た.こ れ らの 分 離 株 は0凝
ミ ドも保 有 して い た.
ME160お
清型 は標 準株 の それ と完
か
病 原 機 序 につ い て も分 子 遺 伝 学
iae 11と 相 互 に 共 通 の0抗
市 販 の診 断 用 血 清(デ
株も
dysenter-
原 を もつ も の で あ り,
ン カ生 研)に
対 して,そ の
両 加 熱 菌 は ス ラ イ ド凝 集 反 応 で 強 い 凝 集 を 示 し
た.ま
た 生 化 学 的 性 状 に お い て は,赤 痢 菌 と同 様
的 レベ ル か らの解 析 が 著 し く進 展 し,本 菌 の 病 原
リジ ン脱 炭 酸 お よ び 運 動 性 が 共 に 陰 性 で あ り,
性 は 血 清 型 に直 接 関 連 す る もの で な く,赤 痢 菌 と
EIECの
同様120∼140Mdの
例 外 を 除 き リジ ン脱 炭 酸 陰 性 で 非 運 動 性 で あ る と
大 型 プ ラ ス ミ ドに 担 な わ れ て
血 清 型 で 病 原 性 を 有 す るの は ご く一 部 の
い る細 胞 侵 入 能 に あ る こ と が 明 白 と な った9).即
す る これ ま で の 報 告14)15)をよ く支 持 す る も の で
ち,EIECの
あ っ た.
確定 診断 には従来 の血清 型別試 験 だ
け で は 不 十 分 で あ り,平 行 して 菌 の細 胞 侵 入 性 の
有 無 に つ い て も調 べ る こ とが 必 要 とな った と言 え
平 成 元年3月20日
EIEC
O29:H-は,こ
れ ま で ブ ラ ジ ル16)と タ
イ17)で下 痢 症 か らの 分 離 報 告 例 が あ る が,我
々が
松下
232
今 回 経 験 し た 事 例 も1例
リ),他 の1例
が 南 米(ブ
ラジル とチ
定 法 再 改 訂 に つ い て. Chemotherapy,
血 清 型 か らみ た 地 理 的 分 布 の 詳 細 に つ
い て は 必 ず し も十 分 な 情 報 が な い が,こ
績 は血 清 型029:H-のEIECが
れ らの 成
南米や タイに比
較 的 高 頻 度 に 分 布 して い る こ とを物 語 る もの と思
わ れ る.た だ 分 離 株 の 表 在 性 抗 原 が 異 な る こ とや,
生 化 学 的 性 状,薬 剤 感 受 性,プ
イル か らみ て,そ
ラス ミ ドプ ロ フ ァ
の起 源 は 互 い に異 な る も の と考
11)
5)
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感 染 モ デ ル の 組 み 方.
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7) Rプ ラス ミ ドの 分子 遺 伝 学 的実 験 法. 中谷 林 太 郎
編 集. 日本 細 菌学 会 教 育 季員 会 編, 菜 根 出版, 東
8)
松下
誠:
秀,
山 田 澄 夫,
血 清 型O121:
津 野 正 朗,
H-を
京, 1983.
日本化 学 療 法 学会: 最 小 発 育阻 止 濃度 (MIC)
測
12)
松下
秀,山
工 藤 泰 雄,
62:
田 澄 夫, 工 藤 泰 雄, 大 橋
la dysenteriaeの
大橋
もつ 組 織 侵 入 性 大 腸 菌
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え られ る.
文
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15)
松下
誠,
秀,
山 田 澄 夫,
渡 辺 治 雄,
津 野 正 朗,
伊 藤 健 一 郎,
性 大 腸 菌 の 同 定-組
工 藤 泰 雄,
中 村 明 子:
大橋
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感染症学雑誌
第63巻 第3号
233
組 織侵 入性 大 腸 菌O29:H-
Enteroinvasive
Escherichia
coli O29:H-Isolated
from Travellers'
Diarrheal
Cases
Shigeru MATSUSHITA, Sumio YAMADA, Yasuo KUDOH & Makoto OHASHI
Department of Microbiology,Tokyo Metropolitan Research Laboratory of Public Health
Escherichia coli strains isolated in Tokyo from stool cultures of two sporadic diarrheal cases of
travellers returning from South America and Thailand in 1985 and in 1987 respectively, were found to
be enteroinvasive strains with rare serotype O29:H-.
These E. coli O29:H-strains
showed typical biochemical reactions of enteroinvasive E. coli in
that they were negative lysine decarboxylase and non-motile. They were positive for Sereny test with
guinea pig eye, cell-invasion test with HeLa cells, 140 megadalton virulence plasmid, and the virulenceplasmid encoded outermembrane protein, indicating that these strains were pathogenic and may cause
a Shigella-like disease.
Although the same serotype strains have been isolated in other countries, this may be the first
report of isolation in Japan.
平成 元 年3月20日