ロシア情勢(2015 年4 月モスクワ事務所)

更新日:2015/6/4
JOGMEC モスクワ事務所
木原 栄治/荒井 智裕
公開可
ロシア情勢(2015 年 4 月モスクワ事務所)
1.当地動向:
(1)ロシア情勢(対外、ウクライナ)
①停戦完全履行は厳しい状況
・ 4 月 12 日、欧州安保協力機構(OSCE)の停戦監視団はウクライナのドネツク州で、日中の約 6 時間
で砲撃とみられる 1166 回の爆発音を確認し、停戦合意違反に当たる戦車や重火器による戦闘を視
認したとした。ウクライナのメディアによると、ドネツク州でウクライナ政府軍と親露派武装勢力との間
で激しい戦闘が発生、双方の兵士が計 3 人死亡し、背景には東部の将来を巡って深まるウクライナ
政府と親露派の対立があるとしている。
・ 4 月 13 日、ウクライナ東部での実効性ある停戦実現を目指し、ウクライナとロシア、ドイツ、フランスの
4 カ国外相がベルリンで会談した。ドイツのシュタインマイヤー外相は会談後、ロシアが支援する親
露派武装勢力とウクライナ軍が 12 日に激しく交戦したことに「深刻な懸念」を表明、停戦の順守を呼
び掛けた。発出された外相声明の要旨は以下のとおり。
 多数の停戦合意違反のため引き続き緊張。特に、シロキネ及びドネツク空港周辺での重火
器使用を含む最近の戦闘につき、深い懸念。
 全ての当事者に対して、戦闘行為の停止、停戦の完全な履行のコミットメント、重火器の撤退、
検証プロセスでの完全な協力等を求める。
 三者コンタクト・グループ(露、宇、OSCE)の枠内での 4 つの作業部会(安全保障、政治プロ
セス、人道問題、経済問題及び復興)が可能な限り早急に立ち上げられるべきこと。
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本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま
れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
<写真出典:ロシア外務省 HP:http://www.mid.ru/foto.nsf/spsminlink >
<地図:JOGMEC 作成 >
・ 4月14日、OSCEは、ドネツク州の港湾都市、マリウポリ近郊で親ロシア派武装勢力とウクライナ軍の
衝突が続いているとして、双方に対し武器の撤去と OSCE による監視活動を認めるよう求めた。
・ 4 月 17 日、ウクライナの内務省部隊に対する訓練を目的に、米軍第 173 空挺旅団の約 300 人が、
駐留先のイタリアからウクライナに到着した。ロシア外務省は同日、「ウクライナ領内からの外国部隊、
兵器、雇い兵の撤退を規定した 2 月の停戦合意に完全に違反する。米国の先進兵器をウクライナに
導入する第一歩と見なすことができる」と述べ、強く反発した。
・ 4 月 30 日、露宇独仏の 4 カ国首脳は電話会談し、13 日に外相会合で合意した三者コンタクト・グル
ープ(露、宇、OSCE)の枠内での 4 つの作業部会設置について、約 1 週間後に最初の会合を開催
する方向で合意した。
・ 停戦完全履行までの道のりは厳しい状況である。
②ウクライナ財政支援
・ 3 月、国際通貨基金(IMF)はウクライナ厳しい財政状態再建のため、総額 175 億 USD の追加金融
支援のうち、約 50 億 USD 融資を直ちに実行。IMF の支援プログラムは、米国や EU からの支援や
ウクライナ債保有者との交渉で見込まれる 150 億 USD の減免を含め、全体で 400 億 USD 規模に
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任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
達する見通しとなった。
・ 4 月 20 日、米国はウクライナに対し、避難所や食料など 1770 万 USD(約 21 億円)規模の追加人道
支援を実施するとした。
・ 4 月 27 日ウクライナのポロシェンコ大統領は欧州連合(EU)のトゥスク議長及びユンケル委員長と首
脳会談を実施。連合協定の実施やウクライナでの政治、経済改革、ウクライナ東部の情勢などにつ
いて議論を交わした。双方は、ロシアによるウクライナ東部への介入に反対の立場では一致したもの
の、ウクライナでの EU の平和維持活動やウクライナの経済改革などの問題で、意見の相違を埋める
ことはできなかった模様。ユンケル委員長は会談後、「連合協定が予定通り、2016 年 1 月 1 日から
発効することを期待する」と述べ、また、「ウクライナの国内情勢を安定させるため、EU は財政支援を
続けたい」とした。ポロシェンコ大統領は 5 年後をめどに EU へ加盟申請したいと表明。
・ 4 月28 日、日米欧各国は、ウクライナの首都キエフで支援国会議を開き、ロシアから軍事、経済両面
で圧力を受けて苦境に陥るウクライナとの連帯を強調した。支援強化と投資を訴えるウクライナのポ
ロシェンコ大統領に対し、欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長は、ウクライナは欧州の国だと言及
し、対外支援を求めるだけでなく自らの改革断行に期待を示した。ドイツが 14 億EUR(約1800 億円)
の融資を表明したほか、米国なども追加の人道支援を約束した。日本は 1 国として最大規模となる
その う ら
18 億 4 千万 USD(約 2200 億円)の拠出を既に表明しており、薗浦外務政務官が出席し、ウクライナ
への貢献をアピール及び支援金の適切な使用を求めた。
・ 現状のウクライナ通貨フリブナの対 USD 相場は 1USD あたり 20 フリブナ台前半で推移、年初から
約 3 割下落している。IMF 主導の改革で公共料金を引き上げたこともあり、3 月のインフレは年率
40%を超えている。
③追加経済制裁
・ 4 月 15 日、ドイツ北部リューベックでの先進 7 カ国(G7)外相会合が行われ、日本から岸田外相が出
席。会合では、ウクライナ情勢について、ミンスク合意の履行の重要性と、国際法とウクライナの主権、
領土の一体性、独立を尊重した外交的解決によってのみ紛争が解決されるとの認識で一致した。ま
た、ウクライナの国内改革を後押ししていくことでも一致した。採択した議長声明で、ロシアに課して
いる制裁と、今年2 月のウクライナ和平合意の完全履行及び同国の主権尊重は明確に関連されるべ
きだとし、制裁解除の条件を示唆した。
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任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
<写真出典:日本外務省 HP:https://www.flickr.com/photos/mofaj/17203043906/in/set-72157649774206674 >
・ 4 月 17 日、米国のオバマ大統領は、訪米中のイタリアのレンツィ首相と会談。会談でオバマ大統領
は対露制裁に関し、停戦合意が履行されるまでEUが制裁を維持すべきだと伝えたとされている。15
日の先進 7 カ国(G7)外相会合における米欧対露連携の重要性を強調した形。会談後の記者会見
でオバマ大統領は、6 月に予定される EU 首脳会議に触れ、停戦合意が履行されていない状況で制
裁圧力を低下させることはロシアに誤ったメッセージを送ることになると指摘し、「イタリアだけでなく
全ての欧州諸国が、このことを認識するよう期待している」と述べた。
(2)ロシア情勢(対外、ウクライナ情勢・日本以外)
①ASEAN 歴訪
・ メドヴェージェフ首相率いるロシア代表団が、4 月 5~7 日にベトナムを、8~9 日にタイを訪問。
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<写真出典:ロシア政府 HP:http://government.ru/news/17555/ >
・ 4 月 6 日、メドヴェージェフ首相はベトナムのズン首相と会談。双方は、自由貿易圏創設に関する原
則的な問題(FTA)について協議した。また原子力発電所の建設、自動車の組み立て、ルーブル通
貨での決済などについても話し合われた。特に、FTA については、6月までに締結することで合意し
た。エネルギー分野の協議では、GazpromNeft が PETROVIETNAMと、スングアット製油所の運営
会社であるビンソン製油・石油化学の株式 49%取得の条件に関する合意文書を締結。スングアット
製油所は現在、原料となる原油を Zarubezhneft と PETROVIETNAM 合弁会社であるベトソフペトロ
から 85%、中東諸国から 15%調達しており、年間生産能力は 650 万 t(約 5 千万 BBL)。今後は改
修工事を行って年間生産能力を 850 万 t(約 6 千万 BBL)に拡張し、ユーロ 5 基準(欧州の排ガス規
制)適合のガソリンを生産する。
<写真出典:GazpromNeft HP、スクアット製油所:http://www.gazprom-neft.ru/press-center/news/1095866/>
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<写真出典:ロシア政府 HP:http://government.ru/news/17557/ >
・ 首脳会談後、両首相立会いの下で、以下の文書が署名された。
 優先投資プロジェクトに関するロシアとベトナム政府間共同声明。
 2015 年の優先投資プロジェクトに関するロシア・ベトナムハイレベル作業部会の行動計画。
 保健・福祉に関するベトナム社会主義共和国を支援するために、ロシア連邦消費者の権利
擁護・福祉分野監督庁とベトナム保健省の協力のプログラムの実施に関する 2015 年から
2017 年の行動計画。
 BinhSon Refining と Petrochemicals の授権資本の 49%を獲得するための基本条件覚書。
 GazpromNeft と PETROVIETNAM 間覚書。
 2016 年~2020 年のロシア及びベトナム友好協会との協力に関する協定書。
 INTER RAO Export と North Power Service 間のベトナム領土内の発電所近代化に向けた
協力の覚書。
 ロシア鉄道とベトナム鉄道間の協力協定書。
・ メドヴェージェフ首相は、4 月 8 日タイを訪問し、タイのジャンオーチャー首相と会談。FTA 関係や経
済交流等議論が交わされた。特に、ロシア側よりのタイ産天然ゴムを買い付けて自国の自動車部品
産業を発展させることの提案は、原油価格低下の影響で天然ゴムの相場も下落し、天然ゴム在庫の
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滞留が問題になっていたところのタイ側から感謝の意が示された。
・ ロシア国内報道等でメドヴェージェフ首相の東南アジア訪問は、時局に即した意義あるものであった
と称賛されている。
<写真出典:ロシア政府 HP:http://government.ru/news/17584/ >
②中国外交部長訪露
・ 4 月 7 日、プーチン大統領は、中国の王毅外交部長とクレムリンで会談。会談では、プーチン大統領
は、旧ソ連の対独戦勝 70 年記念行事に合わせて 5 月 8 日から訪露する習近平国家主席を「親友」
と呼び、国賓扱いで歓迎する考えを表明した。
<写真出典:クレムリン HP:http://kremlin.ru/events/president/news/49215/photos >
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③ギリシャ首相との会談
・ 4 月 8 日、プーチン大統領はギリシャのチプラス首相と会談。会談では、Turkish Stream P/L 敷設事
業へのギリシャの参加の可能性や農産品貿易協力について協議。経済制裁等を受ける中での事態
改善に向け 2015~16 年における共同行動計画を採択した。
<写真出典:クレムリン HP:http://kremlin.ru/events/president/news/49217 >
④パレスチナ大統領との会談
・
4 月 13 日、プーチン大統領はパレスチ
ナ自治政府のアッバス大統領と会談。会談では、
両国の各分野における協力、パレスチナ・イスラ
エル和平交渉のプロセス、シリアとイラク情勢等を
意見交換。特に、パレスチナ側より、パレスチナと
イスラエルが 1967 年に画定した国境線に基づき、
会談と占領終了期限の枠組みを定めた決議草案
について、ロシアの支持期待が表明された。
<写真出典:クレムリン HP:http://kremlin.ru/events/president/news/49247 >
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⑤アルゼンチン大統領との会談
・ 4 月 23 日、プーチン大統領はアルゼンチンのフェルナンデス大統領と会談。経済、原子力発電や
軍事技術などでの協力促進に向けた 20 の文書を取り交わした。ロシア側としては反米左派のフェル
ナンデス政権との協力を深め、ウクライナ問題で対立する米国をけん制する狙いがある模様。ロシア
メディアによると両首脳は親露派武装勢力とウクライナ政府の対立が続く情勢についても協議。南米
の関税同盟、メルコスル(南米南部共同市場)とロシア主導の自由貿易圏「ユーラシア経済同盟」との
協力に関しても話し合った。
・ 両国の外相も同日、関係強化のための各分野での具体策を盛り込んだ行動計画に調印。ロシアが
強みとするエネルギー分野では、両国企業がアルゼンチンでの原発建設やシェールガス開発にお
ける協力を進めるための覚書も取り交わした。署名がなされた文書は以下のとおり。
 アルゼンチンの多目的プロジェクト実施協定
 Gazprom とアルゼンチン国営石油・天然ガス会社間の協力覚書
 2015~2016 年の農業、漁業と養殖業の分野でのロシア・アルゼンチン協力プログラム協定
 アルゼンチン領土での原子力発電所の建設に協力に関する覚書
 2016~2018 年におけるロシア連邦文化省、アルゼンチン文化省との間の文化・芸術分野協
力のプログラム
 ロシア経済発展省とアルゼンチン工業省との協力覚書
 貿易経済·科学·技術協力(2015~2016)に関する政府間委員会の枠組み行動計画
 ロシアとアルゼンチン間の戦略的パートナーシップ行動計画
 ロシア国防省とアルゼンチン国防省との協力協定
 ロシアとアルゼンチン間の包括的な戦略的パートナーシップの確立に関する共同声明
 政府間における軍事技術協力の分野で機密情報の相互保護協定
 環境保護分野での両国政府間協定協力に関する覚書
 両国外務省間の公文書閲覧覚書
 両国外務省間の外相会談等計画
 両国通信省間の公共投資や通信の分野での協力覚書
 両国政府間の 2015~2016 年における観光分野共同行動プログラム
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 両国の宇宙開発に関する共同声明
 アルゼンチン領土での原子力発電所の建設予備合意
 ロシア VEB とアルゼンチン外国貿易銀行間覚書
 ロシア VEB とアルゼンチン中央銀行間覚書
<写真出典:クレムリン HP:http://kremlin.ru/events/president/news/49322/photos >
⑥アルメニア訪問
・4 月 24 日、プーチン大統領は、オスマ
ン帝国軍によるアルメニア人約 150 万人
の虐殺の犠牲者を追悼する式典出席に
為、アルメニアを訪問。プーチン大統領
は、旧ソ連諸国の一つで現在最も近しい
同盟国でもあるアルメニアの側にロシア
は立っていると述べ、またロシアがジェノ
サイド条約(Genocide Convention)の締
約国であることにも触れ「大量殺りくを正
当化することはできないし、正当化する理由もない」と語った。
<写真出典:クレムリン HP:http://kremlin.ru/events/president/news/49332 >
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・さらにプーチン氏はこ
の式典の機会を利用し
てフランスのオランド大
統領と会談。会談では、
戦闘が散発するウクラ
イナ東部情勢が焦点と
なり、露仏を含む 4 カ国
首脳が 2 月にまとめた
停戦合意の履行に向け、
ポロシェンコ政権と親ロ
シア派の作業グループ
設置が必要との立場で一致。なお、「ミストラル級」ヘリ空母2隻の供給契約については、統一見解に
達しなかった模様。
<写真出典:クレムリン HP:http://kremlin.ru/events/president/news/49337/photos >
(3)ロシア情勢(国内)
①RUB 相場
・ ロシア連邦統計庁によると、電化製品・家電の価格は年初かから 10%値上がりしていたが、3 月には
RUB 相場の持ち直しにより前月比 0.9%増に留まり、テレビ・ラジオ機器に至っては 0.6%減となった。
市場関係者によると、輸入品のほか、輸入部品が多く使われている国産品も同様に値下がりしている。
ロシア消費者同盟によれば、1 ヶ月後には値下がりの傾向がさらに広まって消費意欲が高まる可能
性があるとしている。しかし、消費動向専門家によれば、消費者は昨年末の RUB 暴落時に買占めに
走った予備の冷蔵庫やテレビやPCを持て余しており、インターネットでは損を出してでもこれを売ろ
うとする掲示が溢れている状況なので、消費が大きく回復する見込みはないとしている。こうした中、
経済発展省は今秋から導入予定だったエコ納付金の徴収の実施を延期することを検討している。
・ 現状の RUB 相場について専門家によると、3 月末頃には相場は適正値だったが、既に投機マネー
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により過大評価の水準まで上昇しており、やがては 1USD50~55RUB で落ち着くと予測している。
②ロシア財政
・ ロシアでは今年第 1 四半期の歳出が 4 兆 2500 億 RUB と歳入を 8123 億 RUB 上回り、予算が対
GDP比4.9%の赤字となった。なお、昨年同期は歳入が歳出を1757億RUB上回り対GDP比1.1%
の黒字であった。専門家によれば、財政赤字の主因は国防部門への多額の支出で、既に今年度分
の 4 割を 1~2 月で費消。対外関係の緊張の高まりで、国防費の伸び率は年換算で昨年の 18%から
25%に拡大しており、国防費が予算編成のリスク要因の 1 つとの指摘もある。連邦予算案では対
GDP 比 3.7%の赤字を想定しているが、油価が 1BBL あたり 70USD まで行けば赤字幅は 1%まで
縮小し、75USD になれば均衡予算になるとの試算もある。
③政府高官収入
・ 4 月16 日、プーチン大統領やメドヴェージェフ首相等の政府高官の昨年の収入が発表された。プー
チン大統領の昨年の収入は前年(367 万 RUB)の約 2 倍の 765 万 4042RUB。収入増は昨年上半
期に決定された給与増によるもので、国家機関の多くの職員も同様だという。メドヴェージェフ首相の
昨年度の年収はプーチン氏を上回る 805 万 RUB でこちらも前年(昨年 430 万 RUB)の約 2 倍。同
じく給与増によるもので、プーチン氏を上回っているのは首相報奨金によるという。
④国民対話
・ 4 月 16 日、プーチン大統領が毎年恒例のテレビ対話番組に出演し、4 時間弱にわたって経済や社
会の問題について国民の質問に答えて語った。プーチン大統領は、制裁は直近では解除されない
との見通しを示す一方で、制裁によりロシアがより一貫した経済政策を取れるようになったと指摘、不
満のある者は政府が支援するとした。政府の経済危機対策に関しては、昨年末から然るべき措置を
講じ始め、既にインフレ抑制や RUB 相場の安定化で成果が表れてきており、対外債務の支払いに
伴う苦境のピークは脱したと専門家はみているとした。
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・ その他、中小企業の支援や借入金利抑制の必要性、対ウクライナ関係、ネムツォフ氏の暗殺事件、
自動車強制保険の料率引き上げ、必須医薬品の確保、年金受給年齢の引き上げの是非などについ
て言及。プーチン大統領は、適切な経済政策を実現するには頭脳だけでなく「心」を持つ必要がある
とし、一般市民の生活を肌で感じられないようなら、政府は国民の信頼を失って 90 年代のような社会
に逆戻りし、損失を穴埋めするのに現在よりもはるかに多額の資金が必要になると指摘した。今回の
テレビ対話は、大きなサプライズもなく、淡々としたものであった。
<写真出典:クレムリン HP:http://kremlin.ru/events/president/news/49261/photos >
(4)ロシア情勢(石油ガス産業)
①4 月原油・石油製品輸出税、生産等統計
・ 2015 年 4 月、原油輸出税は 17.9USD/BBL に引き上げ、東シベリア及びカスピ海北部の油ガス田
等に対しては、引き続きゼロ課税となった。
・ 4 月の石油製品輸出税は 62.7USD/t、ガソリンについては 102USD/t に設定された。
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<参考:原油及び石油製品輸出税の推移>
輸出税
原油(USD/t)
原油(USD/BBL)
減税特典原油(USD/t)
減税特典原油(USD/BBL)
石油製品(USD/t)
内、ガソリン(USD/t)
2012 年 2013 年
平均
平均
404.3
392.2
55.4
53.7
199.2
190.1
27.3
26.0
266.8
258.8
363.8
353.0
2014 年
平均
366.1
50.2
2015 年
第1四半期
129.6
17.8
2015 年
4月
130.8
17.9
174.9
24.0
242.0
330.0
4.0
0.5
62.1
78.2
0
0
62.7
102
②5 月原油・石油製品輸出税
・ 2015 年 5 月、原油輸出税は 16.0USD/BBL に引き下げ、東シベリア及びカスピ海北部の油ガス田
等に対しては、引き続きゼロ課税となった。
・ 5 月の石油製品輸出税は 55.9USD/t、ガソリンについては 90.8USD/t に設定された。
<参考:原油及び石油製品輸出税の推移>
輸出税
原油(USD/t)
原油(USD/BBL)
減税特典原油(USD/t)
減税特典原油(USD/BBL)
石油製品(USD/t)
内、ガソリン(USD/t)
2012 年 2013 年
平均
平均
404.3
392.2
55.4
53.7
199.2
190.1
27.3
26.0
266.8
258.8
363.8
353.0
2014 年 2015 年
平均
4月
366.1
130.8
50.2
17.9
174.9
24.0
242.0
330.0
0
0
62.7
102
2015 年
5月
116.5
16.0
0
0
55.9
90.8
③3 月及び 4 月原油生産・輸出統計(エネルギー省 HP 掲載データ)
・ 3 月、原油、ガス・コンデンセート生産量は 4521.1 万 t(約 3.3 億 BBL)で前年同時期比 0.8%増。
・ 3 月、原油輸出量は 2052.9 万 t(約 1.5 億 BBL)で前年同時期比、6.9%増。
・ 4 月、原油、ガス・コンデンセート生産量は 4383 万 t(約 3.2 億 BBL)で前年同時期比 1%増。
・ 4 月、原油輸出量は 2021 万 t(約 1.5 億 BBL)で前年同時期比、5.8%増。
④3 月及び 4 月天然ガス生産・輸出統計(エネルギー省 HP 掲載データ、Interfax5 月 5 日付報道)
・ 3 月、天然ガス生産量は 553.4 億㎥(約 1.9TCF)で、前年同時期比 5.8%減。
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れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの
投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
・ 3 月、天然ガス輸出量は 169 億㎥(約 0.6TCF)で、前年同時期比 17.9%減。
・ 4 月、天然ガス生産量は 526 億㎥(約 1.9TCF)。
⑤ロシア・石油ガス産業見通し
・ オックスフォード大学のエネルギー問題研究所のアナリスト James Henderson 氏は、「油価低迷に
対して技術と優遇税制を有効に使えば、ロシアの石油生産量は、少なくともあと 2 年間~数年間は現
水準で維持され、場合によっては、約 10 年後に増える可能性がある」と述べた。この根拠となってい
るのは、コスト削減のため操業開始時期が 2 年間延期になり、まだ生産を開始していない鉱床の存
在である。技術と優遇税制の効果により、成熟鉱床での生産量の減少率は、当初の見通しだった年
間 10%から 2%まで下がった。もし新規鉱床が計画通りに操業開始となれば、2020 年までに石油の
合計生産量は日量 1100 万 BBL になる可能性がある。エネルギー省によると、2015 年 3 月の石油
生産量は日量 1071 万 BBL で、ソ連崩壊後では最大となった 2015 年 1 月と同じ数値であった。
⑥ウクライナへのガス供給
・ 4 月 2 日、ウクライナの Naftogaz と Gazprom は、今後 4 月~6 月の 3 か月間のガス供給に関し、
暫定合意。4月の購入量は10億㎥。夏の間に冬季用のために110~120億㎥を備蓄する必要あり。
価格は 1000 ㎥あたり 247.18USD。Take or pay 条項は残るが、未達分に関して罰金はない。
・ 4 月 20 日、Naftogaz はロシアからの第 2 四半期分のガス輸入を行う方針で、Gazprom に 4 月 2
日に 2000 万 USD、9 日に 2000 万 USD、17 日に 3000 万 USD と合計 7000 万 USD を支払った
とした。ガス価格は暫定合意と同様の金額で、第 1 四半期の 1000 ㎥あたり 329USD から 25%減額
の 1000 ㎥あたり 247.18USD である。
⑦ロシアへの欧米企業姿勢
・ 4 月 20 日~24 日の日程で、毎年恒例の CERA Week が開催され、欧米石油会社首脳が出席。そ
の中で、ロシアとの事業の現状について発言があった。
・ ExxonMobil のティラソン CEO は、北極資源の多くは陸上での技術で生産できると述べた。米エネ
ルギー省のスタディを引用して、北極資源が国家安全保障に大きく寄与するとした。また、政府が自
由な石油ガス貿易を妨げる障壁を取り除けば、産業界の投資が増えると指摘した。
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投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責
任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。
・ BP のダドリーCEO は、ロシアは難しさはあるが、ビジネスをするには良い所で、BP は制裁を破っ
てはおらず、ロシアでの追加投資を排除しないと述べた。但し、北極海、非在来型からは撤退し、既
存油田に注力する由。
・ Statoil のドットソン副社長は、Rosneft と Statoil は JV を設立し、2016 年にオホーツク海で掘削を開
始する計画だと述べた。ノルウェー政府は 2015 年 3 月、Statoil が Rosneft との JV に参加すること
を承認した。両社は現在、バレンツ海とオホーツク海のロシア領大陸棚で 4 つの共同事業を実施し
ており、2016~2021 年に 6 坑井の探鉱井を掘削する計画がある。
(5)極東・サハリン
①東シベリア関連
・ イルクーツク石油会社(INK)の 2015 年第 1 四半期の石油生産量は、前年同期比 45%増の 125 万
t(約913万BBL)だった。生産井の数が増えたことと、回収技術を向上させたことが背景にある。今後
も石油回収率の向上による増産を目指す。同社は、2015 年は 600 万 t(約 4380 万 BBL)の石油生
産を見込んでいる。同社は、過去 4 年間で生産量を 3.4 倍に増やしており、2014 年の石油・コンデ
ンセートの生産量は 410 万t(約2993 万 BBL)だった。また、同社の同期間中のイルクーツク州政府
および政府予算への納税額は、3.2 倍に増えた。2014 年に政府に支払った税額は、480 億RUB(イ
ルクーツク州政府への納税額は 49 億 RUB)。
・ GazpromNeft は 現在、 東シ ベ リ ア の Chonsky 事業に 含ま れ る 3 鉱床( Ignyalinskoye 、
Vakunayskoye 、 お よ び Tympuchikanskoye ) の 各鉱床で 、 探鉱井の 掘削を 行っ て い る 。
Tympuchikanskoye 鉱床では、他の坑井でも、1 ヵ月間にわたる掘削を開始する予定。2013 年春に
同鉱床でパイロット開発を開始した。同社は、2015 年の主要な目標の一つとして、2016 年に開始す
る予定のテスト生産に向け、最適な鉱区の準備をすることを掲げている。Chonsky 事業の 2014 年の
埋蔵量は、前年比 50%増となり、石油:2 億 1000 万 t(約 14 億 BBL)、ガス:2700 億㎥(約 20TCF)
となった。他の 2 鉱床の開発検討は、韓国企業等によってなされているが、探鉱は別々に行うという
決定がなされている。
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<地図:JOGMEC 作成 >
②サハリン関連
・ Rosneft は、サハリン 1 事業で開発中の 3 つの海洋鉱床のうちのひとつである Chayvo 鉱床で、世
界最長の坑井の掘削を成功裡に完了した。掘削は、Orlan 掘削プラットフォームから Chayvo 鉱床の
南東方向に向かって行われた。坑井の掘削総延長は、世界最大の 1 万 3500m、水平区間は 1 万
2033mに達した。サハリン1事業では、2003年の掘削開始時から、いくつかの大偏距坑井での掘削
において、世界記録の樹立を目標としてきた。今回の成功に
より、世界最長の坑井10 井のうちの 9 井がサハリン 1 事業で
成し遂げられたことになる。サハリン 1 事業の大偏距掘削は、
世界最速の掘削技術のうちの一つである ExxonMobil の迅
速掘削(Fast Drill)工法の貢献によるもの。Fast Drill 工法に
より、掘削工程における問題把握と、最適な掘削と坑井仕上
げの方法の開発が可能となった。
<写真出典:Rosneft HP、Orlan 掘削プラットフォーム:http://www.rosneft.com/news/today/14042015.html >
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③「シベリアの力」ガス P/L
・ 4 月 2 日、Gazprom は「シベリアの力」PL の完成時期を 2022 年で、これまでの 2019 年から 3 年後
ろ倒しとなるとした。Gazprom は以前、「シベリアの力」は数千㎞西方の P/L(Altai)より遅れると述べ
たことがある。Chayandaガス田は2018年に操業を開始し、2019年までに年50億㎥(約177BCM)、
2020 年に 104 億㎥(約 367BCM)、2024 年までに 250 億㎥(約 883BCM)とする計画。対中国供
給は 2019 年から 50 億㎥(約 177BCM)で開始し、加圧ステーションなどを徐々に整備して、2022
年までに全体的な設備建設を完了する計画。
・ 4 月 24 日、「シベリアの力」PL の東ルートに関するロシア政府と中国政府の批准についての連邦法
がロシア下院(衆議院)を通過。5 月 2 日、プーチン大統領はこの連邦法に署名を実施した。
・ なお、5 月 9 日の対独戦勝 70 周年記念式典に中国の習近平国家主席の訪露が予定されており、そ
の際に西ルートについて協定が署名される模様。
<図出典:Gazprom HP:http://www.gazprom.com/f/posts/74/805991/2014-06-26-map-sila-sib-en.jpg >
(6)新規 LNG/P/L
①ヤマル LNG
・ 4 月22 日、NOVATEK は、ヤマル LNG 事業において、2015 年7 月に中国のパートナー複数と 120
億 USD の資金調達に関わる協定に署名する可能性があるとした。中国輸出入銀行、中国開発銀行、
その他の中国の金融機関から資金調達を行う見込みである。
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②TANAP
・ 4月9日、トルコのユルドゥズ・エネルギー相は、TANAP(Trans Anatolia Pipeline)へのイランの参加
について、経済性があるのならその意思がある旨表明した。4 月4 日には、バクーで Socar のアブド
ライェヴ総裁が、自身が保有する TANAP の 70%の株式について、制裁解除となればイランに売却
する可能性について言及した。Socar は 51%を依然保有する意思があり、BP に 12%売却する手続
きに入っていることから、イランには 7%を売却可能ということになる(他に Botas が 30%)。
③朝鮮半島 P/L
・ 北朝鮮の金正恩第一書記は 5 月 9 日にモスクワで開催される対独戦勝 70 周年記念式典に出席し、
プーチン大統領と会談し、Sakhalin から Vladivostok, Khasan 経由北朝鮮の羅津を結ぶ天然P/L 建
設で合意する見通しとなっていた。しかしながら、金氏は欠席となり、本合意がなされるか微妙な情
勢である。本件は今年の 2月、李龍男(Ri Yong nam)対外経済相がウラジオストクとモスクワを訪問、
4 月には玄栄哲人民武力相がモスクワを訪問し、内容を詰めていたとされている。
④Turkish Stream
・ 4月10日、ギリシャのラファザニス・エネルギー相は、「ロシアとギリシャは近い将来、Turkish Stream
ガス P/L をギリシャまで延長することに関する覚書を締結する方針である。ギリシャ国内部分は、トル
コ・ギリシャ国境からギリシャ国内を通り、マケドニアとの国境まで P/L を敷設する予定だ。敷設工事
は、欧州で最大の事業の一つとなる」と述べた。欧州諸国は、Turkish Stream ガス P/L のガスをトル
コ・ギリシャ国境付近で受け取ることになり、その中でギリシャ、セルビア、マケドニア、およびハンガ
リーが P/L の自国への延長に関心を示している。同相は、「P/L の建設費用は、ロシアとギリシャの民
間会社、欧州の企業、およびギリシャ政府が負担することになる。ギリシャは、EUに対し、ロシア制裁
の中止を呼びかけている」と述べた。
・ 4 月 21 日、Gazprom のミレル社長はアテネを訪問し、チプラス首相と会談。Turkish Stream 構想で
実務者協議を始めることで一致した。年間のガス輸送量の見通しを 470 億㎥(約 1.6TCF)とし、今後
数ヵ月の間にロードマップを作成する。ギリシャ国内の P/L 建設に必要な資金は 20 億 EUR。
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<写真出典:Gazprom HP:http://www.gazprom.com/press/news/2015/april/article224429/ >
(6)ロシア石油ガス会社
Gazprom
・ Gazprom のミレル社長は、Gazprom の 2015 年の投資計画に投じる金額を当初予定の 8400 億
RUB から 1 兆RUB 超に増やす方針を示した。2014 年に承認した Gazprom の投資計画により、「シ
ベリアの力」ガス P/L 事業は予定通りに実施されていて、2015 年の投資計画は、少なくとも 40 億
USD ほど上方修正し、投資額のほとんどが「東方ガスプログラム」に充てられるとした 。
・ EU の競争法当局である欧州委員会は、Gazprom を競争法違反の疑いで 4 月 22 日にも正式に提
訴した。Gazprom に対しては、東欧と南欧の一部の国で天然ガス供給の支配的な地位を乱用して
いる疑いがあるとして、2012 年に正式な調査が始まっていた。欧州委員会のベスタエアー委員(競
争政策担当)は今年 2 月、近いうちに Gazprom を正式に提訴する用意があるとしていた。
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Rosneft
・ 4 月 7 日、Rosneft が、サハリンの LNG 生産施設の開発を少なくとも2年遅延せざるを得ない状況に
あることが関係者の話で出された。価格下落に加え、ウクライナ問題をめぐる西側諸国による対露経
済制裁で、資金調達が困難なことが背景にある。Rosneft は 2013 年、2018 年からサハリンの LNG
施設で年間 500 万 t(約 7BCM)の生産開始を目指すことで、ExxonMobil と合意していた。Rosneft
の広報担当はプロジェクトの日程に変更はないと述べた。ExxonMobil の広報担当はコメントを控え
た。なお、サハリン事業関係者の話によると、Rosneft 広報と同様な見解で、開発は一切遅延すると
は考えていないとのこと。
・4 月 17 日、Rosneft セーチン社長
は、中国のCNPCを訪問して周董事
長と石油貿易拡大について議論。た
だし、本件は CNPC の HP に公表さ
れているが、Rosneft の HP には公
表がない。なお、5 月 4 日付で
CNPC の周董事長は勇退となり、後
任には、CNOOC の董事長が就任し
た。
<写真出典:CNPC HP:http://www.cnpc.com.cn/cnpc/tpxw/201504/e30ce36efae54e5cb6714a111115255e.shtml >
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2.その他:
対独戦勝 70 年記念式典
・5 月 9 日、第二次世界大戦での対独戦勝 70 周年を祝うロ
シアの記念式典が赤の広場で開かれた。昨年からのウクライ
ナ危機で欧米と対立する状況を受け、米国のオバマ米大統
領や日本の安倍首相、欧州主要国首脳らは軒並み欠席した。
外国首脳の出席は、中国の習近平国家主席や旧ソ連諸国
首脳ら友好関係にある20カ国にとどまった。国連からは、潘
基文事務総長が出席した。
・ この式典挙行に際して、モスクワの銀座通りであるトヴェルスカヤ通り周辺を封鎖して、平日の深夜に
2 回、直前の日中 2 回と念入りな練習が行われたが、渋滞がひどいモスクワがさらにひどくなり、事故
等も多発したとのこと。当日は、普段の当地人から想像できない(当地人の大雑把さ)緻密な編隊飛
行や新規武器の行進等一層の愛国心の鼓舞がなされたものと思料。
<上記写真出典すべて:クレムリン HP:http://kremlin.ru/events/president/news >
以
上
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