ペーター・レーゼル 公開レッスン A・D 部門

ペーター・レーゼル 公開レッスン
(ドレスデン音楽大学教授)
A・D 部門
(B・C 部門は次号掲載)
公開レッスン
通訳:岡本和子
注:文中の□内の数字は小節番号
< A 部門> シューベルト:即興曲 変イ長調 D.899 Op.90⊖4
作曲家がイメージした音楽に、少しでも近づけるよう楽譜を注意深く見ていく必要があると思
います。
この曲も左手に何度も出てくる
同じように理解して良いでしょう。
の4分音符のスタッカートが所々
のようになっていますが、
₁は1拍目にアクセントをつけすぎず、
2拍目をためらいがちに入り浮かび上がらせるよう強調して、
和音を響かせましょう。₂の休符( )は少し長めに。₁ ₂はその後に続く₃~₆の前奏のよう
)と書いてありますが 2 拍目を強調しましょう。₁~₆ 6 小節の大
に捉えてください。₅は(
きなフレーズで弾いてください。
14
大きなフレーズで
3
□
1
□
少し長めに
5
□
〈特集〉第 28 回全国研究大会
からは 2 小節ごとのフレーズです。mf・mf(前より少し弱めに)・f と弾
いてください。
23
□
mf(前より少し弱め)
mf
公開レッスン受講生
A 部 門
f
わたなべ あ や の
渡辺彩乃
pp から徐々に cresc. して、2 拍目から先へ進むように弾きます。
47
□
は右手にしかアクセントが書かれていませんが、左手も大切に弾いてください。
68
□
70
□
大切に弾く。
15
[Trio]1830 年頃のトリオは前後のパートより、ゆっくりと弾く習慣があったので、速くならないよう
に弾いてください。
和音とのバランスを取ってください。115の cresc.は急がないで、
107の旋律は mf ぐらいで浮かび上がらせて、
逆にテンポを落とすぐらいの感じの方がよいと思います。
107
□
115
□
先を予測させないように、
ミステリアスな感じが欲しいと思います。
161からの pp の4小節は dim.ですが、
161
□
258 からの 4 小節は、cresc. をせずに p のままで。そして 262 の f から cresc. をしながら最後の和音に向かっ
てください。
258
□
262
□
16
〈特集〉第 28 回全国研究大会
< D 部門> ブラームス:ソナタ 第 3 番 ヘ短調 Op.5 第 1 楽章
1の冒頭からエネルギッシュに。7の pp は左右のバランスに気をつけて、「あきらめ」
「悲しみ」のよう
な表現で弾きましょう。
そして、7~の 5 小節は一息の長いフレーズで。の D 音のアクセントは大切です。内声の和音を聴
きながら響かせてください。
1
□
12
□
長いフレーズで
7
□
6
□
11
□
大切に
ritenuto(リテヌート)で終わる感じで。の rit. は少し前から始めると自然な流れになります。オーケ
ストラをイメージして指揮をしてみると、より理解できるでしょう。
リテヌートで
29
□
37
□
17
ひとつの提案ですが、~の右手アルペジオは、上から弾くときれいに聴こえます。からの左手
アルペジオは、最後の音が右手に合うように弾きます。の指使いは、As 音、Es 音ともに 1 の指を使
うとよいでしょう。
43
□
45
□
51
□
55
□
1
1
のソステヌートは、すぐに遅くしすぎないで、前後の流れに気をつけてください。
66
□
に sempre Ped. とあるので、Bass 音を長めにキープしてください。の dim. は、あまりかけすぎない
)なので、C 音が 1 の指の方がよいと思います。
ようにしてください。102 の指使いは(
91
□
100
□
102
□
2
18
4 3
2 1
〈特集〉第 28 回全国研究大会
117 ff はエネルギッシュに、細かい音は短すぎず、聴こえるように弾いてください。
123 ペダルは 3 拍目に休符( )があるので上げてください。左手のリズムを正確にして。テーマの
(
)の がない感じです。
135 からの左手の和音は 1 と 2 の指使いで弾くと安定します。
153 ~ 156 の左手は同じ強さで
よいでしょう。
と
を弾くと、 の方が強く聴こえるので、 の方を少し強調すると
19
177 左手の指使いも同様に F 音、C 音ともに 1 の指がよいでしょう。
177
□
公開レッスン受講生
D 部 門
1
1
188 の p から 190 の pp は「どこへ行くのかわからない」という、謎めいた
雰囲気にしてください。200 の F–Dur のゴールにやっと到着する感じで。
188
□
あ
べ
ひ で か
阿部秀佳
190
□
200
□
206 の 2 拍目の p は短すぎないように、聴こえるように弾いてください。その前にある長い音に対して
の答えです。
206
□
ひとつの提案として 219 からの左手のアルペジオは F 音と C 音ともに 1 の指を使うと力強い音が出ます。
219
□
1
1
(編 広報部 臼井隆子)
★ B、C 部門は、次号の会報に掲載いたします。
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