鳥害防止器(針型)仕様書 1 使用目的 鳥害防止器(針型)(以下、「防止器」という。)は、架空配電線路に取り付け、鳥類が電 線に留まることを抑制することにより糞害、騒音などを防止する。 2 種類 種類は、表1の2種類とする。 表 取付箇所 電線(本線) 3 種 針 類 1 口許径(内径) 長 さ 適 合 電 線 サ イ ズ 25 φ25 4m 4 mm,5 mm,60 mm 2 35 φ35 4m 125 mm 2 型 材料、構造および加工方法 3.1 構 造 11 付図及び次の各項のとおりとする。 (1) 鳥類が電線に留まることを抑制する構造とする。 (2) 電線管部の厚さは、2mm 以上とする。 (3) 使用中の移動を防止する機能を有し、回転させた場合においても離脱しない構造とす る。ただし、ポリ管固定具等により移動防止措置が図れる場合は、防止器に移動防止 機能を有していなくてもよいものとする。 (4) 完成品は、厚さ及び品質が均一で、ひび、きず、われ等の欠点がないものとする。 (5) 柱上において容易に電線にはめ込み及び抜取りができるものとする。 (6) 防止器相互を容易に連結でき、かつ、振動、衝撃等により連結が容易に離脱しないも のとする。 (7) 電線管部と針部の接続は嵌め込み構造とする。 (8) 電線管部(継手・挿込み端末含む)の色は黒色、針部の色はグレーとする。 3.2 材 料 次の各項のとおりとする。 (1) 電線管部の材料は、ポリエチレン(混合物を含む)を使用する。 (2) 針部の材料は、オレフィン系樹脂を使用する。 -1- (3) 適度な柔軟性及び強じん性を有し、日時の経過による変質が少なく、かつ、所定の絶 縁耐力を保持できるものとする。 4 特性 防止器の特性は、第 5 項に規定する試験方法により試験した時、表 2 のとおりとする。 表2 項 目 特 外観・構造 5.1 乾燥状態で AC15,000V-1 分間に耐える 注水後状態で AC10,000V-1 分間に耐える 5.2 常温 引張強さ)9.8MPa 以上 伸び)350%以上 5.3 加熱 引張強さ)常温の 80%以上 伸び)常温の 65%以上 5.4 耐候性 引張強さ)常温の 80%以上 伸び)常温の 65%以上 5.5 引張強さ 及び伸び 耐 熱 使用上有害なキズ、ヒビ割れ、変形などを生じない 5.6 耐 寒 使用上有害なキズ、ヒビ割れ、変形などを生じない 5.7 厚さの減少率 10%以下 5.8 916<~≦925kg/m3 5.9 静荷重 588N にて離脱しないこと 5.10 針部の引抜き強度 90N 以上 5.11 針部の引張強度 100N 以上 5.12 90 度に曲げて実使用上問題となるヒビ割れ、折れな どを生じない 5.13 加熱変形 密度 電線管部 連結部分の引張強度 針部の耐候性 5.1 試験方法 3、8、10 及び 11 項に適合する 耐電圧 5 性 試験方法 外観・構造 目視または適当な度器を使用して、3、8、10 及び 11 項に適合することを確認する。 -2- 5.2 耐電圧 穴あけ加工前の電線管部を図 1 に示すような状態に取り付け、波高値が 1.33~1.48 の 50~60Hz の交流電圧を、毎秒 1,000V の割合で試験電圧値まで上昇させ乾燥状態での試験 を行う。その後、乾燥状態での試験を実施した試料に散水器を用いて散水した直後、乾燥 状態での試験と同じ交流電圧を、同様な割合で試験電圧値まで上昇させて試験を行い、4 項に適合することを確認する。 なお、散水器はじょうろ口とし、これに内径 15mm のホースを接続して、水圧は所定の散 水率(10±0.5L/min)となるよう調整する。散水の方法は、機材を正規の取付状態にして、 鉛直方向±60 度の位置より機材の表面積 1m2 あたり 1 分間で最低 5 分間散水する。この場 合、散水器は、機材の上方 300~500mm の高さとする。 電線管部の内径 電線管部 (補足)電極は、電線管部と同一形状の電極または水を十分に浸潤させた綿 布等導電性の物を、コロナ放電または沿面放電が生じない限度に、 電線管部の内外面に密着させて電圧を加えるものとする。 図1 5.3 引張強さ及び伸び(常温) 電線管部から試験片を採取し、JIS C3005(ゴム・プラスチック絶縁電線試験方法)の 4.16(絶縁体及びシースの引張り)に準じて試験を行い、4 項に適合することを確認する。 なお、試験環境は、室温(18~28℃)、試験片は、JIS K6251(加硫ゴム及び熱可塑性ゴム -引張特性の求め方)のダンベル状 3 号形とする。 5.4 引張強さ及び伸び(加熱) 電線管部から試験片を採取し、90±2℃に 96 時間加熱した後 60 時間以内において、室温 (18~28℃)に 12 時間放置した後に、5.3 引張強さ及び伸び(常温)の試験を行い、4 項 に適合することを確認する。 -3- 5.5 引張強さ及び伸び(耐候性) 電線管部から試験片を採取し、JIS A1415(高分子系建築材料の実験室光源による暴露試 験方法)の WS-A により、1,250 時間照射した後に、5.3 引張強さ及び伸び(常温)の試験 を行い、4 項に適合することを確認する。 5.6 耐 熱 電線管部(針部含む)及び継手から長さ 500mm 以上の試料を取り、90±2℃の恒温槽中に 1 時間以上放置した後に、4 項に適合することを確認する。 5.7 耐 寒 電線管部(針部含む)及び継手から長さ 500mm 以上の試料を取り、-20±2℃の恒温槽中 に 1 時間以上放置した後に、4 項に適合することを確認する。 5.8 加熱変形 電線管部および針部について、JIS C3005(ゴム・プラスチック絶縁電線試験方法)の 4.23(加熱変形)に準じて行い、4 項に適合することを確認する。なお、試験片は 30mm× 15mm×2mm(寸法は約)とし、電線管部は完成品から、針部は同材料シートから試験片を採 取する。荷重値は 24.5N 及び加熱温度は 75±3℃とする。 5.9 密 度 電線管部について、JIS K6922-1(ポリエチレン(PE)成形用及び押出用材料-第 1 部:呼 び方のシステム及び仕様表記の基礎)の 3.3.1(密度)に準じて行い、4 項に適合することを 確認する。 5.10 連結部分の引張強度 防止器を図 2 に示す状態に取り付け、連結部分に 588N の静荷重を 1 分間加えて、4 項に 適合することを確認する。なお、引張速度は 50mm/min とする。 -4- ※電線管部は、針取付前のものを使用してもよい 図2 5.11 針部の引抜き強度 完成品の一部を切り取り、電線管部と針部を固定し荷重をかけ、針部が電線管部から 抜けるまでの荷重を計測する。100N を超えて、針が抜けるより先に針部が破断し、試験 継続不可能となった場合は、途中で中止してもよい。 なお、引張速度は 50mm/min とする。 5.12 針部の引張強度 針部の完成品にて、上下端部を固定し荷重をかけ、破壊するまでの荷重を計測する。 なお、引張速度は 50mm/min とする。 5.13 針部の耐候性 針部の完成品について、JIS A1415(高分子系建築材料の実験室光源による暴露試験方 法)の WS-A により、1250 時間照射した後に、針部を 90 度に曲げ、実使用上問題となる ヒビ割れ、折れが無いことを確認する。 6 試験 防止器は、5 項の試験方法により形式試験および受渡試験を行い、3、4、8、10 及び 11 項 に適合するものとする。 6.1 形式試験 形式試験は、用品の品質水準を確認するために、次の試験項目につい て行う。なお、各 試験の試料数は、中部電力(株)と協議のうえ決定する。 (1) 外観・構造 (2) 耐電圧 (3) 引張強さ及び伸び(常温) -5- (4) 引張強さ及び伸び(加熱) (5) 引張強さ及び伸び(耐候性) (6) 耐熱 (7) 耐寒 (8) 加熱変形 (9) 密度 (10) 連結部分の引張強度 (11) 針部の引抜き強度 (12) 針部の引張強度 (13) 針部の耐候性 6.2 受入試験 受入試験は、完成した用品の受け入れに際し、その合否を判定するために、次の試験項 目について行う。なお、試料数は、1,000 個またはその端数を 1 ロットとして、各 10 以上 実施するものとする。 (1) 外観・構造 7 品質 7.1 設計寿命 防止器の材質、形状、構造、特性等の設計にあたっては、使用目的に基づく通常使用に おいて、5年の使用に耐えるものとする。 7.2 品質管理 防止器の製造にあたっては、材料・加工方法のバラツキやヒューマンエラー等のあらゆ る品質管理上のリスクを想定したうえで、納入する用品全てが本仕様を満足するよう社内 ルールおよび必要書類を整備し、品質管理を実施する。 7.3 必要書類 (1) 新規形式取得時 防止器を製造する者は、下記の資料を中部電力㈱ヘ提出し、原則工場立会のうえ、承 認を得るものとする。なお、下記以外の資料の提出を要求することもある。 -6- (2) a 形式申請書 b 申請内容の説明書 c 仕様変更履歴 d 製作仕様書 e 試験成績書(形式試験) f QC工程表 仕様変更時 防止器の仕様や品質管理方法等を変更する場合は、事前に中部電力㈱と技術検討を行 い、下記の資料のうち中部電力㈱が要求する資料を提出し、承認を得るものとする。 (3) a 形式申請書 b 申請内容の説明書 c 仕様変更履歴 d 製作仕様書 e 試験成績書(形式試験、過去の受入試験) f QC工程表 品質審査時 中部電力㈱による品質審査時には、下記に関する資料を基に品質管理体制の確認を 実 施する。なお、資料の提出を要求することもある。 a 検査(部品受入検査、製造工程内検査、完成品検査等)の管理体制(検査数量、 良否判定基準、機器の校正等) b 製造工程内の管理体制(加工・組立作業の標準化、異常品処置方法、機器の校 正等) 8 c デザインレビュー(DR)の実施方法 d 不具合発生時の社内外への連絡体制および情報共有体制 e トレーサビリティに関する管理体制 f 外注先の管理体制 梱包 防止器は、運搬中損傷または汚損しないように、種類 25 は 10 本単位、種類 35 は 5 本も しくは 10 本単位に梱包する。 -7- 9 製品の呼び方 防止器の呼び名は、品名及び種類から、次のとおりとする。 鳥害防止器(針型)25 鳥害防止器(針型)35 10 10.1 表示 防止器への表示 付図 11.1 に示す箇所に、容易に消えない方法で、次の事項を表示する。 (1) 製品名および種類 (2) 製造者またはその略号 (3) 製造年(西暦下 2 桁) 10.2 包装への表示 容易に消えない方法で、次の事項を表示する。 (1) 製品名および種類 (2) 製造者またはその略号 (3) 製造年月 〔例〕14 年 6 月 (4) 数量 -8- 11 11.1 付図 電線管部(種類 25、35) -9- 11.2 針部 上部を中心に 180 度以上の範囲に 3 本以上取付 ・針は、電線管の円周 180 度以上の範囲に取付する。 ・針の取付方向は、3 方向以上とする。 ・針の長さは 50mm 以上とする。 ・針の取付間隔は、「針の取付例①および②」による。 <針の取付例① ~針を電線管に対し垂直方向のみに取付する場合~> 38mm 以下 50mm 以上 <針の取付例② ~針を電線管に対し垂直方向および長手方向に取付する場合~> 50mm 以下 10mm 以下 50mm 以上 以 - 10 - 上
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