乳腺超音波ブレイクスルー;

第19回浜松オンコロジーフォーラム
乳腺超音波ブレイクスルー;
正常構造に基づく新しい乳房超音波検査法
高松平和病院 外科
がん研有明病院乳腺センター
何森亜由美
2015年4月18日 アクトシティ浜松
1
乳癌=
乳管上皮に発生
多彩な形態を示す
2
触知する乳癌の多くは低エコー像
乳房をまんべんなくスキャンし、
病変を探し出す観察法
低エコー腫瘤
3
最近検出される乳癌のエコー像
小さい 等エコー 淡い
構築の乱れ
乳管拡張病変
等エコー腫瘤
非腫瘤性病変
4
乳腺エコーの観察
乳房をまんべんなくスキャンし、
病変を探し出す観察法
指標にもとづいた観察
心エコーや腹部エコーと同じように!!
指標=乳腺の正常構造
どんな病変も正常構造からの逸脱部
構造パターンの逸脱に注目
あらゆるタイプの病変の検出を可能に
5
スクリーニング
正常構造がわかっていると、、、、
1:存在診断
①どのような形状の乳癌でも、検出は可能である。
②検索は短時間で行う(平均3分程度を目指す)。
2:質的診断
①「要精査」と「経過観察」を手早く判断する。
6
MRI 2nd Look US
正常構造がわかっていると、、、、
普段見ている正常構造物から、
解剖学的な位置関係を読み
同一部位を選択する
MRIの正常構造を読み解く
USの立体正常構造読影と対比させる
7
正常構造を指標にするには
乳腺の正常構造が
超音波でどのように見えているのか
を知る必要がある
8
乳房超音波診断
ガイドライン
改訂第3版
2014年5月10日発行
追加変更されました
11
Ⅱ
乳房の解剖と超音波画像
2 乳房の超音波解剖と組織像
A 乳房の解剖
乳房の断面構築においては,乳腺を挟んで皮膚と胸筋
乳房の超音波画像を理解するためには乳腺の発生を認
の間に,皮膚側から浅在筋膜の浅層(superficial layer
識しておくことが必要であり,まず,乳腺の発生につい
of the superficial fascia)
,Cooper 靱帯(cooper ligaments)
,
て述べる.
そ し て 浅 在 筋 膜 の 深 層(deep layer of the superficial
fascia)が存在する*.
1 乳腺の発生
乳腺の発生の第 1 段階は,胎生第 4 週で頭尾約 7 mm
の胚子に現れる.前体壁で腋窩から鼠径部に及ぶ,左右
対称性の外胚葉性の肥厚[乳腺堤(mammary ridge)
]
である.
後に尾側 2/3 は消失し,頭側の 1/3 の中間部が乳腺
原基として残る.
*:浅在筋膜の浅層(superficial layer of the superficial fascia)に
関しては異なる意見もあり,今後 JABTS 用語診断基準委員会で
検討する予定である.本項では,superficial fascia を,従来の
浅在筋膜の浅層の用語と概念で用いて解説する.
浅在筋膜浅層 深層の解説,Cooper 靱帯
皮膚と浅在筋膜浅層との間には微細な線状の高エコー
があり,これに連結する Cooper 靱帯がある.そして,
続いて乳腺原基は肥厚し,下層の間葉に向かって芽を
乳腺があり,その後方で胸筋との間の乳腺後間隙に緩や
出し,枝分かれしながら成長して,約 20 本の細胞索を
かに波打つ線状の高エコーが認められる.この線状の高
形成する.細胞索はさらに成長,枝分かれし,胎生 9 ヵ
エコーが浅在筋膜深層に相当する(図Ⅱ−2)
.乳腺の
月ごろには細胞間の空胞化とその癒合により,細胞索は
前縁および後縁を縁取る線状の高エコーが認められる
管腔化する.そして,乳管洞,乳管,腺房が形成される
.
(図Ⅱ−1)
(図Ⅱ−2)
.
浅在筋膜浅層は,乳頭部近傍で反転し,前述した乳腺
表皮
一次腺芽
乳管
乳管
二次腺芽
a
二次腺芽
b
図Ⅱ−1 乳腺の発生
a.乳腺の発生[Eggeling1)による]
.
b.0 歳 4 ヵ月.
9
14 Ⅱ.乳房の解剖と超音波画像
B.乳腺の解剖 15
末乳管 小葉内終末乳管 細乳管へと移行し,終末細乳管
B 乳腺の解剖
小葉単位(terminal-duct lobular units:TDLU)を形成
する.小葉内終末乳管.終末乳管の周囲には膠原線維が
.
疎で明るい「小葉内間質」がみられる(図Ⅱ−10)
1 乳腺の超音波解剖と組織像
超音波観察において重要なことは,
「小葉外間質」
には,
るということである.高分解能超音波像と組織像の詳細
① 膠原線維の密な間質:周囲間質(surrounding stroma)
な対比により,これまで解明されていなかった乳腺の正
「小葉 終末細乳管 乳管」周囲を取り巻いている膠原
繊維が密な部位.組織標本では,HE 染色で濃いピンク
色に染まる部分である(図Ⅱ−11−⑴)
.
乳腺は,乳管上皮を含む実質と,その間を埋める間質
② 浮腫状で膠原線維が疎な間質:浮腫状間質 (edema-
で構成されている.さらにそれらを含む腺葉という構造
単位を持つ.
tous stroma)
乳腺の実質:乳管 終末細乳管 小葉
乳管は,乳頭より乳管洞 乳管 小葉間乳管 小葉外終
.腺葉の境界面には微小な脈管
布している(図Ⅱ−12)
る(図Ⅱ−13)
.
乳腺の小葉外間質には 2 つの間質がある.
常解剖が明らかとなった.
また,腺葉は大小さまざまな大きさで重なりながら分
が配列している.わずかな脂肪細胞がみられることもあ
2 種類の「小葉外間質」
超音波で判別している組織構成の異なる 2 つの間質があ
は膠原線維の密な周囲間質が残存している.
腺 葉
周囲間質の間を充填している「浮腫状で膠原線維が疎
な間質」=浮腫状間質の部分は加齢や BMI により基質
が減っていく.この浮腫状間質部に,脂肪細胞が線維に
2 乳腺間質の経年変化・脂肪化
沿って列をなすように置き換わる.脂肪化の進んだ間質
超音波で観察できる 2 つの間質には,BMI や経年変
.
化による脂肪化,萎縮がみられる(図Ⅱ−14)
膠原線維の密な間質:周囲間質(surrounding
stroma)
でも,膠原線維が散在して残っている部位がある.
3 乳腺超音波画像理解
周囲間質と浮腫状間質が超音波画像上でどのように描
出されているかを理解しておくことは,超音波による観
(1)の間を埋める間質.基質が豊富で,HE 染色では
母乳の産生と分泌という器官機能の役割を担う「小葉
薄いピンク色に染まる部分である.脂肪細胞も混在する
細乳管 乳管」には周囲間質がとりまいているが,小葉
(図Ⅱ−11−⑵)
.
浮腫状で膠原線維が疎な間質:浮腫状間質
(edematous stroma)
察において重要である.
Ⅱ
乳
房
の
解
剖
と
超
音
波
画
像
や乳管が萎縮しても,周囲間質は比較的残存する.図Ⅱ
−14 でも,全ての年代の乳腺で,小葉と乳管の周囲に
超音波観察において重要な事は、
「小葉外間質」には、超音波で判別
している組織構成の事なる2つの間
質があるという事である。
小葉内終末乳管
小葉
小葉外間質
小葉内間質
これまで解明されていなかった乳腺
の正常解剖が明らかとなった。
図Ⅱ−10 小葉内間質と小葉外間質
小葉内終末乳管 終末乳管の周囲に明るい「小葉内間質」がみら
れる.
図Ⅱ−8 乳房の組織学的所見
乳腺後縁に細い紐状の線維性結合織層が認められる(↑).また,胸筋筋膜(↓)との
間には,軽く波打つ結合織層が認められる(▼)
.
Cooper 靱帯 乳腺前方境界線 浅在筋膜浅層
皮 膚
(1)
(1)
(2)
皮下脂肪
浅在筋膜浅層
乳 腺
乳腺前方境界線
Cooper 靱帯
図Ⅱ−12 乳管から樹脂を流し込んで型どった腺葉
この標本では 15 本の乳管のサンプルが採られている[James
.
J Going 2)による]
(2)
浅在筋膜深層
乳腺後隙
(2)
大胸筋
乳腺後方境界線
浅在筋膜深層
a
大胸筋筋膜
b
図Ⅱ−9 乳房の垂直断面の解剖模式図と超音波画像
図Ⅱ−11 2 種類の小葉外間質
⑴ 膠原線維の密な間質:周囲間質.
⑵ 浮腫状で膠原線維が疎な間質:浮腫状間質.
図Ⅱ−13 腺葉境界部の組織像
腺葉の境界面には,径の細い脈管(↓)が並んでいる.
10
16 Ⅱ.乳房の解剖と超音波画像
B.乳腺の解剖 17
文 献
1 )Izumori A, Horii R, Akiyama F et al:Proposal of a novel
method for observing the breast by high-resolution ultrasound
imaging;understanding the normal breast structure and its
application in an observational method for detecting deviations.
Breast Cancer 20:83-91, 2013
2 )Going JJ:Escaping from Flatland;clinical and biological
aspects of human mammary duct anatomy in three dimensions.
J Pathol 203:538-544, 2004
Ⅱ
Breast Cancer
DOI 10.1007/s12282-011-0313-2
ORIGINAL ARTICLE
a
(1)
b
(1)
(2)
Proposal of a novel method for observing the breast
by high-resolution ultrasound imaging: understanding
the normal breast structure and its application
in an observational method for detecting deviations
乳
房
の
解
剖
と
超
音
波
画
像
nipple
(1)
(1)
(2)
図Ⅱ−16 乳腺組織像と超音波画像の対比
Ayumi Izumori • Rie Horii • Futoshi
Akiyama •
⑴ 膠原線維の密な間質:周囲間質.
⑵ 浮腫状で膠原線維が疎な間質:浮腫状間質.
Takuji Iwase
c
d
図Ⅱ−14 乳腺間質の経年変化
a.30 歳代,b.40 歳代,c.50 歳代,d.80 歳代.
「周囲間質」は,全ての年代で小葉と乳管の周囲に残存している.
「浮腫状間質」は,加齢や BMI による影響を受けやすい.基質が減少し脂肪細胞が線維に沿って列をなすように置き換わる.
(1)
(1)
dil
ate
dd
uc
t
ある.
(2)
(2)
すなわち,乳腺内の等エコーレベルの構造物は小葉を
含んだ周囲間質である(図Ⅱ−16,17)
.
浮腫状で膠原線維が疎な間質:浮腫状間質
(edematous stroma)
図Ⅱ−15 乳腺組織像とエコーレベル
⑴ 膠原繊維の密な間質:周囲間質は等エコーレベル.
⑵ 浮腫状で膠原繊維が疎な間質:浮腫状間質は高エコーレベ
ル.
浮腫状間質はどの年代でも高エコーで観察される(図
.
Ⅱ−17)
HE 染色組織標本では,この部位の基質が多い乳房と,
「脂肪」に置き換わっている乳房の印象は異なる.
しかし,超音波では「基質を含んだ浮腫状の膠原線維
膠原線維の密な間質:周囲間質(surrounding
stroma)
「小葉 細乳管 乳管」をとりまく「膠原線維の密な間
質(周囲間質)
」のエコーレベルと小葉のエコーレベル
=水分と膠原線維」
,
「脂肪細胞と膠原線維」といったイ
ンピーダンスの異なる物質が混在する部位のため,超音
波は散乱し,構成割合に関係なく高エコーとなる.
腺葉の境界面
は同じ等エコーであり,両者は区別できない(図Ⅱ−
重なり合っている腺葉の境界面が,極薄い膜状高エ
15)
.これは,超音波の分解能では小葉の管腔構造を区
コーとして確認できる部位がある.特に,わずかに脂肪
別できず,
スペックルパターンのエコーレベルを示すが,
.
細胞が入っていると認識しやすくなる(図Ⅱ−18)
それが周囲間質のエコーレベルと同レベルとなるからで
Received: 18 July 2011 / Accepted: 18 October 2011
! The Japanese Breast Cancer Society 2011
detection of faint minute lesions that can only be detected
Abstract
by magnetic resonance imaging or second-look targeted
Background With the recent advances in modalities for
US.
diagnostic imaging of the breast, it is now essential to
detect isoechoic masses and small nonmass lesions, to
Keywords Ultrasonography ! High-resolution !
which little attention has so far been paid using ultrasound
a
bDiagnosis ! Three-dimensional
c
! Histological architecture
(US) of the breast. It will be possible with the
observation
図Ⅱ−17 乳腺組織像と超音波画像の経年変化
method to understand normal breast structural
images and
a.40 歳代,b.50 歳代,c.80 歳代.
anatomy. We elucidated the detailed histological architecture of the normal breast, information indispensable for
Introduction
diagnostic US of the breast.
Methods Verification of the above hypotheses was carWith the recent advances in modalities for diagnostic
ried out using the breasts of 11 patients who underwent
imaging of the breast, magnetic resonance imaging
(MRI) is now widely used for breast examination. MRI
total mastectomy at our clinic.
Results Isoechoic structures with fat are lobules, all
is highly sensitive and is frequently used for the
ducts, and surrounding stroma that support the ducts;
screening of patients at high risk of breast cancer and for
the diagnosis of the spread of the tumor within the
intervening hyperechoic areas are edematous stroma and
fat-containing stroma that support the breast. By taking an
tumor-bearing breast. However, differentiation of positive
isoechoic structure that reflects the course of the ducts as
findings between benign and malignant disease raises a
problem because physiological changes and benign
the basic structure for observation, the boundary
between
図Ⅱ−18 腺葉境界部の組織像と超音波画像の対比
the lobes can be inferred.
lesions also show strong enhancement. Currently, in the
Conclusions Detection of ‘‘deviations from the normal
US and Europe, MRI-guided needle biopsy is performed
structure’’ using the ‘‘method for interpreting threeas a method for detailed examination, whereas in Japan,
dimensional ultrasound images of mammary lobes’’ is a
Second Look Targeted Ultrasound (2ndLookUS) has
radical new approach for diagnosing breast cancer. This
become a method of choice for this purpose because it is
technique is very simple and amenable to standardization
simpler and can be used in many clinical sites. In peronce one understands the underlying theory. Furthermore,
forming 2ndLookUS after MRI, it is necessary to detect
it is useful as a screening method as well as for easy
and identify many similar benign lesions. However, it is
impossible to detect and identify these lesions by the
11
「立体的腺葉構造読影法」2 3のpoint
1)新たな正常乳房解剖•観察理解
point1 乳房には2種類の間質がある
① 小葉̶乳管を取り巻く膠原線維の密な間質。等エコー。経年変化をうけにくい。
② 間を埋める、浮腫状で膠原線維の疎な間質。高エコー。経年変化やBMIにより脂
肪に置き換わる。
point2
腺葉の重なりが判る。
2)観察するもの
point3
「連続性」 等エコー構造物は乳管の走行を反映している。
point4 「規則性」 等エコー構造物は乳頭方向と腺葉境界面方向の2
つの方向性を持つ。
3)正常構造からの逸脱部の立体的検出
point5
「途絶え」 腫瘤がある部位。病変が等エコーであっても指摘し
得る。
point6
「乱れ•広狭不整」 非腫瘤•distortionがある部位。
12
がん研有明病院-乳房正常構造の組織と画像の対比研究
乳腺全摘となった11症例
前日に超音波画像を取得し、正常部位の病理組織像と対比
Proposal of a novel method for observing the breast by high-resolution ultrasound imaging:
Understanding the normal breast structure and its application in an observational method for
detecting deviations. Breast Cancer : 20:83-91.2013
13
等エコーレベル
USでの新たな理解
①
等エコーで
観察されていると
判明した範囲
「乳管-小葉」より
ひとまわり大きい範囲
USでの従来の理解図
等エコーで
観察されると
思われていた範囲
A.THOMAS STAVROS:BREAST ULTRASOUNDより引用改変
14
a)小葉
a)乳管
a)乳管ー小葉: 乳腺の実質
b)aの間:
小葉外間質
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Understanding the normal breast structure and its application in an observational method for
detecting deviations. Breast Cancer : 20:83-91.2013
15
浮腫状で膠原線維が疎な間質
膠原線維が密な間質
16
「小葉外間質」は2つに分けられる
浮腫状で膠原線維が疎な間質
⑵浮腫状間質
膠原線維が密な間質
⑴周囲間質
⑴膠原線維の密な間質:周囲間質surrounding stroma
⑵浮腫状で膠原線維が疎な間質:浮腫状間質edematous stroma
17
「2種類の小葉外間質」は
超音波で見え方が違う
⑴周囲間質surrounding stroma → 等エコーレベル
⑵浮腫状間質edematous stroma → 高エコーレベル
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Understanding the normal breast structure and its application in an observational method for
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18
正常乳腺組織像と超音波画像の理解
⑴周囲間質surrounding stroma → 等エコーレベル
⑵浮腫状間質edematous stroma → 高エコーレベル
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Understanding the normal breast structure and its application in an observational method for
detecting deviations. Breast Cancer : 20:83-91.2013
19
乳腺間質の経年変化•脂肪化
⑴周囲間質surrounding stroma → 比較的残存する
⑵浮腫状間質edematous stroma → 基質が減り脂肪が置換
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20
年齢変化と超音波画像
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Understanding the normal breast structure and its application in an observational method for
detecting deviations. Breast Cancer : 20:83-91.2013
21
2種類の小葉外間質と乳房画像の理解
① 周囲間質surrounding stroma → 等エコーレベル
小葉̶乳管を取り巻く膠原線維の密な間質。経年変化をうけにくい。
② 浮腫状間質edematous stroma → 高エコーレベル
間を埋める、浮腫状で膠原線維の疎な間質。経年変化やBMIにより脂肪に置き換わる。
乳管を追う
乳腺の中に見える模様
正常構造=「解剖学的基本構造」をみている
22
30-40代
周囲間質は不均等
等エコー構造物が途切れて見える
80代
乳管の走行を推測できる
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Understanding the normal breast structure and its application in an observational method for
detecting deviations. Breast Cancer : 20:83-91.2013
23
重なり合う部分がある
乳管走行のイメージ
James J Going
Escaping from Flatland: clinical and
biological aspects of human mammary duct
anatomy in three dimensions Journal of
Pathology J Pathol 2004; 203: 538–544
24
観察のイメージ:主乳管は境界面側にある
Proposal of a novel method for observing the breast by high-resolution ultrasound imaging:
Understanding the normal breast structure and its application in an observational method for
detecting deviations. Breast Cancer : 20:83-91.2013
25
正常構造の観察の練習
高濃度∼高濃度不均一
脂肪性
周囲間質構造
周囲間質構造
腺葉境界面
腺葉境界面
観察し易い
観察が難しい
超音波が有効
MMGが有効
26
正常構造の観察の練習
高濃度∼高濃度不均一
まずは観察しやすい乳腺で
周囲間質構造の方向性
腺葉境界面の場所
27
正常構造からの逸脱の例
(途絶え)
68歳
硬癌 4 3㎜
MMG(ー)
28
正常構造読影
1:存在診断
①どのような形状の乳癌でも、検出は可能である。
②検索は短時間で行う(平均3分程度を目指す)。
2:質的診断
①「要精査」と「経過観察」を手早く判断する。
29
高松平和病院 高松市乳癌検診成績
MMG/US 同時併用
受診者数
細胞診
(率%)
乳癌
自覚
発見率
PPV
無自覚発
あり
(%)
(%)
見率(%)
2011年
709
36(5.1)
6
0
0.85
16.7
0.85
2012年
711
43(6.0)
9
3
1.27
23.3
0.84
2013年
630
28(4.4)
8
3
1.27
28.6
0.79
非浸潤性乳管癌(NG3)
硬癌
30
画像的境界病変
超音波所見の立体判定基準
経過観察
要精査
内部構造パターンが
((AA))均一
((BB))不均一•規則的
内部構造パターンが
((CC))不均一•不規則的
1: 腫瘤
経過観察
要精査
2: 非腫瘤
太いが癒合しない
高エコー間質部を残す
パターンが乱れ癒合する
高エコー間質部が途絶する
経過観察
要精査
3: 構築の乱れ
(引き込み像)
直線的
長さが揃っている
一定の方向
方向性の中心は一点/面
中心部は周囲の構造と同じ
(低エコーがあっても高エコー間質が通り
抜けている)
太い細いがある
長さが不揃い
方向にばらつき
方向性の中心は低不整像
中心部低エコーは大小不同
第22回日本乳癌学会総会Dポスター
画像的境界病変における乳腺超音波立体所見診断の試み
31
要精査•経過観察の判定基準
経過観察でよいもの
規則性を保っている。
一定のパターンを持っている。
精査が必要なもの
規則性を失っている。
無秩序に増生しようとしている。
32
まとめ
1.近年「乳房超音波画像と正常構造の対比」の詳細が
明らかになった。
2.今後は乳房超音波においても、「基本構造の読影」
が観察の基本である。
3.画像診断の進歩に伴い、乳房超音波の観察法は、
「病変を探す」のではなく、「正常構造からの逸脱
部に注目する」方法がすすめられる。
33