感 染症 学 雑誌 164 第59巻 第2号 呼 吸 器 感 染 症 を 対 象 とす るAspoxicillinとPiperacillinの 二 重 盲 検 法 に よ る薬 効 比 較 試 験 北海道大学第2内科および協力施設 斎藤 竹 田綜合病院呼吸器科 玲 石川 清文 中山 一朗 富 沢麿須美 阿部 守邦 芝木 秀俊 知本 田中 昌博 伊藤 長英 武久 武内 恵輔 小島 愛司 霜山 一雄 高城 義信 大西 慎二 篠原 正英 氏家 伊 藤 亜 司 いわ き市立総合磐城共立病院呼吸器科 林 関根 文雄 西原 久司 佐 々木雄一 中林 武仁 小六 哲司 黒田 勝 錬介 真下 正孝 夏井 坂 啓明 菊地 弘毅 剛 村上 山本 匡 朝子 土橋 谷本 和夫 岡本 勝博 修一 苅谷 克敏 小沼 富男 落合 滋 熊坂 義裕 柳谷 重利 上原 修 渡引 康公 柾木 尚義 田村 豊一 玉沢 直樹 猪岡 元 昭生 吉村 邦彦 緒方 良二 淳 健一 小室 淳 伊東 東北大学第1内科 宏昭 柏木 誠 秀隆 人 弘義 渡辺 一功 中川 圭一 小山 優 雅巳 飯島 福生 金 衡仁 秋吉 龍二 東京電力病院内科 雄三 束 冬彦 杏林大学第1内 科 小林 宏行 押谷 浩 市立川崎病院内科 一平 小林 芳夫 中村 靖 谷 一 太 名古屋大学第2内 科 高木 健三 佐竹 辰夫 山川 育男 原 通広 名古屋市立大学第1内 科および協力施設 幌 市 北 区北12条5丁 北海 道 大学 医療 短期 大 学 部 祥隆 横浜逓信病院内科 富樫 秀生 佐藤 平鹿総合病院第2内科 別 刷 請求 先:(〒060)札 秀雄 深 彰 雅 石橋 上田 藤森 渡辺 林 中森 東京共済病院内科 船津 武内 大泉耕太郎 正 順天堂大学 内科 池本 瀧島 任 丹野 恭夫 東北大学抗酸菌病研究所内科 今野 千鶴 国立病院医療セ ソター呼吸器科 岩手医科大学第3内科 隆司 正 則* 伊藤 宮原 立花 吉 田秀 一郎 高橋 伊藤 篤 可部順三郎 忠尚 昌士 徹郎 普一 和文 近江 田村 安達 蝶名林直彦 弘前大学第3内 科お よび協力施設 武部 康稔 虎の門病院呼吸器科 市立室蘭総合病院第2内 科 菊入 鵜飼 斎藤 徹 札幌鉄道病院呼吸器科 洋明 鈴木 東京慈恵会医科大学第2内 科 札幌医科大学第3内 科および協力施設 平賀 信樹 東京厚生年金病 院内科 佐 々木 信 博 明 青木 (*現,川 崎市立川崎病院内科) 旭川医科大学第1内 科 鈴木 芳丸 国立霞 ケ浦病院内科 信一 小野寺壮吉 薄田 山作 房 之 輔 長濱 大島 理 水原郷病院内科 昭 矢嶋 俄 岩見沢労災病院内科および協力施設 下村 寿太郎 泉 信楽園病院内科 目 斎藤 玲 武内 俊彦 加藤 政仁 北浦 三郎 165 昭和60年2月20日 英和 山本 俊幸 徳島大学第3内 科 花木 名古屋市厚 生院内科 鈴木 螺良 幹三 陽一 鳥飼 副島 馨 鈴木 信夫 暢夫 中西 満 通泰 松原 恒雄 池田 宣昭 稲葉 宣雄 辻野 博之 岡本 緩子 飯田 夕 青木 岩田 義郎 上田 章 幸平 滝井 猛邦 吉岡 宗 大 久保 滉 三 上田 木 良弘 加野子 草場 公宏 岡田 薫 柏 木征 三 郎 小野 亨雄 昌英 乙成 孝俊 斉藤 厚 山口 恵三 鈴山 洋司 重野 芳輝 渡辺 講一 長沢 正夫 松本 慶蔵 宍戸 春美 高橋 淳 隆杉 正和 玉木 重 木村 久男 熊本大学第1内 科お よび協力施設 安藤 正幸 杉本 峯晴 菅 和泉市立病院内科 徳永 勝正 福田 安嗣 徳 臣晴比古 宮本 Aspoxicillin(ASPC,治 Piperacillin(PIPC)を (昭 和59年10月4日 受 付) (昭 和59年12月11日 受 理) Aspoxicillin (TA-058), Double-blind method 験 番 号TA-058)の Respiratory tract infection, 旨 呼 吸 器 感 染 症 に対 す る 有 効 性 と安 全 性 な ら び に 有 用 性 を 対 照 薬 とす る二 重 盲 検 法 に よ り比 較 検 討 した.投 し,原 則 と し て14日 間 点 滴 静 注 を 行 い,以 吸 器 感 染 症 に 対 す るASPCとPIPCと 与 量 は 両 薬 剤 と も4g/日(2g× 下 の 成 績 を 得 た. の 臨 床 効 果 は,全 ASPC群76.2%(93/122),PIPC群78.3%(94/120),主 群79.8%(99/124)で 守隆 修 要 2)細 林 雄 健次 文 Key words: 1)呼 正俊 耕平 多根病院内科 2回/日)と 渡辺 長崎大学熱帯医学研究所内科 および協力施設 関西医科大学付属洛西ニュータウン病院内科 高松 芳人 長崎大学第2内 科お よび協力施設 原 敬悟 正和 福岡大学第2内 科 関西医科大学第1内 科 前原 田村 九州大学第1内 科 澤江 京都大学結核胸部疾患研究所第1内 科 および協力施設 前川 二木 山木戸道 郎 國功 早瀬 俊博 広島大学第2内 科 金沢医科大学 呼吸器内科 大谷 林造 勝隆 富山県立中央病院内科 大山 後東 川崎医科大学呼吸器内科 名古屋保健衛生大学内科 安部 英郎 岸 本 明比 古 症 例 で の有 効 率 は 小委 員 会 判 定 で は 治 医 判 定 で はASPC群83.2%(99/119),PIPC あ り両 薬 剤 群 間 に推 計 学 的 な 有 意 差 は 認 め られ な か った. 菌 学 的 効 果 な ら び に 症 状,所 見,臨 床 検 査 値 等 の 改 善 度 に お い て も 両 薬 剤 群 間 に有 意 差 は 認 め ら れ な か った. 3)副 作 用 の 発 現 率 はASPC群5.3%(7/131),PIPC群4.7%(6/129)ま はASPC群25.2%(32/127),PIPC群22.4%(28/125)で た 臨床検 査値 異常 の発 現 率 あ り,い ず れ も 両 薬 剤 群 間 に有 意 差 は 認 め ら れ な か った. 4)有 用 性 は,小 委 員 会 判 定 で の 有 用 率 はASPC群73.4%(91/124),PIPC群74.2%(92/124),主 医 判 定 で はASPC群78.9%(97/123),PIPC群74.2%(95/128)で 治 い ず れ も両 薬 剤 群 間 に 有 意 差 は 認 め 166 感 染 症 学雑 誌 第59巻 第2号 られ な か った. 以 上 の 結 果 よ り,ASPCは 呼 吸 器 感 染 症 に対 しPIPCと ほ ぼ 同 等 の 臨 床 的 有 用 性 を もつ もの と考 え ら れ た. 緒 ASPCは (3)試 験 薬 剤 が 明 らか に無 効 な症 例(ウ 言 田 辺 製 薬(株)に お い て 開 発 さ れ た6 位 側 鎖 にN-methyl-D-asparagine残 ル を有 して お り,特 にS.pneumoniae,S.faecalis, H.influenzae等 に対 し優 れ た 抗 菌 力 を 有 して い る.ま た,in vitro効 果 に 比 しin vivo効 果,特 に 実 験 的 感 染 症 に対 す る効 果 が 優 れ て お り,そ の作 症 状 が 改 善 しつ つ あ る もの,ま たは経過不 明の も の (5)本 治 療 開 始 直 前 にASPC又 はPIPCを 使用 した もの (6)広 範 囲 に 進 展 し て い る肺 癌 患 者 お よ び 肺 結 核患者 (7)ペ ニ シ リン系 薬 剤 に 対 す る ア レル ギ ー の既 用 は殺 菌 的 で あ る1). ヒ トに 静 注 を 行 った 場 合,他 のpenicillin系 抗 生 物 質 に比 して 高 い血 中濃 度 が 得 られ,血 中 半 減 期 は1.6hrと 比 較 的 長 く,ま た 喀 痰 中 移 行 な ど臓 器 移 行 性 も良 好 で あ る と報 告 され て い る1). の 成 績 は第30回 日本 化 学 療 法 学 会 総 会 に て 報 告 さ れ た1).そ の結 果,一 般 臨床 試 験 に お い て 肺 炎 に対 性 気 管 支 炎 に対 して は64.2%の 往 の あ る もの,な らび にASPC又 はPIPCの 皮内 反応陽性例 (8)妊 婦,授 乳 婦 な らび に妊 娠 し て い る可 能 性 の あ る婦 人 本 剤 に つ い て はす で に 多 くの検 討 が 行 わ れ,そ し74.4%,慢 (4)本 治 療 開 始 前 に抗 菌 性 薬 剤 が 投 与 され,既 に 基 を有 す る 半 合 成penicillin系 抗 生 物 質 で あ る.本 剤 は グ ラ ム陽 性菌,グ ラ ム陰 性 菌 に広 範 囲 の 抗 菌 ス ペ ク ト イ ル ス, マ イ コ プ ラ ズ マ,真 菌 な ど を起 炎 菌 とす る もの) 有効 (9)重 篤 な 肝 及 び 腎疾 患 を 有 す る患 者 2.投 与 薬 剤 投 与 薬 剤 お よ び1日 投 与 量 は 次 の とお りで あ る. 率 が 認 め られ,ま た,呼 吸器 感 染 症 全 般 で は73.2% 被 験 薬 剤:ASPC2g力 価/バ イ ア ル ×2回/日 の 有 効 率 で あ った. 対 照 薬 剤:PIPC2g力 価/ノミイ ア ル ×2回/日 今 回,わ れ わ れ は 呼 吸器 感 染 症 に対 す る本 剤 の 各 薬 剤 は 同 一 バ イ アル 瓶 に充 填 し,乾 燥 ケ ー キ 有 効 性 お よ び安 全 性 を よ り客 観 的 に検 討 し有 用 性 の 外 観 お よ び 容 積 等 に よ る 識 別 を 不 能 とす る た を 評 価 す る た めPIPCを め,不 透 明 の ビニ ー ル フ ィル ムで 各 バ イ ア ル を 被 対 照 薬 と した 二 重 盲 検 比 較 試 験 を 実 施 した の で そ の結 果 を 報 告 す る. 1.試 験 方 法 また は 予 備 と し て の2パ 1.対 象 疾 患 な らび に対 象 症 例 昭 和57年10月 よ り昭 和58年7月 1)に て 診 療 を 受 け た 細 菌 性肺 炎 お よ び肺 化 膿 症 ま た は 慢 性 増 悪,感 性 気 管 支 炎,汎 細 気 管 支 炎 の 急 染 を伴 った 気 管 支 拡 張 症,肺 気 腫,気 管 支 喘 息,肺 線 維 症 等)の イ ア ル計30バ イ ア ル を 一 箱 に詰 め,薬 剤 名 「TA・PIPC」 まで に全 国44の 共 同研 究 機 関 お よび そ の 協 力 施 設(Table 性 気 道 感 染 症(慢 覆 した.両 薬 剤 と も1症 例 分28バ イ アル と保 存 用 患 者 で,本 試 験 の参 加 と表 示 し,外 観 上 識 別 が で き ない 様 配 慮 した うえ厳 封 した.両 剤 は4症 例 分 を1組 薬 と し,コ ン トロ ー ラ ー に よ り 無 作 為 に割 付 け,一 連 コー ド番 号 が付 され た. コ ン トロー ラ ーは 愛 媛 大 学 薬 理 学 教 室 小 川 暢 也 教 授 が あ た り,試 験 薬 剤 割 付 の ほ か両 薬 剤 含 有 量 の チ ェ ヅク,キ ー コ ー ドの保 管 お よ び 開 封,回 収 に 同意 が 得 られ た もの を 対 象 と した.年 齢 は15歳 され た 調 査 表 か ら薬 剤 番 号 お よ び主 治 医判 定 部 分 以 上,性 の切 り取 り と切 り取 った 部 分 の保 管,切 別 は 不 問 と した が 下 記 条 件 に 該 当 す る も の は除 外 す る こ と と した. み調 査表 に対 す る新 番 号 の付 与,開 り取 り済 封後 のデ ータ (1)呼 吸 器 感 染 症 状 の 不 明確 な 症 例 の不 変 性 の 保 証 な ど本 試 験 の公 正 さ お よび デ ー タ (2)重 症 で 予 後 不 良 と思 わ れ る症 例 の解 析 の 保 証 を行 うこ と と した.な お1バ イ アル 167 昭 和60年2月20日 Table 1 Collaborating The Second Department of Internal Medicine, Hokkaido Iwamizawa Rosai Hospital and Collaborative Hospitals The First Department of Internal Medicine, Asahikawa clinics University, School of Medicine, and Collaborative Medical College The Third Department of Internal Medicine, Sapporo Medical College and Collaborative Department of Respiratory Diseases, Sapporo Hospital of Japan National Railway Hospital The Second Department of Internal Medicine, Muroran City General Hospital The Third Department of Internal Medicine, Hirosaki University School of Medicine, and Collaborative The Third Department Hospitals Hospitals of Internal Medicine, Iwate Medical University, School of Medicine The First Department of Internal Medicine, Tohoku University, School of Medicine Department of Internal Medicine, The Reseach Institute for Chest Diseases and Cancer, Tohoku University The Second Department of Internal Medicine, Hiraga General Hospital Department of Respiratory Diseases, Takeda General Hospital Department of Respiratory Department of Internal Medicine, Shinrakuen Diseases, Iwaki Kyoritsu General Hospital Department Department of Internal Medicine, Suibarago Hospital of Internal Medicine, Kasumigaura National Hospital Department of Internal Hospital Medicine, Tokyo Kosei Nenkin Hospital The Second Department of Internal Medicine, The Jikei University Chest Clinic, Toranomon Hospital School of Medicine Department of Chest Medicine, National Medical Center Hospital Department Department of Internal Medicine, Juntendo University, School of Medicine of Internal Medicine, Tokyo Kyosai Hospital Department of Internal Medicine, Tokyo Denryoku Hospital The First Department of Internal Medicine, Kyorin University, School of Medicine Department of Internal Medicine, Kawasaki Municipal Hospital Department of Internal Medicine, Yokohama Teishin Hospital The Second Department of Internal Medicine, Nagoya University, School of Medicine The First Department Department Department of Internal Medicine, Nagoya City University, School of Medicin and Collaborative Department of Internal Medicine, Toyama Prefectural Central Hospital Division of Respiratory Disease, Department of Internal Medicine, Kanazawa The First Department of Medicine, Chest Disease Research Medical University Institute, Kyoto University and Collaborative The First Department of Internal Medicine, Kansai Medical University Rakusei New Town Hospital Department Department Hospital of Internal Medicine, Nagoyashi Koseiin Geriatric Hospital of Internal Medicine,,Fujita-Gakuen University, School of Medicine and Department of Internal Hospitals Medicine, of Internal Medicine, Tane General Hospital of Internal Medicine, Izumi City Hospital The Third Department of Internal Medicine, Tokushima University, School of Medicine Department of Repiratory Disease of Internal Medicine, Kawasaki Medical School The Second Department of Internal Medicine, Hiroshima University, School of Medicine The First Department of Internal Medicine, Faculty of Medicine, and School of Health Sciences Kyushu University The Second Department of Internal Medicine, Fukuoka University, School of Medicine The Second Department School of Medicine and Collaborative Hospitals Department of Internal Medicine, Institute for Tropical Medicine, Nagasaki University, and Collaborative The First Department of Internal Medicine, Kumamoto University, School of Medicine and Collaborative of Internal Medicine, Nagasaki University, Hospitals Hospital 中 の 含 有 量 は コ ソ トロー ラ ー に よ り無 作 為 に 抜 き 取 られ た 両 薬 剤 サ ン プ ル に つ き国 立 予 防 衛 生 研 究 所 で 試 験 を行 い,各 々規 格 に 合 う こ とを 確 認 す る とともに本比 較試 験 終 了後 に も同様 に試 験 を行 い.規 格 範 囲 内 で あ る こ とを 確 認 した. ま た,未 使 用 の バ イ ア ル は投 与 終 了後 外 箱 と と も に 回 収 し,コ 3.投 ン ト ロ ー ラ ー に よ り確 認 さ れ た. 与 方 法 お よ び投 与 期 間 両 薬 剤 と も1回1パ イ ア ル1日2回(朝 通 常 の 注 射 用 蒸 留 水 で 溶 解 後200ml∼300mlの ・夕). 糖 168 感 染症 学 雑 誌 液 ま た は 電 解 質 液 に混 じ約1時 間 で 点 滴 静 注 に て 投 与 す る こ と と し,投 与 期 間 は原 則 と して14日 間 連 続 して行 うこ と と した. 症 に 対 す る 処 置 は,内 6.症 第59巻 第2号 容 を 記 録 す る こ と と し た. 状 の 観 察 お よ び臨 床 検 査 観 察 項 目 は 下 記 の と お り と し,原 則 と し て毎 日 4.投 与 中 止 ま た は 他 剤 へ の変 更 実 施 す る こ と と した が毎 日実 施 で きな い 場 合 は 少 以 下 の事 項 に該 当す る場 合 は投 与 を 中 止 して も な く と も投 与 前,投 与 開 始3日 後,7日 後,14日 よい こ と と した が,投 与 中 止 時 点 で の所 定 の 検 査 後 に は 必 ず 実 施 す る こ と と し た.但 を 可 能 な 限 り実 施 し,そ の 結 果 を 中止 の 理 由 と と 実 施 で き な か っ た 場 合 は そ の 前 後1日 も に調 査 表 に 記 載 す る こ と と した. し た デ ー タ で か え る こ と が で き る こ と と し た.14 1)副 作 用 ま た は検 査 値 異 常 の た め 投 与 継 続 が 不 可 能 と判 断 され た 場 合 定 日に 以 内 に実 施 日未 満 で 投 薬 中 止 した 場 合 に も中 止 時 点 で 必 ず 観 察 す る こ と と し た. 2)試 験 対 象 が 除 外 条 件 に 該 当 す る患 者 で あ る こ とが 投 与 開 始 後 判 明 した場 合 3)症 状 が 著 し く悪 化 した 場 合 4)そ の 他,担 観 察項 目 (1)体 温(1日4回)… (2)咳 実測値 …廾,+,-(廾:睡 当医 が中止 の必 要 を認 めた場 合 (完 全 治 癒 の 場 合 も含 む) 度,+:あ (3)痰(量)… 眠 が 障 害 さ れ る程 り,-:な ml未 投 与 薬 剤 を無 効 と判 断 し他 剤 に 変 更 す る場 合, ミイ ア ル投 与)経 過 した 後 に行 う もの と し 以 上,廾:10ml∼50 満/日,+:10ml未 日,-:な た. し) 卅:50ml/日 無 効 の 判 定 は投 与 開 始 後 少 な く と も72時 間(3日 間,6ノ し,判 (性 状)… 膿 性(P),粘 膿 性(PM),粘 (4)呼 吸 困 難 … 廾,+,-(廾:起 5.併 用 薬 剤 満/ し り,-:な 性(M) 坐 呼 吸,+:あ し) 1)併 用 禁 止 薬 (5)胸 痛 … +,-(+:あ 以 下 の薬 剤 は 併 用 を 禁 止 す る こ と と した. (6)胸 部 ラ 音 … +,-(+:あ a)他 の抗菌性薬剤 (7)チ ア ノ ー ゼ … +,-(+:あ b)副 腎 皮 質 ス テ ロイ ド.但 し,本 試 験 開 始10日 (8)副 作 用 … 発 現 日 よ り具 体 的 に 記 録 す る. 以 上 前 か らス テ ロイ ドが投 与 され て い て,本 試 験 開 始 前10日 以上 にわ た って ス テ ロイ ド投 与 に よ る と考 え られ る症 状 の変 化 が 認 め られ ず,且 つ本試 り,-:な し) り,-:な り,-:な 検 査 項 目 は 胸 部 レ ン トゲ ン撮 影,赤 値),CRP,赤 血 球 数,ヘ し) し) 沈(1時 間 モ グ ロ ビ ン,ヘ マ ト ク リ ッ ト,白 血 球 数,白 血 球 分i類,血 小 板 数,GOT,GPT, 験 終 了 時 ま で 同 量 あ る い は そ れ 以 下 の量 の ス テ ロ A1-P,血 イ ドが 継 続 投 与 され る場 合 は 差 支 え な い こ と と し 尿 沈 渣 と し,い ず れ も原 則 と し て 投 与 前,投 た. 始7日 後 また は投 与 終 了 時 に 検 査 す る こ c)非 ス テ ロ イ ド性 消 炎 剤,消 炎 酵 素 剤,解 熱 鎮 清 ク レ ア チ ニ ン,BUN,尿 後,14日 と と し た.な お 胸 部 レ線 撮 影,赤 痛 剤,お よび γ一グ ロ ブ リン製 剤 に つ い て は原 則 と 球 数 は 投 与 開 始3日 し て併 用 を 禁 止 す る こ と と した が,や む を え ず 併 イ コ プ ラ ズ マ 抗 体 価,寒 用 した 場 合 は,薬 剤 名,投 験,血 与 法,投 与 期 間 お よび 使 用 目的 を 記 録 す る こ と とした. 2)併 用 を認 め る薬 剤 桧 痰 剤,鎮 咳 剤,気 管 支 拡 張 剤,消 炎効果 を も た な い喀 痰 融解 剤 は併 用 を 認 め る が,併 用 した 場 合 は 内 容 を記 録 す る こ と と した. 糖, 与開 沈,CRP,白 血 後 も検 査 す る こ と と し た.マ 冷 凝 集 反 応,ク 清 ビ リル ビ ン は 投 与 前,投 ー ム ス試 与 開 始14日 後 ま た は 投 与 終 了 時 に 検 査 す る こ と と し た.ま た動脈 血 ガ ス 分 圧(PaO2,PaCO2)お 可能 な 限 り実 施 す る こ と と し た(Table よ びpHは 2). 投 与 期 間 中 に現 れ た 随 伴 症 状 お よ び臨 床 検 査 値 の 異 常 に つ い て はす べ て そ の結 果 に 関 して検 討 を 3)そ の 他 補 液,強 心 剤 等 の 投 与,ま 蛋 白,尿 加 え る と と も に そ の 後 の 経 過 を 可 能 な 限 り追 跡 調 た,基 礎 疾 患,合 併 査 す る こ と と し た. 昭 和60年2月20日 169 Table *: Items to be tested 2 Laboratory as far as it is possible 7.起 炎 菌 の検 索 投 与 前,投 tests scheduled 1)主 治 医 に よ る判 定 与 中,投 与 後 に は 各 施 設 で 必 ず 喀 痰 感 染 症 お よ び基 礎 疾 患,合 併 症 の 重 症 度 に つ い 培 養 等 に よ り起 炎 菌 の検 索 を 実 施 し,そ の 消 長 を て は,主 検 討 す る こ と と し,分 離 し得 た 起 炎 菌 と考 え られ に 判 定 す る こ と と した.ま た,臨 床 効 果 は 投 与 終 治 医 に よ り重 症,中 等 症,軽 症 の3段 階 る菌 は,東 京 総 合 臨 床 検 査 セ ン タ ー(研 究 部 出 口 了 時 に 著 効,有 効,や や 有 効,無 効,判 浩 一 部 長)に よび 判 定 す る こ と と した.細 菌 学 的 効 果 判 定 は 起 炎 菌 測定 す るこ ととし を 確 定 し得 た 場 合 の み 実 施 し,消 失,減 少,不 変, PIPCに 送 付 し,菌 の 同 定,ASPCお 対 す る感 受 性(MIC)を た. 8.重 症 度,効 果,有 菌 交 代,不 用 性 の判 定 定不能 に 明 に判 定 す る こ と と した.有 用 性 は 臨 床 効 果 と副 作 用,臨 床 検 査 値 等 の安 全 性 を考 慮 に 170 感 染 症 学雑 誌 第59巻 第2号 入 れ,極 め て 有 用,有 用,や や 有 用,有 用 性 な し, 日の順 に 整 理 し読 影 の 客 観 性 を期 した.上 記 の 調 判 定 不 能 に 判 定 す る こ と と した. 査 表 と レ線 フ ィル ムを も とに して,1例 ご と に診 2)小 委 員 会 に よ る判 定 断 名 を確 定 し,本 試 験 実 施 要 綱 に 照 ら しな が ら解 投 薬 終 了 後 各 研 究 機 関 の 担 当 医 が デ ー タ を記 入 析 対 象 と して の適 否 を 検 討 す る と と も に重 症 度, した 調 査 表 は,コ ン トロ ー ラ ー に よ り無 作 為 に新 しい 番 号 が 付 与 され,主 関 名,担 効 果 お よび 有 用 性 に つ き判 定 した. 治 医 に よ る判 定,研 究 機 当 医 師 名 お よび コ ー ド番 号 が 記 載 され た 感 染 症 の 重 症 度 は 臨 床 症 状,胸 部 レ線 所 見 お よ び臨 床 検 査 所 見 か ら重 症,中 等 症,軽 症 の3段 階 部 分 が 取 られ た 後 に小 委 員 会 に よ る判 定 の 資 料 と に判 定 した.臨 床 効 果 は 臨 床 症 状 お よ び胸 部 レ線 した. 所 見 の 改善 度 に よ り著 効,有 効,や 全 症 例 の胸 部 レ線 フ ィル ム に は薬 剤 番 号,患 者 名,研 て,一 連 番 号 が 付 与 され た後,1枚 ご とに 病 巣 の 拡 が り,陰 影 の 性 状 等 か ら レ線 所 見 の重 症 度 を0 (正 常)∼10点(最 効 の4段 階 に 判 定 し た. 究 機 関 名,撮 影 年 月 日を ブ ライ ン ド化 し, さ らに 肺 炎 例 の レ線 フ ィル ム は ラ ン ダ ム 化 され や 有 効,無 細 菌 学 的 効 果 につ い て は 個 々 の症 例 の 起 炎 菌 を 確 定 した後,治 療 前 後 の 起 炎 菌 を追 跡 し得 た症 例 に つ い て,消 失,減 少,部 分 消失,不 変,菌 交 代, 不 明 に判 定 した. 重 症)ま で の11段 階 に 採 点 した. 副 作 用 お よ び臨 床 検 査 値 異 常 に つ い て は各 主 治 フ ィル ム の採 点 終 了 後 これ を 各 症 例 毎 にi撮影 年 月 医 が調 査 表 に 記 入 した 事 項 を も とに,薬 剤 投 与 に Table Table 4 Evaluation 3 Criteria criteria for evaluation of symptoms, signs of utility and laboratory findings 昭 和60年2月20日 171 よ る もの と考 え られ た 症 状 お よ び 臨床 検 査 値 異 常 め た 臨 床 効 果 判 定 と副 作 用 お よ び臨 床 検 査 値 に よ を確 認 し,そ の重 症 度 を 重 症,中 等 症,軽 症 に 分 る安 全 性 判 定 を 組 み 合 わ せ た 判 定 基 準 に よ り 類 して 判 定 した.こ (Table の場 合 の 判 定 基 準 は,生 死 に か かわ る重 篤 な も の,あ る い は投 薬 中 止 後 も判 定 な し,判 定 不 能 に 判 定 した. 3)症 状所 見 お よ び 臨床 検 査 値 の変 動 時 ま で症 状,所 見 の 回復 して い な い もの を 重 症, 主 治 医 が 調 査 表 に 記 載 し た 各 症 例 の症 状,所 投 薬 中止 あ るい は何 らか の 処 置 を必 要 と した もの を 中等 症,何 ら処 置 を 必 要 とせ ず 投 薬 を 継 続 で き た も の を軽 症 と した.有 用 性 判 定 は 小 委 員 会 の定 Table 5 3),極 め て 有 用,有 用,や や 有 用,有 用 性 お よび 臨 床 検 査 値 の程 度 はTable 見 4に 示 す 基 準 に 分 類 し,治 療 前 の状 態 と比 較 し治 療 開 始3日 後, Case distribution 172 感染 症 学 雑誌 第59巻 7日 後 お よび14日 後 また は投 与 終 了 時 の推 移 につ コ ー ド開 封 後 背 景 因 子,臨 い て 検 討 した. 細 菌 学 的 効 果,副 作 用 お よ び有 用 性 等 が 解 析 され 9.除 外,脱 落 の決 定 落 の判 定 が 行 わ れ,コ を確 認 した.主 ン トロー ラ ーが これ 治 医 判 定 に お い て は,主 治 医 が 自 ら除 外 あ る い は 脱 落 とし た症 例 な らび に調 査 表 記 解 析 に は 各 々の 項 目 の 性 質 に 応 じ てManrWhitneyのU検 定,x2検 定,Fisherの 算 法 等 に よ っ て 行 わ れ,両 0.05)を 直接確 率計 側 危 険 率5%(P< 有 意 水 準 と した. II.試 験 成 績 載 内 容 か ら明 らか に実 施 要 綱 に 合 致 しな い と判 断 1.小 委 員 会 判 定 され た 症 例 を コ ン トロー ラ ーが 確 認 の うえ除 外, 脱 落 を 決 定 した. 10.キ 状 改 善 度, た. 小 委 員 会 に お い て 本 試 験 実 施 要 綱 に照 ら し,除 外,脱 床 効 果,症 第2号 本 試 験 に お い て対 象 と さ れ た 総 症 例 数 は276例 ー コ ー ドの 開 封 (ASPC136例,PIPC140例)で 小 委 員 会 の 判 定 が 行 わ れ た 後,各 研 究 機 関 の試 あ った(Table 5). 小 委 員 会 に お い て解 析 対 象 の適 否 を 検 討 し,本 比 験 実 施 担 当者 が 集 ま り,コ ン トロー ラ ー列 席 の も 較 試 験 実 施要 綱 の規 定 に 合 わ な い29例 を 除 外,5 とに 小 委 員 会 判 定 内 容 に つ い て 報 告,討 例 を脱 落 と した(Table 了 解 を 得 た 後,全 議 され, 症 例 の デ ー タを 固 定 し,コ ン ト ー タの 解 析 処 理 の 内 容 はTable 6 除 外 例 は29例 で そ の 内 訳 は,対 象 外 疾 患(急 性 に示 す とお りで あ る. ロ ー ラ ー に よ りキ ー コ ー ドが 開 封 さ れ た. 11.デ 気 管 支 炎,胸 各 症 例 の調 査 表 記 載 事 項 お よ び小 委 員 会 に よ る 判 定 事 項 は す べ て コン ピ ュ ー タ ー に入 力 し,キ ー Table 6 5).そ 膜 炎,膿 胸,肺 た もの15例,重 結 核 等)と 判 断 され 症 で 予後 不 良(重 篤 な基 礎 疾 患 の も の も含 む)の た め効 果 判 定 に不 適 当 と判 断 され Cases for exclusion and drop out 昭和60年2月20日 た もの5例,本 173 試 験 開 始 前 に 抗 菌 剤 が投 与 され(前 投 与 抗 生 剤)改 善 中 の もの2例,本 前 にPIPCが i)診 断 名 菌剤併 結 核 剤 併 用 の もの1例,ス イ ド剤 併 用 の もの2例,感 1例,皮 試 験 開 始3日 投 与 され て い た もの1例,抗 用 の もの1例,抗 1)対 象 患 者 の背 景 因 子 に関 す る検 討 テロ 染 症 状 が不 明 確 な もの 内反 応 陽 性 と判 明 し,投 薬 され な か った 診 断 名 はTable 7に 示 す とお りで あ り,そ の診 断名 の 分 布 に は,両 薬 剤 間 に 有 意 の偏 りは なか っ た.細 菌 性 肺 炎 群(細 菌 性 肺 炎 お よ び肺 化 膿 症, 以 下 「細 菌 性 肺 炎 群 」 と略 す),マ イ コプ ラズ マ肺 もの1例 で あ った.脱 落 と され た も の は5例 で, 炎 ・PAP群,慢 そ の 内 訳 は,患 者 が 転 院 し経 過 不 明 の もの1例, も両 薬 剤 群 間 に有 意 の 偏 りは な か った. に 層 別 して ii)性 別,年 齢,体 重,前 投 与 抗 生 剤 の 有 無,併 投 与 日数 不 足 の た め 各 種 判 定 不 能 の も の2例,副 作 用 の た め 投 与 が 中 止 され,効 果 判 定 不 能 の もの 1例,ス 性 気 道 感 染 症 群 の3群 用 薬 の有 無(Table 8) テ ロイ ド剤 が 本 試 験 中 に 増 量 され た もの これ らの項 目に お い て は,全 症 例 お よ び各 疾 患 1例 で あ った.こ れ らの 対 象 選 択 除 外 例 お よび 脱 群 別 に 層 別 して も両 薬 剤 群 間 に 有 意 の 偏 り は な 落 例 の頻 度 に つ い て は 両 薬 剤 群 間 に 有 意 な偏 りは か った. 認 め られ な か った. iii)重 症 度(Table 従 っ て,臨 床 効 果 判 定 は 上 記 の 除外 ・脱 落 計34 例 を 除 い た242例(ASPC122例,PIPC120例)に 感 染 症 の重 症 度 に お い て も両 薬 剤 群 間 に有 意 の 偏 りは な か っ た. つ い て 行 わ れ た.副 作 用 の検 討 は重 篤 な 基 礎 疾 患 iv)基 礎 疾 患 ・合 併 症(Table あ るい は他 の薬 剤 併 用 の た め 判 定 困 難 と され た16 例(ASPC5例,PIPC11例)が 除 外 され,副 作 用 判 定 お よ び 有 用 性 判 定 は260例(ASPC131例, PIPC129例)に つ い て 行 わ れ た(Table Table 7 8) 基 礎 疾 患 ・合 併 症 の 有 無 お よ び そ の 疾 患 をA 群;悪 性 腫 瘍,膠 原 病,心 不 全,中 等 感 染 症 の 経 過,予 5). Diagnosis 8) る疾 患,B群;そ of respiratory tract infections 枢神経 系疾患 後 に影 響 が 大 き い と考 え られ の 他 の疾 患,A+B群;両 疾 患を 感染症学雑誌 174 Table 8 Table 合 併 す る症 例 の3群 Backgrounds of patients (Adopted by committee) 9 Reasons for discontinuation に層 別 して も両 薬 剤 群 間 に有 与期間 14日 間 投 与 を原 則 と した が,14日 of medication か った 症 例 の 主 な理 由 は 治 癒 した た め で あ った. そ の 他 の理 由 と して は 無 効 のた め,転 院 の た め, 意 の偏 りは な か った. v)投 第59巻 第2号 主 治 医 が投 与 中 対 象 外 疾 患 と判 定 した た め,主 治 間 投 与 され な 医 が 投 与 中 副 作 用 等 の 異 常 が 出現 した と判 断 した 昭 和60年2月20日 175 た め 等 で あ っ た(Table 9).投 与 期 間 お よび 投 与 中 止 理 由 につ い て は 両 薬 剤 間 の 分 布 に 有 意 の偏 り は な か った(Table 8,9). 投 与 前 に お け る体 温,咳 起 炎 菌 と して 検 討 で きた もの は,単 独 感 染 例 で 漱,喀 痰 量,喀 痛,胸 部 ラ音,チ 血 球 数,赤 沈 値,CRP値,動 PaCO2)に の 偏 りは認 め られ な か った. vii)起 炎 菌 vi)初 診 時 症 状,所 見 状,呼 吸 困難,胸 に 示 す とお りで あ り,両 群 と も両 薬 剤 群 間 に有 意 痰 の性 ア ノ ーゼ,白 脈 血 ガ ス分 圧(PaO2, つ い て の 有 症 状 率 お よ び症 度 の 分 布 に はASPC群49例,PIPC群55例 でH.influenzae が最 も多 く,つ い でS.pneumoniae,K.pneumoniaeの 順 で あ っ た.ま 群8例,PIPC群10例 た 複 合 感 染 症 例 はASPC で あ った.こ れ ら起 炎 菌 の検 つ い て 検 討 した が,両 薬 剤 群 間 に 有 意 の偏 りは な 出 数 お よ び起 炎 菌 の 種 類 の 分 布 をTable く,ま た 疾 患 別 に層 別 して も有 意 の 偏 りは な か っ し た. た(Table 10).投 与 前 に お け る細 菌 性 肺 炎 群 お よ び マ イ コ プ ラズ マ肺 炎 ・PAP群 (小 委 員 会 の判 定 した 点 数)に で の胸 部 レ線 所 見 つ い て はTable Table 10 11 Initial 12に 示 これ ら起 炎 菌 と判 定 され た菌 株 の うち,東 京 総 合 臨 床 検 査 セ ソ タ ーで 両 薬 剤 のMICが 測 定 され た も の は90株 あ り,そ の うち代 表 的 な も のS.研 symptoms and signs 感染 症 学 雑誌 176 第59巻 第2号 Table 10 (Continued) Table 11 Initial X-ray finding (Committee) reus, S. pneumoniae, enzaeのMICの moniaeで K. pneumoniae, 分 布 をFig.1に はPIPCがASPCよ た が,他 の3菌 H. influ- 示 し た.Kpneu- (75.0%),や り感 受 性 が 高 か っ 種 で は ほ ぼ 同 等 のMIC分 PIPC群120例 布 を示 (8.3%)で で は 著 効4例(3.3%),有 効90例 や 有 効16例(13.3%),無 効10例 有 効 率 は78.3%で あ り,両 薬 剤 群 間 に 有 意 差 は 認 め られ な か った.重 症 度,基 礎 疾 患, 合 併 症 の 有 無 お よ び そ の 疾 患 を 前 述 の ご と くA, し た. 2)臨 床 効果 B,A+B群 に層 別 した 場 合,ま た 前 投 与 抗 生 剤 の i)全 症例 有 無,併 用 薬 の有 無 につ い て 層 別 解 析 を 行 っ て も 全 症 例 に つ い てASPC群122例 (2.5%),有 効90例(73.8%),や (13.9%),無 効12例(9.8%)で (以 下 「有 効 率 」 と 略 す)は76.2%で 臨 床 効 果 につ い て は両 薬 剤 群 間 に有 意 差 は 認 め ら の う ち 著 効3例 れ な か った(Table や 有 効17例 有効 以上の有効 率 あ っ た.一 方 13). ii)細 菌 性 肺 炎 群 細 菌 性 肺 炎 群 に お い て はASPC群66例 の うち 昭和60年2月20日 177 Table 著 効1例(1.5%),有 7例(10.6%),無 77.3%で (6.2%),有 (7.7%),無 効50例(75.8%),や 有 効 率 は たPIPC群65例 効51例(78.5%),や 効5例(7.7%)で Distribution や有効 効8例(12.1%)で あ っ た.ま 12 iii)マ 例 で 有 効 率 は75.0%,PIPC群5例 iv)慢 有 効 率 は84.6%で 定, 外両薬剤群 間に有意 14). で 有 効 率 は80.0%で で は 有 効4例, あ り,両 薬 剤群間 に 15). 慢 性 気 道 感 染 症 群 に お い て はASPC群48例 有 効10例(20.8%),無 75.0%で 例(70.0%),や の 効35例(72.9%),や 効2例(4.2%)で あ っ た.PIPC群50例 で は 著 効0,有 や 有 効11例(22.0%),無 有 効 率70.0%で,両 は 認 め ら れ な か っ た.ま に お い て は 効2 性気道感染 症群 う ち 著 効1例(2.1%),有 (8.0%)で イ コ プ ラ ズ マ 肺 炎 ・PAP群 マ イ コ プ ラ ズ マ 肺 炎 ・PAP群 効5例,無 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た(Table 用 薬 な しの 項 目で 両 薬 剤 群 差 は 認 め ら れ な か っ た(Table の うち 著 効1例,有 無 効1例 間 に 有 意 差 が 認 め ら れ た(ASPC<PIPC,U-検 P<0.05,Fisher,P<0.05)以 ASPC群8例 や 有 効5例 礎 疾 患 ・合 併 症 の 有 無 別 等 に つ い て 層 別 解 析 を 行 っ た が,併 organisms で は 著 効4例 あ り両 薬 剤 群 間 に 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た.重 症 度 別,基 of causative や 有 効率 効35 効4例 薬 剤 群 間 に有 意 差 た各種 の層別解析 を行 っ て も 両 薬 剤 群 間 に 有 意 差 は 認 め ら れ な か った 感染 症 学 雑誌 178 Fig.1 (Table Table 16).慢 Sensitivity distribution 性 気 道 感 染 症 群 の 疾 患 別 の 内訳 は 第2号 (Inoculum size: 106cells/ml) は認 め られ な か った.次 い で感 染 を伴 った 気 管 支 性気管支炎 が 拡 張 症 はASPC群12例,PIPC群7例,感 染を で 最 も 多 く,有 効 率 は 伴 った 肺 気 腫ASPC群2例,PIPC群10例 等で あ 17に 示 す と お りで あ っ た.慢 ASPC群19例,PIPC群18例 各 々84.2%,83.3%で of isolated organisms 第59巻 あ り,両 薬 剤 群 間 に有 意 差 り,こ れ ら疾 患 の 臨 床 効 果 に つ い て も両 薬 剤 群 間 Table 13 Clinical effects judged by committee (All cases) 179 昭 和60年2月20日 Table 13 (Continued) Table 14 Clinical effects judged by committee (Bacterial pneumonia) 感 染 症 学雑 誌 180 第59巻 第2号 Table 15 Clinical effects judged by committee (MP pneumonia, PAP) に 有 意 差 は 認 め られ な か っ た(Table 3)症 状,所 治 療 前,治 け る 体 温,咳 胸 痛,胸 見,検 部 ラ音,チ 後,7日 痰 量,喀 後,14日 痰 の 性 状,呼 ア ノ ー ゼ,白 血 球 数,血 脈 血 ガ ス 分圧(PaO2,PaCO2)の 所 見,検 査 成 績 の 改 善 度 をFig.2∼5に 査成績 の改善度 療 開 始3日 漱,喀 CRP,動 17). 後 にお 吸困難 沈 値, 各 症 状, 示 した. これ らの い ず れ の 項 目に お い て もそ の 改 善 度 に ASPC群 お よ びPIPC群 の間 に有 意 な差 は 認 め られ な か っ た.ま た 細 菌 性肺 炎 群,マ Table 16 Clinical effects judged by committee (Other RTI) イ コプ ラズ 181 昭 和60年2月20日 Table 16 (Continued) Table 17 Clinical effects classified by diagnosis among other RTI group judged by committee 182 感 染症 学 雑誌 Fig.2 Fig.3 improvement improvement of symptoms and findings (all caces) of symptoms and findings (Bacterial pneumonia) 第59巻 第2号 183 昭和60年2月20日 Fig.4 improvement of symptoms and findings (Mycoplasmal pneumonia PAP) Fig.5 improvement of symptoms and findings (other RTI) and 184 感 染 症 学雑 誌 マ肺 炎 ・PAP群,慢 性 気 道 感 染 症 群 の疾 患 群 別 に 層 別 して 改 善 度 を み て も両 薬 剤 群 間 に有 意 な 差 は 認 め られ な か った.細 ラズ マ 肺 炎 ・PAP群 度 をTable 18に,ま た 細 菌 性 肺 炎 群 の各 時 点 で の レ線 所 見 の 点 数 の 分 布 をFig.6に 群 とPIPC群 示 した.ASPC 善 度 に 有 意 な差 は認 め られ な か った. 4)細 菌 学 的 効 果 Table Fig.6 18 Degree Improvement 示 し た. 単 独 感 染 例 の 全 症 例 に つ い て み る と,S.aureus で はASPC群 の細 菌 学 的 効 果 は 菌 消 失 と菌 交 代 を 合 計 し た 消 失 率 で80.0%,臨 60.0%で の 間 に は い ず れ の 時 点 に お い て も改 第2号 起 炎 菌 別 細 菌 学 的 効 果 お よ び 臨 床 効 果 はTable 19,20,21,22に 菌性肺炎群 お よびマイ コプ に お け る胸 部 レ線 所 見 の 改 善 第59巻 あ り,PIPC群 で は 各 々50.0%,75.0%で あ っ た.S.pneumoniaeで 100%,有 効 率100%,ま 86.7%で あ っ た.両 of improvement of X-ray of X-ray finding (Bacterial 床 効 果 の有 効 率 は はASPC群 たPIPC群 の消失率 は で は 各 々100%, 者 を 合 計 した グ ラ ム 陽 性 球 菌 findings pneumonia) 昭 和60年2月20日 185 186 感 染 症学 雑 誌 第59巻 第2号 187 昭 和60年2月20日 で はASPC群 たPIPC群 の 消 失 率90.9%,有 効 率81.8%,ま で は 各 々82.6%,82.6%で 両薬 剤群間 に 有 意 差 は 認 め られ な か っ た. H.influenzaeで 90.0%,有 82.6%で %,PIPC群 はASPC群 の 消 失 率 は はASPC群 の 消 失 率 は27.3 両薬剤群間 に有意差が認 め ら れ た が(Fisher,P<0.05),有 両 薬 剤 群 間 に 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た.グ ASPC群 ラム陰 性菌 合 計 で は の 消 失 率65.8%,有 両i薬剤 群 間 に 有 意 差 は 認 め られ な か っ た.起 炎 菌 合 計 で はASPC群 消 失 率71.4%,有 効 率85.7%,PIPC群 85.2%,81.8%で,両 れ な か っ た(Table 薬剤群 間に有意差 は認め ら 19). 菌性肺炎群 にお い 効 率83.3%,PIPC群 %,PIPC群 で は 各 々90.0%, で は100%で はASPC群 の 消 失 率 は22.2 両 薬 剤 群 間 に有 意 差 が 認 め ら れ た が(Fisher,P<0.05),有 群66.7%,PIPC群66.7%で 差 は 認 め ら れ な か っ た.グ ASPC群 の消失率 両 薬 剤 群 間 に 有 意 差 は 認 め られ な か っ た.Kpneumoniaeで 20).慢 の 消 失 率57.1%,有 群 で は 各 々93.3%,93.8%で,両 効 率 で はASPC 両 薬 剤 群 間 に有 意 ラ ム陰 性 菌 合 計 で は 効 率85.7%,PIPC 薬 剤 群 間 の消 失 Table 23 両 薬 性気道感 染症群 に おい て は,グ ラ ム 陽 性 菌 合 計 で はASPC群 100%,有 効 率80.0%,PIPC群 76.9%で,両 の 消失 率 で は 各 々76.9%, 薬 剤 群 間 に有 意 差 は認 め られ な か っ 73.3%,有 効 率86.7%,PIPC群 64.3%で,両 Side effects の消失率 で は 各 々85.7%, 薬 剤 群 間 に有 意 差 は 認 め られ な か っ 炎 菌 合 計 で はASPC群 効 率85.0%,PIPC群 の 消 失 率80.0%,有 で は 各 々81.5%,70.4%で, 両 薬 剤 群 間 に 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た(Table 21). 複 合 感 染 例 はASPC群 例 で あ っ た.ASPC群 各 疾 患 群 別 に 層 別 す る と,細 90.0%で の で は各 々 て,ま ず グ ラ ム 陽 性 菌 合 計 で はASPC群 83.3%,有 で は 各 々92.0%,92.3%で 剤 群 間 の 消 失 率 に 有 意 差 が 認 め ら れ た(Fisher, た.起 効 率86.8%,PIPC 群 で は 各 々87.1%,81.3%で の 消 失 率63.0%,有 た.ま た グ ラ ム 陰 性 菌 合 計 で はASPC群 効 率 で は,ASPC 群72.7%,PIPC群50.0%で 効 率 P<0.05)(Table で は 各 々90.9%, 両薬 剤 群 間 に有 意 差 は認 め られ な かっ で は100%で た起 炎 菌 合 計 で はASPC群 85.2%,PIPC群 効 率90.0%,PIPC群 た.K.pneumoniaeで 率 に 有 意 差 が 認 め ら れ(Fisher,P<0.05),ま は37.5%,PIPC群 で8例,PIPC群 で は10 の 消 失 率 は75.0%,有 効率 で は 各 々66.7%,80.0%で,両 薬 剤 群 間 に 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た(Table 22). 5)副 作 用 お よび 臨 床 検 査 値 異 常 副 作 用 発 現 症 例 と 判 定 さ れ た も の はASPC群 で7例 で あ り,そ 6例 で4.7%で の 発 現 率 は5.3%,PIPC群 あ っ た.発 現 率 に つ い て は 両 薬 剤 群 間 に 有 意 差 は な か っ た(Table 23). 副 作 用 の 内 容 を み る とASPC群 発疹 ・ 発 熱1例,悪 群 で は 発 疹1例,発 judged by committee では 寒1例,食 熱3例,発 で は 発 疹4例, 欲 不 振1例 で,PIPC 疹 ・発 熱1例,発 188 感 染症 学 雑 誌 疹 ・胸 部 熱 感1例 で あ った.副 さ れ た 例 はASPC群 あ った(Table 作 用 の為 投 与 中 止 で6例,PIPC群 で5例 で 23).な お これ ら副 作 用 は い ず れ も て,重 症 度 を 重 症,中 て み る と,重 の はASPC群 等 症,軽 症 の も の は1例 (4.7%),軽 復 した.臨 床 検 査 値 異 常 検 討 対 象 例252例(ASPC PIPC群24例(18.6%)で 127例,PIPC125例)の 差 は 認 め ら れ な か っ た(Table 上 げ られ た 症 例 はASPC群 %),PIPC群 で28例(発 で32例(発 現 率22.4%)で 第2号 症 の3段 階 に分け も な く,中 等症 の も で7例(5.3%),PIPC群 投 与 終 了 後10日 以 内 に 軽 快 ま た は 消 失 し,正 常 に うち異 常 発 現 例 と して取 り 第59巻 で6例 症 の も の はASPC群31例(23.7%), あ り,両 薬 剤 群 間 に有 意 25). 現 率25.2 6)有 発現 率に 極 め て 有 用 お よ び 有 用 と 判 定 さ れ た 例 はASPC 用 性判定 つ い て は 両 薬 剤 群 間 に 有 意 差 は な く,ま た 臨 床 検 群 で は91例(73.4%),PIPC群 査 異 常 の 主 な も の はGOT,GPT,A1-P等 で 両 薬 剤 群 間 に 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た. の 上 昇, で は92例(74.2%) 好 酸 球 の増 多 等 で あ り,臨 床 検 査 値 異 常 のた め 中 ま た 疾 患 別 に 層 別 し て み る と,細 菌 性 肺 炎 群 で は, 止 され た例 は1例 ASPC群 も な か った(Table 24). これ らの 副 作 用 お よび 臨 床 検 査 値 異 常 を 合 わ せ Table 24 a, d: Discontinued because of eruption b: Discontinued because of fever c: Discontinued because of eruption Table 25 Degree Abnormal and laboratory の 有 用 以 上 の 有 用 率(以 と 略 す)は74.2%,PIPC群83.1%で findings judged by committee fever of side effects and abnormal laboratory findings judged by committee 下 「有 用 率 」 両 薬 剤 群 189 昭 和60年2月20日 Table Table 27 26 Utility judged by committee Background of patients(Adopted by doctors in charge) 190 感 染症 学 雑誌 間 に有 意 差 は 認 め られ ず,マ PAP群 80.0%で イ コ プ ラズ マ肺 炎 ・ の 有 用 率 もASPC群66.7%,PIPC群 あ り,両 薬 剤 群 間 に有 意 差 は 認 め られ な か っ た.慢 性 気 道 感 染 症 群 で はASPC群 は73.5%,PIPC群 で は66.7%で め られ な か った(Table 診 断 名 お よび 性 別,年 Table の有 用 率 あ り有 意 差 は 認 26). 第2号 齢等の背景 因子の分布 は 27に 示 した.小 委 員 会 判 定 の場 合 と 同様 こ れ らの 背 景 因 子 の 分 布 に お い て 両 薬 剤 群 間 に有 意 の偏 りは認 め られ な か った. 2)臨 床 効 果 i)全 症 例 2.主 治 医 判 定 全 症 例 に お い て はASPC群121例 主 治 医 に よ る効 果 判 定 の 解 析 に つ い て は,主 治 例(21.8%),有 医 判 定 を も とに コン トロ ー ラ ー が 除外 ・脱 落 の取 %),無 扱 い を 確 認 の うえ決 定 した.そ 83.2%で の結 果,31例 が除 効73例(61.3%),や 効11例(9.2%),判 あ り,PIPC群124例 外 ・脱 落 と され,解 析 対 象 例 数 は245例(ASPC121 %),有 例,PIPC 無 効10例(8.1%)で 124例)で 第59巻 あ った(Table 5,6).ま た有 効66例(53.2%),や の うち 著 効26 や 有 効9例(7.6 定 不 能2例 で有効率 は で は著 効33例(26.6 や 有 効15例(12.1%), 有 効 率 は79.8%で あ り,両 薬 用 性 判 定 の解 析 対 象 例 数 は 皮 内 反 応 陽 性 の 理 由で 剤 群 間 に 有 意 差 は 認 め られ な か った.重 投 薬 され な か った1例 礎 疾 患 ・合 併 症 の有 無,前 投 与 抗 生 剤 の 有 無,併 例,PIPC 140例)で を除 い た275例(ASPC135 あ った(Table 5). 1)対 象 患 者 の 背 景 因 子 に 関 す る検 討 Table 28 用 薬 の 有 無 の 層 別 解 析 で は,A群 症 度,基 の 基 礎 疾 患 ・合 併 症 の 有 りの 項 目で 両 薬 剤 群 間 に 有 意 差 が 認 め ら Clinical effects judged by doctors in charge(All cases) 昭 和60年2月20日 191 れ た が,(ASPC<PIPC,U検 定,P<0.05),そ れ し の項 目に お い て両 薬 剤 群 間 に有 意 差 が 認 め られ 以 外 の項 目で は両 薬 剤 群 間 に有 意 差 は 認 め られ な た(ASPC<PIPC,Fisher,P<0.01).こ か っ た(Table の 項 目で は 両 薬 剤 群 間 に 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ 28). た(Table ii)細 菌 性 肺 炎 群 細 菌 性 肺 炎 群 に お い て はASPC群65例 著 効15例(23.1%),有 効39例(60.0%),や 効4例(6.2%),無 効7例(10.8%)で 83.1%で 方PIPC群66例 あ っ た.一 (37.9%),有 効34例(51.5%),や (4.5%),無 あ り,両 の うち 効4例(6.1%)で や有 有効率 は た だ し,重 症 度,基 例 の うち 著 効1例,有 や 有 効3例 1例,有 り,両 礎 疾 患 ・合 併 症 の 有 無 等 に よ り層 別 解 析 を 行 っ て み る と,重 症 度 の 軽 症,基 礎 疾 患 ・合 併 症 の 有 りお よ び 前 投 与 抗 生 剤 無 し の 各 イ コ プ ラ ズ マ 肺 炎 ・PAP群 マ イ コ プ ラ ズ マ 肺 炎 ・PAP群 能1例 有 効 率 は89.4%で 29). iii)マ で は 著 効25例 薬 剤 群 間 に 有 意 差 は 認 め られ な か っ た. れ ら以外 (Table iv)慢 で はASPC群8 効4例,無 効3例,無 効1例 で 有 効 率 は80.0%で あ 30). 性気道感 染症群 慢 性 気 道 感 染 症 群 で はASPC群48例 効10例(21.3%),有 効30例(63.8%),や 項 目にお い て両 薬 剤 群 間 に 有 意 差 が 認 め られ 効2例(4.3%),判 (ASPC<PIPC,U検 で 有 効 率85.1%で あ っ た.PIPC群53例 た併用薬 な 定不 では著 効 薬 剤 群 間 に 有 意 差 は 認 め ら れ な か った 5例(10.6%),無 定,P<0.05),ま 効2例,判 で 有 効 率 は71.4%,PIPC群5例 Table 29 Clinical effects Judged by doctors in charge(Bacterial pneumonia) の うち 著 や有効 定 不 能1例 で は著 効 感 染症 学 雑 誌 192 7例(13.2%),有 効29例(54.7%),や 例(22.6%),無 で あ り,両 効5例(9.4%)で や 有 効12 有 効 率67.9% 薬 剤 群 間 に 有 意 差 が 認 め ら れ た(U検 症 例 で はASPC群 78.9%,PIPC群 で は74.2%で 差 は 認 め ら れ な か っ た.だ ASPC群 定,P<0.05). そ れ らの デ ー タ につ い て 各 種 の層 別 解 析 を行 っ て み る と,重 33に 示 し た.全 症 度 の 中等 症 の 項 目お よ び併 用 薬 な が細 菌 性 肺 炎 群 で は 薬 剤 群 間 に 有 意 差 が 認 め ら れ(U検 一 方 慢 性 気 道 感 染 症 群 で はASPC群 (ASPC>PIPC,U検 に 有 意 差 が 認 め ら れ た(U検 基 礎 疾 患 ・合 併 症 な し の 項 目 で も 両 薬 剤 群 間 に 有 0.05).マ 意 差 が 認 め ら れ た(ASPC>PIPC,U検 率 はASPC群 0.05,Fisher,P<0.01).そ 定,P< の 他 の 項 目で は 両 薬 剤 群 間 に 有 意 差 は 認 め られ な か っ た(Table 認 め ら れ な か っ た(Table 3)有 32). 主 治 医 判 定 に お け る 有 用 性 判 定 の 結 果 はTable 両 薬剤 群 間 定,Fisher,P〈 イ コ プ ラ ズ マ 肺 炎 ・PAP群 で62.5%,PIPC群 に対 す る有 用 で80.0%で 両薬 剤 群 間 に 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た. III.考 近 年 β-lactam系 も の が あ り,特 菌 力 はcephem系 Table 30 Clinical effects judged by doctors in charge(MP 察 抗 生物質 の開発 はめ ざま しい にcephem系 さ れ て き て い る.し 用性 判定 両 定,P<0.05), の有 用 率 は の 有 用 率 は59.3%と 31).各 疾 患 群 別 に 層 別 し て み て も両 薬 剤 群 間 に 有 意 差 は の 有 用 率 は の 有 用 率 は78.8%,PIPC群89.4%で 81.6%,PIPC群 た 第2号 両薬 剤群 間 に有 意 し の 項 目で 両 薬 剤 群 問 に 有 意 差 が 認 め ら れ 定,Fisher,P<0.05),ま 第59巻 抗 生 剤 が 数 多 く開 発 か しpenicillin系 抗生 剤 の殺 の そ れ よ り強 力 で あ り,特 pneumonia,PAP) にグ 193 昭和60年2月20日 Table 31 Clinical effects judged by doctors in charge(Other RTI) ラ ム陽 性 菌 に お い て 顕 著 で あ る.ま た 呼 吸 器 感 染 効 性 お よび安 全 性 を検 討 し,有 用 性 を よ り客 観 的 症 に お い て は,臨 床 上penicillin系 抗 生 剤 は第 一 に 評 価 す る た め,二 重 盲 検 法 に よ る比 較 試 験 を実 選 択 剤 とし て広 く用 い られ て い る こ とな どか ら, 施 し た.対 新 し い よ り強 力 な効 果 を もつpenicillin系 薬 剤 の influenzae,S.pneumoniae等 開発 が 必 要 と され て い る. 炎 お よ び肺 化 膿 症 また は慢 性 呼 吸 器 感 染 症(慢 性 ASPCは グ ラム陽性 菌 お よび グ ラム陰 性菌 に 象 は 本 剤 の 適 応 症 と考 え ら れ るH. を 起 炎 菌 とす る肺 気 管 支 炎,汎 細 気 管 支 炎 の 急 性 増 悪,感 染 を 伴 っ 対 し広 い抗 菌 ス ペ ク トル を 有 し,高 い 組 織 移 行 性, た 気 管 支 拡 張 症,肺 強 い殺 菌 力 等penicillin系 薬 剤 本 来 の 特 長 を 有 す 等)で あ る.対 照 薬 と して はPIPCが る うえ に,in vitroで の 効 果 に 比 しin vivoで の効 これ は 呼 吸 器 感 染 症 の 主 な起 炎 菌 に対 す る抗-菌ス 果 が 高 い とい う特 徴 を もつ 新 規 半 合 成penicillin ペ ク トル や 抗 菌 活 性 等 の 点 か らみ た 本 剤 との 類 似 系 抗 生 剤 で あ る.本 剤 に つ い て の全 国 集 計 で の 臨 性 お よ びす で に わ が 国 で繁 用 され,呼 床 成 績 は,第30回 に対 して も優 れ た 効 力 を もつ もの と位 置 づ け られ 日本 化 学 療 法 学 会 総 会 にて 報 告 気 腫,気 管 支 喘 息,肺 線維症 選 定 され た. 吸器 感 染 症 有 効率が得 ら て い る こ とな どか ら,適 切 と考 え られ た か らで あ そ こで 今 回 我 々 は全 国44研 究 機 関 お よ びそ の協 験 に て 呼 吸 器 感 染 症 に 対 し有 効 な 用 量 と報 告 され され,呼 吸 器 感 染 症 に対 し73.2%の る.投 与 量 に つ い て はPIPCはABPCと れ て い る. 力 施 設 に お い て,呼 吸器 感 染 症 に対 す る本 剤 の有 の比 較 試 て お り,日 常 診 療 で も繁 用 され て い る4g/日(2g× 感 染 症 学雑 誌 194 Table 32 第2号 Clinical effects classified by diagnosis among other RTI group judged by doctors in charge Table 2回/日)が 第59巻 適 当 と考 え られ た.ASPCに 33 Utility judged by doctors ついて は in charge は,ASPCの 一 般 臨 床 試 験 で 最 も繁 用 され,ま た 呼 吸 器 感 染 症 を は じあ とす る内 科 領 域 で の 一 般 臨 急 性 肺 炎 等 で は脱 水 症 状 を呈 す る こ とが 多 く水 分 床 試 験 結 果 を 参 考 と し,呼 吸器 感 染 症 に対 し,4g/ 補 給 を 必 要 とす る こ とが 多 い こ とか ら,点 滴 静 注 日で 十 分 な治 療 効 果 が期 待 され る と考 え られ た. とす る こ と と した. 従 ってASPCお 日(2g×2回/日)と よ びPIPCの 投 与 量 を と も に4g/ 設 定 した.投 与 方 法 に つ い て 本 比 較 試 験 に お い て,ASPCお 与 さ れ た の は,皮 内 反 応 陽 性1例 よ びPIPCが 投 を 除 く275例 で 昭和60年2月20日 195 あ った.小 委 員 会 に お い て 除 外 ・脱 落 と され た の は 上 記1例 を 含 め34例 で あ り,臨 床 効 果 の検 討 対 象 例 は242例 で あ った.な お,主 治 医判定 で は除 外 ・脱 落 と され た の は31例 で,臨 床 効 果 の 対 象 例 は245例 で あ った.小 委 員 会 判 定 採 用 例242例 お よ び 主 治 医 判 定 採 用 例245例 に お け る 両 薬 剤 群 間 で の患 者 の背 景 因 子,年 齢,性 別,体 重,感 染症 の 重 症 度 等 に は偏 りは 認 め られ ず,ま た 患 者 の 投 与 前 に お け る各 種 症 状 お よ び臨 床 検 査 上 の所 見 あ る い は肺 炎 群 で の胸 部 レ線 所 見,臨 布 に も偏 りは認 め られ ず,今 床 分 離 菌株 の 分 回の比較試験 はほぼ 均 一 した 背 景 因 子 を もつ も の と考 え られ た.小 委 員 会 判 定 臨 床 効 果 に お い て,全 症 例 で はASPC群 の 有 効 率76.2%,PIPC群78.3%で られ ず,ま 有 意差 は認 め た 疾 患 別 に 層 別 し て み て も細 菌 性 肺 炎 群 で はASPC群 の有 効 率77.3%,PIPC群84.6% で 両 薬 剤 群 間 に 有 意 差 は 認 め られ な か った.慢 気 道 感 染 症 群 で もASPC群 PIPC群70.0%で な か った.そ 性 の 有 効 率75.0%, 両薬剤群 間 に有意差 は認 め られ の 他 重 症 度,合 併 症 の有 無 等 各 層 別 に 臨 床 効 果 を比 較 し て も両 薬 剤 群 間 に有 意 差 は認 め られ な か っ た.症 状,所 見,臨 床 効 果 上 の 改 善 度 お よ びそ の 改善 度 の 経 過 つ い て み て も,全 症 例 お よび 各 疾 患 別 に 層 別 した 場 合,い ず れ に お い て も両 薬 剤 群 間 に全 く差 は認 め られ な か っ た. 主 治 医 判 定 臨 床 効 果 に お い て は,全 ASPC群 の 有 効 率83.2%,PIPC群 症例 で で は79.8%で 両 薬 剤 群 間 に有 意 差 は 認 め られ な か った.各 疾 患 別 にみ る と,細 菌 性 肺 炎 群 で は,ASPC群 率83.1%,PIPC群89.4%で,両 の有 効 薬剤群 間 に有 意 差 は認 め られ な か った.し か しな が ら慢 性 気 道 感 染 症 群 で はASPC群 67.9%で れ る(U検 の 有 効 率85.1%,PIPC群 あ り,ASPC群 定,P<0.05)と がPIPC群 よ り有 意 に優 い う結 果 を 示 した.慢 性 呼 吸器 感 染 症 は肺 炎 等 の 急 性 呼 吸 器 感 染 症 に比 較 して,一薬 剤 の 病 巣 へ の 移 行 は不 良 で,ま た マ ク ロ フ ァー ジ の 出 現 が 少 な く好 中 球 の 活 動 も弱 い の で 病 原 菌 の排 除 が 困 難 と され て い る3)4).ASPCは 呼 吸 器 感 染 症 の 病 巣 へ の 移 行 性 の指 標 と な る喀 痰 中 濃 度 が高 く,動 物 実 験 に お い て肺 組 織 を 含 め た 組 織 移 行 性 が 高 い 等 の 性 質 お よ び抗 菌 作 用 が殺 菌 感染症学雑誌 196 的 で あ る等 の こ とか ら,慢 性 呼 吸器 感 染 症 にASPC 例 はASPC群 が 良 く効 果 を 発 揮 した もの と思 わ れ る. 28例,発 今 回起 炎 菌 を 確 定 し得 た 症 例 は122例 で,そ うちMICを の 測 定 し得 た 菌 株 は90株 で あ った.菌 株 別 で はH.influenzaeが 最 も 多 く 次 い でS. pneumoniae,K.pneumoniae,S.aureus等 カミ 主な で32例,発 現 率22.4%で 認 め られ な か った.他 検 査 値 異 常 の 発 現 率 を み る と塩 田 ら7)のAPPCと CBPCの 呼 吸 器 感 染 症 に 対 す る薬 効 比 較 試 験 で は,APPCで の発 現 率24.0%(75例 もの で あ り,他 の 比 較 試 験 で み られ る もの と ほ ぼ た 小 林 ら6)のCPMとCMZの い て はK.pneumoniaeを 除 いては ほ とん ど同等 ASPCに 対 す るMIC分 比 してPIPCの 布は 方 が優 れ て お り,細 菌 性 で の β-lactam系 薬 剤 の 臨 床 同様 で あ った5)∼7).これ らに対 す るMIC分 で あ った.K.pneumoniaeに 現 率25.2%,PIPC群 両 薬 剤 群 間 に 発 現 率 の差 は で は22.7%(66例 布 につ 第59巻 第2号 CPMで 中15例)と 比較 試 験 成 績 で の 発 現 率 は21.4%(140例 で は26.5%(132例 中18例),CBPC 報 告 さ れ て お り,ま 中35例)と 試 験 に お け るASPCお 中30例),CMZ 報 告 さ れ て い る.本 よ びPIPCの 臨 床検 査 値 肺 炎 群 で は 本 菌 を 起 炎 菌 とす る 症 例 がASPC群 異 常 発 現 率 も これ ら の 報 告 と ほ ぼ 同 様 の 結 果 で で9例,PIPC群 あ っ た.一 般 に,β-lactam系 で3例 とASPC群 細 菌 学 的 効 果 はPIPC群 の 方 が 多 く, の方 が有 意 に優 れ て い た.単 独 感 染 例 全 症 例 で のK.pneumoniaeの 薬 剤 で の比 較 試 験 の 異 常 値 発 現 頻 度 は新 薬 シ ン ポ ジ ウ ム に お け るそ れ 消失 に比 し,か な りの 高 頻 度 で あ る が,小 林 ら6)も考 察 率 な らび に細 菌 性 肺 炎 群 に お け る グ ラ ム陰 性 菌 合 に述 べ て い る如 く,比 較 試 験 の 小 委 員 会 で は 主 治 計 お よ び起 炎 菌 合 計 に お け る消 失 率 に 両 薬 剤 群 間 医 が 検 査 値 異 常 と取 り上 げ て い な くて も,薬 剤 投 に 有 意 差 が認 め られ た の は こ の為 と考 え られ る. 一 方 ,臨 床 効 果 につ い て はASPC群 はPIPC群 と 与 との関 連 性 が 疑 わ れ る も の は全 て 検 査 値 異 常 と 同等 か そ れ 以 上 の 効 果 を示 した. 異 常 の 内 容 に つ い て も,従 来 の β-lactam系 薬 剤 一 般 に見 られ る もの で ,特 に 問 題 と考 え られ る例 な お 本 試 験 で 分 離 され たKlebsiella sp.(K.pneumoniae,K.ozaenae等)はASPCのMIC分 布 か らみ て,低 感 受 性 で あ っ た の で,参 考 迄 に 単 独 して 採 用 した た め と考 え られ る.ま た 臨 床 検 査 値 は み られ な か った. 両 薬 剤 の有 用 性 判 定 は,小 委 員 会 で はASPC群 感 染 の 症 例 に お い て これ を 除 外 して 細 菌 学 的 効 果 の 有 用 率73.4%,PIPC群74.2%で お よ び 臨 床 成 績 を検 討 し,そ の 結 果 をTable 34に 間 に 有 意 差 は認 め られ ず,ま た 細 菌 性 肺 炎,マ イ コ プ ラズ マ肺 炎 ・PAP ,慢 性 気 道 感 染 症 の疾 患 別 の に層 別 して み て も両 薬 剤 群 間 に 有 意 差 は 認 め られ 示 した. 全 症 例 で の グ ラ ム陰 性 菌 合 計 で はASPC群 消 失 率 は84.6%,PIPC群 で は88.5%,ま は 各 々92.3%,85.2%で た有効 率 い ず れ も両 薬 剤 群 間 に有 あ り両 薬 剤 群 な か った.主 治 医判 定 に お い て はASPC群 率78.9%,PIPC群74.2%で,両 の有用 薬 剤 群 間 に有 意 差 意 差 は 認 め られ な か った.起 炎 菌 合 計 で も,ASPC は認 め られ なか っ た が,疾 患 別 に み る と細 菌 性 肺 群 の 消 失 率86.5%,PIPC群85.7%,ま 炎 群 で はASPC群 各 々89.2%,84.0%で た有効率 は いず れ も両 薬 剤 群 間 に 有 意 89.4%でPIPC群 の 有 用 率78.8%,PIPC群 がASPC群 差 は 認 め られ な か った.細 菌 性 肺 炎 群 と慢 性 気 道 (U検 定,P<0.05)と 感 染 症 群 に層 別 して も両 薬 剤 群 間 に全 く有 意 差 は 道 感 染 症 群 で はASPC群 認 め られ なか っ た. 群59.3%でASPC群 副 作 用 の み られ た例 はASPC群 5.3%,PIPC群6例 で7例,発 で発 現 率4.7%で い う結 果 を示 した が 慢 性 気 の 有 用 率81.6%,PIPC がPIPC群 よ り有 意 に優 れ る 現率 (U検 定,Fisher,P<0.05)と い う結 果 で あ った. あ り,両 薬 剤 以 上 の結 果 よ りASPCは,す で に呼吸器感染症 に 群 間 に発 現 率 の 差 は認 め られ な か った.さ の 内 容 につ い て も発 疹,発 よ り有 意 に 優 れ る 熱,悪 寒,胸 らに そ 部 熱 感, 繁 用 さ れ 高 い 評 価 を 得 て い るpenicillin系 薬 剤 PIPCと 比 較 し,特 に慢 性 気 道 感 染 症 で は 高 い 臨 食 欲 不 振 等 従 来 の β-lactam系 薬 剤 に 一 般 的 に見 床 効 果 が 認 め られ た こ と,ま た 安 全 性 お よ び有 用 られ る も の で あ った.臨 床 検 査 値 異 常 の み られ た 性 の 点 で ほ ぼ 同等 の 成 績 が得 られ た こ とか ら,今 197 昭和60年2月20日 後 本 剤 は 呼 吸 器 感 染 症 に 対 し,臨 床 上 有 用 な薬 剤 とな る で あ ろ う こ とが 示 唆 され た. 本論文の要 旨は,第32回 日本感染症学会東 日本地方会総 会および第30回 日本化学療法学会東 日本支部総会合 同学会 にて発表 した. 献 日本 化 学 療 法 学 会 総 会. III, TA-058, 2) 松 本 慶 蔵, 74-79, 東 京, 他: 新薬 シ ンポ ジ ウ ム 臨 床 的 研 究. 3) 松 本 慶 蔵, 宍 戸 春 美: 他: 二 重 盲 検 法 に よ る呼 吸器 感 染症 に 5) 藤 森 一 平, Chemotherapy, 1983. セ フ ェ ム 系 抗 生 物 質. 呼 吸, 炎 症, 対 す るT-1982とCefmetazoleと Chemotherapy, 1: 343-353, の薬 効 比 較 試 31(5): 528-565, 1983. 呼 吸 器 感 染 症 に 対 す るCefpira- mide(SM-1652) 較 臨 床 試 験 成 績. 1983. 32(Supp1. 2): 417-434, 感 染 と 炎 症. 6) 小 林 宏 行, 他: 新 規 半 合 成 ペ ニ シ リ ンTA-058に 関 す る 基 礎 的, 1982. 他: 1981. 験. 文 1) 第30回 1: 4) 松 本 慶 蔵, とCefmetazoleと 感 染 症 誌, 57(7): の二 重 盲検 比 587-629, 1983. 7) 塩 田 憲 三, 他: ApalcillinとCarbenicillinの 気 道 感 染 症 に 対 す る 薬 効 比 較 試 験 成 績. otherapy, 26(6): 762-793, A Double-Blind Comparative Study of Aspoxicillin and Piperacillin Treatment of Respiratory Tract Infections 慢性 Chem- 1978. in the Akira SAITO,Kiyofumi ISHIKAWA,Ichiro NAKAYAMA,Masumi TOMIZAWA,Morikuni ABE, Hidetoshi SHIBAKI,Takehisa CHIMOTO,Masahiro TANAKA,Choei ITO,Keisuke TAKEUCHI, Aiji KOJIMA,Kazuo SHIMOYAMA,Yoshinobu TAKASHIRO,Shinji OHNISHI, Masahide SHINOHARA,Akira UJIIE & Osamu YAJIMA The Second Department of Internal Medicine,Hokkaido University,School of Medicine and CollaborativeHospitals Fumio NAGAHAMA,Hisaji NISHIHARA,Yuichi SASAKI,Takehito NAKABAYASHI, Tetsuji KOROKU,Rensuke KURODA,Jutaro SHIMOMURA & Shin-ichi OSHIMA IwamizawaRosai Hospital and CollaborativeHospitals Sokichi ONODERA & Nobuhiro SASAKI The First Department of Internal Medicine,Asahikawa Medical College Akira SUZUKI & Tohru NATSUIZAKA The Third Department of Internal Midicine,Sapporo Medical Collegeand CollaborativeHospital Yohmei HIRAGA,Kohki KIKUCHI & Asako YAMAMOTO Department of Respiratory Diseases,Sapporo Hospital of Japan National Railway Tsuyoshi KIKUIRI,Tadashi MURAKAMI & Kazufumi TSUCHIHASHI The Second Department of Internal Medicine,Muroran City General Hospital Kazuo TAKEBE,Katsuhiro OKAMOTO,Shuichiro TOSHIDA,Tadanao OHMI, Shuichi TAKAHASHI,Katsutoshi KARIYA,Tomio ONUMA,Shigeru OCHIAI, Yoshihiro KUMASAKA,Shigetoshi YANAGIYA,Osamu UEHARA, Yasukimi WATABIKI,Naoyoshi MASAKI,Toyoichi TAMURA, Naoki TAMAZAWA & Hajime INOOKA The Third Department of Internal Medicine,Hirosaki University,School of Medicineand CollaborativeHospitals Masao TAMURA,Takashi ITOH,Ken-ichi TAKEUCHI,Ryoji OGATA, Jun KOMURO & Hiroaki ITOH The Third Department of Internal Medicine,Iwate Medical University,School of Medicine Tamotsu TAKISHIMA & Yasuo TANNO The First Department of Internal Medicine,Tohoku University,School of Medicine Kiyoshi KONNO,Kotaro OHIZUMI,Akira WATANABE,Makoto KASHIWAGI, Hideo TOGASHI & Hidetaka SATO Department of Internal Medicine,The Reseach Institute for Chest Diseases and Cancer, Tohoku University 198 感 染 症 学 雑誌 第59巻 Masato HAYASHI The Second Department of Internal Medicine,Hiraga General Hospital Tsugushi ITOH Department of Respiratory Diseases,Takeda General Hospital Izumi HAYASHI Department of Respiratory Diseases,Iwaki Kyoritsu General Hospital Osamu SEKINE,Yoshimaru USUDA & Nobuki AOKI Department of Internal Medicine,Shinrakuen Hospital Fusanosuke YAMASAKU & Yasutoshi SUZUKI Department of Internal Medicine,Suibarago Hospital Masataka KATSU & Masanori ADACHI Department of Internal Medicine,Kasumigaura NationalHospital Keimei MASHIMO,Tetsuro UKAI & Chizuru ITOH Department of Internal Medicine,Tokyo Kosei Nenkin Hospital Atsushi SAITO & Tadashi MIYAHARA The Second Department of Internal Medicine,The Jikei University,School of Medicine Hiroichi TANIMOTO,Akio TACHIBANA,Yoshitaka NAKAMORI, Naohiko CHONABAYASHI & Kunihiko YOSHIMURA Chest Clinic,Toranomon Hospital Junzaburo KABE & Yoshihiro ISHIBASHI Department of Chest Medicine,National Medical Center Hospital Hideo IKEMOTO & Kazuyoshi WATANABE Department of Internal Medicine,Juntendo University,School of Medicine Keiichi NAKAGAWA,Masaru KOYAMA,Kohjin KIN,Masami UEDA, Fukuo IIJIMA & Ryuji AKIYOSHI Department of Internal Medicine,Tokyo Kyosai Hospital Yuzo FUNATSU & Fuyuhiko HIGASHI Department of Internal Medicine,Tokyo Denryoku Hospital Hiroyuki KOBAYASHI & Hiroshi OSHITANI The First Department of Internal Medicine,Kyorin University,School of Medicine Ippei FUJIMORI,Yoshio KOBAYASHI & Yasushi NAKAMURA Department of Internal Medicine,Kawasaki MunicipalHospital Kazufuto FUKAYA Department of Internal Medicine,YokohamaTeishin Hospital Kenzo TAKAGI,Ikuo YAMAKAWA,Michihiro HARA & Tatsuo SATAKE The Second Department of Internal Medicine,nagoya University,School of Medicine Toshihiko TAKEUCHI,Masahito KATO,Saburo KITAURA & Hidekazu HANAKI The First Department of Internal Medicine,Nagoya City University,School of Medicine and CollaborativeHospital Toshiyuki YAMAMOTO,Kanzo SUZUKI & Akihiko KISHIMOTO Department of Internal Medicine,NagoyashiKoseiin Geriatric Hospital Youichi ABE & Katsutaka TORIGAI Department of Internal Medicine,Fujita-Gakuen University,School of Medicine Kaoru OHYAMA & Kuninori SUZUKI Department of Internal Medicine,Toyama Prefectural Central Hospital Nobuo OHYA & Mitsuru HAYASE Divisionof Respiratory Disease,Department of Internal Medicine,Kanazawa Medical University 第2号 昭和60年2月20日 199 Nobuo MAEKAWA,Michiyasu NAKANISHI,Kohei AOKI,Tsuneo MATSUBARA, Nobuaki IKEDA,Takekuni IWATA,Nobuo INABA & Hiroyuki TSUJINO The First Department of Medicine,Chest Disease Research Institute,Kyoto University and CollaborativeHospitals Yuruko OKAMOTO,Keigo MAEHARA,Muneto YOSHIOKA & Y-CibeIIDA The First Department of Internal Medicine,Kansai Medical University Hiroshi OKUBO & Yoshihiro UEDA Department of Internal Medicine,Rakusei New Town Hospital Fumio MIKI Department of Internal Medicine,Tane General Hospital Kenji TAKAMATSU & Osamu MIYAMOTO Department of Internal Medicine,Izumi City Hospital Eiro TSUBURA,Toshihiro GOTO & Masakazu TAMURA The Third Department of Internal Medicine,Tokushima University,School of Medicine Rinzo SOEJIMA,Yoshito NIKI & Masatoshi WATANABE Department of Respiratory Diseaseof Internal Medicine,Kawasaki Medical School Michio YAMAKIDO & Kanoko HAYASHI The Second Department of Internal Medicine,Hiroshima University,School of Medicine Yoshiro SAWAE,Tomohiro KUSABA,Seizaburo KASHIWAGI,Akira UEDA, Kaoru OKADA & Michio ONO The First Department of Internal Medicine,Faculty of Medicine and Schoolof Health Sciences, Kyushu University Masahide TAKII & Takatoshi OTONARI The Second Department of Internal Medicine,Fukuoka University,School of Medicine Kohei HARA,Atsushi SAITO,Keizo YAMAGUCHI,Yoji SUZUYAMA, Yoshiteru SHIGENO,Koichi WATANABE & Masao NAGASAWA The Second Department of Internal Medicine,Nagasaki University,School of Medicine and CollaborativeHospitals Keizo MATSUMOTO,Harumi SHISHIDO,Atsushi TAKAHASHI,Masakazu TAKASUGI, Shigeru TAMAKI & Hisao KIMURA Department of Internal Medicine,Institute for Tropical Medicine,Nagasaki University and CollaborativeHospitals Masayuki ANDO,Mineharu SUGIMOTO,Moritaka SUGA,Katsumasa TOKUNAGA, Yasutsugu FUKUDA & Haruhiko TOKUOMI The First Department of Internal Medicine,KumamotoUniversity,School of Medicine and CollaborativeHospital The clinical efficacy and safety of Aspoxicillin(ASPC),a new semisynthetic penicillin,were compared with those of piperacillin(PIPC)in 276 patients with respiratory tract infections in a multi-center double-blind trial.The patients were randomized to be treated either with 2g of ASPC or PIPC intravenous drip infusion twice a day for 14 days. The results were as follows: 1.Out of 276 patients included in this trial,242 patients(122 received ASPC and 120PIPC)were applied to the evaluation of the clinical efficacy by the committee members,while 245 patients(121 received ASPC and 124PIPC)were adopted by the doctors in charge for the statistical analysis of the clinical efficacy evaluated by doctors in charge. 2.The clinical efficacy rates in all cases adopted by committee members were 76.2% in ASPC group and 78.3% in PIPC group,respectively.In the cases of bacterial pneumonia,the efficacy rates were 77.3% in ASPC group and 84.6% in PIPC group,and in cases of chronic respiratory tract infections,85.1% in ASPC group and 67.9% in PIPC group,respectively.There was no significant 200 感 染 症 学 雑誌 第59巻 第2号 difference in the clinical efficacy evaluated by the committee members between the two groups. 3.The clinical efficacy rates by doctors in charge were 83.2% in ASPC group and 79.8% in PIPC group in all cases.In the cases of bacterial pneumonia,the efficacy rates were 71.4% in ASPC group and 80.0% in PIPC group and in the cases of chronic respiratory tract infections,85.1% in ASPC group and 67.9% in PIPC group,respectively.There was statistically significant difference in the efficacy rate for chronic respiratory tract infections between the two groups (P<0.05),but in other cases there was no significant difference between the two groups. 4.Bacteriological efficacy was evaluated based on the rate of eradication of causative organism from the sputum.There was no significant difference in the eradication rate between the two groups. The degrees of improvement in several symptoms associated with infection,such as body temperature, cough,volume and properties of sputum,dyspnea,rales,chest pain,cyanosis and chest X-ray were also compared between the two groups,but no significant differences were noted. 5.Adverse reactions were noted in 5.3% of ASPC group,and in 4.7% of PIPC group.Abnormal laboratory findings were observed in 25.2% of ASPC group and in 22.4% of PIPC group.Most frequently reported findings were elevations in transaminases and increase in eosinophils.There was no significant difference in the incidences of adverse reactions and abnormal laboratory findings between the two groups. 6.The global clinical utility rates evaluated by the committee members were 73.4% in ASPC group and 74.2% in PIPC group, and those by doctors in charge were 78.9% in ASPC group and 74.2% in PIPC group.There was no significant difference between the two groups. From these results it may be summarized that ASPC is as useful as PIPC in the treatment of respiratory tract infections.
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