2015 年 3 月 28 日 KJFC ジャズカントリー例会 ジャズ・ワンホーン・トランペットの魅力について 紅 我蘭堂 まずは「ジャズカントリー」様の再オープン、おめでとうございます。そして KJFC 例 会再開の 1 回目を担当させていただく名誉を頂戴しまして、ありがとうございます。 とはいえ、今日は久しぶりの「あなたも一日ジャズ喫茶マスター」ということで、かな り乱暴なやり方でまいります。 今回は私の数少ない持ちレコードの中からワンホーン・トランペットを紹介しましょう。 そもそもフリューゲルホーンなどを含むトランペットのワンホーン・アルバムは少ない です。どれほど少ないかというと、ヴォーカルやビックバンドなどを含めたすべてのジャ ズ・アルバムを広大な銀河系宇宙に例えると、それはそれは小さな小さな M78 星雲くらい なものです。しかしそこにはウルトラモーガンやウルトラドーハム、ウルトラミッチェル などなどの屈強な一騎当千の強者がいて、あの退治しても撃退してもしぶとく復活してく る邪悪な妖怪獣アヴァンギャルド一族。時には愛想があるフュージョン星人、何故か一部 には人気があるエレピやエレベ、シンセサイザーなどのエレキング軍団などから、ハード バップをこよなく愛する善良なおじさんおばさん達を守ってくれています。 サックスのワンホーン・アルバムは、それこそジョン・コルトレーン(ts)・カルテット、 ソニー・ロリンズ(ts)、デクスター・ゴードン(ts)、ハンク・モブレイ(ts)などなど数え切れ ないほどあります。 ワンホーン・トランペットが少ない訳を愚考しました。 1.オーソドックスな 5 人編成のクインテットに比べて、トランペット類 1 本では音楽の 広がりが得にくい。そこでトランペット・プレイヤーの演奏比重が増えて、よっぽど の達人でなければ良い内容が得られない。 2.同じ意味で、これを支えるバックのメンバー、特にアドリブ・ソロ演奏を披露しなけ ればならないピアニストの技量が問われます。 というのが最低限の理由かと思います。その証左にデクスター・ゴードンやコルトレー ン、ソニー・ロリンズなど好んでワンホーン・カルテットでレコードを残したサックス・ プレイヤーに比べて多くのトランペッターは生涯に 1 枚くらいしかワンホーン・アルバム を残していないです。 素人の勝手な憶測ですが、トランペット類やトロンボーン等の金管楽器は、楽器の性格 上、サックス類の木管楽器に比べて、肺活量やその他の肉体的は理由によって長時間の演 奏には不向きかと思いました。この疑問を、吹奏楽をやっていて、時にはアマチュア・ビ ッグバンドで演奏している知り合いのトランペッターに質問してみましたが、 「そんなこと はない」と否定されてしまいました。ワンホーン・アルバムが少ないことは、やはり単な る偶然かもしれません。 今回の特集を進めている最中に気がついたことがあります。それは、あの名門ブルーノ ート・レーベルにおいて極端にトランペット・ワンホーン・アルバムが少ない事です。と いうか絶滅危惧種に等しく、例のハードバップの黄金リストといわれている 1500 番台・ 4000 番台における私が知る範囲では、ディジー・リース盤とリー・モーガン盤しかありま せん。あの名プロデューサーであるアルフレッド・ライオンをしてであります。駒が不足 していたのでしょうか? いえいえドナルド・バードやフレディ・ハバード、はたまたサ ド・ジョーンズなど錚々たる新進気鋭がそろっていた、あのブルーノートがです。ところ がピアノ・トリオ盤は、少ないといっても結構あります。まあスリー・サウンズは別格と しても、バド・パウエル、ホレス・シルバー、ユタ・ヒップ、ソニー・クラーク、デュー ク・ピアソン、ホレス・パーランなどのリーダー・アルバムがぱっと思いつきます。すご い格差です。それでも、ピアノ・トリオ盤もブルーノートにおいては少数派といえるでし ょう。が、ライオンの気持ちも分からないことはないです。やはりトランペットのワンホ ーン、もしくはピアノ・トリオでは音楽の構成、広がりが薄いと感じたのでしょうか。 他の奏者が少ない分ピアニストに掛かる比重が多くなります。場面によってはピアノ・ トリオの演奏を聴くようなものです。トミー・フラナガン、レッド・ガーランド、ウイン そうそう て だ れ トン・ケリー、錚々たる手練の面々がバックアップあるいはピアノ・トリオとして演奏し ています。今日はピアニストもじっくりと聴いていただければ幸いです。そうです、今日 は私の大好きなピアニスト特集も伏線としています。 なお、本日ご紹介するアルバムは「一家に一枚」的なレコードが中心ですが、中には珍 盤もあります。ご自分のコレクションの再発見に貢献することができたら、更なる幸いで す。 ※このレポートの記述は、あくまでも個人の感想であり、事実関係などにはまったく関知いたしません。 ※誤字・脱字、不適切および不愉快な表現はご容赦ください。 【王道のアメリカ・ハードバップ編】 CANDY/LEE LEE MORGAN(BLUE NOTE BLP590) MORGAN(tp) 、 SONNY CLARK(p) 、 DOUG WATKINS(b)、ART TAYLOR(ds) SIDE1)1.CANDY 2.SINCE I FELL FOR YOU 3/C.T,A. SIDE2)1.ALL THE WAY 2.WHO DO YOU LOVE I HOPE 3.PERSONALITY ブルーノート・レーベルのオーナーであり、プロデューサーで あったアルフレッド・ライオンはサックスにしろトランペットにしろワンホーンでのアル バムを極力避けていたのではないかと思います。それは何度も書くように、音楽の広がり がワンホーンより、2 管あるいは 3 管のほうがより大きいと思ったのでしょう。その考えは 間違っていません。いませんが少々極端であったのではないかと感じます。またまたよく 調べもしないで述べると、このレーベルでワンホーン・アルバムを許されたのはサックス ではソニー・ロリンズ、デクスター・ゴードン、ルー・ドナルドソン、ハンク・モブレイ。 トランペットでは、このリー・モーガンとディジー・リースだけかな? 確かトロムボー ンのカーティス・フラーがアルバムの中で 1,2 曲ワンホーンの曲を収録していたはず。 少ないといえるピアノ・トリオ物より、更に少ない。下手をすればオルガンのジミー・ スミスの総アルバム数より少ないと思います。 まあ、そのこだわりがあってこそブルーノートがモダンジャズ界で名門といわれる所以で すが。 うんぬん さて、このアルバムについて私が云々かんぬんすることは、たとえジャズの神様がにっ こり笑って「いいのよ」と仰られても許されることではありますまい。ただ私の印象は、 例えていうのも変ですが、甲子園の優勝投手とこのリー・モーガンがダブってしまいます。 弱冠19歳の少年が、荒削りながらも時速160kmに近い剛速球をびしびし投げ込んで、 時としてはスローカーブで緩急を付けながら頂点に立った。もちろんチームメイトも素晴 らしかった。キャッチャーであるソニー・クラークの好リードも光ったし、ワトキンスや テイラーなどの内野外野のファインプレイにも助けられた。やがてこの少年は、メッセン ジャーズという球団にドラフトされて、エースに育っていく。という印象がどうしても残 ります。この、一家に一枚的な大名盤に対して、なんと不遜な妄想なことか。 BLUE'S MOODS/BLUE MITCHELL(RIVERSIDE RLP9336) RICHARD“BLUE”MITCHELL(tp)、WYNTON KELLY(p)、 SAM JONES(b)、ROY BROOKS(ds) 1960 年 8 月 24 日、25 日 NEW YORK で録音 SIDE1)1I‘ll CLOSE MY EYES 2.AVARS 3.SCRAPPLE FROM THE APPLE 4.KINDA VAGUE SIDE2)1.SIR 2.WHEN I FALL IN LOVE 3.SWEET PUMPKIN 4.I WISH I KNEW このレコードの悪口を言う人と出会ったことがありません。私も大好きですし、これか らジャズを聴きたいという方に無条件でお薦めしています。小ざかしいノーガキや屁理屈 は抜きにしてハードバップ・ジャズの魅力に浸りましょう。今日は時間が許す限り B 面を 中心に掛けさせていただきます。 QUIET KENNY/KENNY DORHAM(NEW JAZZ〈PRESTIGE〉8225) KENNY DORHAM(tp), TOMMY FLANAGAN(p), PAUL CHAMBERS(b), ART TAYROR(ds) 1959 年 11 月 13 日録 音 SIDE 1) 1.LOTUS BLOSSOM 2.MY IDEAL 3.BLUE FRIDAY 4.ALONE TOGETHER SIDE 2) 1.BLUE SPRING SHUFFLE 2.I HAD THE CRAZIEST DREAM 3.OLD FOLKS 誰しもが好きなアルバムを持っているでしょう。好きな理由は千差万別としても、何ら かの訳はあります。私がこのレコードに思い入れを持っているのは、内容の素晴らしさも さることながら、録音日にあります。ちょうど私の 6 歳の誕生日に録音されたこのアルバ ムは、何よりのバースデー・プレゼントとなりました。 そしてピアニストは、またまたトミー・フラナガンです。なんと評したらよいのでしょう か。小粋で小洒落たフレーズを紡ぎだすナイスガイとしか言いようがありません。スポー ツマンでないですが、名盤率の高いピアニストです。 お約束の「蓮の花」が入っている A 面ではなく、本日は B 面のおいしいところをお聴きく ださい。 BOOKER LITTLE/BOOKER LITTLE(TIME) BOOKER LITTLE(tp)、TOMMY FLANGAN(p)A1,A2、 B2,B3 WYNTON KELLY(p)A3、B1 SCOTT LaFARO(b) ROY HAYNES(ds) SIDE1)1.OPENING STATEMENT 2.MINOR SWEET 3.BEE TEE'S MINOR PLEA SIDE2) 1.LIFE'S A LITTLE BLUE 2.THE GLAND VALSE 3.WHO CAN I TURN TO 1960 年 4 月 13 日、15 日録音 ジャズメンで、せめてあと 5 年か 10 年は生きてほしかったという、夭折した人は多いで す。ブッカー・リトルはその中の最たるもので、せめて、あと 10 年は生存して少なくとも 10 枚以上のレコードを残してくれれば、ジャズシーンは大きく変わっていただろうと思い ます。というか、そんな大げさなことでなくてもっともっとブッカー・リトルのジャズを 聴きたかったです。 ART/ART FARMER(ARGO 678) ART FARMER(tp) TOMMY FLANAGAN(p) TOMMY WILLIAMS(b) ALBERT HEATH(ds) 1960 年録音 SIDE 1) 1.SO BEATS MY HERAT FOR YOU 2.GOODBYE OLD GIRL 3.WHO CARES 4.OUT OF THE PAST SIDE 2) 1.YOUNGER THAN SPRINGTIME 2.THE BEST THING FOR YOU IS ME 3.I’M A FOOL TO WANT YOU 4.THAT OLD DEVIL CALLED LOVE この盤を聴いているとアート・ファーマーは本当に上手いトランペッターだと、しみじ みと思います。しかしながらファーマーの評価というかジャズファンの中での立ち位置は 微妙です。上手いけれど、何かもうひとつ食い足りない、というところが本音ではないで しょうか。確かにファーマーには佳作と呼べる自己名義のアルバムは沢山あります。あり ますが、ではどれがベスト・アルバムかといわれれば、この盤がいいかなという程度では ないでしょうか。またブルーノートやプレステッジなどにも多くのアルバムにサイドメン として参加しています。おそらく歴代トランペッターの人気投票をしても、ベスト20に 入るかどうかというところかと思います。 でもファーマーの名誉のために言っておきます。あの、日本人がこよなく愛するソニー・ クラーク(p)の畢生の大名盤「クール・ストラッティン」(ブルーノート)のトランペッタ ーはファーマーであります。 INTERPLAY/BILL EVANS(RIVERSIDE) BILL EVANS(p), FREDDIE HUBBARD(tp), JIM HALL(gu), PERCY HEATH(b) “PHILLY” JOE JONES(ds) 1962 年録音 SIDE 1 1.YOU AND NIGHT AND THE MUSIC YOU WISH UPON A STAR 3.I’LL 1.INTERPLAY 2.YOU GO NEVER 2.WHEN SMILE AGAIN SIDE 2 TO MY HEAD 3. WRAP YOUR TROUBLES IN DREAMS 様々なトランペッターを紹介している本日。フレディ・ハバードの出番がないのは、片 い か ん 手落ちのそしりを免れません。ただし、如何せんこの人はハードバップ・ジャズの王道を たどってきた人だけに、私が持っているレコードもクインテット以上の編成が圧倒的でワ ンホーンがない。苦しまぎれが本音だけど、大好きな曲を2曲掛けます。 世間では私は、ビル・エヴァンスなど聴いていないと思い込んでいる人が大勢います。 それは大きな間違いです。私もエヴァンスは聴きます。 「ワルツ・フォー・デビー」も「ポ ートレイト」も持っています。世間ではエヴァンス(知性派)vsガーランド(享楽派) という構図が大好きなようで、好みがどちらかに偏るだろうということが好きなようです。 どうも日本人は「○○派」 「△△流」など、系統を付けるのが好きな民族です。 いつも思うのですが、例えば中華料理を食べるときに、ワンタンメンでも中華丼でも同 じ中華じゃないですか。単に好みの問題かなと思います。 このレコードについては、私が能書きを垂れる必要はないと思います。全編を通じてジャ ズの魅力が溢れています。ひとことハバードについて言えば、有名な A 面もいいですが、B 面もよいです。特にエヴァンスが本当に聴かせたいと意図したであろうタイトル曲でのミ ュート・プレイは、本来ミュートがそんなに好きでない私も納得できます。 あと、やっぱりドラムスのフィリー・ジョー・ジョーンズは名手です(蛇足) 。 THE MUSINGS OF MILES/MILES DAVIS(PRESTIGE 7007) MILES DAVIS(tp), RED GARLAND(p), PETTIFORD(b), PHILLY JOE JONES(ds) OSCAR 1955 年 6 月 7 日 録音 SIDE 1) 1.WILL YOU STILL BE MINE? FACE BEFORE ME 2.I SEE YOUR 3.I DIDN’T SIDE 2) 1.A GIRL IN CALICO 2.A NIGHT IN TUNISIA 3.GREEN HAZE ガーランドというピアニストは、相当に偏屈だったか頑固者だったに違いないです。あ るいは大勢の他人と共同作業ができない精神構造だったと感じます。何故かと言うと常々 言っているように、ホーン奏者との競演盤はほとんどうまくいっていません。ホーン陣を バックアップしようという気が薄いです。やはりピアノ・トリオでパアパア演奏している ほうが気楽だったのでしょう。そんなガーランドですが、マイルス・デイビスとジョン・ コルトレーンだけにはうまく合わせていたように感じます。 またある時期マイルスがこよなく尊重したのがガーランドでありました。よく調べもし ないのに断言してしまいますが、マイルスのおそらく生涯でたった 1 枚のワンホーン・ア ルバムでした。 【アメリカのちょっぴりマイナーな人たち編】 THE KING AND I/WILBUR HARDEN(SAVOY SST13002) WILBUR HARDEN(tp) 、 TOMMY FLANAGAN(p) 、 GEORGE DUVIVIER(b)、G.T.HOGAN(ds) SIDE1) 1.GETTING TO KNOW YOU MASTER 3.SHALL WE DANCE 2.MY LOAD AND 4.WE KISS IN A SHADOW SIDE2) 1.I HAVE DREAMED 2.I WHISTLE A HAPPY 3.HELLO,YOUNG LOVERS 4.SOMETHING WONDERFUL 1958 年 9 月 23 日、30 日 録音 王様と私。美しいバラード集です。過去ミュージカル映画を素材にしたジャズレコード は沢山ありますが、これは私が好きな 1 枚です。目をつぶって聴くと映画の1シーンが思 い浮かばれます。王様役のユル・ブリンナーと家庭教師役のデボラ・カー。残念ながらカ ーの歌声は吹き替えだったらしいですが、映像の美しさも相まって、記憶に残る映画です。 いまでもブリンナーがぎこちなくダンスを踊るシーンが目に浮かびます。 「ワン、ツー、ス リー、ハッ! ワン、ツー、スリー、ハッ!」 このレコードはジャズ・ミュージカル盤史上の傑作が出来あがりました。なお、どう聴 いてもトランペットではなくフリューゲルホーンだと思います。少しハスキー気味な音色 です。 ウィルバー・ハーデンは地味なトランペッターです。サヴォイ・レーベルに数枚のリー ダー・アルバムを残しています。私が知る限りではジョン・コルトレーンとの共演盤をサ ヴォイとプレステッジに残しています。コルトレーンの熱心なファンでなければ思い浮か ばないトランペッターです。私の場合はレッド・ガーランドがコルトレーンと共演してい た盤で知りました。上手いプレイヤーだと思うのだが、残されたレコードは少ないです。 しかもサヴォイ盤は本来自分のリーダー名義であるはずなのに、コルトレーンがリーダー になってしまっています。 「メインストリーム1958」 「メインストリーム1958 Vol.2」 というアルバムです。プレステッジ盤は、少なくとも正規発売されているアルバムが 3 枚 あります。あの「スターダスト」(PR7268)、 「スタンダード・コルトレーン」(PR7243)、 「バ ヒア」(PR 7353)です。 THE WARM SOUND/JOHNNY COLES(EPIC) JOHNNY COLES(tp) 、 KENNY DREW(p) 、 PECK MORRISON(b)、CHARLIE PERSIP(ds) 1961年4月録音 SIDE 1)1.ROOM 3 2.WHERE 3.COME RAIN OR COME SHINE SIDE 2) 1.HI-FLY 2.PRETTY STRANGE 3.IF I SHOULD LOSE YOU エピック・レコードといえば、1980 年代にはマイケル・ジャクソンやワム、シンディー・ ローパーなどのロック、ポップスなどでメジャーになったレーベルです。でも 50 年代から 60 年代にかけてはハードバップ・ジャズファンにとって目が離せないレーベルでした。 さてジョニー・コールズは地味なプレイヤーです。私が知る範囲では今日紹介する 2 枚 のレコードの他に、ブルーノートにもリーダー・アルバムを 1 枚残しています。そちらは アルトサックスのレオ・ライトとテナーサックスのジョー・ヘンダーソンと共演している 典型的なハードバップ・アルバムです。良い意味で弾けた演奏が聴かれます。ここでのコ ールズは、お聴きいただけると分かりますが、よく言えば、少しかすれ気味で抑制された フレーズ。悪くいえば特徴が薄い演奏かと私は感じます。それこそ大向こうをうならせる ような派手な演出や、いわゆる“決めセリフ”的な節回しも目立ちません。でもそこが良 いところなのでしょう。チャールス・ミンガスのバンドにも在籍していたようなので、も っとハードな人かと思っていました。 乱暴な言い方をすると、このレコードはリズム・セクションに注目するレコードです。 特にドラムスのチャーリー・パーシップが、こんなに切れきれの演奏をするのを聴けるの は大発見でした。また普段は地味な縁の下の力持ち的なペック・モリソンも一音一音がく っきりした私好みの演奏でした。 NEW MORNING/JOHNNY COLES JOHNNY COLES(flg), HORACE PARLAN(p), REGGIE JOHNSON(b), BILLY HART(ds) SIDE 1) 1.SUPER 80 2.SOUND OF LOVE 3.MISTER B SIDE 2) 1.NEW MORNING 2.UNITED 3.I DON'T KNOW YET 時代は 21 年も駆け上がります。このアルバムは 1982 年の録音で、この間にコールズが どのような活動をしていたかは定かではないけれど、1963年に前述のブルーノート盤 を吹き込んだ後はリーダー・アルバムもほとんどなくて地味な活動を続けていたと推測で きます。もしかしたらアメリカに愛想を尽かしてヨーロッパに渡ったのかもしれません。 もっともこれは、レコード偏重主義の日本人の無知かもしれません。 このアルバムはオランダの“CRISS CROSS”レーベルから出されています。そして 20 年余の歳月は、コールズにフリューゲルホーンへの変化をもたらしました。この楽器の柔 らかな音色がコールズには合っているかもしれません。とはいえ、先のエピック盤に比べ て演奏内容が若干ハードになりました。リズム・セクションの影響も多分にあるのでしょ う。そして良い悪いはともかく、全6曲中3曲も自分のオリジナル曲で録音に臨んでいる ほど、意気込みを感じます。エピック盤の「ROOM 3」も彼の作曲でした。この人は作 曲が好きだったのでしょう。 SOUNDIN' OFF/DIZZY REECE(BLUE NOTE) DIZZY REECE(tp), WALTER WATKINS(b),,ART TAYLOR(ds) SIDE1)1A GHOST OF A BISHOP Jr.(p), DOUG 1960 年 5 月 12 日録音 WHILE 2.ONCE IN A WHILE 3.EB POB SIDE2)1.YESTERDAYS 2.OUR LOVE IS HERE TO STAY 3.BLUE STREAK ディジー・リースはジャマイカ生まれでロンドンやパリで育ち、イギリスでの初レコー ディングをしています。音色の艶やかさはクリフォード・ブラウン直系と感じました。で すから正確にはアメリカのマイナーなトランペッターではないのですが、ブルーノートに 足跡を残しているということで紹介します。 ブルーノートのアルフレッド・ライオンはこの人をこのレーベルの目玉に育て上げよう としていたのではないかと感じます。お聴きいただければ分かるように、その奏法は癖が なくて直球一本やりの正統派です。変な受けを狙ったフレーズがないことも好感が持てま す。 これは受け売りですが、ライオンは新人にリーダー・アルバム吹き込みのチャンスを与 えるときに、必ずオリジナル曲を書かせて、吹き込ませるかどうか判断したようです。B 面 3 曲目の曲は、見事に合格したのでしょう。 余談ですが、ウォルター・ビショップ・ジュニアのソロではレッド・ガーランドが得意と したガツンガツンした左手のブロック・コードと、コロコロ転がる右手のメロディーが聴 けて微笑ましいです。 SAM SONGS/BUDDY CHILDERS(FRESH SOUND FSR-2205) BUDDY CHILDERS(ds) BABASHIN(b) 1.BUFFY ARNOLD ROSS(p) BOONE STINES(ds) 1956 年録音 2.YOU CALL IT MADNESS HOUSE(Take 1) HARRY 3.HOLIDAY 4.IT’S GOTTA BE HAPPY 5.YOU GO TO MY HEAD 6.INDIANA 7.BERNIE’S TUNE 8.HOLIDAY HOUSE(Take2) また無責任なタイムマシンネタです。もし私が 50 年代後半にタイムマシンで行けたとし ても、ブルーノートやプレステッジなどの若手プレイヤーと酒を飲みたくないです。 「てめぇ、なんであの時ワンコーラスもアドリブを多く吹きやがって!!」 「おめぇこそ、 変なところで変なコードを突っ込んでくるんだ。やりにくいんだ、バカやろー」と楽しく ない酒になりそうです。それはそれで熱い雰囲気は嫌いではないのですが・・・。でも西 海岸で飲めば、事情が違いそうです。この人と飲めば、酔ってきても、「じゃぁ我蘭堂ちゃ ん、気持ちいいから 1 曲吹こうかね」といういい感じで飲めそうです。 バディ・チルダースについて、詳しいことは訊かないでください。ライナー・ノーツを 読む限りでは、1943年に弱冠16歳でスタン・ケントン楽団に参加して、この世界に デビュー。以来ビッグ・バンドやダンス・バンドで演奏していたが、1954年に自己の コンボを結成して、アメリカの西海岸で活躍した人らしいです。 この CD はおそらく2枚の LP レコードを1枚にしたお徳用盤。クインテットとカルテット の2枚ですが、本日はカルテット盤から2,3曲ご紹介します。 HANNNIBAL/HANNIBAL MARBIN PETERSON(MPS) HANNIBAL MARBIN PETERSON(tp,琴 ,vocal)、 MICHAEL COCHRANE(p) 、 STAFFORD JAMES(b) 、 THANBO MICHAEL CARVIN(ds、per, vocal,) 1975 年 7 月 1 日 2 日録音 SIDE1) 1. RABBIT 2.REVELATION 3.MISTY SIDE2)1.THE VOYAGE 2,SOUL BROTHER この人の、このレコードを最初に聴いたときは「嗚呼、これでジャズが変わっていく」 と子供ごころにも真剣に思ったものです。コルトレーン以降の次世代ジャズだと思いまし た。ハイパー・ハードバップの到来かと、期待したものです。でも流れは変わらなかった。 NOW'S THE TIME/NEW YORK 中 村 達 也 (ds) 、 HANNIBAL UNIT(KING KICJ108) MARVIN PETERSON(tp) 、 JOHN HICKS(p)、RICHARD DAVIS(b) 1992 年 3 月 15 日 録音 1.NOTHING EVER CHANGES MY LOVE FOR YOU 2.IN A SENTIMENTAL MOOD 3.NOW'S THE TIME 4.SMOKE GETS IN YOUR EYES BORDER 6.ONLY YOU 7.TURQUOISE 5.SOUTH OF THE 8.GLORY GROLY HALLEUJAH 9.WHEN THE SAINTS GO MARCHING IN 中村達也という 1945 年生まれのドラマーがいます。80 年代後半頃からでしょうか、ニ ューヨークに渡って、ファラオ・サンダース、ジョージ・アダムスなどと活動していまし たが、「NEW YORK UNIT」というグループを結成して何枚かの CD を日本のキングレコ ードに残しています。当時キングは「日本ジャズ維新」と称して日本人ジャズの啓蒙に努 めていました。その話は別の機会に譲るとして・・。 『Nothing Ever Changes My Love For You』。このマービンの躍動感ぶりが大好き です。どこで聴いたか忘れたけれど、この CD を数年間に亘って探しました。 POP TED WINE/TED CURSON(FUTURA GER 26) CURSON(tp) 、 GEORGES ARVANITAS(p) 、 JACKY SAMSON(b)、CHARLES SAUDRAIS(ds) 1971 年録音 SIDE 1) 1.POP WINE 2.L.S.D.TAKES A HOLIDAY 3.SONG OF THE LONELY ONE SIDE 2) 1.QUARTIER LATIN 2.FLIP TOP テッド・カーソンという人を、どのように形容していいか分か りません。少しフリージャズ系なのかと思えば、マジにハードバップを演奏することもあ ります。いつの間にかヨーロッパに渡っていました。そしてまたヨーロッパのピアニスト は油断も隙もないです。甘美なピアノ・トリオで浮かれていると、突如として荒れ狂うこ とがあります。このジョルジョ・アルバニタスも例外ではなく、テッド・カーソンを煽り にあおります。そのあたりが聴きどころであります。 【ヨーロッパのトランペッター達を忘れたら怒られる編】 AFTER HOURS/DUSKO GOYKOVICH(ENJA 2020) DUSKO GOYKOVICH(tp) TETE LANGEREIS(b)JOE MAY(ds) SIDE 1) MONTOLIU(p) ROB 1971 年録音 1.LAST MINUTE BLUES 2.A CHILD IS BORN 3.OLD FISHERMAN’S DAUGHTER SIDE 2) 1.REMENBER THOSEDAY 2.I LOVE YOU 3.TEN TO TWO BLUES ゴイコヴィッチの人気は 1970 年代後半から、ジャズメディアではなく、ジャズ喫茶から 広がったといわれています。レコード会社と表裏一体のジャズメディアでは、ゴイコヴィ ッチを売り出すことはできなかったのでしょう。 さて「OLD FISHERMAN‘S DAUGHTER」。この何とも形容しがたい、美しいミデ ィアム・バラードを語ることは困難です。 春まだ浅き、朝もやに煙るアドレア海。一隻の古びた漁船がポンポンとエンジンの音を 響かせながら静かに波の上をすべっている。その舳先には、あろうことか純白の花嫁衣裳 に身を包んだ娘が坐っている。どうも、そんな情景が浮かんできてしまう名演奏です。 ご存知、KJFC北海道支部長のテーマ曲。先日「OLD COLLETER‘S DAUGHTER」 とメールを送ってやりました。彼は、娘さんの結婚式の時にはボロボロ涙を流して会場を 水浸しにするだろうな。 CELEBRATION/DUSKO GOYKOVICH(DIW 8016) DUSKO GOYKOVICH(tp) WOODE(b) KENNY DREW(p) AL LEVITT(ds) SIDE 1) 1.CELEBRATION JIMMY 1987 年録音 2.INGA 3.NELLA 4.BLUES IN THE CLOSET SIDE 2) 1.NEW BOP THEME 2.DOBOY 3.RECADO BOSSA NOVA 4.EASY LIVING もう一枚ゴイコヴィッチを掛けます。このDIW盤も目立ちませんが良い盤です。 ゴイコヴィッチの魅力・人気を以前に考えたことがあります。うまく説明できないので すが、アメリカ系のトランペッターにない哀愁感があって、それが日本人の琴線に引っか かるのかと思いました。例えば、この「リカード・ボサノバ」を聴けば、あのハンク・モ ブレイなどの演奏がリオのカーニバルだとしたなら、どこか控えめな盆踊りという印象を 受けます。そして「イージー・リビング」の切々としたバラード演奏は、やはりアメリカ 系のプレイヤーとは一味違って聴こえます。 TODAY I ERIC FEEL IN LOVE/ERIC LE LANN((TWINS 4) LE LANN(tp), ERIC LEGNINI(p), REMI VIGNOLO(b), JEAN-PIERRE ARNAUD(ds) 1.TODAY I FEEL IN LOVE 1996 年録音 2.UNKNOWN TOWER 3.IS IT WONDERLAND 4.MY FUNNY VALENTINE 5.LE BLEU D’HORTENSE 6.429 RUE PARADIS 7.I FALL IN LOVE TOO EASILY 8.SO WHAT 9.THE THEME 10.LOLA エリック・ル・ランという人もよく分かりません。あまり深く追求しないでください。 10年以上前、ヨーロッパ・ジャズに興味を持っていた時に買った CD です。ル・ランは ベテランらしいが、ピアノのエリック・レジニーニもいいと思いました。 1曲目のタイトル曲など、ジャズらしい“気だるさ”があって、好きです。こういうこと を言うと、またイエローカードが出そうですが、何も予定がない週末の午後。家人が出払 っていて、好きなことができる時。少し濃い目のオンザロックのグラスを片手に、グダグ ダとしたい時に最適なアルバムです。私でも、たまにはこういうジャズを聴きます。 BELLA/ENRICO RAVA ENRICO RAVA(tp) PIETROPAOLI(b) 1. NEAR BELLA ENRICO PIERANUNZI(p) ENZO ROBERTO GATTO(ds) 2. MY FUNNY VALLENTINE(1) 4.SECRETS 5.MY FUNNY 3.SO VALLENTINE(2) 6.FREE TUNE エンリコ・ピアラヌンツェというピアニストについて。この人 の名前は、日頃ヨーロッパ・ジャズに関心がない方でもご存知かと思います。おそらく今 世紀になるかならないかという時期から関西の澤野工房が先駆けとなって、ピアノ・トリ オを中心としたヨーロッパ・ジャズが紹介させるようになったと記憶しています。ひとく ちにヨーロッパ・ジャズといっても東欧・北欧・南欧などの地域性で多岐多様・種種雑多 なジャズがあります。そのなかでピエラヌンツェは古くからキャリアを積んできたようで す。 ここまで書けば、感の良い方はお気づきのように、実はエンリコ・ラバについてはほと んど知りません。この CD にしても、数年前に KJFC の例会で“動物ジャケット特集”か “猫特集”があった時に、たまたま見かけて購入したにすぎません。 現在の心境としては、あまりラバには近づきたくないのです。下手すると深みにはまり そうで怖いです。 【日本のトランペッター】 ALONE,ALONE AND ALONE/日野皓正(日本 コロムビア) 1967 日野皓正(tp)、大野雄二(p)、稲葉国光(b)、日野元彦(ds) 年 11 月 16 日 17 日録音 SIDE1)1.ALONE,ALONE AND ALONE 2.SOULFUL SIDE2)1.SUMMERTIME 2.DOWNSWING 3.B-LUNCH 日野皓正も毀誉褒貶があるプレイヤーだけど、いわゆる“ポン ジャズ” (日本人ジャズの蔑称)とさげすむことなかれ。この 2 曲を聴いていただければ、 日本人独自の感性と覇気に溢れているとご理解いただけるかと。 FOR LOVERS/土農塚隆一郎(OMEGATOKI OMCZ-1017) 土農塚隆一郎(flh) 隆(ds) 板垣光弘(p) 吉木 稔(b) 宇山満 2004 年録音 1.BEAUTIFUL LOVE 2.GRANDPA 3.SCANDAL 4.ESTATE 5.DEL SASSER 6.CHANGE THE WORLD 7.UNTIL TOMORROW 8.SOLAR 9.LONELY SOUL 10.WITHOUT A SONG 「とのづか 11.AUTUMN LEAVES 12.FEEL LIKE MAKIN’ LOVE りゅういちろう」と申します。2002年にデビュー・アルバムを発売し てから計4枚の CD を出しています。フリューゲルホーンにこだわっています。なんでこ んなに激しく吹くのか分からないほどフリューゲルホーンを吹きます。このアルバムでは、 オリジナル曲は 1 曲だけで、マイルス・デイビスやフレディ・ハバードなどの曲も取り上 げて演奏しています。 CLIFORD BROWN WITH STRINGS/CLIFORD BROWN CLIFORD BROWN(tp), RICHIE POWELL(p), BARRY GALBRAITH(g), GEORGE MORROW(b), AND STRINGS NEAL HEFTI(アレンジ、指揮) SIDE 1) 1.YESTERDAYS 4.BLUE MOON MAX ROACH(ds) 2.LAURA 3.WHAT’S NEW 5.CAN’T HELP LOVIN’ DAT MAN 6.EMBRACEBLE YOU SIDE 2) 1.WILLOW WEEP FOR ME 2/MEMORIES OF YOU 3.SMOKE GET IN YOUR EYES 4.PORTRAIT OF JENNY 5.WHERE OR WHEN 6.STARDUST このふくよかなほっぺた。巨大な鼻。突き出たおでこ。そして満面に喜悦な表情を浮かべ て楽器と一体になっている。このジャケット写真を見ているだけで、何かほのぼのとした 幸せを感じてしまう私であります。ちょいと人間離れした表情だけど、けっして神様とか 大黒様とか思いません。これがトランペット・キングの表情だと私は思い込んでいます。 今日はブルー・ムーンを掛けます。これは昨年天国に召された KJFC 元祖歌姫エミちゃ んに奉げます。ああ、クリフォード・ブラウンよ。KJFC の歌姫だったエミちゃんのバック を朗々と吹きまくってくれ。 ♪BLUE MOON, YOU SAW ME STANDING ALONE WITHOUT A DREAM IN MY HEART, WITHOUT A LOVE OF MY OWN ♪ 【今日は掛けませんが、こんなワンホーン・レコードもあります】 至上の愛/ELVIN JONES(SONY SRCS7376) ELVIN JONES(ds), WYNTON MARSALIS(tp), MARCUS ROBERTS(p), REGINALD VEAL(b) 1992 年 12 月 3 日、4 日録音 ● ● ● 現在のジャズ・トランペット界は悪くも悪くもウィントン・マ ルサリスを避けては通れません。そもそもトランペット界はいい 人材が早死にしすぎました。ファッツ・ナバロ、クリフォード・ ブラウン、ブッカー・リトル、そしてリー・モーガン etc.etc. 皆、20代30代で死んで しまった。またまた“たら・れば”ですが、彼らが2000年ころまで生きていてくれた ら、と思います。これは、単なる私の思い込みですが、この状況は日本の幕末維新に似て います。吉田松陰、高杉晋作そして坂本竜馬などなどが長命していたら、日本の歴史は変 わっていたと想像します。もしかしたら日清日露の戦争もなく、その延長であった太平洋 戦争もなかったかもしれません。 とにかく、ブラウンやモーガンらが、せめて1980年代ころまで、そう彼らが50歳 代・60歳代になるまで生きていてバリバリ吹きまくっていたなら、ウィントン・マルサ リスの存在は違った形になったかと思います。 ウィントンが出現して、唯一よかったのは、きちんとスーツにネクタイを締めたミュー ジシャンが増えたことです。それまでの G パンに T シャツの演奏スタイルも、確かにジャ ズっぽかったですが、50年代から60年代初頭のハードバップをこよなく好きな私とし ては、プレイヤーはバリっとスーツで格好良くきめてほしいものです。 さてウィントンですが、私は“ちょっと違うぞ”と思っています。その“ちょっと”が うまく説明できませんが音色がとにかく綺麗すぎて、計算された音楽のように感じられま す。でもこの 1 曲目の「至上の愛」だけは、コルトレーンとエルビンへの尊敬の念が染み 溢れていて、認めてあげようと思っています。皆さんも機会があれば、この 48 分近くの大 作をお聴きください。 BYRD BLOWS ON BEACON HILL/DONALD BYRD(TRANSITIONTRLP17) DONALD BYRD(tp) RAY SANTISI(p) DOUG WATKINS(b) JIM ZITANO(ds) SIDE 1) 1.LITTLE ROCK GETAWAY 2.POLKA DOTS AND MOONBEAMS 3. PEOPLE WILL SAY WE’RE IN LOVE SIDE 2) 1.IF I LOVE AGEIN 2.WHAT’S NEW 3.STELLA BY STARLIGHT 1956 年録音 ドナルド・バードも 1970 年までは正統派?のハード・バッパーだったせいか、ワンホー ン・アルバムが見当たりません。ほとんどサックスを加えたクインテット以上の編成しか 私の手元にありませんが、唯一あったのが、このトランジション盤です。 内容はデビューしたばかりの弱冠 24 歳らしく、少したどたどしい演奏が目立ちます。そ れもまた面白いところであります。プロデューサーもアルバム制作上で不安があったのか、 A 面の 3 曲目はサンティーシのピアノ・トリオ演奏ですし、B 面の 2 曲目もバード抜きで ワトキンスの演奏が大きく取り上げられています。バードにとっては何とも情けないアル バムですが、バードのほのぼのとした演奏が好きです。 JOE WILDER‘N WILDER/JOE WILDER(SAVOY) 「チェロキー」という爽やかな曲が印象的です。ただし、この曲 はクリフォード・ブラウンなどの「チェロキー」とは違う気がしま す。 CHET BAKER SINGS/CHET BAKER(PACIFIC JAZZ 1222) 好き嫌いは、あって当然です。でも一度はお聴きください。この 人はワンホーン・アルバムが多かったと言います。もっともこの人 の場合には、ヴォーカルという楽器があります。 A JAZZ PORTRAIT OF FRANCO AMBROSETTI/ AMBROSETTI イタリアの「50 年代後半のマイルス」です。 FRANCO
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