基礎工事

Preliminary Knowledge
基礎工事
2-B1
基礎工事は、早ければほぼ1週間で終わってしまいます。
この時ばかりは、タイミングが勝負です。
建築会社から工程をしっかり聞いて、がんばってください。
もっとも、雨や他の場所との作業の融通など、なかなか最初に聞いたとおりの工程で進
んでくれないのもこのときです。こまめに現場に足を運ぶのが第一かな。(基礎工事が
終わると、もっと余裕があります)
1. 基礎工事は誰がする
用語説明
ここでは、このマニュアルに載っている
代表的な用語を解説しています。
【根切り】・・ねぎり
基礎を造るために現在の地盤を基礎やそ
の下の砕石を設けるために必要な深さま
で掘ることを言います。
ハウスメーカー、地元の工務店に限らず、一般的に基礎工事は、根切り、捨てコン、配筋、 【墨だし】
・・すみだし
建物の位置、型枠の位置、鉄筋の位置と
型枠、アンカーボルトの設置、コンクリート打設まで、通称「基礎屋」と呼ばれる住宅
いった作業のための目印となる寸法や位
の基礎工事専門の会社がやる場合がほとんどです。
置の印をいれる作業
そのため、基礎工事の最初の頃から職人さんに挨拶しておくと良いですょ。
【捨てコン】・・すてこん
2. 会社の違い
基礎工事の手順や方法に大きなかわりはありませんが、建築主に対する対応は会社に
よって異なっています。
ハウスメーカー
地場中堅建築会社
工程把握
建売や建築条件付きの建物
【底版】・・ていばん
基礎の底面のことで、この部分で建物を
支えます。
会社によって多少異なるが、いつ
配筋をして、いつコンクリートを
打設するかと言ったことは基本的
に把握している
○月○日までに基礎工事完了、と
いった大まかな工程しか押さえて
いない場合が多い
建築主へ
の対応
現場監督に確認することで、工事
工程をつかめることができる場合
が多い
現場監督に聞くよりは、実際の基
礎屋さん(職人さん)に聞いた方
が早い場合もある
社内検査
会社によっては、配筋の社内検査を
行っている会社がある
社内検査はまず行わない
■砕石と捨てコンクリート
墨出しなど、建物の位置や高さを正確に
するために仮設的に地面に流すコンク
リートのこと。
■コンクリート打設
【立ち上がり】
基礎の垂直面のこと
【かぶり厚】
基礎外面から鉄筋までの距離。基礎の耐
久性に影響を与える要素
【配筋】・・はいきん
鉄筋を加工し、組み立てる作業のことを
配筋という
【型枠】・・かたわく
コンクリートを打設するために基礎の形
状に合わせて枠を組む材料や作業のこと
【防湿コンクリート】
防湿のために打設するコンクリートのこ
とで、防湿コンクリートというものがあ
るのではない。普通のコンクリート。
【養生期間】・・ようじょうきかん
■配筋
■基礎完成
基礎コンクリートが固まるまで、強い力
などを加えないそっとしておく期間のこ
と。幅広い意味で使われるが、一般的に
は型枠をいつまで存置するかの期間を言
う場合が多い。
【レベリング材】
コンクリート打設後、型枠がある段階で
レベリング材(レベラーともいう)とい
う流し込むだけで勝手に水平に流れてく
れる水性の材料を基礎の上面に流し込み、
基礎上面を水平を造る材料
20011.6 改訂第6版
Preliminary Knowledge
基礎工事の手順
2-B2
べた基礎の工事手順(地盤補強はこの前に行います)
CHECK-POINT
根切り
☆・特に大切なチェック
地面を所定の深さまで掘る。採石を敷く。捨てコンクリートを打つ(2~3日) ☆コンクリート強度の確認
2-C3.4
注:捨てコンをしない会社もあります
基礎の
底盤
鉄筋を組立る(1~2日程度)-防湿シートを敷く(*1)
・防湿シートのチェック(*1)
☆配筋チェック
型枠を組み立てる(半日)
☆底版かぶり厚のチェック
2-C10
2-C5.6
2-C5
底盤のコンクリートを打設する(半日)
基礎の
立ち上がり
立ち上がりの型枠を組む
アンカーボルトをセットする(1~2日程度)(*3)
☆立上りのかぶり厚チェック
2-C6
2-C7
・アンカーボルトのチェック
2-C8.9
☆開口補強筋のチェック(*2)
立ち上がりのコンクリートを打つ(半日)
コンクリートの養生
基礎立ち上がり上面にレベリング材流し込み
基礎廻りの整地や棟上げ準備
型枠の取り外し。いよいよ棟上げ(上棟)
布基礎の工事手順(地盤補強はこの前に行います)
根切り
*1・・防湿シートをしない場合もあります
*2・・基礎パッキン工法の場合はありません
*3・・田植え方式はコンクリート打設後です
CHECK-POINT
地面を所定の深さまで掘る。採石を敷く。捨てコンクリートを打つ(2~3日) ☆コンクリート強度の確認
2-C3.4
注:捨てコンをしない会社もあります
基礎の
底盤
☆配筋のチェック
鉄筋を組立る(1~2日程度)
☆底版かぶり厚のチェック
型枠を組み立てる(半日)
2-C5.6
2-C5
底盤のコンクリートを打設する(半日)(*1)
基礎の
立ち上がり
☆立上りのかぶり厚チェック
2-C6
2-C7
レベリング材流し込み。型枠の取り外し
・アンカーボルトのチェック
2-C8.9
防湿コンクリートの打設
または、防湿、防蟻シート敷き込み+乾燥砂敷き込み
・防湿コンクリート厚の確認
・防湿、防蟻シートのチェック
2-C10
立ち上がりの型枠を組む
アンカーボルトをセットする(1~2日程度)(*3)
☆開口補強筋のチェック(*2)
立ち上がりのコンクリートを打つ(半日)
コンクリートの養生
床下
防湿
基礎廻りの整地や棟上げ準備
いよいよ棟上げ(上棟)
*1・・1回ですべてのコンクリートを打設す
る会社もあります
*2・・基礎パッキン工法の場合はありません
*3・・田植え方式はコンクリート打設後です
鉄骨プレハブ系布基礎の工事手順
積水ハウス、大和ハウス、旭化成等、鉄骨プレハブ系の会社は布基礎のコンクリートを底版、立ち上がり部分を1回で打設します。
それ以外の建築会社でも1回打設を行っている場合がありますので、事前に確認してください。
20011.6 改訂第6版
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基礎施工例
2-B3
○上 :砕石の敷き込み(白いのは柱状改良杭の頭)
○右上:捨てコンクリート打設(外周部のみ打設の例)
○右 :防湿シートと鉄筋の組立中
○下 :べた基礎の鉄筋組立完了
○右 :べた基礎部分のコンクリート打設
○右下:立ち上がり型枠と鉄筋の組立、アンカーボルト
20011.6 改訂第6版
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基礎伏図の見方
2-B4
POINT
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基礎の形状やアンカーボルト、ホールダウン用のボルトの位置などが書かれているのが
基礎伏図(きそぶせず)。
基礎の断面形状な配筋の種類やピッチを書いているのが基礎断面図(きそだんめんず)
です。
注:未だに建築条件付き宅地や小さな建築会社では、基礎伏図を書かずに実際に工事を
行う『基礎屋さん』に平面図を渡して丸投げしている会社が多く存在しています。『基
礎屋さん』が工事を行うのは事実ですが、設計行為も、監理、監督行為もせずにこれら
の業者に任せっきりの会社は建物をキチンと建てていこう。という姿勢のない会社かも
知れません。
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建築基準法に則った基礎断面や配筋であるのか。耐力壁の直下に基礎が設けられている
か。アンカーボルトの位置が適切であるか。ホールダウン用のボルトが計算された場所
に入っているか等がポイントとなります。
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アンカーボルト、ホールダウン用のボルト位置をチェック
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20011.6 改訂第6版
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鉄筋の基礎知識
2-B5
鉄筋の基礎知識
【D10,D13・・とは】
矩計図(かなばかりず)や基礎伏図(きそぶせず)といった図面を見ていると D10 や
D13 といった記号が書かれていますが、D とは、異形鉄筋の略で、右の写真のように
鉄筋の周囲を凸凹の突起が刻まれた鉄筋のことを指しています。
そして、その後の 10 や 13 といった数字は、突起部分と平坦部分の平均の直径を表し
ています。
【@200・・とは】
D10 や D13 といった数字の横に @200 や @300 といった数字が書いてあるのは、
鉄筋を配置する間隔を書いています。
たとえば D10@200 とは、直径 10mm の異形鉄筋を 200mm 間隔で配置する略号と
考えればいいです。
なお、下の図は、建築基準法で守るべき最低限の基礎の寸法と配筋方法を記載していま
す。
このような凸凹した鉄筋を異形鉄筋とい
い、Dの記号が与えられています。
鉄筋の直径は、凸凹部分を含まずに測り
ます。
【定着】
鉄筋を他の部分に固定させることをいい、底版の鉄筋を基礎の立ち上がり(梁)に定着
させます。立ち上がり部分のT型やL型の部分の鉄筋を相互に定着させることによって
一体の鉄筋コンクリートの基礎となります。
【継ぎ手】
鉄筋を1本の鉄筋で組むことはできません。運搬の関係でどこかで鉄筋を繋ぐ必要があ
ります。この鉄筋を継ぐ部分を継ぎ手といい、鉄筋同士を重ねる長さが決められていま
す。
鉄筋は特別な道具で繋いだり定着させたりするのではなく、鉄筋同士を重ねることに
よって、所定の強度が出るようになっています。そのため、実際の現場チェックでは、
鉄筋がいくらの寸法で重ねられているかがポイントとなります。
■基礎の名称
立ち上がり
底版
コンクリートは引っ張られる力に弱い
ため、A図のように鉄筋を重ねていな
いと、コンクリートの部分で破断して
しまう。
そのため、B図のようにある決められ
た長さに鉄筋を重ねると鉄筋とコンク
リートが一体となって抵抗してくれる
立ち上がり部分の鉄筋で
もっとも大切な鉄筋。
Dとは、異形鉄筋。13は直径
基礎立ち上がりの上下にあり
ます。
120以上
120以上
補強筋
10-@300
立ち上がりの高さ300mm以上
(公庫は400mm以上)
地盤からの深さ
120mm以上
主筋
D13-上下
外部
内部
50
底版の厚み
120mm以上
B図
10@300・・・Dとは、異形鉄筋のこと。
10とは鉄筋の直径
@とは、鉄筋の間隔
この場合は、異形鉄筋、直径10mmの鉄筋を
鉄筋の配置間隔は300mm間隔という意味
立ち上がり
50
底版
A図
D10-両端
D10-@300
地盤からの深さ
240mm以上
D13
底版の厚み
150mm以上
*立上がりの主筋・補強筋は布基礎に同じ
*底版の補強筋はD10@300以上(縦横)
べた基礎の構造
立ち上がりの高さ300mm以上
(公庫は400mm以上)
布基礎の構造
20011.6 改訂第6版
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配筋の法律
2-B6
基礎は、鉄筋とコンクリートの両方の働きによって必要な強度を確保するように
なっています。
そのなかで、鉄筋の加工や組み立てを配筋(はいきん)と言いますが、これにもルー
ル(法律)があり、下記のように決められています。
詳しくは、この章後半の実際のチェックリスト部分に詳細を記載しています。
鉄筋はなぜ必要か
V
2階建ての普通の建物では、柱1本当たり1t 程度の重さがかかっています。もちろん、
大きな窓の両側の柱や、大きな部屋の柱は、2~3tというもっと大きな重さを支えて
います。
このようなとき、基礎は右図のように、上に曲がろうとする力が働いています。
コンクリートは、この力には抵抗できず、鉄筋だけがこの力に抵抗することが出来ます。
底盤に鉄筋が必要なのも同じ理由です。
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20011.6 改訂第6版
Preliminary Knowledge
基礎工事Q&A -1(捨てコン、鉄筋、型枠)
インターネットなどの知識は、多くの人に間違った知識を与え、不安を助長する原因と
なっている場合があります。
「シャブコン」に代表されるようにコンクリートには雨が
大敵という誤解です。このページでは今までのサポートサービスで寄せられた疑問と不
安を説明し、基礎工事に誤った知識を持たないように事前に理解しておきましょう。
捨てコンのひび割れ
捨てコンは、基礎の一部ではなく、単に墨だしなどの作業をしやすく、正確にするため
に行います。そのため、捨てコンの表面がざらざらでも、あるいは多少ひび割れがあっ
ても基礎の構造強度には全く関係ありません。
本来の役にはたたないもの。だから捨てコンという名前なのでしょうね。
2-B7
防湿シートの破れ
べた基礎にも防湿シートが敷かれる場合
が多いですが、2-C10 に書いているよ
うに、床下の防湿は、防湿シート又は、
厚み 60mm のコンクリート打設のどち
らかですから、べた基礎でさらに防湿シー
トも施工する場合は、あまり神経質に防
湿シートの破れなどを気にする必要はあ
りません。
捨てコンの功罪
ハウスメーカーによっては捨てコンを施工しない会社もあります。代表的なものでは積
水ハウス、大和ハウス、旭化成などの鉄骨プレハブ系の会社が多いです。しかし、この
ような会社は、砕石転圧を捨てコンを打設する会社よりも丁寧に行い、その上で墨だし
もきれいにできるような習熟を積み重ねていますので、捨てコンを敷かないからダメ。
というものではありません。
むしろ、捨てコンを打つから、という理由で砕石も防湿シートも捨てコン自体もいい加
減。といった会社もありますから、必ずしも捨てコンを打つから良い会社などとは思わ
ないようにしましょう。
鉄筋の錆び
右の写真のように鉄筋が錆びたままで不安を抱く人がいますが、本来鉄筋はコンクリー
トとの付着性を良くするために錆止めなどの処理は一切されていません。
そのため、雨に打たれたりして鉄筋の表面に錆が浮くことが多く見受けられますが、鉄
筋はコンクリートに囲まれた時点で錆の進行はストップし、基礎の強度にも影響はあり
ません。
マンションなどの建物では1つの階の施工サイクルが 20 日程度ですが、その間は雨に
打たれても鉄筋はそのまま加工され、コンクリートが打たれます。
鉄筋の錆は何も問題ありませんょ。
鉄筋の曲がり、偏り、垂れ下がり
鉄筋がまっすぐに入っていないとダメなのではないか。と考える人もいますが、写真の
ように鉄筋は少々偏っていても何も支障ありません。また、鉄筋が曲がっていても、多
少垂れ下がっていても基礎の強度に影響するものではありません。
一度鉄筋を持てばわかりますが、たった1本の鉄筋でも大変重いものです。
鉄筋の加工上の曲がりや偏り、垂れ下がりは大丈夫ですょ。
木の型枠か、鋼製型枠か
型枠には木製の型枠と鋼製の型枠の2種類がありますが、どちらが優れているというも
のでもありません。
時々、鋼製型枠の方が上等と錯角している人もいますが、鋼製型枠は小回りが利きにく
く、細かな基礎の立ち上がりは不向きですが、何回も利用できるメリットを持っていま
す。
反対に木の型枠(コンパネ)は、細部の融通が利く反面、数回しか利用できません。
型枠で大切なのは、型枠材料ではなく、型枠がキチンと掃除されているか、型枠を建て
る精度がいいかどうかが大切ですから、あまり、型枠材料に一喜一憂しないことです。
20011.6 改訂第6版
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基礎工事Q&A - 2(アンカーボルト・他)
2-B8
アンカーボルトは型枠固定か?
よくいただくご質問のなかで、アンカーボルトが田植え式だが、型枠固定にしたい。と
いうお話しをいただくことがあります。
しかし、筆者の経験では、今まで田植え式でしか行っていない業者が、施主の要望で慣
れない型枠固定や鉄筋固定をすることよって、かえって精度を悪くしてしまうことがあ
ります。
特に安く上げようと鉄筋固定にした場合は、鉄筋の組み立て精度に大きく影響され、鉄
筋が波打っているとかえって、アンカーボルトの精度が悪くなってしまう事例が多いで
す。
このような場合、田植え式か、型枠固定か、という方法を指定するよりも、「土台の端
にアンカーボルトが来るようなみっともない工事は認めない」という精度基準を提示し
た方が遙かに賢明です。
土台を固定するアンカーボルト、そし
て、柱に固定するホールダウン共、そ
の施工方法には3つの方法がありま
す。
【型枠固定方法】
コ ン ク リ ー ト 打 設 前 に、 型 枠 に ア ン
カーボルトやホールダウン用のボルト
を型枠に固定する方法で、もっとも確
実な精度が確保されます。
【田植え方式】
コンクリート打設後に、田植えのよう
にアンカーボルトを刺していく方法
で、あまり精度は期待できません。
特にホールダウン金物が多い建物は少
し誤差が出る場合があります。
【鉄筋固定方法】
■型枠固定
鉄筋にアンカーボルトを溶接して固定
する方法です。ただ、位置やアンカー
ボルトの傾きの精度は鉄筋に依存して
いるため、型枠固定方式ほど精度は出
ないのが一般的です。
■鉄筋固定
田植え方式で
もきれいな精
度が出ている
例
レイタンス処理について
「ねこちパパ」などのホームページでは、レイタンス処理について書かれていますが、
現実にレイタンス処理をしている現場は極めて少ないのが実情ですし、それによって基
礎の強度が低下し、大地震で重大な損害が発生することもありません。
むしろ、レイタンス処理をしないコンクリート打ち継ぎ面からの問題の方が遙かに問題
としては大きいのです。
詳しくは、ホームページの「木になる話」の中の「建物と周囲地盤の関係」「レイタン
ス処理について」をご覧ください。
【レイタンス処理】・・基礎底盤 +50mm はなぜ?か?
一般的に基礎は、底盤部分と立ち上がり部分を分けて打設する場合が多いですが、この
打ち継ぎ部分は、コンクリートの水密性が期待できず、レイタンス処理などを確実に行
わないと長年の間に外部からの水が浸透する部分です。また、ジャンカなどがある場合
は、その部分もコンクリートの水密性が期待できず、同様に水が浸透する部分となりま
す。
このような理由から、長年にわたる床下への水の浸透を防ぐ意味から、基礎の底盤は、
周辺地盤より 50mm 程度上げておくのが大原則となっています。
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20011.6 改訂第6版
Preliminary Knowledge
基礎工事Q&A - 3(コンクリートと雨)
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夏はコンクリートに散水しよう。と言われているように、コンクリートは急激な温度変
化を嫌います。(良いコンクリートができないという意味)現実にはできませんが、コ
ンクリートの養生で最適な方法はコンクリート打設後に基礎全体に冠水養生という水を
一杯に張る方法です。
それは、水というものが外気の温度の影響を受けないために安定した温度でコンクリー
トが囲まれるからです。夏は外気が36度になっていても、水温は10数度で一定。冬
も寒風吹きすさんでいても、水温は一定ですね
つまり、コンクリート打設後2~3時間以上経過したコンクリートの雨は集中豪雨でも
ない限り、コンクリートにとっては、実は恵みの雨なのです。
不法加水(しゃぶコン)か?
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コンクリート打設後の雨
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コンクリートには砂利、砂、セメント、水の4つの要素が必要です。そして、コンクリー
トに必要な水分の量は配合段階で決められ、コンクリートの強度や耐久性に大きな影響
を与えます。そのため、コンクリートの中に雨が入ると言うことは、コンクリートの中
に占める水分が多くなり、弱いコンクリートとなってしまいます。
よく、これらのことからコンクリートに雨は大敵と考えられがちですが、コンクリート
で雨が問題になるのは、コンクリートの打設時だけです。それも小雨程度の雨であれば
支障はありません。ただ、本降りほどの雨になれば、コンクリート打設は行ってはなり
ませんし、コンクリート打設中に急に大雨が降ってきたときなどは、シートで養生する
など、雨が入らないようにする必要があります。
コンクリートは水分の量によって強度、耐久性が変化します。でも初期硬化が始まれば
大丈夫。雨が大敵なのは打設中と、打設後3~4時間程度の時間に限られます。
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コンクリート打設中の雨
2-B9
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・コンクリート試験の試験体の作成
しゃぶコンを気にされる方がいますが、しゃぶコンは一般建築やマンションなどの複雑
な鉄筋加工が必要な、言い換えればコンクリートの入りにくい緻密な配筋加工がされた
現場で行われていた過去の手抜き工事です。あたかもそれがどんな現場でも行われてい
るかのような誤解をもたれていますが、住宅の基礎は配筋加工もマンションなどに比べ
ればはるかに空間の多い、コンクリートの入りやすい配筋であるため、わざわざしゃぶ
コンにしてまで作業を行う必要性は全くありません。
住宅の現場では、しゃぶコンは行われていません。
コンクリート強度の検査
実際に打設されるコンクリートの強度を測る場合は、打設時に3本の供試体を作り、
28日後に公的検査機関に圧縮強度試験を行ってもらうことも出来ます。
1回の費用は2万円程度までです。
また、打設された基礎のコンクリート強度は、シュミットハンマーという手のひらに乗
るほどの試験器具で、若干の誤差は出ますが簡単に計測することが出来ます。
これを使えば、コンクリートの強度はいつでも計ることができます。
・シュミットハンマー試験の様子
POINT コンクリートの雨は、状況次第でわるい雨と恵みの雨
コンクリートは打設された当初は強アルカリ性の性質を持っているため、鉄筋を錆から守る働きを持っています。しかし、それは
徐々に中性化していき、中性化されるとコンクリートの中の鉄筋は錆びやすくなっていきます。上A図のようにコンクリートの水
分の量によって、コンクリートの中性化のスピードが異なり、かぶり厚 3cm の場合、水の多いコンクリートの場合は約 39 年程
度で中性化され、水が少ないコンクリートは 55 年程度かかって中性化されます。
同時に、B図のようにコンクリートを自然乾燥させたコンクリートと、ずっと水の中で養生されたコンクリートでは倍近い強度の
差が生じています。つまり、コンクリートは打設時の水は問題でも、打設後の水(雨)はむしろ、コンクリートにとっては恵みの
雨なのです。コンクリートと雨の関係を誤解しないようにね。
20011.6 改訂第6版
Preliminary Knowledge
基礎工事Q&A -4(コンクリートと雨)
コンクリート打設不良・・・ジャンカか?
2-B10
・ジャンカ
ジャンカとは、コンクリートの中の砂利や砂、セメントがうまく攪拌されずに材料が分
離し、砂利が表面に浮き出たような状態を言います。
この原因は、コンクリート打設時のバイブレーター(攪拌)作業の不十分につきます。ジャ
ンカ部分はほとんど強度がありませんから、ジャンカの程度がひどい場合は、その部分
をはつり、再度コンクリートを充填する必要があるものもあります。
コンクリート打設不良・・・気泡
これは、コンクリートを型枠枠内に流し込むときに一緒に巻き込む空気が型枠近くに滞
留したものですが、基礎の強度や耐久性に大きな影響を与えるものではありませんので、
あまり気にする必要はありません。(右の写真の程度では全く問題ありません)
・底版と立ち上がりの継ぎ目
底版と立ち上がりの継ぎ目部分で、下の
写真のようなブツブツが出来ることがあ
コンクリート打設不良・・・ひび割れ(クラック)
りますが、特に支障があるものではあり
ません。上の写真のようにそれが大きく
よく、コンクリートにひび割れができるのはコンクリートの宿命だ。という人がいます
出来たものがジャンカと言われるもので
が、それは半分事実であり、半分間違っています。
す。
クラックの原因は実に多種多様で、乾燥収縮によるもの、力が加わったためにできたも
の、コンクリートの乾燥過程の沈下によってできたもの、乾燥過程のコンクリートの重
力沈下によるもの等々原因は様々です。
また、コンクリートは1年程度にわたって乾燥し、収縮を続けるため、その収縮過程で
ひび割れが生じる場合もあります。
■ひび割れの瑕疵の目安 品確法、告示第1653号
構造体
基礎
不具合事例
構造耐力上主要な部分に
瑕疵が存在する可能性
・下記以下のひび割れ
・低い
レベル1
・幅0.3㎜以上、0.5mm未満のひび割れ
・一定程度存する
レベル2
・幅0.5mm以上のひび割れ
・高い
レベル3
ひび割れ(クラック)
・気泡は、あまり気にしない
ひび割れ(クラック)
20011.6 改訂第6版
Check Point
表層改良工事のチェックポイント
2-C1
CHECK
表層改良工事のポイント
表層改良工事は、その地盤全体の土をセメント系固化剤などを土に混ぜて地盤を強くする工法です。
建物の周囲も必要
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建物の重さは、右の図のように少し斜め
下にも影響を及ぼします。
そのため、概ね30度の角で伸ばした線の
所まで、地盤改良を行う必要があります。
■改良深さと必要な範囲
表層改良の深さ 1.0m・・約 60cm
表層改良の深さ 1.5m・・約 90cm
表層改良の深さ 2.0m・・約120cm
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表層改良の養生期間
表層改良をしたらすぐに重機を入れて、
次の工事に入る業者がいます。
表層改良をすれば、すぐに固まると考え
ている無知な業者ですが、表層改良では、
コンクリート同様、セメント系固化剤の強
度が出来ないうちに重機による作業は避け
る必要があり、通常、養生期間は3日間必
要です。(タフロック技術資料より)
注:墨だし等の人間が乗る程度の軽作業は
差し支えありません。
植木を植える部分はしない
表層改良をした土はカチカチの土にな
り、植木などには適しません。
そのため、建物の近くにどうしても植木
などを植えたいと考えている場合は、その
部分は表面から 60cm 程度は表層改良を
しないでおく場合があります。
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セメント系固化剤の添加量
本来、セメント系固化剤の添加量は、土
の種類によってすべて異なります。しかし、
すべての土を土質分析まですると時間も費
用もかかるため、経験則でいく場合も多い
ですが、配合計算を行わない場合は、1
m3 当たりの添加量は 120kg/m3 以上を
一つの目安としています。
(建築学会、小規模基礎設計より)
砕石不要
図面に基礎の砕石が書かれていても、柱
状改良杭や表層改良などの地盤補強工事を
行った場合は、砕石などの地業工事は行わ
なくても問題ありません。
20011.6 改訂第6版
Check Point
柱状改良工事のチェックポイント
2-C2
CHECK
柱状改良杭(ちゅうじょうかいりょうぐい)の原理
杭と言うからには杭が堅い地盤に到達し
て、その地盤の強さで建物を支えている、
と考えがちですが、柱状改良杭は、堅い地
盤での支持力と同時に、軟弱な地盤の杭の
周囲の土との摩擦力の二つで建物を支えて
います。
逆に言うと柱状改良杭は杭を設ける地盤
の強さによって杭自体の強さも変わってく
ることになります。
また、軟弱地盤が深くて、杭の先端の地
盤が弱くても、意外と軟弱地盤層の杭の周
辺摩擦力だけでも強い支持力を発揮してい
ます。
■柱状改良杭の原理
建物等の重さ
柱状改良杭
杭周辺摩擦力
柔らかい地盤
養生期間
柱状改良杭は、セメント系固化剤を土に
添加しながら土と固化剤を攪拌して杭をつ
くっていく湿式工法と、セメントスリラー
と呼ばれる固化剤だけを流し込む湿式工法
の2つがあります。いずれも、いわばセメ
ントで固められた土の杭、ということにな
ります。
なお、柱状改良杭の場合は、セメント系
固化剤の添加量も多く、表層改良のような
面としてではなく、点として工事をするた
め、表層改良工事のような確実な養生期間
を確保する必要はありません。
軟弱
地盤
5.0m
軟弱
地盤
2.5m
堅地盤
軟弱地盤
工事のチェックポイント
柱状改良杭で建物を支えますが、建物は
基礎にその重さが伝達されます。つまり、
基礎の立ち上がり部分に杭が来ていなけれ
ば効果が下がってしまいます。
そのため、工事中は右図のように、基礎
の立ち上がりがある位置から杭が大きくず
れていないかどうかがチェックのポイント
になります。
深さ5.0m軟弱地盤に杭を打つ
のと、深さ2.5mの堅い地盤に
杭を打つのでは、周辺摩擦力が
あるため杭が支える力はかわり
ます
堅い地盤
周辺摩擦力とは、杭と土の摩擦
で杭が下に下がらずに、重さを
受け止める力のこと。厳密には
土の種類によって異なる
杭の先端支持力
■柱状改良杭のチェックポイント
■基礎内部、柱状改良杭のズレ
・べた基礎の場合で基礎内部で
多少、杭 位置がずれるのは支
障ありません。
・布基礎の場合は、基礎外周部
と同様に 大きくずれるのは問
題です。
■柱状改良杭の配置の基本
・杭は基礎立ち上がり部分の交
点を中心として配置され、直線
部分ではおおむね1.8~2.7m以
下に配置されます。
杭の間隔は1.8~2.7m程度
砕石不要
図面に基礎の砕石が書かれていても、柱
状改良杭や表層改良などの地盤補強工事を
行った場合は、砕石などの地業工事は行わ
なくても問題ありません。
■基礎外周部柱状改良杭のズレ
・べた基礎、布基礎とも基礎外
周部で大きく杭がずれるのは問
題です。建物の重さを杭に伝え
ることができなくなります。
・このような場合は底版の幅を
広げるなどの対応が必要になり
ます。
20011.6 改訂第6版
Check Point
コンクリート強度の確認
2-C3
1. コンクリート強度の単位
2. 設計強度(せっけいきょうど)
3. 28日強度(28にちきょうど)
コンクリート強度は 15.18.21.24.27.30
といった3つごとの数字で表され、単位は
N/mm2 です。
Nはニュートンと言い、重さの国際単位で
すが、kg に直すと、
1N/mm2 とは、
0.1kg/
cm2 と同じです。つまり 21N/mm2 の
強度を持つコンクリートは、10cm 当たり
21,000kg の重さに耐えられるコンクリー
トと言うことになります。
もっとも、この強さは住宅の基礎としては
十分すぎるほどの強さですが。
住宅基礎などでは行いませんが、混構造の
建物や重量鉄骨造などの基礎を設計する場
合、コンクリートの強度を、18N/mm2
から 21N/mm2 のいずれかで計算し、住
宅の基礎もその強度を基準としています。
また、コンクリートの強度は下図のように
半年以上にわたって緩やかに強度を増して
いき、1年程度で強度の伸びは止まります。
暑いときに打ったコンクリートは 90 日程
度でコンクリート強度の伸びは止まります
が、冬に打ったコンクリートは1年程度か
かって強度を増していきます。
しかし、それではいつコンクリートの強度
を基準にすればいいか曖昧なため、コンク
リートの強度は、コンクリートを打設した
日から28日目の強度をコンクリートの強
度としています
N/mm2・・ニュートン・パー・平方ミリメートル
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右の図のように、コンクリートは外気温に
よって強度の伸び方が異なってきます。暑
いときは早く強度が出ますが、寒いときは
強度の伸び方もゆっくりとしています。そ
のため、ゆっくりと養生をする時間がない
昨今の工事状況では、より早く強度が出る
ように、打設するコンクリートの強度を上
げることを温度補正と言います。
日本建築学会では、右表のような数値を提
唱しています。
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また、温度補正を行わない場合は、より十
分な養生期間が必要となってきます。
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実際に打設されるコンクリートのことを設
計強度と区別する意味から、打設強度、あ
るいは呼び強度という表現が使われ、この
コンクリート強度の決め方は、設計強度に
打設する季節の外気温から温度補正を考慮
した強度に補正されます。
たとえば、設計強度を 21N/mm2 とした
とき、冬季などは外気温が低いため、温度
補正を +6 とし、27N/mm2 のコンクリー
トを打設する。ということです。
なお、公庫では、温度補正を考慮して、右
表のようなコンクリート強度での打設を推
奨しています。
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4. 温度補正(おんどほせい)
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CHECK-1
コンクリート強度の確認
CHECK
コンクリートの強度は、基礎自体の強度はもちろんのこと、型枠をいつとれば良いかといった養生期間の決定のため
にも必要なデータです。コンクリート打設時には、生コン車が配合されたコンクリートの伝票を持っていますが、で
きれば基礎工事の着工前後に確認を取っておきましょう。
注:捨てコンや、玄関に打つ土間コンなどは、こういう強度で打設する必要はありません。(強度不問)
20011.6 改訂第6版
Check Point
養生期間の確認
建築基準法では、右表のように型枠の残置
期間が定められています。これは、コンク
リートが一定の強度まで固まらないうちに
型枠を外すことによって、コンクリートの
強度低下、クラックの発生などを予防する
ものです。
建築基準法では右表のように、外気温に
よって表に決められた日数まで型枠を取ら
ないか、コンクリートの強度が 5N/mm2
以上になるのを確かめてから型枠を外すこ
とを求めています。
ただ実際の工程の中では、この表に書かれ
ているような「存置日数」をそのまま使用
する悠長な現場は無く、表右側の「コン
クリートの圧縮強度が 5N/mm2」以上と
なったときに型枠をはずすのが一般的で
す。ただ、これも経験則で行っている場合
が多く、ときとして、養生期間の不十分で
コンクリートにひび割れが生じることがあ
ります。
冬季のコンクリート(建築基準法)
また、建築基準法ではコンクリート自体の
温度が2℃を下回ることを禁じており、そ
の様な恐れがある場合は、十分な養生が不
可欠です。
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型枠の存置期間(建築基準法)
2-C4
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養生期間の目安
本来は、コンクリートの温度補正を行い、
打設時期に応じた適正な養生期間を取るべ
きですが、建築会社の中には、温度補正の
必要性も、上記の型枠の存置期間の法律が
あることすら知らない会社も存在していま
す。
そのため、基礎コンクリートの呼び強度を
確認し、その後に養生期間(型枠の存置期
間)も併せて確認しておきましょう。
なお、右表は型枠存置の目安を書いていま
す。
コンクリートの型枠は、コンクリートの強
度が 5N/mm2 以上に達するまではずし
てはならない。それが強い基礎を造り、ひ
び割れのないコンクリートを造る大原則で
す。
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CHECK-2
養生期間の確認(夏と冬でポイントが違う)
CHECK
コンクリートのひび割れの大きな原因の一つは、冬期は型枠自体の保存期間の不足によるものです。型枠を急いでは
ずしてしまうと、まだ固まりきれていないコンクリートが沈下したりしてひび割れが生じます。
夏は反対にたった1日で型枠を外すのに十分な強度になりますが、太陽の直射日光により乾燥が促進しすぎてひび割
れを起こしますから、シートなどでコンクリートを覆う養生が大事になります。
20011.6 改訂第6版
Check Point
底版配筋のチェック
2-C5
CHECK-3
鉄筋は 40cm 以上 (*1) 重なっているか
長い基礎の端から端までを1本の鉄筋で通
すことは出来ません。
そのため、鉄筋は継いでいかなければなり
ません。
この時、鉄筋は 40cm 以上 (*1) 重ねて継
いでいく必要があります。
(*1)・・鉄筋直径の 40 倍以上必要です。
使われている鉄筋が 13mm の場合は、
520mm 以上でなければなりません。
■べた基礎
D10
(*1)
40cm以上
D13
52cm以上
40cm以上(*1)重なっていること
を確認しましょう。
■布基礎
D16
40cm以上(*1)重なっていること
を確認しましょう。
D19
CHECK
CHECK-4
鉄筋端部の確認(べた基礎のみ)
底版の鉄筋の最後は、基礎の外周部に
80mm 以上曲げられた鉄筋が入っていま
すか。鉄筋をわざわざ曲げているのは、底
版の鉄筋と基礎の立ち上がり部分とをしっ
かりと定着させるためです。
CHECK-5
CHECK
80mm以上
鉄筋が曲げられている方向は、必ずしも下向きである必要はありません。
斜めでも上向きでも構いません。
鉄筋間隔の確認
前項で説明したように、@200 といった略号で鉄筋の配置間隔が示されています。底版
の鉄筋がおおむね、その間隔で配置されていることを確認しましょう。図面に記載され
ていない場合でも、最低 300mm 間隔で配筋されている必要があります。ただし、す
べての鉄筋を 200mm ちょうどといった芸当はどんなにうまい職人さんでもできませ
んので、平均してその間隔がとれていれば問題ありません。
CHECK
CHECK-6
かぶり厚の確認(6cm)
鉄筋は空気に触れると錆びていきます。
これを防ぐためには、鉄筋をコンクリート
で包み込んでおく必要があります。
この厚みを「かぶり厚」といいますが、布
基礎やべた基礎の底辺の鉄筋が、キチンと
地面から浮いている必要があります。
建築基準法では、下の地面と底盤の鉄筋は
6cm 以上離れている必要があると規定さ
れています。
鉄筋を浮かすための小さなブロック「ス
ペーサー」とも「サイコロ」ともいいます。
CHECK
布基礎、べた基礎とも、鉄筋と捨てコンあるいは砕石までの間隔(かぶり厚)は、6cm 以上必要です。
もっとも、地面の凸凹や鉄筋の多少の垂れ下がりがありますから、高さ 6cm のスペーサーが使われているこ
とと、極端にかぶり厚がとれていない部分が無いかどうかを確認しましょう。多少、不足がある場所があって
も部分的なら支障ありません。
20011.6 改訂第6版
Check Point
底版配筋のチェック
2-C6
CHECK-7
鉄筋は 40cm 以上 (*2) 重なっているか 㧭㧚೎ߩ㋕╭ࠍᷝ߃ࠆ߿ࠅᣇ
基礎には、L型やT型のコーナーが必ずあ
ります。この部分に鉄筋が補強されていな
いと、地震時に基礎は離れていきます。コ
ンクリートは、引っ張られる力には極めて
弱く、鉄筋が基礎を離れないようにしてい
ます。
下図は、基礎を上から見た図ですが、○で
囲まれた部分がL型やT型で基礎が交差す
る部分です。そして、この部分には、右図
のような鉄筋の加工が必要です。
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CHECK
CHECK-8
鉄筋は 52cm 以上 (*3) 重なっているか
底版配筋同様に長い基礎の端から端までを
1本の鉄筋で通すことは出来ません。
このようなとき、鉄筋は重ねて継いでいく
おく必要があります。
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CHECK
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&
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&
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(:*3)・・直径 10mm(D10) は、40cm、直径 16mm(D16) は 64cm 以上、直径 19mm(D19) の鉄筋は 76cm
以上必要です。なお、D10 の鉄筋は 40cm 以上です。
CHECK-9
開口部の補強筋(換気孔を設ける場合のみ)
CHECK
基礎パッキン工法の場合は不要ですが、換
気孔を設ける場合は、換気孔の廻りに右図
のような鉄筋の補強が必要です。
古い建物では、モルタルの外壁の窓の各
コーナーから45度にクラックが入ってい
る例が見受けられます。これらのクラック
を塞ぐのがこの鉄筋の目的です。
20011.6 改訂第6版
Check Point
立ち上がり型枠完成時
2-C7
CHECK-10
かぶり厚の確認
・スペーサー・・通称「ドーナッツ」
必ずしも必要ではありません
かぶり厚は鉄筋の将来の錆を防ぐ意味で重
要ですが、立ち上がり部分は、右の写真の
ような通称「ドーナッツ」とよばれるスペー
サーを使って、鉄筋が型枠に偏らないよう
にしています。
底盤の時と同様に、鉄筋の中性化を防ぐ為
に、鉄筋は型枠から一定の距離をとって配
置されている必要があります。
建築基準法では、布基礎とべた基礎それぞ
れ下図のように規定されています。
・それぞれ正常な鉄筋と型枠の状態です
なお、右の写真はきれいに型枠の中央にき
ていますが、かぶり厚が確保されていれば、
必ずしも鉄筋が型枠の中央にきていなけれ
ばならない、といったものではありませ
んょ。
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Ꮣၮ␆
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ౝㇱ
ᄖㇱ
CHECK
べた基礎の場合は、基礎の外周部(外壁が載る部分)と内部ではかぶり厚が違いますのでご注意ください。
POINT
ずれた鉄筋の処理
鉄筋の組立は、地面に打たれた墨を目印し
ながら、地面から浮かして組み立てていく
ため、熟練の技が要求されます。それでも
型枠の無い状態で組み立てて行くわけです
から、多少のズレはやむを得ません。
もし、右のように所定のかぶり厚が取れて
いない場合、鉄筋の根元が所定どおりあれ
ば、鉄筋の傾きを直すだけで良いですが、
根元もとれていない場合は、型枠自身を広
げて所定のかぶり厚の確保を要求しましょ
う。
‫ع‬㋕╭ߩᩮర߆ࠄߕࠇߡ޿ࠆ႐ว ‫ع‬㋕╭ߩ਄ߛߌ߆߱ࠅෘ߇
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20011.6 改訂第6版
Check Point
アンカーボルトの設置
2-C8
POINT
アンカーボルトの長さと種類
アンカーボルトは、長く出ているものと、
短いものの2種類があります。
長いものは、ホールダウン用のアンカーボ
ルトで、短いものは、土台を固定するアン
カーボルトです。
長さが違うのですぐに見分けることが出来
ます。
POINT
ホールダウン用ボルトの位置ズレ
長いのはホールダウン用の
アンカーボルト
短いのは土台用の
アンカーボルト
■左の写真は、型枠固定方式の
アンカーボルトの設置
■下の写真2枚は、田植え方式の
アンカーボルトです。
アンカーボルトは、基本的に土台の中央付
近に設ける必要がありますが、ホールダウ
ン用のアンカーボルトは、基礎の中央部分
から、偏った位置に設ける場合があります。
これは、その柱に取り付く筋交いとの干渉
をされるためですから、ホールダウン用の
長いボルトが、基礎、あるいは土台の中央
に無くても問題はありません。
田植え式でアンカーボルトを設ける場合は、コンクリート打設後にチェックしま
しょう。ただし、ホールダウン用のボルトは、コンクリート打設前に設ける場合
がほとんどです。
ホールダウン用ボルトは、主に軸組工法で使われています。2X4工法ではホー
ルダウン金物の取付は任意なので、建物の四隅などに入れられたりする場合もあ
りますが、少し形状が異なるため、もっと短いボルトが使われる場合も多いです。
筋交いがつくため、少し偏るホールダウ
ン金物(写真は軸組工法)
20011.6 改訂第6版
Check Point
棟上げ前のチェック
2-C9
CHECK-11
アンカーボルトの確認
CHECK
棟上げ前には、アンカーボルトのチェックをしておきましょう。さぁ~。と見るだけですぐに済む簡単なチェックです。
ホールダウン用のボルトが入っているか。基礎のL型やT型の部分にアンカーボルトが入っているかがポイントです。
POINT
L型T型コーナー
基礎が図のように、L型やT型になってい
る部分には、アンカーボルトが必要です。
右図のようにアンカーボルトがあれば良
し。
無ければ問題です。
後日、追加のアンカーボルトを入れる必要
があります。
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POINT
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ただし・・
将来の点検用などの開口で基礎がとぎれて
いても、土台は下図にように設けますから、
必ずしも、基礎の端部だからアンカーボル
トが必要。ということでもありません。
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POINT
アンカーボルトの傾き
アンカーボルトの傾きは、
後でボルトをコンクリー
ト面から垂直に起こすな
どの作業でまっすぐにで
きますから、あまり気に
する必要はありませんょ。
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20011.6 改訂第6版
Check Point
床下防湿
2-C10
CHECK-12
床下防湿の確認
CHECK
木造住宅や、鉄骨造でも1階の床が木造でできている場合、床下の防湿は建物の耐久性を考える上で非常に大切な部分で
す。
そのため、建築基準法では、床下に湿気が上がってこないように床下には防湿の措置をすることが義務づけられており、
厚み 60mm 以上のコンクリートを打つか、あるいは防湿シートなどを敷くことが一般化されています。
また、床下に湿気が充満し、換気による抜け道がないと、建物の床下は、カビと結露が発生し、土台の木が腐りはじめ、
室内には、カビと湿気が進入していきます。そのため、床下の防湿と同時に床下換気も大切な部分です。
床下は漏水事故でも無い限り、今後決して見ることの無い世界ですが、これをおろそかにすると建物は、少しずつ少しず
つむしばまれていきます。
・床下防湿の施工前
・防湿シート敷き込みとコンクリートの打設前
布基礎の場合
破れるのは仕方ないのですが、というより
も、破れるのが宿命ですが、コンクリート
打設前に破れた部分を上からパッチワーク
のように継ぎ接ぎでよいから、新しい防湿
シートをかぶせていく必要があります。
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右図のように、コンクリートを打つか、防
湿シートを床下一面に施工しますが、もし、
あなたの建物が防湿シートを施工されてい
るのなら、防湿シートが破れていないかを
チェックしましょう。
しかし、防湿シートの厚みはわずか0.1
mm 程度です。鉄筋や作業などで非常に破
れやすいものです。
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注:防湿シートではなく、防湿、防蟻シートを施工する場合もあります。その場合は、
そのメーカーの施工指針に基づいた工事が必要です。
このちょっとした手間暇をかけるだけで、
地面からの湿気を大きく押さえることが出
来ます。
べた基礎の場合
最近では、地耐力に関わらず、最初からべ
た基礎で計画される場合が多くなっていま
す。
上図のように床下の防湿は、防湿シート又
は、厚み 60mm のコンクリート打設のど
ちらかですから、べた基礎でさらに防湿
シートも施工する場合は、あまり神経質に
防湿シートを気にする必要はありません。
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注:べた基礎の場合は、防湿シートの破れや破損などは、底版のコンクリートと床下換
気で、床下の防湿と換気が行われるため、特に気にされる必要はありません。ただ
し、基礎断熱、スラブ内温水暖房などをされる場合は、しっかりと敷き込む必要が
あります。
20011.6 改訂第6版