関数の極限 タイプ別 早見チャート 関数の極限を求める問題の解法には,主に下記7つのタイプがある。 Ⅰ.式変形タイプ Ⅰ.式変形タイプ…… 簡単な式変形によって解くタイプ。主に下記3つのタイプがある。 ⅰ.因数分解・約分タイプ …… 分数の形で,分母・分子(またはどちらか)を因数分解して約分する ことによって,不定形を解消して,代入して解くタイプ。 0 x ® a の極限で, の不定形になる場合に考える。「因数分解」→「約分」→「代入」とイメージ! 0 ⅱ.1番強い項でくくるタイプ … 1番強い項(次数が高い)でくくる(分数の場合は,分母の1番強い項 で,分母・分子を割ると考えても同じ)ことによって解くタイプ。 x ® ∞ の極限で, ∞ や ∞ − ∞ の不定形になる場合に考える。 ∞ lim 1 = 0 ( k は自然数) x ® ±∞のときは x ® ±∞ x k を使うこと がポイント! ⅲ.有理化タイプ …… 有理化することによって,不定形を解消して解くタイプ。 0 無理式が入っている不定形の場合に考える。 0 の不定形は,「約分」→「不定形解消」に, ∞ − ∞ の不定形は,「ⅱ.1番強い項でくくるタイプ」になることが多い。 Ⅱ.三角関数の極限公式タイプ …… 三角関数の極限公式を用いて解くタイプ。 三角関数を含む不定形の極限のときに考える。 sin x lim x =1 の公式が使えるように変形することがポイント! x ®0 準公式として lim x®0 1 − cos x 1 = の公式も覚えるとよい。 2 x2 使い方のイメージ sin ★ ★ の形を作って ★ sin ★ ★ → 0 のとき,極限値は 1 ! Ⅲ.はさみうちの原理タイプ …… はさみうちの原理を用いて解くタイプ。 『数列の極限』等,直接極限を求めることができないときに使う。ガウス記号を含むときや sin x e - x sin x , lim 「x ® ∞で『(減少関数)×(周期関数)』」 例: lim x®∞ x®∞ x のときに考える。 はさみうちの原理 f (x) ≦ g (x) ≦ h (x) のとき, lim f (x) =α かつ x®∞ h (x) =α ならば lim g (x) =α lim x® ∞ x® ∞ Ⅳ.微分係数の定義タイプ …… 微分係数の定義を用いて解くタイプ 微分係数の定義 f ¢ (a ) = lim x®a f ( a + h) − f ( a ) f (x ) − f (a) = lim にあてはまるときに使う。 h ® 0 x−a h Ⅴ.e に関する極限公式タイプ …… e に関する極限公式を用いて解くタイプ。 1 ∞ x 1 æ1 + 1 ö = e x ( ) = e の公式を用いて解くことを考える。 lim ç ÷ 1 + x の不定形の極限は lim x®∞ è xø x®0 log (1 + x ) = 1 の公式を用いて解くことを考える。 対数関数を含む不定形の極限は lim x®0 x ex − 1 =1 指数関数を含む不定形の極限は lim の公式を用いて解くことを考える。 x®0 x Ⅵ.平均値の定理タイプ …… 平均値の定理を用いて解くタイプ。 ※関数の極限では省略。 Ⅶ.区分求積法タイプ …… 区分求積法を用いて解くタイプ。 ※関数の極限では省略。 http://love-su-gaku.com/ Manabu Sato(C)2011 関数の極限の基本とポイント ■ 関数の極限と数列の極限 数列の極限では, n が(1,2,…と飛び飛びに)限りなく大きくなるときの第 n 項 a n の値を考えたが,関数の極限 では,x が実数となり, x → ∞の極限だけでなく, x → a の極限も考える。考え方は数列の極限とほぼ変わらない。 ■ 右方極限と左方極限 x ® a の極限で,x を aより大きい値から限りなく a に近づけるとき,右方極限といい,「x ® a + 0 」と表し, a より小さい値から限りなく a に近づけるとき,左方極限といい,「x ® a − 0」と表す。 lim f( x ) と lim f( x ) が存在し,一致するとき lim f( x ) が存在する。 x ® a+0 x ® a−0 x®a x ® a の極限を求める場合は,左方,右方両方の極限を考える。特に,分数でx ® aで分母が0 になるとき, ガウス記号,絶対値を含むときには注意する! 分数 ガウス記号 例 lim x® 1 絶対値 例 x 2 において ( x - 1) (x- [ x ] lim x®1 2 y = x - [ x ] のグラフ y [ x ]® 1 1 一致しない! x ® 1- 0 のとき,( x - 1) ® + 0 より -2 [ x ]® 0 lim x 2 = ∞ x® 1-0 x ( 1) x =∞ 2 x ( - 1) -1 O x lim x®0 y = x のグラフ x>0 のとき, x = x y x = lim x = 0 lim x®+0 x®+0 x ® 1− 0 のとき, 2 よって, lim x® 1 ) x ® 1+ 0 のとき, x ® 1+ 0 のとき,( x - 1) ® + 0 lim x 2 = ∞, x® 1+0 x ( 1) 例 1 2 x lim ( x - [ x ] ) = 0 x® 1+0 O x<0 のとき, x = - x x 一致する! x = lim (- x) = 0 lim x®-0 x®-0 lim ( x - [ x ] ) = 1 x® 1−0 よって,極限値は存在しない。 よって, x =0 lim x®0 ■ 関数の発散速度 発散速度とは,関数 y = f( x )において,わかりやすくいうと「 x の値を大きくすると, y の値がどれだけ 大きくなるか」ということで,対数関数<<整関数<<指数関数の順で発散速度が大きい。 対数関数は亀みたいにノロノロと進み,指数関数はロケットみたいに速く進む! 遅い y グラフは n による この場合はn=3 1 O y 速い y 1 x O y = x n( n> 1) y = log a x ( a> 1) O x x y = a x( a> 1), y = e x 実際の計算は,不等式を利用して,はさみうちの原理等から求めるが,グラフを描く際に,x → ±∞,x → ±0 のとき, どんな値になるかを調べる際には,下記のように証明なしに用いてよい。 例1 log x lim =0 x →∞ x x2 − 2x + 1 lim =0 x→ ∞ ex 例2 x の方が log xより速く∞にいくので ex の方が x 2 − 2 x + 1 より速く ∞にいくので 例3 ex =∞ x →∞ n x lim ex の方が xn より速く∞にいくので ■ 極限公式の覚え方 sin x ,log( 1 + x ) , e −1 を,それぞれ f( x )とおくと f '( 0 )= 1となり,原点で y = x と接し ている。つまり,原点付近では y = x のグラフとほぼ同じとみなすことができ,極限 が1となる!公式を忘れたら,右記グラフを考えれば,うまく式をつくることができる! y y = e x −-11 y=x x sin x lim =1 x→0 x sin x ≒ x lim log ( 1+ x ) = 1 x log ( 1+ x ) ≒ x x→0 ex −1 =1 lim x→0 x y = log ( 1+ x ) ) O y = sin x x e − 1≒ x http://love-su-gaku.com/ Manabu Sato(C)2011 式の変形タイプ Ⅰ.式変形タイプ Ⅰ.式変形タイプ…… 簡単な式変形によって解くタイプ。主に下記3つのタイプがある。 ⅰ.因数分解・約分タイプ …… 分数の形で,分母・分子(またはどちらか)を因数分解して約分する ことによって,不定形を解消して,代入して解くタイプ。 0 x ® a の極限で, の不定形になる場合に考える。「因数分解」→「約分」→「代入」とイメージ! 0 例1 3 x - 2 x - 8 lim lim = x®2 2 x®2 2 2x - x - 6 = lim x®2 0 の不定形 0 = ( x - 2) ( 3 x + 4 ) ( x - 2 ) ( 2 x + 3) 3x + 4 2x + 3 x 2 + 3 x - 4 lim ( x - 1) ( x + 4 ) lim = 2 x®1 x®1 ( )( ) 例2 因数分解 約分 3 × 2 + 4 10 = 2×2+3 7 = lim x®1 0 の不定形 0 = 代入 因数分解 x - 1 2x + 5 2x +3 x - 5 x+4 2x + 5 約分 5 1+4 = 2×1+5 7 代入 1番強い項でくくる(分数の場合は,分母の1番強い項で, ⅱ.1番強い項でくくるタイプ …… 分母・分子を割ると考えても同じ)ことによって解くタイプ。 ∞ ∞ − ∞ の不定形は,1番強い項(最高次の項)でくくり, ∞ の不定形は,1番強い項でくくるか, 1 lim = 0 ( k は自然数) 1番強い項で分母・分子で割って, x ® ±∞のとき x ® ±∞ x k 1番強い項で分母・分子で割る解法 lim x® ∞ 3x 2 - 2 x - 8 2x2 - x - 6 0 = lim x®∞ 2 8 3 - x - x2 0 = 3x 2 − 2 x − 8 lim x® 2 ∞ 0 1 ∞ 最高次の項 x2 で割った x2 3 − x2 2 − 2 8 − x x2 1- 6 x x2 0 0 = lim x®∞ 約分 ∞ の不定形 ∞ 2x − x − 6 = lim x®∞ 分母・分子を 3 2 Image 1番強い項でくくる解法 ∞ の不定形 ∞ 2- 1 - 6 x x2 を用いて解く! 2 8 3 − x − x2 1 6 2− − 2 x x 0 1 100…00 0 例 ( x 3 - 3x 2 + 5 x ) lim x®∞ 分母・分子を 最高次の項 x2 0 でくくった 0 æ 3 5ö x 3 ç1 - + 2 ÷ = lim x®∞ x x ø è 0 ∞ = 3 2 =∞ × 1 =∞ 0 ⅲ.有理化タイプ …… 有理化することによって,不定形を解消して解くタイプ。 0 無理式が入っている不定形の場合に考える。0 の不定形は,「約分」→「不定形解消」に, ∞ − ∞ の不定形は,「ⅱ.1番強い項でくくるタイプ」になることが多い。 ∞ タイプ ∞−∞タイプ ∞ 例 lim x®4 = lim x®4 = 例 x-4 x -2 ( x - 4 ) ( x + 2) ( x - 2) ( x + 2) ( x - 4 ) ( x + 2) lim x®4 x-4 有理化 約分 lim x 2 + 1 - x x®∞ x2 +1 + x = lim æè x 2 + 1 - x öø × x®∞ x2 +1 + x = lim = lim ( x + 2) = lim x®4 = 4 +2=4 代入 x®∞ x®∞ 有理化 x2 +1- x2 x2 +1 + x 1 x +1 + x 2 =0 x ® ∞とすると 1 より ∞ http://love-su-gaku.com/ Manabu Sato(C)2011 三角関数の極限公式 Ⅱ.三角関数の極限公式タイプ …… 三角関数の極限公式を用いて解くタイプ。 三角関数を含む不定形の極限のときに考える。 sin x lim x =1 の公式が使えるように変形することがポイント! x ®0 使い方のイメージ sin ★ ★ の形を作って ★ sin ★ 三角関数を含んだ式で,不定形になる形は,まずこのタイプを考えるとよい。 lim x ®0 ★ → 0 のとき,極限値は 1 ! sin x = 1 の簡略証明 x 例1 π θ ® + 0 のとき, 0 < θ< のときで考える。 2 C O = lim x®0 ※右下扇形の面積参照 A θ 1 3x 左図,△OAB,扇形△OAB,直角三角形OBCに着目して, C 面積の大きさを比べると下記の関係が成り立つ。 A 1 sin 2 x lim x®0 1 A O 1 B sinθ 2 θ O < < B 1 1 ⋅ 1 ⋅θ 2 θ 2 1 2 ⋅ 1 sinθ < 2 辺々に2を掛けて逆数 をとると(符号は逆になる) θ < θ B tanθ O < < cosθ< sinθ <1 θ 1 B 1 tanθ 2 tanθ 2 lim θ→ 0 sinx =1 lim x x® 0 2 3 例2 1 lim x sin x x® ∞ t= x® ∞であること に注意! 1 とおく。 x x ® ∞ のとき t ® 0 評価できた! 与式 = θ® + 0 のとき,cosθ® 1,となるので,はさみうちの原理より よって 2 を掛けた 2 θ 1 1 cosθ > > sinθ θ sinθ 辺々にsinθを掛ける = 1× sin 2 x 2 × 2x 3 lim t® 0 sin t =1 t 扇形の面積 sinθ =1 θ ※ θ® − 0 のときは,θ= − t と置きかえて,t = + 0 の形にして証明する。 準公式として lim x®0 1 − cos x 1 = 2 x2 弧 半径 の公式も覚えるとよい。 半径×弧の長さ× 1 2 右下例のような複雑な式の極限を求める場合には,この公式を用いてよいとされている。 lim x®0 例 1 − cos x 1 = の証明 2 x2 lim x®0 Point ! 1 − cos x 1 + cos x 1 − cos x = lim ⋅ x®0 x2 1 + cos x x2 = lim x®0 1 + cos x を掛けた 1 + cos x 2 sin x x 2 ( 1+ cos x ) sin 2 x + cos 2 x = 1 2 1 sin x = lim ⋅ x®0 ( x 1 + cos x) = 12 ⋅ 1 1 = 1+1 2 sinx =1 lim x x® 0 sin 3x(1 − cos 2 x) lim x® 0 tan 3 x = lim x® 0 3 (1 − cos 2 x) sin 3x 2 cos x ⋅ 3x ⋅ ⋅ 2 x ⋅ 3x 2x 2 sin 3 x = lim x® 0 3 (1 - cos 2 x) sin 3x 1 2 x ⋅ 3x ⋅ ⋅ ( 2 x ) ⋅ ⋅ ⋅ cos 3 x sin x x 3 3x (2 x) 2 = 1⋅ 3 ⋅ =6 sinx =1 lim x x® 0 1 ⋅ 4 ⋅ 13 ⋅ 1 × 13 2 lim x®0 1 − cos x 1 = 2 x2 http://love-su-gaku.com/ Manabu Sato(C)2011 はさみうちの原理・微分係数の定義 Ⅲ.はさみうちの原理タイプ …… はさみうちの原理を用いて解くタイプ。 『数列の極限』等,直接極限を求めることができないときに使う。ガウス記号を含むときや sin x e - x sin x , lim 「x ® ∞で『(減少関数)×(周期関数)』」 例: lim x®∞ x®∞ x のときに考える。 減少関数 主に三角関数 ガウス記号とは? [ x ]は, x を超えない最大の整数のこと。例えば [3.6] だったら 3, [−2.4] だったら −3 に( −2 ではない)なる。 x ]≦ x ガウス記号を含んだ問題のポイントは, x − 1<[ の不等式を作ることで,関数の極限でもこの不等式を利用する。 はさみうちの原理 はさみうちの原理の使い方のイメージ f (x) ≦ g (x) ≦ h (x) のとき, lim x®∞ f (x) =αかつ lim x®∞ lim ★ が求められないとき, x®∞ h (x) =α x®∞ h (x) =α lim x® ならば ★より小さくて極限が求められる●と,★より大きくて極限が求められる ▲で評価(不等式ではさむ)する。 ただし, lim ● = lim ▲ あとは,はさみうちの原理から, ∞ ガウス記号タイプ 例 Point ! lim x®∞ x®∞ (減少関数)×(周期関数)タイプ 例 [x ] x sin x lim x®∞ x x − 1< [ x ] ≦ x ……※ Point ! x ®∞より,x>0 x® ∞であることに注意! x® 0だったら,公式から1! −1≦sin x≦1 ……① x ®∞より,x>0と考えてよいので,①全体をxで割って と考えてよいので,※全体をxで割って ∴ ▲ の値) ● = lim lim ★ が求められる。( lim x®∞ x®∞ x®∞ − 1 sin x 1 ≦ ≦ x x x ……② [ x] x−1 < ≦1 x x 0 x−1 1 lim 1 + = 1 より, = lim x®∞ x®∞ x x 1 lim − 1 = 0 , xlim = 0 より →∞ x x x→∞ [x ] =1 ∞ x はさみうちの原理から lim x® はさみうちの原理から sin x lim =0 x→∞ x Ⅳ.微分係数の定義タイプ …… 微分係数の定義を用いて解くタイプ f ¢ (a) = 微分係数の定義 lim x→ a f ( a + h) − f ( a ) f (x ) − f (a) = lim h ®0 h x−a にあてはまるときに使う。 ほとんどの場合,他の方法でも解けるが,この方法を使うと.早く解けることがある。 例1 lim x® 0 例2 x 3 −1 x lim x ®0 ex − e− x x f ( x ) = 3 とおくと x −x f ( x) = e − e とおくと f ( 0 ) = 30 = 1 f (0) = e 0 − e − 0 = 0 f ¢(x ) = 3 x log 3 となり f ¢(x ) = e x + e − x となり x 与式 = lim f (x ) − f (0) = f ′(0 ) = log 3 x® 0 x−0 与式 = lim x® 0 f (x ) − f (0) = f ′(0 ) = e 0 + e − 0 = 2 x−0 http://love-su-gaku.com/ Manabu Sato(C)2011 eに関する極限公式 これが e の定義で出発点 ココがポイント! n 1ö e æ 1 + ① lim ç ÷ = ( n は自然数) n®∞ n è ø ( =2.71818 ) ※証明は大学でやる。 自然数を 実数に拡張 xを自然数ではさんで(n ≦x≦n + 1) はさみうちの原理から示す。 ①∼④の使い方のイメージ æç1 + lim x®∞ x 1ö e æ 1 + ② lim ç ÷ = ( x は実数) x®∞ x è ø と x = − t とおくと,x ® −∞のとき,t ® ∞ より x ® ∞から x ® −∞ に拡張 −t −t 1ö æ t − 1 ö lim æ t ö æ lim lim 1 − ÷ ç ÷ ç ÷ = t®∞ ç = t®∞ t®∞ t t t 1 è ø è ø è − ø 例題 証明 æ ö ç1 + 1 ÷ lim x ÷÷ x®∞ ç ç è 4ø x 1ö e æ 1 + ③ xlim ç ÷ = ( x は実数) ® −∞ x è ø ②と③から④ が導ける! 1 =e 例題 証明 1 h ④ lim ( 1 + h ) = e h®0 ( 1+ 8 x ) lim x®0 3 x 両辺に底をe とする対数を とると 1 lim log ( 1 + h ) h = log e ( 1+ 8 x ) = lim x®0 log (1 + h ) = t とおくと log (1 + h ) = t とおくと æç1 + 1 ö÷ = e lim x x®∞ x è ø 8 を掛ける 8 24 1 (1 + x ) x = e lim x®0 = e 24 log ( 1 + h ) =1 h log (1 + h ) =1 ⑤ lim h®0 h 4 {(1 + 8 x ) 8 x } = lim x®0 h®0 ⇔ lim h®0 4 ココがポイント! 3´8 8x 1 両辺に底をeとする対数をとると ココがポイント! 4 x ® ±∞のとき,h ® ±0 となるので h®0 Point ! x x を掛けた ìï ü 4 æ ö 4ï 1 ç ÷ 1 + = lim ý í x®∞ ç x÷ ïè 4 ø ïþ î x = t とおくと,x ® ∞ のとき,t ® ∞ 4 4 t ìïæ 1 ö üï 与式 = lim 1 + ÷ t ® ∞ íç t ø ýï îïè þ 1 = h とおくと x lim ( 1 + h ) h = e ® ∞ つまり,1∞ ⇒ e t æ + 1 ö 1 ö æ + 1 ö æ ç1 ÷ = lim ç 1 + ÷ × ç1 ÷ = e ×1= e = lim t®∞ t − 1 ø t®∞ è t −1 ø è t −1 ø è ②と③において 1 = h とおくと x が逆数の関係になっていて ®0, t −1 t ö÷ = e ø è 例題 証明 使い方のイメージ lim log(1 + 2 x) x® 0 log (1 +★) lim =1 ★® 0 ★ x = lim x® 0 log(1 + 2 x) ´2 2x = 1× 2 = 2 t t 1 + h = e より h = e − 1 t =1 よって lim t t®0 e − 1 となることより 使い方のイメージ eh − 1 =1 ⑥ lim h®0 h e − 1 =1 lim ® ★ 0 例題 証明 ★ lim log (1 + x ) = 1 x®0 x 3x lim e − 1 x® 0 = ★ 2 を掛けた 2 lim x® 0 x e 3x − 1 ×3 3x = 1× 3 = 3 3 を掛ける 3 x lim e − 1 = 1 x®0 x ※ この6つは特に指示がなければ証明なしに用いてよい。 http://love-su-gaku.com/ Manabu Sato(C)2011 ロピタルの定理の使い方 ロピタルの定理 lim x® a f(x) f(x) = lim において, f ( a )= 0, g( a )= 0 のとき, lim x® a g( x ) g( x ) x® a f ( 0 )= 0 例えば f '( x ) f(x) 0 ex - x -1 ex - 1 e0 - 0 - 1 ex - x -1 のとき, なので, lim = lim lim が成り立つ。 lim x ®0 x ®0 x® 0 x® 0 x2 0 02 2x x2 f '( x ) = lim g ' ( x ) x® a さらに, f ' ( a )= 0, g' ( a )= 0 のとき, lim x® a f '( 0 )= 0 e -1 e 0 e0 - 1 = lim なので, lim x ®0 x ®0 2x 2 2 ×0 0 x g'( x ) 例1 f ''( x ) が成り立つ。 g' ' ( x ) f ' '( x ) f '( x ) g' ( 0 )= 0 g'( x ) g( x ) g( 0 )= 0 lim x®0 f '( x ) が成り立つ。 g' ( x ) 微分 x ex 1 e x - 2x - 1 = ex - 2 = = lim lim lim 2 x ®0 x® 0 x® 0 2 x 2x 2 つまり g' ' ( x ) x = 0 を代入すると 約分 因数分解 微分 0 0 まだ 0 x=0 を代入すると 0 やっと代入できる! 代入 ( x - 2) ( 3 x + 4 ) 3 x + 4 3 × 2 + 4 10 3x - 2 x - 8 = = lim = = lim 2 x →2 ( x - 2) (2 x + 3) x ®2 2 x + 3 - x-6 2×2+3 7 2 lim 2 x x→2 ロピタルの定理 を使うと 微分 一般的な解法 代入 lim 3x - 2 x - 8 =lim6 x - 2 = 10 2 x→2 2x2 - x - 6 x→2 4x - 1 7 微分 例2 一般的な解法 1 + cos x を掛ける 1 + cos x 1 - cos x 1 - cos x 1 + cos x = lim × = lim 2 x→0 x→0 x x2 1 + cos x ロピタルの定理 を使うと 微分 微分 2 1 1 sin 2 x 1 æ sin x ö = 12 × = = limç ÷ × lim 2 1+1 2 x ®0 x ( 1+ cos x ) x ®0 è x ø (1 + cos x) 1 代入 1 - cos x sin x cos x cos 0 1 = lim = lim = = 2 x→0 x→0 x→0 x 2x 2 2 2 lim 微分 微分 cos 0 = 1 5 を掛ける 5 例3 e10 x - 1 × 5 = 1 × 5 = 5 e10 x - 1 = lim lim x→0 x→0 2x 10 x 1 ロピタルの定理 を使うと 微分 代入 e10 x - 1 10 × e10 x 10 × e 0 10 =lim = = =5 lim x→0 x→0 2x 2 2 2 微分 一般的な解法 ※一般にロピタルの定理は「高校の範囲外」 ということで、入試では使ってはいけない と言われている。しかし、穴埋め問題や 検算に使うと非常に便利である。 http://love-su-gaku.com/ Manabu Sato(C)2011 関数の極限 例題 一覧表 例題1 例題2 x3 + x2 + x - 3 lim x®1 1 − cos 3θ lim θ® 0 θ2 例題9 例題13 例題10 x + 3x + 4 + x 2 2 x 2 - x - 15 lim 2 x®3 x -9 2x lim x® ∞ x 2 2x lim x®∞ 2 x − 1 cos x lim π π 3x x® 2 x- 2 例題26 例題25 x lim a − 1 x® 0 例題29 x 1 − e 2x x 1 lim x sin x x® 5x ∞ 例題20 sin (sin2 x) lim x®0 x 4x ∞ 2 x + 3x lim x® 例題24 2 sin xθ lim 2 x→ lim x® 0 x2 lim x®0 x x ∞ 例題28 例題27 lim x x® 0 例題16 例題23 例題22 例題21 5x lim e − 1 例題19 x { log ( x + 1) - log x } lim x®∞ x 例題12 sin 3 x lim x®0 x -9 例題18 ( 1+ 6 x ) x lim x®0 x®0 例題15 x®∞ 例題17 1+ 2 lim tan x x lim x tan 1x x→∞ 2 lim 2x -2 x - 15 cos x lim x→∞ lim {log ( x + 1) − log x} x®∞ 例題8 例題11 例題14 lim 1 − x ®∞ 4x + 4 lim x®∞ log ( 1+ 3 x ) lim x®0 2x 例題10 e − x sin x lim x→∞ 例題4 例題7 例題6 例題5 x® 0 例題3 x lim x ® 0 sin x x -1 ※次の関数の極限値を求めよ。 2 1 x 1 x 2 −2 1 − x lim ( x 2 + 2x + 3 - x 2 − 2x + 3 ) x®∞ 例題30 2 x x x −x lim e − e x® 0 x http://love-su-gaku.com/ Manabu Sato(C)2011 関数の極限 練習問題① 例題1 例題2 x3 + x2 + x - 3 lim x®1 x lim x ® 0 sin x x -1 = lim x®1 ( x - 1)( x 2 + 2 x + 3) x -1 ( x 2 + 2x + 3 ) = lim x®1 =6 因数分解 約分 代入 x lim = 1 としていいが x ® 0 sin x ここではきちんと示した。 x x sin x x 1 = =1 1 分母分子を x で割った lim sinx x = 1 x® 0 例題4 4x + 4 lim {log ( x + 1) − log x } x®∞ x + 3x + 4 + x 2 0 = lim x®∞ = lim x®0 例題3 lim x®∞ 公式として 4+ 4 x 3 4 x 1+ + 2 + x x x 0 分母・分子を 最高次の項 x で 割った 0 æ x + 1ö = xlim log ç ÷ ®∞ è x ø log a - log b = log a b 1 = lim log æç1 + ö÷ x®∞ xø è 0 4 4 = = =2 1 +1 2 = log 1 =0 例題6 例題5 1 − cos 3θ lim θ® 0 θ2 ココでは準公式を用いる 方法を使った。 1 - cos 3θ ⋅9 = θlim ®0 ( 3θ) 2 9 を掛ける 9 lim θ® 0 = 1 9 ⋅9 = 2 2 1 - cosθ 1 = 2 θ2 lim x®0 log ( 1+ 3 x ) 2x log ( 1+ 3 x ) 3 = lim × x®0 3x 2 3 3 = 1× = 2 2 3 を掛けた 3 log ( 1+ x ) lim =1 x®0 x http://love-su-gaku.com/ Manabu Sato(C)2010 関数の極限 練習問題② 例題7 例題8 tan x lim x®0 2x lim x®∞ 1+ 2x 1 = lim x®∞ 1 +1 2x x 分母・分子を 最高次の項 2 x で 割った 1 2 x = ∞ より lim x = 0 lim x® x® ∞ ∞ 2 1 =1 ∴ 与式 = 0 +1 æ 1 sin x ö = lim ç × ÷ x®0 è x cos x ø æ sin x 1 ö = lim × ç ÷ x®0 è x cos x ø = 1× 1 cos 0 lim sinx x = 1 x® 0 1 = 1× = 1 1 例題9 tan x = sin x cos x cos 0 = 1 例題10 e − x sin x lim x→∞ (減少関数)×(周期関数) x -9 −1≦ sinx≦1 より -x 2 x 2 - x - 15 lim 2 x®3 -x はさみうちを使うため評価した -x -x −e ≦ e sinx≦e ( − e −x ) = 0 lim x→ 両辺にe を掛けた = lim x®3 グラフから考える! ∞ e = 0 より lim x→ −x ∞ = lim x®3 グラフから考える! はさみうちの原理から = e − x sin x = 0 lim x→ ( x - 3) ( 2 x + 5 ) 因数分解 ( x - 3 ) ( x + 3) 2x + 5 x+3 約分 2 × 3 + 5 11 = 6 3+3 代入 ∞ 例題11 例題12 5x lim e − 1 lim x tan 1x x® 0 x →∞ t= 1 とおくと x ® ∞ のとき,t ® 0 x tan t 与式 = lim t→0 t 1 sin t ⋅ = lim t → 0 t cos t x e 5x − 1 lim ×5 = x® 0 5 を掛けた 5 5x tan x = sin x cos x x lim e − 1 = 1 x®0 = 1× 5 = 5 x lim sinx x = 1 x® 0 = 1⋅ 1 =1 1 cos 0 = 1 http://love-su-gaku.com/ Manabu Sato(C)2010 関数の極限 練習問題③ 例題13 例題10 例題14 cos x lim x→∞ (減少関数)×(周期関数) x 2 lim 2x -2 x - 15 x -9 x®∞ −1≦cos x≦1 ……① はさみうちを使うため評価 x ®∞より,x>0と考えてよいので, ①全体をxで割って 0 = lim x®∞ − 1 cos x 1 ≦ ≦ x x x 0 1 15 2 - x - x2 分母・分子を 最高次の項 x2 1 - 92 x で割った 0 1 lim − 1 = 0 , xlim = 0 より → ∞ x x =2 x→∞ cos x =0 ∞ x はさみうちの原理から lim x→ 例題15 例題16 sin 3 x lim x®0 1 lim x sin x x® 5x x® ∞であること に注意! ∞ sin 3 x 3 = lim × x®0 3x 5 3 を掛けた 3 t= 1 とおくと x x ® ∞ のとき t ® 0 lim sinx x = 1 x® 0 = 1× 3 5 与式 = 例題17 lim sinx x = 1 x® 0 x { log ( x + 1) - log x } lim x®∞ 2 ( 1+ 6 x ) = lim x®0 6 を掛けた 6 2´6 6x 1 æ x + 1ö = lim x log ç ÷ x®∞ è x ø log a - log b = log a b æ 1ö = lim x logç1 + ÷ x®∞ xø è 12 {(1 + 6 x ) 6 x } = lim x®0 1 =e sin t =1 t 例題18 ( 1+ 6 x ) x lim x®0 12 lim t® 0 (1 + x ) x = e lim x®0 = æ 1ö log ç1 + ÷ lim x®∞ xø è x k log a m = log am k æç1 + 1 ö÷ = e lim x x®∞ x = log e = 1 è ø http://love-su-gaku.com/ Manabu Sato(C)2010 関数の極限 練習問題④ 例題19 例題20 与式= lim x® 0 = lim x® 0 sin2x を掛ける sin2x sin (sin2 x) sin 2 x ⋅ sin 2 x x 2 を掛ける 2 sin (sin2 x) sin 2 x ⋅ ⋅2 sin 2 x 2x lim sinx x = 1 sin (sin2 x) lim において x® 0 4x ∞ 2 x + 3x lim x® = lim x® ∞ x® 0 sin 2 x 1 x 1 3 + 2 4 0 sin 2 x = t とおくと x ® 0 のとき t ® 0 分母・分子を 最高次の項 4 x で 割った x 0 =∞ sin t sin (sin2 x) lim = lim =1 x®0 t® 0 t sin 2 x よって, 与式 = 1 ⋅ 1 ⋅ 2 = 2 例題21 2x lim x®∞ 2 x − 1 例題22 3x 1 1 + = lim x®∞ 2x − 1 3x 分子の次数を下げた 2x − 1 を掛ける 2x − 1 3x 2 x −1 1 2 x −1 lim = x ® 1 + ∞ 2 x − 1 1 1+ = lim x ®∞ 2 x − 1 =e 2 x −1 3 2− 1x 0 æç1 + 1 ö÷ = e lim x x®∞ だと考えにくいので - sin t t æ πö cos ç t + ÷ = - sin t 2ø è x 3 2 è x (減少関数)×(周期関数) はさみうちを使うため評価した 辺々を x で 割った 1 lim = 0 より x → ∞ x2 はさみうちの原理から 2 sin xθ lim =0 2 x→ x lim sinx x = 1 x® 0 例題24 0≦ sin 2xθ≦1 より sin 2xθ 1 ≦ 2 0≦ x2 x = -1 ø 2 sin xθ lim 2 x→ ∞ π 2 cos x lim π 置換するのがポイント! π x® 2 x 2 π π x - = t とおくと x = t + 2 2 π x ® のとき t ® 0 2 æ πö cos ç t + ÷ 2ø è 与式 = lim t®0 t = lim t®0 例題23 ∞ x® 2 x2 lim x®0 x x>0 のとき, x = x x2 = x 2 = lim x = lim lim 0 x®+0 x®+0 x®+0 x x x<0 のとき, x = - x x2 = x 2 = lim (- x) = 0 lim lim x®-0 - x x®-0 x®-0 x x2 = 0 よって, lim x®0 x http://love-su-gaku.com/ Manabu Sato(C)2010 関数の極限 練習問題⑤ 例題26 例題25 x lim a − 1 x® 0 lim x x® 0 f ( x) = a x とおくと = lim x® 0 f (0) = a = 1 0 f ¢(x ) = a x loga となり 与式 = 2 lim x® 0 1 x = − 1 1 1− 2 − 2 x x®0 x ( x 2 + 2x + 3 - x 2 − 2x + 3 ) ⋅ = lim x®∞ = lim x®∞ 1 lim x® +0 1 x lim 2 = ∞ より 1− 2 lim x® −0 − 2 x =1 1 2 − x 1− 2 =0 よって,極限値は存在しない。 例題29 lim 1 − x ®∞ 1 −1 1 ⋅ =− 1+1 1 2 分母・分子に 2 x で割った lim 2 = 0 より x® +0 x® −0 x lim e − 1 = 1 lim ( x 2 + 2 x + 3 - x 2 − 2 x + 3 ) x®∞ 1 x 1 − x − 分母分子を x で割って変形 例題28 1 x 2 −2 = lim x® 0 因数分解 1 −1 ⋅ x x x® 0 1 + e e −1 x 微分係数の定義 x−0 = a 0 loga = loga 例題27 x (1 + e )(1 − e x ) x = lim lim f (x ) − f (0) = f ′(0 ) x® 0 x 1 − e 2x x 2 + 2x + 3 + x 2 − 2x + 3 x 2 + 2x + 3 + x 2 − 2x + 3 ( x 2 + 2 x + 3) − ( x 2 − 2 x + 3) = lim x®∞ = lim x®∞ 有理化 x + 2x + 3 + x − 2x + 3 2 2 4x x + 2x + 3 + x 2 − 2x + 3 4 2 2 3 2 3 1+ + 2 + 1− + 2 x x x x 0 0 0 0 4 lim = x®∞ =2 1+1 分母分子を x で割った 例題30 2 x x −x lim e − e x x® 0 − 2 = lim x ®∞ 1 + x x −2 −2 を掛けた −2 −2 x e x − 1 + 1 − e −x lim = x® 0 ex −1 e −x − 1 lim lim − = x® 0 x® 0 x æç1 + 1 ö÷ = e lim x x®∞ 分子に1を足して引いた x x x =e −2 1 = 2 e è ø ex −1 e −x − 1 lim lim + = x® 0 x® 0 x −x x lim e − 1 = 1 x®0 x =1+1 = 2 http://love-su-gaku.com/ Manabu Sato(C)2010
© Copyright 2024