地域計画型総合計画の現状と課題

1
5
3
査読付き投稿論文
地域計画型総合計画の現状と課題
田
中
Thecurrents
t
a
t
eofa貨
f
f
討
a
i
r
sandissuesof
modeledonregionalplanning"ofl
o
c
a
lgovernment
要旨
都市型社会の成立と分権型社会の進腿に伴う公共政策の分節、地域計 I
l
h
jJ~~ 分野別計 i自i の広がりの'1 1
で、総合計l!!Iiは「自治体政府計 l
!
l
IJ~~J から「地域計画型 J に漸進している寸総合計画が、「地域計
画型総合計jIIJjJに進化することで、
d
i民は1'1治体政府を統制し得ることになる。しかしながら、 r
'
1
1
治体政府計 11!lj 型総合計両」から「地域計 ll~j 別総合計画」への進化には|判明t さを伴うョその課題を克
服しながら「地域計画型総合計耐」の適正な策定と運用に向けた制度開発が求められている口
..----ーキーワード
都市型社会分権型社会公共政策総合計画
自治基本条例
ABSTRACT
Withint
h
esegmentationo
fp
u
b
l
i
cp
o
l
i
c
i
e
st
h
a
taccompanyt
h
eformationo
furbans
o
c
i
e
t
y
,a
sw
e
l
la
st
h
eexpansiono
ft
h
et
y
p
eo
fr
e
g
i
o
n
a
l
andt
h
edevelopmento
fd
e
c
e
n
t
r
a
l
i
z
e
ds
o
c
i
e
t
y
planningands
e
c
t
o
rplanning,comprehensiveplanninghasbeenprogressingfrom“
the
t
y
p
eo
fl
o
c
a
lgovernmentplanning"t
o“
t
h
et
y
p
eo
fr
e
g
i
o
n
a
lp
l
a
n
n
i
n
g
"
.Withcomprehensive
ぺtheresidents
planninge
v
o
l
v
i
n
gi
n
t
o“
comprehensivep
l
a
n
n
i
n
gmodeledonr
e
g
i
o
n
a
lplanning
,d
i
f
f
i
c
u
l
t
yaccompaniesthee
v
o
l
u
t
i
o
no
f
w
i
I
Ibea
b
l
et
oc
o
n
t
r
o
ll
o
c
a
lgovernment.However
o
c
a
lgovernmentplanning"i
n
t
o“
comprehensive
“
comprehensiveplanning,modeledonl
e
g
i
o
n
a
lp
l
a
n
n
i
n
g
"
.I
ti
sn
e
c
e
s
s
a
r
yt
oovercomesuchd
i
f
f
i
c
u
l
t
i
e
sandw
h
i
l
e
planning,modeledonr
d
o
i
n
gs
o,
d
e
v
e
l
o
pt
h
esystemd
i
r
e
c
t
e
dtowardt
h
ea
p
p
r
o
p
r
i
a
t
ef
o
r
m
u
l
a
t
i
o
no
fp
o
l
i
c
i
e
sandt
h
e
i
r
implementationf
o
r“
comprehensivep
l
a
n
n
i
n
g,
modeledonr
e
g
i
o
n
a
lplanning
へ
Keyword
urbans
o
c
i
e
旬;d
e
c
e
n
t
r
a
l
i
z
e
ds
o
c
i
e
t
y
,
p
u
b
l
i
cp
o
l
i
c
y
,
c
o
m
p
r
e
h
e
n
s
i
v
ep
l
a
n
n
i
n
g
,
t
h
eb
a
s
i
co
r
d
i
n
a
n
c
eo
f
l
o
c
a
ls
e
l
f
g
o
v
e
r
n
m
e
n
t
雄
龍谷政策学論集
1
5
4
4(
2
)
7
5
3T
l
T
[
丘町のうち、策定すると凶答したのが 4
36
日 次
I はじめに
r
c
l治体 (
5
7
.
9
%
)、策定しないと 1
1
1
1答 し た の が 5
l 本稿の背景と日的
2 総合計画
H 先行研究
l 先行研究の大要
2 地域計画型総合計凶jに類する研究
3 先行研究の評価と課題
4 研究手法と分析対象
皿 総合計画の位置づけと内容についての検討経
(1治体 (
0.7%)、 未 定 と 回 答 し た の が 3
1
1自治
(
41
.3%)となっている(日本生産性本部・
体
2
0
1
2、l民)。また、佐藤「行政経営システムに
おける総合計画の構造と機能」によれば、総合
計画の策定に関し、今後どのように対応する予
定であるかについて尋ねた質問で、は、「検討中で
ある」とした白治体が 51
.6%と最も多し=。ついで、
「計 l
I
I
l
j
策定の根拠となる既定条例に基づき策定す
緯
l 基本構想が地方自治法に位置づけられたこ
ろの総合計画の役割
る」と川答した自治体が 20.2%、「計 i
両策定の根
拠となる条例は制定せず、行政の任意計耐とし
2 総合計画の意義・役割の変化 1 (基本構想
法制化 1
0年後の動向)
3 総合計両の意義・役割の変化 I (基本構想
制度導入 40年後の動向)
1
.7%、「計両策定の根拠となる
て策定する」が 1
条例を今後制定した上で、これに基づき策定す
るJが 9.7%、「その他」が 6.7%であった:九「総
合計画を策定せずに、個別の分野別計 1~lj で対応
4 地域計画型総合計画の現状と類型
する」という選択肢も用意されていたがこれを
Rア これからの総合計両
1 総合計画の地域計画型総合計画への変容
2 地域計両型総合計闘による政策の正統性と
選択した自治体は皆無との同答結果になってい
正当性
3 地域計凶型総合計画への進化の岡難さと進
化にあたっての課題
4 合意と残された課題
これら 2つの調査結果からは、基本梢:想、の策
る(佐藤・ 2
0日
、 2
8
2
9頁)。
定義務が撤廃された今後においても、総合計画
は多くの白治体において策定され続けることに
なると忠われる
110
このことは、総合計画が、
これまですでに多くの自治体において策定され、
実際の運用過程においては計両に位置づけられ
I はじめに
ていない事業が実施されるなどの課題が指摘さ
l 本稿の背棄と目的
れてはいるものの(西寺・ 2
010a、 1
3頁)、少な
総合計画は、広く策定され、│二│本の自治体の
くとも形式的な意味においては、自治体の最上
0
0
2、
特徴となっている(日本都市センター・ 2
l
h
jとの認識が全国自治体政府関係者(議会・
位計 I
5
8頁)。この総合計阿は、従米、基本構想、基
議員、長、職員)の間にも行き渡っているから
本計画、実施計画という 3層構造で構成されて
であろう。基本構想が議決事件であったことが
いる場合が多い(日本生産性本部・ 2
0
1
2、7頁
)
。
その認識を高めたことの一因であると考えられ
この 3層のうち基本構想については、 1
9
6
9年の
る
。
l
' には策定
1
9
6
0年代からシビル・ミニマム及び自治体の
が義務づけられていたが、 2
0
1
1年の地方自治法
l
H
jについて関心を寄せていた松下は、都
総合計 j
改正により策定の義務づけがなくなり、策定す
市型社会の成立により、「公共課題の解決の模索
るかしなし¥かは自治体の判断に委ねられている。
としての公共政策は、市民、団体・企業、政党
i
i地方向
さらに政府の各レベルで榔怨されるが、政府政
j
J
l
j
の実態に関するアンケー
治体における総合計l
策は、公共政策が自治体、回、同際機構の各レ
ト調査」“結果報告書 Jによれば、「基本構想の
ベルの基本法に基づく手続きによって、公認の
策定義務が撤廃された場合、今後も総合計画を
正統政策となった時点以降をいう。この政府政
策 定 し ま す か ? (あてはまるもの 1つに Oをつ
策は、自治体の政策、国の政策、国際機構の政
J との問し、に対して、回答した
けてください )
9
9
1、5
1頁)
策という 3レベルとなる J(松下・ 1
地方自治法の改正により基礎自治体
この点については、 1
1本牛産性本部
2
0
1
5i
v
1
ar
地域計画 I\'~! 総合計酬の現状と課題
1
5
5
とする。公共政策は、市民、 I
,
I
J体・企業、自治体、
あり、それがどこに向かおうとしているのか不
国、国際機構など多様な主体により、分節(多
確かな部分は多いが、あるべき姿を描き、そこ
元化・重肘化)し担われるのである。そうであ
に向かう課題を共有し、その解決に r
n
Jけ、自治会、
るならば、 j
也1
或の将来者│訂I
Jf象をかかげ、地 f
成の
NPO、大半、企業、そして行政など公共を担う
課題解決をめざす、総合計・ I
I
J
l
jのうち〔少なくと
多様な主体が協働・連携し力を合わせる (
1
1
1
行
)
も現在多くの自治体が採川している基本構恕、
努力は無駄ではないとする(今川・
基本計両、実施計画という 3層構造の計画を例
このように、論者により用いる言葉は異なるも
にとれば〕基本構想ないし基本計画の I~I' には、
のの '~I 治体政府以外の多様な主体にも公共サー
後述するように地域の公共政策の主体となる
i
1
1
民
、 団体・企業、 白治
j
台
{
体
本
、 ド
│正
I
爪
i
2
0
1
3、 i。
)
ビスを供給することが求められているとの認識
が示されている。
各主{体本の地域における構 f
赴恕:日{およびび、計両が1:í
依}方立釘
7Iη~i抗
ji町
t司[づ
本稿においては、このような認識のもと、こ
けられていることが必要となる。その場合、一
れまで自治体政府計画としての認識に比べ、必
般的には基本計画の中に位置づけられることが
ずしも地域計 t
l
l
jとしての認識が高くはなかった
想定されよう。その上で、作 ji体が、基本格 f
L
!
と思われる総合計画について、総合計画は
ないし基本吉'
l
幽に位置づけられた政策内符を、
治体政府が自ら実施する公共政策についての計
具体的に実現するためのプログラムを各々のも
画体系上、その最上位に依1fI:づく計 i
由i
である1'1
つ実施計 j
Uj
i
に位置づけ進行作理することが、総
l
i
H
!
I (自治体政府計l
i
J
l
j
型総合計画)Jで
治体政府首'
1,
1
'
合計両にかかわる政策主体のあり方についての
あると│司 H
寺に、「地域における多様な主体が担う
あるべき解となるであろう。 ~IJ 然のことながら、
公共政策についての計剛体系上、その最も上位
ある政策主体が担う政策の進捗状況は、他の政
に{立世づけられる地域計iIIu(地域計画型総合計
策主体が担う政策に影響を与えることから、そ
画)Jとしてのこ耐性を併せ;f
'
i
:つことに着日する。
れらの計阿・実行・評価という政策過程におけ
そして、総合計両制度の暦史と実際に策定され
る迅速かつ適正な公表が不可欠となる O 各政策
た総合計H!!Iの内容を概観するとともに、都市型
主体は、この公表された情報を参考とすること
社会の成立そして分権型社会の進展という社会
で、はじめて自らが担おうとする自治体政策を
変容を断まえながら、総合計耐i
に当該白治体政
含めた自らの活動方針について予測と調整を行
府以外の T
I
Y氏、団体・企業、他I'l治体、回、 I
f
t
l
うことが可能となるからである O また、そのこ
際機構という各政策主体の政策が位置づけられ
とにより、はじめて主権者である市民は、適正
ることの I
E統性と正当↑年を I
Y
Jらかにする。また、
なシピル・ミニマムを把握-することができ、,',
「白治体政府計両型総合計両」から「地域計 j
l
h
j~型
治体政府を統制し得ることになる。そして、ま
総合計 j
l
l
l
IJへと進化することの困難さと、進化
た適正な公共サービスを受けることができるの
にあたっての課題を明らかにする。
「自治体政府計画型総合計 j
l
h
jJとは、総合計 I
l
l
l
j
である。
政策主体の分節(多元化・重層化)について
に位置づけられた政策の内容および実施主体が
n
治体政府に限定される総合計画をいい、
辻中は、地域社会においては、様々なアクター
当該
の相互関係からなるローカル・ガパナンスが注
「地域計Il副主~!総合計画」とは、総合計画に位置づ
目されているとし、そのr:
t
,の重要なアクターと
けられた政策の内容および実施主体が当該1'1治
して、自治会、
NPO・市民卜I
J体、経済団体、 ;
j
ミ
業団体、福祉団体、環境問体といった多様な市
体政府に│限定されず多様な政策主体となってい
W
'
jをし Eう
。
る総合計'
民社会組織をあげている。そして、これらの組
織には、現代社会において、政府や営利企業や
2 総合計画
家族に限界がみられる中で、公共サービスを供
i
jには、地域の将来都市{象や施策の大
総合計ドl
給する機能が求められているとする(辻'1'・
綱をはじめ、実施すべき施策や実施のための体
2
0
1
0
a、 1
0
1
2頁)。今川も現代社会が転換期jに
制、プログラムなどが示される。総合計ドh
jは
、
1
5
6
4(
2
)
龍谷政策学論集
このような内容を持つことから、I'I治体政府政
複数年度に跨ること、そして多様な政策主体に
策集としての意味をもっ。
よる政策が計両に位置づけられるものであり、
である
そして、総合計画は、自治体政府計同i
そこに位置づけられる政策がわかりやすく可視
と同時に、当該地域における最も上位に位置づ
化され一覧性をもつことが要請されることから、
p
f
i
jとしての性格を併せ持つ。こ
けられる地域言 I
このように定義するものである。
れまで多くのf'I治体においては、1'1治体政府計
なお、総合計画については、首長マニフェス
H
I
J
Iが策定されてきたが、近年は地域
画型総合言 I
トとの閃係で首長の任期jに合わせた 4年の計画
計両型総合計ドi
"の策定に取り組む1'1治体も生ま
が望ましいとの議論もある1>, が、首長マニフェ
れてきている。その内容は後述するように未成
ストが必ずしも自治体の政策内容を網羅してい
熟であり、取り組む自治体も現時点においては
ないこと、総合計画のうち基本構想や基本計画
が、先駆自治体において漸進する
については自治基本条例や議会基本条例あるい
状況にある。自らが変化をしない不変計画は、
I
J
l
j
条例などにより制定に議会の議決を
は総合計l
その内容の精微性を希求することで環境の変化
必要としている自治体が多いことを踏まえれば¥
への対応性を減少させていき、環境への変化対
首長マニフェストをもって自治体運営の政策基
は精級性を減少
応性を希求する内容の可変計画j
準とすることは適していないと考えられる。
多くはない
3
1
させてしまうというジレンマをもっ。総合計画
は、長期的な計画であることから、このジレン
マを克服できるような仕組みを組み込んだ計画
J
j期間内
内容とすることが求められている。計ドI
に大きな環境変化が生じた場合などに備え、具
体的な改訂手続きなどもあらかじめ十分に検討
され、計画に佼置づけておく必要がある。また、
総合計画は、白治体計画の最上位に位置し、分
野別計画とともに自治体の計画体系を構成する。
とは、自治体の各種政策・
金井は「総合計同i
行政分野を総て合わせて含んだ、自治体の政策・
事業の全般に│則して、複数年度に跨って決定し
た一覧文書であり、市区町村の場合には地方自
2条 4項
、 2
0
1
0年 3月 現 在 ) に 定 め ら れ
治法 (
ていた「基本構想 J
を含んだものである。 J
(金井・
2
0
1
0、4
5頁)としている。
本稿は、総合計両に自治体政府政策以外の市
民、団体・企業、自治体、岡、国際機構という
各政策主体の政策が位置づけられることの必要
性を指摘する立場からの論考であることから、
総合計画を「当該自治体の区域に必要となる市
氏、団体・企業、自治体、図、凶際機構など多
様な政策主体による公共政策の全般に│均して、
複数年度に跨って決定した一覧文書であり、基
0日年の地方I'i治法 (
2条
礎自治体の場合には 2
4項)改正までは「基本構想、」を合んでいたも
のである。」として定義する。総合計闘が、長期
的かつ多分野にわたる計両であること、計画が
H 先行研究
1 先行研究の大要
総合計 I
'
h
iについての研究は、その必要性を指
9
9
1、今井・ 2
0
1
0
b、金井・
摘するもの(松下・ 1
2
0
1
0
a、 V
i
j寺 .
2
0
1
0
b
)、 総 合 計 画 の 位 置 づ け に
0
0
1、 U
J11.2
0
1
0
)、総合計
関するもの(西尾・ 2
の機能に関するもの(西尾・ 2
0
0
3
)、計画の策
画j
定に関するもの(今井・ 2
0
1
0
b
)、策定過程に関
するもの(佐藤・ 2
0
0
1、武元・ 2
0
0
9、新川・
2
0
0
3
b
)、総合計画の内存に│刻するもの(松下・
1
9
9
9、金井 .
2
0
1
0
a、今井・ 2
0
1
0
a、同寺・ 2
0
1
0
b、
児1I1・2
0
1
0、山田・ 2
0
1
2、西寺・ 2
0日、長瀬・
2
0
1
4
)、政策マネジメントの視点から総合計画を
0
1
0
a、大杉・ 2
0
1
0
b、大杉・
とらえたもの(大杉・ 2
2
0
1
0
c、 :
k村・ 2
0
1
4
)、総合計画とマニフェスト
に関するもの(伊藤・ 2
0
0
9、伊藤・ 2
0
1
0、商寺・
2
0
1
0
b、川 1I.2
0
1
0
)、 広 く 総 合 計 画 の 現 状 と 課
0
0
3
a
)、基本
題について取り扱うもの(新川・ 2
構想の策定義務づけに関するもの(金井・
2
0
1
0
b
)、総合計両と議会ないし根拠条例に関す
0
0
9、江藤・ 2
0
1
0、神原・ 2
0
0
9、
るもの(江藤・ 2
0
1
0
a、神原・ 2
0
1
0
b、金井・ 2
0
1
0
c、田口・
神原・ 2
2
0
1
0
)、総合計同i
を制度の J
J
j
(I~~! .
変脊・課題の而
からとらえたもの(松井・ 2
0
0
3、松井・長野・
0
(
9
)、今後の総合計 i
t
J
jに関するもの(新
菊 池 .2
川・ 2
0
0
3
a、金井・ 2
0
1
0
b、公益財同法人東京市
0日)、例別 (
1治体の事例に関
町村自治調査会・ 2
2
0日 Mar
地域計幽型総合戸十 W
l
jの現状と I深題
するもの(松下・ 1
9
9
9、久川・青山・ 2
0
0
3、大
矢野 2
0
0
5、 西 寺 .2008、 一 条 .2013、斉藤・
1
5
7
(
2
) 新川達郎 (
2
0
0
3
a
)I
自治体計画行政の現状
と課題一今後の市町村総合計画について -j
2
0
1
4、l
I
可寺・ 2
0
1
4、福田 2
0
1
4
)、総合五十川につ
新川は、総合計 j
r
h
jの現状について(時) I
行政
いて否定的な見解を示すもの(片山 2
0
1
0
) など
が地域づくりのすべてを担いきることなどでき
t
h
jの内容が、自治
少なくなし、。しかし、総合計 I
ないことは、いうまでもなし=。行政活力は民間
としての内谷に限定されなければな
体政府計│血i
l
Vりてこれまで進められてきたが、しか
の力を f
らないという見解は見当たらない。
し地域社会のニーズは、行政それ自体の固有の
活動とされてきたものを含めて、さらに市民活
動・民I
I
Ij的な要素を拡充するよう求める。そう
2 地域計画型総合計画に類する研究
ここでは、本稿のテーマとの関連で、地域計
した新たなニーズに答えようとすればするほど、
画型の総合計画について論じている研究を概観
住民や民間企業の }
Jを考慮に入れざるを得なく
する。
なる。たとえば、 lつには、機能的な住民団体
2
0
1
0
a
)I
実践1'1治体行政学 J
(1)金井利之 (
とその活動に対する計画的対応が始まっている。
金井は、「従来型の総合計 l
由
i
は、基本的には、
いわゆる NPOや NGO (非政府組織)といった
当該自治体が自ら行える政策・施策・事業の計
市民活動団体が注日されているのである。(略)
l
両であり、その意味では《単独型計凶>{行政計
住民の ~I'~ ~百や福祉サービスなどの分野で NPO
画》あるいは《行政経営計凶〉であった o ある
や NGOを計画実現のための担い手と考える視
いは、他に期待・陳情するとしても、都道府県
点が必要となっている。いま lつは、企業等民
心であった o {陳情言'
l
阿》で
間部門による事業それ自体を計画に組み入れる
や固という行政が
I
11
ある。しかし、地域社会における公共サービスは、
視点である。(略)企業それ白体の活動が総合計
自治体行政だけが担っているのではないとする
画にとって重要な位置づけを与えられる例もあ
と、地域社会の民 1
1
1
1活動を合めた公共的サービ
る。むしろ、民 n
u事業若の計I
I
i
I
I
も合めて、総合
スの計 j
r
h
jが期待されるようになる。こうして、
計幽に計 l
叫することが、自治体総合計 i
t
l
l
jの役割
民間諸活動を取り込んだ(拡大型)総合計画が、
になってきているのかもしれない」と述べる(新
《協働型計両>{社会計画》あるいは《地域経営
川 .2003a、 1
8
1
9!
'
1
)
。
計画》という形で、立ち現われてこよう(略)。
換言すれば新川は、地域社会において市民活
これらの《協働型計剛>{社会計画>{地域経営
動および民間部門の果たす役割の広がりについ
1
1
1
作)は、《行政計画〉としての総合計画
計画> (
H
l
jに位置づけられた
ての認識をもとに、総合計 l
とは異なり、それを比較的体実に実現する手段
政策を担う主体の多様化が求められていること
というものを、必ずしも自治体は持たない。そ
を指摘しているのである。
の意味では、「説得 j I
お版i
v
¥
j または「期待」
(
3
) 松井望 (
2
0
(
)
;
3
)I
総合計 u
h
j制度の原理・変容・
もしくは「おねだり」の計 i
r
t
r
jでもある Jと指摘
する(金井・ 2
010a、5
2頁
)
。
9
9
0年代の白治体総合計匝I制度への
松井は、 1
I
Jして換言すれば、金井は市民、
本稿の文脈に U
団体・企業、自治体、同、
課題」
I
,
q
際機構という各政
'で、「住民や企業を
認識と課題について述べる 1
含めた民間部門の活動を積悔的に取り込もうと
策主体が I~ ら担うことを予定する公共政策が総
するなどの傾向がみられた」としている(松井・
合計 T
I
h
jに位置づけられる場合、当該
2
0
0
3、 1
0
0頁
)
。
nr
i体は、
自らが実施する政策以外の公共政策について確
松井は、地域社会における市民活動および民
実に実現する手段を必ずしも持たないという「地
間部門の果たす役割の広がりについての認識を
域計画~~~総合計画」の課題を指摘しているので
もとに、政策主体の多様化という総合計 i
由
i
の実
ある。
現を担う主体の変芥の必要性とその可能性とい
2
) に示した新川 (
2
0
0
3
a
) の指摘と同様の
う (
を策定する
認識が、総合計│由i
n
治体においても
4(
2
)
龍谷政策学論集
1
5
8
実際に見られたことを確認しているのである。
な活動を行う際の指標としては役に立たないも
(
4
) 新川達郎 (
2
0
0
9
)i
これからの行政と計画一
のが多し、。このような困難に対しては、社会指
市町村総合計画を中心に -J
標と行政の各部局の施策・事業を結びつけるた
率
引 1は、総合計両について、「行政の政策発表
めに、ロジックモデルや中間指標を用いること
や活動のガイドラインにとどまらず、住民にとっ
が提案されている。」と指摘する(児山・
ても将来目標を示し住民の行動を促すものとな
1
3
5
1
3
6r
f
)。
2
0
0
9、
る。(略)総合計画における市民参加は、今、質
換言すれば児山は、総合計両の先駆自治体に
的転換を遂げつつある。端的にそれは、協働型
おける地域計画型総合計画への転換について、
総合計画への転換で、ある。協働による計画策定、
この時点における行政の社会指標に対する行政
計画実施、計阿評価は、一つは、計両の担い手
技術の未熟さとその課題克服のためのあらたな
の多様化を示しており、市民、事業者、各種団体、
取り組みがみられることを指摘しているのであ
行政各機関などが主体としてまた得体としてか
る
。
かわるプロセスとなる。そこでは、市民参加担
(
6
) 公益財団法人東京市町村自治調査会 (
2
0
1
3
)
の計画は、行政の計画から-$民の計~lJj へと転換
「市町村の総合計 l
両のマネジメントに関する
し、市民の意 I
f
t
Jを反映する計両から市民自身が
調査研究報告書」
つくる計画へ、行政が実行する計画から行政も
市民も実施する計画へと変容しているのである j
(新川・
2
0
0
9、1
2
1
3頁)とする。
公益財同法人東京市町村自治調査会「市町村の総合計 [
I
h
jのマネジメントに関する調査研究報
告書」は、今後の総合計凶の課題を整理する中で、
さらに、新川は、今 F
I的な行政計 l
[
J
l
j
に求めら
「運用 (DO) における課題として、「市民・民!日j
れる条件として、自治体計画は「その関係者の
部門の役割の明確化 Jについて、 iNPOなどの
役割を適切に割り振り、住民、住民間体、事業
急速な増加 l
や「新しい公共 Jという概念の普及
者その他の関係者の活動を含めて定められなけ
に象徴されるとおり、総合計画の策定プロセス
ればならなし¥J(新川・
だけでなく、施策・事業の実施に際して市民や
2
0
0
9、1
6頁)とする。
要約すれば新川は、当該地域の公共政策につ
企業などの民間主体との連携・協働の重要性に
いての予測と調整を行うための政策基盤として
対する認識が近年急速に高まっている J(公益財
の機能をもっ総合計画
団法人東京市町村山治調査会・
n
体が、その策定段階、
2
0日
、 2
0頁)、
実施段階、評価段階において、種々の調整を必
両においても
また、「こうした背景から、総合計 i
要としていることを指摘しているのである。
民間主体に期待される役割や行政との連携・協
(
5
) 児山正史 (
2
0
0
9
)i
愛知県一宮市のまちづく
働のあり方を明確にするとともに、民間主体と
り指標と総合計両策定一自治体行政におけ
行政がこれを共有できるように、総合計両の内
る社会指標型ベンチマーキングの活用一」
容をわかりやすく示し、認知度を高めることに
児山は、愛知県一宮市の総合計画について、
i-
注力することが重要となっている J(公益財団法
1
i
f市のまちづくり指標は、社会指標塑ベンチマー
人東京市町村自治調査会・
キングの一例である。(略)社会指標型ベンチマー
している。
2
0
1
3、2
0頁)と指摘
キングは、自治体や地域社会の望ましい状態を
要約すれば公益財 i
司法人東京市町村自治調査
特定し、それに対して進度を測定するものであ
会「市町村-の総合計 [
I
I
J
Iのマネジメントに関する
る。社会指標型ベンチマーキングを行政で活用
調査研究報告書」は、総合計画において、民間
することは、次のような凶難が指摘されている。
の政策主体に期待される役割や民間の政策主体
社会指標には、行政の複数の部局や行政以外の
と当該自治体政府との連携・協働のあり方を明
主体(住民、 NPO、企業など)が関わるもの、
確に示すことで、民間の政策主体と自治体政府
行政が直接コントロールできないものが含まれ
がこれを可視化し共有することの重要性を指摘
ている。そのため、行政の各部局の施策・事業
しているのである。
との関連が複雑・間接的になり、行政が具体的
2
0日 Mar
地域計r
j
J
l
j
1~~ 総合計耐の現状と課題
(
7
) 玉村雅俊 (
2
0
1
4
)i
これからの総合計 I
U
l
I-総
合計l
j
U
jv
e
r
.
2
.
0に向けて -J
1
5
9
を確認している。児山 (
2
0
0
9
) は、社会指標と
行政の各部川の施策・事業を結びつけるための
玉村は、「地域全体で達成する成果の生産性を
具体的な力・策としてロジックモデルや中間指標
追求すると、行政組織などによる単独の主体の
を用いることを提案している。公益財団法人東
活動のみでは限界がある O 効果的な役割分担が
京市町村 1
'
1i
f
i調査会 (2013) は、総合計匝j
Iにお
重要であり、多様な主体による地域づくりが推
いて、民1/
1の政策主体に期待される役割や民 r
l
J
進される、協働・共創を実現する地域経営が求
の政策主体と当該自治体政府との連携・協働の
められる。そこで、の総合計 I
l
h
Iは、日指す成果や
あり方を可視化し共有することの重要性を指摘
成果の達成状況をわかりやすくする情報体系と
している o J~ 村 (2014) は、総合計画-の策定と
して、効果的な役割分担や│窃働・共創を '
:
t
.
:
.み I
U
運用が、 I
I
W
iす成果や成果の述成状況をわかり
してし、く仕組みとともに、機能させることとな
やすくする情報体系として、多様な主体による
る。地域として目指す成果やその達成状況、様々
協働のソ七産性"向上にもつながると指摘して
な主体の活動状況などを犯保できるようにし、
いる心
多様な主体問で、共通の日標ゃんiI
n
J性を目指し
これらの先行研究における視角はさまざまで
て、役割分担や協働をしながら、試行錯誤を繰
あるものの、総じて地域言'
lj
l
l
l
jとしての総合言l
'
j
l
l
l
I
り返す仕組みづくりも組み合わせるといった、
の必要性についての認識をうかがわせるもので
総合計 I
l
l
l
iを根幹に据えた地域経営のトータル・
あり、本稿の立場からはおく評価することがで
システムとして、各種の仕組みを位置づけるこ
きる。
ととなるとする(玉村・ 2
0
1
4、2
6
3
2
6
4頁
)
。
さて、総合計両は、 I
V1において述べるよう
換下手すれば、玉村は、総合計両は、目指す成
に他の政策.t:体が実施する政策についても一定
果や成果の達成状況をわかりやすくする情報体
程度、具体性をもって記述されていることが必
系として、効果的な役割分担や協働・共創を n~
要となる。そうでなければ、情報共有、参加、
み出していく仕組みとともに機能させることで、
協働のまちづくりを進めることができないから
多様な主体による活動が「全体 Jとして高い成
である。
果を生み
mすという協働による“生産性"の向
上につながると指摘しているのである。
2に お い て み た 先 行 研 究 に お い て は 、 松 下 が
指摘する者I~.di 型社会の到来により地域の政策主
体が自治体政 T
Nだけでなく、市民、団体・企業、
3 先行研究の評価と課題
政府と多元化し、政府も白治体、住!、国際機構
総合計[II1jについては、 lにおいてみたように、
と重層化している(松下 1
9
9
1、5
1頁)ことにつ
様々な悦角からの先行研究がある。しかし、総
いての認識がみられ、自治体政府以外の政策が、
合計両を地域計両としてとらえての研究は多く
政策主体 1
1
1
1において相互に参 H
なできるような H
はないように忠われる。
体性のある内容として総合計 i
Mに盛り込まれる
ここでは、 2においてみた地域計画の視角か
ことの必要性が指摘されている(地域計画型総
ら検討を加えている研究についてあらためて評
合計両の必要性)。しかしながら、地域計両引総
価する。
合計画i
について、そのあるべき具体的内容は示
金井 (
2
0
1
0
a
)は
、 総
合
託
庁
計
計
十
'
l
川
i
1
州
山
1
川
Iを地域計計.画の悦 人
jI
からとらえる場場.合の課題を J
折
行
削J
摘肉している。新川
されていない(地域計画型総合計画の未成熟)。
また、先行研究においては、総合計画について、
(
2
0
0
3、2
0
(
9
) は、総合計I!'
j
lを地域計画の視点か
多様な政策主体により担われる公共政策の実施
らとらえることの可能性や必要性を、指摘して
主体、 I的、時期、場所、子 j
去、量などの内符
いる。松井 (
2
0
0
3
)は
、 1
9
9
0年代の総合計 j
l
l
l
jの
W
r
t
Iとして、そのよう
を可視化する必要がある J
策定においては、住民や企業を合めた民間部門
な総合計 j
n
l
I (= í 地域計匝iîJ~~ 総合計画 J) がなけ
の活動を積極的に取り込もうとする傾向がみら
れば、第 1に 1
'
1治体政府I'l体も適正な自治体政
i
I
J
れたと、総合計画に対する当時の自治体の動 I
府政策の内科(質・量)を確認できない(総合
唱EEA
u
ハ
r
o
4(
2
)
龍谷政策学論集
り方に関する調査研究 Jの成果が、
ことなくして市民は自治体政府を統制できない
1
9
6
6年 3月
に「けi
町村計画策定方法研究報告 J(以下、「研
(総合計両の市民による自治体政府統制機能)。
究報告 Jとし寸。)として取りまとめられ公表さ
第 3に市民、同体・企業など多様な政策主体は
れた(公益財 l
司法人束京市町村山治調査会-
自らの活動方針を決定するにあたり地域計凶と
2
0日
、 6頁
)
。
言'
"
W
r
jのシビル・ミニマム確認機能)。第 2にその
しての総合計画を参照することができない(総
この「研究報行 Jの内容を基礎として、
1
9
6
9
合計画i
の地域に必要な公共政策の確認機能)、と
年の地方自治法改正により、市町村における基
いう視角からの認識が必ずしも明確には示され
本構恕の策定義務づけに係る規定が設けられて
ていないものと思われる。
いる。また、地方自治法改正とあわせて、当時
の自治省から行政局長名の都道府県知事宛の通
4 研究手法と分析対象
本稿では、ここまで、総合計両の位置づけ、
および先行研究の大要についてみてきた o
n
治体政府以外の政策主体による政策が位置
づけられている総合計画も散見され、その内容
も漸進しつつあるものの、地域計画剤総合計画
知として、
1
9
6
9年 9n1
3日付けで「基本構想
の策定要領について(通知)J(以下、「策定要領 J
n
r
という)が発出されている(公益 1
r
1
" 法人束京
市町村自治調査会・
2
0
1
3、6頁)。
(
2
)i
研究報告」と「策定要領」において示され
た制度導入当時の総合計画の内容
都市売~!社会の成立そして分権型社会の進展とい
「研究報告 Jでは、長期的構想、の基本構想と、
1
1期計画としての基本計画、短期計 I
l
h
jとしての
う社会変容に対応できていなし=。このことは、
実施計画 Jの 3段階に分けて計両体系を市町村
総合計画が市民をはじめ多様な政策主体の希求
のあるべき計両体系として示すとともに、基本
する総合計画に脱皮できていないということで
構想について「市町村の将来の振興発展を展望
ある。
し、これに立脚した長期にわたる市町.村の経営
は未成熟な段階にある o 現状では、総合計両が
以下、本稿では、あらためて総合計IfI
j
rの位置
の恨幹となる構恕 j と位置づけており、基本構
づけと内容についての検討の経緯を、国の示し
想の性格は、「市町.村又は市町村の存する地域社
た考え方と先駆白治体(武蔵野市、滝沢村(現・
会の将来の目標及び目標達成のための基本的施
滝沢市)、一宮市、焼津市、秦野市、倉敷市)の
策を明らかに」し、「基本計画および実施計画の
取り組みにおいて概観する。そのことにより、
基礎となるべきもの j としている。また、内'存
都市剤社会が成立し分権剤社会が進展する今日
I
J
Iの日襟 j と「基本的施策 Jが位
としては「計Il
にあって、総合計画.の地域計画型総合計画への
置づけられ、基本的施策として、基本構想に位
変容の必要性とその実態、そして、総合計両が「自
置づけられる施策の大綱には市町村-が実現手段
治体政府計両型総合計画」から「地域計画型総
をもたない同・県・民間の施策についても位置
合計Irt
l
i
Jへと進化することの困難さと進化にあ
づけられることが適当であるとされている。ま
たっての課題を明らかにする。
た、計!由i
期間は
皿 総合計画の位置づけと内容に
ついての検討経緯
1 基本構想が地方自治法に位置づけられたころ
の総合計画の役割
(
1
)i
研究報告」、法定による基本構想策定義務化、
「策定要領 J
総合計 i
由i
の策定についての考え方に関しては、
1~1 '
1
1
治省から財団法人 I
.
l
q土計画協会への委託調
査として行われていた「新たな市町村計画のあ
1
0年が適当であるとされている
(自治省・ 1
9
6
6、2
8
3
0頁)。すなわち、市町村や
地域社会の目標と、その目標達成のための施策
の大綱(市町村だけでなく回、都道府県、民間
の施策を合む)が示されるものとなっている。
基本計阿については、基本構恕において策定さ
れた「将来の目標及び施策、手段の方針のうち、
原則的に、市町村が直接に実現子段を有する施
策、手段及びこれらの施策を合理的に推進する
ための内部管理合別化 )
J策の大綱を定めるべき
もので、後につづく実施計画の基本となるもの」
としている(自治省・
1
9
6
6、 1
1
1"f[)。実施示│・ j
g
l
I
'EEA
且
'E
地域計l
I
J
i
j
W
!総合計i!
h
jの現状と課題
f
o
2
0
1
5M(lr
ては、住民等の活動の折針としての役割として、
J
l
j
で、定められた市町村-の施
については、「基本計I
l
従米の総合計i
"
T
Iで は 、 住 民 等 が 活 動 す る 上 で の
策の大綱を、市町村が現実の市町村の行財政の
指針としての役割はあまり認識されていなかっ
11において、どのように実施していくかを川ら
たが、武蔵 U~f' -IH 第 2 J
リJ1た本構氾t(
1
9
8
1年策定)
かにするための計画」、 1
走本計 I
I
l
I
で定められた「施
を例にあげ、当時、この視点に力 }
.
I
,(をおいて総
策の大綱を具体化し、詳細事項について補比す
合計両を位 i
nづ け て い る 事 例 が 見 ら れ 始 め た と
るもの」、「毎年度の予算編成についての指針と
指摘している(公益財 l
.
l法 人 束 京 市 I
I
I
T村 白 治 調
1
9
6
6、 4
11
'
0。
1
9
6
9年 9Hに自治行政局長が通知した r
T
j
j町
1
1
治省・
な る も の 」 と し て い る ('
村の基本構想、策定要領」では、基本構想、の性栴を、
「基本構定!は、市町村の将来の振興発展を民望し、
2
0
1
3、 1
1貞)。
(
2
) 武 蔵 野 市 第 2期基本構想、・長期計困 (
1
9
8
1
官会・
年策定)
ここでは、 (
1) に お い て 紹 介 し た 武 蔵 野 市 第
1
略)各分野における行政
幹となる構想、であり、 (
2期 基 本 構 恕 を み て み よ う 。 武 蔵 野 市 第 2W
J基
計画においては、「第 2章「新基本
本構想・長!りl
m
jまたは H体的な諸施策がすべてこ
に関する計 [
. 新恭本構想」の 7
構危!Jの体系と原則 j の 3
の構想に基づいて策定され及び実施されるもの
つの原則において、
であること J 基本構想は当該市町村の行政通常
自治の原則をもってこの構想の「原理」である
を総合的かっ計画1'10 に行うことを 1~II]g として策
と宣言していた。だが、「前基本格似 Jが市民1'1
定されるべきものであること JC
I
,
:
村
・2
0
1
4、3頁)
i
f
iの 具 体 的 方 策 と し て 訪 っ て い た も の は さ し 当
としている。
た っ て 市 政 へ の 市 民 参 加l
であった。けれども、
I
I
J村 の 経 営 の 根
これに立脚した長期にわたる市 I
r
「策定要領」では、}た本計画について言及して
r
r
r前 基 本 構 想 」 で は 、 市 民
その後の武iJ波野市で、は、コミュニテイ構想が J
~.
いないため、当時の市町村-の多くは「研究報告」
体化した。市民がまちをよくするために行うさ
を参考として基本計耐を策定したとされる(公
まざまなれ主活動が増えた。ボランテイアの輪
話財団法人東京市町村自治調査会・
2
0日
、 9頁
)
。
もひろがった o こ う し た 市 民 活 動 の 発 展 を 前 に
「研究報行」で、の基本計画の性格は、「市域の将
床が与えら
して、市民1'1治の観念には新しいな l
来の目標及びその日標に到達するための市 I
I
r
f村
れなければならないと考える。新しい「市民の
の施策の大綱を体系づけて取りまとめたもの」
j政 だ け が 取 り 組 む 課 題
ふるさと j づくりは、, f
と位世づけられている。こうした位置づ‘けを踏
ではない。 バi
民自治とは、 1
f
T民 が r
l
T政 に 参 加 し
由i
の性格は、「市域の将来の目標及
まえた基本計 l
r
l
i政を介してまちをよくすることだけではない。
I
r
J村 の 施 策 の 大
びその日標に到達するための市 I
市民自治は市民参加をつつみ込んだもっと広い
綱を体系づけて取りまとめたもの」とされてい
概念である。それは、 右私、たち武 蔵
j
故1
野
ザ
)
市
│
打j民が│日11
I
Il法人束京市町村・
る(公益財.
f
生
t
=
.
吋
活首のあらゆる時と 場
j
j 劫所でで、実践する新しい
n~fì 調査会・ 2013 、
1
0頁)。
1
r
リ
市
I
i
i
!
民のふるさと」づくりのすべてを意味する O 自
治体計画は市政の指針であると同時に市民の活
2 総合計画の意義・役割の変化 1 (基本構想法
武蔵野市の計.jlhj は rHjl~ 参加の計 ïllrj Jから
制 化 10年後の動向)
r
(
1
) 市町村計両の体系と参加一市町村計'
l
l
h
jの策
定方法に関する研究報告書J
氏自治の計I!l
r
jJへ 、 あ る い は
r
"
r
!J
r
r
l
i政 の 計 画 」 か
ら「市民の計j
l
l
J
j
J へと脱皮し成長したい。 J と記
1
9
6
9年 の 制 度 導 入 後 、 一 定 の 検 討 期 間 を 経 て
時
策定された最初の基本構想が概ね改訂される l
期となった状況を捉えて、自治行行政局が
動の指針でもあるべきではないか。少なくとも
1
9
8
2
している(武蔵野市第 2則基本構恕・長期計 j
l
l
l
j
.
1
9
8
1、 2
6頁)臼
ここでは、自治体計j
i
l
J
Iが市政の桁針で、あると
年 3月に公表した研究報告「市町村計画i
の体系
主に市民の j
舌動の指針で、もあるべきことが制
司
│H
と参加-ーリ i
町村計画i
の策定方法に関する研究報
われている。
告 書 一J(以下、「体系と参加 Jという)におい
1
6
2
4(
2
)
限谷政策学論集
3 総合計画の意義・役割の変化 1 (基本構想、制
策内容別の具体的な記述は見られない。
(
2
) 秦野市総合計 iUlj (
2
0日年策定)
度導入 40年後の動向)
(1)武蔵野市第 5期長期計画j(
2
0
1
2年策定)
秦野市総合計画においては、施策別計画-の構
n
r2 (
2
) に示した総合計画が市政の指針であ
成として「主な取り組み」のなかで「市民力、
ると同時に市民の活動の指針でもあるべきであ
地域力に支えられている事業 j を明記するとと
5}
Y
J長期j
計D
l
l
jに
もに、「市民・事業者が協力できること」のなか
も引き継がれている。そのことは、武蔵野市第
で、「総合計画は、市民、事業者と行政との共通
5期長期計両の第 4章「基本的な考え方 Ji
市政
の指針であり、公共を担う多様な主体との「協働・
基本課題」に、「本計 t
l
l
j
を取り巻く主な動向 Ji
連携 Jにより取り組むこととしています。市民
の策定にあたり、従来からの青,-l
i
J
l
j
の原則を踏ま
の意見、提言等を踏まえるとともに、基本施策
1
0年間を見通し、以下の
4つの視点を基本とするとし、 i
(1)市民自治の
白和 4
6年 (
1
9
7
2
原則」において、「市民自治は、 H
を推進するために市民等が協力できることを記
るという考え方は、武蔵野市第
えるとともに、今後の
年) [
( )内は筆者記入〕に策定した第 1m
J長
述 Jするとしている(秦野市総合計画・
2
0
1
1、
3
4、 4
5頁
)
。
そこでは、市の行う事業のうち「市民力、地
j
可の原理とされ、以来 4
0年 I
H
j
期計画において計l
域力に支えられている事業 J
、すなわち「公共を
にわたって武蔵野市の市政連合の基本原則とし
担う多様な主体との「協働・連携」により市が
て継承されてきた。市民自治の原則とは、市民
取り組む事業」が明記されている o し か し こ
'
l
は主権者として、れらの生活地域について、 r
の計l
I
J
l
j
で、は、当該自治体政府以外の政策主体が
ら考え、主体的に行動し、その行動や選択に責
主体的に実施する秦野市内での公共政策の大き
任を負うことをいう。本計画においてもこれを
さ(数値)や協働・連携するために各政策主体
継承しつつ、武蔵野市の「自治 Jを一層発民さ
の担う役割の大きさ(数値)は示されてはいない。
せていく
J(武蔵野市第 5期長則計画・ 2
0
1
2、2
0
頁)と記されていることからも確認することが
できる。
(
3
) 第 6次一宮市総合計両 (
2
0
0
8年策定)
第 6次一宮市総合計両においては、総合計画
に位置づけられた政策を実施する役割を担うま
武蔵野市の総合計画である長期計画において
ちづくりの主体(=政策主体)として、①個人・
r
t
fが地域づくりのすべてを担うのではなく、
家庭、②町内会 .NPO・ボランテイア団体、③
は
、
市民自治の原則のもと、市民、同体・企業など
企業・農協・商工会議所・商工会、④学校、⑤市、
の多様な政策主体が、独自にあるいは連携しな
⑥県・国があげられている。ここでは、それぞ
がら、地域づくりに取り組むことの決意を示し
れの主体が、重要なまちづくりの課題(めざす
ているといえる。このような考え方を示す総合
べき姿)を改善するにあたって期待される役割
計j
l
h
jの事例が近年増えている。このような総合
の大きさについて、市民会議委員、関係者等、
計画は、政策主体が自治体政府に限定された白
市職員が示した数値の平均値を、百分率で表し
治体政府計画とは内容を異にする。地域の課題
たものが示されている(第 6次一宮市総合計阿・
を解決し、将来都市像を実現する政策主体は当
2
0
0
8、3
9頁)。これは、めざすべき姿(=将来像)
該自治体政府だけに限られるものではない。市
が、これら政策主体の政策(活動)により担わ
民、団体・企業、他の自治体、岡、国際機構など、
れることを示している。
さまざまな政策主体が、この総合計画を指針-と
(
4
) 第 5次焼津市総合計画後期基本計画 (
2
0
1
4
して、自らの政策過程をすすめる。
年策定)
武蔵野市第 5t
1
J長期計画の内容は、このよう
第 5次焼津市総合計両後期基本計画において
に地域計画としての一面を果たす役割が総合計
は、施策別計画の構成として「市民と行政の役
画には大きくなっているとの認識に立っている
割分担」の項目が設けられ「目指す目標達成の
ものとみることができる。ただし、武蔵野市第
ため、市民に期待される役割と行政が果たすべ
5則長期計画においては、各政策主体が担う政
き役割を整理し示(略)す Jとしている。そして、
地域社画型総合計同i
の現状と課題
2
0
1
5l
v
l
a
r
1
6
3
施策ごとに市民と行政の役割分担が示されてい
れがビジョンの達成や課題の解決のために、仰
る(第 5次焼津市総合計画後期基本式"li'
i.
l 2014、
を行うべきかを認識し、行動していくことが必
1
6、 1
9頁)。
要となります。また、村行政も今までの行政の
J
J基 本 計 画
ただし、第 5次 焼 津 市 総 合 計 両 後 H
あり方を根本から見直し、村行政の担う役割を
F
J治体、 1
'
l
i
J、凶│際
リ
│j
維 に し (I
Q
各)ていくことが重要となります。
機構という政府の担う当該地域での公共政策に
これらのことを考えて、この総合計画には、次
j
l
l
l
jに記載されていない。
ついては総合言"
の よ う な 役 割 が 求 め ら れ ま す Jとし、基本的考
(
5
) 倉敷市第 6次総合計画 (
2
0
1
1年策定)
え方として、
には、当該自治体政府以外の
1
1地 域 は 地 域 の み ん な で つ く る J
倉 敷 市 第 6次 総 合 計 i
両では、基本構 f
L
!におい
①地域の将来像を明確にし、地域の方向性や課
て、「役割分判」と「私たちができること j を示
題を地域のみんなで共有する②地域内での役割
している。「役割分担」は、「まちづくりの姿を
分担を進め、地域のみんなで地械の将来像の実
実現していく上で、それぞれの主体に!りl
侍され
現と地域課題の解決を進める③行政としての考
る役割の大きさを示し(略)、まちづくりの主体
え方や役割を明確にし、村行政として戦略経併
1
1体
、
としては、①例人・家庭、②市民公益活動 1
を進める Jと い う こ と が 記 さ れ て い る ( 滝 沢 村
③事業者等、③ d
i、 ③ 県 ・ 国 Jを あ げ て い る O
第 5次総合計画・ 2
0
0
9年
、 2頁)。
また、「私たちができること」については、「個人・
、
ここでは、住民、自治会、各種同体、 NPO
家庭・市民公益活動同体、事業者などの主体が、
企業、村-など多様な政策主体により地域づくり
めざすまちの姿を実現するため、具体的にどう
を進めることの必要性が誕われている。そして、
い っ た こ と が で き る か を 例 示 Jしている(倉敷
そのためには、滝沢村のめざす将来像、いわゆ
0日
、 2
8、3
71
'0。ただし、
市第 6次市総介計耐・ 2
るビジョンと地域の持つ課題を地域のみんなで
I(
2
0
1
1年策定)には、 (
6
)
倉敷市第 6次総合計官j
共有・し、それぞれがビジョンの達成や課題の解
においてみる滝沢村第 5次総合計 U
h
j(
2
0
0
9年〔改
決のために、何を行うべきかを認識し、行動し
l
l
jは位置づけ
訂版〕策定)のような地域別の計u
ていくことの必要性が示されている。総合計[il
i
l
られていない。
の地域別計l
珂である滝沢地域ビジョンには、事
(
6
) 滝 沢 村 第 5次 総 合 計 画 (
2
0
0
9r
'
l
: (改訂版〕
業主体として、「行政主体 JI
行政主導 J1
双方協
滝 沢 村 第 5次総合計画をみると、「基本構想」
力J1
住 民 主 導 J1
住民主体」という区分が示さ
0
0
5
)。
れている(滝沢地域ビジョン・ 2
「序論 J1
2計jQj
Jと構成と意義について J1
(l)総
i
屯i
}
{村 第 5次 総 合 計 両 の 事 例 は 、 全 国 自 治 体
合計画の基本的考え方」において、「これまでの
事例ではあるが、
の'11で 散 見 さ れ る 特 定 の 個 別j
常識では、もはや解決できない諸問題が発生し
大きな流れとしては、次第に総合計画の位置づ
I、 今 ま で の よ う に 行 政 が 主 体 と な っ
ている今 L
け が "1治 体 政 府 計 両 か ら 地 域 計 両 型 総 合 計 画 へ
て地域づくりを進めていくことは限界がありま
と変存する傾向にあることを示している。また、
す。地域のみんな、例えば、住民、i'I治 会 、 各
│斗一自治体内においても地域により多様性があ
種団体、 NPO、企業などが率先して、地域づく
るなかで、地域ビジョンを作成していることは
りを進めていくことが必要です。そのためには、
高く評価することができる。
策定)
地域で生活し、活動している様々な人々がそれ
を図り、地域のビジョンや課題を共有して、地
4 地域計画型総合計画の現状と類型
これまで lから 3に お い て は 、 総 合 計 i
困の位
域経常の視点での地域づくりが不可欠」として
置づけと内容についての検討の経緯を見てきた口
ぞれの価値観の違いを踏まえながらも合意;形成
1
(
2
) 総合計画の意義 j においては、
j
I
l
i
塑総合計画」から「地
そこでは、「円治体政府計l
「滝沢地域社会を地域のみんなでつくるためには、
域計I
l
l
i
i別 総 合 計 画 」 へ の 変 符 が 先 駆 自 治 体 に お
いる。また、
滝沢村のめざす将来像、いわゆるビジョンと地
いてみられた。ただし、現状の「地域計両型総
域の持つ課題を地域のみんなで共有し、それぞ
合古1
l
l
l
i
i
J は、政策主体ごとの役割分担(項目や
1
6
4
4(
2
)
龍谷政策学論集
図表 1 地域計画型総合計画の類型
項目
武蔵野市
第 5次
長期計画
秦野市
総合計 l
l
U
[
第 6次
一宮市
総合計画
2
0
1
2年
2
0
1
1~ド
2
0
0
8年
滝沢村
第 5次
総合計画
〔改訂版〕
2
0
0
9年
。 。 。 。 。 。
。 。 。 。 。
。
。
。
。 。 。
。
多様な主体によるまちづくりの必要性につ L‘ての
理念を明示
市民力・地域力により支えられる事業(協働・述
携により自治体が取組む事業)を明示
×
協働・連携するために各政策主体の担う役割(数
Y
J不
値・割合)を I
x
協働・連携するために地域内の各政策主体の糾う
Q
J示
役割(項目別)を I
x
×
x
×
ただし、他
t'I治体や国
の政策につ
し、ては記載
なし。
×
協働・連携するために各政策主体の担う役割J
I(
項
目別)を地域別で l
リ
j
示
地域計画型総合計 l
l
b
[型の類型
第 5次
倉教,f
焼津市
第 6次
I
I
I
[ 総合計画
総合計 [
耐
後期基本計 l
2
0
1
4{
I
'
2
0
1
1年
x
x
x
x
環念系地域 協働系地域 担当割合明 地域内政策 政策主体役
計i
両}
W
明示系地
計画型
示系地域計 主体役割l
明 期j
I
T
l
l
jl
;
W
示系地域計 域 計 i
酎型
画型
。
地域別政策
主体役割明
示系地域計
画型
(注) f
O
Jは、古│・ I
l
h
jに項!こi
の内容が明示されている場合。
f
x
Jは、計 I
I
[に項日の内脊が明示されていない場合。
(筆者作成)
l分で
焼津市総合計画後期基本計 I
l
t
Jjのように、市民と
あるなど未成熟な段階にある(地域計両型総合
I~l 治体政府の役割を整理している型である。た
数値など)の I
V
]示や地域別での明示が不
計画の未成熟)。地域計画型総合計耐の内容は、
だし、この型では、県や岡、そして国際機構に
次の 6つの引に分類することができる(閃表 I
地域内政策
ついての役割は意凶されていなし ¥0 I
参照)。
主体役割明示系地域計両型総合計画 Jである。
第 1の型は、(1)において取り上げた武蔵野
第 5 の~~.~~は、
(5)
において取り上げた倉敷市
市第 5次長期計画のように、総論として地域計
第 6次総合計画のように、主体ごとの役割分担
血i
の必要性を述べてはいるものの、
画型総合計 i
と「私たちができること J.を示す型である。
個別具体の政策内容としては地域計剛型総合計
ここでは、国際機構についての記述に欠けるも
画としての内容を持たない「理念系地域計画型
のの当該自治体において必要となる公共政策が、
総合計画 j である。
自治体や国の政府も含め多様な主体により担わ
2
) において取り '
L
,げた秦野市
第 2の型は、 (
総合計画のように、自治体政府の実施する事業
れることを示す「政策主体役割明示系地域計両
型総合計両 Jである。
が市民力・地域力により支えられている事業で
6
) において取り上げた滝沢村
第 6の型は、 (
あるか否か、そして自治体政府が推進する施策
第 5次総合計両のように、「地域別政策主体役割
に市民等が協力できることを記述している。「協
l
b
i
J である。この剤は、
明示系地域計画型総合計 i
働系地域言十両刑総合計画」である。
1
1をさらに一歩進め、地域ごとに当該地
第 5の 7
第 3の型は、 (
3
) において取り i
二げたー宵市
第 6次総合計阿のように、施策ごとにまちづく
り主体がそれぞれに担う割合が示されている「担
当割合明示系地域計画型総合計画 j である。
第 4の型は、 (4) において取り上げた第 5次
域にとって必要な公共政策が政策主体の分類と
ともに示されている。
現在策定されている「地域計画型総合計画」は、
このように「理念系地域計 I
l
h
j型総合計画」、「協
働系地域計画型総合計画」、「担当割合明示系地
2
0日 Mar
地域計画期総什 1汁j1!Jjの現状と課題
1
6
5
域計画 Ì~~ 総合計-jllJj J
、「地域内政策主体役割j
明示
式1困」の存在によりI'lらの活動方針の決定にあ
画i
型総合計画」、「政策主体役割明示系
系地域計 i
たり、はじめて予 i
J
I
I
Jと調整を行ない得る可能性
地域計画型総合計画 j、「地域別政策主体役割明
が生ずるからである。もちろん円治体政府によ
示系地域計 i
山i
型総合計画 Jという 6つに分類す
る公共サービスの利川者としての市民も、この
ることができる O そこでは、地域計画型総合計
ような可視化が行われることで白らが利用可能
画を、理念的か・具体的か、│窃働事:業に限定し
となるサービスを舶:認することができるように
ているか百か、担当割合を明示しているか否か、
なる。そして、伊藤・近藤が指摘するように、
地域内の政策主体を限定しているか百か、政策
多様な主体は、サービスの供給者や受給者とな
(・施策・事業)ごとに政策主体を明示している
るだけでなく、相 Jl~ に委託者や受託者となる。
か否か、地域別での役割を明示しているか否か
そしてアドボガシー(政策提言)を行う(伊藤・
という 6つの悦角からとらえることができる。
0
1
0、3
0
3
1頁)。
近藤・ 2
j
J
l
j
が1
1
"治体政府にとって必要な
また、総合計l
W
これからの総合計画
1 総合計画の地域計画型総合計画への変容
ここまで、固においては、総介計画について、
その位置づけについての国の考え方と先駆 r
'
=
l治
体における取り組みの変容をみてきた。総合計
画は、「自治体政府計画型総合計 i
l
l
i
j
J から「地域
計画型総合計 I
l
l
i
j
J に変容しつつある段階にある。
この地域計画型総合計画では、第 lに自治体
内に必要な公共政策が把握可能である。第 2に
自治体内に必要な公共政策のうち当該自治体政
府以外の主体が担う公共政策が把採可能となる。
第 3に当該自治体政府が,',ら担 l
う政策の内容に
ついて予測と調整が可能となる二これらのこ
とが前提となり、市民は自治体政府を統制し得
る可能性をもつことになる。そのためにも第 l
から第 3に示した公共政策(自治体政府が自ら
担う政策を含む)は、総合計 j
i
l
i
jにおいて可視化
することが求められているのである。つまり、
総合計両の存在が、主権者としての市民、自治
体政府による公共サービスの利 J
1符としての市
民、社会の一員としての市民軒という 3面性を
もっ市民にとって必要であるということである。
総合計 l
j
l
I
j
が「地域計画型 Jとなることにより、
市民が主権者として可視化された総合計画の内
容(質・量)の適正さを雌認することが可能に
なり、
1治体政府を統制し得ることにつながる
からである(統制可能条件としての総合計州、
総合計酬の地域計画性)。また、社会の一員とし
ての市民、 U
I体・企業、さらには他の自治体、 1
1
-1
、
国際機構を合め分節(多元化・重層化)構造と
なる政府などの多様な主体は、「地域計画型総合
のは、組織には最上位計両が必要だからでもあ
る。計画規範としての最上位計画がなければ計
両体系が成立しなし E。総合計画があることによ
i
l
l
l
jの全体像を可視化し把握す
り、自治体政府言 I
ることが可能になる(総合計幽-による自治体政
府計画の可視化)。計 l
l
T
l
j規範性が高ければ計阿実
効(実行)性も高まる(計附i
規範性による計凶i
実効性・計画実行性の確保)。このことについて
は、自治体政府計 I
I
H
I型総合計画にも地域計画型
総合計画にもあてはまるものである。
このように、総合計画は自治体政府やけi民に
とって必要なものである。そこに求められる総
合計画は、市民や I
I治体政府をはじめとして、
社会のさまざまな主体が、自らの活動方針を再
確認し、可視化することが可能になる計両、す
なわち「地域計耐 Ì~~! 総合計画 J である。
いま、人日減少や少子高齢時代の到来に代表
される大転換期という時代に白治体は{立世して
いる。 1つの自治体内においても、各地域の置
かれた状況が人 I
I動態をはじめとして異なるこ
とが多い。そこでは、必要となる具体的政策も
異なる。そのことに代表される地域(課題)の
多様性と、今日の都市型社会における政策主体
の多様化という社会状況のなかで、田 4におい
てみた類型の中でも、第 6の類型である「地域
別政策主体役割 ~Vj 示系地域計画型総合計 íltJjJ の
策定が目指される必要がある。また、このこと
は総合計画だけでなく分野別計画においても求
められる事項である。
これからの総合計画には、田 3および皿 4に
j
J の理
おいてみたような「地域計画型総合計開I
EA
p
o
p
o
・
'
4(
2
)
龍谷政策学論集
念と「地域計画型総合計(fIJjJの具体的内存とし
市民参加に対する疑念や、鉄のトライアングル
て地域別での多様な政策主体の役割明示が、エ
と評されるような政財口の 1
1
1
1に成立する「政治
レメントとして求められてこよう。
サークル複合 J13 が持ち得る既存権益の喪失に
対する危機意識も含めて考えることができる o
2 地域計画型総合計画による政策の正統性と正
当性
第 2に、自治体の政策過程、特に政策研究や
な11' が少なから
政策立案の段階における政策参 H
lにおいてみたように、今後、総合計両につ
ず行われることがあげられる。武蔵野市、三鷹
いては「自治体政府計両型総合計画」から「地
市をはじめ総合計画の策定についての先駆自治
域計 i
由i
型総合計画」への変容が、複雑な政治過
体を合む東京都多摩・島しょうエリアを対象と
W
Jされる。その背景と
程のなかで進むものと予 i
0
1
2年時点で市民・
する調査報告においても、 2
しては、都市型社会の成立と分権.型社会の進展
9自治体中
民間部門の役割の規定があるのは、 3
に伴う公共政策の分節、高齢者保健福祉計画や
介護保険事業計削にみられるような分野別計耐
3自治体にとどまっている(公益財団法人東京
市町村調査会・ 2
0
1
3、4
1頁)。また、近年研究
の地域計画化ゅの先行、自治体問の政策参照の
対象としても取り上げらけることの多かった多
存在
1
1
'
をあげることができる o
治見市の総合計闘は「自治体政府計両型総合計
「地域計画型総合計阿 Jでなければ、当該自治
同型総合計画 Jとい
凶iJに近い「理念系地域計 i
体内の公共政策をコントロールすることができ
えよう。このような他の自治体から参照される
ず、当該自治体の保障すべきシピル・ミニマム
可能性の高いであろう自治体の総合計画がより
も明らかとはならないとの主張に対しては、十
1
l
j
l型総合計画が大き
具体的な内容を含む地域計 j
[
J
f
j
型総合計画」をも
分といえるような「地域計 l
くは増加しないの現状が、皿 4に示した「理念
っ自治体が見当たらないなかで、「自治体政府計
系地域計画型総合計画 Jにとどまっており、こ
i
曲j
型総合計画 Jであっても倒産する自治体は極
とにつながっているのかもしれない。
少数にとどまっているのであり、「地域計画型総
第 3に
、
r
n1(1)に示したように総合計画制
合計画」策定の必要はないのではないかとの議
度が導入された当時、凶が基本構想、については
論があるかもしれなし E。 し か し 都 市 型 社 会 が
「地域計画型」を想定するものの、基本計画につ
成立し分権型社会が進展する中で、市民の信託
いては「自治体政府計両型 Jを想定していたこ
に基づく自治体政府政策の統制というという意
とがあげられる。機関委任事務が存在した時代
味での正統性の視点からも、また多様な政策主
における通達やその後の通知!という国からの文
体の特長をいかした政策の多様性を含めた政策
書にならうことが自治体においては少なくなく、
の適正という意味での正当性の視点からも、「地
9
6
9年に自治行政局長が
これまで基礎自治体は 1
域計阿型総合計画 j の策定が求められていると
通知した「市町村の基本構想策定要領」に従っ
いえよう。
ていたということがあげられる。
第 4に、自治体政府関係者の前例踏襲主義や
3 地域計画型総合計画への進化の困難さと進化
にあたっての課題
白治体政府以外の政策を総合計闘に位置づけ
ることについては│材難さを伴う。
説明責任意識の希薄さが背景としてあったこと
が考えられる。
そして、実際には、各自治体において、これ
らの要因が重なり、 2
0
0
0年分権改革に象徴され
第 Iに、政策主体問の調整という課題がある。
る分権型社会の時代になっても、総合計画が「自
調整が合意に至らない理由としては、政策主体
治体政府計画型 Jから「地域計両型 Jへと脱皮
における総合計両についての無関心、疑念、消
できないことにつながっているものと思われる
それでは、このような総合計耐の「自治体政
極性、無理解、合意形成技術欠如などが考えら
れる。この中には、エリート民主主義 I:?' にみら
府計画型総合計画」から「地域計画型総合計画 J
れるような市民との情報共有や自治体政府への
への進化の困難さを克服しつつ、時間の経過と
2
0日 Mal・
地域計画型総合 inl~Jjの現状と課題
1
6
7
ともに各政策主体を取り巻く環境が変化する中
これまでの議論を踏まえれば、都市型社会が
で、自治体政府はどのように他の政策主体の政
I減少をはじめ社会経済環境の
成立し、かつ人 L
策を「地域計 j
l
u
j型総合計 i
t
l
j
JJに位置づけ、また
1、各白治体においては、松下
変化が激しい今 1
それら政策の変化を速やかに他の政策主体に伝
が述べる都市 t~~! 社会の指数としてのシピル・ミ
えることができるのであろうか。そのための制
ニマムを「地域首 l'iIHjff~ 総合計画」として位置づ
度開発が求められている。
けつつ、変化する社会環境についての適切かっ
また、「地域計両型総合計[l1liJにおいては、多
迅速な情報共有を│刈るなかで自治体述常のある
様な政策主体も他の政策主体が:J
Hう公共政策を
べき怠思決定をすることが必要となるのである。
統制することができないという課題がある。こ
しかしながら、「地域計両型総合計 j
l
h
jJは、松下
れらのことについての処方筆はないものであろ
がこれまで、かかわりを持ってきた総合計剛の先
うか。
駆
1
'
1治体といわれる武蔵野市や多治見市の総合
その解のーっとしては、地域におけるパート
計画においても、本稿においてみてきたように、
ナーシップの新たな模索として、あらためて情
l
H
j塑総合
「理念系 Jにとどまっている。「地域計 j
報共有の必要性とあり方について検討すること
計画」としては、必ずしも十分な計両内容に到
が必要となろう。総合計両に位向づけられる政
l
h
jが「自治体
達しているとは許えなし、。総合計 I
3
策の実施主体である市民、 l
寸│体・企業、自治体、 1
q
、
政府計凶型」から「地域計画型」へと進化する
国際機構には、総合計両に位 l
nづけられた自ら
│僚の環境として前述した 4つの瑚山のうちのい
の担う公共政策について、その内容や実施時期!
くつかが、この象徴的な事象をあらわしたので
を明確にして公表することが求められてくる。
はなかろうか。このことは、総合計画の「地域
そして、各政策主体問の迅速な情報共有が必要
総合計画型総合計l
I
J
l
j
Jへの脱皮の難しさと克服
となる。ピックデー夕、オープンデータといわ
すべき自治体の課題を示しているといえる。
れる情報の迅速な共有、そのための情報技術の
向上が求められてくる日。さらには、これらを
4 含意と残された課題
踏まえた政策主体問の合意形成や意思決定に向
本稿においては、市民の主権と信託に基づく
けた政策技術の開発、そのための切薩琢磨が求
実質的な市民統制に不可欠となる地域計画型総
められている。それらの取り組みが、総合計凶i
I
'
J治体政府計匝j
'
型総合計画 J
合計画の必要性と I
の「自治体政府計画型」から「地域計画型 jへ
が「地域計画型総合計両」に脱皮することの困
の変容を促すであろう。
難さを記した。「地域計画型総合計凶j
Jが策定さ
松下は、都市型社会とシビル・ミニマムにつ
れることで、自治体の倒産を予防することにも
いて、なぜ「都市型社会では政策をめぐる指数
つながることであろう。このことは、自治体に
化が問題になるのでしょうか。 共同体・身分に
おける基本法としての自治基本条例に示される
よる《慣宵》が持続する農村 ~W 社会と異なって、
ことの多い、情報共有・参加・協働・総合計画
変化のスピードがはやい都 r
f
it~~ 社会で、は社会工
に基づく市政運符の内実を深めるものでもある。
学としての《政策・制度》による人工の社会管
また、未だ成熟した「地域計耐刑総合計画」
理が基本となるからです。この市民の社会工学
は見当たらないものの、「地域計 l
u
'
j型総合計画」
とは、予測・調整をともなう、社会の組織・制
を 6つに類型化することで、今後の総合計画に
0
0
5、1
1
6頁 )oJ と述べ、また「情
御です(松下・ 2
盛り込まれるべきエレメントを示すことができ
報の整理・公開とは、また指数の作成・公開で
たと言い得るのではなかろうか。
もあったわけです。なぜなら、都市 J~~! 社会の指
「地域計画型総合計 i由iJ の全 1~IFf 治体における
数は、市民が〈組織・制御〉する政治・行政に
展開について、政治過程を含めた分析を今後の
おいて、あらたなるく予測と調整〉をたえず課
課題としたし '0
題としてうみだしてし E く情報媒体だからです(松
下・ 2
0
0
5、 1
4
4頁)と述べている。
9
) 士山は、
注
1
)
i
t
i民について「市民は公共政策のぷ:mを同
じ社会に存在する他の主体と共有ーするのそこでは、
1
1
=
1
地方自治法では、第 2
8
1条第 3項の規定により第 2
市民は、①社会のメンバーとして自発性に基づく公
条第 5項〔後に第 4項〕の規定(基本構想の策定義務)
共政策の 1
1
!い手であり、②政策・制度のユーザーと
が特別医にも準月 jされることが明示されてし aた
。
2
) この調査は、全同の都道府県 4
7自治体、市区 8
0
9n
治体及び町 7
5
71'1治体(総合計両担当責任者宛)、
2
0
1
1年 2月末日現在での調査である。郵送にて配布
し、郵便または屯子メールにて│旦│収している。訓告
2
0日 {f3JJllけから 3
1日で、有効 [
1
1符 数
781 同体(都道的:リ,~ 2
8白治体、市区 4
7
2[
'
1治体、 I
I
I
f
2
8
1自治体)、 1
1
1
P
I
X率は都道府県 5
9
.
6
%、市医 5
8
.
3
%、
7
.
1%となっている。
町3
3
) この調査は「総合計 i
ぬi
と行政経営に関する全 l
五J
f
l治
体調査 J(A票)として実施された、全国の市区 8
1
0
自治体 (
1総 合 計 l
自i
担 当 課 j 宛て)、 2
0
1
2月 1
012
4
日現在を同答期限とする調査である c 1
0月中旬にお
期間は
札を兼ねた督促ハガキを調査対象自治体すべてに郵
9
6自治体から調子正票が I
n
l収されている。
送し、 5
4
) もちろん、自治体により総合計画の構成や内存につ
して公共政策の政治過程に参加し、cl!政府のオーナー
として、その権限および政策資源の配分のありかた
を制御する Jと、その多元性を指摘している(土山
2
0
0
7、2
1
0
)。
1
0
)例えば、全│主│白治体において策定されている「山船
者保健悩 t
d
:計 I
I
I
!
j
Jゃ「介護保険事業計画」においては、
1'ì;~' 午前闘域による閤域 1)(: 分や各
自治体内における 1
種サーピスのメニューや最などの見込み、必要とな
る施設別の受入可能人数なども明示されている。(例
えば、
I
第 5期三郷市高齢者保健福祉計 l
曲i
・介護保険
事業計画 J(三郷市・
2
0
1
2,4
8頁・ 5
67
2頁)。
1
1
) 自治体問の政策参照につ¥,.ては、伊藤修一郎 (
2
0
0
2
)、
・
∞
回日一博 (
2 8
) を参照。
1
2
)エリート民主主義につ¥,¥ては、蒲島 (
1
9
9
2,2
9頁)を
参問
1
:
3
)松卜-は、「政治サークル複合」について、
i
i
<政治サー
いての変化も恕定され得る。たとえば、武蔵野市に
クル複合〉における「政財官 J人脈内では、政治家
おしゐては第 4期までは基本構想と長期計画が策定さ
は官僚に人事で勝ち、官僚は同体・企業に権 la~ ・財
2
0
1
2年 に 策 定 さ れ た 第 5期計画では、
源で勝ち、同体・企業幹部は政治家に票と金で勝つ、
れていたが、
基本構想は策定されず長期計両だけが策定されてい
るーまた、
2
0日 年 に 策 定 さ れ た 倉 敷 市 第 6次総合,i
"
l
画では基本計 [
1
I
l
j
は策定されていない。
民間部門の役割・明確化 Jについて「市民.1~ 1I1J ì~lj
門の役割j
の規定 Jがあるのは、
とし追われるような三スクミ
評している。
J(松下・ 1
9
9
1,2
0
9頁)と
∞
1
4
)政 策 参 照 に つ い て は 、 伊 藤 (
22
)や1
1
1
11(
2
0
0
8
)
5
) たとえば、東京市町村自治調査会によれば、「市民・
3
9の基礎自治体のう
を参 f!~ (l
15) 玉村は、「総合計・ 1~lj は長則的な観点から立案されるも
のであり、様々な
j
7
1
1
リをしながら推進されるもので
ち 3円治体となっている(東京市町村自治調査会・
l
1
J
や実態把握に活用出来るデータも、
ある。(略)子 i
2
0日
、 4
1頁)。
徐々に培えてし、る。様々なオープンデータの活JfJな
6
) 総合計画の計 1
I
I
I
j期間については、首長の任期に合わ
4年 の 計 画 と い う 指 摘 ( 例 え ば 、 斉 藤 (
2
0
1
4、
1
8
0
)
) もあるが、議会に議決権がある場合、首長の
せた
任期に合わせた総合計画の計画期間と
7
)
4(
2
)
龍谷政策学論集
1
6
8
v
.うよりも、
ども見据えていくことが必要となる。(略) '
1
1
治体経
営におし‘て、様々なデータや情報体系群を i
山Hする
ことはさらに重要になってきており、今後、自治体
経営の根幹を文える総合計画(基本構想・革本吉 l
i
1
l
l
j・
議会の任期に合わせた計!刈期間との認識が必要と思
実施計│由j)の各レベルにおいて、どのようにデータ
われる。
や情報体系を i
古
川 jするのかを設計することが、これ
1
私たちができること Jの「私たち Jとは、例人・家胞・
からの総介計 l
刷には求められる。」としている(ギ村・
市民公益活動日│体・事業者などの主体をさす(合!般
2
0
1
4、2
7
0
2
7
11
'
0。
市第 6次総合計l
f
J
l
j.
2
0
1
1、2
8
)。
8
) このことに関連して、東京都中期計酬は、シピル・
〔主要参考論文・文献〕
ミニマムとは「近代都市が当然そなえてし‘なければ
ならなし‘条件の最低限、すなわち、性民が安全、健M
i、
快適、能率的な都 d
i生活を営むうえに必要な最低条
件である(点京都・
1
9
側
、
3)J と定義してし‘る。シ
ピル・ミニマムについて「シピル・ミニマム!'I体は
生活権を前拠とした ïli 氏ないし I~I 治体の規範的な政
策公準 J とする(松'ド・ 1973 、 5 頁),~
1
シピル・ミニ
マムは二重の;立味をもっている。第 lにそれはすべ
(
2
0
1
3
)1
閉塞状況を突破する総合計l
I
I
l
j
をつく
るために Jr
ガパナンス Jvo
1
.
l5
2、3
4・3
6f。
一宮市 (
2
0
0
8
)r
一日J!j第 6次総合計画j。
伊藤修一郎 (
2
0
0
2
)r
!'l治体政策過程の動態一政能イノ
一様義治
ベーションと波及j I
聖地j
義塾大学出版会 u
伊藤修一郎
(
2
0
0
9
)1
行長の戦略・マニフェストと総合
計幽 J松村岐夫・稲緋裕昭・財団法人 H本都市セ
r
ての市民の権利と\,\う性格であるつ(略)第 2 には I~ 1
ンター〔制) 分権改革は都市機構を変えたかj 第
治体の「政策公準 JとL‘う性格である J とする(松下・
一法規、 1
9
3
9(
Iっ
1
9
7
1、2
7
3頁)。
伊藤修一郎
(
2
0
1
0
)1
マニフェストと総合計 i
向
i
Jr
J
n
;
市
問
20日 Mar
169
地域計耐型総介計画の現状と課題
組 側 先jv
o
.
17
1
1、 1
4・2
7r
f
c
ネジメントに悶する調査研究.10
伊藤修-自I~ ・近藤康史「ガバナンス i話IÌ の展開と地 }j 政 I(.f.
巾-民社会 J辻 中 里 ・ 伊 藤 修 一 郎 『 ロ ー カ ル ・ ガ パ
n
J、木鐸社、 19・38
ナ ン ス 一 地 方 政 府 と 市 民 社 会-
臼
今井!!日 (
2
0
1
0
a
)1
1総 合 計 j
u
l
jJ の立北と│焔穿 JWガ バ ナ
今井 H~t (
2
0
I
O
b
)1
計両原理と市場原則との調整ーどの
r
出i
を 策 定 す る の か J 地 厄 議 会 人 Jvo1
.4
1
ように計l
7
2
1頁。
3、1
2
0
1
3
) 1 はじめに J 今川晃・梅原J!!.~
今川見・梅原註 (
r
地
域公共人材をつくるーまちづくりを担う人たち』、
ii
i頁。
合計 jllij 策定 -I~I 治体行政における社会指標刑ベン
r
編)Jvo
l
.2
1、 1
3
5・1
6
0頁。
児山正史 (
2
0
1
0
) 1岩手県滝沢村の{t民ニーズ調査と総
l
h
j策 定 一 自 治 体 行 政 に お け る 社 会 指 標 型 ベ ン
合計I
r
J 人文社会論叢(社会科学
チマーキングの活用J vo.
l23、1
6
3・1
7
3頁。
編)
膏藤大輔 (
2
0
1
4
)1
市民参加 l
に基づく総合計両の策定一
話、・本)瓜佳奈f- (
1
9
9
5
)1
1
'
1治体計[lh
i再考 J ['{I~ 報 1 ~:1
今 里i
治 体 学jv
o.
18、 1
1
8頁。
三 鷹 市 に お け る 総 合 計 両 ー J J~ 村雅俊『総合計 jlllj
の新潮流一向治体経営を支えるトータル・システ
r
打越綾子 (
4
0
0
4
) 自治体における企l
珂 と 調 整J L
I本 'I干
論社。
n
o
7
0・
209
ムの構築ー』公人の友社、 1
佐藤徹 (
2
0
0
1
)i
多価値化時代の都 r
l
i総 合 計 画 と 住 民 参
'
r
i(
2
0
0
9
) 1自 治 体 計 j
l
l
jと地 )
j議 会 J 年 報 r
l治 体
江藤俊Il
加システム一性民参加型ワークショップの意義と
課 題J
学 Jv
o1
.22、2
5・5
2頁
リ
江藤俊附 (
2
0
1
0
)1
総 合 計I
l
h
jを議会運営の中心に」、『ガ
J{ナンス
の実態に│則するアンケート調官」調査結果報告書j。
J
I
1
E史 (
2
0
0
り
)1
愛知県ー官 d
iの ま ち づ く り 指 標 と 総
児I
チマーキングの前用J 人文社会叢書(社会科学
ol
.
l08、 1
8
2
0良I
,~ ,
ンス jv
法作文化社、
H本 生 産 性 本 部 (
2
0
1
2
)W
I地 t
i
.'
1
1
治体における総合計I
l
h
j
{
r
j:報自治体学 jvo
l
.1
4、 1
2
8
1
4
5貞
η
佐藤徹 (
2
0
1
3
) 1行 政 経 営 シ ス テ ム に お け る 総 合 計 酬 の
r
1
1
な経済大学地域政
構 造 と 機 能J 地 域 政 策 研 究 ( 向1
jvol
.
10
8、 2
7
・
3
0T
[
"
大杉覚 (
2
0
0
9
a
) 1 総合計 IllJj に )I~ づく政策マネジメント
r
o1
.
l6
1、 1
5
3
2
1
1口
策学会)Jv
r
r
(
2
0
0
5
)n
屯沢地域ビジョン J,
の射税(1)J 月 刊 白 治 フ ォ ー ラ ム Jv
o1
.61
O
、 5
:
3
6
0
自治省 (
1
9
6
6
) 市町村計画策定 J
.
i法 研 究 報 告j。
頁
。
2
0
0
9
) 第 5次滝沢村・総介元 I
'
j
l
h
j (改訂版 H。
滝沢村・ (
2
0
0
9
b
)1
総 合 計 画i
に息づく政策マネジメント
大杉党 (
r
2
)J 月 刊 自 治 フ ォ ー ラ ム jvo
.
16
1
1、 5
2
・
6
1
の射机 (
滝沢村
2
0
0
お
)1
'
r
l治 体 問 の 梢 の Afj
tJ、森岡明・ H
IL
l
田口一博 (
-t
事・金JI:本I
L
と『分権改革の助!,m
.
],*京大学出版会、
頁
。
大杉党 (
2
0
0
9
c
)1
総合計両に基づく政策マネジメントの
r
3
)
J 月 刊 自 治 フ ォ ー ラ ム Jvo1
.612、50・58f
i。
射程 (
大矢野修 (
2
0
0
8
)1
1行 政 の 改 革 J と 自 治 体 職 員 の 能 力 I
U
.
J
1
3
9
1
7
0f
[。
r
田口一博 (
2
0
1
0
)1
マ ス タ ー プ ラ ン と 地 方 議 会J 地 方 議
ol
..
l
1・3、 2
2・2
5民。
会 人Jv
r
発 - 多 治 見 市 と LORCの J
t
l
i
i
J研 究 の 成 果 か ら J I~
m中 啓
1
I
1希 美 枝 ・ 大 矢 野 修 『 地 域 公 共 政 策 を に な う 人 材
2
0
0
9
)i
総 合 計l
肉i
策定における市民会議方式
武記消ー (
育成,~
(
2
0
1
4
) '
l
l
治体評価の戦略』、東洋経済新報社内
r
の意義と 1県組 J 年 報 自 治 体 学 jv
o.
122、1
6
4
・
1
8
2:
f
(
,
1
1本評論社、 1
3
9
1
5
6U
片山一丹内 (
2
0
1
0
)I
1総 合 計 j
l
l
l
j
Jに刺らない「計耐性 J
JW
ガ
ol
.1
0
8、 1
4・1
7r
(。
バナンス jv
+,村雅俊 (
2
0
1
1
) 1は じ め に 一 「 義 務 で は な い 総 合 計 j
l
h
jJ
による地方政府づくり
2
0
0
7
)f
l
'
j治 制 度j 東京大学出版会。
金井利之 (
J玉 村 雅 俊 『 総 合 計 画 の 新
潮流-1'1治 体 経 営 を 支 え る ト ー タ ル ・ シ ス テ ム の
r
J 公人の友社、
構 築-
金井利之 (
2
01Oa
) 実 践 都 市 行 政 学J
、第一法規。
2
0
1
0
b
) 1総 合 計 I
I
h
j制 度 の 民 望 一 基 本 構 恕 北
金井利之 (
r
3
7t
i。
玉村雅俊 (
2
0
1
4
) 1こ れ か ら の 総 合 計 l
向j-総 合 計 1
1
!
J
i
務 付 け 制 度 の 廃 止 を 受 け て J 郎 市 問 題jv
ol
.
10
1・
6、
v
e
r
.
2
.
0に l
i
l
Jけ て ー 」 玉 村 雅 俊 『 総 合 計 画 の 新 潮 流
7
8
8
9
μ
一自治体粁'討を支えるトータル・システムの構築
口
金井利之 (
2
0
1
0
c
) 1自 治 体 議 会 に お け る 総 合 計 i
削の現状
r
と課題 J 地 方 議 会 人Jv
o
l,
1
1
l3、 8・1
1頁。
金~j1:利之 (2013)
-j 公人の友社、 260
・
2
7
3n
。
11
2
0
1
0
)1
序章」辻中豊・伊藤修一郎『ローカル・
辻1
豊 (
r
1
都 区 制 度 と 総 合 計l
i
可制度 J 都 市 社 会
o
.
15、 1
3
6頁。
研 究Jv
1
7
ガ パ ナ ン ス 一 地 方 政 府 と 市 民 社 会-J 木鐸社、 9
頁
っ
r
9
2
) 政 治 参 加 J、以京大学出版会円
蒲 島 郁 夫 ( 19
r
f
l
l原I
I
券(
2
0
0
9
)1
総合計画i
の策定と議会基本条例J 年制
治体午:
J vo1
.2
2、2・2
1f
[
'
11
f
i
l
i原 勝 (201Oa
)1
総合計l
u
l
j条 例 の 制 定 と 白 律 白 治 体 へ
r
2
01Ob
) 1自 律 円 治 体 の 形 成 と 議 会 改 革 J
神原勝 (
-J'!I~ ['ローカル・ガバナンス一地万政府:と市民十一:
t
n
会-j、*$事 l
l
:、 2
2
3
・
228 。
リ
の 道 J 北 海 道 自 治 研 究Jv
o.
l533、 2・
7頁。
辻中豊 (
2
0
1
0
)1
市 民 社 会 論 へ の 示 唆 Ji
t中 豊 ・ 伊 藤 修
r
n
!
Si
l
i
l
H
J
!
f
iJvol
.
lO
l(
7
)、7
1・7
71
T
っ
倉敷市 (
2
0
1
1
)W
倉 敷 市 第 6次 総 介 ;
i
l
'
l
l
h
j
j,
東京リ jlU 1'村山治調 T写会 (201~) ト lilll 1'村の総合計, f
i
h
jのマ
r
士山希美枝 (
2
0
0
7
) 高度成長期
i
m
sI
l
i政 策 」 の 政 治 過 程j
日本評論社。
r
6
9
) 東京都中期計I
l
h
j:¥,.かにしてシピル・
東 京 都 ( 19
。
ミ ニ マ ム に 達 成 す る かj
光d
j (20}t1) 1
分 権 化 ・ 人 !J減 少 社 会 を 見 据 え た 1
1
'
長補i
治体の 1
¥
'
I
'
l
l
h
j行 政 J W
地域開発.] v
o.
l595、 4
9
5
3頁円
1
7
0
r
新川達郎 (
2ω3a) i
I'l治体計 l
自j
行 政 の 現 状 と 課 題J 郁
r
松井望 (
2
0
0
3
)i
総合計画制度の似型・変容・課題J 都
市 問 題Jv
o1
.9
4
-1
O
、 9
1・1
1
2J
i
。
市 問 題Jv
o.
19
4
-1
O
、 3
2
6頁。
2
0
0
3
b
)i
参 加 と 計l
I
J
l
j
の再構築一市町村総合
新川達郎 (
r
i
l
l
jを 手 が か り に J 都市│問題研究 Jvo1
.5
5
・
4、
計l
3
1
7n
。
2
0
0
9
)i
白治体計酬をめぐ
松井望・長野基・菊池端夫 (
る
r
)I~ 本構想制度J
の変作と多操性の展開 J
1
r
r
報
,',治体学jv
o1
.2
2、 8
3
・
1
2
1J
.
'
[。
新川達郎 (
2
0
0
9
)i
これからの行政と計剛一市町村総合
r
l
u
jを中心に -J 都市問題研究.] vo.
16
1・
5
、3
・
1
7r
i。
計I
西尾降
4(
2
)
地谷政策学論集
(
2
∞1) i
自 治 体 計 画 の 位 前 付 け と そ の 変 化 Jf
J
j
刊 白 治 研Jv
o1
.5
0
5
c
出版会。
7
3
)i
シピル・ミニマムと都市政策」伊藤
松 下 圭 一 ( 19
光l
哨・篠原ー・松下圭一・宮本憲一
r
西尾隆 (
2
0
0
3
) 行政のコミュニケーションを担う総合
JWI都 市 問 題jvo.
19
4
・
1
0、 6
5
7
8頁 c
言
│
・
│
尚i
ニマム j 岩波書庄、
r
fシピル・ミ
3
・
2
81
'
i
。
1
9
91
) 政策型思考と政汗iJ東京大学出版会。
松下圭一 (
r
日本都市センター編 (
2
0
0
2
) ,',治体と総合計 l
叫
都d
iセンター。
r
71
) シピル・ミニマムの思想』、東京大学
松下圭一(19
1本
r
松下圭一 (
999) 自治体は変わるかj 岩波書宿。
r
2
0
0
5
) 自治体再構築J公人の友社。
松下圭一 (
∞
2
0
1
1
)i
政策・施策・事業の用語法」、 h
t
t
p
:
/
/
真山達志 (
西寺雅也 (
2
0
0
8
) W自律向治体の形成』公人の友社。
www.mayama.jp/detailsl
O
01026.htm1(最 終 確 認
20H.l1
.7
)。
三郷市 (
2
0
1
2
) r 第 5 期三郷I! i 高齢者保健福祉計 I~lj ・介
日本都市センター編
(
23
)r
!'1治体と計画j
行 政j 日本
都市センター。
r
西寺雅也 (
2
0
1
0
a
)i
総 合 計 両 は 必 安 か J 地 H議 会 人j
vo.
14
1
3、1
2
1
6頁
こ
西寺雅也 (
2
01Ob
) 高 ま る 総 合 計l
l
h
jの 必 要 性 J カ'パナ
ンス Jv
ol
.
l0
8、2
1
2
3頁。
西寺雅也 (
2
0
1
4
)i
総 合 計 画 の 課 題 と 展 望J玉 村 政 俊 f
総
r
r
曲i
の新潮流一自治体経営を支えるトータル・シ
合 計l
5
4
1頁。
ステムの構築J公人の友社、 1
r
秦野市 (
2
0
11
) 秦野市総合計I
l
h
U,
r
久田伸子・青山崇 (
2
0
0
3
) 行政マネジメントの一環と
し て の 総 合 計 画 と マ ニ フ ェ ス ト Jr
都 市 問 題j
vo1
.9
4(
10
)、7
9
9
0頁。
福間康仁 (
2
0
1
4
)i
総合計画に基づく行政経常一多治見
総 合 計l
I
I
l
j
市における総合計画の運営」玉村政俊 f
護 保 険 事 業 計 画j
村山陪 (
2
0
0
0
)i
行政施策評価のための住民意識指際システムフィードパックのコンセンサスデザイン
r
評価 J 政 策 科 学Jvol
.7
ふ
3
1
3
3
2
7頁。
r
r
f
i(
2
0
1
2
)r
第 5期 長 期 計 剛J
。
武蔵野 j
2
0
1
4
)r
第 5次 焼i
干
t
'
d
i総 合 計 画 後 期 基 本 計l
I
I
l
j
j。
焼津市 (
山川浩久 (
2
0
1
2
)r
地域政策学的視点から見た総合計W
l
j
の 意 義 と 課 題 Jr
l
L
J形 大 学 大 学 院 社 会 文 化 シ ス テ ム
武蔵野市(19
71
) 第 1期 基 本 構 想 ・ 長 期 計 画J
。
1
9
81
) 第 2期基本構恕・長期計画』。
武蔵野市 (
o1
.9
、8
3
9
6f{。
研 究 科 紀 要Jv
の新潮流一,',治体経営を支えるトータル・システ
受付 1 :2
0
1
4年 1
1月 1
4U
ムの構築j 公人の友社、 6
9
9
7貞
口
採択 1:
2
0日 年 1)
J1
51