コア SSH に関する報告

コア SSH に関する報告
第1章
平成26年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発実施報告(要約)
・・・・
1
第2章
平成26年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発の成果と課題
・・・・・・
3
第3章 研究開発の概要
1 研究開発の課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
2 研究開発の経緯 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
3 研究開発の内容 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
4
各校の研究開発論文
・ 宮城県仙台第一高等学校 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
・ 福島県立福島高等学校 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
・ 石川県立小松高等学校 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
・ 岐阜県立大垣東高等学校 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
・ 岐阜県立各務原西高等学校 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
・ 大阪府立住吉高等学校
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
・ 広島県立広島国泰寺高等学校 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
・ 香川県立観音寺第一高等学校 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
・ 愛媛県立松山南高等学校 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
・ 佐賀県立致遠館高等学校 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26
・ 宮崎県立宮崎北高等学校 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
・ 鹿児島県立曽於高等学校 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
・ 鹿児島県立福山高等学校 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29
・ 津曲学園鹿児島高等学校 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30
・ 鹿児島県立錦江湾高等学校 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33
5 実施の効果とその評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37
6 研究開発上の課題及び今後の研究開発の方向・成果の普及 ・・・・・・・・・・・・43
第4章 資料
1 運営指導委員会・研究会
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44
鹿児島県立錦江湾高等学校
第1章
26コアSSH
平成26年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発実施報告(要約)
① 研究開発課題
「課題研究支援ネットワーク」と「教育資源活用プログラム」による中核的拠点形成
~ダイコンコンソーシアムを発展させた「鹿児島モデル」の推進~
② 研究開発の概要
本校は,平成21年度から3年間にわたり,身近な野菜である「ダイコン」を中心として,課題研究の
深化,教材化,国際化などの幅広い教育・研究開発を展開し,成果普及をしてきた。平成24年度以降
はこれまでのダイコンコンソーシアムを通した高大連携と学校間連携を維持するとともに,「ダイコ
ン」にとらわれない火山,環境,遺伝子などさまざまな分野に研究テーマを広げ,研究発表会等を通じ
ての情報交換により,互いの研究の成果の互換を図っている。
さらに小学校,中学校を含めた連携を強化することを目的とし,生徒による出前授業・大型商業施
設での実験教室を実施した。高校生が主体となって支援し,関わった児童・生徒に対して,科学的に
探求する能力と態度を育てることが目的であり,本校の中核拠点としての取り組みとして地域からの
期待を集めた。特に実験教室は,小中学校の児童・生徒および職員だけでなく,多くの県民からも高
く評価されるものとなった。
③
平成26年度実施規模
1 幹事校:鹿児島県立錦江湾高等学校(本校生徒18名)
2 連携校:SSH校
9 校(県外生徒16名)
その他
8 校(県内5校 生徒計31名,県外2校生徒計5名)
3 連携研究機関:鹿児島大学,東北大学,九州大学,三重大学,鹿児島県総合教育センター
鹿児島県立博物館,鹿児島市立科学館
④
研究開発内容
○
具体的な研究事項・活動内容
1
「科学の祭典」での本校生徒よる,夏休み理科自由研究相談:鹿児島市立科学館との連携(平
成26年7月26・27日)
2
本校生徒による小中学校への出前授業:鹿児島市立福平小学校,鹿児島市立福平中学校(平成2
6年5月16日),喜入小学校,瀬々串小学校,谷山小学校,平川小学校(平成26年7月4日)
3
第1回コアSSH研究会・運営指導委員会:研究計画発表,鹿児島大学理学部(平成26年8月
21・22日)
4
大型商業施設での実験教室(わくわく実験教室):「わくわく実験教室
錦江湾高校」( 平成26年 7月19・20日),「わくわく実験教室
イオン鹿児島×
コラボ」( 平成26年 11月16
日)
5
第2回コアSSH研究会・運営指導委員会:研究成果発表,三学会での発表,鹿児島大学理学部
(平成26年12月5・6日)
6
市立科学館での実験教室:「わくわく実験教室 in 市立科学館」(平成26年12月6日)
7
県高等学校生徒理科研究発表大会(11月)で選ばれた県代表への課題研究支援:県高等学校文
-1-
化連盟自然科学部会・県教育研究会理科部会,鹿児島大学理学部との連携(平成27年1月11日)
8
⑤
○
幹事校及び連携校の研究内容(p12~36を参照)
研究開発の成果と課題
実施による成果とその評価
生徒の研究計画発表会や研究成果発表会では,全国17の連携校が集い,それぞれの研究について発
表し,意見交換が行われた。昨年より,テーマもダイコン関連にとらわれず多岐にわたるようにな
り,異分野交流もより充実してきた。参加した高校生は,運営指導委員の指導や助言を受けるととも
に,互いに質問し合うことで切磋琢磨して研究のノウハウや知識を習得できた。
また高校生による夏休み理科自由研究相談を実施することにより,小中学生の理科に対する興味・
関心や探求心を向上させ,具体的テーマを持って実験や研究に取り組ませることができた。またこれ
らの取り組みにより科学的思考力や判断力,表現力が育成されることが期待できる。
さらに高校生による小中学校への出前授業では,小中学生の「身近な科学」への興味関心を喚起し,
同時に指導をした本校理数科の生徒達も,「正確な知識」の大切さや分かりやすく説明する事の難しさ
を知るうえで良い経験となった。高校の教師ではなく高校生が小中学生を指導したことに大きな意味
があり,高校生,小中学生の双方にとって有意義な交流であったと考えられる。
これらの取り組みにより,理数教育を推進させる地域の中核的拠点としての役割を果たし,児童・
生徒の「目的意識を持った学習活動」や「科学的な自然観」の育成が期待できる。
○
実施上の課題と今後の取組
今後の課題と取組としては,研究や理科自由研究支援等において,県内における連携校との関わり
を充実させることや,生徒による出前授業において,実施校,実施学級を増加させ,指導する実験内
容をより小中学校のニーズに合わせたものに工夫することなどがあげられる。
-2-
鹿児島県立錦江湾高等学校
第2章
24~26
平成26年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発の成果と課題
① 研究開発の成果
1 「課題研究支援ネットワーク」の構築
平成26年度の公立の県内連携校は鹿児島中央高校,理数科をもつ国分高校, 普通科・農業科・工業
科・商業科をもつ曽於高校,普通科・商業科をもつ福山高校の4校であった。また,私立高校である鹿
児島高校も連携校として加わり,県内の連携校が5校となり,鹿児島モデルを実行する基盤となった。
昨年度と同様に,研究計画発表会や研究成果発表会等を通じた生徒どうしの交流の他,理科教員どうし
の情報交換も行った。特に国分高校・福山高校・曽於高校・鹿児島高校においては,わくわく教室コラ
ボで共同実験教室を行うなど,実験教室を通じての交流を深めることができた。
運営指導委員である大学教員については,本校のコア SSH の取り組み状況や経緯をよく把握してい
る,ダイコンコンソーシアムの体制(鹿児島大学内海教授,岡本准教授,大富教授,九州大学丸山准教
授,東北大学渡辺教授,三重大学諏訪部准教授)を継続するとともに,昨年同様,物理と地学分野の指
導体制の強化を考え,鹿児島大学秦准教授と鹿児島大学大木名誉教授を運営指導委員に加え,幅広い理
数研究の課題に対応できるネットワークとした。また,鹿児島県教育委員会をはじめ県組織との連携体
制は,これまで通り鹿児島県総合教育センター,鹿児島県立博物館,鹿児島市教育委員会,鹿児島市立
科学館などで構成し,指導を仰いだ。
研究支援については,年2回の運営指導委員会と研究会を中心としたが,ダイコンコンソーシアムの
WEBページを改変した「鹿児島モデルWEBページ」のブログを通じて運営指導員や連携校の教諭か
ら実験のアドバイスをいただいた。今年度はわくわく実験教室で作成した実験プリントや実験動画
(youtube)を掲載した。
2
「教育資源活用プログラム」の実践
創立以来43年間,本校が取り組んできた数多くの理数科課題研究(物理,化学,生物,地学,数学
等)の成果を,教育資源データバンクとして活用した。運営指導委員会は夏(8月)と冬(12月)に設
け,各学校における課題研究のテーマ設定,研究展開,研究成果発表,成果普及までを一連の取組と
し,そのあり方について具体的に研究協議をした。研究発表会についても同時に,夏と冬の2回実施
し,研究方法やデータ解析,プレゼンテーションについての適切な運営指導員の指導助言をもとに,各
連携校が各分野における研究を推し進めた。また,生徒間の情報交換が盛んに行われ,参加した生徒の
理科研究に対するモチベーションを向上させることができた。また,今年度は研究会で 鹿児島大学大学
院理工学研究科ハフィーズ
ウル
レーマン助教に「高校生のための科学英語講座」,鹿児島大学理
学部大木公彦名誉教授に「火山と生きる
火山・防災・ジオパーク」の講演を実施した。その講演
会の資料はダイコンコンソーシアムのWEBページに掲載しており,いつでも回覧できる。
3
「小中高大連携」による理数教育事業の推進
小中学生対象の夏休み理科自由研究相談(科学の祭典)では,本校サイエンス部の生徒が,研究テーマ
や方法について丁寧にヒントを与え,自由研究への積極的な取組を促した。
-3-
昨年度に引き続き近隣の小中学校(平川小学校,福平小学校,谷山小学校,瀬々串小学校,福平中学
校)と連携をとり,本校理数科の生徒による出前授業を実施した。3つのテーマの実験を準備し,ロー
テーションで全てを体験できるようにした。高校生が教えるということで小中学生も親しみやすく,気
軽に質問したり和やかな雰囲気で積極的に活動していた。終了後のアンケートでも「普段できない実験が
できて楽しかった」,「高校生が分かりやすく説明してくれた」,「自分の家でもう一度やってみたい」など
好感度の高い回答が多く,また小中学校の教職員からも「毎年実施して欲しい」との要望もされ,この企
画により身近な科学や実験に対する興味関心を十分に喚起することができたと考えられる。
また,大型商業施設(イオン鹿児島・イオン隼人国分ショッピングセンター)・鹿児島市立科学
館で,わくわく実験教室を行った。イオン鹿児島は錦江湾高校だけの実施であったが,イオン隼人
国分店では,錦江湾高校を含めた県内のコア SSH 連携校である国分高校・曽於高校・福山高校・
鹿児島高校の5校合同で実施し, 理科教育の普及を行うとともに,参加生徒のプレゼン能力や表現
力の向上を目指した。さらに,市立科学館では全国のコア SSH 連携校13校が,生徒交流会の一環
で実験教室を行った。幹事校である錦江湾高校が,主体的に他校の生徒に実験助言を中心的に行
い,高校間の連携・交流を深め,コアSSH鹿児島モデルを推進した。
② 研究開発の課題
1 「課題研究支援ネットワーク」の構築
平成24~26年度は,鹿児島県における高大連携や小中高連携の中心を本校が担い,以前に構築された
ダイコンコンソーシアムの連携で習得した研究のノウハウを基盤にして,理数教育の推進を目的として
取り組んできた。現在,県外連携校との活動に比して,県内での高校間あるいは小中高連携による活動
はやや消極的である。平成27年度は,県内の高校に新規に募集をかけ,理数研究やその成果発表,さら
に小中学校への理科自由研究支援,出前授業,大型商業施設での実験教室などに連携して取り組む体制
を構築していく。また,これらの理科自由研究支援,出前授業をより有意義なものにするためには,小
中学校の実情を理解し,それに合った企画をすることが大切であることから,小中学校の教職員(校長,
教頭,理科主任など)を運営指導委員に加えることも検討し,小中高連携の規模を広げ充実したものにす
る。特に,実験教室において中学生の参加が著しく少ない,そのため,中学校や学習塾と連携したプロ
グラムを構成しなければならない。そして,博物館や科学館などの理科に関する教育施設がない地域
(理科教育過疎地)について,実験教室を行っていく。特に離島を抱える鹿児島では錦江湾高校がモデ
ル校になり取組を全国に発信していきたい,また,鹿児島モデルWEBページを活用し,研究に関する
高校間や運営指導委員とのコミュニケーションを活発化させ,情報交換体制を連携校全体に広げる。こ
のように県内のネットワークを確立し,強化していくことが「地域の中核的拠点」としての本校の役割で
あり,「鹿児島モデル」を完成に近づけるものと考える。
2
「教育資源活用プログラム」の実践
本校の SSH による学校設定科目「サイエンス・リサーチ(SR)」は大学等の連携により進められている
課題研究であり,大学教員の指導や施設,設備の利用など,大学の協力により実践的な実験・研究が実
施されている。よって実験方法や実験機器の扱い方,データ解析法,プレゼンテーションなど多くを学
び習得することができる。平成27年度はこのような課題研究の取り組みを充実させ,学び得たノウハウ
を教育資源として蓄積していく。また,これらの研究成果を発表することで教育資源の普及につなげ
る。年2回,8月と12月に開催する研究会(生徒研究発表会)では,SR の研究班やサイエンス部に積極
的な発表を促し,県内外の連携校とともに共有の教育資源をつくり,スキルアップを目指す。その他,
-4-
各分野における学会やコンテストへの積極的な参加を促す。
生徒1人ひとりが学び得た研究のノウハウや科学の知識を,小中学生の理科自由研究支援,出前授業
に生かし成果普及に努める。
さらに,鹿児島モデルWEBページから成果を公開し普及に努める。
3
「小中高大連携」による理数教育事業の推進
昨年初めて,生徒による出前授業を,近隣の小中学校3校で各校1学級ずつ実施した。今年度は出前
授業を小学校5校で6学級・中学校1校で3学級に拡大した。好評で,小中学校側から,実施学級を増や
して欲しいとの要望もあるが,同学年で実施していない学級の児童が羨ましそうにしていたり,なぜ自
分の学級は出前授業が実施されないのかという声が多く聞かれる。よって,小学校の体育館を貸し切
り,より多くの児童が参加できる実験ショーを実施したいと考えている。
平成27年度は,小学校や中学校の学年,授業内容や進度を考慮して適切な内容を選び,より高い成果
が得られるように教材や授業展開を工夫していく。特に,中学校や学習塾などと連携を深め,受験に対
応した実験教室などを行うことにより,理科離れが進んでいる中学生に対して,興味関心を深めていき
たい。また,中学校の先生などを高校へ招き,理科実験に関する研修を行っていきたいと考えている。
小中学生にとって教壇に立つ高校生は新鮮であり,また親しみやすい。実験内容や授業展開を工夫す
れば,小中学生の「身近な科学」への興味関心を喚起する最も効果的な企画であるといえる。また,指導
する高校生にとっても,教える内容の正確な知識と理解の大切さや分かりやすく説明することの難しさ
を実感し,学ぶ良い機会となると考える。また,小中学生理科課題(自由)研究支援も連携校の規模をで
きるだけ拡大し,充実を図る。
-5-
第3章
1
研究課題の概要
研究開発の課題
(1) 研究テーマ
鹿児島県立錦江湾高等学校における「課題研究支援ネットワーク」と「教育資源活用プログラ
ム」による中核的拠点形成
~ダイコンコンソーシアムを発展させた「鹿児島モデル」の推進~
(2) 研究のねらい・目標
平成23年度以前のコアSSH事業(ダイコン
コンソーシアム)において,身近な野菜である
「ダイコン」を中心素材として,課題研究の深
化,教材化,国際化などの幅広い教育・研究開
発を展開した。
平成24年度以降,ダイコンコンソーシアムを
通した高大連携を基盤に,ここで学んだノウハ
ウや研究成果等を活かし,小・中学校を含めた
理数教育の推進を目指しており,学校,研究機
関,行政機関との連携を充実させる。
「研究支援ネットワーク」と理科研究技術や知識の
図1
平成26年度
連携校
向上,そしてその成果普及の手段である「教育資源の活用」を柱とした「鹿児島モデル」(図2)を構
築する。特に,成果普及活動は,理科研究を通して多くのことを学んだ高校生自身が,小中学生を対象
とした課題(自由)研究支援や出前授業を行い,正確な知識と理解の大切さや分かりやすく説明すること
の難しさを学ぶとともに,小中学生の「身近な科学」への興味・関心を喚起し,科学的に探求する能力と
態度を育てることをねらいとしている。平成26年度は,県内連携校が6校,県外連携校は東日本まで広
がる11校(SSH校が9校;その他2校)で,本校を含む17の高等学校により研究開発を推進した(図
1)。
図2
小中高大連携による「鹿児島モデル」
-6-
2
研究開発の経緯
4月
1日:文部科学省よりコアSSH「地域の中核的拠点形成」の採択(3年間)
5月
16日:本校生徒による小・中学校出前授業(福平小学校・福平中学校)
7月
4日:本校生徒による小・中学校出前授業
(喜入小学校・瀬々串小学校・平川小学校・谷山中学校)
7月19,20日:わくわく実験教室
錦江湾高校×イオン鹿児島(イオン鹿児島)
7月26,27日:科学の祭典,小中学生理科課題(自由)研究支援
8月21,22日:第1回研究会 及び 運営指導委員会(鹿児島大学理学部)
本校・連携校の研究計画発表,指導・意見交換
11月
16日:わくわく実験教室
コラボ(イオン隼人国分ショッピングセンター)
12月5,6日:第2回研究会及び 運営指導委員会(鹿児島大学理学部)
異分野交流・研究成果のポスター発表
12月
6日:三学会(日本動物・植物・生態学会合同鹿児島例会)との同時開催
県内高校4校4テーマがポスター発表
12月
6日:わくわく実験教室in市立科学館(鹿児島市立科学館)
2月
中旬:研究報告書要旨作成,各テーマA4 版 1 ページ, 本校に提出
3月
上旬:コアSSH研究開発実施報告書作成
3月
20日:つくばScience
Edge2015(つくば国際会議場)
本校が1テーマ,連携校:曽於高校が1テーマを発表
27日:ジュニア農芸化学会2015 「高校生による研究発表会」(岡山大学)
3月
連携校:福山高校が1テーマを発表
3
(1)
研究開発の内容
研究の仮説
ア
全国ダイコンコンソーシアム及び高大連携を通した課題研究の取組・成果を活用することにより,
「課題研究支援ネットワーク」を構築するができる。特に,小・中学校をネットワークに組み入れ
ることにより,高校間はもとより,小・中学校を含めた本県全体の理科課題研究等への取組を活
発にし,理数教育推進を図ることができる。また,学会発表や科学コンテスト等への参加により,
生徒のスキルアップを図ることができる。
イ
「教育資源活用プログラム」の実践として,ダイコン研究に留まらず,物理,化学,地学など課
題研究の情報を蓄積するとともに提供を行う。高大連携による大学レベルの専門的な研究ノウハウ
の活用は,高校生だけでなく理科教員のスキルアップを図ることができる。また,小・中学校の課
題(自由)研究や科学(理科)的活動の支援により,小・中学生の科学への興味関心を喚起し研究意欲
の向上を図ることができる。
ウ
「小中高大連携」による理数教育事業の推進により,関わった児童・生徒のプレゼンテーション
能力やコミュニケーション能力の向上を図ることができる。特に,大型商業施設での実験教室出前
授業を実施することにより,低学年から「身近な科学」への興味・関心を喚起し,科学的に探究する
能力や態度を育成することができ,本県理数教育を充実させ,推進させることにつながる。
-7-
(2)
研究内容・方法・成果・検証
①本校生徒による出前授業(平成27年5月16日,7月4日,図3)
ア
研究内容・方法
本校の天文物理部・化学研究部・生物研究部を 5 月 16 日に福平小・福平中の2校,7 月 4 日
に喜入小・瀬々串小・谷山小・平川小の4校に派遣し,「人工イクラをつくる」,「発泡スチロー
ルの手形をつくる」,「紙トンボをつくる」の3つの実験を指導する出前授業を実施した。
イ
成果・検証
高校生が教えることで,小・中学生も親しみを持って積極的に取り組めた。「身近な科学」への
興味・関心を十分に喚起することができ,また高校生にとっても,理科の正確な知識と理解の大
切さや分かりやすく説明することの難しさを学ぶ良い機会となった。この内容は,地元新聞から
も注目されるとともに,アンケートの結果,参加した児童・生徒及び小・中学校教職員からも高
く評価された(P37 ~ 38 参照)。
図3
福平中学校(5/16)
瀬々串小学校(7/4)
②わくわく実験教室 錦江湾高校×イオン鹿児島(平成27年7月19.20日,図4)
ア
研究内容・方法
本校生徒が,鹿児島市にあるイオン鹿児島の広場で主に小学生を対象に実験教室を行った。
事前告知として,地元紙や情報誌に掲載してもらった。また,イオン鹿児島のホームページ
にも掲載された。PR ポスターを作成し,地元の小学校にも配付をした。
実験内容は①人工イクラを作ろう②色鉄筆を作ろう③ストロー笛を作ろう④手形を作ろう
⑤備長炭の電池を作ろう⑥スライムを作ろう⑦指紋検出をしよう⑧ベンバムのコマを作ろう
⑨紙トンボを作ろうの9個の実験ブースと夏休みの自由研究のアドバイスコーナーを設置し
た。
イ
成果・検証
事前告知の効果もあり,実験の参加者の延べ人数は 1289 人で,多くの児童らに実験の楽
しさや驚きを提供し,理科教育の普及を行った。発泡スチロールトレーや牛乳パックなどの
エコな実験道具を使ったことで,参加者は環境について学ぶこともできた。本校生徒のプレ
ゼン能力や表現力の向上にも寄与した。この内容は地元新聞からも注目され,アンケートの結
果から参加者からも高く評価されたがわかる(P38~39参照)。
-8-
図4
スライムづくり
会場の全体風景
③「科学の祭典」での本校生徒(生物研究部・天文物理部)による夏休み理科自由研究相談
:鹿児島市立科学館との連携(平成26年7月26・27日,図5)
ア
研究内容・方法
かごしまおもしろ科学フェスティバル(青少年のため
の科学の祭典)において,本校の生物研究部と天文物理
部の生徒が,小中学生に対し, 夏休みの理科自由研究の進
め方やおもしろい自由研究等を紹介した。
イ
成果・検証
各研究について,生徒が取り組んでいる理科研究と関
連させたりして,高校生の視点でアドバイスや説明がで
図5
本校生による自由研究相談
きた。
④第1回コアSSH研究会・運営指導委員会:研究計画発表(平成26年8月21,22日
ア
図6)
研究内容・方法
鹿児島大学理学部で運営指導委員会を開催し,これまでの成果と本年度の事業計画につい
て協議した(第4章参照)。研究計画発表会では,ダイコン関連研究や遺伝子,火山,防災
関連の研究など,多岐な内容にわたり,各校より本年度の研究計画に関してパワーポイント
による発表が行われた。また,東北大学大学院生命科学研究科渡辺正夫教授に「課題研究・
小中高大連携に望むこと-観察力,論理的思考力,キャリア教育,小学校理科専科-」,鹿児
島大学大学院理工学研究科ハフィーズウルレーマン助教に「高校生のための科学英語講座」と
いうテーマで講演と講義していただいた。
イ
成果・検証
研究会では,運営指導委員や高校の教員からの指導・アドバイスと活発な質疑応答がなされた。
特に「高校生のための科学英語講座」は大変好評で,英語での表現方法を学ぶことができた。
図6
生徒による質疑応答
渡辺先生による講義
-9-
ハフィーズ先生による講義
⑤わくわく実験教室 コラボ(平成27年11月16日)
ア
研究内容・方法
錦江湾高校を含めた県内のコア SSH 連携校である国分高校・曽於高校・福山高校・鹿児
島高校の5校が合同で,霧島市にあるイオン隼人国分ショッピングセンターの 2F イオンホー
ルで主に小学生対象に実験教室を行った。霧島市教育委員会や各テレビ会社・新聞の後援を
いただいた。事前告知として,地元紙や情報誌に掲載してもらい。イオン隼人国分店のホー
ムページにも掲載された。また,PR ポスターを作成し,近隣の小学校に配付した。
実験内容は①人工イクラを作ろう②手形を作ろう③スライムを作ろう④色鉄筆を作ろう
⑤備長炭の電池を作ろう⑥ストロー笛を作ろう⑦ベンハムのコマを作ろう⑧紙トンボを作ろ
⑨クリップモーターを作ろう⑩電磁石で魚釣りの 10 個の実験ブースを設置した。
イ
成果・検証
事前告知の効果もあり,実験の参加者の延べ人数は 664 人で,多くの生徒に実験の楽し
さや驚きを提供し,理科教育の普及を行えた。幹事校である錦江湾高校が,主体的に他校の
生徒に実験助言を行い,高校間の連携を深め,コアSSH鹿児島モデルを推進した。この内
容は,地元新聞(P40 ~ 41 参照)に掲載され,地元のケーブルテレビであるMCT南九州ケーブ
ルテレビネットにも取り上げられた。また,アンケートの結果,参加者からも高く評価された。
⑥
第2回コアSSH研究会・運営指導委員会:研究成果発表並びに三学会での発表
(平成26年12月5・6日, 図7)
ア
研究内容・方法
運営指導委員会では,本年度のコアSSH事業の研究内容と成果,今後の課題について協議が行
われた(第4章参照)。研究会では,連携校のそれぞれのテーマで,8月の研究計画発表以後の
成果や取り組み状況についてポスターで発表した。三学会( 日本動物学会・植物学会・生態学
会)では,県内の高校4校(4テーマ)が発表を行った。
イ
成果・検証
ダイコン関連研究の他,さまざまな研究テーマが加わり異分野交流が進んだ。各グループとも
それぞれ工夫を凝らしたポスターで,具体的に実験結果や考察,今後の課題等について発表がな
され,それらについての質問や意見交換が活発に行われ,互いに刺激し合う充実した研究会とな
った。また,英文ポスターが3件あったので,第1回コアSSH研究会で講義された ハフィーズ先
生に助言していただいた。鹿児島大学理学部名誉教授大木公彦先生 に 「火山と生きる火山・
防災・ジオパーク」というテーマで講演をしていただいた(図8)。好評で,高校生の科学への興
味関心を高めることができた。
図7
三学会でのポスター発表
図8 火山についての講義(大木先生)
- 10 -
⑦わくわく実験教室 in 市立科学館(平成26年12月6日,図9)
ア
研究内容・方法
錦江湾高校を含めた全国のコア SSH 連携校の 13 校(仙台第一高校,福島高等学校,小松
高校,各務原西高校,住吉高校,広島国泰寺高校,松山南高校,致遠館高校,宮崎北高校
曽於高校,福山高校,鹿児島高校)が,鹿児島市にある鹿児島市立科学館で,主に小学生を
対象に実験教室を行った。事前告知として,地元紙や情報誌に掲載してもらった。また,鹿
児島市立科学館のホームページ・Facebook でも広報してもらった。PR ポスターを作成し,
近隣の小学校に配付をした。
実験内容は①人工イクラを作ろう②手形を作ろう③スライムを作ろう④色鉄筆を作ろう
⑤備長炭の電池を作ろう⑥ストロー笛を作ろう⑦ベンハムのコマを作ろう⑧紙トンボを作ろ
⑨クリップモーターを作ろう⑩電磁石で魚釣り⑪静電気で遊ぼう⑫紙おむつの原料で芳香剤
を作ろうの 12 個の実験ブースを設置した。また,実験書の作成にあたり,実験方法の動画
を作り Youtube にアップした。また,その Youtube にアクセスできるように QR コードも
作成し,実験書に QR コードを記載した。これらのわくわく実験の実験書(word,pdf 形
式)は,ダイコンのホームページからダウンロードができる。
イ
成果・検証
事前告知の効果もあり,1時間という短い開催時間であったが,実験の参加者の延べ 335
人で,多くの児童・生徒に理科教育の理科教育の普及を行った。幹事校である錦江湾高校が,
主体的に他校の生徒に実験助言を行い,高校間の連携を深め,コアSSH鹿児島モデルを推
進した。 この内容は,地元新聞(P41 ~ 42 参照)に掲載され,地元のケーブルテレビである
BTV にも取り上げられた。また,アンケートの結果,参加者からも高く評価された。
また,Youtube にアップしている実験動画も好評で「ストロー笛を作ろうの動画は再生回数
が 150 回を超え,実験動画全部で再生回数が 300 回を超えている。
図9
わくわく実験教室in市立科学館での実験風景
⑧高校生向け「プレゼンテーション講習会」鹿児島大学理学部(平成27年1月11日,8~11時)
ア
研究内容・方法
理科研究県代表への課題研究支援を,県高等学校文化連盟自然科学部会,県教育研究会理科部
会,鹿児島大学理学部との連携で行った。「九州高等学校生徒理科研究大会」に参加する高校生と
先生方約60人が参加した。鹿児島大学の先生方から,分かり易い口頭発表やポスター発表のため
に以下のようなアドバイスをいただいた。
イ
○
原稿を見ないで,発表をする。
○
プレゼンの文字などが小さい,特にグラフの単位などは大きく示す
成果・検証
九州大会において,
鹿児島県勢が,物理部門(池田学園)・化学部門(福山高)・生物部門(国
分高)・地学部門(玉龍高)で優秀賞を獲得した。
- 11 -
仙台第一高等学校 2年 小塚脩平
要旨
宮城県内の8つの地域から、ゲンジボタルを20個体採取し、
宮城県内の8つの地域から
ゲンジボタルを20個体採取し
DNAを抽出した。ミトコンドリアのND5遺伝子に注目して、
PCR法、電気泳動法により、増幅されたDNAのバンドを観
察し、福井工業大学の草桶教授が示しているハプロタイ
プのバンドパターンと比較したところ、ほとんどの個体
が「本州東日本」に属することが分かった。また、ND5遺
伝子の約900塩基について塩基配列を比較した結果,地域
による差はほとんど見られなかった。
実験方法
1.採集
宮城県内8か所から
図1のように20個体
を採取した。
2.DNA抽出
抽出液(5%キーレック
ス200μℓ+プロテアー
ゼK1μℓ)中でホタル
の足二本をペッスルで
潰し 56℃で15分間
潰し、56℃で15分間
(5分ごとに攪拌)、
図1 ゲンジボタルの採取場所
100℃で8分間加熱。
遠心分離機10000rpmで5分遠心し、上澄みをテンプレー
トとした。
「NANODROP LITE(Thermo Scientific)」を用いて抽出液
のDNA濃度を測定した。
実験1 ハプロタイプの決定
1.PCR法
法
「Thermal cycler(TaKaRa)」を用いPCR法により目的
のDNAを増幅した。
<反応溶液>計20μL
・FP 1μL・RP 1μL・Taq 0.05μL・dNTP 1.6μL
・10×buffer 2μL・DNA抽出液 1μL・dw 13.35μL
<使用したプライマーと反応条件>
使用したプライマー
mtDNA内のNADH脱水素酵素サブユニット5(ND5)遺伝子
F-Contorol TAATTCGTTTTAATTTTTGTTTTAG
F 117
F-117
GGCAACTTGGGTTAATAATGAG
F-135
AATGAGAATTTTATTCTTAGGT
F-207
TCTTCTTTTTATATGTGCAGGG
F-360
GGGTTTTATTCTAAGGATTTAATT
F-402
TCTATGAATTATATAAATATATTTATATAT
F-510
AATTTTTATATATTAAATAATTTAAGAGAT
F-771
TTTTCTTCTATATTAAATATACTGTT
R-Contorol ATAATAGTTTAAAGGTTTATTTTATTTT
94℃(1分30秒)
[[94℃(1分)+50℃(30秒)+72℃(1分)]×40cycle
( 分)
( 秒)
( 分)]
y
72℃(10分)
2.アガロースゲル
電気泳動
PCRフラグメントに
10Loading buffer1μL
、蛍光色素0.5μLを
混合し、それを0.05%の
ゲルを用いて約30分通電
し、トランスイルミネー
ターで観察した。
1 2 3 4 5 6 7 8
図2 電気泳動結果の例
実験
実験2
シーケンス解析
シ
ケン 解析
1.DNA精製
図2における8のバンドをゲルカッターで切り取り
「FastGeneGel/PCR ExtractionKit」(日本ジェネティクス社)
を用いて精製した。
2.解析
ユーロフィンジェノミクス社にシーケンス解析委託した。
決定された塩基配列を「Mega5」で解析し、近隣接合法
で系統樹を作成した。
表 すべてのサンプルのバンドパターン
表1
す
プ
バ ドパ
○…有
×…無
△…判別不能
サンプル番号/PCR産物の有無
1
2
3
4
5
6
7
8
9
1
0
1
1
1
2
1
3
1
4
1
5
1
6
1
7
1
8
1
9
2
0
1
2
○ ○ ○ ○ △ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
3
△ ○ ○ ○ △ ○ ○ ○ ○ × ○ ○ ○ ○ ○ △ ○ ○ ○ ○
4
△ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
5
× × × × ○ × × × × ○ × × × × × ○ × × × ○
6
○ ○ ○ ○ ○ △ ○ ○ △ ○ ○ ○ ○ ○ ○ △ ○ ○ ○ △
7
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ △ △ △ △ △ ○ ○ △ △ △ △ △ △
8
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
× × × × × × × × × × × × × × × × × × × ×
結果
実験1では、20個体中16
個体で、「本州東日本」
のグループに属するバ
ンドパタ ン(1 3
ンドパターン(1・3
・4・6・7)が見られ
たが4個体で「西日本
:近畿・東海・甲信越
および四国地域」に特
徴的に見られる5のバ
ンドが見られた。
シーケンスでは全ての
個体の塩基配列が本州
東日本のものと一致した。
東日本のものと
致した。
青
緑
赤
橙
黄
紫
大崎市
栗原市
太白区
青葉区
加美町
柴田町
図3 分子系統樹
考察
①実験1の結果から、他地域からの持ち込みが予想されたが、実験2の結果からは持ち込みは検出されなかった。
②分子系統樹から、宮城県における地域ごとの差はほとんどみられなかった。
参考文献
吉川貴浩・井出幸介・窪田康男・中村好宏・武部寛・草桶秀夫 2001 ミトコンドリアND5遺伝子の塩基配列から推測された
ゲンジボタルの種内変異と分子系統 Jpn.J.Ent.(N.S.),4(4):117-127
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自生する遺伝子組換え作物の実態
宮城県仙台第一高等学校
2年
諏訪部 椋大
~研究概要~
現在,遺伝子組換え作物は自然に与える影響が危惧され,日本での栽培が厳しく制限されている。しかし,海外から輸入
されたGMナタネの種子が何らかの方法で輸入港周辺に拡散し自生している,と農林水産省等の調査で報告されている。
そこで,宮城県内の様々な場所、主に仙台港周辺と石巻港周辺においてセイヨウナタネを採取し、PCR法によるGM特有
の遺伝子の確認と検査紙によるストリップテストを行 た結果 いくつかの試料が遺伝子組換え作物であることが確
の遺伝子の確認と検査紙によるストリップテストを行った結果,いくつかの試料が遺伝子組換え作物であることが確
認された。
~方法~
・採取
仙台港周辺 …15個体 石巻港周辺 …34個体
宮城野区五輪…1個体 岩沼
…2個体
セイヨウナタネの葉を採取(2m以内は同一とする)
・DNA抽出
DNeasy Plant Mini Kit(QIAGEN)を用いて
Kit(QIAGEN)を用いて,
採取した葉の組織から,DNAを抽出した。
・DNA量測定
図1 仙台港サイロ周辺の採取地点
NanoDrop Lite(Thermo Scientific)で測定した。
・PCR法
<反応液(20μL)>
Template 2μL dNTP 1.6μL Ex Taq 0.1μL
×10 Ex Taq buffer 2μL FP 1μL RP 1μL 滅菌水 12.3μL
<プライマー・反応条件>
・CaMV 35s promoter
FP-GCTCCTACAAATGCCATCA-
RP-GATAGTGGGATTGTGCGTCA-
・NOS terminator
FP-GAATCCTGTTGCCGGTCTTG- RP-TTATCCTAGTTTGCGCGCTA[95℃ 5min]×1+
[95℃(20sec)+57℃(40sec)+72℃(1min)]×40+
[72℃ 3min]×1
図2 国道139号線沿いの採取地点
・bar
FP-ACAAGCACGGTCAACTTCCGTAC-
RP-GAGCGCCTCGTGCATGCGCACG-
・CP4 epsps
FP-AAGAACTCCGTGTTAAGGAAAGCGA- RP-AGCCTTAGTGTCGGAGAGTTCGAT[94℃ 3min]×1+
[94℃(1min)+60℃(1min)+72℃(2min)]×35+
[72℃ 10min]×1
・電気泳動法
サンプル8μLにローディングバッファー2μLと50倍希釈蛍光色素1μL
を加え,約30分通電し,トランスイルミネーターで観察,撮影した。
陸揚げ地点
・検査紙
検査紙
検査紙を用いて,葉の組織に除草剤耐性タンパク質が含まれ
ているかどうかを調べた。
宮城野区五輪
~結果~
仙台港周辺
岩沼
図3 石巻港周辺の採取地点
石巻港周辺
~考察~
・仙台港サイロ周辺、石巻港の陸揚げ地点周辺
→搬出の際に種子がこぼれ落ちたと考えられる。
・石巻港から少し離れた川沿いのもの
→検査紙に反応しないことから何らかの要因で組換え遺伝子が発現していないことが考えられる。
・様々な場所にGMナタネが散見される
→搬出中にこぼれ落ちた、津波で拡散されたなど様々原因が考えられる。
- 13 -
ダイコンからの糖の抽出 ~ダイコンからの生分解性プラスチックの合成 2014 ~
福島県立福島高等学校 SS部 2年 影山礼奈
Abstract
Biomass has been attracting much attention as a future resources. We are interested
in Radish as one of the candidates for biomass and tried to prepare a biodegradable plastic,
poly(lactic acid), from radish. As the first step, glucose was extracted from radish.
1
目的: 石油の枯渇が懸念されている近年、バイオマス(生
物資源)が注目されている。そこで、バイオマスの一例として
ダイコンに着目し、ダイコンから生分解性プラスチック(ポリ
乳酸)を合成する研究を行っている(右図)。これまでの研究
でグルコース(試薬)からのポリ乳酸の合成に成功している。
今年度は、ダイコンからグルコースを単離する方法を検討し、
そのグルコースからポリ乳酸を合成することを目的とした。
2
文献調査:ダイコンからグルコースをつくる方法としては、①ダイコンのセルロースを酵素や酸を
用いて分解してグルコースをつくる方法、②ダイコンに元々含まれるグルコースを抽出する方法、の2
つが考えられる。これまで①を検討してきたが、文献調査により、ダイコンにはあまりセルロースが含
まれていないこと、セルロースよりもむしろグルコースを取り出した方が効率は良いことがわかった
(文献1)
。そこで②の方法を検討することにした。
3
実験および結果と考察
A
ダイコンからのグルコースの抽出:ダイコン 758gをダイコンおろし
ですり、60℃で水分を除去した。固形物を水-メタノール(1:8)の混合
溶媒で 100℃、3 時間加熱還流した(右写真)
。その後ろ過で不溶分を除去
し、ろ液の溶媒を留去すると茶色の粘ちょうな液体が得られた。ダイコン
からの収率は質量ベースで 1.1%であった。得られた液体を薄層クロマトグ
ラフィー(TLC)で分析したところ、グルコースの位置あたりにスポッ
トが見られた。純粋なグルコースは白色固体であるため純粋なグルコース
が得られたわけではないが、ある程度のグルコースが含まれた混合物であ
ると考えられる。そこでまずはこの液体を用いて乳酸発酵を行ってみることにした。
B
ダイコングルコースによる乳酸発酵:Aで得られた液体 8.9gに水 89mL、炭酸カルシウム 6.4g、
MRS ブイヨン 3.6g、乳酸菌の素(R-1 を使用) 1mL を加えて、38℃で 1 週間放置した。しかし、白色沈
殿は見られず乳酸カルシウムは得られなかった。
4
今後の検討課題:今後は、純度の高いグルコース、乳酸を単離する方法の検討、得られた乳酸の光
学異性体の確認、ポリ乳酸の生分解性に関する研究等を進めたい。
5
参考文献:(1) 加藤陽治. 主要根菜類の炭水化物組成, 1995.
(2) 中村道徳ら.澱粉・関連糖質実験法.学会出版センター,1986.
(3) 雪印乳業健康生活研究所編.乳酸発酵の新しい系譜.中央法規出版,2004.
6
謝辞:本研究を行うにあたり、東北大学大学院教授 渡辺正夫先生、立命館大学准教授 石水毅先
生にご協力を頂きました。この場をお借りし御礼申し上げます。
- 14 -
フラーレンの合成~簡易的アーク放電装置での効率的な製造を目指して~
福島県立福島高等学校 SS部 2年 佐藤可奈子 佐藤梢
Abstract
Fullerene, C60, is one of the carbon allotropes. It can be synthesized from carbon
electrode via arc discharge. We prepared the simple apparatus to synthesize it. The apparatus
should be improved from the point of the air leak and the position adjusting system of the carbon
electrode.
1
目的
フラーレン(C60)は炭素の同素体として知られるサッカーボール状分子である。金と同じくらい高価で
あるが、独特な構造や性質のため様々なところで用いられつつある。フラーレンをより手軽に合成する
ことができればさらに研究開発の幅が広がるであろうと考え、合成研究を始めた。
2
実験
(1)概要
私たちは今回、既知のフラーレン合成法のうちアーク放電を用いた。アーク放電では真
空下で炭素電極に放電を起こすことによりフラーレンが生成する。放電により電極が小さくなるが、放
電を継続させるには電極間は常に近い距離に置く必要がある。そこで真空状態を保ち炭素電極を動かせ
るような装置を作成することを検討した(下図)
。電極にはシャーペンの芯を用いた。
(2)実験方法および結果と考察
① ゴム栓にアルミパイプを通し、外側からネジでシャープペン
の芯を押し出すようにした。しかしアルミパイプとねじのす
き間から空気が入り、圧力がほとんど下がらなかった。
② 陽極側のゴム栓にはアルミパイプを通し、外側からねじでシ
ャープペンの芯を押し出すようにした。ねじは小ねじからタ
ッピングねじに変更した。陰極側は銅パイプを貫通させずに
半分まで通し、シャープペンの芯を固定した。また気密性を
高めるためにテープやグルーガンを使ってすき間をふさいだ。その結果、1度目に減圧したとき管
内は 50~70Pa ほどまで下がった。しかし、2度目以降に減圧したときはあまり下がらなかった。や
はりアルミパイプとねじ・ゴム管とのすき間の影響が大きいと考えられる。また1度目の減圧後装
置を開けたため、ねじなどの小さなずれがすき間をつくる原因になったと考えられる。
3
今後の課題
・すき間を最小限に抑えるために両側ともパイプを内側にいれた装置の作成
・フラーレン生成の最適条件の検討(電流、電圧、気体の種類、真空度、シャープペンの芯の濃さなど)
・フラーレンの検出方法、分離精製方法の確立
- 15 -
源助ダイコン の 栽培と観察
2年
1
石川県立 小松高等学校 生物部
徳井祐梨子 新田真理 小澤優貴
1年
星野琳太郎
動機・目的
「源助大根」は金沢市の農家、松本佐一郎さんが作出したダイコンで、現在はその子である惲さん
と、孫である充明さんが中心となって年間約 200t を生産している。源助大根の産地である金沢市打
木地区では、ダイコンを栽培開始時に 1 ヶ所につき 2 粒ずつ播種する。理由の1つは 2 粒ずつ蒔くと
「共太り」のためダイコンの成長が速くなるといわれているからである。私たちは、1 粒蒔いても 2
粒蒔いても成長に違いはないのではないかと考え、観察を行った。
また、現在、様々な種苗会社が「源助大根」の種子を生産、販売している。しかし、この種子は作
出者である松本さんが採種した系統とは異なる。そこで私たちは、各種苗会社で生産、販売されてい
る「源助大根」と、松本さんが採種した「源助大根」の特徴を比較した。
2
実験方法
① 1 粒蒔きと 2 粒蒔きの違いによるダイコンの成長速度の比較
学校の圃場に種苗会社 4 社の「源助大根(固定種 3 種と F1 種 1 種)
」をそれぞれ 23 株(1 粒蒔
きと 2 粒蒔きを各 23 ヶ所)播種し、子葉の大きさ、胚軸長、本葉長、本葉の枚数を、1 日おきに
計測を行った。
また、松本さんにご協力いただき、松本さんの圃場に 2 粒蒔きで「源助大根」を植え、そのうち、
1 個体しか発芽しなかったものを 1 粒蒔きとみなし、収穫まで 2 ヶ月間、学校の圃場と同様の項目
で 1 週間ごとに計測を行った。また、収穫後は上記項目に加えて、生重量、根長、根の太さ、小葉
数を計測した。
② 種苗会社の違いによる煮沸時の生重量変化の比較
松本さんの圃場に種苗会社 6 社の「源助大根(固定種 5 種と F1 種 1 種)
」を、それぞれ 8 株ずつ
2 粒蒔きで植え、2 ヶ月間栽培し収穫した。その後、6 社の「源助大根」と松本さんの「源助大根」
、
青首大根を煮沸して生重量変化の計測を行った。
3
結果
①
1 粒蒔きと 2 粒蒔きの違いによるダイコンの成長速度の比較
学校の圃場では、F1 種では間引き前と間引き後ともに、1粒蒔きと2粒蒔きの間で、2 粒播きの
個体が有意に大きかった。それ以外の 3 種では、間引き前の生育初期には有意差が見られたものも
あるが、間引き後には有意差は見られなくなった。
また、松本さんの圃場では、播種から 3 週間後(間引き後 1 週間)までは1粒蒔きと2粒蒔きの
間で、2 粒播きの個体が有意に大きかったが、それ以降に有意差は見られなかった。
② 種苗会社の違いによる煮沸時の生重量変化の比較
生重量があまり減少しないダイコンと大きく減少するダイコンとの2つのタイプに分かれた。
4
考察・結論
1粒蒔きと2粒蒔きの違いでは収穫時の成長に違いはないと考えた。2粒ずつで種を蒔くとダイコ
ンの成長が速くなるといわれているのは、子葉の長さを見て判断したのではないかと考えた。
煮沸においては、種会社の違いによって、源助大根の中でも松本さんの源助ダイコンに近い性質を
もつものと、青首ダイコンに近い性質をもつものがあるのではないかと考えた。
- 16 -
レインボーローズをつくろう
Producing “rainbow-colored plants” with a focus on their dye in different colors
石川県立小松高等学校 生物部 1 年
久保田 千尋 竹田 莉彩 松下 愛
Chihiro Kubota, Risa Takeda and Ai Matsushita
Abstract
In order to made “rainbow-colored rose”, we considered that we needed skill of dye in different colors
of the act of dyeing “rainbow-colored rose” a dark color. We found we can dye roses which it is beautiful
as result of we used Petroleum jelly in that case roses be dyed in 16℃ the place and that a humid
climate 80 percent the place.
1.目的
私たちは、レインボーローズをつくるには、「花の色を染め分ける」こと、「花の色を均一かつ濃く染め
ること」が重要だと考えた。25年度の実験考察より、花弁から切花着色剤ファンタジーの水分のみが放
出されると、花弁は濃く均一に染まることがわかっている。そこで、ワセリンを用いて、花と主茎に切り
込みを入れた部分以外からの水分が放出されるのを防ぎ、さらに濃く均一に染め分けることができないか
と考え、以下の実験を行った。
2.方法
実験にはシングルバラを用いた。図1にワセリンを塗るものとワセリンを塗らないものをつくった。主茎
下から花の方向に10cmの切り込みを入れ、分割した主茎をそれぞれ赤と青の二色の染色液に浸した。
下の表の実験区に分け、24 時間後に花弁を採取し、花弁の色の濃さと染まり方を観察した。
実験区①
染色液
赤と青二色の染色液につける
ワセリン
気温と湿度
実験区②
あり
気温
なし
29℃
湿度
あり
45%
気温
なし
16℃
3.結果
【①の実験の結果】
湿度
80%
【図1】切除した部分
【②の実験の結果】
ワセリンあり
ワセリンなし
ワセリンあり
ワセリンなし
色が混ざった割合
26%
23%
14%
25%
色が濃い割合
29%
24%
45%
43%
②の場合の「ワセリンあり」が一番よく染まっていることがわかった。
4.考察・展望
結果より、②の場合の「ワセリンあり」の色が混ざった割合が低かったのは、低温下で吸水がゆっくりと
行われ、さらにワセリンを使用することによって、維管束に入る染色液の量を調整し、少しずつ染めるこ
とができたからだと考えられる。
今後もより色が混ざらず、濃い色に染め分けられる環境を探っていきたい。
5.参考文献
・平成21年~平成25年度の課題研究報告書
・はてなブックマーク 世にも珍しいレインボーローズ、家庭でできるキレイな花の染め方
http://b.hatena.ne.jp/entry/gigazine.net/index.php?/news/comments/20100216_rainbow_rose/
7.キーワード
レインボー植物 染め分け ワセリン
- 17 -
小松高校生物部の小中学生向け講座の取り組み
石川県立 小松高等学校 生物部
2 年 徳井祐梨子 新田真理 小澤優貴
1 年 竹田莉彩 久保田千尋 松下愛 星野琳太郎
1
目的
私たちは、今年度、11 月末までに小中学生向け講座を 14 件実施した。
「理科好きな小中学生を増や
すこと」と、私たち高校生自身が小中学生の指導を行うことで、「効果的なプレゼンテーションを行
う能力を向上させる」ことを目的とした。
2
方法
①出前授業
小中学校に出向き、実験、観察講座を実施した。
②自由研究のヒント教室
高校生が、自由研究のヒントになりそうな実験や研究を紹介、15分から20分の実験を4種
類くらい体験し、どのような研究ができるのかを考えてもらった。
③せいぶつ実験教室
大学の先生が実験・観察のポイントや背景を講義し、高校生が実験操作や観察をサポートした。
④ハイレベル実験教室
大腸菌の遺伝子組換え(形質転換)キットを用いた実験を行った。実験の原理は高校教員が説
明し、操作は高校生がサポートした。加えて、実験結果の解釈や、最近の遺伝子研究について大
学教員が講義した。
3
結果
アンケート結果から、講座の実施により受講者の 81~99%が「実施前よりも理科を好き」になっ
たことがわかった。実施側の高校生については、「制限時間内に実験や説明ができていない」との反
省が多かった。また、
「受講者の理解に合わせた説明」や、
「伝える情報の精選」の難しさを訴える部
員も多かった。
4
考察
アンケートより、
「実験が楽しかった」ことが、
「理科が好き」になる変化に結びついたからと考え
られる。また、高校生のプレゼンテーション能力の向上については、「制限時間内に実験や説明をす
る」課題をクリアするためには、
「伝える情報を、受講者の理解に合わせて、時間を考えて精選する」
ことが重要であると考えられる。
5
参考文献
・学生の相互評価によるプレゼンテーション能力向上
・テキストマイニングを用いたプレゼンテーション評価技術の提案
・プレゼンテーション資料の基礎的な定量的自動評価手法
6
キーワード
小学生向け講座、出前授業、実験教室、プレゼンテーション能力、理科好き
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周波数の違いによる成長への影響
岐阜県立各務原西高等学校
小林 佑香 白石 桜子 水野
安福 遥香 山川 穂ノ佳
智子
1 研究の目的
音はさまざまな生物に影響を与えることが知られている。例えば、クラシック音楽とロ
ック音楽が、植物の生長に異なる影響を及ぼすといわれているが、確かな科学的検証がな
さ れ る ま で に は 至 っ て い な い 。本 研 究 で は 、周 波 数 の 異 な る 周 波 数 の 音 を 連 続 的 に 聞 か せ 、
カイワレダイコンの発芽および初期生長に及ぼす効果を明らかにすることを目的とした。
2 研究内容
実験Ⅰ 周波数の違いによる成長率
実験Ⅱ 周波数の違いによるカイワレダイコン中のアスコルビン酸含有量
3 研究方法(実験装置および栽培操作について)
本実験は外部からの音をできるだけ遮断する事も考慮しイン
キ ュ ベ ー タ ー で 行 う 。 シ ャ ー レ に 水 5 ml を 入 れ 、 30 粒 播 種 す
る。暗条件下で8日間、低周波発振器により常時印加を行う。
な お 、 周 波 数 は 50Hz と 500Hz を 用 い 、 音 圧 レ ベ ル は 種 子 の 位
置 で 80dB と な る よ う に 調 整 す る 。
【実験Ⅰ】
音 波 の 印 加 無 し 、 周 波 数 50Hz 常 時 印 加 、 周 波 数 500Hz 常 時
印 加 の 各 条 件 で 播 種 し た 種 子 の 発 芽 数 の 測 定 を 行 う 。8 日 後 に 、
各個体の胚軸長と根の長さを測定する。
【実験Ⅱ】
2%メタリン酸を試料に加えすり潰し、ヨウ化カリウム水溶
液、デンプン溶液を加え、カイワレダイコン中のアスコルビン
酸をチオ硫酸ナトリウムで定量を行う。
4 実験結果
実験Ⅰ
音波印加無し
50Hz 常 時 印 加
500Hz 常 時 印 加
全体長
11.10
10.51
11.07
胚軸長
5.80
5.44
5.51
根長
5.30
5.07
5.56
【 cm】
実験Ⅱ
全体
胚軸
根
音波印加無し
2.34
2.47
2.04
50Hz 常 時 印 加
1.94
2.18
1.79
500Hz 常 時 印 加
2.43
1.87
2.05
カ イ ワ レ ダ イ コ ン 1 g 中 に 含 ま れ る ア ス コ ル ビ ン 酸 の 質 量 【 mg】
5 検定結果と考察および今後の課題
条 件 毎 に 90 個 体 の 胚 軸 、 根 、 全 長 の 平 均 値 を 求 め た 。 計 測 値 に つ い て 、 Bartlett 検 定 を
行い、分散の均一性について検定した。その後、一元配置分散分析検定を行い、音波印加
の有無、周波数間における各長さの平均値および中央値に有意差があるか検定した。その
結果、特に伸長または抑制されるというような差は見られなかった。これは、暗条件であ
ったため、種子内の栄養を利用して成長せざるを得ない状況下で、光合成は不可能だった
ためと予想される。検定結果より本実験においては、音波印加による成長の差があると断
定することが出来なかった。一方、アスコルビン酸の含有量については変化が見られた。
音 波 印 加 無 し 、 500Hz と 比 較 し て 、 50Hz 印 加 に よ る 成 長 阻 害 が 確 認 で き た 。
以上より、音と植物の成長に関係があることをより明確にするには、もっと様々な異な
る周波数の印加や、光合成が可能な条件での検証の必要性の課題が浮き上がった。
- 20 -
大阪府立住吉高等学校
アブラナ科植物の化学生態
伊藤悠揮
鈴木悠太
阿部正浩
田部瑞貴
青木菜々子
1. 目的
二次代謝産物であるイソチオシアネート(ITC)は、アブラナ科植物にとって防御物質で
あるという仮説を立て、その仮説を検証し、さらには、昆虫との関係を明らかにする。今
回は、新たな ITC の測定方法について調べる。
2. 方法
①Na2B4O7・10H2O(4 ホウ酸ナトリウム 10 水和物)50mM の水溶液 500ml 作成す
る。11N 濃塩酸を滴下して pH8.5 に調製し Buffer を作成する。
②1.5ml のマイクロチューブに、①で作成した Buffer を 0.45ml 入れる。
③メタノール 0.45ml を②に入れる。
④大根の根部をジューサーミキサーで粉砕し、5 分後搾汁液を 50μl採取し③に入れる。
⑤メタノールで希釈した 8mM の 1,2-ベンゼンジチオール 50μlを④に入れる。
⑥マイクロチューブのふたをして、ドライロックにて 65℃で 2 時間加熱する。
⑦沈殿物を 15000 回転の遠心分離器で分離し、上澄液を採取する。
⑧上澄液を分光光度計 365nmの波長で測定する。
⑨フェニルエチルイソチオシアネート(イソチオシアン酸βフェニルエチル)を標品とし
て上記手順と同様に反応させ、得られた検量線から全イソチオシアネート濃度を測定す
る。
図1
実験道具
図2
3. 結果
難溶性のイソチオシアン酸βフェニルエチルを溶かして、図 1 のような検量線をつくるこ
とができた。さらに、従来の改良グロート法で検出できた ITC 量と比較した結果このよう
になった。(図 2)
4. 考察および結論
今後、この方法も用いてアブラナ科植物の ITC 量について調べていきたい。
5. 参考文献
・立行政法人理化学研究所
資料
・Zhangら、Anal.Biochem.239 巻、160 頁、1996 年
・渡辺悟ら.2011.辛味ダイコンの品種・栽培条件と根部搾汁液中の全イソチオシアネート濃度
6. キーワード
アブラナ科植物
イソチオシネート
防御物質
- 21 -
化学生態
ダイコンのストレスと環境条件Ⅵ
広島県立広島国泰寺高校 2年
坂口陸・富島優馬・伊達玄馬・松永諒
1 昨年度までの
昨年度までの研究
までの研究・
研究・研究の
研究の動機
これまで,どのような条件がハツカダイコンの発芽・成長を阻害するストレスになるのかを調べ
てきた。今年度は,密集による発芽のストレスについて研究を進めることにした。
2 研究の
研究の仮説
予備実験で,種子の密集による発芽抑制効果がみられたことから,次の仮説を設定した。
[仮説1 化学物質による発芽抑制]
[仮説2 物理的接触による発芽抑制]
3 検証実権方法
検証実権方法・
方法・結果
[仮説1 化学物質による発芽抑制]
[仮説2 物理的接触による発芽抑制]
種子を数(25,49,100)を変えて播種
ビーズ(小,大)に種子を接触させて播種。
→5日間発芽を観察
→5日間発芽を観察
%
%
・予備実験ほどではないが,発芽抑制がみられた。
・発芽抑制効果は見られなかった。
★化学物質による発芽抑制について,さらに次の実験を行った。
[実験1 化学物質の範囲]
[実験2 化学物質の抽出]
中心に種子を置き,そこからの距離
種子(0.5g,1.0g,1.5g)を蒸留水(10ml)に
を変え 4 個の種子を播種する。
入れて作った液を種子に与えて発芽率をみる。
(実験のようす)
・0mm で抑制効果がみられた。
・種子が多いほど,抑制効果がみられた。
4 考察
・発芽抑制効果は物理的接触ではみられず,化学物質ではみられたが,化学物質の及ぼす範囲はか
なり狭いと考える。
・種子同士を触れ合わせないと効果がみられないため,化学物質と物理的接触は密接に関係してい
ると考える。
・抑制効果のある化学物質は水溶性で,1日目に効果が高い。影響を及ぼすのに効果的な時期があ
るのではないかと考える。
5 展望
・抑制効果のある化学物質の特定を行い,また,種子のどのような部分に化学物質が含まれている
のかを調べたい。種皮とそれ以外で実験中。
・この物質を利用して環境に優しい抑草剤を開発したい。
◆参考文献
・日本植物生理学会
「これでナットク!植物の謎 part2」
・大雪地区農業改良センター
「ダイコンの栽培」
- 22 -
2013 講談社
カイワレ大根の辛味成分を増加させよう
香川県立観音寺第一高等校理数科2年 安藤はるな 生越那々子 白川幸奈
【目的】
カイワレ大根の辛味成分には殺菌効果がある。殺菌効果の高い成分を作成するため、私たちはまずカイワ
レ大根の辛味成分(イソチオシアネート)を増やそうとしている。
【方法】
カイワレ大根をインキュベータの中で1週間育てる。辛味成分であるイソチオシアネートの含有量を測定
し、もっとも辛味の増す育て方を調べる。
【予備実験】
方法
①500ml のビーカーに 1.1×103mol/L の糖溶液 300ml を入れる。
②網の上に水でふやかした種子 21 個を置く。25℃に設定したインキュベータ内で 3 日間置いておく。
③3 日後、溶液を入れ替える。
④実験開始から 6 日後、カイワレダイコンを取り出し全長の測定を行う。
結果
Control よりも高く成長しているものがなかった。
D-Psicose,D-Allose は特に草丈が低く、Control に比べて6日目の平均の
伸び率が D-Psicose は約 1/20、D-Allose は約 1/15 低くなった。
D-Psicose,D-Allose には抑制の作用がある可能性がある。
カイワレ大根ののび
cm)
茎
の
長
さ
(
7.50
6.50
5.50
4.50
3.50
2.50
1.50
0.50
D-Galactose
D-Psicose
D-Allose
D-Fructose
D-Tagatose
Control
D-Mannose
D-Glucose
3
時間(日)
6
今までは香川県で盛んに研究されている希少糖を使って研究していましたが、これからの実験ではインキ
ュベータ内の環境(温度・光・乾燥・葉を傷つけるなど)を変えることでストレスによる辛み成分の増加
を研究したいと思います。また、最終的には辛み成分に含まれる殺菌効果を用いて植物からできた安全で
安価な効果の高い石鹸を作り、アジアやアフリカの衛生環境が悪い地域での病気の予防に役立てればいい
と思っています。
- 23 -
カイワレダイコンは音源に向かって傾くのか
愛媛県立松山南高等学校 カイワレ班
2年 森 裕名 山脇 匡登
1.目的
カイワレダイコン(以下カイワレ)を用いて音と植物の関係について調べている。
今回はスポンジを用い、カイワレの発芽率を向上させることを試みた。また、参考実験の
「カイワレが音源の方向に傾いた」という記述の真偽の確認も行った。
2.研究方法
① 発芽率の向上を調べる
スポンジに種をまき、シャーレに入れ、5日間、6日間、7日間気温 20℃の恒温器内で育てる。
② 参考実験の真偽の確認
シャーレに種をまき、20℃の恒温器内で一日9時間音楽を聞かせて育て、
7日後のカイワレの状態を観察する。
3.研究結果
①60~70%と低かった発芽率が 90%まで上昇した。
②カイワレの音源方向への傾きはみられなかった。
また、十分な成長がみられない種子があった。
4.考察
(②の実験結果)
① 綿からスポンジに変化したことにより、発芽しやすい環境(吸水性の上昇,カイワレが
根を張りやすい)になり、発芽率が上昇したのではないかと考えられる。
② 音楽を聞かせることにより、成長量にばらつきがみられ、カイワレの成長が阻害された
のではないかと考えられる。特に、音源に近い種子の成長の阻害が大きくみられた。
5.今後の課題・方針
○カイワレの下側から音楽を聞かせ、音楽を聞かせずに育てたものとの成長量の違いを見る。
○一定の周波数の音や単音をカイワレに聴かせることで、音のどの要素がカイワレに影響を
与えるのかを調べていく。
- 24 -
赤色光・遠赤色光がレタス種子の発芽に与える促進・抑制効果
愛媛県立松山南高等学校 理数科2年
レタス班
岡田 椋太 蘓理 佑己
1.研究動機
生物の教科書の「発芽の光応答」という分野にレタス種子が赤色光、遠赤色光でそれぞれ発芽の
促進、抑制効果がみられる光発芽種子として取り上げられ、種子は最後に照射された光の影響を受
けるということが示されてあった。しかし、実験の詳細な方法は記載されていなかった。私たちは
赤色光・遠赤色光が互いの効力をキャンセルさせる時間関係を明らかにすることを最終目標にした。
2.実験内容
定めた時間の間、遠赤色光を照射し、それぞれ数日後の発芽率を調べ、遠赤色光の効果はどのく
らいの照射時間で現れるのかをしらべる。
3.実験方法
①消毒(70%エタノール、約 30 秒間)した種子を蒸留水に 1 日つけ、種子をふやかしておく。
②それぞれのシャーレに 20 粒ずつまき、蒸留水3mlを加える。
③暗室で遠赤色光をそれぞれ設定した時間照射する(30 秒、5 分、10 分、30 分、1 時間)
。
照射時間を過ぎたものからアルミホイルで包み、静置する。
④5 日後それぞれの発芽数を記録する。
4.結果&考察
(結果)以下のような結果が得られた。
(室温約 16℃)
遠赤色光の照射時間 30 秒 5 分 10 分 30 分 60 分 あて続け 照射なし
発芽数(個/20 個)
8
4
1
3
3
0
19
(考察)
・遠赤色光の効果自体は、30 秒というとても短い時間で表れているものもある。効果は一
瞬で切り替わるのではないか。
(遠赤色光照射なし)
(遠赤色光あて続け)
(遠赤色光 30 秒)
5.今後の課題&方針
・この実験のデータを多く集め、相関関係が見られるのかを調べる。
・照射時間のより短い場合も調べる。
- 25 -
ダイコンの生長と塩類の影響
佐賀県立致遠館高等学校 科学部 鶴橋真由子・井上裕香
背景と目的:私たちは,塩害を受けた土壌の回復に向けて,比較的耐塩性が高いといわれるダイコン
を使って研究を行っている。これまで水耕栽培によりダイコンの耐塩性および塩吸収量を調べ,ダイ
コンは体内の浸透圧を上昇させることで耐塩性を獲得していることや,100mMNaCl 水溶液での1株
当たりの塩吸収量が 0.25g/日であることを見いだした。今回は,肥料の成分であるカリウムとマグネ
シウムを用いて,ダイコンの生長に対する影響を調べた。
仮説1:カリウムおよびマグネシウムは肥料の成分なので,塩化ナトリウムと異なり高濃度でも耐性
を発揮するとともに,吸収量も多い。
実験1:4~5枚程度本葉が出たダイコンを,150,300,450,600mM KCl および MgCl2 水溶液に移し,
生長の様子と溶液の電気伝導度変化を調べる。
結果1:予想に反して,KCl,MgCl2 水溶液とも枯れてしまい,電気伝
導度もほとんど変化しなかった。また,枯れた個体の葉に白色結晶が見
られ,KCl 水溶液生育個体で見られた結晶は,炎色反応からカリウムと
推定された。
(写真は,150mM KCl 水溶液での生育の様子)
考察1:NaCl では耐性が見られ,KCl,MgCl2 では耐性が見られなかったことから,塩化物イオン
の影響は考えにくい。カリウム,マグネシウムともにナトリウムほど吸収されないことによる浸透圧
による脱水・枯死と考えられた。発芽種子を用いた実験では,KCl では 90mM,MgCl2 では 30mM
で影響を受けることが報告されており,カリウム,マグネシウムによる生育阻害と考えた。
生育阻害のしくみおよび他の元素の影響を調べるために,KNO3,KH2PO4 を用いた実験を計画した。
実験2:ダイコン(耐病総太り)種子をろ紙を敷いたシャーレにまき,30,90,150mM KNO3 および
KH2PO4 水溶液を 20mL 入れた。1週間後,発芽率,全長と生重量を調べた。
結果と考察:発芽率は高濃度になるほど低下した。また,
KH2PO4 での発芽率は KNO3 より低かった。これは同濃度
でも KH2PO4 のほうが浸透圧が高くなるためと考えられ
る。全長と生重量についても高濃度になるほど低下した。
発芽率(水を 100 とした相対値)
KNO3
KH2PO4
30mM
80
55
90mM
55
20
150mM
40
15
150mM KNO3 では形をとどめていなかった
これらの結果から,カリウムによる生育阻害は,カリウムが吸収しにくいため浸透圧調節ができない
ことによるものと考えた。
今後の研究:他の塩類での生育や,組織培養用培地の特定の成分の濃度を変えて生育を観察する。塩
類をかえることで pH が変動するので,その影響についても調べたい。
参考文献:平成 25 年全国 SSH コンソーシアム要旨集 愛媛県立松山南高等学校 「大根の初期成長に及ぼ
す塩化物の影響」
- 26 -
溶岩流のシミュレーション
〜溶岩流に影響を与える条件は何か〜
宮崎県立宮崎北高等学校 2 年 竹原 大智
1.概要
本研究はシミュレーションをもとに噴火現
象に大きく影響を及ぼす要因を探り、防災に活
かすことを目標としている。今回は新燃岳の山
体模型とマグマモデルとしてスライムを作成
し、溶岩流の広がりを調べた。
2.研究内容・結果
①
②
③
④
噴出方法の検証
噴出地点の様子と溶岩流の関係
噴出地点と流動方向の関係
噴出量と流動方向の関係
① 噴出方法の検証
スライムの噴出方法は次の2種類を考えた。
(方法 1)ピストンを用いる方法
利点:模型下側から噴出可能である。
欠点:次第にピストンが押せなくなる。
(方法 2)山体模型上部から滴下する方法
利点:噴出量が多い。
欠点:粘性のため噴出量の調節が困難。
(図1
③
噴出方法は方法 2 で行った
噴出地点の様子と溶岩流の関係
滴下地点の凹凸の有無による影響につい
て調べた。
(1)凹凸なし
・スライムの引きずりが見られた。
・滴下地点が一定の場所に定まらず不規則な
広がりをもつ溶岩流が見られた。
(2)凹凸あり
・引きずりはほとんど見られなかった。
・凹部に一旦溜まって流れ出るため滴下によ
る引きずりなどの影響は受けなかった。
・溶岩流は一定の広がりを見せた。
②
噴出地点と流動方向の関係)
噴出量と流動方向の関係
直径 14mm と 7mm の穴をあけたゴム栓を用
意し噴出量の違いが広がりにどのような影
響を与えるかを調べた。結果は下図のように
なり、噴出量(直径)で広がりの様子が異な
った。(図2噴出量と流動方向の関係)
実験は凹凸ありで行った
③ 噴出地点と流動方向の関係
滴下地点を東・西・南・北の4カ所設置し噴
出口の直径約 7mm で実験を行った。
(図1 噴出地点と流動方向の関係)
全体的に見ると、ハザードマップと似た広が
りをしている。滴下地点に注目すると、滴下す
る場所によって大きく流れが左右された。
噴出源の位置と数が溶岩流の広がりに大き
く影響していた。
(図2 噴出量と流動方向の関係)
3.考察・展望
- 27 -
今回の実験からマグマモデルとしてスライム
を用いることが出来ることが分かった。また、
噴火時の溶岩流の広がりには噴出源の位置・
数・大きさが影響を与えていると考えられる。
今後は、数値計算を用いてスライムや新燃岳
の溶岩流シミュレーションを行いたい。
反 磁 性 の 不 思 議 に 迫 る
先生に相談した。溶接棒の中央に
鹿児島県立曽於高等学校 科学部1年
センターポンチという工具でくぼ
西國原 音羽 重留 恵里菜 平川 侑佳 末原 美咲
みをつけるといいと教えてもらっ
た。こうして実験装置第3号が完
私たちは今年から部員4人で科学部を立ち上げた。研
成した(図4)。360 度の角度が分
究テーマを探していたところ,顧問の先生から昨年鹿児島大学で行われた
かる用紙も装置の底に設置した。
SPP講座の写真を見せていただいた。その中で「トマトが磁石でうご
てんびんの両サイドには水風船を
く?」というスライドを見かけ,自分たちで確かめてみたいと思い実験を
設置している。この装置を使い,水風船に水または食塩水を入れ,磁石を
開始した。
近づけて1/4周にかかる時間を 100 回ずつ測定した。その際,磁石と水
1 研究の動機
2 実験装置の開発
図4 実験装置第3号
風船との距離は5mm を保つようにした。
ペットボト
ルのキャップに画鋲をとりつけ,スト
実験の結果,食塩水の方が水よりも1/4周にかかる時間は長くなった
ローを設置した。ストローの内部には
(表1)。また,食塩水では分散の値が大きくなり,水よりもデータのばら
木の棒を通し,その両端にトマトをつ
つきが大きいことが分かった。図5は,水と食塩水の 100 回の計測データ
けてある(図1)。しかし,この装置で
を順に並べたものである。縦軸は1/4周にかかった時間,横軸は1回目
はトマトは全く動なかった。そこで私
から 100 回分の試行回数である。このグラフからも食塩水の方が1/4周
図1 実験装置第1号
たちは NGK サイエンス「家庭でできる科学実験シリーズ」
にかかる時間が長く,データのばらつきが大きいことが分かった。
(http://site.ngk.co.jp/lab/no171/exam.html)
というWebページを参考に,
実験装置第1号を改良した。このページにはトマトが磁石で動く実験装置
の作り方が解説されていた。第1号の
失敗点は画鋲部分での摩擦が大きい
ことだと分かり,第2号ではまち針に
変え,ストローが貫通しない程度に針
の上にのせることにした。これによ
り,ストローと針との間に起こる摩擦
表1 1/4 周にかかる時間の比較
図2 実験装置第2号
図5 水と食塩水のデータ比較
を減らすことができ,トマトが磁石で動くことを自分たちで確認すること
4 考察
ができた(図2)。
きが大きくなる点について,2つの仮説を立てた。1つめの仮説は,磁石
私たちは,食塩水の方が分散の値が大きく,データのばらつ
では,なぜ,トマトは磁石で動くのか。文献等で調べたところ,この現
のN極とS極で水や食塩水の速さが異なるのではないかと考えた。100 回
象には反磁性が関係していることが分かった。反磁性とは,ある物体に磁
の計測中に磁石の向きは統一しておらず,無意識に磁極を変えてしまって
石を近づけ磁場を与えると,物体が逆向きの磁場をもつ性質だ。反磁性を
いた可能性があるからである。もし,磁極によって動きに差があり,かつ
もつ物質を反磁性体といい,水・金・銀・銅など多くの物質がこの性質を
水と食塩水でデータのばらつきの差が大きくなれば,実験の結果とつなが
持っている。つまり,トマト
る。実際に検証実験を行ったところ,水ではN極を近づけたときに速く動
動かない
動かない
67 秒で 1/4 周
の中の水分が反磁性体であ
き,S極では遅くなった。また,食塩水ではN極を近づけたときに遅く,
るため,磁石に反発して動い
S極では速く動くことが分かった。これらの検証の結果については,2日
たと考えられた。実際に,水
間にわたって何度も確認できたが,3日目になって確認できなくなった。
2日目と3日目を比較すると,実験環境の変化はなかったが,水または食
が関係していることを確認
するための実験も行った。ト
マトを5つの部位に分け,こ
49 秒で 1/4 周
124 秒で 1/4 周
図3 トマトを5部位に分割
塩水の入った水風船を新しく作り変えていた。さらに実験を続け,仮説1
を検証して計画である。2つめの仮説は,水や食塩水は反磁性による磁化
れらをそれぞれサンプル管に入れて装置に設置し,磁石を近づけた(図3)。 を保持できる時間があるのではないかと考えた。もし1回目に水風船に磁
その結果,果柄・外果皮では動かず,中果皮及び内果皮・種子及び周辺の
石のN極を近づけて,反磁性による磁化が保持されていれば,2回目にN
液状部分・芯では動いた。また,水分量の多い種子及び周辺の液状部分が
極を近づけた場合では反発力が強まると考えられる。また,2回目にS極
最も早く動くことが分かった。このことからも,トマトが磁石で動く要因
を近づけた場合では一旦引力となり,その後反発力となると考えられる。
にはトマト中の水分が関係していることが示された。
5 本研究のまとめ
本研究では,水の反磁性を確かめるために精度の
私たちはこれらの体験を通して,トマトが磁石で動くこと,そして反磁
高い実験装置を完成させること,水だけでなく食塩水の反磁性についても
性により起こる現象の面白さを強く感じることができた。本研究では,反
調べることを目的として実験を行った。実験装置の開発については,支点
磁性についてさらに研究を深めるため2つの目的を立てた。1つめは水の
部分に金属を用いることで再現性の高い実験装置を完成させることがで
反磁性を確かめるために精度の高い実験装置を完成させること,2つめは
きた。より精度の高い実験装置を目指しながら,様々な物質について反磁
水だけでなく食塩水の反磁性についても調べることである。
性を調べていきたい。また,実験の結果から水と食塩水では反磁性に違い
3 結果
が見られることが分かった。仮説1・仮説2はどちらも興味深いものであ
まず,第3号の製作に挑んだ。第2号で実験をしながらスト
ローへの針の刺さり具合で,トマトの動きが変わるという実感があった。
るので,今後も検証を続け,水と食塩水の反磁性の違いについて明らかに
そこで,ストローではなく金属を使用することを思いつき,機械電子科の
していきたいと考えている。
- 28 -
焼酎から酢は作れるか?
新たな酢酸発酵の手法の探求及び焼酎を用いた新しい醸造酢の開発
2年
八木
鹿児島県立福山高等学校普通科
勇成 満永 千尋 唐鎌 將暉
1年 米重 大夢
指導教諭 中島 亮
1
Introduction 緒言
我々鹿児島県立福山高校の生徒は中学生の社会科見学などで黒酢工場を訪れることもあり黒酢作りを見た
ことはあるものの,そのイメージとしては「米と水を壺の中に入れて放っておくと酢ができる」という漠然
としたものであり,その仕組みまでは完全に理解していなかった。高校に上がり,理科の先生が雑談の中で
「日本酒が腐敗すると酢っぱくなり酢のもとになる酢酸ができる。ならば,焼酎から酢を作ることができると
思うか?」という問いかけがあった。
この問いかけに対し,「焼酎は腐らないのは蒸留して養分がないから無理かもしれない」「酢酸発酵でエネ
ルギーができるのでは」
「養分を与えれば焼酎は腐るのか」などといういろんな考えがめぐったが,実際のと
ころの結論としては「できるような気はするがわからない」となった。
そこで,黒酢作りに支えられる福山高校の生徒として,酢を実際に研究して知識を高めたいと思い部活動
としての科学研究同好会を立ち上げた。さらに鹿児島県は焼酎の名産地として様々な焼酎の銘柄があるが,
「焼酎を原料とした食酢」というものは市場になく,蒸留酒を原料とした食酢も東南アジアの一地方にあるだ
けだったため,これを開発することができれば「鹿児島の新たな名産品としての食酢」として,うまくいけ
ば地元や鹿児島への恩返しもできるのではないかと考え,研究を開始した。
2 Result and Discussion 結果と考察
エタノール2%からのエタノール添加実験
我々は全体的なエタノール濃度は8%までなら時間をかければ伸びるのであり,また全体的なエタノー
ル濃度を2%に維持することができれば酸度上昇速度も上がるのではないかと考えた。
次の実験は,全体のエタノール濃度を2%に維持しながら,酸度が上昇しエタノールが減ったと思われ
たら2%分のエタノールを計2回継ぎ足し,酸度を上昇させる速度を向上しようと考えた。
結果
4-6 エタノール添加実験
酸度(%)
エタノール途中添加実験
(○印はエタノール添加を行った日)
6
5
4
3
2
1
0
0
5
10
エタノール2%
3
15
エタノール8%
20
25
30
日数/day
エタノール2%+添加
仮説どおり,エタノール添加を行うことで酢
酸作成速度と酢酸作成量を大幅に向上させ
ることができた。最適エタノール濃度である
2%を維持することで酢酸生成速度を保つ
ということは,これからの実験にさらに役立
つ結果ということができる。
Conclusion まとめ
我々は「焼酎から酢は作ることができるか?」という動機でこの実験をはじめた。そしてその答えは「Yes」
であり,
「酒粕という栄養分を用いて,エタノール濃度を2%から1週間ごとに数回添加を行い,酢酸がで
きた後はスターラーで撹拌することで振動ストレスを与えることにより最も効率よく産膜酵母と悪玉酢酸
菌の発生を抑えることができた。
またその食味においては一般の酢よりもまろやかできつさのないものであった。これが焼酎によるもの
なのか,スターラーの撹拌等その他の条件によるものなのかは今後研究の余地がある。
1
- 29 -
周波数によって変化するクラドニ図形について
鹿児島高校 1 年


クラドニ図形とは
エルンスト・クラ
ドニが発見した
音の周波数や板
の形によって現
れるさまざまな
模様のことであ
る。この図形は、
濵﨑はるか
自分で作ったクラドニ図形
237Hz
251Hz
264Hz
705Hz
1233Hz
1476Hz
1864Hz
2762Hz
3945Hz
4246Hz
5454Hz
7173Hz
面の振動による二次元の干渉波である。
 これまでに分かったこと
円形の板の中心から振動を与えて現れるク
ラドニ図形について
200Hz
333Hz
835Hz
2244Hz
3312Hz
 今調べていること
長い板に生じる定常波
3Hz
4385Hz
中心に近い順に半径を L1,L2,L3…として
半径を測定した。
から板を伝わる波の速さを求め
ると、周波数が大きくなるにつれてその速
さは速くなっていくことが分かった。
外部振動数が増えると、縁と腹のずれは小
さくなった。
周辺にいくほど、円の太さが太くなり、円
はクリアでなくなる。
板の振動
節腹距
振動点か
振動 節の
離の平 速さ
ら端まで
数
数
均
の距離
Hz
cm
cm/s
cm
3
2
21.0 252.0
55.0
6
3
10.1 243.0
55.0
9
3
10.6 379.8
55.0
12
3
9.3 446.4
55.0
15
3
8.0 481.5
55.0
18
4
7.2 519.6
55.0
21
4
6.8 572.6
55.0
24
5
6.4 614.4
55.0
27
5
5.9 640.8
55.0
30
5
5.6 674.0
55.0
- 30 -
9Hz
板の長さ 55cm
端に最も
端と仮想
近い節の
腹のズレ
距離
cm
cm
46.5
12.5
46.5
1.6
46.5
2.1
48.6
2.9
48.9
1.9
49.8
2.0
49.3
1.1
49.8
1.2
49.8
0.7
50.1
0.7
ダンゴムシの交替性転向反応
ダンゴムシの好物(食べ物,土の
-触角の関係性-
種類,素材)を以前調べ、最も好む
鹿児島高等学校 森岡舞
グラフ 1
のが湿り気のある腐葉土である
84
と分かった。腐葉土は、隠れる
●はじめに
ダンゴムシは T 字路が連
続した通路(図 1)などで歩
ことができ栄養があり湿り気が
あるという最高な場所である。
図1
かせたとき右に曲がると
できるかと実験を行い、通常の
その次の角では左にと左
転向反応の起こる確率 84%(グ
右交互に曲がって進むと
35
腐葉土で転向反応を覆すことが
図2
グラフ 2
ラフ 1)と比べて 35%(グラフ 2)と反応を覆すことが
いう交替性転向反応とい
できると分かった。
う習性をもつ。前回の研究
●実験Ⅲ
より、反応の動きが単にジグザグしているわけで
そこで、本来進む方向と逆の
はなく体の側面や触角を壁に当てて進んでいる
方向に腐葉土を置き、触角を
ことに気付いた(図 2)。そこで反応には触角の働
両節とも根元から切断した
きが関係しているのではと考え実験を行った。
ダンゴムシを歩かせた。
●実験内容
●実験結果
触角と反応の関係性を調
転向反応が起こる確率は 87%で、腐葉土による影響
べるため触角を切断した
はあまり表れなかった。(グラフ 3)
ダンゴムシにジグザグ路
グラフ 3
87
●考察と課題
図3
(図 3)を歩かせた。また切
実験Ⅰは、転向反応の起こる回数がとても少なかっ
り方を実験Ⅰでは 2 パターン実験Ⅱでは 3 パター
た。これは、触角がない方に体が傾いたため進みに
ンに分けた。
くくなったと考えられる。実験Ⅱ、は触角がないこ
●実験結果-実験Ⅰ-1 本の
とで転向反応が起こりにくくなると思っていたが、
図4
み①3 節目②根元の切断
Ⅰより反応はしっかりと起こっていた。
体の右側に重心が傾くものが
根元から触角がないダンゴムシは、頭や体の前の部
多かった。(図 4)
分を壁に当てながら進んでいた。これは触角がない
-実験Ⅱ2 本とも①3 節目と
3 節目②3 節目と根元③根元と根元
図5
ダンゴムシでも体が何かに触れることで触角の働き
を補っていると考えられる。実験Ⅲは、腐葉土を置
壁に突進するようにまっすぐ進み両
いても転向反応を覆すことはできなかった。また確
方の触角が同着する場合(図 5)と体を
率も通常の反応確率と差がなかった。これは触角が
沿わしていた壁がなくなったことで斜
図6
ないことで腐葉土を認識できなかったからと考えら
めに進み右の触角を先につけている場
れる。
合(図 6)があった。①では、LRLR と進
触角がものを認識するのに大事な役割をしているの
むものが多く(表 1)、最初の曲がり角を
間違えたダンゴムシで
では、と触角の働きを調べると、嗅覚としてはたら
表1
く器官が触角にあるとわかった。しかし、その器官
も RLRL と進んだ。②
の具体的な位置はまだわかっていない。
③では、体の 2.3 節目
嗅覚として働く器官を見つけたいので、触角の節の
や前方を壁にあてなが
数を正確に把握したうえで触角を切断して、今回と
ら進んでいた。
同様の実験を行う。
- 31 -
連成振り子の共振について
鹿児島高校
久松海哉 内絵梨 尾辻涼
●これまでの流れ
西原健史 内田健太
●課題と改善点
振り子間のエネルギー伝達時間τと、振り子の
現在取り組んでいる 3 組の振り子の振動について
支点間の距離 a、振り子の長さ ℓ,、振り子を支え
同様に理論値と実測値を調べる。
るひもの張力 F の関係について試行錯誤の結果
またその時に、距離センサー(CBR2)を用い
τ∝a^1.15 τ∝ℓ^1.43 τ= 22.548x+
て実験を行う。
3.519 の関係式を導いた。
●理論的検証
●現在取り組んでいること
今まで 2 つの振り子を使用して実測値を出し
これまでの実験から求めた実測値と理論式
𝜏=
8𝜋𝑙1.5 𝐿𝑀
𝑔0.5 𝑚(𝐿−𝑎)2
ていたものを、3 つに増やし、距離センサーを 2
を用いて計算した理論値との比
つ用いて単振り子と同様に理論値と実測値を調
較を行った。ここで、振り子を支えるひもの長さ
べる。
を L=0.9mとする。
また、実験装置等においてまだ検討しなければ
●結果
ならない点も多い。その1つとして、振り子を真
・τ=τ(a)
横だけでなく真上からも観察できるように方眼
L-a= x とおく
用紙を敷いてみたい。また、機械に頼るだけでな
・関係式からの実測値:
く自分たちの目で確認できるように設備を整え
τ= 5.602 ℓ^-1.864
ていきたい。
実験内容としては、おもりの重さを変える等、
・理論式からの理論値:
条件を変えて実験を行いたい。
τ= 4.2566 ℓ^-2
τ=τ(ⅼ)
・関係式からの実測値:
τ= 100.24 ℓ^1.3744
・理論式からの理論値:
τ= 97.124 ℓ^1.5
τ=τ(Ⅿ)
・関係式からの実測値:
τ= 22.548M + 3.519
・理論式からの理論値:
τ= 26.365M
- 32 -
火山雷を引き起こす火山灰の帯電状態
鹿児島県立錦江湾高等学校
1
藤井勇志・立棒智識・石橋航介・前原志織
火山雷班
目的
1958年畠山ら(Fig.1)により浅間山の噴煙上部の火山灰が
正に帯電し,下部は負へ帯電することを報告されている。
そこで我々は桜島で火山雷を引き起こす原因となる火山
灰の帯電状態について調べることにした。
2
Fig.1
測定方法
畠山の提唱した噴煙モデル
1)
東京大学の三浦ら の装置を模して降下火山灰電荷測定器
を作成した。(Fig.2)採集は昭和火口から4km南の古里温泉
ホテル前にて実施。降灰開始時から10分毎に,取入口(2cm
×13cm)から入った灰を,静電気力によって水平方向に分離
し,下部に設置した22本の長方形の受け皿(1cm ×15cm)
で回収する。22本の受け皿は負極側から正極側に並べ,そ
Fig.2 降下火山灰電荷測定器
れぞれの受け皿に降った灰の質量と中心からの移動距離によって電荷量を算出する。また,質量は化
学天秤(島津製AEL-200),粒子断面積や粒子数はスキャナ(canon 製 MG8130)を用いて画像データ化し,
画像解析ソフト(ImageJ)により求めた。さらに双眼実体顕微鏡(Nikon 製ファーブルフォト)と磁石で
火山灰分析も実施した。
3
測定結果・考察
正の火山灰
質量0.36g
正の火山灰
質量0.24g
負の火山灰
質量0.29g
負の火山灰
質量0.89g
Fig.3
降灰開始時の火山灰質量(15:40-50)
正の電荷
2.34×10 -8 C
負の電荷
-8
-7.06×10 C
Fig.6 降灰終了時の火山灰質量(17:07-17)
正の電荷
2.0×10-8 C
負の電荷
-2.4×10-8 C
Fig.4 降灰開始時の火山灰電荷量(15:40-50) Fig.7 降灰終了時の火山灰電荷量(17:07-17)
粒径の平均
0.22mm
粒径の平均
0.44mm
Fig.5 降灰開始時の火山灰平均粒径(15:40-50)
Fig.8 降灰終了時の火山灰平均粒径(17:07-17)
降灰開始時は大きな粒径の火山灰(磁鉄鉱を含む安山岩基質の岩片)が降り,負の火山灰は正の火
山灰に比べて質量で約2.5倍,帯電量は約3倍多い。また,降灰終了時は小さな粒径の火山灰が降
り,正と負の火山灰の質量,帯電量も共にほぼ同量である。このような結果から噴煙下部には粒径の
大きな火山灰の多くが負に帯電しており,噴煙中部は細粒の火山灰が正負に帯電したもが混ざり,降
下しない噴煙上部には正に帯電した火山ガスやさらに細粒の火山灰が存在すると考えられる。
参考文献 1) 三浦俊郎他,桜島火山の爆発にともなう空中電磁場変動と火山灰の比電荷の同時測定,第8回桜島火
山の集中総合観測,1995年3月号巻,頁89-103
- 33 -
NO₂測定器(反射君)の開発
鹿児島県立錦江湾高等学校 化学研究部
一年 神田 直人
imageJでの反射君の検証
動機
窒素酸化(NOx)
や硫黄酸化物
(SOx)による大気
汚染は酸性雨な
どを引き起こす深
刻な環境問題で
ある。また、肺機
能への影響があ
ると言われている。
高価な機器が必用→安価な方法を開発したい!
反射君の開発
直線性がよいので反射君が測定に有効だ
と分かる!
そらまめ君との比較
ろ紙を使ってもっと簡
単に!
検査用紙での反射君の検証
検量線として用いることができる‼
まとめ
・安価な二酸化窒素測定器(反射君)を開
発することに成功した。
- 34 -
・反射君の測定結果は、環境省のデータ
(そらまめ君)と高い相関性を示し、NO2濃
度を正確に測定できることが確認された。
二酸化硫黄 SO₂の測定器及び桜島のリアルタイム降灰
濃度測定器(吸灰君)の開発
鹿児島県立錦江湾高校 SR吸灰君作成班
2 年 荒川和樹 中村美希 迫田ひまわり
森亮人 長友悠 前田拓真
1 目的
2013 年の田中等の発表によれば、東海関東地方の PM2.5 濃度の上昇に桜島が排出する SO2 が寄与して
いる可能性がある (Fig.1) [1]。しかし、東海関東地方は西からの風により同時に中国の PM2.5 が運ばれ
てくるため、桜島から排出される SO2 の濃度を測定し、PM2.5 濃度との関連を検証してみたいと考えた。
錦江湾高校は桜島と中国の間に位置しているため、桜島からの
風向きの時に測れば中国からの PM2.5 の影響を排除でき、より正
確なデータを収集できると考えた。
また、化学研究部が前年度開発した降灰濃度測定器「降灰君」
はフィルターに付着した 1 日分の火山灰を測るので、リアルタイ
ムでの測定ができないという問題を持っていた。そこでリアルタ
イム測定が可能な降灰濃度測定器「吸灰君」を作成した。
Fig.1 桜島の噴火回数と硫酸塩濃度の図
2 リアルタイム降灰濃度測定器(吸灰君)の開発
2-1 吸灰君の作製
降灰量のリアルタイム測定を可能にするために SHARP 製のホコリセンサを用いた。ホコリセンサは赤
外線を利用しているため、箱に入れ外光の影響を排除した。同じ箱に吸引ポンプを入れ、センサとポン
プの電源を同じく箱内にある電源タップにまとめ、穴の数を減らし遮光性をあげた。完成したものを「吸
灰君」と呼ぶ(Fig.2)。センサに吸気中の火山灰が通るとその質量を電圧(V)として出力する。
35
125~500μm
吸灰君の電圧(V)
30
R² = 0.9632
25
63~125μm
R² = 0.7438
20
15
~63μm
R² = 0.1079
10
ふるいなし
5
R² = 0.8598
0
0
Fig.2 火山灰量測定器「降灰君」
1
2
吸引させた灰の質量(g)
3
Fig.3 粒子径の異なる灰を用いた吸灰
君の検証
2-2 吸灰君の検証
吸灰君に 4 種の粒径(ふるいなし、〜63μm、63〜125μm、125〜500μm)の灰の質量を変えて吸わせ、
センサ電圧の積算値を出した(Fig.2)。小さい粒子は直線性が悪いが、他は直線性が良いのでホコリセ
ンサを利用した吸灰君は降灰量測定に有効だとわかる。
2-3 吸灰君による降灰量の測定
吸灰君を学校の中庭に設置し降灰量を測定した結果は大会で発表する。
3
まとめ
SO2 測定においては、硫酸バリウムの吸光度、濁度を測る方法では SO2 濃度を見積もれないが、電導度
を測る方法では SO2 濃度を見積もれるとわかった。
降灰量のリアルタイム測定には、ホコリセンサを用いた降灰量測定器「吸灰君」が有効だとわかった。
4 参考文献
[1] 田中泰宙等、
「大気汚染と火山噴火: 2013 年 7 月の桜島噴火は本州の大気汚染に影響したか?」、日
本気象学会 2013 年度秋季大会、2013 年 11 月 19 日~21 日、仙台国際センター(仙台市)、C113。
- 35 -
ダイコンの耐塩性
鹿児島県立錦江湾高等学校
生物研究部 今村仁風 栗野百合亜
目的
東日本大震災により東北の田畑は、海水による塩害を受けた。そのような、作物が育ちにくくなっ
た土壌の有効活用法を考える。
結果
根長
0.4
1日目 0mM
から 30mM
3日目 50mM
70mM
70-0mM
70-70mM
0-70mM
70mM
50-0mM
50-50mM
70-0mM
70-70mM
0-70mM
70mM
50-0mM
50-50mM
0-50mM
50mM
30-0mM
30-30mM
0-30mM
顕著な違いは、みられなかった
移動による発育抑制
薄→濃の発育が良い(塩が含まれていても0
mMとほぼ等しい)
最初に同じ高濃度で育成させると後の濃度
に関わらず発育がほぼ等しい(初期成長時
の塩は根の生育を阻害する?)
3日目に移動(3日目から7日目)
0mM
30mM
50mM
70mM
0-0mM 0-30mM 0-50mM 0-70mM
30-0mM 30-30mM
50-0mM
50-50mM
70-0mM
70-70mM
30mM
0mM
70-0mM
70-70mM
0-70mM
70mM
50-0mM
50-50mM
0-50mM
50mM
30-0mM
30-30mM
0-30mM
30mM
0-0mM
0mM
5
0-0mM
0
10

0-50mM
0.1
15


新鮮重
(g)
0.2
20
0
50mM
 移動による発育抑制
 薄→濃または同濃度への移
動すると発育がよい
0.3
30 (mm)
25
30-0mM
①耐病総太りの種子と0mM(蒸留水)・30mM・50mM・70
mMのNaCl水溶液を用意。
②ろ紙をひいたシャーレに種子を10粒、それぞれの水溶
液を10ccずつ入れる。
③1日目は暗所、2日目以降は人工気象器に入れる。
④3日目にシャーレの種子を0mM・30mM・50mM・70mM
のNaCl水溶液の入っシャーレにそれぞれ移し替える(表参
照)。
⑤7日目に根長、下胚軸長、新鮮重を測定する。
30-30mM
方法
下胚軸長
0-30mM
0mM
耐病総太りは耐塩性を持ち、ストレスに強い
生育途中に濃度を変えることにより、高濃度で
もよく成長する条件がある
ことがわかった。
今回は、後者の条件を明確にする。
30mM


30(mm)
25
20
15
10
5
0
0-0mM
前回の研究
今後の課題
• データ数を増やす
• 子葉に関するデータや根
長・下胚軸長の比率に関す
るデータを集める
- 36 -
5
実施の効果とその評価
研究開発を実施した結果,以下のような成果や効果が現れた。
①本校生徒による出前授業
福平小5年1組34人,福平中学校1学年119人(5月16日)
喜入小6年い組42人,瀬々串小6年1組23人,谷山小6年1組41人,平川小5年1組8人(7月4日)
本校(天文物理部・生物研究部・化学研究部)の生徒を各学校に派遣し,「人工イクラ」・「発泡ス
チロールの手形を作ろう」・「紙とんぼを作ろう」の3つの実験授業(指導)を行った。児童生徒は,ロ
ーテーションで全ての実験を体験した。
児童・生徒の感想(抜粋)
・人工でイクラが作れるのにびっくりした。
・スポイトから出てくる人工イクラがきれいでかわいかった
・発泡スチロールとリモネンがなぜお互いに溶けあおうとするのか興味を持った。
・身近にある物で紙トンボを作ることができた。
・牛乳パックで紙トンボが生まれた。家で作ろうと思います。
教職員の感想
・子ども達が薬品を混ぜてイクラができる瞬間を見ることができた点。事象の変化に驚く様子が興味深
かった。子ども達の意欲や興味を喚起する物だと思う。
・紙トンボは簡単でビューンと飛び上がったときの感動が意外と大きかった。イクラの方は手先の細か
い加減が必要で上手くいかなかったところもあるが,そういう経験も子ども達には大切かな?おもし
ろい実験。普段はなかなかできない実験をありがとうございました。
今回の出前授業はいかがですか
来年、出前授業を受けてみたいですか
- 37 -
②「わくわく実験教室 イオン鹿児島×錦江湾高校」(7月19.20日)
錦江湾高校の生徒が,イオン鹿児島のお客様(主に小学生対象)に対して実験教室を行った。
実験内容(9ブース+自由研究相談)
人工イクラを作ろう
色鉄筆を作ろう
ストロー笛を作ろう
手形を作ろう
備長炭の電池を作ろう
スライムを作ろう
指紋検出をしよう
ベンバムのコマを作ろう
紙トンボを作ろう
夏休みの自由研究のアドバイスをします。
実験参加者:1289人
アンケート結果(209人分)
1実験対象者
祖父・祖
母
0.0%
保護者
18.2%
中学生
0.9%
小学生
56.4%
2楽しかったですか
その他
1.8%
未就学児
22.7%
普通
1.0%
3実験教室を行ってほしいですか
つまら
なかっ
た
0.0%
面白
かった
30.3%
大変面
白かっ
た
68.7%
参加者の感想(抜粋)
・リモネンで発泡スチロールが溶けることを聞いてびっくりした。
- 38 -
どちら
でもい
い
1.0%
行って
ほしい
17.4%
ぜひ
行って
ほしい
81.5%
・すごく分かりやすくて,やさしくてうれしかったです。とても楽しくて,他の実験もしてみたい!
・本当に楽しいし,皆さん優しく教えてくださって大人も楽しめました。ありがとうございます。
・とてもいい試みだと思います。今後も続けてほしいです。とても楽しかったです。
・自由研究のヒントももらえてよかったです。
・他の実験もしたいと思いました。ありがとうございました。
・ただ実験するだけでなく,何を使ってどうしてそうなるのかも教えてもらえて大人も楽しめた。
・夏休みにこのような企画があると親子で楽しめるので,ぜひまたしてください。
・ストローで音がなっておもしろかったです。親子で楽しめました。
・子どものやりたいことがいっぱいあったので,時間がもっと欲しかったです。
・楽しくできていたので良かったです。また是非お願いします。
・特別な人でなく,学生さんが教えてくださったことで子どもが親しみやすく,話もよく聞いていたと
思います。
・とても丁寧に説明してもらって分かりやすかったようです。簡単かつ短時間でできたので集中してで
きていました。ありがとうございました。
・子どもがおもしろがって10種類の研究を全部やってみたいと言っています。全部回ってみようと思い
ます。
・なかなか実験を体験する機会がないので良い機会でした。
・やさしく教えてくれてありがとうございました。
・今年1年生になったばかりなので,今後の参考にもなり,子どもも楽しんでいたのでとっても良かっ
たです。やり方の入門書いいですね!
・娘が“楽しそう”と手を引いて連れてこられたら,大人も楽しめました。ありがとうございました
・子ども達もとても楽しめて良かったです。ありがとうございました。
・質問しても詳しく説明してくださいました。
・高校生の方もとても丁寧でしっかりされていてすごいでした。とても良い体験が出来ありがとうござ
いました。3つ体験しましたが,小4の娘はストローが一番楽しかったそうです。私はコマが良かった
です。
・子どものわくわくしている顔が見れてとても良かったと思います。個人では準備も大変なのでこの様
な企画があるとうれしいです。
・とても楽しかったようで2回も来ました。ありがとうございました。
- 39 -
③第1回 コアSSH研究会
アンケート55(生徒55 連携校教員14 幹事校教員1 運営指導委員3)
良かった点として,「全体的にアドバイスがもらえるよ
うにしてあげたらいいと思います」,「全国のSSHの人
が発表する所が良かった」,「英語講座や渡辺先生の話も
聞けて今後の研究の参考になった」,「英語の講座は英語
での発表をする際に,絶対に使えると思ったのでありがた
かった」,要望として「質疑応答の時間がもう少し欲しか
った」,「生徒交流会でもっと交流しやすいことがしたか
った」などの意見が出された。
④「わくわく実験教室 コラボ」(11月16日)
鹿児島県内のコアSSH連携校(錦江湾高校,国分高校,曽於高校,福山高校,鹿児島高校)の生徒
が,イオン隼人国分店のお客様(主に小学生対象)に対して実験教室を行い,高校間の連携を深め,
コアSSH鹿児島モデルを推進した。
No
実験内容
No
実験内容
1
人工イクラを作ろう
6
ストロー笛を作ろう
2
手形を作ろう
7
ベンハムのコマを作ろう
3
スライムを作ろう
8
紙トンボを作ろう
4
色鉄筆を作ろう
9
クリップモーターを作ろう(鹿児島高校提案)
5
備長炭の電池を作ろう
10
電磁石で魚釣り(曽於高校提案)
実験内容(10ブース)
実験参加者:665人
アンケート結果(209人分)
1実験対象者
2実験教室をどこで知りましたか
3楽しかったですか
4楽しかったですか
- 40 -
参加者の感想
・未就学児には魚釣りがとてもおもしろか
ったようです。小3の上の子は,電磁石
が作れると思っていたので,少し残念が
っていました。どういうことをやれるの
か先にわかっておくと選びやすいと思い
ました。このような活動は本当に興味深
く,今後も楽しみです。ありがとうござ
います。
・高校生の人数が多くて個別に教えてもら
えるので,わからなくてもできて良かっ
た。子どもの進路の上でも,このような
体験が小さいうちにできるのは貴重だと
思うので続けていただきたい。
・科学を利用したトリックはすばらしいと
思います。
・小学生が一人で参加できて良いと思う。
・高校生が頑張っている姿がとても良かっ
た。学校名がもっともっと全面に出てい
るといいのかなと感じた。とても楽しく
過ごせました。写真でなく,動画も扱っ
てみてはいかがでしょうか?
・わかりやすく説明があり楽しく実験できました。ありがとうございました。
・人工イクラが身近なもので作れてびっくりしました。
・子どもがすごく楽しみにしていて参加しました。思っていた以上におもしろく,楽しく実験をしてい
ました。今日はありがとうございました。
・とても楽しくできました。また参加したいです。がんばっている高校生の姿がかっこいい!!
・科学にふれる機会を増やすと子ども達もさらに興味・関心をもって理科のお勉強を楽しむのではない
でしょうか。
・楽しみに待っていたので,子ども達もいろいろな実験をできて良かったです。学生さん達も準備ご苦
労様でした。
⑤「わくわく実験教室 in 市立科学館」(12月6日)
コアSSH連携校のうち13校が,市立科学館にて,流会の一環として,実験教室を行うことにより,理
科教育の普及を図るとともに,参加生徒のプレゼン能力や表現力の向上を目指す。
No
実験内容
No
1
人工イクラを作ろう
7
ベンハムのコマを作ろう
2
手形を作ろう
8
紙トンボを作ろう
3
スライムを作ろう
9
クリップモーターを作ろう
4
色鉄筆を作ろう
10
電磁石で魚釣り
5
備長炭の電池を作ろう
11
静電気で遊ぼう
6
ストロー笛を作ろう
12
紙おむつの原料で芳香剤を作ろう
- 41 -
実験内容
実験参加者:335人
参加者の感想
・ありがとうございました。高校生
がとてもお姉さん・お兄さんに見
えました。
・子供が喜ぶようにお手伝いしてく
れて,親もうれしかったです
・お兄さん,お姉さんが親切ていね
いに教えてくださったので,親は
後ろから見ているだけで,自分た
ちで聞きながらすることができて
うれしそうでした。(芳香剤等持
ち帰りができて,家で使えるもの
で大満足です。)
・わかりやすくかんたんに,おしえ
てくれました
・あと何回か,いやあと10回おこ
なってください。つぎはどこであ
るんですか
・あと五回かがくかんで実けんを行
ってください
・高校生の皆さんとても親切に接し
て下さりありがとうございました。子供も喜ぶのでぜひ回数を増やしていただきたいです。
・とてもわかりやすくせつめいしていました
・初めてだったのですごく良かったです。高校生の方がとても親切。もう少し長くやってほしい。
⑥
第2回コア SSH 研究会
アンケート 55(生徒 55 連携校教員 14)
良かった点として,「ポスターで発表し合うことで良い刺激にな
った」,「夏に出来なかった質問ができ,お互いの研究の情報を
知ることができ参考になった」,「自分の実験への意見をその場
で直接いただけるので,とても理解を深めやすいし,欠点も見つ
かりやすかった」などの意見が出された。また,要望としては
「ポスター発表の時間をもっと増やして欲しい」,「実験教室を
初日にすれば,生徒間の交流により,ポスターセッションでもっ
と生徒同士の議論が生まれたのではないか」などの意見が出され
た。
- 42 -
6
研究開発上の課題及び今後の研究開発の方向・成果の普及
1
「課題研究支援ネットワーク」の構築
平成 27 年度は,県内の高校に新規に募集をかけ,理数研究やその成果発表,さらに小中学校への理
科自由研究支援,出前授業,大型商業施設での実験教室などに連携して取り組む体制を構築していく。
また,これらの理科自由研究支援,出前授業をより有意義なものにするためには,小中学校の実情を理
解し,それに合った企画をすることが大切であることから,小中学校の教職員(校長,教頭,理科主任
など)を運営指導委員に加えることも検討し,小中高連携の規模を広げ充実したものにする。特に,実
験教室において中学生の参加が著しく少ない,そのため,中学校や学習塾と連携したプログラムを構成
しなければならない。そして,博物館や科学館などの理科に関する教育施設がない地域(理科教育過疎
地)について,実験教室を行っていく。特に離島を抱える鹿児島では錦江湾高校がモデル校になり取組
を全国に発信していきたい,また,鹿児島モデルWEBページを活用し,研究に関する高校間や運営指
導委員とのコミュニケーションを活発化させ,情報交換体制を連携校全体に広げる。このように県内の
ネットワークを確立し,強化していくことが「地域の中核的拠点」としての本校の役割であり,「鹿児島
モデル」を完成に近づけるものと考える。
2
「教育資源活用プログラム」の実践
本校の SSH による学校設定科目「サイエンス・リサーチ(SR)」は大学等の連携により進められている
課題研究であり,大学教員の指導や施設,設備の利用など,大学の協力により実践的な実験・研究が実
施されている。よって実験方法や実験機器の扱い方,データ解析法,プレゼンテーションなど多くを学
び習得することができる。平成 26 年度はこのような課題研究の取り組みを充実させ,学び得たノウハ
ウを教育資源として蓄積していく。また,これらの研究成果を発表することで教育資源の普及につなげ
る。年2回,8月と12月に開催する研究会(生徒研究発表会)では,SR の研究班やサイエンス部に積
極的な発表を促し,県内外の連携校とともに共有の教育資源をつくり,スキルアップを目指す。その他,
各分野における学会やコンテストへの積極的な参加を促す。
生徒1人ひとりが学び得た研究のノウハウや科学の知識を,小中学生の理科自由研究支援,出前授業
に生かし成果普及に努める。
さらに,鹿児島モデルWEBページから成果を公開し普及に努める。
3
「小中高大連携」による理数教育事業の推進
昨年初めて,生徒による出前授業を,近隣の小中学校3校で各校1学級ずつ実施した。今年度は出前
授業を小学校 5 校で 6 学級・中学校1校で3学級に拡大した。好評で,小中学校側から,実施学級を
増やして欲しいとの要望もあるが,同学年で実施していない学級の児童が羨ましそうにしていたり,な
ぜ自分の学級は出前授業が実施されないのかという声が多く聞かれる。よって,小学校の体育館を貸し
切り,より多くの児童が参加できる実験ショーを実施したいと考えている。
平成 27 年度は,小学校や中学校の学年,授業内容や進度を考慮して適切な内容を選び,より高い成
果が得られるように教材や授業展開を工夫していく。特に,中学校や学習塾などと連携を深め,受験に
対応した実験教室などを行うことにより,理科離れが進んでいる中学生に対して,興味関心を深めてい
きたい。また,中学校の先生などを高校へ招き,理科実験に関する研修を行っていきたいと考えている。
小中学生にとって教壇に立つ高校生は新鮮であり,また親しみやすい。実験内容や授業展開を工夫
すれば,小中学生の「身近な科学」への興味関心を喚起する最も効果的な企画であるといえる。また,
指導する高校生にとっても,教える内容の正確な知識と理解の大切さや分かりやすく説明することの
難しさを実感し,学ぶ良い機会となると考える。また,小中学生理科課題(自由)研究支援も連携校の規
模をできるだけ拡大し,充実を図る。
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第4章 資料
1
運営指導委員会・研究会
①第1回コア SSH 運営指導委員会「ダイコンコンソーシアムを発展させた鹿児島モデルの推進」
(1) 日 時
平成26年8月21日(木)
(2) 場 所
鹿児島大学 理学部1号館2階 大会議室
8:30~9:30
(3) 会 順
受付 大会議室前
8:00~ 8:30
運営指導委員会
8:30~ 9:30
開会行事
開会のあいさつ(県教育委庁月野高校教育課長)
研究開発指定校長あいさつ(吉田校長)
コア SSH 運営指導委員一覧
氏
名
所
属
職
備
考
内 海
俊 樹
鹿児島大学大学院
理工学研究科 教授
委員長
岡 本
繁 久
鹿児島大学
農学部
副委員長
渡 辺
正 夫
東北大学大学院
生命科学研究科 教授
副委員長
丸 山
明 子
九州大学大学院
農学研究院
委員
諏訪部 圭 太
三重大学大学院
生物資源学研究科
大 富
鹿児島大学
水産学部
潤
准教授
准教授
准教授
教授
委員
委員
秦
浩 起
鹿児島大学大学院
理工学研究科
准教授
委員
大 木
公 彦
鹿児島大学
名誉教授
委員
水 流
芳 則
鹿児島県立博物館
館長
委員
野 中
久 光
鹿児島県総合教育センター
所長
委員
高校関係職員紹介(中間教頭)
協議等(議長:内海教授)
8:40~
(1) コアSSH事業計画説明(河野教諭)(15分) (8:40~8:55)
・ 昨年度の事業内容とその成果
・ 本年度の連携校及び本年度の事業計画(案)
(2) 協議(30分) (8:55~9:25)
・ コアSSH研究の方向性,研究テーマについて
・ コアSSH研究の取組と課題,地域連携,全国連携の在り方
閉会行事
閉会のあいさつ(中間教頭)(9:25~9:27)
事務連絡等
(9:27~9:30)
(4) 参加者
運営指導委員
内海 岡本 渡辺 諏訪部 秦 大木 水流 野中
県教育委員会
月野
久保 讃岐(庶務)
本校職員
吉田 中間 河野 樋之口 津留
(5) 第1回運営指導委員会記事録
○ 協議等(議長:内海委員長)
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河野 東 德重 奥
内海:主に昨年度の事業内容及びその成果について説明をいただきましたが,何かご質問はない
でしょうか?
渡辺:鹿児島モデルという形はわかるが,実際に鹿児島県内にどう波及しているのか。もうひと
つは,全国に対しても波及するのであれば逆に,鹿児島県から発信するだけでなく,周りの高校
からもらったりするのか?全国から集まった研究会の時に,どういった物を彼らから吸収するの
か?
河野:錦江湾高校がまずモデルとなって,小中学校への出前授業を先頭に立ってやっていかなけ
ればならないということで,モデルを示しました。他校につきましては,オリジナルでホームペ
ージやブログの方に小松高校さんなどがいろいろな活動をしているということは知っています。
例えば、この前ありましたイオンでの実験教室の時に,昨年夏休みの自由研究支援でベンハムの
コマを仙台第一さんがやっていました。我々錦江湾高校も実験書資料をいただき,その資料をも
とにベンハムのコマの実験を行いました。そういう意味で,錦江湾高校だけと言われるかも知れ
ませんが,いろいろな連携をとりながら,普及していきたいと考えています。全国の高校生との
連携ですが,いろいろな形が考えられると思います。例えば,ダイコンの種をいろいろな学校か
らもらったり,送ってもらったりですね。そういうネットワークづくりのきっかけに本研究会が
なれば幸いかなと思っています。錦江湾高校がどうリーダーシップを取っていくかは,具体的に
は分かりませんが。
樋之口:第一回の時に,小中高の連携で鹿児島大学をお借りして小松高校や仙台第一などとうち
が一緒にやって,あまり錦江湾は小中学生に実験教室をしていなかったのですが,これをきっか
けに近隣の小中学校に去年から行き始めて,錦江湾が自主的に行くようになってきています。
内海:今渡辺先生から質問があった点が非常に大事なことで,最終年度ですから,それをまとめ
て報告しないといけないですよね。どういうことをやって,どういう成果が得られてといったよ
うなことはきちっと整理をしておかなければならない。こんな形があります,こんなことをやり
ましたじゃなくて,きちんと整理して出せるようにしておかないと。「それは今年絶対にやらな
いといけないことだと思います。かなりいろいろなことをやっていて,それぞれ成果が出ている
と思うのですが,そのあちこちでやられたことによって何が得られたのかとか全部把握できてい
ないのではないですか?
河野:そうですね。そういう調査はやっていないです。
内海:それもやらないと。
河野:各学校に成果をまとめてもらってという形でいいですかね?
内海:そうですね。まずはそうやって整理しないと次のステップがなかなか見えてこないと思い
ます。他ないでしょうか。
秦:一つ。渡辺先生の質問に関連するのですが,全国に散らばっている学校等はかなり自立性が
高いと思うので,自主的にいろいろなことをしていると思う。だから,錦江湾がリーダーシップ
をとってやっていく上で重要なのは県内ということです。先程,最初の図には小中学校への出前
授業のことがあるのですが,錦江湾がやっているのはいいんですけど,矢印では他の高校もとい
うふうになっているんですが,そういうことが実際に行われていたり,行う計画があるのか。も
うちょっとレベルをあげて言うと,高校の他の学校の理科の先生達が,ぜひうちもやってみよう
というふうな話になっているのかどうか。そうしないと,全国に普及したことにはならない。そ
のへんはどうなんですか?
河野:鹿児島市内の連携校が3校あります。そして国分・曽於・福山の姶良方面が3校あります
。市内と姶良方面の2カ所でやろうという計画はあります。具体的には,先程説明したイオンで
の実験教室を,イオンのほうからいつでもあけるのでもう一度やらないかと言われているので,
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前回は錦江湾高校単独でやったんですが,大変でした。ボランティアも募集し,うまく回らなか
った所もあるので,もし可能であれば,連携校も一緒になっていろんな実験教室等はしていきた
いなと考えています。出前授業についてはまだ各校にお願いをしていくしかないと考えています
。大きなイベントとかにかんしてはコアの連携校を使ってやってみようということは考えていま
す。
渡辺:まさに錦江湾のノウハウが詰まっているのであれば,錦江湾が出前授業をするときに,そ
れらを県内の高校の先生方に見せて,ノウハウを教えて広めていくということをしていかないと
,たぶんまとめの段階でどのような成果があったか成果が問われるので,次のコアを目指すなら
,そこまでやったほうがいいと思う。次の指定をもらっても,前の成果がまとめられていなけれ
ば,いつも新しいことをやってみましたじゃまずいのではないか??タイトルになっているよう
に,ネットワークを作るというふうになっているので、個別にそれぞれがやるのではなくどこか
でつながっているように。少なくとも最終年ですからそれにむけてどの程度実行できるのかとい
うことになってきている。
内海:そうですね。最終年度で時間も限られていますから。その中で成果を出していかなければ
ならないので,今まで小中学校へ出前授業をしたり,理科の自由研究のサポートをしたりしまし
たよね。ああいったもののマニュアルというかレシピみたいな物はあるんですか?
河野:はい。実験書については10ぐらいは作って現在編集中で,PDF化してホームページにア
ップする予定です。比較的安全で危険性が少ないものをやっています。人工イクラについては結
構問い合わせが来ているので,マニュアルを作りHP上にアップして,そちらを見てくださいと
いう形にしていきたいと思い,編集している所です。
内海:ぜひ作ってください。あと,そういうマニュアルなどは連携校にも配るんですか?
河野:冊子にしようと思っています。出版ではなく,錦江湾高校で印刷した物を綴じて送ること
になると思います。そこは予算を見ながら対応していきたいです。
内海:確か去年の委員会でしたか,県内の連携校を大隅を増やしましょうよという話があったと
思うのですが。
河野:去年の反省にもありました,異動した先生によってネットワークを広げていくのはどうだ
ろうかということでした。実は福山高校については錦江湾高校から異動した化学の先生によって
理科系の部活を立ち上げたという話から,ぜひ連携校になってということで。曽於高校につきま
しても,以前錦江湾高校にいた先生だったのでお願いをした経緯があります。
内海:他何かないでしょうか?今年度の計画をもう一度見せてもらってもいいですか。まあ,こ
れを今年度までの活動とどのようにつなげるかということが大事になりますよね。
大木:先程から話題になっています連携校が毎年出てきて,どういう連携を図って,どういう成
果があがったんだといったほうが最終報告の成果としてすごく強いと思います。まずは鹿児島で
モデルを作ってから,しっかりした物ができてからそれを表に出していけば更にネットワークも
広がっていく。それの中心になっているのが鹿児島ということ。
水流:出前授業をしたときに,去年よりも増えているんですけど,小学校や中学校に行くときに
,最初に校長先生の所に行くと思うのですが,そのときに向こうからの要望があったりとか,去
年やってみてそのときにどういう注意点があってどういうアプローチをしたかというノウハウが
他の学校はなかなか出せないわけで,そのノウハウをまとめて,そして実験書の中にこういう学
校に出すときにはこのような要望があるとか,商業施設に出すときにはこういう点に気をつける
などのアプローチのノウハウがあれば今度は各学校がそれを参考にしながらやっていけば,それ
が鹿児島モデルになっていくのではないか。だから,それを早くまとめて各学校に示せばできる
ようになるのでは。
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内海:そうですね。そういったものを文書とかにまとめて「やる」といった学校にすぐ渡せるよ
うにまとめるというのは大事ですね。実際どうですか。文書をつくったりとかからで大変ではな
いですか?
河野:大変です。
内海:その辺がとりかかるのにおっくうになりますし,初めてだったら,どうしたらいいのか,
何が必要なのか分からないですよね。その辺を整理してもらって各学校に示して欲しい。
渡辺:まさに,一番最初に出した,前のダイコンコンソーシアムの何をベースにして,この3年
間で1年目に何をして2年目はそれをもとに何をし,3年目にはこういう成果がありましたとい
うながれが必要???
出前授業のノウハウをまとめるといったときに,確かコアが始まった初年度には外部の高校にお
願いして実験をしてもらって,錦江湾は見ていた。それを見ることによって「こういう場面では
こうするんだ」ということを見て理解して。じゃあ,それを今度はノウハウとして,自分たちは
何を学んで,次の世代に伝える。そのときの先生がいなくなってもその紙があるからなんとかな
るだろうという。先祖伝来の言い伝えの書のようなものを作れば,それが成果の情報発信として
ホームページ上にパスワードでも作って載せておけば連携校やあるいは鹿児島県の高校に情報発
信、普及につながると思うのですが。
野中:関連するのですが,コアの連携校が県内に6校。この6校がどういう形できちんと連携し
ていけるかという所が今の所話で見えない。県内6校が何か連携を深めるために新たに6校の打
合会をどっかでみんな集まって話し合うなどのシステムを作らないと,なかなか難しいような気
がする。今の形だと,錦江湾高校から情報を発信するだけで他の学校から得られることが何かあ
るのかなと。それは連携とは言わない。やはりギブアンドテイクがあるので。それが少し気にな
っています。場所は教育センターなども使ってもらってもかまわないので。各学校の先生方が集
まって打ち合わせをするとかそういう形もできますし,うちは指導主事もいますので,すぐに対
応ができますので。そういった点で協力できる所は協力していきます。
諏訪部:学校間のつながりも大事だと思うんですが,今年度の活動計画を見たときにすごくたく
さんの項目があって,おそらく全部をこなしていくのは相当大変なことなんだろうなと思うんで
すけれども。資料やノウハウもできていくと思うのですが,それらの活動がどういう目的でどう
つながっているのかというのが見えづらいなという気がする。だからこういう活動はこれとつな
がっていて,こういう目的があって,こういうことが達成されるんだという流れが出てくるとす
ごくいいんじゃないか。だから,今年度の成果をまとめる際にもそれぞれの活動がどういう関係
があって,プラス高校間がどういう風につながっているのかという流れが見えてくると良いと思
います。
内海:たぶんまとめる段階である程度は作れるとは思うんですけど,やっぱり実施することに相
当エネルギーを使いますから,それに集中しちゃいますけど,その辺も意識してまとめる段階で
。
諏訪部:総括になるんですよね。それぞれの活動が単独ばらばらであって矢印がいろんな方向を
向いているのではまずくて,それがどうまとまってきて成果につながるのかという所を見せて頂
ければ。
内海:そうですね。他に何かご意見はありませんか。
秦:出前授業もできれば,僕個人が思っていることなんですが,曽於高校で何かやっていただき
たい。なぜかというと,鹿児島県は科学館のような施設があまりない。地図上で見たときにその
ようなところは曽於だと思う。錦江湾の高校生が曽於高校の高校生と一緒に一回やれば,次から
は曽於高校の高校生だけでできるようになっているかも知れなしと思うんですね。あと準備が大
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変だという話がありましたけど,ぜひ教育センターなどもあるので,教育委員会の方から呼んで
もらえるような働きかけってできないのかなと。そうするとずっと楽になると思う。あと場合に
よっては,僕も総合教育センターでやっているんですが,先生達に対してやる。高校生が先生達
に教えるというのを1コマやる。先生達がくるかは分からないですけど。そうしたら,次が広が
ってくる。
大木:教育センターの方もいらっしゃいますが,博物館の館長さんもいらっしゃいます。それこ
そ出張で巡回などもよくされますよね。その行く地域の例えば曽於のいろんな自然についてのノ
ウハウは博物館にあると思う。だから錦江湾高校さんから博物館にお願いして,難しいかも知れ
ませんが曽於の自然を歴史を含んで学びに行って,そして自分たちで課題を見つけて発展させて
いったりする。といったような具体的なことがことが出てくるとこれはすごくいいなと思います
。せっかく教育センターも県の博物館もありますし,鹿児島大学にも博物館はありますから,そ
ういう所を利用していけばいいと思う。そうすれば,先生の負担も少しは楽になるのでは。
中野:理数教育の充実ですよね。ですから小中学生あたりから理科の楽しさを教えるというのが
趣旨ですよね。そう考えればさきほど発表の中にありましたイオンでやった実験教室に2日間で
延べ1289人。これはすごい実績だと思います。ここにいた小学生、中学生非常にいい気持ちで
理数の教育に入っていくのではないかと。もう一度来てくださいというようなチャンスを頂けた
のは非常にうれしいこと。イオンというのは1箇所だけではなく隼人にもありますよね。ですか
ら,国分・福山・曽於の3校と連携して隼人のイオンを使ってもいいのではないかと思います。
そうすれば広がりができてくるのではないかと感じました。
河野:そうですね。そこで1回は合同でやって,その後だったら曽於高校や福山高校だけでの出
前授業もできると思います。
渡辺:そのためのノウハウを錦江湾が作っていけば良い。一緒にやれるのならそれでよいが,離
れていてもできるようなノウハウ作りをしなければ。
内海:今日はその高校はくるの?さっそく交渉をしてみてください。最後の報告書は大変だと思
いますが,樋之口先生や讃岐先生と密に連絡をとりあって仕上げてください。
②
第2回コア SSH 運営指導委員会
(1) 日 時
平成26年12月5日(金) 13:00~14:30
(2) 場 所
理学部2号館1階211号室
(3) 会 順
受付 理学部2号館1階211号室
運営指導委員会
(12:30~13:00)
13:00~14:30
開会行事(10分)
研究開発指定校長あいさつ(吉田校長)
(13:00~13:10)
協議等(議長:内海教授)(90分)
(1) コアSSH概要説明(15分)
(13:10~13:25)
・ 本年度の事業内容とその成果等(河野教諭)
(2) 協議(60分)
(13:25~14:25)
・ コアSSH事業の研究内容と成果
・
コアSSH事業の取組と今後の課題
地域連携・全国連携の在り方
成果普及・教材開発等
・
次年度,再指定に向けた取組等
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(4) 参加者
運営指導委員 内海 岡本 秦 大木 水流 野中
県教育委員会 讃岐(庶務)
本校職員 吉田 中間 河野 樋之口 津留 德重 奥
(5) 第2回運営指導委員会記事録
○ 協議等(議長:内海委員長)
①コア SSH 概要説明
(錦江湾高校:河野教諭)
パワーポイントにて説明
②今年の活動についての意見
岡本:幼稚園児などに科学の興味を持たせるのはよかったが,小中高大の連携という意味で,中
学生にはどのように対応しているか?
河野:中学生にもチラシを配付しているが,なかなか実験教室には来ない。中学生には中学校で
行うようにするしかない。
岡本:中学校で理科嫌いが始まるようだが,中学生にはもっと高度な内容にしなければいけない
のでは?
河野:中学校で実験教室を行ったが,一番人気は紙トンボであった。創意工夫がよく見られた。
内海:中学生のアンケートの結果はどうか?
河野:楽しかったという意見が多かったが,指導する高校生が中学生より小学生がいいというこ
とを言っていた。小松高校などはもっとハイレベルな実験をしているとのこと。
秦:中学生は小学生と混ざると来ない。内容的に最先端の科学とつながっていないと中高生は来
ないと思われる。鹿児島大学でもリケジョの実験教室をしたが,中学生は高校生に追いつこうと
する。高校生のレベルで出来る実験でも大学の先生たちがアドバイスを行うことにより,最先端
の科学につながっていることを実感できる。
河野:実験教室などを行うにはどのような場所がよいか?大学で行えば,中高生は気安いので
は?
内海:大学は協力できると思う。
内海:福平地区,坂元地区の生徒はイオン鹿児島によく行く。部活動がない時期を選んでみては
どうか?小学生と中高生を分けてするべきだと思う。博物館も移動博物館を実施しているが,中
学生はほとんど来ない。中学校も日にちが合えば学校でも出来ると思う。教育課程に沿った内容
のものを入れると中学校も興味を示す。
野中:地区専門高校フェスタと似ているが,専門高校は毎年担当校を決めて実施している。高校
に呼び込んで,高校で実施している場合もある。高校ではハイレベルなものに取り組んでいるこ
とを中学生に見せるべき。教育委員会に働きかけるとバス等も出してくれる。「わくわく実験教
室」というネーミングでは中学生は来ないのでは?いろいろやってみることで,ターゲットの絞
り方が分かってくるのでは?
秦:他にも中央駅などで実施してみては?多くの高校が関われ,毎週のように実施できる。継続
的にやることが大事。
野中:農業高校がドルフィンポートで月一回実施している。しかし,中央駅では場所を借りるの
にお金がかかるのでは?
秦:天文館などは人が来ないので,空き店舗などを借りて,毎週,週替わりで錦江湾高校生が来
ればいいのでは?
大木:地方などは公民館などは人が集まりやすいのでは?
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水流:博物館は以前は中央公民館を借りていたが,小学生が国道 10 号線を渡りにくいので今は,
ウラの公園を使っている。
河野:交渉の仕方で安く借りれると思う。
内海:実験教室をしたことで,錦江湾高校生に何か変化はあったのか?
河野:ある女子生徒は初めは部活もやめそうな感じだったが,これらの実験教室をしてから,積
極的になり,リーダーシップをとるようになった。また,説明などもよくかみ砕いてするように
なり,小学校の先生を目指すようになった。明日行う実験の準備はすべて生徒が行う。私は何も
指示をしていない。生徒たちにも進歩が見られる。生徒の意見により実験の仕方に変化が見られ
てきている。最近の生徒たちは動画を見て学ぶことに慣れているので,youtube に動画をアップす
ることにより対応している。
河野:お母さんが特に興味を示し,お父さんは貼ってあるポスターに興味を示した。中には大学
教授らしい人や指紋検出など本物の鑑識の方が来られたりした。
内海:評価をどのようにするか?
河野:一人ひとり興味は確実にあがるが,それを評価するのが難しい。
内海:生徒たちの実験結果はどうか?
河野:鹿児島県では上位に入る研究が多かったが,他の県の情報も仕入れないといけない。
③次年度に向けた取り組みについて(内海)
河野:連携校を増やすのが難しい。実験教室をした学校の生徒は非常に興味を持ってやってくれ
た。
樋之口:別紙資料を見ながら説明
内海:一番目玉になりそうなことは何か?
内海:課題研究のレベルを上げていくことが重要だと思う。錦江湾高校の研究が高く評価されて
いるのは鹿児島大学とうまく連携しているからだと思われる。
内海:他の学校に使える形にするのが必要では?web ページなどの管理はどのようにしている
か?
樋之口:業者に頼んで作ってもらった。
内海:これからは英語の活用が重要になると思われるが。
河野:錦江湾高校は ALT が理系出身の方で非常に役にたっているが,前回のハヒューズ先生の講
義はとてもよかった。
野中:テレビ会議などのように ICT を用いてやり取りをすることもやってもいいのでは?
大木:中学生の理科離れに対しての対策はどのようにしているか?中学生と高校生をペアにする
ととても中学生が食いつきがいい。フィールドワークを実施しても高校生には負けたくないとい
う意識が働くようである。中学生に対する取り組みが大事なようであるが。
樋之口:どの辺で理科嫌いになっていくのか?
大木:フィールドワークを活かした何かできたら全国に対してのよいアピールになるような気が
する。
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